JPH10128959A - 記録装置 - Google Patents

記録装置

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Publication number
JPH10128959A
JPH10128959A JP28800996A JP28800996A JPH10128959A JP H10128959 A JPH10128959 A JP H10128959A JP 28800996 A JP28800996 A JP 28800996A JP 28800996 A JP28800996 A JP 28800996A JP H10128959 A JPH10128959 A JP H10128959A
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JP
Japan
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recording
ink
head
recording medium
moving
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Pending
Application number
JP28800996A
Other languages
English (en)
Inventor
Isao Ebisawa
功 海老沢
Hitoshi Sugimoto
仁 杉本
Daisaku Ide
大策 井手
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吐出口を主走査方向に複数列配置した
記録手段を有する記録装置に関し、インクミストによる
汚れを防ぎ画像品位の向上を図ること。 【解決手段】 複数の液体吐出口を所定方向に配列され
たヘッド100,110を所定方向と異なる矢印方向に
並設され、ヘッド100,110を矢印方向に移動して
記録紙601に異なる液体を吐出することで記録紙60
1に画像を記録する。ソフトウエア的設定手段により記
録条件を設定する。設定された条件に基づき、少なくと
もヘッド110を記録紙601に対向する方向に移動制
御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は記録装置に関し、特
に、副走査方向に略一列に並んだインク吐出口を主走査
方向に複数列配置したヘッドユニットまたは複数個の記
録ヘッドを並列に並べた時の記録中に発生するインクミ
スト付着を防止する記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】記録媒体の種類によって印字制御する技
術については、過去において種々の提案がされている。
主には、記録媒体を光学的検知手段によって検知し、記
録媒体に最適なヘッド駆動を実施しているものである。
【0003】特開平3−150163号公報では、キャ
リッジ上のヘッドが記録紙との距離を普通紙と封筒等の
厚紙とで切り替えられる。また、特開平4−36667
5号公報では、操作レバーを回転させることでコート紙
の時に紙間距離を広げることができる。実公平5−00
9186号公報(沖電気)では、キャリッジガイドシャ
フトに紙間調整カムがありこのカムを回転させることで
紙間調整できる様になっている。また、特公昭57−4
513号公報、特公平4−57513号公報、特公平4
−29557号公報等では、印字される記録媒体の厚み
を自動的に検出して、記録媒体と記録ヘッドの距離を制
御している。
【0004】しかしながら、これらの提案は、記録媒体
と記録ヘッドとの紙間距離を一定にさせるための手段に
関する物と、記録媒体が厚いときに記録ヘッドが記録媒
体に擦らない様に改善させることが目的である。
【0005】これに対し、主走査方向に連続する複数列
の記録ヘッドで印字を実施するときに、後続して印字を
行う記録ヘッドの吐出口を形成する面に先行して印字を
行った印字面からのインク跳ねを防止することが、本願
の主旨である。特にノズル列が主走査方向に2列以上で
構成されたヘッドカートリッジで、先行して印字させる
インクと後続して印字させるインクとを記録媒体上でイ
ンク状態変化を起こさせ、液体インクから半固体/また
は固体インクへ状態が変化するシステムの記録装置に関
して、上記の提案ではインク跳ね防止の何等解決手段に
はならない。
【0006】このシステムの記録装置で反応性インクが
先行して使用された時には、印字される記録媒体の厚み
に関係無く、後続して印字を行う記録ヘッドの表面に先
行して印字されたインクの跳ねミストが付着してしま
い、後続して印字を行うヘッドの吐出口近傍のインクが
固まってしまう現象があった。
【0007】上記の記録装置で、複数個の記録ヘッドを
用いて同一行内に印字を行う際に、2個以上の記録ヘッ
ドの記録ノズルから吐出される液体が記録媒体上の同一
画素内に打ち込まれた時に、先行して印字された記録媒
体上での画像ドットを形成したインクに、後続して印字
されたインク滴によって、後続して印字する記録ヘッド
のフェイス面にインクミスト跳ねが発生して、インクが
付着する問題がある。
【0008】そこで、一般的な染料等を用いたインクが
付着してもワイパーブレード等を利用し、定期的にワイ
ピング制御することで付着したインクの除去が可能であ
り、不安定なインク吐出をさせる問題を解決出来た。
【0009】
【発明が解決をしようとする課題】しかしながら、先行
して印字を行う第1の記録ヘッドと後続して印字を行う
第2の記録ヘッドで、お互いのインク同士が反応して混
じり合うと半個体/個体化する性質があるインクを用い
た場合には、従来のような記録装置では充分な解決を得
ることができないという課題があった。
【0010】すなわち、記録ヘッドのフェイス面に出来
るだけ互いのインク付着を防止し、固着物の生成を最小
限に抑えることが重要となった。
【0011】そこで本発明は、上記の課題を解決した記
録装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の本発明の装置は、複数の液体吐出
口を所定方向に配列された第1および第2の記録手段を
前記所定方向と異なる方向に並設され、前記第1および
第2の記録手段を前記異なる方向に移動して記録媒体に
異なる液体を吐出することで前記記録媒体に画像を記録
する記録装置において、記録条件を設定する設定手段
と、前記設定手段により設定された条件に基づき、少な
くとも前記第1の記録手段に後続する前記第2の記録手
段を前記記録媒体に対向する方向に移動制御する移動手
段とを具備したことを特徴とする。
【0013】ここで、前記設定手段はソフトウエア的手
段であり、前記記録媒体に記録される画像の品位を設定
できるようにすることもできる。
【0014】ここで、前記設定手段はソフトウエア的手
段であり、記録に用いる前記記録媒体の種類を設定で
き、前記移動手段は、特定種類の記録媒体に対して前記
記録媒体を所定の距離に維持するようにすることもでき
る。
【0015】ここで、前記第1の記録手段は前記第2の
記録手段に先行して反応液を吐出し、後続する前記第2
の記録手段によりインクを吐出して前記反応液と反応さ
せ、前記移動手段は前記第2の記録手段を前記記録媒体
と対向する方向に独立して移動するように構成されるこ
ともできる。
【0016】ここで、前記移動手段は、本体からの駆動
力により回転して前記第2の記録手段を移動させるカム
機構を含むこともできる。
【0017】ここで、前記第1および第2の記録手段は
一体化され、前記第1の記録手段は前記第2の記録手段
に先行して反応液を吐出し、後続する前記第2の記録手
段によりインクを吐出して前記反応液と反応させ、前記
移動手段は一体化された前記第1および第2の記録手段
を前記記録媒体と対向する方向に移動するように構成さ
れるようにすることもできる。
【0018】ここで、前記移動手段は、本体からの電源
により一体化された前記第1および第2の記録手段を移
動させるソレノイドを含むようにすることもできる。
【0019】ここで、前記反応液は、前記インクの相変
化を速める透明インクとすることもできる。
【0020】また、請求項9に記載の本発明の装置は、
複数の液体吐出口を所定方向に配列された第1および第
2の記録手段を前記所定方向と異なる方向に並設され、
前記第1および第2の記録手段を前記異なる方向に移動
して記録媒体に異なる液体を吐出することで前記記録媒
体に画像を記録する記録装置において、記録条件を設定
する設定手段と、前記設定手段により設定された条件に
基づき、前記第1の記録手段に後続する前記第2の記録
手段を前記記録媒体に対向する方向に独立して移動制御
する移動手段と、前記移動手段による移動距離に応じて
前記第2の記録手段による吐出タイミングを可変し、前
記第1および第2の記録手段による液体吐出位置を最適
位置に制御する可変手段とを具備したことを特徴とす
る。
【0021】ここで、前記可変手段は、前記移動距離に
対して予め用意された吐出タイミング設定テーブルを参
照して前記吐出タイミングの制御を行うこともできる。
【0022】ここで、前記設定手段はソフトウエア的手
段であり、前記記録媒体に記録される画像の品位を設定
できるようにすることもできる。
【0023】ここで、前記設定手段はソフトウエア的手
段であり、記録に用いる前記記録媒体の種類を設定で
き、前記移動手段は、特定種類の記録媒体に対して前記
記録媒体を所定の距離に維持することもできる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態を詳細に説明する。
【0025】(第1の実施の形態)図1は、本発明の記
録装置の全体構成の概要を示す斜視図である。
【0026】記録装置1は、給紙部2、プラテン3、排
紙部4、キャリッジ部5、クリーニング部6、フレキシ
ブル基板7、ガイド軸8等から構成されている。
【0027】キャリッジ部5には、ヘッドカートリッジ
が搭載された時にヘッドカートリッジと電気的な接続を
行う電気的コンタクト部が設けられている。この電気的
コンタクト部は、フレキシブル基板7の一端部に接触
し、フレキシブル基板7の他端は図示しない装置本体内
の電気回路基板に取り付けられている。このキャリッジ
部5が、記録紙(記録媒体)の搬送方向(副走査方向)
に対して垂直方向に往復走査(主走査)させるためのガ
イド軸8に沿って往復運動しながらインク滴を吐出させ
ることで、印字または画像記録を行う。
【0028】また、このキャリッジ部5は、記録ヘッド
を記録媒体に対して上下させる機構を有している。すな
わち、記録ヘッドを単体で記録紙の対向方向に移動出来
る機構やキャリッジ全体を記録紙の対向方向に移動変化
させる機構を有しており、これらの機構は、画像情報等
により自動的に動作できるようになっている。
【0029】クリーニング部6は、2個の記録ヘッドが
装置本体に搭載された時にクリーニングを行う2個のポ
ンプと、両記録ヘッドのノズルが乾燥しないようにして
外部からのゴミ付着を防止する2個のキャップを有して
いる。
【0030】また、記録ヘッドのノズル部に付着したゴ
ミや吸引動作実施後に付着したインク滴を除去するため
の、弾性体でできたブレードが備えられている。ブレー
ドの材質としては、インクと反応性がなく、さらに記録
ヘッドのフェイス面へのダメージを最小限にするため、
非加水分解性のウレタンゴムやHNBRゴム等が好まし
い。
【0031】図2はキャリッジ部5に搭載されて印字記
録を行う記録ヘッドを示す斜視図である。
【0032】第1ヘッド100は、反応性液または反応
性インクを吐出させるための記録ヘッドである。第2ヘ
ッド110は矢印のように第1ヘッド100に後続し、
ブラックインクを吐出させるための記録ヘッドである。
この第2ヘッド110からブラックインクを吐出させて
記録媒体に印字記録を行うのに先立ち、第1ヘッド10
0から反応性液または反応性インクを吐出させる。第1
ヘッド100からの吐出は、印字領域に対して連続して
行われる。第1ヘッド100と第2ヘッド110の吐出
口はそれぞれ並列に配置されている。
【0033】第1ヘッド100から記録媒体に反応性イ
ンクで印字された後に、後続して記第2ヘッド110か
ら記録媒体上の反応性インクの画像上に印字を行うこと
で、ブラックインクを記録媒体上で化学反応させ、瞬時
に相変化させて液体状態から半個体/個体状態(以降、
半個体で代表することがある)にさせる。
【0034】後続のインクをこのように半個体/個体に
することで、インクジェット記録装置の欠点であるイン
クの「にじみ」を防止させている。また、記録媒体上で
のインク滴の広がりを防ぐことができるので、印字画像
品位、コントラストを向上でき、さらに、普通紙に対し
て耐水性を付与することができる。
【0035】ここで、第1ヘッド100の構成について
詳細に説明をする。
【0036】第1ヘッド100には、反応性インクを吐
出させるためのノズル群であるインク吐出口101が複
数備えられている。これらのインク吐出口101は、具
体的には200個備えられていて、たとえばテキストを
約3行同時に印字が可能なノズル設定となっている。ま
た、最大駆動周波数は10kHzで印字できるように設
計されていて、ノズルピッチは360dpiで構成され
ている。
【0037】第1ヘッド100が吐出する反応性インク
は透明なインクでも良いし、染色されたものでも良い。
ここでは、透明な反応性インクにつて説明を行う。
【0038】インク吐出口101は、ポリサルフォン等
の樹脂で成形されたオリフィスプレートにレーザ等で穴
明けされて作られている。これらのインク吐出口101
からは、吐出量が約30ng(1ng=1×10-9g)
程度のインク滴が飛翔出来るように設計されている。イ
ンクの吐出量は、インク物性等を考慮して設計すること
が望ましく、本実施の形態でのインクは、一般のユーザ
が容易に入手可能ないわゆる“普通紙”に対して高品位
な文字と画像を提供するために開発されたインクの物性
に合わせてある。
【0039】102は、インク供給路である。また、1
03は反応性インク用のインクタンクで、第1ヘッド1
00と一体に形成してある。このインクタンク103
は、内部にスポンジ等のインク吸収保持体を備えた構成
のものを用いている。しかし、この構成に限定されるも
のではなく、所定の負圧を有した構造を持った生インク
袋やインク吸収保持体と生インク状態を混在させた構成
でも一向に構わない。
【0040】第2ヘッド110も第1ヘッド100と同
一構成であり、111はブラックインクを吐出させるた
めのノズル群であるインク吐出口である。ノズルの構
成、駆動条件は第1ヘッド100の場合と同一である。
また、112はインク供給路、103はブラックインク
用のインクタンクである。
【0041】図3は図2で説明した記録ヘッド100
(110)のインク吐出部を詳細に示す一部切載斜視図
である。
【0042】図3において、101はインクを吐出する
ためのインク吐出口である。201はヒータであり、図
示しない画像信号発生部からの信号を受けて発熱し、イ
ンクを発泡させてインク吐出口101からインク滴を飛
翔させる。
【0043】202はインク液室であり、各インク吐出
口にインクを分配供給するためのものである。203は
液室内のインク供給口である。インク供給口203は、
インクをインクタンク103もしくは113からインク
供給路102もしくは112を経て(図2参照)、イン
ク液室202にインクを供給する。
【0044】また、204は記録ヘッドの温度を検出す
るための温度センサで、ダイオードセンサやサーミスタ
等で構成される。本実施の形態で使用する記録ヘッドで
は、温度センサ204は、ヒータ基板に半導体プロセス
等でヒータ201と同時に形成されている。この温度セ
ンサ204は、図示しない電気回路基板と接続されてい
て、この電気回路により温度センサ204の出力を温度
に換算できるようになっている。またこの電気回路基板
は、CPU等の制御・演算部と、RAM、不揮発性メモ
リ等の記憶部と、カウンタ等を含んで構成されている。
【0045】このように、記録ヘッド内に設けてあるダ
イオードセンサやサーミスタ等の温度センサ204を用
いて、印字中の吐出駆動パルスを制御することで記録ヘ
ッドの温度制御を行っている。吐出駆動パルスの制御
は、印字中の所定時間毎に記録ヘッドの温度を随時検出
し、インクの吐出量が一定となるように吐出躯動パルス
を増減させて行っている。具体的には、印字中の10m
s単位の時間毎に吐出躯動パルスを増減制御している。
【0046】さらに、環境温度等を装置本体内の基板に
設置されたサーミスタ(図示せず)で検出し、記録ヘッ
ド温度と環境温度によって記録ヘッドを駆動する印加パ
ルス幅の補正処理を行いながら印字記録を続けていくも
のである。
【0047】ここで、上記で説明をした記録ヘッドから
吐出させる各液の組成の具体例を挙げると、表1、表2
に示すような組成のものを用いた。しかしながら、本発
明の技術思想を満足させるための組成であれば、以下の
表1、表2の組成に限定されるものではない。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】上記反応性インクの主溶媒として、ブラッ
ク染料との反応物質としては、たとえば、ステアリルト
リメチルアンモニウムマロライド、ポリアミンスルホル
塩酸塩等がある。また、ブラックインクには、C.I.
フードブラック、カーボン等を用いた。
【0051】本発明では、画像を記録させる記録媒体を
複数設定できる様なソフトウエア的設定手段の情報によ
って、各記録媒体に対して最適な記録制御を実施し、高
品位な画像を提供できるように制御する。
【0052】具体的には、記録媒体の個別な特徴、記録
ヘッド/インクシステムの特徴にあわせて、記録装置の
記録制御を行うためのソフトウエア的設定手段、すなわ
ち一般的に言われている周知の「プリンタトライバ」を
用いて設定した時の印字画像を、各記録媒体に対して最
適化制御する。
【0053】印字を実行させる際に、ホストからの制御
を実施するために、プリンタドライバを用いた操作を行
う。図4は、ソフトウエア的設定手段である「プリンタ
ドライバ」の表示装置上での選択メニューの一例を示す
ものであり、このメニューの他に選択できる項目があっ
ても一向に構わない。
【0054】一般に前記「プリンタドライバ」では、以
下の記録条件の選択設定が可能になっているものが多い
が、これに限定されるものではない。具体的な例を示す
と以下のものがある。
【0055】たとえば、画面での選択は、1:「ヘッド
種類」、2:「印字品位」、3:「画像種類」、4:
「印字モード」、5:「記録媒体」であり、他にオプシ
ョン設定で「画像処理パターン」や「カラーバランス」
や「機能選択」等が選択出来る様になっている。
【0056】上記画面での選択について具体的に説明を
する。
【0057】画面上では、1のヘッド種類として、「ブ
ラックヘッド」と「カラーヘッド」の選択ができる。2
の印字品位は、「ファイン」、「HQ(高品位)」、
「HS(高速モード)」等の選択ができる。3の画像種
類は「テキスト」、「グラフィック」、「写真モード」
等の印字(記録)されるべき画像を選択出来る。4の印
字モードでは、本願での特徴である記録ヘッドの記録媒
体対向方向の位置制御(紙間制御)を実施するための印
字モードの選択が可能となっている。
【0058】印字モードには、「高耐水品位」、「通常
耐水品位」とがある。「高耐水品位」とは、印字を実行
する第2ヘッド110からインクを吐出するのに先立
ち、第1ヘッド100を連続使用して反応性インクを吐
出させて(さきがけ)記録媒体上に印字を行う。続い
て、第2ヘッド110から吐出されるブラックインクが
記録媒体上に着弾した時にこのインクを固化させ、完全
耐水画像にするものである。
【0059】また、「通常耐水品位」とは、インク自体
として実用的には耐水性があるが、前記した化学反応さ
せたインクに比べるとやや劣る性質を持っている。これ
は、印字を行う際により高速に出力したい場合や、出力
した原稿をコピーして使用するときに用いると良い。
【0060】5の記録媒体種類の選択では、「普通
紙」、「コート紙」、「光沢フィルム」、等の記録媒体
を選択することが出来る。特殊記録媒体としては、記録
媒体自身に耐水性、耐光性等の付加価値を付与したもの
が多く開発されているので、ここでわざわざ「高耐水品
位」を選択しなくても、十分な画像が得られる様になっ
ている。
【0061】たとえば、特殊記録媒体を選択したときに
は、この「高耐水品位」が設定されていても、記録装置
本体では事実上キャンセルさせて、無駄なインク消費が
されない様にして、印字時間を高速にさせる内部処理を
実施させても良い。
【0062】すなわち、前記した第1の反応性インクを
第1ヘッド100から吐出させることはせず、第2ヘッ
ド110からブラックインクをのみを吐出させ印字させ
るものである。
【0063】本願の目的とするところは、記録媒体に対
して「高品位画像」、「高耐水性」等の付加価値を与え
るインクに対する特性を十分に考慮し、またソフトウエ
ア的設定手段によって選択設定された情報を元に、記録
ヘッドカートリッジを記録媒体の間隙である紙間距離
(記録ヘッドと記録媒体との距離)を自動的に調整し
て、インクを吐出する記録ヘッドのフェイス面へのミス
ト付着を防止させるものである。
【0064】図5は、記録装置本体上で前記記録ヘッド
を記録媒体と対向する方向に上下に移動して紙間距離を
自動的に調整する機構について具体的に説明するための
斜視図である。
【0065】ここでは、記録装置本体内に設けられたプ
リンタを制御するマイクロコンピュータ(MPU)がプ
リンタドライバからの印字データを処理する際に与える
情報の一つとして、「記録媒体種類」、「高耐水モー
ド」等の情報を与えた時に、記録装置のヘッドの紙間を
適切にさせる制御が実施される例について説明する。
【0066】記録ヘッドカートリッジの記録媒体に対し
て設定される紙間距離の制御は、メカ的な機構である偏
心カムを設置し、これをMPUからの情報を元にモータ
等を駆動させてカム軸を回転運動させることで実施され
る。第1のブラックインクを吐出させる第1ヘッド10
0は、ヘッド後端部から所定の圧力で押圧されていて紙
間距離を自動調整させる偏心カム機構501によって移
動調整できる様になっている。
【0067】前記したプリンタドライバで「高耐水モー
ド」が選択されたときには、インク跳ねに対して影響が
出ないような位置に前記カム機構501がヘッドを移動
させる様に、本体のモータ等の駆動機構に連動して、カ
ム機構501が回転運動する。回転運動に従ってヘッド
は、記録紙に対し離間する方向へたとえば距離L5移動
する。
【0068】図6は、記録ヘッドと記録紙との関係をわ
かりやすく説明する模式的な概要図である。
【0069】図中の反応性インク用の第1ヘッド100
とブラックインク用の第2ヘッド110は、本体のガイ
ド軸603に沿って矢印方向に印字を実行する。カム機
構501は、不図示の本体からギア602を駆動して回
転し、ヘッド100,110を上下に移動させる。60
1は、印字用の記録紙を示す。604は、記録ヘッド1
が先行して印字した反応液インクの層、605は、記録
ヘッド2が後続して印字したブラックインクの層を疑似
的に示す。
【0070】通常印字を行う位置は、各ヘッドの記録媒
体からの距離がL1であるのに対し、印字モードとして
「高耐水モード」が選択されたときには、第2ヘッド1
10をL2の位置まで独立して移動させる。ヘッドを移
動する単位量としては、0〜2mm程度の変位が任意に
設定できる様に設計してある。
【0071】図7は、従来の記録ヘッドのインク付着状
態を示す説明図である。
【0072】先に印字される反応性インクを吐出させる
第1ヘッドには、ほとんどインクミストは付着しないこ
とがわかった。ところが、後続して印字されるブラック
インクを吐出させる第2ヘッド110の表面には、イン
ク吐出口111近傍の他に、その周辺までもがインクミ
スト701で汚れていることがわかった。
【0073】このように第2ヘッド110の表面が汚れ
てしまうと、この汚れは反応性インクとブラックインク
が混在したもので、ウレタンゴム等でできたワイパブレ
ードを摺擦させてワイピンク゛して汚れをとっても、ヘ
ッドフェイス面の汚れを十分除去することが出来なかっ
た。
【0074】また、ヘッドフェイス面が汚れていると、
第2ヘッド110から吐出されるインクと更に反応を起
こして付着したインクミストが固化してしまい、徐々に
印字品位が劣化して「よれ」が発生することがある。最
悪では、インクを吐出するノズルまでもが塞がってしま
うおそれもある。
【0075】そこで、後続して印字する第2ヘッド11
0を遠ざけることにより、インクミストの付着を減らす
ことでできる。しかしながら、全体的に記録ヘッドを記
録媒体から遠ざけることは、印字画像品位を良好に維持
する上では好ましくない。
【0076】先行して印字される第1ヘッド100から
反応性インクが吐出されなければ、特にインクミストの
問題はない。このため、先行する第1ヘッド100で印
字するか否かによって、記録紙とヘッド間の距離を調整
すればよい。第1ヘッド100を必要とするのはいわゆ
る「普通紙」であり、特殊高画質記録媒体では、記録媒
体自体に耐水性、高画質機能を持たせてあるので、特に
第1ヘッド100から反応性インクを必要としない。
【0077】以下に、従来の技術と本発明による実験後
での印字耐久性についての比較データを記載する。ここ
では、連続印字させたときの、吐出よれと回復性を調べ
た。印字品位の確認に関しては、ウレタンゴム等のワイ
パーブレード等で摺擦したり、ノズルからの吸引回復動
作を実施しながら確認していった。
【0078】
【表3】
【0079】このように、ソフトウエア的設定手段の情
報を元に後続するヘッドを先行するヘッドよりも記録媒
体から遠ざける本実施の形態によれば、30枚の連続印
字を実行してもインクミストによる「よれ」の発生はみ
られず、50〜100枚の連続印字でも「よれ」を許容
レベル内に抑えることができた。
【0080】以上説明をしたように、第1ヘッド100
から反応性インクが印字させる制御をソフトウエア的設
定手段によって選択設定したときに、後続する第2ヘッ
ド110に適切な紙間距離を自動的に調整させること
で、ヘッドフェイス面へのインクミスト付着がほとんど
なくなり、常に安定した画像が得られる様になった。こ
の結果、ヘッドの寿命を伸ばすことができる様になっ
た。
【0081】図8は、別形態の記録ヘッドで、吐出部と
インクタンクが別体で形成されている。図8の構成の記
録ヘッドは、反応性インク用の第1ヘッドおよび印字記
録用の第2ヘッドの両方に用いられる。
【0082】801は吐出ノズル(吐出口)、802は
吐出部とインクタンク803を接合させるホルダーであ
る。804は、タンク交換時に容易に取り出せるための
タンク部の取っ手である。810は、ノズルからインク
を吐出させるときに自分のノズルから発生する微小なイ
ンクミストをキャッチする親水性を持たせた部分で、ノ
ズル近傍に設けてある。
【0083】このホルダー802とインクタンク803
とが接合される部分には、外部からゴミ等の侵入がない
様にフィルタ等(不図示)が設置してある。また、ホル
ダー802とインクタンク803の接合部からインクが
漏れないように、ゴム等の弾性体で圧着される構成とな
っている。
【0084】このような記録ヘッドを用い、カム機構に
より移動可能としても構わない。
【0085】(第2の実施の形態)図9は、本発明を適
用した記録装置の第2の実施の形態の別のヘッド形態を
示す斜視図であり、ブラックのヘッドカートリッジを示
す。
【0086】このヘッドカートリッジ900は、第1記
録ヘッド部901と第2記録ヘッド部911が略一体的
に形成されていて、両ヘッド部が矢印で示す主走査方向
に並列に並んでいるものである。
【0087】第1記録ヘッド部901は反応性インク用
のもので、第2記録ヘッド部911はブラックインク用
である。また、各ヘッドの構成は、前記第1の実施の形
態の図3で説明したものと同一構成である。
【0088】また、インクタンクは記録ヘッド部と一体
に形成されていて、903は反応性インクが入ったイン
クタンクで、913はブラックインクが入ったインクタ
ンクである。
【0089】本実施の形態では、本体から電源を供給さ
れるソレノイド1002を用い、この電磁力を利用して
記録媒体とヘッドカートリッジ900との距離を可変調
整するようにした例を説明する。
【0090】図10は、ヘッドカートリッジ900がキ
ャリッジに搭載された例を示す斜視図である。ここで
は、このキャリッジを記録紙と対向する方向に移動させ
る制御について説明する。
【0091】この制御は、プリンタドライバでの選択に
おいて、前記した「高耐水性モード」が選択されたとき
に実施される。仮に、特殊記録媒体を選択した際には、
記録媒体自身に高耐水性機能が付与されているので、本
実施の形態の紙間自動調整動作は実施されない。
【0092】ヘッドカートリッジ900は、キャリッジ
であるホルダー1001に搭載されてガイド軸603に
沿い左右(主走査方向)に移動出来る様になっている。
第2記録ヘッド部を使うモードが選択されたときには、
ヘッドカートリッジ900全体を記録紙601から遠ざ
ける様に、ソレノイド1002が制御されるものであ
る。
【0093】ヘッドを有するヘッドカートリッジ900
を搭載するキャリッジ1001には、紙面と対向する方
向に長手方向を有する長穴1103が開いている。ヘッ
ドカートリッジ900は、ソレノイド1002の動きに
対し、この方向に追随して記録紙601との距離を調整
できる様に構成されている。
【0094】本実施の形態に基づき実験を繰り返したと
ころ、第1実施の形態とほぽ同様な結果を得ることが出
来た。したがって、第1実施の形態と同様の効果を得る
ことができる。
【0095】(第3の実施の形態)記録紙と記録ヘッド
間の距離を遠ざけることで、インク滴が記録紙に着弾す
る時間が長くなるため、第1ヘッドの画像と第2ヘッド
の画像が、同一点に着弾せずに、ずれが生じる。そこ
で、記録紙とヘッドとの距離を自動的に調整する際に、
記録ヘッドから吐出するインク滴の吐出タイミングを制
御して画像のずれをなくすための制御について説明す
る。
【0096】この問題を解決するために、自動的に紙間
を調整した際には、吐出タイミングを記録紙とヘッドと
の距離に合わせて可変することが必要となる。吐出タイ
ミングを遅延または速くさせる制御は、ROM等の記憶
媒体に予め設定された吐出テープルに従って、記録ヘッ
ドを駆動させることで行われるものである。
【0097】図11は、紙間距離を変化させたときの第
2ヘッドから吐出されるインク滴の着弾位置を示す説明
図である。
【0098】第2ヘッド110の主走査方向の速度が比
較的遅い場合には着弾位置精度に大きな差は出ないが、
その速度が大きい程、紙間距離によって着弾位置は大幅
に異なってしまう。
【0099】第2ヘッド110の主走査方向の速度をC
R−V、第2ヘッド110から吐出するインク滴の速度
をDT−Vとすると、印字中のインク滴の方向は、その
合成によりベクトルVの方向となる。第2ヘッド110
と記録紙との紙間距離がL3のときとL4のときでは、
記録紙601上で主走査方向の着弾位置に△Dだけ差が
生じる。
【0100】これを同じ位置に着弾させるためには、図
12で示す様に、第2ヘッド110からインクを吐出さ
せる際に、通常の位置よりも第1ヘッドに対し△Hだけ
遠い最適位置(速いタイミング)でインクを吐出させる
ことで、記録紙上に予め第1ヘッドで印字された反応性
インクのドットに第2ヘッド110からのブラックイン
クを重ねることができる様に出来る。
【0101】この様に本実施の形態によれば、第2ヘッ
ド110に対して紙間距離を自動的に離す制御を実施し
たときには、同時に第2ヘッド110からブラックイン
クを吐出させるタイミングを制御することで、更に高画
質を提供することが出来るものである。
【0102】また内部処理的には、図13に示す様に、
プリンタドライバからの選択によって「高耐水モード」
が選択された時、前記した様に紙間距離の制御を自動的
に実施する。この際に、吐出タイミング設定を通常の
「吐出タイミング設定1」から「吐出タイミング設定
2」に自動的に変更して、記録ヘッドの駆動タイミング
を変えることで、記録媒体上でのドットの着弾位置を重
ねあわせることが出来る。
【0103】この吐出タイミング設定は、紙間矩離を複
数の段階(たとえば、紙間距離設定2…5)に設定可能
な場合は、メモリに吐出タイミング設定テーブルを予め
複数用意しておき、それぞれに「吐出タイミング設定
2」、「吐出タイミング設定3」、「吐出タイミング設
定4」、「吐出タイミング設定5」を対応させること
で、第1のヘッドと第2のヘッドによる着弾位置椿度を
上げることが出来る。この結果、画像品位と高耐水性の
信頼性をより向上させることができる。
【0104】(第4の実施の形態)図14はカラーヘッ
ドカートリッジ1400の概要を示す斜視図である。
【0105】1401Yはイエローインク用のノズル
群、1401Mはマゼンタ用のノズル群、1401Cは
シアン用のノズル群である。各色のノズル群毎に60ノ
ズルが備えられている。また、各インクノズル群の間に
は10ノズル分相当の隙間が空いている。すなわち、副
走査方向に合計200ノズル相当の長さがある。各ノズ
ルからは、約30ngのインク滴を吐出できるように設
計されている。
【0106】各色のノズル群近傍には親水処理部が設け
られており、1402Cはシアンノズル用の親水処理部
である。また、1403Yはイエローインク用のインク
タンク、1403Mはマゼンタインク用のインクタン
ク、1403Cはシアンインク用のインクタンクであ
り、ヘッドと一体化されている。ここでは、3色とも一
体の構成を例にしたが、ヘッドとインクタンクが分離さ
れていても一向に構わない。
【0107】図15は、記録ヘッド部が主走査方向に3
列構成となっているヘッドユニット1500を示す斜視
図である。
【0108】1502はブラックインクを吐出できるヘ
ッドである。このノズルは、具体的には200個備えら
れている。また1503はカラーヘッド部で、イエロ
ー、マゼンタ、シアン用のノズルを各々60個有してい
て、各色のノズルが副走査方向に一列構成で並んでい
る。また、1501は反応性インクを吐出させるための
記録ヘッドで、ノズルを20個有している。各ヘッドは
主走査方向に並置されている。また、1511は反応性
インク用のインクタンク、1512はブラックインク用
のインクタンク、1513は各カラーインク用のインク
タンクであり、各ヘッドと一体化されている。
【0109】このヘッドユニット1500が、前記した
第2の実施の形態と同様の構成によりヘッドユニット全
体の位置を記録紙の対向方向に移動するように、装置が
構成されている。
【0110】図16は、更に別の形態の記録ヘッドの概
要を示す斜視図である。
【0111】図16は、ブラックインク用のヘッド16
01とカラーインクY、M、C用のヘッド部1602が
一体化されたヘッドユニット1600と、反応性インク
用のヘッド100とが別々に構成されたヘッドの例を示
す斜視図である。カム機構501がヘッドを移動させる
様に、本体のモータ等の駆動機構に連動して、カム機構
501が回転運動する。回転運動に従ってヘッドは、記
録紙に対し離間する方向へたとえば距離L5移動する。
【0112】このようなプラックとカラーのヘッドが同
時に搭載されている記録装置では、テキストよりもむし
ろカラー画像が中心に出力されることが多い。
【0113】ここで、カラー画像に関しては、普通紙の
画質よりも更に高画質が要求される。このため、カラー
画像の記録には一般的には特殊記録媒体、たとえば写真
調の光沢紙や光沢フィルム等のカラー画像をより鮮やか
に再現する特殊記録媒体を利用することが多い。
【0114】特殊記録媒体は、インクに対しての特性を
考慮して、画像品位、高耐水性等の機能が記録媒体自体
に付与してある。このため、反応性インクを使用する必
要がない。このため、プリンタドライバのメニュー画面
で記録媒体として「光沢フィルタ」を選んだ場合、初期
設定の紙間距離を維持したまま記録が実施され、前記各
実施の形態で述べた偏心カムやソレノイド等で紙間を自
動制御して遠ざけることはしない。この様に、記録させ
る記録媒体種類や印字に対する目的によって、記録ヘッ
ドの記録媒体対向方向の位置を制御させて、所望の画像
を得ることができる様になった。
【0115】更に、印字を行う際のインクミストの発生
は記録モードにより異なることがわかっている。特にイ
ンクミストを発生させる条件としては、反応性インクと
インクを飛ばす記録ヘッドが、短時間に、高デューティ
ーで同じ画素を形成する時である。
【0116】すなわち、印字モードにおいて、たとえば
高画質を設定する「ファインモード」を選択した際に
は、一つの画像を複数のパスを用いて印字を行うモード
のため、同時にインクを飛ばすデューティーが低減さ
れ、記録紙からのインク跳ねが少ない。
【0117】従って、1パスによる印字モードの際には
ヘッドの移動制御を実施することが効果的であり、イン
ク跳ねが少ないマルチパス印字モードでは、記録ヘッド
の記録媒体対向方向の位置を制御して紙間距離を遠ざけ
る必要性はない。
【0118】以上示したそれぞれ反応性液または反応性
インク(液体組成物)とインクとの混合において、本発
明では、上述した反応性液または反応性インクとインク
が記録媒体上あるいは記録媒体に浸透した位置で混合す
る結果、反応の第1段階として反応性液または反応性イ
ンク中に含まれているカチオン性物質の内、低分子量の
成分またはカチオン性オリゴマーとインクに使用してい
るアニオン性基を有する水溶性染料または顔料インクに
使用しているアニオン性化合物とがイオン的相互作用に
より会合を起こし、瞬間的に溶液相から分離を起こす。
この結果顔料インクにおいては分散破壊が起こり、顔料
の凝集体ができる。
【0119】次に、反応の第2段階として、上述した染
料と低分子カチオン性物質またはカチオン性オリゴマー
との会合体または顔料の凝集体が反応性液または反応性
インク中に含まれる高分子成分により吸着されるため
に、会合で生じた染料の凝集体または顔料の凝集体のサ
イズがさらに大きくなり、記録媒体の繊維間の隙間に入
り込みにくくなり、その結果として固液分離した液体部
分のみが記録紙中にしみこむことにより、プリント品位
と定着性との両立が達成される。同時に上述したような
メカニズムにより生成したカチオン物質の低分子成分ま
たはカチオン性オリゴマーとアニオン性染料とカチオン
性物質とで形成される凝集体または顔料の凝集体は粘性
が大きくなり、液媒体の動きとともに移動することがな
いので、フルカラーの画像記録時のように隣接したイン
クドットが異色のインクで形成されていたとしても互い
に混じり合うようなことはなく、ブリーデイングも起こ
らない。また、上記凝集体は本質的に水不溶性であり形
成された画像の耐水性は完全なものとなる。また、ポリ
マーの遮蔽効果により形成された画像の耐光堅牢性も向
上するという効果も有する。
【0120】本明細書において使用される不溶化または
凝集として、その一例は前記第1段階のみの現象であ
り、他の例は第1段階と第2段階の両方を含んだ現象で
ある。
【0121】また、本発明の実施にあたっては、従来技
術のように分子量の大きいカチオン性高分子物質や多価
の金属塩を使用する必要がないか、あるいは使用する必
要があっても本発明の効果をさらに向上させるために補
助的に使用するだけで良いので、その使用量を最小限に
抑えることができる。その結果として、従来のカチオン
性高分子物質や多価金属塩を使用して耐水化効果を得よ
うとした場合の問題点であった染料の発色性の低下がな
くなるということを本発明の別の効果として挙げること
ができる。
【0122】なお、本発明を実施するにあたって使用す
る記録媒体については特に制限されるものではなく、従
来から使用されているコピー用紙、ボンド紙等のいわゆ
る普通紙を好適に用いることができる。もちろんインク
ジェットプリント用に特別に作製したコート紙やOHP
用透明フィルムも好適に使用でき、また、一般の上質紙
や光沢紙も好適に使用可能である。
【0123】なお、本発明を実施するにあたって、使用
するインクは特に染料インクに限るものではなく、顔料
を分散させた顔料インクを用いることもできるし、使用
する反応性液または反応性インクはその顔料を凝集させ
るものを用いることができる。前記した無色液体A1と
混合して凝集を引き起こす顔料インクの一例として以下
のものを挙げることができる。すなわち、下記に述べる
ようにして、それぞれ顔料とアニオン性化合物とを含む
イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色インク、
Y2,M2,C2およびK2を得ることができる。
【0124】ブラックインクK2 アニオン系高分子P−1(スチレン−メタクリル酸−エ
チルアクリレート、酸価400、重量平均分子量6,0
00、固形分20%の水溶液、中和剤:水酸化カリウ
ム)を分散剤として用い、以下に示す材料をバッチ式縦
型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、1mm径の
ガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ3時
間分散処理を行った。分散後の粘度は9cps、pHは
10.0であった。この分散液を遠心分離機にかけ粗大
粒子を除去し、重量平均粒径100nmのカーボンブラ
ック分散体を作製した。
【0125】 (カーボンブラック分散体の組成) ・P−1水溶液(固形分20%) 40部 ・カーボンブラック Mogul L (キャブラック製) 24部 ・グリセリン 15部 ・エチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部 ・イソプロピルアルコール 3部 ・水 135部 次に、上記で得られた分散体を充分に拡散して顔料が含
有されたインクジェット用のブラックインクK2を得
た。最終調製物の固形分は、約10%であった。
【0126】イエローインクY2 アニオン系高分子P−2(スチレン−アクリル酸−メチ
ルメタアクリレート、酸価280、重量平均分子量1
1,000、固形分20%の水溶液、中和剤:ジエタノ
ールアミン)を分散剤として用い、以下に示す材料を用
いて、ブラックインクK2の作製の場合と同様に分散処
理を行い、重量平均粒径103nmのイエロー色分散体
を作製した。
【0127】 (イエロー分散体の組成) ・P−2水溶液(固形分20%) 35部 ・C.I.ピグメントイエロー180 24部 (ノバパームイエロー PH−G、ヘキスト製) ・トリエチレングリコール 10部 ・ジエチレングリコール 10部 ・エチレングリコールモノブチルエーテル 1.0部 ・イソプロピルアルコール 0.5部 ・水 135部 上記で得られたイエロー分散体を充分に拡散して、顔料
が含有されたインクジェット用のイエローインクY2を
得た。最終調製物の固形分は、約10%であった。
【0128】シアンインクC2 ブラックインクK2の作製の際に使用したアニオン系高
分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用い
て、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分
散処理を行い、重量平均粒径120nmのシアン色分散
体を作製した。
【0129】 (シアン色分散体の組成) ・P−1水溶液(固形分20%) 30部 ・C.I.ビグメントブルー15:3 24部 (ファストゲンブル−FGF、大日本インキ化学) ・グリセリン 15部 ・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部 ・イソプロピルアルコール 3部 ・水 135部 上記で得られたシアン色分散体を充分に攪拌して、顔料
が含有されたインクジェット用のシアンインクC2を得
た。最終調製物の固形分は、約9.6%であった。
【0130】マゼンタインクM2 ブラックインクK2の作製の際に使用したアニオン系高
分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用い
て、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分
散処理を行い、重量平均粒径115nmのマゼンタ色分
散体を作製した。
【0131】 (マゼンタ色分散体の組成) ・P−1水溶液(固形分20%) 20部 ・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学) 24部 ・グリセリン 15部 ・イソプロピルアルコール 3部 ・水 135部 上記で得られたマゼンタ色分散体を充分に拡散して、顔
料が含有されたインクジェット用のマゼンタインクM2
を得た。最終調製物の固形分は、約9.2%であった。
【0132】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、記録条件を設定するソフトウエア的設定手段により
設定された条件に基づき、少なくとも第1の記録手段に
後続する第2の記録手段を記録媒体に対向する方向に移
動制御して記録手段と記録媒体との距離を選択調整する
ことで、画像記録時のインク跳ねがあっても後続する記
録手段にインクミストが付着しないので、記録画像を高
品位に保つことができるとともに、記録手段の寿命を延
ばすことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の記録装置の全体構
成の概要を示す斜視図である。
【図2】キャリッジ部5に搭載されて印字記録を行う第
1の実施の形態の記録ヘッドを示す斜視図である。
【図3】ブラックの記録ヘッド100のインク吐出部を
詳細に示す一部切載斜視図である。
【図4】本発明によるプリンタドライバのメニュー選択
画面の一例を示す説明図である。
【図5】第1の実施の形態の記録装置本体上で記録ヘッ
ドを記録媒体と対向する方向に移動して紙間距離を調整
する機構について説明するための斜視図である。
【図6】記録ヘッドと記録紙との関係を説明する模式的
な概要図である。
【図7】従来の記録ヘッドのインク付着状態を示す説明
図である。
【図8】第1の実施の形態の別の形態の記録ヘッドを示
す斜視図である。
【図9】本発明を適用した記録装置の第2の実施の形態
の別のヘッド形態を示す斜視図である。
【図10】ヘッドカートリッジ900がキャリッジに搭
載された例を示す斜視図である。
【図11】紙間距離を変化させたときの第2ヘッドから
吐出されるインク滴の着弾位置を示す説明図である。
【図12】紙間距離を変化させたときの第2ヘッドから
吐出されるインク滴の着弾位置を示す説明図である。
【図13】モードに対する紙間位置設定について説明す
る説明図である。
【図14】カラーヘッドカートリッジ1400の概要を
示す斜視図である。
【図15】記録ヘッド部が主走査方向に3列構成となっ
ているヘッドユニット1500を示す斜視図である。
【図16】ブラックインク用のヘッドとカラーインク用
のヘッド部が一体化されたヘッドユニットと、反応性イ
ンク用のヘッドとが別々に構成されたヘッドの例を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 記録装置 2 給紙部 3 プラテン 4 排紙部 5 キャリッジ部 6 クリーニング部 7 フレキシブル基板 8 ガイド軸 100,110,1401,1402,1502,16
01 記録ヘッド 501 カム機構 601 記録紙 602 ギア 901,911,1503,1602 記録ヘッド部 1001 キャリッジ 1002 ソレノイド

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の液体吐出口を所定方向に配列され
    た第1および第2の記録手段を前記所定方向と異なる方
    向に並設され、前記第1および第2の記録手段を前記異
    なる方向に移動して記録媒体に異なる液体を吐出するこ
    とで前記記録媒体に画像を記録する記録装置において、 記録条件を設定する設定手段と、 前記設定手段により設定された条件に基づき、少なくと
    も前記第1の記録手段に後続する前記第2の記録手段を
    前記記録媒体に対向する方向に移動制御する移動手段と
    を具備したことを特徴とする記録装置。
  2. 【請求項2】 前記設定手段はソフトウエア的手段であ
    り、前記記録媒体に記録される画像の品位を設定できる
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 【請求項3】 前記設定手段はソフトウエア的手段であ
    り、記録に用いる前記記録媒体の種類を設定でき、 前記移動手段は、特定種類の記録媒体に対して前記記録
    媒体を所定の距離に維持することを特徴とする請求項1
    に記載の記録装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の記録手段は前記第2の記録手
    段に先行して反応液を吐出し、後続する前記第2の記録
    手段によりインクを吐出して前記反応液と反応させ、 前記移動手段は前記第2の記録手段を前記記録媒体と対
    向する方向に独立して移動するように構成されることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記録装
    置。
  5. 【請求項5】 前記移動手段は、本体からの駆動力によ
    り回転して前記第2の記録手段を移動させるカム機構を
    含むことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2の記録手段は一体化
    され、前記第1の記録手段は前記第2の記録手段に先行
    して反応液を吐出し、後続する前記第2の記録手段によ
    りインクを吐出して前記反応液と反応させ、 前記移動手段は一体化された前記第1および第2の記録
    手段を前記記録媒体と対向する方向に移動するように構
    成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    に記載の記録装置。
  7. 【請求項7】 前記移動手段は、本体からの電源により
    一体化された前記第1および第2の記録手段を移動させ
    るソレノイドを含むことを特徴とする請求項6に記載の
    記録装置。
  8. 【請求項8】 前記反応液は、前記インクの相変化を速
    める透明インクであることを特徴とする請求項4または
    6に記載の記録装置。
  9. 【請求項9】 複数の液体吐出口を所定方向に配列され
    た第1および第2の記録手段を前記所定方向と異なる方
    向に並設され、前記第1および第2の記録手段を前記異
    なる方向に移動して記録媒体に異なる液体を吐出するこ
    とで前記記録媒体に画像を記録する記録装置において、 記録条件を設定する設定手段と、 前記設定手段により設定された条件に基づき、前記第1
    の記録手段に後続する前記第2の記録手段を前記記録媒
    体に対向する方向に独立して移動制御する移動手段と、 前記移動手段による移動距離に応じて前記第2の記録手
    段による吐出タイミングを可変し、前記第1および第2
    の記録手段による液体吐出位置を最適位置に制御する可
    変手段とを具備したことを特徴とする記録装置。
  10. 【請求項10】 前記可変手段は、前記移動距離に対し
    て予め用意された吐出タイミング設定テーブルを参照し
    て前記吐出タイミングの制御を行うことを特徴とする請
    求項9に記載の記録装置。
  11. 【請求項11】 前記設定手段はソフトウエア的手段で
    あり、前記記録媒体に記録される画像の品位を設定でき
    ることを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
  12. 【請求項12】 前記設定手段はソフトウエア的手段で
    あり、記録に用いる前記記録媒体の種類を設定でき、 前記移動手段は、特定種類の記録媒体に対して前記記録
    媒体を所定の距離に維持することを特徴とする請求項9
    に記載の記録装置。
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