JP3552398B2 - 車両用暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水冷式エンジン(以下、エンジンと略す。)の冷却水を熱源として車室内暖房を行う車両用暖房装置に関するもので、車両駆動源としてエンジンおよびモータの両者を切り替えて使用する所謂ハイブリッド式自動車に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッド式自動車は、エンジンから排出される一酸化炭素や窒素酸化物等の人体に有害な物質を含む排気ガス(以下、エミッションと呼ぶ。)を低減するために考案された自動車である。具体的には、通常、バッテリに充電された電力によって駆動するモータで走行し、バッテリに充電された電力が所定以下に低下すると、エンジンを使用して走行するとともに発電および充電を行い、バッテリに充電された電力が所定以上まで回復すると、再びモータで走行するものである。
【0003】
つまり、主駆動源としてモータを使用し、副駆動源としてエンジンを使用することによって、エンジン稼働時間を短縮してエミッション低減を図ったものである。したがって、今後、ハイブリッド式自動車において、エミッション低減を推進するには、エンジン停止時間を延長していく必要がある。
ところで、ハイブリッド式自動車用暖房装置においても、駆動源としてエンジンのみを搭載する従来車両と同様に、エンジンの冷却水を熱源とするヒータコアを車室内に吹き出す空気の加熱手段として利用している。このため、暖房運転中は、エンジン稼働時は勿論エンジン停止時においても、エンジンから流出した冷却水を直接ヒータコア内に流入させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エンジンが稼働しているか否かは、前述のように、バッテリに充電された電力状態によって決定されるので、車両走行時等の人員乗車時においてもエンジンが停止する時がある。したがって、暖房運転中に冷却水の熱源であるエンジンが停止すると、冷却水温度の低下とともに暖房能力も低下していき、エンジン停止時間全体にわたって有効に暖房することができないという問題がある。そして、この問題はエンジン停止時間が延長されていくほど、つまり、エミッション低減を推進するほど顕著に現れてくる。
【0005】
また、上述のように、エンジン停止時もエンジンから流出した冷却水を直接ヒータコア内に流入させているので、エンジン停止時に暖房運転を継続すると、冷却水の温度が低下し、エンジンが冷えてしまう。そして、このエンジンが冷えた状態でエンジンを再始動すると、エンジンが温まった状態に比べてエミションが増加してしまうという問題が発生する。
【0006】
なお、上述の問題はハイブリッド式自動車に限られるものではなく、例えば、駆動源としてエンジンのみを搭載する従来車両において、暖房運転を継続して行いつつ、信号待ち停車時等のアイドル運転時にエンジンを停止する、いわゆるレストモード時にも発生する。
本発明は、上記点に鑑み、車両用暖房装置において、エンジン停止後もヒータコアを用いて車室内暖房を行いつつ、冷却水温度の低下を抑制してエンジン再始動時のエミッション低減を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。
請求項1〜3に記載の発明では、冷却水が第1所定温度以上の状態で水冷式エンジン(1)が停止したときは、ヒータコア(7)からラジエータ(3)またはバイパス回路(4)を経てヒータコア(7)に還流する第2暖房回路(103)に冷却水を循環させることを特徴とする。
【0008】
これにより、水冷式エンジン(1)内の冷却水が流出せず水冷式エンジン(1)内に滞留するので、水冷式エンジン(1)が冷えることを抑制することができる。また、暖房用熱源としてラジエータ(3)またはバイパス回路(4)内の冷却水を使用することができるので、水冷式エンジン(1)停止後も暖房運転を継続することができる。
【0009】
したがって、水冷式エンジン(1)停止後もヒータコア(7)を用いて車室内暖房を継続的に行うことができるとともに、冷却水温度の低下を抑制して水冷式エンジン(1)再始動時のエミッション低減を図ることができる。
また、新たな部品を設けることなく、既存のラジエータ(3)またはバイパス回路(4)を流用しているので、車両用暖房装置の製造原価上昇を抑制しつつ、水冷式エンジン(1)停止後も継続的に車室内暖房を行い、かつ、エミッション低減を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、冷却水が第1所定温度以上の状態で水冷式エンジン(1)が停止したときは、第2暖房回路(103)に冷却水を循環させ、その後、ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が第2所定温度以下となったときに、ヒータコア(7)から蓄熱タンク(6)を経てヒータコア(7)に還流する第3暖房回路(104)に冷却水を循環させることを特徴とする。
【0011】
これにより、蓄熱タンク6に蓄えられた高温の冷却水を車室内暖房用に使用することができるので、暖房能力を維持しつつ、暖房運転を長時間継続することができる。
請求項3に記載の発明では、冷却水が第1所定温度以上の状態で水冷式エンジン(1)が停止したときは、第2暖房回路(103)に冷却水を循環させ、その後、前記ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が第2所定温度以下となったときに、前記第3暖房回路(104)に冷却水を循環させる。そして、さらにその後、ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が第3所定温度以下となったときに、第1暖房回路(100)に冷却水を循環させることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明では、冷却水が第1所定温度以上の状態で水冷式エンジン(1)が停止したときは、ヒータコア(7)から蓄熱タンク(6)、前記ラジエータ(3)またはバイパス回路(4)を経てヒータコア(7)に還流する第4暖房回路(107)に冷却水を循環させることを特徴とする。
これにより、水冷式エンジン(1)内の冷却水が流出せず水冷式エンジン(1)内に滞留するので、水冷式エンジン(1)が冷えることを抑制することができる。また、暖房用熱源としてラジエータ(3)、バイパス回路(4)または蓄熱タンク(6)内の冷却水を使用することができるので、水冷式エンジン(1)停止後も暖房運転を継続することができる。
【0013】
したがって、水冷式エンジン(1)停止後もヒータコア(7)を用いて車室内暖房を継続的に行うことができるとともに、冷却水温度の低下を抑制して水冷式エンジン(1)再始動時のエミッション低減を図ることができる。
請求項5に記載の発明では、冷却水が第1所定温度以上の状態で水冷式エンジン(1)が停止したときは、第4暖房回路(107)に冷却水を循環させ、その後、ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が第4所定温度以下となったときに、第1暖房回路(100)に冷却水を循環させることを特徴とする。
【0014】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施の形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る車両用暖房装置をハイブリット自動車に適用した場合の模式図である。そして、1は車両走行用水冷式エンジン(以下、エンジンと略す。)であり、1aはエンジンから駆動力を得てエンジン冷却水(以下、冷却水と略す。)圧送するポンプである。2は図示されていないバッテリから電力を得て駆動する車両走行用のモータで、このモータ2とエンジン1とを、前述のように切り替えて走行運転する。
【0016】
3は冷却水と車室外空気との間で熱交換して冷却水を冷却するラジエータであり、4はラジエータ3を迂回して冷却水が流れるバイパス回路である。5はエンジン1から流出した冷却水を、ラジエータ3に循環させる場合とバイパス回路4に循環させる場合とを切り替える周知のサーモスタットで、このサーモスタット5は、サーモスタット5内を流れる冷却水の温度に応じてラジエータ3とバイパス回路4とを切り替えるものである。
【0017】
また、6は冷却水を保温するとともに、所定量の冷却水を蓄える蓄熱タンクで、この蓄熱タンク6は、ステンレス等の耐食性に優れた材料で形成れている。7は冷却水を熱源として車室内に吹き出す空気を加熱する周知のヒータコアで、このヒータコア7は、後述する空調ケーシング8内に配置されている。
9は空気を送風する送風機であり、この送風機9によって送風される空気は、空気流路をなす空調ケーシング8内を流れ、ヒータコア7によって加熱された後、車室内に向けて吹き出される。
【0018】
10は、バッテリから電力を得てヒータコア7に向けて冷却水を圧送する電動ポンプで、この電動ポンプ10の稼働状態は、制御装置11によって制御されている。また、この制御装置11には、ヒータコア7の流入口側に設けられた冷却水温度を検出する温度センサ12からの信号12aと、エンジン1の回転数を検出する図示されていない回転センサからの信号1bとが入力している。
【0019】
また、13、14は、冷却水流れを切り替える三方弁で、両三方弁13、14は、弁体13a、14aと、これらの弁体13a、14aをそれぞれ駆動するアクチュエータ13b、14bとから構成されるとともに、アクチュエータ13b、14bは、それぞれ制御装置11によって制御されている。そして、電動ポンプ10、制御装置11、温度センサ12、および三方弁13、14によって、ヒータコア7に流入する冷却水流れが制御されている。
【0020】
次に、本実施形態の作動を述べる。
図2は本実施形態に係る車両用暖房装置の作動を示すフローチャートであり、先ず、具体的な作動を述べる前に、以下の説明を容易にするために、次の用語を定義する。
1.バルブ作動状態A(図1参照)
この作動状態は、図1に示すように、エンジン1、ラジエータ3又はバイパス回路4、蓄熱タンク6およびヒータコア7の全てに冷却水が流れるように三方弁13、14が制御されており、具体的には、以下の3つの回路に冷却水が同時に循環している状態である。
【0021】
すなわち、エンジン1からヒータコア7を経てエンジン1に還流する第1暖房回路100、エンジン1から蓄熱タンク6を経てエンジン1に還流する蓄熱回路101、およびエンジン1からラジエータ3またはバイパス回路4を経てエンジン1に還流する冷却回路102の3つである。
2.バルブ作動状態B(図3参照)
この作動状態は、図3に示すように、ラジエータ3又はバイパス回路4およびヒータコア7に冷却水が流れるように三方弁13、14が制御されており、具体的には、ヒータコア7からラジエータ3またはバイパス回路4を経てヒータコア7に還流する第2暖房回路103に冷却水が循環している状態である。
【0022】
3.バルブ作動状態C(図4参照)
この作動状態は、図4に示すように、ヒータコア7および蓄熱タンク6に冷却水が流れるように三方弁13、14が制御されており、具体的には、ヒータコア7から蓄熱タンク6を経てヒータコア7に還流する第3暖房回路104に冷却水が循環している状態である。
【0023】
4.バルブ作動状態D(図5参照)
この作動状態は、図5に示すように、第1暖房回路100のみに冷却水が流れるように三方弁13、14が制御されている状態である。
次に、図2のフローチャートに基づいて作動を述べる。
始動スイッチ11a(図1参照)が投入されることにより車両用暖房装置が始動すると(S100)、温度センサ12からの信号12aに基づいて冷却水温度が80℃(第1所定温度)を越えているか否かを判定し(S105)、冷却水温度が80℃以下の場合は、三方弁13、14をバルブ作動状態Aとし(S106)、その後、S105に戻る。
【0024】
また、S105で冷却水温度が80℃を越えていると判定された場合は、フラグが0に設定され(S110)、回転センサからの信号1bに基づいてエンジン1が稼働中であるか否かを判定する(S120)。そして、エンジン1が稼働中であると判定された場合は、電動ポンプ10を停止状態とし(S130)、三方弁13、14をバルブ作動状態Aとし(S140)、その後、S110に戻る。
【0025】
一方、S120でエンジン1が停止中であると判定された場合は、電動ポンプ10を稼働させた(S150)後、フラグが1以上であるか否かを判定し(S160)、フラグが1未満である場合は、三方弁13、14をバルブ作動状態Bとする(S170)。
そして、温度センサ12からの信号12aに基づいて冷却水温度が60℃(第2所定温度)を越えているか否かを判定し(S180)、冷却水温度が60℃以下の場合は、フラグを1に設定して(S190)三方弁13、14をバルブ作動状態Cとする(S200)。
【0026】
次に、温度センサ12からの信号12aに基づいて冷却水温度が60℃(第3所定温度)を越えているか否かを判定し(S210)、冷却水温度が60℃以下の場合は、フラグを2に設定して(S220)三方弁13、14をバルブ作動状態Dとし(S230)、その後、S110に戻る。
一方、S180、S210にて冷却水温度が60℃を越えていると判定された場合は、共にS120に戻る。
【0027】
また、S160にて、フラグが1以上であると判定された場合は、フラグが1か否かを判定し(S240)、フラグが1の場合はS200にジャンプする。一方、フラグが1でない場合は、S230にジャンプする。
次に、本実施形態の特徴を述べる。
車両が一定の距離を走行することによりエンジン1が温まった状態(冷却水温度が80℃程度の状態)で、かつ、暖房運転中にエンジン1が停止すると、三方弁13、14の制御状態がバルブ作動状態AからBに切り替わるので、エンジン1から冷却水が流出ことが停止するとともに、ラジエータ3またはバイパス回路4内の冷却水が暖房に使用される。
【0028】
つまり、エンジン1内の冷却水が流出せずエンジン1内に冷却水が滞留するので、エンジン1が冷えることを抑制することができる。また、暖房用熱源としてラジエータ3またはバイパス回路4内の冷却水を使用することができるので、エンジン1停止後も暖房運転を継続することができる。
したがって、エンジン1停止後もヒータコア7を用いて継続的に車室内暖房を行うことができるとともに、冷却水温度の低下を抑制してエンジン1再始動時のエミッション低減することができる。
【0029】
また、エンジン1停止後の暖房用熱源として、蓄熱タンク6に蓄えられた高温の冷却水を使用する前に、ラジエータ3またはバイパス回路4内の冷却水を使用しているので、ラジエータ3またはバイパス回路4内の冷却水温度が所定温度まで低下するまでの時間分だけ暖房可能時間を延長することができる。
また、新たな部品を設けることなく既存のラジエータ3またはバイパス回路4を流用しているので、車両用暖房装置の製造原価上昇を抑制しつつ、エンジン停止後も継続的に車室内暖房を行い、かつ、エミッション低減を図ることができる。
【0030】
なお、図6は、エンジン1停止後、三方弁13、14の制御状態がバルブ作動状態A〜Cと変化した場合のヒータコア7の流入口側での冷却水温度の変化を示しており、図6から明らかなように、冷却水温度が60℃以下に低下することなく暖房運転を継続することができる。
ところで、三方弁13、14の制御状態をBからCへ、CからDへと切り替える切替判定条件(第2、3所定温度)として冷却水温度60℃とした理由は以下の通りである。すなわち、発明者等の試験検討によれば、一般的なエンジンでは、エンジン1内での冷却水温度が55℃を下回るとエミッションが増加することが判明している。そして、この冷却水温度(55℃)にエンジン1とヒータコア7の流入口側との間での放熱および安全率等を考慮すると、切替判定条件(冷却水温度)は、約60℃となる。
【0031】
したがって、三方弁13、14の制御状態の切替判定条件は、必ずしも冷却水温度60℃に限定されるものではなく、エンジンの種類または冷却水温度を検出する位置等を考慮して適宜選択されるべきものである。さらに、判定ステップ毎に切替判定条件を異にしてもよい。
また、S105での判定条件(第1所定温度)は、冷却水温度が80℃に限られるものではなく、暖房可能な冷却水温度であって、上記切替判定条件(第2、3所定温度)より高い温度であればよい。
【0032】
(第2実施形態)
本実施形態は車両用暖房装置の簡素化を図ったものであり、図7に示すように、三方弁14を廃止するとともに、蓄熱タンク6をサーモスタット5と三方弁13との間に配置したものである。なお、蓄熱タンク6は、図11に示すように、三方弁13とヒータコア7との間に配置してもよい。
【0033】
次に、本実施形態の作動を述べる。
図8は本実施形態に係る車両用暖房装置の作動を示すフローチャートであり、先ず、具体的な作動を述べる前に、以下の説明を容易にするために、次の用語を定義する。
1.バルブ作動状態E(図7参照)
この作動状態は、図7に示すように、エンジン1、ラジエータ3又はバイパス回路4、蓄熱タンク6およびヒータコア7の全てに冷却水が流れるように三方弁13が制御されており、具体的には、以下の2つの回路に冷却水が同時に循環している状態である。
【0034】
すなわち、エンジン1からヒータコア7を経てエンジン1に還流する第1暖房回路100、エンジン1から蓄熱タンク6、ラジエータ3またはバイパス回路4を経てエンジン1に還流する冷却回路106の2つである。
2.バルブ作動状態F(図9参照)
この作動状態は、図9に示すように、蓄熱タンク6、ラジエータ3又はバイパス回路4およびヒータコア7に冷却水が流れるように三方弁13が制御されており、具体的には、ヒータコア7から蓄熱タンク6、ラジエータ3またはバイパス回路4を経てヒータコア7に還流する第4暖房回路107に冷却水が循環している状態である。
【0035】
3.バルブ作動状態G(図10参照)
この作動状態は、図10に示すように、第1暖房回路100のみに冷却水が循環するように三方弁13が制御されている状態である。
次に、図8のフローチャートに基づいて作動を述べる。
始動スイッチ11a(図1参照)が投入されることにより車両用暖房装置が始動すると(S300)、温度センサ12からの信号12aに基づいて冷却水温度が80℃(第1所定温度)を越ているか否かを判定し(S305)、冷却水温度が80℃以下の場合は、三方弁13、14をバルブ作動状態Eとし(S306)、その後、S105に戻る。
【0036】
また、S305で冷却水温度が80℃を越えていると判定された場合は、回転センサからの信号1bに基づいてエンジン1が稼働中であるか否かを判定し(S310)、エンジン1が稼働中であると判定された場合は、電動ポンプ10を停止状態とし(S320)、三方弁13をバルブ作動状態Eとし(S330)、その後、S310に戻る。
【0037】
一方、S320でエンジン1が停止中であると判定された場合は、電動ポンプ10を稼働させた(S340)後、三方弁13をバルブ作動状態Fとする(S350)。
次に、温度センサ12からの信号12aに基づいて冷却水温度が60℃(第4所定温度)を越えているか否かを判定し(S360)、冷却水温度が60℃以下の場合は、三方弁13をバルブ作動状態Gとする(S370)。そして、回転センサからの信号1bに基づいてエンジン1が稼働中であるとか否かを判定し(S380)、エンジン1が停止中であると判定された場合は、S380に戻ってバルブ作動状態Gを維持する。一方、エンジン1が稼働中であると判定された場合は、S310に戻る。
【0038】
なお、S360の判定条件は、第1実施形態と同様な理由により、必ずしも冷却水温度60℃に限定されるものではなく、エンジンの種類または冷却水温度を検出する位置等を考慮して適宜選択されるべきものである。
次に、本実施形態の特徴を述べる。
車両が一定の距離を走行することによりエンジン1が温まった状態(冷却水温度が80℃程度の状態)で、かつ、暖房運転中にエンジン1が停止すると、蓄熱タンク6、およびラジエータ3又はバイパス回路4内の冷却水を使用して暖房を行うので、エンジン1停止後もヒータコア7を用いて車室内暖房を継続的に行うことが可能となるとともに、冷却水温度の低下を抑制してエンジン再始動時のエミッション低減するという2つの目的を達成することができる。
【0039】
また、本実施形態では、蓄熱タンク6をサーモスタット5と三方弁13との間に配置しいるので、蓄熱タンク6内の冷却水温度が低下した後、エンジン1内に滞留している冷却水をヒータコア7に流通させた場合(バルブ作動状態G)、ヒータコア7内を流通する冷却水に、温度が低下した蓄熱タンク6内の冷却水が混入しない。したがって、蓄熱タンク6を三方弁13とヒータコア7との間に配置したものに比べて、エンジン1内に滞留している冷却水を有効に暖房熱源として利用することができる。
【0040】
ところで、上述の実施形態では、三方弁13、14の制御状態の切替判定条件を一定(冷却水温度60℃)としたが、エンジン1停止後の経過時間、外気温度および室内温度等を考慮して判定ステップ毎に変化させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る車両用暖房装置の模式図である。
【図2】第1実施形態に係る車両用暖房装置の作動を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る車両用暖房装置のバルブ作動状態Bを示す模式図である。
【図4】第1実施形態に係る車両用暖房装置のバルブ作動状態Cを示す模式図である。
【図5】第1実施形態に係る車両用暖房装置のバルブ作動状態Dを示す模式図である。
【図6】ヒータコア内を流通する冷却水温度変化を示すグラフである、
【図7】第2実施形態に係る車両用暖房装置の模式図である。
【図8】第2実施形態に係る車両用暖房装置の作動を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る車両用暖房装置のバルブ作動状態F示す模式図である。
【図10】第2実施形態に係る車両用暖房装置のバルブ作動状態G示す模式図である。
【図11】第2実施形態に係る車両用暖房装置の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
1…水冷式エンジン、2…モータ、3…ラジエータ、4…バイパス回路、
5…サーモスタット、6…蓄熱タンク、7…ヒータコア、
8…空調ケーシング、9…送風機、10…電動ポンプ、11…制御装置、
12…温度センサ、13、14…三方弁。
Claims (5)
- 水冷式エンジン(1)と、
前記水冷式エンジン(1)の冷却水と車室外空気との間で熱交換するラジエータ(3)と、
前記ラジエータ(3)を迂回して冷却水が流れるバイパス回路(4)とを備える車両に適用される車両用暖房装置において、
冷却水を熱源として車室内へ吹き出す空気を加熱するヒータコア(7)と、
前記水冷式エンジン(1)から前記ヒータコア(7)を経て前記水冷式エンジン(1)に還流する第1暖房回路(100)と、
前記ヒータコア(7)から前記ラジエータ(3)または前記バイパス回路(4)を経て前記ヒータコア(7)に還流する第2暖房回路(103)と、
暖房運転時に前記ヒータコア(7)に流入する冷却水流れを制御する制御装置(11、12、13、14)とを有し、
前記制御装置(11、12、13、14)は、
前記水冷式エンジン(1)が稼働中は、前記第1暖房回路(100)に冷却水を循環させ、
冷却水が第1所定温度以上の状態で前記水冷式エンジン(1)が停止したときは、前記第2暖房回路(103)に冷却水を流すことを特徴とする車両用暖房装置。 - 前記冷却水を保温するとともに、所定量の冷却水を蓄える蓄熱タンク(6)と、
前記ヒータコア(7)から前記蓄熱タンク(6)を経て前記ヒータコア(7)に還流する第3暖房回路(104)とを有し、
前記制御装置(11、12、13、14)は、
冷却水が前記第1所定温度以上の状態で前記水冷式エンジン(1)が停止したときは、前記第2暖房回路(103)に冷却水を循環させ、
その後、前記ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が第2所定温度以下となったときに、前記第3暖房回路(104)に冷却水を流すことを特徴とする請求項1に記載の車両用暖房装置。 - 前記制御装置(11、12、13、14)は、
冷却水が前記第1所定温度以上の状態で前記水冷式エンジン(1)が停止したときは、前記第2暖房回路(103)に冷却水を循環させ、
その後、前記ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が前記第2所定温度以下となったときに、前記第3暖房回路(104)に冷却水を循環させ、
さらにその後、前記ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が前記第3所定温度以下となったときに、前記第1暖房回路(100)に冷却水を流すことを特徴とする請求項2に記載の車両用暖房装置。 - 水冷式エンジン(1)と、
前記水冷式エンジン(1)の冷却水と車室外空気との間で熱交換するラジエータ(3)と、
前記ラジエータ(3)を迂回して冷却水が流れるバイパス回路(4)とを備える車両に適用される車両用暖房装置において、
冷却水を熱源として車室内に吹き出す空気を加熱するヒータコア(7)と、
前記水冷式エンジン(1)の冷却水が流入し、その流入した冷却水を保温して蓄える蓄熱タンク(6)と、
前記水冷式エンジン(1)から前記ヒータコア(7)を経て前記水冷式エンジン(1)に還流する第1暖房回路(100)と、
前記ヒータコア(7)から前記蓄熱タンク(6)、前記ラジエータ(3)またはバイパス回路(4)を経て前記ヒータコア(7)に還流する第4暖房回路(107)と、
暖房運転時に前記ヒータコア(7)に流入する冷却水流れを制御する制御装置(11、12、13)とを有し、
前記制御装置(11、12、13)は、
前記水冷式エンジン(1)が稼働中は、前記第1暖房回路(100)に冷却水を循環させ、
冷却水が第1所定温度以上の状態で前記水冷式エンジン(1)が停止したときは、前記第4暖房回路(107)に冷却水を流すことを特徴とする車両用暖房装置。 - 前記制御装置(11、12、13)は、
冷却水が前記第1所定温度以上の状態で前記水冷式エンジン(1)が停止したときは、前記第4暖房回路(107)に冷却水を循環させ、
その後、前記ヒータコア(7)内を流れる冷却水温度が第4所定温度以下となったときに、第1暖房回路(100)に冷却水を流すことを特徴とする請求項4に記載の車両用暖房装置。
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