JP3552014B2 - 電磁遮蔽窓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁遮蔽材を用いて床や天井、壁、窓開口部に電磁遮蔽層を形成し電磁遮蔽空間を構成する電磁遮蔽ビルの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
電波を使った無線通信方式を採用する場合には、使用周波数帯域について電波法の規制が問題になる。そこで、このような電波法による規制を受けることなく、自由に使用周波数帯域を選択、設定して独自の無線による通信方式を採用するためには、ビル内の空間を外部から電磁的に遮蔽した電磁遮蔽ビルの構築が不可欠となる。既に出願人は、このような電磁遮蔽ビルに関し、例えば特公平6−99972号公報や特公平6−99973号公報、特公平7−16118号公報、特公平6−76706号公報に、ビルの躯体や外壁の遮蔽構造について提案し、特公平6−99971号公報や特公平6−33699号公報、特公平6−13822号公報に、ビルの出入口の遮蔽構造について、特公平6−63407号公報や特公平5−79790号公報、特公平3−58557号公報に、窓開口部の遮蔽構造について提案している。また、特公平3−62320号公報や特公平3−45972号公報、特公平3−62318号公報、特公平5−34159号公報に、天井や階層別の遮蔽構造について提案している。
【0003】
図4は、本発明に係わる電磁遮蔽ビルの構成概要を示す図であり、壁1は、例えば躯体の内壁に金属メッシュや金属箔(フイルム)、不織布、その他導電性繊維を用いたシート等を貼ったり、導電性塗料を塗って電磁遮蔽層を形成したもの、或いはこのような電磁遮蔽層を片面に形成したボードを用いたものである。天井2、床3も、壁1と同様の施工を行い、或いは電磁遮蔽材を貼り合わせたパネルを用いたものである。窓4は、窓ガラスの片面又は両面に上記と同様に電磁遮蔽材を用いて電磁遮蔽膜を形成し、この電磁遮蔽膜をサッシ枠に接続することにより、壁1と窓4の電磁遮蔽層を電気的に一体に接続したものである。扉5は、電磁遮蔽材からなるパネルを用い、扉閉時に扉5の周囲が壁1に設けられた扉三方枠6及び床3と電気的に接続可能にしたものである。
【0004】
このようにして、ビル内を1つの電磁遮蔽空間としてではなく、各フロア毎に上下の天井や床において電磁遮蔽材で仕切り、或いは各フロアにおいて部屋間の壁を電磁遮蔽材で仕切ることによって、各フロア毎、或いは各部屋毎に独立した複数の電磁遮蔽空間を構成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、携帯電話の普及により、今後周波数が不足することが想定される。現在利用されているPHSについて説明すると、同一範囲、同一時刻ではチャンネルの制限から30〜50台程度が最大とされ、このことは通常のオフィスでは電話利用率15%を考慮すると、同一建物内では300台程度しか利用できないということになる。さらに、隣接する建物で使う同一システムの影響を考慮すると、上記台数は更に少なくなると想定される。
【0006】
高性能の電磁遮蔽を達成する場合、その性能を大きく左右する部位は窓開口部であるが、現状の電磁遮蔽ガラスは高価であり、低コストの工法が求められている。一方、今後のビルは、ガラスの色調、省エネルギーの観点から複層ガラスの採用が多くなることが想定される。この複層ガラスの断熱複層ガラスは、ガラスの内面に金属膜を形成しており、この金属膜を電磁遮蔽に利用することできれば、低コストの電磁遮蔽が可能となる。しかしながら、断熱複層ガラスの場合、サッシ枠と金属膜間が電気的に接続されていないので、このままでは電磁遮蔽ができないと考えるのが一般的である。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するものであって、既存の断熱複層ガラスを利用して低コストで高性能の電磁遮蔽を達成することができる電磁遮蔽窓を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の電磁遮蔽窓は、内面に金属膜を有する複層ガラスと、該複層ガラスを支持するサッシ枠と、複層ガラスの一方とサッシ枠の間に配設されたバックアップ材と、複層ガラスの他方とサッシ枠の間に配設された導電性ガスケットとを備え、前記サッシ枠と金属膜間が電気的に接続されず、サッシ枠と金属膜間に静電容量を有することを特徴とする。なお、上記導電性ガスケットを中空にすれば更に電磁遮蔽性能を高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図2は、本発明の電磁遮蔽窓の1実施形態を示す図であり、図2(A)は断面図、図2(B)はコンデンサモデルを示す図である。
【0010】
図2(A)において、電磁遮蔽窓4は、サッシ枠7と、サッシ枠7内の周囲に複数個設置されたセッティングブロック9と、このセッティングブロック9に嵌め込まれた複層ガラス10と、複層ガラス10bの内面に設けられた金属膜10aと、複層ガラス10の一方とサッシ枠7の間に配設されたバックアップ材11と、複層ガラス10の他方とサッシ枠7の間に配設された導電性ガスケット12と、サッシ枠7と複層ガラス10間に充填されるシール材13とから構成されている。
【0011】
上記構成の窓4においては、サッシ枠7と金属膜10a間が電気的に接続されていない。しかし、図2(B)のコンデンサモデルで示すサッシ枠7と金属膜10a間の静電容量Cを計算すると、
C=εO・εS・S/d
となり、サッシ枠7と金属膜10a間の抵抗Rは、
R=d/2πf・εO・εS・S
となる。ここで、
d :サッシ枠7と金属膜10a間の距離
S :サッシ枠7と金属膜10a間の面積
εO:誘電率(8.854×1012F/m)
εS:ガラス10b及び導電性ガスケット12合成の比誘電率(ほぼ5)
f :PHSの周波数(1.9GHz)
である。
【0012】
これを実際のサッシ枠及びガラスの断面にあてはめると上記抵抗Rが約1.9GHz帯の周波数で数Ω(3〜5Ω)になり、この抵抗値を遮蔽性能に置き換えると20〜25dBに対応し、このモデルでの実験結果においても同程度の性能が測定されている。
【0013】
図1は、本発明の電磁遮蔽窓の1実施形態を示す一部断面図である。なお、図2と同一の構成には同一番号を付けて説明を省略する。本実施形態は更に電磁遮蔽性能を高めるために、中空の導電性ガスケット15を採用している。本実施形態においては、中空ガスケットの採用により、サッシ枠7と金属膜10a間の距離dが減少するとともにガスケット15のオーバーラップ量Lが増大し、静電効果を高めるため、電磁遮蔽性能を向上させることができる。図3は、本発明に係わる実験結果を示し、○印に示すように、1.9GHz帯の周波数で28dB程度の性能が得られ、●印に示す従来例と比較して大幅に電磁遮蔽性能を向上させることができる。
【0014】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、既存の断熱複層ガラスを利用して低コストで高性能の電磁遮蔽を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁遮蔽窓の1実施形態を示す一部断面図である。
【図2】本発明の電磁遮蔽窓の1実施形態を示す図であり、図2(A)は一部断面図、図2(B)はコンデンサモデルを示す図である。
【図3】本発明に係わる実験結果を示す図である。
【図4】本発明に係わる電磁遮蔽ビルの構成概要を示す図である。
【符号の説明】
4…電磁遮蔽窓、7…サッシ枠、10…複層ガラス、10a…金属膜
12…導電性ガスケット、15…中空導電性ガスケット
Claims (2)
- 内面に金属膜を有する複層ガラスと、該複層ガラスを支持するサッシ枠と、複層ガラスの一方とサッシ枠の間に配設されたバックアップ材と、複層ガラスの他方とサッシ枠の間に配設された導電性ガスケットとを備え、前記サッシ枠と金属膜間が電気的に接続されず、サッシ枠と金属膜間に静電容量を有することを特徴とする電磁遮蔽窓。
- 上記導電性ガスケットが中空であることを特徴とする請求項1記載の電磁遮蔽窓。
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JP08788197A JP3552014B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | 電磁遮蔽窓 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP08788197A JP3552014B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | 電磁遮蔽窓 |
Publications (2)
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JPH10280823A JPH10280823A (ja) | 1998-10-20 |
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Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP08788197A Expired - Fee Related JP3552014B2 (ja) | 1997-04-07 | 1997-04-07 | 電磁遮蔽窓 |
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1997
- 1997-04-07 JP JP08788197A patent/JP3552014B2/ja not_active Expired - Fee Related
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