JPH0534159Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、各階毎に電磁遮蔽しビル内において
電波を利用したネツトワーク・システムを採用す
るのに好適な階層別電磁遮蔽建物に関する。

〔従来の技術〕

一般にインテリジエントビルでは、複合電子交
換機やコンピユータ等の情報通信設備を共同利用
してビル内や外部との情報通信を行うが、情報に
対する価値感の高まり、ニーズの多様化、個性化
に伴つて情報量が増大している。かかる状況下に
あつて、安いコストで如何にしてより迅速に必要
な情報を提供できるようにするかがこれからのビ
ルにおける１つの課題になつている。インテリジ
エントビルにおいてこのような課題に応えるもの
として、光フアイバー・ケーブルや同軸ケーブル
を利用したデータハイウエイ方式による情報ネツ
トワークが検討され、提案されている。

しかし、光フアイバー・ケーブルや同軸ケーブ
ルを利用したデータハイウエイ方式では、光フア
イバー・ケーブルや同軸ケーブルをインテリジエ
ントビル内の隅々（端末機器）にまで張りめぐら
さなければならず、ケーブル敷設のためそれだけ
余分に工費や工期が嵩むことになる。

また、情報通信に電波を使えばケーブル敷設は
必要でなくなるが、この場合、一方では、外部へ
ノイズ電波を放出することから、電波法上の規制
を受けることになり、他方では、外部からの電波
等によりシステムが誤動作するという問題が生じ
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

そこで本件出願人は、躯体及び窓や出入口など
の開口部に電磁遮蔽材を使用してビル全体を電磁
遮蔽構造にすることによつて、電波によるビル内
通信を可能にしたインテリジエントビルに関して
種々の提案を行つている。しかし、このようなイ
ンテリジエントビル内において、電波を使つて通
信する場合、各階毎にｎチヤンネルの周波数帯域
を割り当てると、ｍ階のビルではｎ×ｍチヤンネ
ルの周波数帯域が必要となる。従つて、各チヤン
ネルの周波数帯域幅を25kHzとすると、ビル内全
体を１つの電磁シールド空間とした場合の必要な
周波数帯域幅は、 25kHz×ｎ×ｍ となる。このため、ビルが高層化し、また、トラ
フイツク量が増大すると必要周波数帯域幅（必要
チヤンネル数）が広くなり、それに伴つて通信設
備も大規模になつて設備費も高価なものになつて
しまうという問題がある。

その点、各階層間を電磁遮蔽区画にすると上記
の問題が解決できる。この場合、床或いは天井に
電磁遮蔽性能を持たせることになるが、天井や床
は、導電性材料を使うことによつて比較的容易に
電磁遮蔽性能を確保することができるのに対し
て、その付き合わせ端部が問題となる。すなわ
ち、電波を使う場合には僅かな隙間からも電波漏
れが生じて障害を起こすことになる。

本考案は、上記の問題点を解決するものであつ
て、各階層間の特に付き合わせ端部の電磁遮蔽性
能を高め、少ないチヤンネル数によりビル内の無
線通信を可能にする階層別電磁遮蔽建物の提供を
目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

そのために本考案は、外壁及び床に電磁遮蔽材
料を使つて各階層毎に電磁遮蔽区画を構成するよ
うにした階層別電磁遮蔽建物において、梁上に載
置され床版を構成する電磁遮蔽材からなる床版型
枠と床版コンクリート、躯体の鉄骨等に固定配置
され外装材取り付け用として水平に延びる鋼材の
胴縁、該胴縁に取り付けられる電磁遮蔽材を用い
た外装材、及び床版型枠と胴縁との間の隙間を覆
うように配置され電気的に接続された床版端部型
枠鋼板からなることを特徴とする。

〔作用〕

本考案の階層別電磁遮蔽建物では、型枠を電磁
遮蔽プレートとして兼用するので、特別の工程を
付加することなく型枠をセツトしてコンクリート
を打設するという従来と同様の施工により確実に
各階毎の電磁遮蔽区画を達成できる。

〔実施例〕

以下、実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図は本考案に係る階層別電磁遮蔽建物の１
実施例を示す図であり、１は外装材、２は胴縁、
３は床版端部型枠鋼板、４は内装仕上げ材、５は
床版コンクリート、６は床版デツキプレート（床
版型枠）、７は梁、８は防水層、９はパラペツト
笠木を示す。第１図において、ａは中間階におけ
る施工例を示し、ｂは屋上における施工例を示
す。外装材１は、例えば導電性塗料を塗布したり
金属メツシユを張つた電磁遮蔽性能を有するもの
であり、躯体の鉄骨等に固定して随所に配置され
た胴縁２に取り付けられる。胴縁２は、一般に使
われている外装材取り付け用の水平に延びるＣ型
チヤンネルや溝付の鋼材からなるものである。床
版は、床版型枠として使用される鋼板の床版デツ
キプレート６と床版コンクリート５により構成す
るものであり、梁７に床版デツキプレート６を載
せると共にその端部に床版端部型枠鋼板３を配置
して床版コンクリート５を打設する。床版端部型
枠鋼板３は、床版デツキプレート６と胴縁２との
間に隙間を覆うように配置され溶接や面接触、電
線による接続等により電気的に接続されたコンク
リート型枠プレートと電磁遮蔽プレートとを兼用
するものである。これにより鋼板を床版デツキプ
レート６から胴縁２まで伸ばし、床版デツキプレ
ート６と胴縁２と外装材１とを電気的に一体化す
る。各中間階の場合には、第１図ａに示すように
床版コンクリート５の打設後に内装仕上げ材４を
施工し、屋上の場合には、第１図ｂに示すように
床版コンクリート５の打設後、その上に防水層８
を施工してパラペツト笠木９を取り付ける。

従来の床版端部型枠鋼板は、コンクリート型枠
としてのみ使用しているため、床版と外装材との
間に隙間ができるので、上下階間でこの隙間を通
して電波の廻り込みが生じるが、本考案に係る階
層別電磁遮蔽建物のようにコンクリート型枠プレ
ートと電磁遮蔽プレートとを兼用する床版端部型
枠鋼板を使い、床版デツキプレートと胴縁との間
の隙間を覆うように配置して電気的に接続し上下
階間での電波の廻り込みを防止することによつ
て、従来と同様の施工により電磁遮蔽区画と共に
防火区画を達成することができる。

本考案の如く各階単位で電磁遮蔽区画を達成す
ると、各階毎に任意の使用周波数帯域を割り当て
て電波を利用した無線通信を行うことができる。
第２図は各階に対して割り当てる使用周波数帯域
を同一周波数帯域にする例を示す図、第３図は隣
接階に異なる使用周波数帯域を割り当てる例を示
す図である。各階に対して同一周波数帯域を割り
当てる場合において、各階のチヤンネル数をｎ、
１チヤンネルの周波数帯域幅を25kHzとすると、 25kHz×ｎ の周波数帯域の通信設備を各階に配置すればよ
い。すなわち、ｍ階建てのビルでは、同一の通信
設備をｍセツト用意すればよいので、設備費を低
減できる。

上記第２図に示す方式において、上下階で電磁
遮蔽が充分でないために電波漏れがあるような場
合には、上下階からの漏れ電波によつて通信設備
が誤動作することになる。そこで、このような問
題をも解決しようとする場合には、第３図に示す
ように隣接する階との使用周波数帯域を異なるよ
うにしてもよい。この例では、25kHz×ｎの周波
数帯域幅で３種類の周波数帯域，，を設定
し、これを繰り返す順番で各階に周波数帯域を割
り当てる。このようにすると、直下の階及び直上
の階とは使用周波数帯域が異なるため、上下階に
おいて少々の電波漏れがあつても混信せず通信設
備が誤動作することもなくなる。この場合には、 25kHz×ｎ の周波数帯域の通信設備を３種類用意して隣接す
る階の周波数帯域が異なるように配置すればよ
い。なお、上下階において異なる周波数帯域を使
用することから、基本的には２種類の周波数帯域
で各階交互に周波数帯域を割り当てるようにして
もよい。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、床版端部型枠鋼板を電磁遮蔽プレートとして
兼用するので、新たな工程を付加することなく容
易に上下階間での電波の漏洩、侵入を防止でき、
各階間の電磁遮蔽性能を高めることができる。そ
の結果、各階毎に電磁遮蔽空間を分割して構成す
ることができ、各階毎に独自の周波数帯域を選定
してビル全体で階数に関係なく各階毎に必要な周
波数帯域幅の通信設備を用意することができる。
しかも各階で同じ周波数帯域を使用することがで
きるので、各階で同一仕様或いは極限られた複数
種類の通信設備を使用するだけですみ、通信設備
の標準化、設備費の低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る階層別電磁遮蔽建物の１
実施例を示す図、第２図は各階に対して割り当て
る使用周波数帯域を同一周波数帯域にする例を示
す図、第３図は隣接階に異なる使用周波数帯域を
割り当てる例を示す図である。 １……外装材、２……胴縁、３……床版端部型
枠鋼板、４……内装仕上げ材、５……床版コンク
リート、６……床版デツキプレート（床版型枠）、
７……梁、８……防水層、９……パラペツト笠
木。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外壁及び床に電磁遮蔽材料を使つて各階層毎に
   電磁遮蔽区画を構成するようにした階層別電磁遮
   蔽建物において、梁上に載置され床版を構成する
   電磁遮蔽材からなる床版型枠と床版コンクリー
   ト、躯体の鉄骨等に固定配置され外装材取り付け
   用として水平に延びる鋼材の胴縁、該胴縁に取り
   付けられる電磁遮蔽材を用いた外装材、及び床版
   型枠と胴縁との間の隙間を覆うように配置され電
   気的に接続された床版端部型枠鋼板からなること
   を特徴とする階層別電磁遮蔽建物。