JPH0362318B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ビル内において電波を利用した情報
通信ネツトワーク・システムを採用するのに好適
な電磁遮蔽インテリジエントビルの空調ダクトの
電磁遮蔽方式に関する。

〔従来の技術〕

一般にインテリジエントビルでは、複合電子交
換機やコンピユータ等の情報通信設備を共同利用
してビル内や外部との情報通信が行われるが、情
報に対する価値感の高まり、ニーズの多様化、個
性化に伴つて情報量が増大している。かかる状況
下にあつて、安いコストで如何にしてより迅速に
必要な大量の情報を提供できるようにするかがビ
ルにおける課題になつている。インテリジエント
ビルにおいてこのような課題に応えるものとし
て、光フアイバー・ケーブルや同軸ケーブルを利
用したデータハイウエイ方式による情報ネツトワ
ークが検討され、提案されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、光フアイバー・ケーブルや同軸ケーブ
ルを利用したデータハイウエイ方式では、インテ
リジエントビル内の隅々（端末機器）にまで光フ
アイバー・ケーブルや同軸ケーブルを張りめぐら
さなければならず、ケーブル敷設のためフロアダ
クトや二重床構造が必要となり工費や工期が無視
できなくなる。

また、情報通信に電波を使えばケーブル敷設は
必要でなくなるが、この場合、一方では、外部へ
ノイズ電波を放出することから、50GHzまでは電
波法上の規制を受けることになり、他方では、外
部からの電波等によりシステムが誤動作するとい
う問題が生じる。

そこで本件出願人は、躯体及び窓や出入口など
の開口部に電磁遮蔽材を使用してビル全体を電磁
遮蔽構造にすることによつて、電波によるビル内
通信を可能にしたインテリジエントビルに関して
種々の提案を行つている。

インテリジエントビルでは、各種のOA機器が
取り入れられこれらが発熱源になるため、OA機
器の容量に応じた空調を行うことが必要になる。
そのため空調ダクトがビル内に縦横に敷設され、
その開口部が外壁や室内の天井、廊下の壁等に設
けられ、空調ダクト部分に対する電磁遮蔽性能の
確保が問題となる。

本発明は、上記の問題点を解決するものであつ
て、簡単な構成により空調ダクト部分の電磁遮蔽
性能を確保することができる階間電磁遮蔽方法の
提供を目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

そのために本発明は、躯体及び該躯体の窓や出
入口などの開口部に電磁遮蔽材を使用して外部と
の間で電磁遮蔽することによりビル内での電波を
使つた情報通信を可能にしたインテリジエントビ
ルにおいて、天井面に電磁遮蔽材を使用して上下
階の間で電磁遮蔽すると共に、空調ダクトの各給
排気口に電磁遮蔽材を使つたフイルター嵌め込
み、該フイルターを他の電磁遮蔽材と電気的に接
続して一体化することにより各階毎に電磁遮蔽空
間を構成したことを特徴とするものである。

〔作 用〕

本発明の階間電磁遮蔽方法では、外部空間と接
する給気或いは排気口、内部空間と接する天井や
壁部分の結気或いは排気口に電磁遮蔽材を使つた
フイルターを嵌め込むので、空調ダクトの中間で
は処理しなくてもよい。従つて、空調ダクトの敷
設手順に関係なくその敷設後に開口部に対する処
理を行うことにより、電磁遮蔽性能が確保するこ
とができ、しかも、外壁や天井面の電磁遮蔽材と
電気的に接続して一体化するので、施工も簡単で
あり、天井面を遮蔽面として各階が独立した電磁
遮蔽空間で周波数を自由に割当て、電波による情
報通信を行うことができる。

〔実施例〕

以下、実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図は本発明に係る空調ダクトの電磁遮蔽方
式の実施例を説明するための図であり、１は躯
体、２は鉄筋、３，５と８はダクト、４，６と９
はフイルター、７は天井板、１０は壁を示す。

空調ダクトは、外気の給気や排気のために外壁
に開口部を有し、また、室内への給気や排気のた
めに天井面や壁面に開口部を有する。そこで、本
発明に係る空調ダクトの電磁遮蔽方式では、これ
らの開口部に金属製メツシユ等の電磁遮蔽材を使
つたフイルターを嵌め込み、これを天井板、壁の
電磁遮蔽層と電気的に一体化する。

第１図ａは外壁の開口部の例を示し、フイルタ
ー４を躯体１の鉄筋２に接続する例を示したもの
である。躯体１は電磁遮蔽性能を有し、鉄筋２は
アースに接続されるものである。また、外壁を電
磁遮蔽材を使つたPCカーテンウオールで構築し
た場合には、この外壁の電磁遮蔽層にフイルター
４を接続するようにしてもよい。

第１図ｂは天井の開口部の例を示し、フイルタ
ー６を天井板７の電磁遮蔽部材に接続する例を示
したものである。天井板７は、導電性フイルム等
の電磁遮蔽部材を貼つて電磁遮蔽性能を確保する
ようにしたものであり、この天井板７の電磁遮蔽
層とフイルター６とを電気的に一体化することに
より、天井面全体を電磁遮蔽層として構成するこ
とができる。

第１図ｃは壁面の開口部の例を示し、フイルタ
ー９を壁１０の電磁遮蔽層に接続する例を示した
ものである。

上記の如く空調ダクトの開口部でフイルターに
電磁遮蔽性能を持たせることによつて、室内と外
との間では二重の電磁遮蔽構造となるので、一方
のフイルターが壊れても外部との間で充分な電磁
遮蔽性能を確保することができる。また、建物の
表面に現れる開口部で電磁遮蔽を行うため、処理
部が限定でき処理が簡単にできる。上記電磁遮蔽
フイルターは、外部との開口部においては虫よけ
としての機能を、また、内部の開口部においては
防塵用としての機能を併せ持つことも可能であ
る。

次に、本発明に係る空調ダクトの電磁遮蔽方式
を天井に採用して電磁遮蔽天井システムを構成す
る例を説明する。

第２図は電磁遮蔽天井システムに使用されるア
ンテナ組み込み型特殊Ｔバーの例を示す図、第３
図は天井を電磁遮蔽構造を有する部材で構成し室
内側にアンテナを組み込んだ天井全体の様子を示
す図である。図中、１１は野縁、１２はＴバー受
け、１３は特殊Ｔバー、１４は天井板、１５は電
磁遮蔽材、１６は照明器具、１７はアンテナ、１
８は導電材、１９は絶縁材、２１はスラブ、２２
は吊りボルト、２３は鉄筋、２４は躯体、２５は
渡り接続線、２６は空調ダクト、２７はフイルタ
ーを示す。

第２図において、野縁１１は、スラブより吊り
ボルトで吊り下げられるものであり、Ｔバー受け
１２は、この野縁１１に固定され、特殊Ｔバー１
３を支持するものである。特殊Ｔバー１３は、図
示の如く天井板１４や照明器具１６などを支持す
ると共に無線通信用のアンテナ１７を室内側に組
み込み可能にしたものである。この特殊Ｔバー１
３の室内側にアンテナ１７を組み込み、電磁遮蔽
性能を有する天井板１４及び照明器具１６などを
使い天井を構成することによつて、ビル内の電磁
遮蔽空間が各階毎に分割でき、各階毎に任意の周
波数帯域を選んで無線通信を行うことができる。
天井に電磁遮蔽性能を持たせる場合、天井板１４
には例えば導電性フイルムの如き電磁遮蔽材１５
を貼り、特殊Ｔバー１３による継ぎ目部分には導
電材１８を使つて電気的に相互の間を接続する。
また、アンテナ１７は、絶縁材１９を使つて特殊
Ｔバー１３と絶縁して組み込むようにすればよ
い。なお、アンテナ１７としては、漏洩同軸ケー
ブルや導波管などを使うことができる。

上記の特殊Ｔバーを使つて天井全体を電磁遮蔽
構造とし、室内側にアンテナを組み込んだ天井全
体の様子を示したのが第３図である。第３図にお
いて、照明器具１６には電磁遮蔽効果を有するル
ーバを使い、また、空調ダクト２６の開口部には
メツシユのフイルタ２７を嵌め込んだものであ
る。このルーバと特殊Ｔバー１３との間を渡り接
続線２５で接続することにより天井板１４とも電
気的に一体化し、或いは特殊Ｔバー１３とフイル
タ２７との間を導電材や直接接触によつて電気的
に一体化する。そして、これらは鉄筋２３を通し
てアースすることによつて天井面全体の電磁遮蔽
性能を確保する。その結果、天井裏に配置された
例えば遮蔽され、これらのノイズによつて室内の
通信機器が誤動作することを防止することができ
る。

上記の如く天井に組み込まれたアンテナは、分
岐器を介して同軸ケーブルに接続することによつ
て、各階に配設された通信装置間での無線通信に
利用できる。なお、同軸ケーブルは、EPSを通し
たテレビ共聴用のものを利用してもよい。このよ
うに躯体外壁面だけでなくビル内の天井で電磁遮
蔽空間を各階毎に分割すると、外部及び他の階の
信号による影響を受けることなく各階毎の無線通
信ができる。例えば各階毎にｎチヤンネルの周波
数帯域を割り当てると、ビル内では、階数に関係
なく各階毎に同じｎチヤンネルによる 25kHz×ｎ の周波数帯域幅を使つた無線通信ができる。しか
も電波法上の規制に関係なく、経済的に有利な任
意の周波数帯域の電波を使うことができる。

〔発明の効果〕

以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、空調ダクトが建物の表面に現れ外部の空間又
は内部の空間と接する開口部に電磁遮蔽性能を有
するフイルターを使つて電磁遮蔽を行うので、空
調ダクトの中間部に対しては何ら処理を加えなく
てもよく、処理が容易である。また、空調ダクト
の入口と出口の両方で電磁遮蔽を行うので、一方
が破損しても電磁遮蔽性能は確保でき、信頼性の
向上を図ることができる。さらには、防塵フイル
ターと電磁遮蔽とを兼ねるためコストの低減を図
ることができる。特に、天井面に電磁遮蔽材を使
つて各階毎も独立した電磁遮蔽空間として電波を
使つた情報通信を行う場合でも、空調ダクトの開
口部を通して階間で電波の往来があると、各階で
同じ周波数を使用した場合に混信するため、ビル
内を１空間としてそれぞれ異なる周波数を割当て
なければならなくなる。しかし、本発明では、こ
のような階間での電波の漏れも効果的に防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る空調ダクトの電磁遮蔽方
式の実施例を説明するための図、第２図は電磁遮
蔽天井システムに使用されるアンテナ組み込み型
特殊Ｔバーの例を示す図、第３図は天井を電磁遮
蔽構造を有する部材で構成し室内側にアンテナを
組み込んだ天井全体の様子を示す図である。 １…躯体、２…鉄筋、３，５と８…ダクト、
４，６と９…フイルター、７…天井板、１０…
壁、１１…野縁、１２…Ｔバー受け、１３…特殊
Ｔバー、１４…天井板、１５…電磁遮蔽材、１６
…照明器具、１７…アンテナ、１８…導電材、１
９…絶縁材、２１…スラブ、２２…吊りボルト、
２３…鉄筋、２４…躯体、２５…渡り接続線、２
６…ダクト、２７…フイルター。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 躯体及び該躯体の窓や出入口などの開口部に
   電磁遮蔽材を使用して外部との間で電磁遮蔽する
   ことによりビル内での電波を使つた情報通信を可
   能にしたインテリジエントビルにおいて、天井面
   に電磁遮蔽材を使用して上下階の間を電磁遮蔽す
   ると共に、空調ダクトの各給排気口に電磁遮蔽材
   を使つたフイルターを嵌め込み、該フイルターを
   他の電磁遮蔽材と電気的に接続して一体化するこ
   とにより各階毎に電磁遮蔽空間を構成したことを
   特徴とする階間電磁遮蔽方法。