JP3608142B2 - 電磁波遮蔽窓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波遮蔽材を用いて床や天井、壁、窓開口部に電磁波遮蔽層を形成し電磁波遮蔽空間を構成する電磁波遮蔽ビルの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
電波を使った無線通信方式を採用する場合には、使用周波数帯域について電波法の規制が問題になる。そこで、このような電波法による規制を受けることなく、自由に使用周波数帯域を選択、設定して独自の無線による通信方式を採用するためには、ビル内の空間を外部から電磁的に遮蔽した電磁波遮蔽ビルの構築が不可欠となる。既に出願人は、このような電磁波遮蔽ビルに関し、例えば特公平6−99972号公報や特公平6−99973号公報、特公平7−16118号公報、特公平6−76706号公報に、ビルの躯体や外壁の遮蔽構造について提案し、特公平6−99971号公報や特公平6−33699号公報、特公平6−13822号公報に、ビルの出入口の遮蔽構造について、特公平6−63407号公報や特公平5−79790号公報、特公平3−58557号公報に、窓開口部の遮蔽構造について提案している。また、特公平3−62320号公報や特公平3−45972号公報、特公平3−62318号公報、特公平5−34159号公報に、天井や階層別の遮蔽構造について提案している。
【0003】
図4は、本発明に係わる電磁波遮蔽ビルの構成概要を示す図であり、壁1は、例えば躯体の内壁に金属メッシュや金属箔(フイルム)、不織布、その他導電性繊維を用いたシート等を貼ったり、導電性塗料を塗って電磁波遮蔽層を形成したもの、或いはこのような電磁波遮蔽層を片面に形成したボードを用いたものである。天井2、床3も、壁1と同様の施工を行い、或いは電磁波遮蔽材を貼り合わせたパネルを用いたものである。窓4は、窓ガラスの片面又は両面に上記と同様に電磁波遮蔽材を用いて電磁波遮蔽膜を形成し、この電磁波遮蔽膜をサッシ枠に接続することにより、壁1と窓4の電磁波遮蔽層を電気的に一体に接続したものである。扉5は、電磁波遮蔽材からなるパネルを用い、扉閉時に扉5の周囲が壁1に設けられた扉三方枠6及び床3と電気的に接続可能にしたものである。
【0004】
このようにして、ビル内を1つの電磁波遮蔽空間としてではなく、各フロア毎に上下の天井や床において電磁波遮蔽材で仕切り、或いは各フロアにおいて部屋間の壁を電磁波遮蔽材で仕切ることによって、各フロア毎、或いは各部屋毎に独立した複数の電磁波遮蔽空間を構成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電磁波遮蔽技術は、主として新築のビルに適用する場合を対象としたものであるため、電磁波遮蔽性能を備えていない既設ビルを電磁波遮蔽ビルとして、各フロア毎、或いは各部屋毎に独立した電磁波遮蔽空間を構築する場合(以下、リニューアルという)には、躯体そのもや柱、壁、スラブ等の建物構造体に手を入れることになるため、施工作業が大がかりになると共に、コスト及び工期の面で現実的ではない。従って、リニューアルの場合には、電磁波遮蔽空間を構築するための新たな対策が必要となる。
【0006】
リニューアルにおいて、壁や天井、床に電磁波遮蔽材を施工することは、金属メッシュや金属箔、導電性繊維シート、導電性塗料等の電磁波遮蔽材をその内面に設けることによって比較的簡単に実現できるが、窓部については、サッシ枠の溝幅の関係から電磁波遮蔽ガラスを施工できない場合が多く、また、既存のガラスを取り替えるとなると、足場の構築、既設のシーリング材の撤去、ガラスの取り替え、シーリング材の施工等かなり煩雑な工程が必要となり、コストも新築の場合以上にかかってしまうとういう問題を有している。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、新築はもとよりリニューアルの場合に、低コスト且つ簡単な施工で高性能の電磁波遮蔽を行うことができる電磁波遮蔽窓を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の電磁遮蔽窓は、ガラス窓を支持するサッシ枠と、ガラス窓とサッシ枠の間に配設されたバックアップ材と、ガラス窓の室内側に貼設された導電性フィルムと、サッシ枠の室内側に固定され、前記導電性フィルムの周縁とサッシ枠を電気的に接続する導電性接続部材とを備え、前記導電性接続部材の先端を導電性フィルムの周縁に押圧したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の電磁波遮蔽窓の1実施形態を示す一部断面図である。
【0010】
図1において、電磁波遮蔽窓4は、サッシ枠7と、サッシ枠7内の周囲に複数個設置されたセッティングブロック9と、このセッティングブロック9に嵌め込まれたガラス窓10と、ガラス窓10の室内側に貼設された導電性フィルム11と、ガラス窓10とサッシ枠7及びセッティングブロック9の間に挟着されたバックアップ材12と、バックアップ材12の外周にサッシ枠7内に充填されたシール材13と、サッシ枠7の室内側に固定された導電性接続部材15とからなる。導電性接続部材15は、アルミ製等のL字形のアングル材15a、15bとからなり、導電性接続部材15の先端を導電性フィルム11の周縁に押圧するように構成している。
【0011】
図2は、本発明の電磁波遮蔽窓の他の実施形態を示す一部断面図である。なお、図1と同一の構成には同一番号を付けて説明を省略する。本実施形態は、図1のアングル材15a、15bを一体にした導電性接続部材15であり、その先端に導電性ゴム16を設け、導電性ゴム16が前記導電性フィルム11に押圧されるように構成し、これにより図1の実施形態よりも電磁波遮蔽性能を向上させている。
【0012】
上記構成の電磁波遮蔽窓4においては、ガラス窓10の導電性フィルム11は、導電性ゴム16、導電性接続部材15を介してサッシ枠7に電気的に接続されているため、室外からシーリング材13、バックアップ材12を通過して侵入しようとうする電磁波Gは、図示矢印に示すように導電性接続部材15により遮蔽される。
【0013】
なお、図1の実施形態において、アングル材15bと導電性フィルム11の間に図2における導電性ゴム16を介在させるようにしてもよいし、アングル材15b自体を導電性ゴムにしてもよい。
【0014】
図3は、図2の実施形態に係わる試験結果を示し、窓中央、窓枠右側、窓枠下側における周波数に対する電磁波遮蔽性能を示している。これによれば20〜30dB程度の性能が確保できることが確認された。
【0015】
なお、本発明は上記の例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記の例では電磁波遮蔽性能を有しない既設ビルを電磁波遮蔽ビルとしてリニューアルする場合について説明したが、新築ビルについても同様に構成してもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、既存のガラス窓を利用して低コストで高性能の電磁波遮蔽を達成することができ、また、新築の場合にも低コストで高性能の電磁波遮蔽を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁波遮蔽窓の1実施形態を示す一部断面図である。
【図2】本発明の電磁波遮蔽窓の他の実施形態を示す一部断面図である。
【図3】本発明に係わる試験結果を示す図である。
【図4】本発明に係わる電磁波遮蔽ビルの構成概要を示す図である。
【符号の説明】
4…電磁波遮蔽窓
7…サッシ枠
10…ガラス窓
11…導電性フィルム
12…バックアップ材
15…導電性接続部材
16…導電性ゴム
Claims (2)
- ガラス窓を支持するサッシ枠と、ガラス窓とサッシ枠の間に配設されたバックアップ材と、ガラス窓の室内側に貼設された導電性フィルムと、サッシ枠の室内側に固定され、前記導電性フィルムの周縁とサッシ枠を電気的に接続する導電性接続部材とを備え、前記導電性接続部材の先端を導電性フィルムの周縁に押圧したことを特徴とする電磁波遮蔽窓。
- 上記導電性接続部材と導電性フィルムの間に導電性ゴムを介在させたことを特徴とする請求項1記載の電磁波遮蔽窓。
Priority Applications (1)
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JP12940297A JP3608142B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 電磁波遮蔽窓 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP12940297A JP3608142B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 電磁波遮蔽窓 |
Publications (2)
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JPH10317835A JPH10317835A (ja) | 1998-12-02 |
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ID=15008679
Family Applications (1)
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JP12940297A Expired - Fee Related JP3608142B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 電磁波遮蔽窓 |
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-
1997
- 1997-05-20 JP JP12940297A patent/JP3608142B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10317835A (ja) | 1998-12-02 |
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