JP3544987B2 - 芳香性酵母新菌株 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、芳香性の高い新規酵母及び該酵母による芳香性に富んだ酒類、食品の製造方法に関する。
更に詳細には、本発明は、芳香成分のうちカプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミルを多く生成する酵母を容易に造成する方法に関し、更には選択した酵母を用いて、香気の豊かな酒類、食品を製造する方法に関する。
背景技術
酒類、特に清酒の製造において、フルーティな吟醸香成分の含量の高い清酒を製造するには、低精白米を使用し、15℃前後で発酵させる普通酒仕込では困難である。従来、吟醸香に富んだ清酒を得るためには高度精白米を使用し、低温発酵を行っていた。しかしながら、この方法では時間とコストがかかる。
現状では、低精白米の加圧蒸しやリパーゼ処理等が行われるようになったが、低精白米の普通酒仕込から吟醸香に富んだ清酒を製造することは、困難であることより、酵母の育種という観点から技術開発に依存する方向が進められ、これまでに、カプロン酸エチル高生産酵母の育種に関しては、セルレニン耐性を用いる方法(特開昭63−309175号)が公開されている。また、酢酸イソアミル高生産酵母の育種に関しては、5′,5′,5′−トリフルオロ−D,L−ロイシン耐性を用いる方法(特開昭62−6669号)、4−アザ−DL−ロイシン耐性を用いる方法(特開平1−257423号)が公開されている。更に、カプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミル高生産酵母に関しては、固形色素平板培地上で異なる色調を示す株を選択する方法(特開平2−13368号)が公開されている。上記のいずれの方法も、酵母菌株を変異処理することが好ましいとされ、交雑処理については十分な検討がなされていなかった。
一方、本発明者らは、日本醸造協会701号と日本醸造協会901号由来一倍体同士の交雑により育種される芳香性清酒酵母新菌株を取得した(特開平5−317034号)。また、清酒酵母の一倍体株を簡便に、かつ、高頻度に製造する方法を見出した(特開平5−317035号)。しかしながら、よりカプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミルが交雑処理により高生成される酵母の提供が望まれていた。
また、清酒以外の酒類では、焼酎の製造においても、香りの良い焼酎を製造するためには、同様の問題点を有し、更には食品の製造においても、同様であった。
香気成分の豊かな吟醸酒の場合、原料コストが高く、また製造日数も長くかかることから、安定に大量の吟醸酒を製造することは困難であった。また、低精白米を用いる普通酒仕込では、吟醸香に富んだ清酒を製造することは更に困難であった。
本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決すべく、普通酒仕込で吟醸香の高い、あるいは新規な吟醸香を有する清酒を製造することにあり、そのために酢酸イソアミル及び/又はカプロン酸エチルの生成能の高い新規酵母菌を提供すること、及び該酵母を用いて低精白米から、安定にかつ大量に、吟醸香の豊かな酒類を製造する方法、更には該酵母を用いて吟醸香の豊かな食品を製造する方法を提供することにある。
発明の開示
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、清酒酵母であって、サッカロミセス属に属する酵母の同一起源由来の18v/v%エタノール耐性を示す一倍体株同士の交雑によって得られた株の中から、親株よりも少ないメチレンブルーによる染色率であって親株よりも高い18v/v%エタノール耐性を示す交雑株を選択することにより育種されるカプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミル高生産の芳香性酵母新菌株に関し、第2の発明は、当該酵母を用いることを特徴とする香気成分の豊かな酒類、食品の製造方法に関する。
本発明者らは、清酒酵母であって、サッカロミセス属に属する酵母の同一起源由来の一倍体株同士を交雑させることにより、カプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミル高生産株を造成することに成功し、本発明を完成させた。
本発明における清酒酵母であって、サッカロミセス属に属する酵母とは、清酒醸造に使用される酵母では例えば日本醸造協会で純粋培養して頒布されている協会6号酵母、協会7号酵母、協会9号酵母、協会10号酵母、協会11号酵母、協会12号酵母、協会13号酵母、協会14号酵母、協会601号酵母、協会701号酵母、協会901号酵母、協会1001号酵母等が挙げられる。変異処理株、交雑株、馴養株、細胞融合株及びプラスミド等による形質転換株等の人工変異株、更には野生株であっても、清酒酵母であって、サッカロミセス属に属する酵母はすべて含む。
本発明でいう同一起源由来の一倍体株同士とは、二倍体あるいはそれ以上の倍数性を有する同一株の酵母から分離された一倍体株のa型株とα型株のことを指し、例えば協会701号酵母由来の一倍体株同士、協会901号酵母由来の一倍体株同士が挙げられる。
本発明において交雑させる一倍体株は、少なくとも一方が、18v/v%エタノール耐性を有するサッカロミセス属に属する酵母の同一起源由来の一倍体株を選択して交雑させるのが容易で好ましいが、サッカロミセス属に属する酵母の同一起源由来の一倍体株をエタノールで馴養して18v/v%エタノールに耐性を示すようになったものを用いてもよい。更に、18v/v%エタノール耐性を有しないサッカロミセス属に属する酵母の同一起源由来の一倍体株同士を交雑させることも可能である。
ここに得られる交雑二倍体株は、カプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミルを多く生成するので、これらの酵母を用いて清酒、焼酎、ワイン、ビール、ウイスキー等の酒類、又はパン等の食品を製造すれば、香気の豊かな製品を製造することができる。更に、これらの酵母を用いて芳香性の香気液を製造することも可能である。なお、清酒酵母は清酒の製造に限定されるものではなく、清酒酵母を清酒以外の焼酎等の製造に使用することができる。
清酒、焼酎、ワイン、ビール、ウイスキー、香気液、パン等の製造方法は特に限定するものではなく、一般的な方法に従って製造することができる。
以下に本発明の酵母の取得方法の1例を示す。
(一倍体酵母の交雑方法)
18v/v%エタノール耐性を示す清酒用泡なし酵母、日本醸造協会701号(以下、K−701と略述する)株の一倍体株(接合型a:3株、接合型α:3株)を、それぞれYPD液体培地(酵母エキス1w/v%、ペプトン2w/v%、グルコース2w/v%)5mlで、30℃にて24時間振とう培養した。K−701株のa型一倍体株の培養液0.1mlとK−701株のα型一倍体株の培養液0.1mlを1mlのYPD液体培地に加え、30℃にて24時間静置培養した。この培養液を滅菌水で適当に希釈して、固形YPD平板培地に塗布し、30℃にて48時間培養し、直径が2mmを越えるコロニーを交雑株(二倍体株)として分離した。
(芳香性の高い交雑株の分離方法)
9種3株ずつ、合計27株の交雑二倍体株を18v/v%濃度のエタノールを含む麹汁培地(ブリックス度1.8、ph4.4)に接種し、10℃で10日間静置した後、メチレンブルーによる染色率がK−701株よりも少ない株を5株選択し、8−30−1株、8−30−2株、9−30−3株、10−30−2株、及び10−41−3株とした。
これら選択された菌株を表1に示す仕込配合で清酒の小仕込試験を行った。
Figure 0003544987
掛米は精米歩合77%(w/w)のα米〔セブンライス工業(株)製〕を使用した。麹は、精米歩合72%(w/w)の白米を用いて製造した。酵母は5ml中に1×109個含むものを添加した。発酵温度は15℃一定で行った。留後18日目の醪のろ液について、ガスクロマトグラフィーを用いて低沸点香気成分の分析を行った結果、いずれの交雑株も親株(K−701)の1.7〜6倍のカプロン酸エチル及び2.4〜3.9倍の酢酸イソアミルを生成していることを認めた。
以上のカプロン酸エチル及び酢酸イソアミル高生産という形質は、当該交雑株がK−701株とは異なる新規酵母菌であることを示すものである。
上記のように、本発明のよる5菌株{8−30−1、8−30−2、9−30−3、10−30−2、10−41−3}は、K−701株由来一倍体株の交雑株であるが、その菌学的性質を以下に示す。
(菌学的性質)
1.形態学的性質
YPD培地で30℃、2日間培養した後、顕微鏡で観察した。
a)形:卵円形
b)大きさ:長さ4.7〜7.9μm、幅3.8〜5.5μm
2.胞子形成:有り
胞子形成用培地(酢酸カリウム2w/v%、グルコース0.05w/v%、寒天2w/v%)で30℃、5日間培養し、顕微鏡で観察した。
3.増殖の形態:出芽
4.生化学的観察
a)糖の発酵性
ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ社製)をダーラム管入り試験管に分注して、当該5菌株を接種し、30℃で7日間培養して、その炭酸ガス発生の有無を観察した。
グルコース(+) ガラクトース(+)
スクロース(+) マルトース(+)
ラクトース(−) メリビオース(−)
ラフィノース(+)
b)糖の資化性
ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ社製)を用いて、オキザノグラフ法により、30℃、14日後の生育を観察した。
グルコース(+) ガラクトース(+)
スクロース(+) マルトース(+)
ラクトース(−)
c)硝酸塩の同化性:(−)
硝酸塩は硝酸カリウムとし、ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ社製)を用いて、オキザノグラフ法により生育を観察した。
d)TTC染色性:赤
e)β−アラニン培地、35℃、3日間培養での生育:(−)
5.高泡の形成
清酒の小仕込を行ったところ、高泡の形成は観察されなかった。
以上、形態学的、生化学的結果は、本発明酵母5菌株がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に属する酵母菌であることを示すものである。また、β−アラニン培地、35℃での生育が陰性、かつ清酒の小仕込試験において高泡の形成も認められないことから、当該5菌株はK−701株の交雑株であることを示すものである。
6.薬剤に対する耐性
それぞれの薬剤を含むSD培地を用いて、30℃で3日間培養した。その結果を表2に示す。
Figure 0003544987
7.カプロン酸に対する感受性
カプロン酸を含むSD培地を用いて、30℃で3日間培養した。その結果を表3に示す。
Figure 0003544987
かくして、本発明により、K−701株の一倍体株、好ましくはエタノール耐性を示す一倍体株同士を交雑させることによって、カプロン酸エチル及び酢酸イソアミルを高生成する、普通酒仕込に使用可能な香気高生産酵母が提供された。
前記K−701株と同様の手法により、清酒用泡なし酵母、日本醸造協会901号(以下、K−901と略述する)株についても、カプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミル高生産の交雑二倍体株を5株選択し、3−1−2株、3−2−2株、3−4−1株、4−1−1株、及び4−4−3株とした。
本発明による5菌株{3−1−2、3−2−2、3−4−1、4−1−1、4−4−3}は、K−901株由来一倍体株の交雑株であるが、その菌学的性質を以下に示す。
(菌学的性質)
1.形態学的性質
YPD培地で30℃、2日間培養した後、顕微鏡で観察した。
a)形:卵円形
b)大きさ:長さ4.7〜7.9μm、幅3.8〜5.5μm
2.胞子形成:有り
胞子形成用培地(酢酸カリウム2w/v%、グルコース0.05w/v%、寒天2w/v%)で30℃、5日間培養し、顕微鏡で観察した。
3.増殖の形態:出芽
4.生化学的観察
a)糖の発酵性
ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ社製)をダーラム管入り試験管に分注して、当該5菌株を接種し、30℃で7日間培養して、その炭酸ガス発生の有無を観察した。
グルコース(+) ガラクトース(+)
スクロース(+) マルトース(+)
ラクトース(−) メリビオース(−)
ラフィノース(+)
b)糖の資化性
ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ社製)を用いて、オキザノグラフ法により、30℃、14日後の生育を観察した。
グルコース(+) ガラクトース(+)
スクロース(+) マルトース(+)
ラクトース(−)
c)硝酸塩の同化性:(−)
硝酸塩は硝酸カリウムとし、ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ社製)を用いて、オキザノグラフ法により生育を観察した。
d)TTC染色性:赤
e)β−アラニン培地、35℃での生育:(+)
5.高泡の形成
清酒の小仕込を行ったところ、高泡の形成は観察されなかった。
以上、形態学的、生化学的結果は、本発明酵母5菌株がサッカロミセス・セレビシエに属する酵母菌であることを示すものである。また、清酒の小仕込試験において高泡の形成も認められないことから、当該5菌株はK−901株の交雑株であることを示すものである。
6.薬剤に対する耐性
それぞれの薬剤を含むSD培地を用いて、30℃で3日間培養した。その結果を表4に示す。
Figure 0003544987
7.カプロン酸に対する感受性
カプロン酸を含むSD培地を用いて、30℃で3日間培養した。その結果を表5に示す。
Figure 0003544987
かくして、本発明により、K−901株の一倍体株同士を交雑させることによって、カプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミルを高生成する、普通酒仕込に使用可能な香気高生産酵母が提供された。
代表的な菌株である10−41−3株、3−2−2株は、それぞれSaccharomyces cerevisiae10−41−3、Saccharomyces cerevisias3−2−2と表示し、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、それぞれFERM BP−5332、FERM BP−5331として寄託してある。なお、Saccharomyces cerevisiae10−41−3は平成6年10月25日に寄託、その後平成7年12月11日に国際寄託に移管された。また、Saccharomyces cerevisiae3−2−2は平成7年12月11日に国際寄託された。
2株取得できたが、これらに限定するものではない。
本発明の清酒、焼酎及びその他の酒類の製造方法は、これらの酵母菌株を用いることを特徴とし、醸造方法は特に限定するものではない、また、食品の製造方法においても同様に製造方法は特に限定するものではない。
発明を実施するための最良の形態
次に、本発明の菌株を用いた酒類製造の具体例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1
K−701株由来交雑株5株について、表1に示す仕込配合で清酒の製造を行った。掛米は精米歩合77%(w/w)のα米〔セブンライス工業(株)製〕を使用した。麹は、精米歩合72%(w/w)の白米を用いて製造した。酵母は5ml中に1×109個含むものを添加した。発酵温度は15℃一定で行った。対照株として親株のK−701株、及び代表的な清酒酵母である日本醸造協会901号(以下K−901と略述する)を用いた。上槽液の分析結果を表6に示す。
Figure 0003544987
官能検査は3点法(1:良、2:普通、3:悪)で行い、パネラー10名の平均値で表した。
実施例2
K−701株由来交雑株2株について、表7に示す仕込配合で焼酎の製造を行った。対照株として米焼酎用によく用いられるK−701株を使用した。
Figure 0003544987
掛米は精米歩合70%(w/w)の低品位米を使用した。麹は、精米歩合72%(w/w)の白米を用いて製造した。酵母は5ml中に2×108個含むものを添加した。酵素剤はスピターゼM〔ナガセ生化学工業(株)製〕を使用した。発酵温度は20℃一定で行った。留後14日目の醪を減圧度−700mmHgで減圧蒸留し、留出アルコール分20v/v%までの垂口をアルコール25.0v/v%に割水したものを分析した。その結果を表8に示す。
Figure 0003544987
官能検査は3点法(1:良、2:普通、3:悪)で行い、パネラー10名の平均値で表した。
この結果、10−30−2株又は10−41−3株を用いて製造した米焼酎は、吟醸香であるカプロン酸エチル及び酢酸イソアミル含量がK−701株に比べて多く、官能的にも軽快でフルーティな香りが強く認められた新しいタイプの焼酎となった。
以上の結果は、8−30−1株、8−30−2株、9−30−3株、10−30−2株、及び10−41−3株の交雑株5株が、K−701株にない有用な性質をもつ、すなわち香気エステルを多く生成する新規酵母菌であることを示すものである。
実施例3
K−901株由来交雑株5株について、表1に示す仕込配合で清酒の製造を行った。掛米は精米歩合77%(w/w)のα米〔セブンライス工業(株)製〕を使用した。麹は、精米歩合72%(w/w)の白米を用いて製造した。酵母は5ml中に1×109個含むものを添加した。発酵温度は15℃一定で行った。対照株として親株のK−901株、及び代表的な清酒酵母であるK−701株を用いた。上槽液の分析結果を表9に示す。
Figure 0003544987
官能検査は3点法(1:良、2:普通、3:悪)で行い、パネラー10名の平均値で表した。
この結果、3−2−2株、3−4−1株、4−1−1株を用いて製造した清酒は、吟醸香であるカプロン酸エチル及び酢酸イソアミル含量がK−901株に比べて多く、フルーティな香りが強く認められ、官能的にも良好な評価が得られた。また、3−1−2株を用いて製造した清酒は、酢酸イソアミル含量がK−901株に比べて多くなり、4−4−3株を用いて製造した清酒は、カプロン酸エチル含量がK−901株に比べて多くなり、それぞれK−901株を用いて製造した清酒に比べて官能的にも異なる香気を有する酒質となった。
以上の結果は、3−1−2株、3−2−2株、3−4−1株、4−1−1株、及び4−4−3株の交雑株5株が、K−901株にない有用な性質をもつ、すなわち香気エステルを多く生成する新規酵母菌であることを示すものである。
本発明による清酒酵母であって、サッカロミセス属に属する酵母の同一起源由来の18v/v%エタノール耐性を示す一倍体株同士の交雑によって得られた株の中から、親株よりも少ないメチレンブルーによる染色率であって親株よりも高い18v/v%エタノール耐性を示す交雑株を選択することにより育種されるカプロン酸エチル及び酢酸イソアミル高生産の新規酵母菌を使用することにより、高精白米、低温長期仕込の吟醸仕込を行わなくとも、普通酒仕込あるいは低価格米により焼酎仕込においてカプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミルを主とする香気エステルの豊かな、芳香性に富んだ清酒、焼酎及びその他の酒類の製造が、低コストで、しかも短期間で安定して行うことが可能となる。食品の製造においても同様に、本発明による新規酵母菌を用いることにより、香気成分の豊かな食品を製造することが可能となる。

Claims (3)

  1. 清酒酵母であって、サッカロミセス属に属する酵母の同一起源由来の18v/v%エタノール耐性を示す一倍体株同士の交雑によって得られた株の中から、親株よりも少ないメチレンブルーによる染色率であって親株よりも高い18v/v%エタノール耐性を示す交雑株を選択することにより育種されるカプロン酸エチル及び/又は酢酸イソアミル高生産の芳香性酵母新菌株。
  2. 該新菌株が、カプロン酸エチル及び酢酸イソアミル高生産である請求項1記載の芳香性酵母新菌株。
  3. 請求項1に記載の酵母新菌株を用いることを特徴とする酒類、食品の製造方法。
JP52035396A 1994-12-26 1995-12-22 芳香性酵母新菌株 Expired - Lifetime JP3544987B2 (ja)

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