JPH0751053A - 焼酎醸造用酵母及び当該酵母を用いる焼酎の製造法 - Google Patents

焼酎醸造用酵母及び当該酵母を用いる焼酎の製造法

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JPH0751053A
JPH0751053A JP19975493A JP19975493A JPH0751053A JP H0751053 A JPH0751053 A JP H0751053A JP 19975493 A JP19975493 A JP 19975493A JP 19975493 A JP19975493 A JP 19975493A JP H0751053 A JPH0751053 A JP H0751053A
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yeast
shochu
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Katanori Nishimura
賢了 西村
Masaru Nakagawa
優 中川
Noriyoshi Tsuchiya
紀美 土谷
Yorikazu Sonoda
頼和 園田
Kenji Kida
建次 木田
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KUMAMOTO PREF GOV
Kumamoto Prefecture
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KUMAMOTO PREF GOV
Kumamoto Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酢酸イソアミルのみならず、さらにβ−フェ
ネチルアルコール及び酢酸β−フェネチルを効率良く生
産することのできる焼酎醸造用酵母の創製、及び当該酵
母を用いた焼酎の製造方法の確立。 【構成】 サッカロミセス・セルビシエに属する菌株を
突然変異処理して創製してなる酢酸イソアミルのみなら
ず、吟醸香成分であるβ−フェネチルアルコール及び酢
酸β−フェネチルを効率良く生産することのできる焼酎
醸造用酵母、及び当該酵母を用いた焼酎の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酢酸イソアミル、β−
フェネチルアルコール、及び酢酸β−フェネチル生産能
に優れるサッカロミセス・セルビシエ種に属する酵母、
及び当該酵母を用いることを特徴とする焼酎の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】最近では、酒類一般の需要拡大を目的と
して製品の多様化が図られている。かかる多様化の流れ
は焼酎についても企図されており、当該多様化のために
様々の試みがなされている。すなわち、現在は減圧蒸留
法により製造される軽い飲み口の焼酎が主力である。し
かしながら、このような軽い飲み口の焼酎への指向の進
み過ぎが焼酎の品目の画一化につながり、上記の焼酎の
品目の多様化の要請に応じきれない面がある。
【0003】例えば、現在夏場の焼酎が消費される主力
形態は、焼酎を清涼飲料水等で割った「酎ハイ」等の形
態である。しかしながら、これのみでは夏場の焼酎の消
費の落ち込みを十分に補うのは難しい。そこで、焼酎の
消費の別形態として清酒を冷やで飲むように焼酎をロッ
クで楽しむ飲み方が提案されており、一つの大きな流れ
となりつつある。
【0004】しかしながら、かかるロック形式の飲み方
を定着させるには、既存の焼酎では飲み口が軽すぎる
故、十分とはいえない。そこで、既存の焼酎よりも香味
に優れた、すなわち吟醸香が高い焼酎の作出が待たれて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような吟醸香が
高い焼酎を作出するための一つの手段として、吟醸香成
分と呼ばれる酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコー
ル、並びに酢酸β−フェネチルの高生産酵母を創製し、
当該酵母を焼酎製造に利用することが考えられる。
【0006】そこで本発明者らは、上記酢酸イソアミル
高生産性酵母を細胞融合技術を駆使して作出し、当該融
合酵母株についての特許出願(特願平3−233491号) を
行った。確かに、かかる特許出願にかかわる酵母は、耐
酸性に優れ、高温発酵が可能であり、優れた香気を有す
る非常に優れた酵母である。
【0007】しかしながら当該酵母は、酢酸イソアミル
を効率良く生産するのみで、他の代表的な吟醸香成分で
ある、β−フェネチルアルコール、及び酢酸β−フェネ
チルを他の酵母と比較して効率良く生産する能力は有し
ていない。そこで本発明が解決すべき課題は、上記の融
合酵母株が本来有する優れた形質を損なうことなく、さ
らにβ−フェネチルアルコール及び酢酸β−フェネチル
を効率良く生産することのできる焼酎醸造用酵母を創製
し、当該酵母を用いた焼酎の製造方法を確立することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題の解
決のために鋭意検討を重ねた結果、上記の融合酵母株に
さらに突然変異処理を施すことにより、所望の酢酸イソ
アミルに加えて、吟醸香成分の一つであるβ−フェネチ
ルアルコールとそのエステルであり、また吟醸香成分の
一つである酢酸β−フェネチルを高い効率で生産するこ
とができる酵母株を作出することに成功した。
【0009】すなわち、本発明は以下の事項をその要旨
とするものである。 (1)以下の菌学的性質を有する酢酸イソアミル、β−フ
ェネチルアルコール、及び酢酸β−フェネチル生産能に
優れるサッカロミセス・セルビシエに属する酵母。
【0010】(2)焼酎の製造工程において、酵母として
前記(1) 記載のサッカロミセス・セルビシエに属する酵
母を用いることを特徴とする焼酎の製造方法。 以下、本発明について詳細に説明する。本願発明に関す
る酵母は、酢酸イソアミル高生産能を有するサッカロミ
セス・セルビシエ種に属する菌株に突然変異処理を施す
ことにより作出することが可能である。
【0011】当該酢酸イソアミル高生産能を有するサッ
カロミセス・セルビシエに属する菌株としては、例えば
融合酵母株(特願平3−233491号) を挙げることができ
る。具体的には、後述する吟醸酒醸造用酵母と焼酎醸造
用酵母とのプロトプラスト融合処理を施すことにより作
出した、サッカロマイセス・セルビシエ KS2(微工
研菌寄 第12233 号) 、サッカロマイセス・セルビシエ
KS3(微工研菌寄 第12234 号) 、サッカロマイセ
ス・セルビシエ KS4(微工研菌寄 第12235 号) 、
及びサッカロマイセス・セルビシエ KS5(微工研菌
寄 第12236号) を挙げることができる。
【0012】上記酵母に対する突然変異処理手段として
は通常公知の手法を用いることができる。例えば、エチ
ルエタンスルホネート等の薬剤を酵母菌株に対して処理
する方法;紫外線等の放射線処理を施す方法等を挙げる
ことができる。本発明酵母の作出に関しては、以下のよ
うな選択法を用いて行うことができる。
【0013】例えば、突然変異によってアミノ酸のアナ
ログに対して耐性となった酵母の中には、高級アルコー
ルの生産量が増加する酵母が存在することを利用して選
択を行うことができる。具体的な選択の対象となるアミ
ノ酸のアナログとしては、通常公知のアミノ酸アナロ
グ、例えばp−フルオロフェニルアラニン, トリフルオ
ロロイシン等を挙げることができる。
【0014】すなわち、酢酸イソアミル高生産能を有す
るサッカロミセス・セルビシエに属する菌株に突然変異
処理を施し、アミノ酸アナログ耐性株を取得して、当該
株の中から酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコー
ル、及び酢酸β−フェネチル生産能に優れたサッカロミ
セス・セルビシエ酵母を分離する。かかるアミノ酸アナ
ログ耐性株からの酢酸イソアミル、β−フェネチルアル
コール、及び酢酸β−フェネチル生産能に優れた株の選
択は、例えばそれぞれの耐性株をこうじ汁培地により培
養し、培養液中のβ−フェネチルアルコール及び酢酸β
−フェネチルの量を定量すること等によって行うことが
できる。
【0015】このようにして創製した所望のサッカロミ
セス・セルビシエ酵母は、焼酎の製造工程において、通
常の焼酎製造用酵母を用いるのと同様に用いることがで
きる。すなわち、一次仕込みを行う段階で、こうじ米、
汲み水と共に酵母を添加する。なお、かかる添加におい
て上記の酵母を含む培養液を汲み水に対して通常0.3%
程度用いる。
【0016】なお、本発明焼酎製造用酵母を用いて製造
可能な焼酎の種類は特に限定されない。具体的には、米
焼酎、芋焼酎、麦焼酎、そば焼酎、黒糖焼酎等の製造に
際して用いることができるが、デンプン質及び糖質を原
料として用いる乙類及び甲類焼酎であれば、これらの焼
酎には特に限定されない。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例等により説明するが、
本発明の技術的範囲が当該実施例により限定されるもの
ではない。 〔参考例1〕酢酸イソアミル高生産性株の調製 (a)リジン要求性変異株の調製 酵母サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cer
evisiae)熊本酵母及びS−4をそれぞれYPD培地(表
1)で30℃で16時間培養し、集菌洗浄後、0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.0)10ml に懸濁した。次いで当該懸濁液にエチ
ルメタンスルフォネート(EMS)0.3mlを添加し、30℃で45
分間振盪した。集菌後、5%チオ硫酸ナトリウム溶液10
mlで洗浄し、変異誘起剤を中和した後、さらに滅菌水10
mlで2回洗浄した。
【0018】
【表1】 表1 YPD培地 ───────────────────── 酵母エキス 10g/l ポリペプトン 20g/l グルコース 20g/l ───────────────────── この処理菌体を滅菌水10mlに懸濁し、400μl をAA平板
培地(表2)に塗布して30℃で7日間培養した。平板上
に生じた大きなコロニーを単離し、SD平板培地(表
3)並びにSD+Lys平板培地(表4)で生育した株
を目的のリジン要求株として釣菌した。
【0019】その結果、熊本酵母については6株、S−
4については9株のリジン要求株を取得した。
【0020】
【表2】 表2 AA平板培地 ────────────────────────── α−アミノアジピン酸 2g/l L−リジン 30mg/l Yeast nitrogen base w/o amino acids 1.6g/l グルコース 20g/l 寒 天 20g/l ──────────────────────────
【0021】
【表3】 表3 SD平板培地 ─────────────────────────── Yeast nitrogen base w/o amino acids 6.7g/l グルコース 20g/l 寒 天 20g/l ───────────────────────────
【0022】
【表4】 表4 SD+Lys平板培地 ─────────────────────────── Yeast nitrogen base w/o amino acids 6.7g/l L−リジン 30mg/l グルコース 20g /l 寒 天 20g /l ─────────────────────────── (b) 栄養要求性変異株の調製 酵母サッカロマイセス・セルビシエ(Saccaromyces cere
visiae) 熊本酵母及びS−4をそれぞれYPD培地で30
℃、24時間培養し、次いで胞子形成寒天培地(表5)に
塗布し、30℃で3〜5日間培養を行い、胞子を形成させ
た。
【0023】
【表5】 表5 胞子形成寒天培地 ────────────────────────── 酢酸ナトリウム 10g/l 寒 天 20g/l ────────────────────────── 糸のう数が107 個/mlになるように子のうを無菌水1ml
に懸濁させ、集菌後0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5) で洗浄し
た。次いで子のうを溶菌酵素溶液(表6)2ml中で30
℃、1時間振盪して子のうを溶解させた後、遊離した胞
子を無菌水1mlで洗浄して0.1Mリン酸緩衝液3mlに懸濁
した。当該懸濁液にエチルメタンスルホネートを0.1ml
添加し、30℃で1時間振盪後、集菌した。さらに0.1Mリ
ン酸緩衝液0.2ml に懸濁させ、懸濁液を氷冷下に3分間
超音波処理することにより、胞子を懸濁液中に分散させ
た。次いで集菌後、無菌水で適宜希釈し、各希釈後0.1m
l をYPD寒天培地に塗布して30℃で48時間培養した。
【0024】
【表6】 表6 溶菌酵素溶液 ───────────────────────────── 5mg/ml Zymolyase 20T 溶液 0.2ml 2−メルカプトエタノール 0.4μl 0.1M リン酸緩衝液 0.8ml ───────────────────────────── このYPD寒天培地をマスタープレートとしてコロニー
を最小培地にレプリカし、30℃で4日間培養した。前記
のAA平板最小培地(表2)では増殖できない菌株を栄養
要求性変異株としてマスタープレートから釣菌した。
【0025】その結果、熊本酵母については目的の変異
株を得ることができなかったが、S−4についてはトリ
プトファン要求株10株をアルギニン要求株1株を得た。 (c) 呼吸欠損変異株の調製 酵母サッカロマイセス・セルビシエ(Saccaromyces cere
visiae) 熊本酵母及びS−4をそれぞれYPD培地に植
菌し、終濃度20μg/mlとなるようにエチジウムブロマ
イド(EB)を添加して30℃で24時間振盪した。集菌後、無
菌水で適宜希釈し、希釈液0.1ml をPDA培地(表7)へ
塗布し、30℃で2日間培養してマスタープレートとし
た。次いでPDA培地へレプリカして30℃で2日間培養
してマスタープレートとした。次いでPDA培地へレプ
リカして30℃で1日間培養し、一方マスタープレートを
重層培地(表8)で重層し、30℃で2日間培養した。赤
変しないコロニーをレプリカプレートからグルコースを
含む最小培地(表9)とグリセリンを含む最小培地(表
10)へ植菌して培養した。グルコースを含む最小培地で
生育できてグリセリンを含む最小培地で生育できない株
を目的株として単離した。
【0026】その結果、熊本酵母については2株、S−
4については5株の呼吸欠損株を取得した。
【0027】
【表7】 表7 PDA培地 ────────────────────────────── Poteto dextrose agar 39g ──────────────────────────────
【0028】
【表8】 表8 重層培地 ─────────────────────────────── TTC(トリフェニルテトラゾリウムクロライド) 500mg/l グルコース 5g/l Bact Agar 10g/l ───────────────────────────────
【0029】
【表9】 表9 グルコースの最小培地 ─────────────────────────────── Yeast nitrogen base w/o amino acids 6.7g/l グルコース 20g/l 寒 天 20g/l ───────────────────────────────
【0030】
【表10】 表10 グリセリンの最小培地 ─────────────────────────────── Yeast nitrogen base w/o amino acids 6.7g/l グリセリン 20g/l 寒 天 20g/l ─────────────────────────────── (d) 突然変異株のプロトプラスト融合 熊本酵母の変異株とS−4の変異株をそれぞれYPD培
地10mlで30℃、5時間振盪培養し、集菌後、プロトプラ
スト調製液(表11)2mlに懸濁させ、懸濁液を30℃で30
分振盪してプロトプラスト化した。集菌後、等張液0.6M
塩化カリウム溶液1mlで2回洗浄を行い、両方のプロト
プラストをほぼ等量となるように混合し、これに30%PE
G6000(50ml CaCl2を含む) を2ml添加した。30℃で15分
間静置し、融合を行った。次いで集菌後、菌体を同等張
液1mlに懸濁し、20℃で15分間静置した。懸濁液を等張
液で適宜希釈し、選択培地(表12)に塗布して重層用培
地(表13)を重層後、30℃で約4日後培養した。生じた
コロニーは互いの栄養要求性あるいは呼吸欠損性を補い
合った融合株であった。具体的には熊本酵母の変異株
(リジン要求性株・呼吸欠損株)とS−4の変異株(リ
ジン要求性株・トリプトファン要求性株・アルギニン要
求性株・呼吸欠損株)の様々な組合せの融合によって選
抜を繰り返し、最終的には官能評価を参考にして4株
(KS2,KS3,KS4,KS5)を優良酵母として
選抜した。それぞれの融合株の親株に付与されたマーカ
ーは表14の通りである。
【0031】
【表11】 表11 プロトプラスト調製液 ────────────────────────────── 1.5M 塩化カリウム 0.8ml 0.1M リン酸緩衝液(pH7.5) 1.0ml 2−メルカプトエタノール 1.4μl 0.25mg/ml Zymolase 20T 溶液 0.2ml ──────────────────────────────
【0032】
【表12】 表12 選択培地 ────────────────────────────── Yeast nitrogen base w/o amino acids 6.7g/l グルコース 20g/l 塩化カリウム 45g/l 寒 天 20g/l ──────────────────────────────
【0033】
【表13】 表13 重層培地 ────────────────────────────── Yeast nitrogen base w/o amino acids 6.7g/l グルコース 20g/l 塩化カリウム 45g/l Bact Agar 30g/l ──────────────────────────────
【0034】
【表14】
【0035】〔実施例1〕 p−フルオロフェニルアラニ
ン耐性株の取得 前記の酵母サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyc
es cerevisiae)KF3 をYCB培地(表15)で25℃で24時
間静置培養し、集菌洗浄後、2%グルコースを含む0.1M
リン酸緩衝液10mlに添加した。次いで懸濁液に変異誘起
剤エチルメタンスルフォネート(EMS)0.3mlを添加し、30
℃で45分間穏やかに振盪して処理した。その後、5%チ
オ硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、変異誘起剤を中和した
後、さらに滅菌水で洗浄し、変異誘起剤を中和した後、
さらに滅菌水で洗浄し、p−フルオロフェニルアラニン
含有(p-FPA) 培地(表16) に塗布した。出現したコロニ
ーをさらにp-FPA 培地に植菌し、成育した株を耐性株と
して分離した。
【0036】
【表15】 表15 YBC培地 ───────────────────────── Difco yeast carbon base 1.17% Difco casamino acids 0.5 % ─────────────────────────
【0037】
【表16】 表16 p−FPA培地 ──────────────────────────────── グルコース 2 % Difco yeast nitrogen base w/o amino asids 0.67% p−FPA 0.5mg/l% ──────────────────────────────── この結果、アナログ耐性株19株を得た。香気成分( β−
フェネチルアルコール・酢酸β−フェネチル) 生産能及
びアルコール発酵能を指標として発酵試験を行った。
【0038】発酵試験は、それぞれの株を用いて2段仕
込試験により行った。すなわち、焼酎米麹165g、汲み水
200ml 、及び前培養酵素液3mlを2l 容三角フラスコに
入れ、一次仕込みを行い、5日後に掛米400g及び汲み水
750ml を添加し、2次仕込みを行った。発酵温度は25℃
で行った。2次仕込み後、13日目の発酵もろみ中の、香
気成分(β−フェネチルアルコール及び酢酸β−フェネ
チル) をガスクロマトグラフィー分析により測定し、両
者をより多く生成した株(R16) を優良酵母として選抜し
た。
【0039】この優良酵母株R16 は、サッカロマイセス
(Saccharomyces)R16として、1993年6月10日に、通商産
業省工業技術院生命工学工業技術研究所に、生工研菌寄
第13686号(FERM P-13686 )として寄託されている。当
該サッカロマイセス(Saccharomyces)R16の菌学的性質を
以下に示す。 酢酸イソアミル、β−フェネチルアルコール、及び酢
酸β−フェネチル生産能に優れている。
【0040】YM寒天培地でクリーム色のコロニーを
形成し、栄養細胞は球状若しくは卵型で出芽し増殖す
る。 子のう胞子の形成が良好である。 硝酸塩の資化性なし。 ビタミン要求性なし。
【0041】アルブチンの分解能なし。 炭素源の醗酵性 グルコース醗酵性 + ガラクトース醗酵性 + ショ糖醗酵性 + マルトース醗酵性 + ラクトース醗酵性 − ラフィノース醗酵性 1/3 炭素源の資化性 グルコース資化性 + ガラクトース資化性 + ショ糖資化性 + マルトース資化性 + ラクトース資化性 − エタノール資化性 ± なお、ここで+は発酵性若しくは資化性が認められるこ
とを;−は発酵性若しくは資化性が認められないこと
を;±は若干認められることを示す。
【0042】発酵試験は、2L三角フラスコに焼酎米麹1
65g, 水750mlを添加して2次仕込を行い、13日間発酵さ
せた。耐性株R16の最終もろみの香気成分及びエタノー
ル濃度は表17の通りであった。
【0043】
【表17】
【0044】〔実施例2〕耐性株を用いた中間プラント
スケールの試験醸造 仕込容量60Lの規模で米製焼酎の試験醸造を行い、減圧
蒸留製品の分析を行った。原料は破砕精米(他用途米)
を使用し、焼酎用麹菌を用いて常法により製麹を行っ
た。仕込配合は総米21.78Kg,麹歩合40%, 汲水歩合165
%の2段仕込とし、一次仕込6日目に2次仕込を行っ
た。1次もろみは室温20℃の高温で発酵させ、2次もろ
みについては品温制御を行なかった。蒸留は680〜710mm
Hg の減圧下で行った(もろみ温度は40〜48℃まで上昇)
。蒸留液を4℃で1週間冷却し、ペーパーろ過後、ア
ルコール濃度25%に調製し、製品とした。
【0045】製品の香気成分は、ヘッドスペースガスク
ロマトグラフを用いて定量し、その結果は表18の通りで
あった。
【0046】
【表18】
【0047】KF3は、従来の焼酎酵母と清酒用酵母と
の細胞融合によって、酢酸イソアミル生産能の向上した
株であるので、従来の焼酎の2倍近くの酢酸イソアミル
を含んでいる。R16による焼酎は、それと同等の酢酸
イソアミルを含み、かつβ−フェネチルアルコール並び
に酢酸β−フェネチルは40〜50%増加していた。また、
焼酎製品の官能試験を行い、表19に示した。評点は7名
の焼酎審査員による評価の総合点である。
【0048】
【表19】
【0049】
【発明の効果】本発明により、酢酸イソアミルのみなら
ず、さらにβ−フェネチルアルコール及び酢酸β−フェ
ネチルを効率良く生産することのできる焼酎醸造用酵母
が創製され、当該酵母を用いた焼酎の製造方法が確立さ
れる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:865) (72)発明者 園田 頼和 熊本県熊本市黒髪2−39−1 熊本大学工 学部応用化学科内 (72)発明者 木田 建次 熊本県熊本市黒髪2−39−1 熊本大学工 学部応用化学科内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の菌学的性質を有する酢酸イソアミ
    ル、β−フェネチルアルコール、及び酢酸β−フェネチ
    ル生産能に優れるサッカロミセス・セルビシエに属する
    酵母。
  2. 【請求項2】 焼酎の製造工程において、酵母として請
    求項1記載のサッカロミセス・セルビシエに属する酵母
    を用いることを特徴とする焼酎の製造方法。
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WO1996020272A1 (fr) * 1994-12-26 1996-07-04 Takara Shuzo Co., Ltd. Nouvelles souches de levures aromatiques
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