JPH0667313B2 - 酵母細胞融合株及びアルコール飲料 - Google Patents
酵母細胞融合株及びアルコール飲料Info
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Description
は、清酒酵母と焼酎酵母を細胞融合して得られる新規な
酵母細胞融合株及びこれを用いて製造されるアルコール
飲料に関する。
ン等の酒類についても従来にない新しい性質を持ったも
のの開発が求められている。
り、これに適合し、各酒類に要求される性質を満たすこ
とのできる酵母は限られているので、好ましい新しい性
質を醸造された酒類に持たせるために、別の酒類の酵母
を利用することは困難な場合が多かった。
して清酒酵母菌が知られている。
焼酎等の蒸留酒の製造に用いれば、香気の高いアルコー
ル飲料が得られると予想されるが、実際には、清酒酵母
菌の発酵性、高温耐性、耐酸性が低く、直接例えば焼酎
の製造に利用することはできない。
知られている焼酎酵母菌は、高い発酵能、高温耐性、耐
酸性はあるが、エステル生成能が低く、これを利用して
フルーティーな香りを持つ焼酎を製造することは難しか
った。
アルコール飲料を得べく鋭意研究を行なった。そしてそ
の結果、清酒酵母菌と焼酎酵母菌を細胞融合して得た酵
母菌は、これら両者の何れよりもエステル生成能が高
く、これを利用し、従来の焼酎製造と同様にアルコール
発酵せしめれば、上記目的が達成されることを見出し本
発明を完成した。
成分生成能の高い酵母細胞融合株およびこれを利用して
製造されるアルコール飲料を提供するものである。
酵母菌と焼酎酵母菌とを細胞融合することにより得られ
る。
の清酒酵母菌、例えば、協会清酒酵母(協会7号、協会
9号、協会10号等)等の原株であっても、その栄養要求
性変異株等の変異株であっても良い。また、焼酎酵母菌
も、公知の、例えば鹿児島酵母、泡盛酵母、宮崎酵母、
SH−4号酵母等の原株であっても、その栄養要求性変異
株等の変異株であっても良い。しかし、融合処理後の融
合株の選択工程を考慮すると、いずれも栄養要求性変異
株を利用することが好ましい。
ず、それぞれ別個にプロトプラストとする。
させて菌体を得る。用いられる栄養培地は、これら酵母
菌が生育するものであれば特に制限はなく利用すること
ができる。菌体が十分に増殖した後、これをリン酸バッ
ファー溶液等で洗浄し、細胞壁溶解酵素等を用いてプロ
トプラストとする。細胞壁溶解酵素としては、ザイモリ
アーゼ等が用いられる。
るときの公知の方法で行なうことができ、例えば、ポリ
エチレングリコールを用いる融合方法、電気刺激による
融合方法等を利用することができる。
株から分離される。融合酵母の分離には、セルソーター
を用いる方法等も利用できるが、親酵母株として栄養要
求性の変異株を用いた場合、栄養欠損培地で培養し、融
合酵母を選択することが好ましい。
ち、代表的なものであるCFY−118およびCFY−119の菌学
的性質を、清酒酵母である協会7号酵母および焼酎酵母
である鹿児島酵母との比較で示せば次の通りである。
よびCFY−119の栄養細胞の大きさは、いずれも3〜5μ
mであった。また、形は卵型であり、増殖の形式は出芽
であった。
た、鹿児島酵母の胞子形成率も45.2%と低かった。これ
に対し、CFY−118およびCFY−119の胞子形成率はそれぞ
れ91.3%および92.2%と非常に高かった。
−119の最適生育pHは3.5〜6.0であった。CFY−118はや
や酸に弱く、最適生育pHは4.0〜6.0であった。何れの酵
母も最適生育温度は25〜30℃であった。
CFY−119の間ではそれほど変わらなかった。鹿児島酵母
は、α−M−D−Gの資化が弱かった。
号、CFY−118、CFY−119についてはなかった。その他の
ビタミンの要求性は、ほぼ同じであった。
および鹿児島酵母の菌体内酵素の電気泳動パターンと明
らかに異なっていた。
Y−119の細胞融合により得られた新規微生物とし、1989
年7月5日付けで工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研菌寄 第10815号(FERM P−10815)および微工研菌
寄 第10816号(FERM P−10816)として寄託した。
製は、米、麦等を常法により製麹した麹、あるいは黒糖
のような糖類を溶解した溶液に上記の融合酵母を仕込
み、以下焼酎製造の常法に従うことにより行なわれる。
果から明らかなように、エステル様のフルーティな香気
の高い新規なものであった。
ており、特に酵母に関しては、サッカロミセス・セレビ
シェの各株を用いた種内融合が行なわれてきた。例え
ば、清酒酵母とワイン酵母(Y.Yokomori:Proc.7th Int.
Symp.on Yeast,pergia(Italy)(1988)、NP14長野酵
母と協会901号(蟻川ら;醸協,83,605,(1988))、タ
イ国酵母と清酒酵母(渡辺ら;醸協,83,757,(1988))
等の融合が行なわれている。しかし、焼酎酵母菌と清酒
酵母菌の細胞融合については知られていない。
および焼酎酵母の何れよりも高い香気成分生成能を有す
るという、優れた性質を有するものである。
造とほぼ同様な醪経過により、従来の焼酎と比べエステ
ル分が高く、フルーツ香のあるアルコール飲料を製造す
ることが可能となる。
単に「焼酎酵母」という)と清酒酵母菌(協会7号酵母
菌;以下実施例においては、単に「清酒酵母」という)
の各酵母菌の2倍体を使用し、次の如くして各々の栄養
要求株を得た。
て変異させ、ナイスタチン濃縮法で変異株を濃縮し、ア
デニン要求株を分離した。清酒酵母については、37℃で
のパントテン酸要求性を利用した。各株はそれぞれYPAD
培地に接種し、30℃で培養した。菌体はリン酸バッファ
ーで洗浄した後、10mM 2−メルカプトエタノールと0.
6M KClを含んだ溶液に懸濁し、これに細胞壁溶解酵素
としてザイモリアーゼ(Zymolyase)を0.2mg/ml程度加
え、約30℃で3時間ゆるやかに振盪撹拌したのち1500×
gで10分間遠心分離し、それぞれのプロトプラストを得
る。得られたプロトプロストのそれぞれの5×106個づ
つを混合した後、700×gで10分間遠心分離した。
を加えて15分間室温で融合させる。得られた融合物は、
0.6M KClを含む培地に適宜希釈し、栄養欠損培地に拡
散させ、30℃で数日間培養して細胞融合酵母を得た。更
に胞子形成培地で胞子を形成させたのち、細胞壁溶解酵
素で細胞壁を溶解させ胞子を取り出し、これを遠心分離
で集菌した。
た株を100株分離した。それをYPAD液体培地10mlに植菌
し、そのアルコール醗酵能、エステル生成能、生育速度
の早さ、泡無し性の観点から好ましい菌株を選択した。
このようにして選択された菌株の1つがCFY−118であ
る。
Y−119である。
い、米製焼酎の仕込み試験を行なった。仕込み割合は第
1表の通りであり、醗酵温度は28℃、種麹は白麹菌を用
いた。
ら、細胞融合酵母CFY−118とCFY−119の醗酵状態は良好
であり、清酒酵母と異なっていることが明らかとなっ
た。また、第2表の各醪及び製品の分析結果から、CFY
−118及びCFY−119の醪の分析値は、清酒酵母による醪
分析値と焼酎酵母による醪分析値の中間の値であること
が示された。
の表から細胞融合酵母CFY−118及びCFY−119を通常の焼
酎仕込みをした場合、清酒酵母や焼酎酵母に比べ低沸点
のエステル成分(特に酢酸i−アミル)の含量が多くな
っていることが明らかである。
すが、この結果からも本発明の製品は、エステル香の強
い芳香を持った新しいものであることが明らかである。
る焼酎は、従来の焼酎酵母を用いて製造される焼酎に比
べ、低沸点成分(例えば酢酸i−アミル)を2〜3倍多
く含み、芳香の高い新しい焼酎という事ができる。
た。この仕込みは第5表の仕込み割合とした。
の焼酎酵母を用いたものとほぼ同様であった。
クロマトグラフィーによる分析結果を第7表に示すが、
この結果から明らかなように、香気成分、特に酢酸i−
アミル含量が多くなっている。
酵母を用いた製品よりも本発明のCFY−118を用いた製品
にエステル香のあることを指摘している。
−118およびCFY−119は、通常の焼酎仕込みを行なって
もアルコール収率、耐酸性、高温耐性、泡無し性におい
てなんら問題はなく、しかも、清酒酵母や焼酎酵母と比
べ、強いエステル香(特に酢酸イソアミル)を与えるこ
とができるものであった。
示す醗酵曲線である。
Claims (2)
- 【請求項1】清酒酵母菌と焼酎酵母菌を細胞融合するこ
とにより得られる、次の性質を有する酵母細胞融合株。 (1)最適生育pHは、4.0〜6.0。 (2)最適生育温度は、25〜30℃。 (3)子嚢胞子形成率は、親酵母菌の双方に比べ高い。 (4)親酵母菌の双方に比べ、高い香気成分生成能を有
する。 - 【請求項2】糖分を含有する培地中に請求項1記載の酵
母細胞融合株を仕込み、これを発酵させることにより得
られるアルコール飲料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24353789A JPH0667313B2 (ja) | 1989-09-21 | 1989-09-21 | 酵母細胞融合株及びアルコール飲料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24353789A JPH0667313B2 (ja) | 1989-09-21 | 1989-09-21 | 酵母細胞融合株及びアルコール飲料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03108476A JPH03108476A (ja) | 1991-05-08 |
JPH0667313B2 true JPH0667313B2 (ja) | 1994-08-31 |
Family
ID=17105358
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24353789A Expired - Fee Related JPH0667313B2 (ja) | 1989-09-21 | 1989-09-21 | 酵母細胞融合株及びアルコール飲料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0667313B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU4314696A (en) * | 1994-12-26 | 1996-07-19 | Takara Shuzo Co., Ltd. | Novel aromatic yeast strains |
KR100944450B1 (ko) * | 2009-07-27 | 2010-02-25 | 박옥희 | 그물 고정용 구조물 |
-
1989
- 1989-09-21 JP JP24353789A patent/JPH0667313B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03108476A (ja) | 1991-05-08 |
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