JP3020720B2 - 芳香性清酒酵母新菌株 - Google Patents
芳香性清酒酵母新菌株Info
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- JP3020720B2 JP3020720B2 JP7561392A JP7561392A JP3020720B2 JP 3020720 B2 JP3020720 B2 JP 3020720B2 JP 7561392 A JP7561392 A JP 7561392A JP 7561392 A JP7561392 A JP 7561392A JP 3020720 B2 JP3020720 B2 JP 3020720B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は芳香性の高い新規清酒酵
母及び当該酵母による芳香性に富んだ清酒を製造する方
法に関する。
母及び当該酵母による芳香性に富んだ清酒を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】清酒の製造において、芳香性の高い清酒
を製造するためには、低精白米を使用し、15℃前後で
発酵させる普通酒仕込では困難である。従来、芳香性清
酒を得るためには、高度精白米を使用し、低温発酵を行
ってきた。特に吟醸酒の場合は、35%の高度精白米を
使用し、10℃以下という低温で発酵させている。この
ように、従来技術では芳香性の高い清酒を得るには時間
とコストがかかっていた。現状では、低精白米のリパー
ゼ処理等が行われるようになったが、低精白米の普通酒
仕込から芳香性の高い清酒を製造することはいまだ困難
であり、酵母の育種という面からの技術開発が待たれて
いた。
を製造するためには、低精白米を使用し、15℃前後で
発酵させる普通酒仕込では困難である。従来、芳香性清
酒を得るためには、高度精白米を使用し、低温発酵を行
ってきた。特に吟醸酒の場合は、35%の高度精白米を
使用し、10℃以下という低温で発酵させている。この
ように、従来技術では芳香性の高い清酒を得るには時間
とコストがかかっていた。現状では、低精白米のリパー
ゼ処理等が行われるようになったが、低精白米の普通酒
仕込から芳香性の高い清酒を製造することはいまだ困難
であり、酵母の育種という面からの技術開発が待たれて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】芳香性の高い吟醸酒の
場合、減量コストが高く、また、製造日数も長くかかる
こともあって、安定に大量の清酒を製造することは困難
であった。また、低精白米を用いる普通酒仕込では、芳
香性の高い清酒を製造することは更に困難であった。本
発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決すべく、
普通酒仕込で芳香性の高い、あるいは新規な芳香性を有
する清酒を製造することにあり、そのための芳香性の高
い新規酵母菌を提供すること、及び該酵母を用いて低精
白米から芳香性の高い清酒を製造する方法を提供するこ
とにある。
場合、減量コストが高く、また、製造日数も長くかかる
こともあって、安定に大量の清酒を製造することは困難
であった。また、低精白米を用いる普通酒仕込では、芳
香性の高い清酒を製造することは更に困難であった。本
発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決すべく、
普通酒仕込で芳香性の高い、あるいは新規な芳香性を有
する清酒を製造することにあり、そのための芳香性の高
い新規酵母菌を提供すること、及び該酵母を用いて低精
白米から芳香性の高い清酒を製造する方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は清酒酵母協会701号と清酒酵母協
会901号由来一倍体株同士の交雑により育種される、
両親株より芳香性の高い清酒酵母新菌株に関し、第2の
発明は第1の発明の交雑株を変異させて得られるエステ
ラーゼ欠損株に関し、第3の発明は、第2の発明のエス
テラーゼ欠損株より得られる、交雑株より芳香性の高い
ことを特徴とする清酒酵母新菌株に関する。そして、第
4の発明は、前記酵母新菌株を使用することを特徴とす
る芳香性清酒の製造方法に関する。
発明の第1の発明は清酒酵母協会701号と清酒酵母協
会901号由来一倍体株同士の交雑により育種される、
両親株より芳香性の高い清酒酵母新菌株に関し、第2の
発明は第1の発明の交雑株を変異させて得られるエステ
ラーゼ欠損株に関し、第3の発明は、第2の発明のエス
テラーゼ欠損株より得られる、交雑株より芳香性の高い
ことを特徴とする清酒酵母新菌株に関する。そして、第
4の発明は、前記酵母新菌株を使用することを特徴とす
る芳香性清酒の製造方法に関する。
【0005】本発明者らは、清酒用泡なし酵母、協会7
01号(以下、K−701と略述する)株、及び協会9
01号(以下、K−901と略述する)株のそれぞれの
一倍体株を原菌株として、交雑を行い、交雑二倍体株の
中に芳香性の高い酵母が存在することを見出し、試験管
仕込、清酒小仕込試験を重ねて生成清酒の官能試験によ
り芳香性酵母を選別した。また、その選別交雑株を適当
な変異処理例えばアミノエタンスルホン酸(以下、EM
Sと略述する)処理した後、エステラーゼ欠損株をジア
ゾ染色法で選別し、その選別株から更に清酒小仕込試験
を重ねて生成清酒の官能試験により芳香性清酒酵母を再
選別した。
01号(以下、K−701と略述する)株、及び協会9
01号(以下、K−901と略述する)株のそれぞれの
一倍体株を原菌株として、交雑を行い、交雑二倍体株の
中に芳香性の高い酵母が存在することを見出し、試験管
仕込、清酒小仕込試験を重ねて生成清酒の官能試験によ
り芳香性酵母を選別した。また、その選別交雑株を適当
な変異処理例えばアミノエタンスルホン酸(以下、EM
Sと略述する)処理した後、エステラーゼ欠損株をジア
ゾ染色法で選別し、その選別株から更に清酒小仕込試験
を重ねて生成清酒の官能試験により芳香性清酒酵母を再
選別した。
【0006】本発明における芳香性清酒酵母とは、清酒
酵母701号と清酒酵母901号由来一倍体株同士の交
雑により育種される酵母新菌株の他に、該菌株を変異処
理して得られる菌株を含む。
酵母701号と清酒酵母901号由来一倍体株同士の交
雑により育種される酵母新菌株の他に、該菌株を変異処
理して得られる菌株を含む。
【0007】以下にその分離方法の一例を示す。 (一倍体酵母の交雑法)K−701株の一倍体株(接合
型a:12株、接合株α:22株)及びK−901株の
一倍体株(接合型a:8株、接合株α:8株)を、それ
ぞれYPD液体培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、
グルコース2%)5mlで30℃にて24hr振とう培養し
た。K−701株のa型(又はα型)一倍体の培養液
0.1mlとK−901株のα型(又はa型)一倍体の培
養液0.1mlを1mlのYPD液体培地に加え、30℃に
て24hr振とう培養した。この培養液を適当に希釈して
固形YPD平板培地に塗布し、30℃にて24hr培養
し、直径が2mmを越えるコロニーを交雑株(二倍体株)
として分離した。
型a:12株、接合株α:22株)及びK−901株の
一倍体株(接合型a:8株、接合株α:8株)を、それ
ぞれYPD液体培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、
グルコース2%)5mlで30℃にて24hr振とう培養し
た。K−701株のa型(又はα型)一倍体の培養液
0.1mlとK−901株のα型(又はa型)一倍体の培
養液0.1mlを1mlのYPD液体培地に加え、30℃に
て24hr振とう培養した。この培養液を適当に希釈して
固形YPD平板培地に塗布し、30℃にて24hr培養
し、直径が2mmを越えるコロニーを交雑株(二倍体株)
として分離した。
【0008】(芳香の高い交雑株の分離方法)交雑二倍
体株を5mlのこうじ汁培地(ブリックス度5)に1白金
耳植菌し、37℃で一夜振とう培養し、官能試験により
K−701又はK−901のいずれか芳香の高い対照株
より芳香性の高い株を33株選択した。この選択菌株を
表1に示す仕込配合で小仕込試験した。
体株を5mlのこうじ汁培地(ブリックス度5)に1白金
耳植菌し、37℃で一夜振とう培養し、官能試験により
K−701又はK−901のいずれか芳香の高い対照株
より芳香性の高い株を33株選択した。この選択菌株を
表1に示す仕込配合で小仕込試験した。
【0009】
【表1】
【0010】掛米は精米歩合75%のα米(セブンライ
ス社製)を使用した。こうじ米は精米歩合65%の白米
を用いて製造した。酵母は5ml中に1×109 個含むも
のを添加した。発酵温度は15℃一定で行った。官能試
験の結果、K−701及びK−901のいずれか良い方
よりも官能評価の高い4株、1L(2)株、2L(1)
株、6L(2)株、7N(3)株を選択した。
ス社製)を使用した。こうじ米は精米歩合65%の白米
を用いて製造した。酵母は5ml中に1×109 個含むも
のを添加した。発酵温度は15℃一定で行った。官能試
験の結果、K−701及びK−901のいずれか良い方
よりも官能評価の高い4株、1L(2)株、2L(1)
株、6L(2)株、7N(3)株を選択した。
【0011】次に、表2に示す仕込配合で、1L(2)
株、2L(1)株、6L(2)株、7N(3)株につい
て小仕込試験を行った。
株、2L(1)株、6L(2)株、7N(3)株につい
て小仕込試験を行った。
【0012】
【表2】
【0013】掛米は精米歩合75%のα米(セブンライ
ス社製)を使用した。こうじ米は精米歩合65%の白米
を用いて製造した。酵母は25ml中に5×109 個含む
ものを添加した。発酵温度は15℃一定で行い、留後1
3日で上槽した。上槽液の分析結果を表3に示した。
ス社製)を使用した。こうじ米は精米歩合65%の白米
を用いて製造した。酵母は25ml中に5×109 個含む
ものを添加した。発酵温度は15℃一定で行い、留後1
3日で上槽した。上槽液の分析結果を表3に示した。
【0014】
【表3】
【0015】2L(1)株、7N(3)株は酢酸イソア
ミル高生産株であり、1L(2)株、7N(3)株はカ
プロン酸エチルの高生産株であった。特に7N(3)株
は酢酸イソアミル及びカプロン酸エチルが共にK−70
1株に比べて、1.6倍、3倍に増加していた。また、
6L(2)株はn−プロパノールがK−701株に比べ
て約4割、K−901に比べて約6割に低下していた。
ミル高生産株であり、1L(2)株、7N(3)株はカ
プロン酸エチルの高生産株であった。特に7N(3)株
は酢酸イソアミル及びカプロン酸エチルが共にK−70
1株に比べて、1.6倍、3倍に増加していた。また、
6L(2)株はn−プロパノールがK−701株に比べ
て約4割、K−901に比べて約6割に低下していた。
【0016】以上の結果は、1L(2)株、2L(1)
株、6L(2)株、及び7N(3)株がK−701株又
はK−901株の各々の性質を部分的に持合せ、また両
親株にない性質を持合せる、すなわち芳香成分を多量に
生産する新規酵母菌であることを示すものである。
株、6L(2)株、及び7N(3)株がK−701株又
はK−901株の各々の性質を部分的に持合せ、また両
親株にない性質を持合せる、すなわち芳香成分を多量に
生産する新規酵母菌であることを示すものである。
【0017】(突然変異株の分離方法) 交雑二倍体7N(3)株の酢酸イソアミル生成量を更に
増加させる変異株を得るために、以下の工程で変異処理
を行った。まず、当該菌株の細胞を5mlのYPD液体
培地で30℃にて一夜振とう培養し、遠心分離で菌体を
集菌した後、0.2Mリン酸バッファー(pH8.0)
で洗浄した。洗浄菌体を4.6mlの0.2Mリン酸バ
ッファー(pH8.0)に懸濁し、40%グルコース溶
液を0.25ml添加してよくかくはんした後、0.1
5mlの3%EMS水溶液を添加し、30℃にて1hr
振どうした。その0.2mlを9.8mlの6%チオ硫
酸ナトリウム溶液に加えて、室温で10〜15min維
持し、そのうちの0.2mlを19.8mlの滅菌水に
添加し、0.1mlずつ150枚のTTC下層培地(日
本醸造協会製)の平板培地に塗布し、30℃で2日間培
養した。1枚のシャーレの平板培地に約1000個のコ
ロニーを形成させたもの150枚について、発酵工学会
誌、第67巻、第3号、第159〜165頁(198
9)に記載のジアゾ染色法によって細胞内のエステラー
ゼ活性の低下した株を白いコロニーとして選択した。そ
の結果、約15万株の中から16株のエステラーゼ欠損
株を得ることができた。ジアゾ染色法で白色のコロニー
として選択された16株(M1〜M16)について、表
2に示した仕込配合で小仕込試験を行った。留後13日
目の上槽液の分析結果を表4に示した。
増加させる変異株を得るために、以下の工程で変異処理
を行った。まず、当該菌株の細胞を5mlのYPD液体
培地で30℃にて一夜振とう培養し、遠心分離で菌体を
集菌した後、0.2Mリン酸バッファー(pH8.0)
で洗浄した。洗浄菌体を4.6mlの0.2Mリン酸バ
ッファー(pH8.0)に懸濁し、40%グルコース溶
液を0.25ml添加してよくかくはんした後、0.1
5mlの3%EMS水溶液を添加し、30℃にて1hr
振どうした。その0.2mlを9.8mlの6%チオ硫
酸ナトリウム溶液に加えて、室温で10〜15min維
持し、そのうちの0.2mlを19.8mlの滅菌水に
添加し、0.1mlずつ150枚のTTC下層培地(日
本醸造協会製)の平板培地に塗布し、30℃で2日間培
養した。1枚のシャーレの平板培地に約1000個のコ
ロニーを形成させたもの150枚について、発酵工学会
誌、第67巻、第3号、第159〜165頁(198
9)に記載のジアゾ染色法によって細胞内のエステラー
ゼ活性の低下した株を白いコロニーとして選択した。そ
の結果、約15万株の中から16株のエステラーゼ欠損
株を得ることができた。ジアゾ染色法で白色のコロニー
として選択された16株(M1〜M16)について、表
2に示した仕込配合で小仕込試験を行った。留後13日
目の上槽液の分析結果を表4に示した。
【0018】
【表4】
【0019】その結果、親株の7N(3)株に比べ、酢
酸イソアミル生成量の増加した株はM4株、M6株及び
M16株であった。特に、M16株は11.1PPMの
酢酸イソアミルを生成した。以上の結果は、M4株、M
6株及びM16株が7N(3)株更にはK−701株及
びK−901株と異なる新規酵母菌であることを示すも
のである。
酸イソアミル生成量の増加した株はM4株、M6株及び
M16株であった。特に、M16株は11.1PPMの
酢酸イソアミルを生成した。以上の結果は、M4株、M
6株及びM16株が7N(3)株更にはK−701株及
びK−901株と異なる新規酵母菌であることを示すも
のである。
【0020】上記のように、本発明による代表的菌株
{交雑株4株;1L(2)株、2L(1)株、6L
(2)株、及び7N(3)株と変異株3株;M4株、M
6株及びM16株}は、K−701株とK−901株の
交雑株及びその変異株であるが、これらの菌株の菌学的
性質を以下に示す。
{交雑株4株;1L(2)株、2L(1)株、6L
(2)株、及び7N(3)株と変異株3株;M4株、M
6株及びM16株}は、K−701株とK−901株の
交雑株及びその変異株であるが、これらの菌株の菌学的
性質を以下に示す。
【0021】(菌学的性質) 1.形態学的性質 YPD培地で30℃、2日間培養後観察した。 a)形:卵円形 b)大きさ:長さ4.7〜7.9μm、幅3.8〜5.
5μm 2.胞子形成:有 胞子形成用培地(酢酸カリウム2%、ブドウ糖0.05
%、寒天2%)で30℃、5日間培養し観察した。 3.増殖の形態:出芽 4.生化学的観察 a)糖の発酵性 ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ
社製)をダーラム管入り試験管に分注し、当該7株接
種、30℃で7日間培養して、その炭酸ガス発生の有無
を観察した。 グルコース (+) ガラクトース (+) スクロース (+) マルトース (+) ラクトース (−) メリビオース (−) ラフィノース(+) b)糖の資化性 ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ
社製)を用いてオキザノグラフ法により30℃、14日
後の生育を観察した。 グルコース (+) ガラクトース (+) スクロース (+) マルトース (+) ラクトース (−) c)硝酸塩の同化性:(−) 硝酸塩は硝酸カリウムとし、ウイッカーハムの炭素化合
物同化試験用培地(ディフコ社製)を用いてオキザノグ
ラフ法により生育を観察した。 d)TTC染色性:赤 e)β−アラニン培地、35℃での生育:(+) 5.高泡の形成 清酒の小仕込試験を行ったところ、高泡の形成は観察さ
れなかった。
5μm 2.胞子形成:有 胞子形成用培地(酢酸カリウム2%、ブドウ糖0.05
%、寒天2%)で30℃、5日間培養し観察した。 3.増殖の形態:出芽 4.生化学的観察 a)糖の発酵性 ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ
社製)をダーラム管入り試験管に分注し、当該7株接
種、30℃で7日間培養して、その炭酸ガス発生の有無
を観察した。 グルコース (+) ガラクトース (+) スクロース (+) マルトース (+) ラクトース (−) メリビオース (−) ラフィノース(+) b)糖の資化性 ウイッカーハムの炭素化合物同化試験用培地(ディフコ
社製)を用いてオキザノグラフ法により30℃、14日
後の生育を観察した。 グルコース (+) ガラクトース (+) スクロース (+) マルトース (+) ラクトース (−) c)硝酸塩の同化性:(−) 硝酸塩は硝酸カリウムとし、ウイッカーハムの炭素化合
物同化試験用培地(ディフコ社製)を用いてオキザノグ
ラフ法により生育を観察した。 d)TTC染色性:赤 e)β−アラニン培地、35℃での生育:(+) 5.高泡の形成 清酒の小仕込試験を行ったところ、高泡の形成は観察さ
れなかった。
【0022】以上、形態学的、生化学的結果は、本発明
酵母菌7株がサッカロミセス・セレビシエ( Saccharom
yces cerevisiae ) に属する酵母菌であることを示すも
のである。また、清酒の小仕込試験において高泡の形成
も見られないことから、該7株はK−701株及びK−
901株の交雑株又は変異株であることを示すものであ
る。
酵母菌7株がサッカロミセス・セレビシエ( Saccharom
yces cerevisiae ) に属する酵母菌であることを示すも
のである。また、清酒の小仕込試験において高泡の形成
も見られないことから、該7株はK−701株及びK−
901株の交雑株又は変異株であることを示すものであ
る。
【0023】かくして、本発明により、K−701株の
一倍体株とK−901株の一倍体株を交雑させ、更に好
ましくはこれを変異させることによって、両親株の長所
を持ち、更に酢酸イソアミルとカプロン酸エチルの生成
が両親株のいずれよりも増加した、普通酒用に使用でき
る芳香性清酒酵母新菌株が提供された。本発明の清酒の
製造方法は、これらの酵母菌株を用いることを特徴と
し、醸造方法は特に限定するものではない。
一倍体株とK−901株の一倍体株を交雑させ、更に好
ましくはこれを変異させることによって、両親株の長所
を持ち、更に酢酸イソアミルとカプロン酸エチルの生成
が両親株のいずれよりも増加した、普通酒用に使用でき
る芳香性清酒酵母新菌株が提供された。本発明の清酒の
製造方法は、これらの酵母菌株を用いることを特徴と
し、醸造方法は特に限定するものではない。
【0024】
【実施例】次に、本発明菌を用いた清酒醸造の具体例を
挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されない。
挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されない。
【0025】実施例1 表2に示す仕込配合で、本発明の酵母を使用した清酒製
造を行った。酵母は対照としてK−701及びK−90
1、本発明酵母として7N(3)株、M4株、M6株及
びM16株を用い、各々約5.0×109 個を添加し、
精米歩合75%のα米(セブンライス社製)を使用し
て、15℃一定で発酵させた。留後13日目に上槽した
生成酒の分析結果、及び官能検査結果(パネル10人、
3点法平均値;1→良、2→普通、3→不良)を表5に
示した。
造を行った。酵母は対照としてK−701及びK−90
1、本発明酵母として7N(3)株、M4株、M6株及
びM16株を用い、各々約5.0×109 個を添加し、
精米歩合75%のα米(セブンライス社製)を使用し
て、15℃一定で発酵させた。留後13日目に上槽した
生成酒の分析結果、及び官能検査結果(パネル10人、
3点法平均値;1→良、2→普通、3→不良)を表5に
示した。
【0026】
【表5】
【0027】7N(3)株は、K−701株及びK−9
01株よりも酢酸イソアミル及びカプロン酸エチルの多
い清酒ができ、官能的にも芳香性が強く、良い評価が得
られた。更に、M4株、M6株及びM16株は7N
(3)株よりも芳香性が高く、官能的にも更に良好であ
った。
01株よりも酢酸イソアミル及びカプロン酸エチルの多
い清酒ができ、官能的にも芳香性が強く、良い評価が得
られた。更に、M4株、M6株及びM16株は7N
(3)株よりも芳香性が高く、官能的にも更に良好であ
った。
【0028】
【発明の効果】本発明の新規酵母を使用することによ
り、高精白米、低温長期仕込の吟醸仕込を行わなくて
も、普通酒仕込において、酢酸イソアミル及びカプロン
酸エチルの多い、芳香性に富んだ清酒の製造が、低コス
トで更に短期間で安定して可能となる。
り、高精白米、低温長期仕込の吟醸仕込を行わなくて
も、普通酒仕込において、酢酸イソアミル及びカプロン
酸エチルの多い、芳香性に富んだ清酒の製造が、低コス
トで更に短期間で安定して可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高山 卓美 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 玉置 日出夫 京都府京都市左京区下鴨松ノ木町27番地 (56)参考文献 特開 昭58−183096(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/16 C12G 3/02 119
Claims (4)
- 【請求項1】 清酒酵母協会701号と清酒酵母協会9
01号由来一倍体株同士の交雑株より得られる両親株よ
り芳香性の高い清酒酵母新菌株。 - 【請求項2】 請求項1に記載の交雑株を変異させて得
られるエステラーゼ欠損株であることを特徴とする請求
項1に記載の清酒酵母新菌株。 - 【請求項3】 請求項2に記載のエステラーゼ欠損株よ
り得られる、交雑株より芳香性の高いことを特徴とする
請求項1又は2に記載の清酒酵母新菌株。 - 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の酵母新菌株
を使用することを特徴とする芳香性清酒の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7561392A JP3020720B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 芳香性清酒酵母新菌株 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7561392A JP3020720B2 (ja) | 1992-02-27 | 1992-02-27 | 芳香性清酒酵母新菌株 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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