JP2882830B2 - 変異酵母及びその利用 - Google Patents

変異酵母及びその利用

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、有機酸、特にリンゴ酸を多量に生成する酵
母変異株、そのスクリーニング方法、及び突然変異によ
って有機酸を多く生成するようになった変異酵母を用い
て各種アルコール飲料、食品を製造する方法に関するも
のである。
(従来の技術及び問題点) 一般に有機酸はアルコール飲料や食品に酸味を与え、
品質を左右する重要な要素である。
酵母においては、増殖や醗酵時に有機酸を生成する。
酵母において生成される有機酸としては、乳酸、コハク
酸、リンゴ酸、酢酸などがあげられる。しかし、これら
の酸の生成は酵母中ではその生成は高度に調節されてい
るために、その生成量を増加させることは容易ではな
い。
しかも、例えば清酒といったアルコール飲料を製造す
る際、清酒等アルコール飲料の本来の風味や品質は損な
うことなくしかも酸度を高めることは、更に容易なこと
ではない。
(問題点を解決するための手段) 本発明においては、上記したようなきわめて困難な条
件における生酸量の大幅増加という技術課題を新たに設
定し、各方面から検討を加えた結果、微生物自体にその
解決策を求めるに至った。しかしながら、自然界に存在
する酵母のスクリーニングを精力的に行ったにもかかわ
らず、目的とする高生酸菌を得ることはできなかった。
そこで本発明者らは有機酸の生成経路に変異を有し有
機酸量の多い変異酵母を求めて鋭意研究したところ、こ
れを多く生成する変異酵母を選定するのに成功し、高生
酸性酵母、有機酸の生産性にすぐれ特にリンゴ酸を多量
に生成する新規変異酵母を得るのに成功した。また更
に、このような高生酸性酵母を効率よく選択取得するた
めの工業的方法も発見し、そしてこのようにしてスクリ
ーニングして得られた変異酵母を用いて酸度の高いアル
コール飲料等を製造する方法も開発し、本発明が完成さ
れたのである。
本発明において変異酵母を得るには、変異方法として
はいかなる方法でもよい。変異の物理的方法としては、
紫外線照射、放射線照射などがあり、化学的方法として
は、変異剤、例えば、エチルメタンサルホネート、N−
メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、亜硝
酸、アクリジン系色素等の溶液に、懸濁させる変異方法
等があり、既知の方法が適宜使用できる。本発明は、こ
のような方法によって得られた酵母の内、特にリンゴ酸
生成量の高い酵母に関するものである。
また更に本発明は、目的とする高生酸株を多数の酵母
の中から選択取得する方法に関するものである。その特
徴とするところは、変異株をジメチルサクシネートを含
む培地に植菌し、これに成育してこない株を取得するも
のである。
ジメチルサクシネートは、コハク酸デヒドロゲナーゼ
を阻害する物質であり、ジメチルサクシネートに対して
親株よりも感受性が増加したということは、コハク酸デ
ヒドロゲナーゼもしくは、その機能に変化が生じたとい
うことを意味している。そこでこのジメチルサクシネー
ト感受性株の性質を検討したところ、有機酸生成量が親
株よりも増加した株が多数存在することを見出し、本発
明を完成させたのである。
ジメチルサクシネート使用量は、使用する酵母のジメ
チルサクシネート耐性に応じて適当な濃度を使用する。
例えば協会7号酵母(K−7)の場合、ジメチルサクシ
ネート(DMS)濃度が2%付近で急激に酵母の生存率が
低下するので、DMS使用量は約1.5%程度とするのが好ま
しい。
処理酵母としては、清酒酵母、焼酎酵母、ビール酵
母、ワイン酵母、パン酵母のいずれの酵母でもジメチル
サクシネート感受性株を得ることができる。本法は、変
異酵母のスクリーニングに利用できることはもちろんの
こと、自然界から分離した酵母、人為的な変異処理する
ことなく自然に変異した酵母にも適用することができ、
しかも操作処理が簡単であり、且つその結果の判定がき
わめて容易である点で非常に特徴的である。したがっ
て、本発明に係る選択取得方法は、酵母に対して広く適
用することのできる特に工業的な選択取得方法である。
本発明に係る選択取得方法を実施するには、先ず各種
酵母を変異処理した後、通常の培地でコロニーを形成さ
せ、これをジメチルサクシネートを含む培地に移して、
30℃、1週間程度培養して、ジメチルサクシネートを含
む培地で成育できない株を選択する。このようにして得
られた株から、有機酸生成能の増加した株を採用すれば
よい。
具体的には、エチルメタンスルホネート(EMS)等で
酵母を変異処理した後、YMプレートにまき、培養した後
に再生してきたコロニーをDMSプレート(1.5%DMSを含
むYMプレート)にレプリカし、生成してこない株をDMS
感受性株として分離する。
このようにして得られた株は、例えばグルコースを含
むYM培地で培養した後、濾液について、第1次スクリー
ニングとして滴定酸度を測定して更に必要あれば第2次
スクリーニングとして有機酸組成分析を行って、目的と
する高生酸株をスクリーニングする。
このようにしてスクリーニングされた株は、有機酸を
多量に生成するものであって、特にリンゴ酸の生産量が
高く、親株の3倍もの多量のリンゴ酸を生産することが
できる点で特徴的である。しかもその場合、アルコール
性飲料や各種食品の本来の風味品質が損われることはな
く、この点でもすぐれている。
本発明に係る高生酸株は、FERM P−11080として工業
技術院微生物工業技術研究所に寄託されている。
ここに得られる変異酵母は、清酒酵母、焼酎酵母、ビ
ール酵母、ワイン酵母、パン酵母のいずれにおいても有
機酸をよく生成するようになっているので、これらを用
いて清酒、焼酎、ビール、ワイン、パンなどを製造すれ
ば、有機酸の多いそれぞれの製品を製造することができ
る。
以下に、本発明の実施例について述べる。
実施例1 日本醸造協会7号酵母(以下K−7と略す)を、YM培
地(酵母エキス0.3%、マルトエキス0.3%、ペプトン0.
5%、ブドウ糖2%)5mlに植菌し、1日培養した後、菌
体を集菌、洗浄した。この洗浄菌体に、0.2Mリン酸緩衝
液(pH8.0)5ml、40%ブドウ糖溶液0.25ml、エチルメタ
ンサルホネート0.25mlを加え、30℃で1時間ゆっくり撹
拌しながら変異処理を行った。処理後、菌体を滅菌水で
洗浄し、YM寒天培地に塗沫して30℃、3日間培養して、
コロニーを形成させた。このコロニーをYM寒天培地およ
び1.5%ジメチルサクシネートを含むYM寒天培地に移し
て、30℃で培養して、ジメチルサクシネートを含む培地
で成育しない株を選択した。
このようにして選択した7株のジメチルサクシネート
感受性株をYM−10培地(YM培地でブドウ糖濃度を10%に
調整した培地)に植菌し、30℃、3日間培養して、培地
中の酸度を測定し、第1表の結果を得た。
このようにして、親株(K−7)に比して、特に酸度
の上昇した4株(1−45、1−85、1−96、2−69)を
スクリーニングし、最も酸度の上昇した株(2−69)を
GHA−69株と命名し、この菌株を微工研に寄託した(FER
M P−11080)。
このようにして第1次スクリーニングを行った後の高
生酸株4株について有機酸組成を検討し、ピルビン酸、
乳酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸生産量を測
定して第2次スクリーニングを行い、第2表の結果を得
た。
これらの結果から明らかなように、2−69株(GHA−6
9株)は、卓越した酸度上昇を示し、有機酸を多量に生
産し、特にリンゴ酸の生産量にすぐれ、親株であるK−
7株の3倍にも達しており、本発明に係る変異株が高生
酸菌であるのみでなく、本発明が卓越したスクリーニン
グ法であることが判る。
実施例2 変異酵母GHA−69株(FERM−P−11080)及びK−7株
を用いて第3表に示す仕込配合で清酒を製造した。
酵母は培養酵母を湿菌体重量で5gを加え、15℃で21日
間醗酵させた。ここに得られた清酒の成分を第4表に示
す。
この結果清酒の成分の中で酸度が親株の約1.5倍に増
加しており、官能検査でもさわやかな酸味のあるすっき
りした酒質であった。
またこの酒の有機酸組成について調べたところ、リン
ゴ酸、コハク酸に増加が見られ、特にリンゴ酸では親株
の約3倍になっていた。GHA−69株ではコハク酸デヒド
ロゲナーゼがジメチルサクシネートに対して感受性が高
くなっており、コハク酸デヒドロゲナーゼに変異が起こ
ることによって、有機酸の代謝機構に変化が生じ、有機
酸の生成量が増加したものと一応推定される。
実施例3 実施例1で得たGHA−69酵母を培養して得た培養酵母2
g、小麦粉70g、水40g、イーストフードとしてビタミンC
0.2gをミキサーに入れ、24〜25℃で5分間混練した。次
いでこれを5時間発酵せしめて中種生地を調製した。
発酵終了後の中種生地をミキサーに入れ、これに水30
g、食塩2g、砂糖5g及び小麦粉15gを加えてミキサーを回
転せしめた。中種生地がほぐれたときに、小麦粉15g、
ショートニング4gを加えて、低速で2分、高速で6分混
練し、こね上げ温度27℃のドウを調製した。
このドウを常法にしたがって30分間発酵せめした後、
常法にしたがって、分割、丸め、ねかし、成形、型詰め
等の仕上げ処理を行い、次いでこれを焙炉で焼き上げ、
放冷してパンを製造した。
得られたパンは、サワーブレッドタイプのすぐれた品
質を有するものであった。
(発明の効果) 本発明によれば、高生酸性酵母菌株が得られるが、こ
の酵母は有機酸特にリンゴ酸生産量が高く、従来未知の
新菌株である。
本発明に係る高生酸性酵母を用いると、酵母が関与す
る各種飲食品に対して心地良い酸味を付与することがで
き、例えばフルーティーなさわやかな風味を有する清酒
等のアルコール飲料、サワーテイストを有する食パン等
が自由に製造できる。
また、本発明によれば、目的とする高生酸菌をきわめ
て簡単にスクリーニングすることもできるので、卓越し
た高生酸菌を容易に選別することができ、飲食品の製造
のほかリンゴ酸発酵等各種の用途に広範に利用すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 7/46 C12P 7/46 //(C12N 1/16 C12R 1:645) (C12P 7/46 C12R 1:645) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/00 - 7/08 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジメチルサクシネートに感受性を有する株
    から有機酸生産能が増加した株を選択してなる、リンゴ
    酸を生成する変異実用酵母。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のリンゴ酸を生成する変異
    実用酵母を使用することを特徴とする飲食品を製造する
    方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の方法によって製造してな
    る飲食品。
  4. 【請求項4】飲食品が、清酒、焼酎、ビール、ワインま
    たはパンであることを特徴とする請求項3に記載の飲食
    品。
  5. 【請求項5】ジメチルサクシネートを使用することを特
    徴とするリンゴ酸を生成する変異実用酵母の選択取得方
    法。
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JP6189566B1 (ja) * 2017-05-08 2017-08-30 月桂冠株式会社 有機酸生成酒酵母株の製造方法、清酒の製造方法、および変異pex22遺伝子

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