JP3523265B2 - 火災の予防と消火のための方法と装置 - Google Patents

火災の予防と消火のための方法と装置

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、乗物の事故の場合における火災の予防と
消火のための方法と装置に関するものである。
乗物であって、特に内燃機関を搭載する自動車は、事
故や過激な衝撃(クラッシュ)に伴って、事故の際や事
故の直後に火災を発生する傾向を有している。この傾向
は、特に、供給用ポンプで加圧された燃料を供給し続け
る噴射式エンジンの場合に特に強く、乗物の乗員に大災
害を再度提供することとなる。エンジンルームにおける
火災の消火のための携帯用消火器の使用は、エンジンル
ームを開けたり、さらに、ハブ(hub)の下でエンジン
ルームへの空気の入口を開けたりするために、人間が煙
りや炎に曝されるという危険でかつ時間を要する作業を
必要とする。
したがって、近年、火災の予防と自動消火を基本とす
る種々のシステムが開発され、多くの特許や特許刊行物
に説明されている。すなわち、フランス特許第2674441
号は、前部と側部への衝撃の検知や、補助的に煙りおよ
び/または炎の検知によって作動する、エンジンルーム
に配置された圧力容器内の消火剤、ハロン(HALON)13
−01の使用に基づくシステムを開示している。このシス
テムのパイプラインやノズルは、上記検知の際に、直接
エンジンルームに自動的にハロンを放出し、同時に、燃
料供給用ポンプのスイッチをオフにする。
ドイツ特許第4223293号(A1)公報は、火災の検知と
消火剤としてCO2を使用する、個人の車用とトラック用
の車用とを兼ねた火災保護システムを開示している。
これらの既に取られた消火システムの装備やその使用
に関する欠陥は、利用空間の足りないエンジンルーム
で、かさばった容器の移動や補助装置(検知器、セン
サ、変換器)が必要なことであり、さらには、重量が増
加し、結局、検知・消火システムのコストが増大するこ
とである。
さらに、ロシヤ特許第2008046号には、例えば、CO2
スの加圧推進剤によって助勢された、消火のためのラジ
エータの冷却液(水)やエチレングリコールの混合物の
放出に基づく、別の火災消火システムが開示されてい
る。開示された構成により主張される利益は、乗物に
“かさ高”の特別な消火剤の容器を必要としないことで
ある。しかしながら、消火剤としての冷却用の水の使用
は、貧弱な消火効率、限定された能力(直接的な流出に
よる漏洩とロスによる)を提供するのみであり、そし
て、明らかに、火災の予防の目的には適用できないもの
である。
したがって、この発明の目的は、事故の場合に、衝撃
検知後、直ちに消火剤を予防的に適用することによっ
て、自動車の乗員に対して大きな安全を保証する、新し
い、改良された火災の予防および自動消火システムを提
供することである。
この発明の他の目的は、装備する要素および/または
部品の数を減らし、かくして、重量を減らし、装備する
検知・消火システムのコストを減らした、迅速な応答性
(反応性)の新しい火災の予防システムを提供すること
である。
この発明のさらに他の目的は、環境に受け入れ可能な
(人間の健康が害されない)型の、乗物の他の機能(目
的)のための装備され、適用されている手段を利用し、
消火剤(液)の時差(遅延)放出のための方法と手段を
提供することにある。
この発明のこれらの目的、他の目的や特徴は、請求の
範囲の請求項1−7により特定される、火災の予防や消
火のための方法および装置(手段)の提供によって引き
出されるだろう。
この発明によれば、火災の予防および消火のための、
迅速な応答の新しいシステムは、乗物の空調回路に冷媒
として既に装備されているCO2の消火剤としての適用を
好適なシステムの具体例とし、事故の場合の検知、すな
わち、前部、側部そして後部の衝撃検知が乗物のエアバ
ッグによる保護システムの検知に直接関連しているとこ
ろに基礎をおいて開発されている。
事故に付随する乗物の火災を予防する消火剤としてCO
2を使用することの明らかな利益は、次のような特徴を
兼ね備えることである。
− 着火温度以下にエンジンルーム全体を冷却できる
こと、 − 一部のCO2により形成される粘着性雪片とその後
ガス状のCO2が提供する昇華によって、冷却剤との接触
が延長されること、 − そして、最終的には、燃焼(酸化反応)に必要と
される濃度以下に、閉じられたエンジンルームや客室の
O2含有量を効率的に減少させ得ることである。
この発明は、添附の図1〜3に例示されるような、好
適な具体例とシステムの操作の説明から、より容易に理
解されるとともに明確になるだろう。
図1は、自動的火災予防および消火システムの要素を
装備した乗物の概略的断面図である。
図2は、この発明が適用される、システム形成のダイ
アグラムと操作可能に連結された要素とを概略的に示し
ている。
図3は、消火テストに使用される試験装置の断面を示
している。
図1を参照するに、従来のように、前部に置いたエン
ジン(図示しない)を収納するエンジンルーム4と後部
に置かれた燃料タンク1とからなる自動車の断面が概略
的に示され、符号2は、消火剤として、例えば液体CO2
を収容した容器を示している。それぞれ、前部衝撃検出
器6'、側部衝撃検出器6"および後部衝撃検出器6"'のよ
うに、予想される衝撃の場所や水準に計画的に配置され
た圧力(衝撃)センサ6は、伝達/信号ライン17',17",
17"'によって、信号の処理/操作ユニット8へ接続され
ている。この処理/操作ユニット8は、ノズルの組3',
3",3"'に対する消火剤通路を開閉するためのバルブ9',
9",9"'をそれぞれ独立的に操作するために、信号の伝達
ライン16',16",16"'を通して操作信号を提供する。ノズ
ル3"'はエンジンルーム4に、そしてノズル3'は、燃料
タンク1の上方に消火剤を放出するように配置され、さ
らに、ノズル3"は、客室5内に、好ましくは、乗物を離
れる乗客のための予定時間の遅延で、消火剤を確実に放
出するように配置される。
前記放出の予定時間の遅延は、予めプログラムされた
タイミングにしたがって消火剤を放出させることを確実
にするように、処理/操作ユニット8の遅延回路によっ
て行われる。この予めプログラムされたタイミングは、
各場所のそれぞれのノズルにおける消火剤の放出時間の
制御を含んでいる。代替的に、遅延要素および/または
流量絞りを、各ノズルに対する消火剤の供給ラインに設
けることもできる。
採用する検出器すなわち衝撃センサ6は、乗物の前記
座席の乗員の保護のために装着されたエアバッグの開放
/作動に関連して配置/適用されるセンサであることが
有利である。
この発明の好適な具体的によれば、加圧されている消
火剤容器2は、冷媒としてCO2を使用する空調回路の一
部分である。火災予防/消火装置と空調装置との間の関
連をブロックダイアグラムの形で概略的に示している図
2に示されるように、衝撃センサ6は、(超臨界)蒸気
圧縮サイクルの緩衝容器(受容器)と一体の加圧容器2
に取り付けられたバルブ9に、伝達/信号ライン15によ
って接続されている。なお、この蒸気圧縮サイクルは、
閉回路に直列に接続された、コンプレッサ10、ガス冷却
器11、絞り弁13および蒸発器14とからなっている。バル
ブは、電気的センサを使用する場合には、ソレイノドで
操作されるものが有利であるが、流体的または空気的手
段によって操作されるものでもよい。衝撃検出の際に、
センサ6が、処理/操作ユニットを介して、伝達/信号
ライン15によって信号をバルブ9に伝達し、このバルブ
9が、実際の火災現場、この具体例では燃料タンク1、
エンジンルーム4と客室5に、導管12を経由して加圧さ
れたCO2を流すために開けられる。
かくして、追加の衝撃センサも消火剤のための特別の
かさ高な容器も必要でない。臨時のバルブ9と接続用ラ
インの設置によって緩衝容器(受容器)2の簡単な適用
が、火災消火のための新しい容器の装置の必要性を減少
させるであろう。
例 火災の消火テストは、図3に断面図で示される、閉じ
た側壁20と、部分的に開放された底部25とそして多数の
小孔21が形成された頂部プレートにより構成された試験
用容器内で行われた。
試験用容器の大きさは、平均的な個人用乗用車のエン
ジンルームと同様の大きさ、すなわち、高さが0.5m、幅
0.72mそして長さが1.12mであった。試験用容器の内側容
積は約400リッターであった。
それぞれの直径が1mmである3個の開口を有するノズ
ル装置23は、中央で頂部プレートの下側に置かれた。直
径0.19mで高さ0.075mの小容器24は、試験用容器の底部
の中央に置かれた。
消火テストの前に、約10分間、0.2リットルのガソリ
ンの燃焼の観察が行われた。
消火剤である加圧されたCO2は、ノズル装置を通って
放出された。消火装置の能力は毎秒約60グラムのCO2
放出が可能であった。
4回の消火テストが行われ、約1分間火が燃えた後、
ノズルを通して消火剤が放出された。
行われた全てのテストにおいて、消火時間は5秒以内
であった。各消火テストにおいて、CO2の消費量は300グ
ラム以下であった。
冷媒として、CO2を使用する空調回路を有する自動車
に既に装備されている加圧されたCO2を使用する場合、
消火目的に使用可能なCO2は、慣例的に、約2キロであ
る。したがって、車の他の場所において起こる火災に加
えてエンジンルームにおいて起こる火災にも消すために
利用可能なCO2の量としては充分であろう。
この発明の他の特徴によれば、空調回路に既に装備さ
れているCO2の緩衝容器の存在は、客室に適用するため
に、より穏やかな消火剤の提供を可能とする。かくし
て、例えば、窒素とアルゴンガスの混合物を含む付加的
な容器(図示されていない)を客室に装備して、CO2
容器に接続し、緩衝検知の際に、この混合ガスに対して
いくらかのCO2を“流出”させて調整し、イナーゲン(I
NERGEN、登録商標)または同様の消火剤として知られて
いる特別の混合消火剤とすることができる。そして、純
粋なCO2の使用によっては窒息の危険さえある、乗物の
乗員のショック(冷却による)を避けるために、このよ
うな消火剤をその場所へ提供することができる。
上述の好適な具体例で説明され、かつ例証されたこの
発明の範囲は、これらの例によって制限されるものでは
ない。火災の自動予防、消火システムについて開示され
た発明の原理は、例えば、電気自動車にも適用すること
ができ、システムの作動/スイッチオフの手段として、
自動的、半自動的、手動あるいはこれらの組合せも、こ
の発明の範囲内で可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 欧州特許出願公開675013(EP,A 1) 米国特許3788666(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A62C 3/07

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乗物の事故の場合における火災の予防また
    は消火方法であって、乗物に配置した1個またはそれ以
    上の衝撃センサによって乗物に加えられた衝撃を検出
    し、その検出信号に基づいて、乗物の異なる場所に配置
    した独立に操作可能な複数のノズルから消火剤を放出す
    る方法において、消火剤としては、乗物に装備されてい
    る空調システムに冷媒として使用されているCO2を使用
    し、その消火剤を予めプログラムされたタイミングで放
    出することを特徴とする火災の予防または消火方法。
  2. 【請求項2】乗物のエンジンルームに配置したノズル
    は、乗物の乗員を保護するエアバッグの作動に関連する
    衝撃センサの検出信号によって作動させることを特徴と
    する請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】客室に配置したノズルは、客が乗物から離
    れることができるように、衝撃検出の時から予定時間だ
    け遅延して作動させることを特徴とする請求項1または
    2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 【請求項4】乗物の客室へ提供される消火剤は、N2とア
    ルゴンの混合物に乗物の空調装置からのCO2を加え、N2
    −Ar−Co2型の消火剤として提供されることを特徴とす
    る請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】乗物に配置された1個またはそれ以上に衝
    撃センサと、乗物の異なる場所にそれぞれ配置された、
    独立に操作可能な消火剤放出のための複数のノズルと、
    前記衝撃センサからの信号に基づいて、これらのノズル
    を作動させるための処理および操作手段とからなる、乗
    物における火災の予防と消火のための装置において、消
    火剤が既に乗物に装備されている空調システムに冷媒と
    して使用されているCO2を含ませることができる構成
    と、消火剤を予めプログラムされたタイミングで放出さ
    せることができる処理および操作手段を有することを特
    徴とする火災の予防または消火のための装置。
  6. 【請求項6】上記衝撃センサや処理および操作手段が、
    乗員を保護するエアバッグ開放のためのシステムの一部
    であることを特徴とする請求項5記載の装置。
  7. 【請求項7】CO2を収容する消火剤容器と、窒素とアル
    ゴンガスの混合物を収容し、前記消火剤容器に接続され
    ている容器とを備え、これにより、客室における火災の
    予防および消火に利用するN2−Ar−CO2型のガスの提供
    を確実にしていることを特徴とする請求項5または6の
    いずれかに記載の装置。
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