JP3517307B2 - グラブリジンの製造法 - Google Patents
グラブリジンの製造法Info
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
- Medicines Containing Plant Substances (AREA)
Description
る方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】グラブリジンは、ある種の甘草たとえば
Glycyrrhiza glabra L. の草体内で生産されたのち主
に根部および根茎部に蓄積されており、抗菌作用、抗酸
化作用、チロシナーゼ阻害作用などの有用作用を有する
ことが知られている(特公平6−8249号公報等)。 【0003】従来、このグラブリジンは、それを含有す
る甘草から抽出したものが抗菌剤、抗酸化剤、美白剤等
に利用されているが、原料となる甘草はほとんどが中近
東などからの輸入に依存しており、安定供給に不安があ
るものであった。しかも成長が遅く(収穫までに5年以
上を必要とする)、その間の自然環境の変化に影響され
るためか、グラブリジン含有率の変動幅がきわめて大き
いものであった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のように原料としては問題点の多い輸入甘草に依存する
ことなしに、グラブリジンを安定的に得られるようにす
ることにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明によるグラブリジ
ンの製造法は、甘草( Glycyrrhiza glabra L. )を寒天
培地で組織培養し、形成されたカルスをさらに液体培養
し、液体培養を開始してから2〜8週間後に、培地中の
濃度が0 . 01〜5 . 0重量%になる量の酵母エキスを液
体培地に添加し、引き続き培養を行なったのち得られた
培養物からグラブリジンを採取することを特徴とするも
のである。 【0006】以下、本発明の製造法について詳述する。
カルスを誘導する場合に使用する甘草植物片は、甘草
( Glycyrrhiza glabra L. )から採取する。生育中のこ
の植物の地上部、地下部、いずれの組織を採取してもよ
く、種子から発芽した直後の幼植物を使用することもで
きる。 【0007】組織培養に使用する栄養培地はなんら限定
されるものではなく、各種植物の組織培養に使われる周
知の栄養培地、たとえばムラシゲとスクーグ培地、ガン
ボルグB5培地、リンスマイヤーとスクーグ培地、ホワ
イト培地、ニッチとニッチ培地、ヘラー培地、またはこ
れらを適宜改変したものを用いることができる。すなわ
ち、炭素源としてシュクロース、グルコース、フラクト
ース、マルトース、ソルビトール、マンニトール等を含
有し、窒素源としてアンモニア態窒素、硝酸態窒素、ア
ミノ酸類、ペプトン等タンパク質分解物、酵母エキス等
を含有し、ほかに無機塩類(たとえばカリウムイオン、
カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、マ
ンガンイオン、亜鉛イオン、コバルトイオン、ホウ素イ
オン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、銅イオ
ン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、モリブデ
ン酸イオン、ホウ酸イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン
等から構成される塩類、具体的には硝酸カリウム、塩化
カルシウム、リン酸水素一カリウム、硫酸第一鉄、硫酸
マンガン、ヨウ化カリウム、塩化亜鉛、塩化コバルト、
硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム等)、ビタミン類(た
とえばチアミン、ニコチン酸、ピリドキシン、ビオチ
ン、p-アミノ安息香酸、葉酸、ミオイノシトール等)、
微量生長調節物質(たとえばグリシン、グルタミン、シ
ステイン等のアミノ酸類;ナフタレン酢酸、2,4-ジクロ
ロフェノキシ酢酸、インドール酢酸等のオーキシン類;
ベンジルアデニン、カイネチン、ゼアチン等のサイトカ
イニン類)等を含有するものを使用することができる。 【0008】上記各種組成の寒天培地を用いる組織培養
は、好気的条件下、望ましくは暗所で行う。培養温度は
約5〜45℃、望ましくは20〜30℃、培地pHは約
4.5〜7.5、望ましくは5.0〜6.0とする。 【0009】三角フラスコ中に用意した寒天培地に甘草
の組織片を置床し、20〜30℃、暗黒条件下で1〜3
カ月静置培養すると、培地上にカルスが誘導される。 【0010】このカルスを同様組成の液体培地に移し、
pH4.5〜7.5、望ましくは5.0〜6.0、温度10
〜40℃、望ましくは20〜30℃で、回転振盪(回転
数50〜250rpm)または往復振盪(50〜200回
/分)しつつ2〜8週間培養する。大量培養するには、
ジャーファーメンターを使用することができる。 【0011】培養により培地中に蓄積された培養細胞中
には、培養細胞固形分当たり約0.1〜0.4重量%のグ
ラブリジンが形成されている。これは、天然の甘草の平
均的なグラブリジン含有率と比べて同等またはそれ以上
の含有率であり、かつ変動が少ない。生産されたグラブ
リジンの一部は細胞外に分泌されて培地に溶けている
が、濃度が低いので、これを経済的に回収して利用する
のは困難である。 【0012】培養細胞におけるグラブリジンの生産は、
培地の窒素源に影響されることが確認されており、培地
中の硝酸態窒素とアンモニア態窒素の比率が100:0
ないし50:50のとき培養細胞のグラブリジン含有率
は最も高くなる。 【0013】また、液体培地による培養開始後約2〜8
週間(望ましくは約3〜6週間)の間に、培地中の濃度
が0.01〜5.0重量%(望ましくは0.05〜0.5重
量%)になる量の酵母エキスを液体培地に添加し、引き
続き0.1〜6日間(望ましくは1〜3日間)培養を行
なうと、培養細胞のグラブリジン含有率を高めることが
できる。 【0014】培養物から最も有利にグラブリジンを採取
する方法は、濾過または遠心分離により培養細胞を採取
し、得られた培養細胞またはその乾燥物からグラブリジ
ンを抽出する方法である。抽出溶媒としてはメタノー
ル、エタノール等の低級脂肪族アルコールのほか、アセ
トン、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム等を用
いることができる。培養細胞からのグラブリジン抽出
は、甘草からグラブリジンを抽出する場合よりも容易で
あり、短時間で抽出を終えることができる。抽出液から
溶媒を減圧下に留去して得られた濃縮液またはその乾燥
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相クロマ
トグラフィー等で分別し、ベンゼン−ヘキサン混合溶媒
等から結晶化させると、精製グラブリジンを得ることが
できる。 【0015】しかしながら、培養物からグラブリジンを
採取する方法は上記方法に限られるわけではなく、培養
物全体を対象とする抽出、培養細胞を高圧処理または酵
素処理により破壊したものを対象とする抽出、その他任
意の方法を採用することができる。 【0016】 【実施例】以下、実施例を示して本発明を説明する。 【0017】参考例1 甘草(Glycyrrhiza glabra L.)の葉の組織片を70%
エタノールに数秒間浸漬し、滅菌水で3回洗浄した。次
いで有効塩素1.5%含有次亜塩素酸ナトリウム水溶液
に浸漬して殺菌し、滅菌水で3回洗浄した。得られた滅
菌組織を数mm角に細断し、ベンジルアデニン1mg/
l、ナフチル酢酸10mg/l、ショ糖3%(w/
v)、および寒天0.9%(w/v)を加えたムラシゲ
とスクーグ寒天培地上に置床し、25℃の暗所で1カ月
間静置培養した。 【0018】培地上に形成されたカルス10gを採取
し、それを液体培地(上記寒天培地から寒天だけを除い
た組成のもの)400mlに投入し、25℃の暗所で18
0rpmの回転振盪培養を4週間続けた。 【0019】培養物を遠心分離して培養細胞100g
(新鮮重量)を得、これをメタノール1000mlに浸漬
し、50℃に24時間保ってグラブリジンを抽出した。
抽出残渣について同じ操作を3回繰り返し、得られた抽
出液を合わせて減圧下に濃縮乾固し、抽出物3.5gを
得た。この抽出物を少量のメタノールに溶解し、シリカ
ゲルカラム(メルク社製)にかけ、クロロホルム/メタ
ノール混合液(20/1)を用いて溶出させ、主成分ピーク
を分画し、この画分をさらに逆相カラム(マイクロボン
ダパックC18,ミリポア社製)にかけ、50%アセト
ニトリルの移動相で主成分ピークを分取した。この画分
の溶媒を減圧下に留去し、残渣をベンゼン−ヘキサン混
合溶媒で再結晶精製して、グラブリジンの無色板状結晶
50mgを得た。 【0020】参考例2 上記参考例1の場合と同様にして得られた甘草のカルス
10gを、窒素の総量は変えずに硝酸態窒素対アンモニ
ア態窒素の比率を種々変更した5種類の液体培地(基本
組成はムラシゲとスクーグの液体培地)により、参考例
1と同様の培養を行なった。 【0021】培養終了後、培養細胞を収穫し、凍結乾燥
して収量を測定した後、メタノール抽出を行なった。得
られた抽出物中のグラブリジン含有率(重量%,乾量基
準)をHPLCで分析した結果を表1に示す。 【0022】 【表1】硝酸態窒素/アンモニア態窒素 収量(g/l) グラブリジン含有率(%) 0/100 3.5 0.02 25/75 5.8 0.1 50/50 10.5 1.0 75/25 11.5 1.3 100/0 6.3 1.5 【0023】実施例1、参考例3 参考例1 の場合と同様にして得られた甘草のカルス10
gを、ショ糖3%、カイネチン1mg/l、2,4−ジ
フェノキシ酢酸10mg/lを加えたムラシゲとスクー
グの液体培地400mlで、実施例1と同様にして培養
した。培養開始から4週間後に、滅菌した2%酵母エキ
ス水溶液40mlを培地に加え、さらに2日間培養を続
けた。その後、培養細胞を収穫し、凍結乾燥物をメタノ
ールで抽出処理した。 【0024】比較のため、2%酵母エキス水溶液の代わ
りに滅菌水を加えたほかは上記と同様の培養を行い、得
られた培養細胞について同様のメタノール抽出を行なっ
た。各例抽出物についてグラブリジンの定量を行なった
結果を表2に示す。 【0025】 【表2】酵母エキスの添加 グラブリジン含有率(重量%) 有り 2.5 無し 1.0 【0026】 【発明の効果】本発明によれば、供給や品質の安定性に
欠ける輸入甘草に依存することなしにグラブリジンを製
造することができるから、グラブリジンの工業的な計画
生産が従来よりもはるかに容易になる。また、甘草の培
養組織からは、培養条件を選ぶことにより天然の甘草の
抽出物よりもグラブリジン含有率に優れかつ安定した組
成の抽出物が得られるから、抽出物など、未精製のまま
のグラブリジンの利用が容易になる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 甘草( Glycyrrhiza glabra L. )を寒天
培地で組織培養し、形成されたカルスを、硝酸態窒素お
よびアンモニア態窒素を100:0ないし50:50の
比率で含有する液体培地で培養し、液体培養を開始して
から2〜8週間後に、培地中の濃度が0 . 01〜5 . 0重
量%になる量の酵母エキスを液体培地に添加し、引き続
き培養を行なったのち得られた培養物からグラブリジン
を採取することを特徴とするグラブリジンの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10456495A JP3517307B2 (ja) | 1995-04-06 | 1995-04-06 | グラブリジンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10456495A JP3517307B2 (ja) | 1995-04-06 | 1995-04-06 | グラブリジンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08275792A JPH08275792A (ja) | 1996-10-22 |
JP3517307B2 true JP3517307B2 (ja) | 2004-04-12 |
Family
ID=14383960
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10456495A Expired - Fee Related JP3517307B2 (ja) | 1995-04-06 | 1995-04-06 | グラブリジンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3517307B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20100221363A1 (en) * | 2007-07-18 | 2010-09-02 | Trifolio-M Gmbh | Process for the production of a storage stable fungicidal extract of glycyrrhiza glabra for the control of phytopathogenic fungi and other plant diseases |
-
1995
- 1995-04-06 JP JP10456495A patent/JP3517307B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH08275792A (ja) | 1996-10-22 |
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