JP3502587B2 - 高純度羅漢果配糖体を含有する甘味料組成物 - Google Patents

高純度羅漢果配糖体を含有する甘味料組成物

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fruit extract
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショ糖よりもエネ
ルギーが低く、ショ糖にきわめて近い甘味質を有し、高
品質で十分な甘味強度を示し、かつ安全性が高い甘味料
およびその製造方法に関する。より詳細には、羅漢果エ
キス、羅漢果エキスを含有する甘味料組成物およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から甘味料としては、ショ糖、異性
化糖などを甘味源としたものが、一般に市販されてい
る。ショ糖は人間が長年にわたって最も慣れ親しんでき
た甘味料であり、甘味質も良好で安価であるといった特
長を有する。
【0003】しかし、近年では、消費者の低甘味嗜好の
高まり、ショ糖の摂り過ぎによる健康面への懸念に対す
る認識などの要因により、「ショ糖控えめ」、「ショ糖
未使用」などを表記した食品が数多く上市されるように
なってきた。
【0004】実際、わが国の食糧事情は「飽食の時代」
を反映し、エネルギーの過剰摂取が日常化しており、高
エネルギーの摂取および脂質エネルギー比率の増加は、
生活習慣病の発生に寄与することが明確にされている。
【0005】生活習慣病の発症数は毎年増加の傾向を示
している。生活習慣病のなかでも、わが国の糖尿病につ
いては、「糖尿病の可能性を否定できない人」の人数が
1300万人以上を数えるようになった。さらに、糖尿
病と肥満とはきわめて密接な関係があること、すなわ
ち、現在または過去に肥満を経験した人は、糖尿病にな
る割合がきわめて高いことが報告されている(厚生省保
健医療局、糖尿病実態調査の概要)。
【0006】肥満および過体重は、糖尿病だけでなく高
血圧、高脂血症などの生活習慣病に顕著に寄与してお
り、日本および西欧に居住する人々を中心とした世界中
の人々の健康に負担および損失をもたらしている。
【0007】したがって、エネルギー摂取を制限されて
いる人(例えば、肥満症患者および糖尿病患者)、ダイ
エットを要求される人などは、自らが疾病に罹るのを予
防するため、自らの疾病を改善するため、または健康管
理をするために、ショ糖および脂質の摂りすぎは好まし
くなく、生活スタイルの改善を推進し健康的な生活を取
り戻すことが重要であるといわれている。
【0008】近年では、生活習慣病が実年層(50代か
ら60代)の成人だけでなく、幼年層(20歳未満)お
よび若年層(20代から30代)の年齢層の人々までが
生活習慣病予備軍となっていることも重要な問題とされ
ている。従って、幼年層のような低年齢層の頃からエネ
ルギーバランスを考慮した日常の食生活を行ない、生活
習慣病を予防することが大切である。
【0009】これらのことから、ショ糖に代わる甘味
料、特に低エネルギーの甘味料、および摂取後に血液中
の血糖値およびインスリン濃度に影響を及ぼさない甘味
料の開発が要求されてきた。
【0010】以下、本明細書中では、このように、ショ
糖よりも実質的にエネルギーが低い甘味料組成物をエネ
ルギー抑制甘味料という。ここで「エネルギー」とは、
人間がある物質を一定量(例えば、100グラム)を飲
食した場合に体内に吸収されかつ代謝により生体内に放
出される熱量をいう。
【0011】しかし、エネルギー抑制甘味料には様々な
問題がある。最も大きな問題は甘味質の問題である。人
間はショ糖の甘味質に極めて慣れ親しんでしまっている
ため、ショ糖と少しでも異なる甘味質を有する甘味料に
は違和感を感じやすいからである。以下に従来の各種の
エネルギー抑制甘味料について具体的に説明する。
【0012】現在、ショ糖に代わる甘味料のほとんど
は、ソルビトール、キシリトール、マルチトール(還元
麦芽糖水飴)、エリスリトールなどの難消化性糖類、お
よびそれらに高甘味度甘味料を併用した甘味料である。
多種類の甘味料がショ糖に代わる低エネルギー甘味料と
して市販されている。
【0013】ソルビトールおよびキシリトールのエネル
ギーはいずれもショ糖の3/4、マルチトールのエネル
ギーはショ糖の1/2であり、ショ糖と比較すると低エ
ネルギーであるという利点がある。さらにこれらの難消
化性糖類は、刺激がなく、後味が残らないマイルドな甘
味質を有するという利点がある。しかし、これらの難消
化性糖類の甘味強度はいずれもショ糖の60〜70%に
過ぎない。このため、マルチトール、キシリトール、お
よびソルビトール単独の系では、使用量が多くなる欠点
があり、ショ糖に代わる甘味料として好ましくない。
【0014】エネルギーゼロの甘味料としては、エリス
リトールが使用されている。エリスリトールは4炭糖の
糖アルコールであり、自然界に広く分布している。現
在、エリスリトールはブドウ糖を原料として、酵母によ
る発酵法で工業的な生産が行われている。
【0015】経口摂取されたエリスリトールの大部分
は、小腸で吸収された後、生体内で酵素作用を受けにく
いために、その90%以上が代謝されることなくそのま
ま速やかに尿中に排泄される。そのため、エリスリトー
ルは、実質的にほとんどエネルギーを有していない。
【0016】エリスリトールの利点としては、経口摂取
したエリスリトールが、大腸に達する割合が少ないため
に、マルチトールおよびソルビトールよりも緩下作用を
起こしにくいこと、非う蝕性であるので虫歯の原因にな
らず口腔衛生的に好適であること、血中の血糖値やイン
スリン濃度に影響を及ぼさないこと、などの生理的特性
がある。
【0017】エリスリトールは加えて、吸湿性がほとん
どないこと、耐熱性がすぐれているので加熱による着色
および変色をほとんどもたらさないこと、などのすぐれ
た物理的特性も有する。
【0018】これらのことから、エリスリトールは上述
の難消化性糖類のなかでも、唯一の安全性の高いゼロエ
ネルギーの甘味料として脚光を浴びており、卓上甘味
料、菓子類、飲料類などの幅広い分野で利用されてい
る。
【0019】しかし、エリスリトールの甘味強度は、シ
ョ糖の約70%に過ぎない。さらに甘みの残留性が著し
く弱いという欠点がある。すなわち、エリスリトールを
口に含んでも甘さを感じる時間が短く、ほとんど後に引
かず、きわめてあっさりとした甘味質である。したがっ
て、エリスリトールを単独で甘味料として利用すると、
甘味強度に対して物足りなさを感じることがある。ま
た、甘味強度が弱いために、特に料理などへの使用量が
多くなる欠点がある。そのため、ショ糖に代わる甘味料
としては不十分である。
【0020】これに対して、ショ糖の数百倍もの甘味強
度を有する高甘味度甘味料が開発され、甘味料組成物に
利用されている。高甘味度甘味料は、一般的に人工甘味
料(すなわち、合成甘味料)と天然甘味料とに分類する
ことができる。
【0021】人工の高甘味度甘味料としては、サッカリ
ン、アスパルテームなどをあげることができる。
【0022】サッカリンは古くから使用されている人工
甘味料であり、昭和16年にはたくあん漬への添加使用
が、次いで昭和21年には一般飲食物への添加使用が可
能となり、昭和23年には食品添加物に指定された。し
かし、発癌性があると疑われているので、現在、国内で
は使用対象品目が制限され、使用基準量にも制限が設け
られている。
【0023】アスパルテームは、1981年米国FDA
によって認可された人工甘味料であるが、認可を受ける
まで、神経伝達系統に障害を生じる点に対して激しい論
争がなされてきた。日本では昭和58年に食品添加物と
しての認可を受けた。アスパルテームは、pH6で10
0℃に加熱すると分解することが知られており、安定性
の面においても問題がある。
【0024】このように、人工の高甘味度甘味料には、
絶えず安全性に対する評価をめぐる議論がつきまとって
いる。完全に安全性が確認された人工の高甘味度甘味料
はない。
【0025】一方、天然の高甘味度甘味料としては、甘
草抽出物、ステビア抽出物、羅漢果エキスなどがある。
これらの植物由来の天然の高甘味度甘味料は人体に対し
て安全性が高い。
【0026】甘草は豆科に属する多年生植物であり、そ
の甘味成分であるグリチルリチンは甘草の根茎中に含有
されている。しかし、その甘味質はショ糖を代表とする
糖類の甘味質とは異なり、甘味がいつまでも残留し、多
量に使用すると苦みを感じたり、頬の両壁に収斂味を感
じることがある。
【0027】ステビアはキク科の多年生植物であり、そ
の甘味成分はステビオサイドおよびレバウディオサイド
類である。ステビアの甘味成分のなかでもステビオサイ
ドは、強い苦みおよび渋味を有する。それゆえ、レバウ
ディオサイド類の含有量を高めたり、グルコシル基、フ
ルクトシル基などをステビオサイドおよびレバウディオ
サイド類に対して酵素結合させることにより、ステビア
抽出物の甘味質を改善させる研究がなされてきた。
【0028】しかし、これらの植物由来の抽出物は、シ
ョ糖の甘味質と比較した場合、甘味の残留性だけでな
く、基本の9要素からなる甘味質、すなわち「後引き、
しつこさ、くせ、渋味、刺激、すっきり感、まろやか
さ、こく、および苦み」のいずれかの項目において劣っ
ており、ショ糖の代替品として用いられる甘味料として
不十分である。
【0029】天然の高甘味度甘味料のなかでも特に羅漢
果エキスは、通常、羅漢果の乾燥果実から得られ、強い
甘味質を有する薬用の甘味料として知られている。羅漢
果エキスは、もともと古代より中国の民間薬として広く
利用されている。羅漢果エキスは、人に対して有益な効
果が期待できることから、菓子類、飲料類、シロップな
どの甘味成分として用いることが提案されてきた(特開
昭53−9352および特開昭53−9359)。具体
的には、例えば、飲料用に、羅漢果エキスをペースト状
にまで濃縮した羅漢果ペーストエキスを希釈して利用す
ることが行われている。羅漢果エキスを濃縮せずに用い
る場合には羅漢果エキスの貯蔵運搬にコストがかかるた
め、および羅漢果エキスに微生物が発生し易く、羅漢果
エキスの品質が低下し易いためである。
【0030】しかし、羅漢果エキスは以下の欠点を有し
ている。つまり、黒砂糖などの焦げ味に似た羅漢果特有
の焦げ味、独特の匂い、苦み、甘みの残留性などがある
ため、飲食の際に非常に不快感を伴う。さらに、羅漢果
エキスの添加により飲食物が黄褐色に呈色するために食
品への利用には適さない場合が多い。
【0031】これに対して、添加剤により羅漢果ペース
トエキスの甘味質を改善した甘味料組成物が提案されて
いる。例えば、特公昭54−14562号公報には、羅
漢果エキスにステビオサイドなどを配合することによ
り、甘味料組成物の焦味が改善されたことが記載されて
いる。しかし、この甘味料組成物の焦味は改善された
が、この甘味料組成物の甘味質(例えば、後引き、しつ
こさ、くせ、渋味、刺激、すっきり感、まろやかさ、こ
く、および苦み)の改善は不十分であり、長年、慣れ親
しんできたショ糖の甘味質よりも著しく劣る。
【0032】さらに、特開平11−46701号公報
は、羅漢果エキス中に含有されるグリコサイド(配糖
体)の甘味成分を分画、精製、および粉末乾燥させた羅
漢果配糖体を開示する。この配糖体は、従来の羅漢果エ
キスに比べてその独特の焦味、匂い、苦み、甘さの残留
性などが弱い。この羅漢果配糖体とエリスリトールを用
いれば良好な甘味質を有し、安全性の高い低エネルギー
甘味料が提供できる。
【0033】グリコサイド(配糖体)を甘味の主成分と
する羅漢果配糖体は、羅漢果ペーストエキスよりも甘味
質が良好であり、独特の焦味、匂い、苦み、および甘さ
の残留性が羅漢果ペーストエキスよりも良好である。し
かし、甘味質の基本性能である「後引き、しつこさ、く
せ、渋味、刺激、すっきり感、まろやかさ、こく、およ
び苦み」の全ての点から総合的に評価すると、依然とし
てショ糖よりも劣る。
【0034】これらのことから、安全性に懸念がなく、
従来の甘味料と比較して生理的および物理的特性に遜色
なく、ショ糖とほぼ同等の甘味質を有するエネルギー抑
制甘味料が依然として要求されている。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ショ糖より
もエネルギーを実質的に抑制し得る甘味料組成物であっ
て、ショ糖に酷似する甘味質を有し、安全性が高く、か
つ従来の甘味料と比較して生理的および物理的特性に遜
色のないエネルギー抑制甘味料組成物を提供することを
目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、羅漢果エキスを含有する甘味料組成物は、甘味
質の基本性能である「後引き、しつこさ、くせ、渋味、
刺激、すっきり感、まろやかさ、こく、および苦み」の
いずれの評価に対してもショ糖にきわめて近い甘味質を
有し、安全性が高く、さらに、一般の甘味料と生理的お
よび物理的特性に遜色のないエネルギー抑制甘味料であ
ることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至
った。
【0037】本発明の羅漢果エキスは、甘味料組成物を
調製するための羅漢果エキスであって、モグロサイド
V、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV
およびシアメノサイドIの合計含有量が、33重量%以
上である。
【0038】1つの実施態様では、上記モグロサイド
V、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV
およびシアメノサイドIの合計含有量は、35重量%以
上であり得る。
【0039】本発明の甘味料組成物は、上記の羅漢果エ
キスを含有する。
【0040】1つの実施態様では、上記羅漢果エキス
は、未乾燥羅漢果の果実由来であり得る。
【0041】1つの実施態様では、さらに、補助甘味成
分を含有し得る。好ましい実施態様では、上記補助甘味
成分は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、および糖アルコ
ール類からなる群より選択される少なくとも1種であり
得る。
【0042】本発明の方法は、甘味料組成物の製造方法
であって、羅漢果の果実から羅漢果エキスを抽出する工
程を包含し、ここで、該羅漢果エキス中のモグロサイド
V、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV
およびシアメノサイドIの合計含有量が、33重量%以
上である。
【0043】1つの実施態様では、上記モグロサイド
V、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV
およびシアメノサイドIの合計含有量は、35重量%以
上であり得る。
【0044】1つの実施態様では、上記羅漢果の果実
は、未乾燥羅漢果の果実であり得る。
【0045】1つの実施態様では、さらに、抽出された
羅漢果エキスに補助甘味成分を添加する工程を包含し得
る。好ましい実施態様では、上記補助甘味成分は、単糖
類、二糖類、オリゴ糖類、および糖アルコール類からな
る群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0046】本発明の食品は、上記の羅漢果エキスを含
有する。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0048】本発明においては、他に特定されない限
り、当該分野で公知である、配糖体の抽出および分画方
法、ならびに甘味料の調製方法などが採用され得る。こ
れらの手法は、市販のカラムなどを使用して行い得る。
【0049】本発明の羅漢果エキスは、モグロサイド
V、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV
およびシアメノサイドIからなる群より選択される1種
以上の配糖体を含有する。
【0050】「羅漢果配糖体」とは、羅漢果に含まれる
任意の配糖体をいい、モグロサイドV、モグロサイドI
V、11−オキソ−モグロサイドV、シアメノサイドI
などの高甘味度を有する配糖体を包含する。本明細書に
おいて「配糖体」との用語は配糖体の混合物をも包含す
る。
【0051】モグロサイドV、モグロサイドIV、11
−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノサイドIは、
以下の一般式で示される。
【0052】
【化1】
【0053】「羅漢果エキス」とは、モグロサイドV、
モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドVおよ
びシアメノサイドIの合計含有量が33重量%以上、好
ましくは35重量%以上である羅漢果エキスをいう。
【0054】従来の羅漢果エキスとは異なり、本発明の
羅漢果エキスは、特定の甘味成分を選択的に高純度で含
有するために、羅漢果エキスの有する独特の著しい焦
味、匂い、苦み、甘みの残留性などが弱く、さらに、し
つこさ、くせ、渋味、刺激、すっきり感、まろやかさ、
およびこくのいずれの評価においてもきわめてすぐれて
いる。
【0055】羅漢果(学名:Momordicae G
rosvenori)は、ウリ科の多年生草本の薬用植
物であり、古代より中国の民間薬として広く利用されて
おり、現在でも中国広西省チアン族自治区の桂林周辺の
高冷地で栽培される特産品の一つである。羅漢果の果実
の有する薬効は、のどの荒れおよび痛みの緩和、咳止
め、去痰、気管支炎の緩和、扁桃腺炎の緩和、解熱、胃
腸の機能促進、ストレス解消、利尿、便秘解消など多数
にのぼる。近年ではさらに、羅漢果の果実には、高血圧
症、糖尿病などを防止する作用、老化防止作用、フリー
ラジカル消去作用および抗過酸化効果などを有する成分
が含まれていることが明らかになっている(「基礎と臨
床」27(8)、3159−3166(1993))。
【0056】羅漢果配糖体は、一般には黄色〜黄褐色粉
末の形状である。羅漢果配糖体は、例えば、羅漢果の果
実を洗浄し、粉砕した後、水で抽出して得られた抽出液
について濾過、カラム吸収、カラム分離、回収、濃縮、
乾燥などの工程を行なうことにより製造される。羅漢果
配糖体は、日本国内で市販品として入手可能である。
【0057】一般に、羅漢果の品種(なかでも長灘果が
最優良品種とされる)、気温、降雨量などの栽培気象条
件、羅漢果が栽培される産地の土壌および生態環境、羅
漢果の果実の収穫時期および完熟度、羅漢果の果実を加
熱乾燥する工程の有無などは、羅漢果の果実に含まれる
甘味成分の含有割合を顕著に変化させ、抽出により得ら
れる羅漢果エキスの甘味質に対して著しい影響を与え
る。
【0058】本発明の好ましい実施態様では、羅漢果の
果実を収穫後に乾燥することなく、配糖体の抽出工程を
行う。乾燥処理を施されていない羅漢果の果実を原料と
することにより、上述の種々の条件の影響を受けずに、
良好な甘味質を有する羅漢果エキスが得られる。本発明
に用いられる羅漢果の果実の水分含量は、代表的には約
30%、好ましくは約50%以上、より好ましくは約7
0%以上である。1つの好ましい実施態様では、羅漢果
の果実の水分含量は、約70%〜80%である。完熟し
た羅漢果の果実を原料とすることが好ましい。当業者
は、羅漢果が完熟していることを、果実の色合い、果実
の形状などから経験的に判断し得る。
【0059】本発明の羅漢果エキスは、モグロサイド
V、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV
およびシアメノサイドIの合計含有量が33重量%以上
になるように、例えば、抽出・濾過・濃縮・分離・精製
・乾燥などの製造諸工程を行なうことによって得られ
る。本発明の羅漢果エキスは、当業者に公知の抽出およ
び分離方法を用いて製造され得る。
【0060】具体的には、例えば、本発明の羅漢果エキ
スは、以下の方法により得られ得る。羅漢果の果実をメ
タノール抽出してメタノールエキスを得る。メタノール
エキスを水と混合し、N−ヘキサンで脱脂する。脱脂後
のメタノールエキスをカラムクロマトグラフィーにかけ
て80%メタノール、100%メタノール、およびアセ
トンで順次溶出し、粗配糖体画分である80%メタノー
ル画分を得る。得られた粗配糖体画分をメタノールに溶
解した後、シリカゲルと混合し、乾燥し、次いでこのシ
リカゲルをクロロホルム−メタノールの混合溶媒で溶出
することにより、配糖体画分を得る。得られた配糖体画
分を液体クロマトグラフィーにかけることにより、さら
に高純度の配糖体画分を入手し得る。
【0061】本発明の甘味料組成物は、羅漢果エキスを
含有するエネルギー抑制甘味料である。本明細書中で
「甘味料組成物」とは、食品に甘味をつけるために用い
られる組成物をいう。本発明の甘味料組成物は、低エネ
ルギー甘味料組成物であってもよいし、ゼロエネルギー
甘味料組成物であってもよい。あるいは、本発明の甘味
料組成物は、甘味料組成物の単位重量あたりのエネルギ
ーはショ糖とほぼ同等であっても、甘味強度がショ糖よ
りも著しく高いために、甘味料組成物の使用量がきわめ
て少量ですみ、絶対使用量を減らすことができる甘味料
組成物であってもよい。栄養改善法によれば、栄養成分
が少ないことを強調する表示の基準として、「低」、
「軽」、「ひかえめ」、「低減」、「カット」、「オ
フ」などのエネルギー表示は、甘味料組成物100gあ
たりのエネルギーが40kcal以下(ただし飲用に供
する食品は20kcal以下)と定められている。
「無」、「ゼロ」、「ノン」などのエネルギー表示は、
甘味料組成物100gあたりのエネルギーが5kcal
以下とされている。好ましい実施態様では、本発明の甘
味料組成物は、100gあたりのエネルギーが「ゼロ」
または「低」を強調して表示できる甘味料組成物であり
得る。
【0062】本発明の甘味料組成物は、液体(すなわ
ち、シロップ状)、半固体または固体(例えば、粉末
状、顆粒状、結晶状、六角形の形態など)の形態であり
得る。当業者は、甘味料組成物の用途に応じて、甘味料
組成物の形態を適宜選択し得る。
【0063】本発明の甘味料組成物における羅漢果エキ
スの含有量は、製品の形態および用途によって異なり、
当業者によって適宜選択され得る。例えば、卓上用の固
体の高甘味度甘味料として用いる場合、本発明の甘味料
組成物は羅漢果エキス単独からなり得る。すなわち、羅
漢果エキスの含有量は100重量%であり得る。一般的
な卓上用の粉末または顆粒状低エネルギー甘味料および
低エネルギーシロップ類などとして用いる場合は、甘味
料組成物全体における羅漢果エキスの含有量は、代表的
には約0.001〜約5.0重量%、好ましくは約0.
005〜約3.0重量%、さらに好ましくは約0.01
〜約0.8重量%である。
【0064】本発明の甘味料組成物は、さらに補助甘味
成分を含有し得る。補助甘味成分の例としては、単糖
類、二糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類などの糖質が
挙げられる。単糖類としては、果糖、ブドウ糖、キシロ
ース、ソルボース、ガラクトース、異性化糖などがあ
る。二糖類としては、麦芽糖、乳糖、トレハロース、シ
ョ糖、異性化乳糖、パラチノースなどがある。オリゴ糖
類としては、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ダイ
ズオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラクトスクロース、
ガラクトオリゴ糖、ラクチュロース、パラチノースオリ
ゴ糖、シュクロオリゴ糖、テアンオリゴ糖、海藻オリゴ
糖などがある。糖アルコール類としては、マルチトー
ル、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、パラ
チニットなどがある。
【0065】補助甘味成分の含有量および種類は、意図
される甘味料組成物の形態および用途によって、当業者
により適宜選択され得る。低エネルギーの甘味料組成物
を調製する場合、補助甘味成分の含有量は、該成分の種
類により異なるが、甘味料組成物100gあたり約40
kcal以下となるように選択される。卓上用の粉末ま
たは顆粒状でかつゼロエネルギーの甘味料組成物を調製
する場合は、例えば、補助甘味成分としてエリスリトー
ルを甘味料組成物全体の99重量%以上で配合し、これ
に羅漢果エキスを配合し得る。
【0066】本発明の甘味料組成物が液体の形態である
場合、さらに増粘成分を含有し得る。増粘成分の例とし
ては、寒天、カラギーナンなどの海藻抽出物;ローカス
トビーンガム、グアガムなどの植物種子多糖類;キサン
タンガム、ジェランガムなどの微生物多糖類;およびゼ
ラチンなどのタンパク質類が挙げられる。
【0067】増粘成分の含有量は、該成分の種類により
異なるが、甘味料組成物全体の重量のうちの約5重量%
以下、代表的には約0.03〜約1.0重量%、好まし
くは約0.05〜約0.5重量%である。増粘成分の含
有量が約5重量%を超えると、甘味料組成物の粘度が高
くなりすぎるために好ましくない。
【0068】本発明の甘味料組成物は、さらに、添加物
を含有し得る。添加物の例としては、香料、果汁、およ
び色素が挙げられる。香料の例としては、オレンジ香
料、アップル香料、ブルーベリー香料などの果実系香
料;シナモン香料などのハーブ系香料が挙げられる。果
汁の例としては、みかん、バナナ、ストロベリーなどを
搾汁して得られた果汁が挙げられる。果汁含量は、甘味
料組成物全体のエネルギーを考慮して決定される。色素
の例としては、アントシアニン系色素、フラボノイド系
色素、ベタシアニン系色素などが挙げられる。
【0069】本発明の甘味料組成物は、酸化防止剤、防
腐剤、pH調整剤などの成分の1種以上をさらに含み得
る。
【0070】本発明の甘味料組成物は、その形態に適切
な、当業者に公知の方法を用いて製造される。例えば、
固体状の甘味料組成物の場合、代表的には、羅漢果エキ
ス、ならびに必要に応じて他の成分を混合することによ
り製造される。固体状の甘味料組成物は、必要に応じて
賦形され得る。液体状の甘味料組成物の場合、代表的に
は、羅漢果エキス、ならびに必要に応じて他の成分と必
要量の水とを混合して溶解させることにより製造され
る。当業者は、目的とする甘味料組成物の形態および用
途に応じて適切な製造方法を選択し得る。
【0071】例えば、卓上用の粉末または顆粒状でかつ
ゼロエネルギーの甘味料組成物を調製する場合は、代表
的には以下のように製造する。羅漢果エキスは、あらか
じめ、50重量%のエタノール溶液に溶解させておく。
まず、約99.0〜約99.5重量%の補助甘味成分で
あるエリスリトールをナウタミキサーに投入する。甘味
料組成物のうちの約0.1〜約0.5重量%にあたる羅
漢果エキスをエタノール溶液として、ナウタミキサーに
附属させたマイクロインジェクションから連続噴霧し、
エリスリトールに対して羅漢果エキスのエタノール溶液
を均一に噴霧コーティングする。その後、約50℃〜約
60℃を保持して真空乾燥を行い、エタノールおよび水
分を完全に除去した後、冷却する。所定の分量に計量お
よび包装して製品に仕上げる。
【0072】例えば、低エネルギーでかつ液体状の甘味
料組成物を調製する場合は、代表的には、少量(例え
ば、約0.001〜約0.5重量%)の羅漢果エキス
と、結晶が発生しない程度の量の補助甘味成分(例え
ば、マルチトール、エリスリトールなど)と、水とを混
合して溶解させることにより製造する。
【0073】例えば、アイスコーヒー、アイスティー用
などに用いられるゼロエネルギーでかつ液体ポーション
シロップタイプの甘味料組成物を調製する場合は、代表
的には以下のように製造する。まず、約15〜約20重
量%の補助甘味成分(例えば、エリスリトール)および
約0.001〜約0.5重量%の羅漢果エキスと必要量
の水とを混合して溶解させる。溶解後、必要に応じてキ
サンタンガムなどの増粘剤を約0.1〜約0.5重量%
徐々に攪拌しながら溶解させ、シロップを得る。次に、
得られたシロップを熱殺菌処理(例えば140℃4秒
間)した後、所定のポーションパックに無菌充填する。
【0074】本発明の食品は、羅漢果エキスを含有す
る。本明細書において「食品」とは、食用に供され得る
任意のものをいう。食品の例としては、加熱料理;清涼
飲料、機能性飲料、ゼリー飲料などの飲料類;洋菓子
類、和菓子類などの菓子類;ヨーグルトなどの乳製品;
調味料;健康食品;特別用途食品(特定保健用食品)が
挙げられる。本発明の食品における羅漢果エキスの含有
量は、食品の形態および用途によって異なり、当業者に
よって適宜選択され得る。例えば、一般的な清涼飲料、
機能性飲料、ゼリー飲料などの飲料類の場合は、飲料全
体における羅漢果エキスの含有量は、代表的には約0.
001〜約2.0重量%、好ましくは約0.005〜約
1.0重量%、さらに好ましくは約0.01〜約0.5
重量%の割合である。
【0075】本発明の食品は、当業者に公知の方法を用
いて製造され得る。当業者は、食品の形態および種類に
応じて適切な製造方法を選択し得る。ここで、羅漢果エ
キスは任意の方法で食品に配合され得る。
【0076】本発明の甘味料組成物に含有する羅漢果エ
キスは、一般的なショ糖に代わる甘味料として、加熱料
理、洋菓子類、和菓子類、飲料類、乳製品、調味料など
の食品用途、健康食品用途、特別用途食品(特定保健用
食品)などにも広く利用され得る。本発明の羅漢果エキ
スは、加熱に対して安定であり、褐変および着色を生じ
ないことから、上記用途に特に有用である。
【0077】また、本発明の羅漢果エキスを含有するエ
ネルギー抑制甘味料組成物は、エネルギー摂取が制限さ
れている人(例えば、糖尿病または肥満症の患者など)
およびダイエットが要求される人を対象として広く利用
され得る。本発明の甘味料組成物は、安全性に対する懸
念がなく、人に対して有益な効果が期待できるため、従
来の甘味料よりも非常に優れている。
【0078】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、これら実施例は例示のみを意図しており、本
発明の範囲を限定しない。本発明の範囲内の他の局面、
利点、および改変は、本発明に関係する分野の当業者に
は明らかである。
【0079】(製造例1:羅漢果配糖体の単離)羅漢果
エキス中に含有される甘味成分の定量分析および各甘味
成分の甘味質評価試験を実施する場合、モグロサイド
V、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイドV
およびシアメノサイドIの甘味標準物質が必要不可欠と
なる。しかし、これらの甘味標準物質は市販されていな
いために、本発明者らによって下記のような分画・分取
方法で各標準品を入手した。
【0080】すなわち、羅漢果の未乾燥果実をメタノー
ルで抽出し、メタノールエキスを得た。メタノールエキ
スを水と混合し、N−ヘキサンで脱脂した。脱脂された
メタノールエキスを、多孔性樹脂(DIAION HP
−20カラムクロマト、三菱化学製)にかけ、80%メ
タノール、100%メタノール、およびアセトンの順に
溶出させ、粗配糖体画分である80%メタノール画分を
得た。
【0081】得られた粗配糖体画分のうちの10gを1
0〜50mLのメタノールに十分に溶解させ、乳棒を用
いて乳鉢中のシリカゲル(Silicagel60、7
0〜230mesh、MERCK製)50gと混ぜ合わ
せた。適量のメタノールを加えてよく混合した後、80
〜90℃の条件下で撹拌しながら十分に乾燥させた。シ
リカゲル粒子が均一になるまで乳棒ですりつぶした後、
300gのシリカゲルを充填したガラスカラム(Ф40
×750mm、桐山化学)の上部開口部に、上記の乾燥
させたシリカゲル粒子を追充填した。
【0082】次に、クロロホルム(片山化学、試薬特級)
−メタノール−水を15:6:1の容積比で混合した分
画溶媒を上記カラムに3L流して溶出させた後、クロロ
ホルム−メタノール−水を15:9:2の容積比で混合
した分画溶媒を5L流して溶出させた。
【0083】溶出液は、フラクションコレクターを用い
て約13mL/8分の流速で、計約500本の試験管に
回収した。約10本おきに溶出液の一部を順相系の薄層
クロマトグラフィー(以下、TLCと称する)(Sil
icagel 60F254、MERCK製)にかけて分
析することにより、羅漢果配糖体のスポットを確認し
た。この結果に基づいて、得られた約500本の試験管
に含まれる溶出液を次に示したA〜Eの5フラクション
にまとめ、分取した。
【0084】AフラクションはNo.001〜242、
BフラクションはNo.243〜305、Cフラクショ
ンはNo.306〜348、DフラクションはNo.3
49〜470、そしてEフラクションはNo.471〜
LASTとした。
【0085】「シアメノサイドI」および「モグロサイ
ドIV」を単離するためには、Bフラクションを、オク
タデシルシリル(以下、ODSと称する)カラム(Li
Chroprep RP−18、40〜63μm、ME
RCK)を用いる逆相カラムクロマトグラフィーにより
分取した。すなわち、BフラクションをODSカラムに
かけ、メタノール−水を56:44の容積比で混合した
分画溶媒を1.5L、およびメタノールを0.5L順次
用いて溶出させ、溶出液を約13mLずつ約100本の
試験管に回収した。約5本おきに溶出液の一部を順相系
TLCにかけることにより羅漢果配糖体のスポットを確
認し、さらに溶出液の一部について液体クロマトグラフ
ィー(LC)分析を行うことにより、「シアメノサイド
I」または「モグロサイドIV」が完全に単離されてい
ることを確認し、その結果、上記の約100本の試験管
に含まれる溶出液を次のB−1からB−9に示す9個の
フラクションにまとめ、分取した。
【0086】9つのフラクションは、No.01〜21
をフラクションB−1、No.22〜26をフラクショ
ンB−2、No.27〜30をフラクションB−3、N
o.31〜32をフラクションB−4、No.33〜3
9をフラクションB−5、No.40〜43をフラクシ
ョンB−6、No.44〜45をフラクションB−7、
No.46〜63をフラクションB−8、そしてNo.
64〜LastをフラクションB−9とした。
【0087】「シアメノサイドI」はフラクションB−
3に含まれているので、このフラクションを再度カラム
クロマトグラフィーにかけ、メタノール−水=54:4
6(1.5L)の溶媒で溶出させ、溶出液を約100本
の試験管に回収し、上記と同様にTLCにかけてシアメ
ノサイドIのスポットを確認し、そしてLCにかけてシ
アメノサイドIが単離されていることを確認した。この
結果に基づいて約100本の試験管に含まれる溶出液を
4つのフラクションに分けた。No.42〜53のフラ
クションにシアメノサイドIが含まれており、このフラ
クションを乾燥することにより、高純度(純度97.4
%)の「シアメノサイドI」を単離した。
【0088】「モグロサイドIV」はフラクションB−
8に含まれているので、このフラクションを再度カラム
クロマトグラフィーにかけ、メタノール−水=54:4
6(1.5L)の溶媒で溶出させ、溶出液を約100本
の試験管に回収し、上記と同様にTLCにかけてモグロ
サイドIVのスポットを確認し、そしてLCにかけてモ
グロサイドIVが単離されていることを確認した。この
結果に基づいて約100本の試験管に含まれる溶出液を
4つのフラクションに分けた。No.57〜68のフラ
クションにモグロサイドIVが含まれており、このフラ
クションを乾燥することにより、高純度(純度95.5
%)の「モグロサイドIV」を単離した。
【0089】「11−オキソ−モグロサイドV」を単離
するためには、CフラクションをODSカラムを用いる
逆相カラムクロマトグラフィーにより分取した。すなわ
ち、CフラクションをODSカラムにかけ、メタノール
−水を52:48の容積比で混合した分画溶媒を1.5
L、およびメタノールを0.5L順次用いて溶出させ、
溶出液を約13mLずつ約100本の試験管に回収し
た。約5本おきに溶出液の一部を順相系TLCにかける
ことにより「11−オキソ−モグロサイドV」のスポッ
トを確認し、さらに溶出液の一部についてLC分析を行
うことにより11−オキソ−モグロサイドVが完全に単
離されていることを確認し、その結果、上記の約100
本の試験管に含まれる溶出液を次のC−1からC−4に
示す4個のフラクションにまとめ、分取した。
【0090】4つのフラクションは、No.01〜37
をフラクションC−1、No.38〜50をフラクショ
ンC−2、No.51〜59をフラクションC−3、そ
してNo.60〜LastをフラクションC−4とし
た。
【0091】「11−オキソ−モグロサイドV」はフラ
クションC−2に含まれているので、このフラクション
を再度逆相カラムクロマトグラフィーにかけ、メタノー
ル−水=52:48(1.5L)の溶媒で溶出させ、溶
出液を約100本の試験管に回収し、上記と同様に順相
系TLCにかけて11−オキソ−モグロサイドVのスポ
ットを確認し、そしてLCにかけて11−オキソ−モグ
ロサイドVが単離されていることを確認した。この結果
に基づいて約100本の試験管に含まれる溶出液を4つ
のフラクションに分けた。No.38〜53のフラクシ
ョンに11−オキソ−モグロサイドVが含まれており、
このフラクションを乾燥することにより、高純度(純度
99.3%)の「11−オキソ−モグロサイドV」を単
離した。
【0092】「モグロサイドV」を単離するためには、
DフラクションをODSカラムを用いる逆相カラムクロ
マトグラフィーにより分取した。すなわち、Dフラクシ
ョンをODSカラムにかけ、メタノール−水を54:4
6の容積比で混合した分画溶媒を1.5L、およびメタ
ノールを0.5L順次用いて溶出させ、溶出液を約13
mLずつ約100本の試験管に回収した。約5本おきに
溶出液の一部を順相系TLCにかけることにより「モグ
ロサイドV」のスポットを確認し、さらに溶出液の一部
についてLC分析を行うことによりモグロサイドVが単
離されていることを確認し、その結果、上記の約100
本の試験管に含まれる溶出液を次のD−1からD−6に
示す6個のフラクションにまとめ、分取した。
【0093】6つのフラクションは、No.01〜16
をフラクションD−1、No.17〜22をフラクショ
ンD−2、No.23〜26をフラクションD−3、N
o.27〜32をフラクションD−4、No.33〜4
5をフラクションD−5、そしてNo.46〜Last
をフラクションD−6とした。
【0094】「モグロサイドV」はフラクションD−5
に含まれているので、このフラクションを再度逆相カラ
ムクロマトグラフィーにかけ、メタノール−水=54:
46(1.5L)の溶媒で溶出させ、溶出液を約100
本の試験管に回収し、上記と同様に順相系TLCにかけ
てモグロサイドVのスポットを確認し、そしてLCにか
けてモグロサイドVが単離されていることを確認した。
この結果に基づいて約100本の試験管に含まれる溶出
液を5つのフラクションに分けた。No.35〜45の
フラクションにモグロサイドVが含まれており、このフ
ラクションを乾燥することにより、高純度(純度97.
3%)の「モグロサイドV」を単離した。
【0095】モグロサイドV、モグロサイドIV、11
−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノサイドIの構
造解析は、赤外線吸収スペクトル(IR)および核磁気
共鳴分光装置(NMR)を用いて行なった。上記で得た
モグロサイドV、モグロサイドIV、11−オキソ−モ
グロサイドVおよびシアメノサイドIの純度測定は、高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して行な
った。
【0096】(実施例1:甘味強度の測定)Pauli
の全系列法(澱粉糖関連工業分析法(株式会社食品化学
新聞社発行))による官能試験により、上記製造例1で
羅漢果の果実から分画および精製した高甘味度甘味成分
であるモグロサイドV、モグロサイドIV、11−オキ
ソ−モグロサイドVおよびシアメノサイドIの甘味強度
を測定した。その結果、10%ショ糖水溶液と同等の甘
味強度を得るために必要なモグロサイドV水溶液の濃度
は0.03重量%であって、11−オキソ−モグロサイ
ドVでは0.15重量%であって、モグロサイドIVで
は0.04重量%であって、そしてシアメノサイドIで
は0.02重量%であった。
【0097】従って、モグロサイドVはショ糖の約33
0倍、11−オキソ−モグロサイドVはショ糖の約70
倍、モグロサイドIVはショ糖の約250倍、そしてシ
アメノサイドIはショ糖の約500倍の甘味強度を有す
ると計算され、非常に甘味強度が高いことがわかる。
【0098】(比較例1:甘味強度の測定)実施例1と
同様に、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸ジカ
リウム、およびレバウディオサイドAの甘味強度を測定
した。その結果、10%ショ糖水溶液と同等の甘味強度
を得るために必要なサッカリンナトリウム水溶液の濃度
は0.03重量%、グリチルリチン酸ジカリウムでは
0.04重量%、そしてレバウディオサイドでは0.0
3重量%であった。
【0099】従って、サッカリンナトリウムはショ糖の
約330倍、グリチルリチン酸ジカリウムはショ糖の約
250倍、そしてレバウディオサイドはショ糖の約33
0倍の甘味強度を有する。
【0100】(実施例2および比較例2)以下に示す方
法により、ショ糖10重量%溶液と同等の甘味強度の各
種甘味料水溶液を調製した。
【0101】(実施例2:羅漢果配糖体を含有する甘味
料水溶液の調製)容量100mLのガラス製ビーカー
に、上記製造例1で羅漢果の果実から分画および精製し
た高甘味度甘味成分であるモグロサイドV、モグロサイ
ドIV、11−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノ
サイドIの高純度品を、それぞれ以下の表1の実施例2
のサンプルA〜サンプルDに示す重量で加え、所定量の
精製水に十分に溶解させることにより、サンプルA〜サ
ンプルDの甘味料水溶液をそれぞれ100g得た。
【0102】(比較例2:サッカリンナトリウム、グリ
チルリチン酸ジカリウムまたはレバウディオサイドAを
含有する甘味料水溶液の調製)高甘味度甘味成分を表1
の比較例2に示すように、サッカリンナトリウム、グリ
チルリチン酸ジカリウムまたはレバウディオサイドAに
変更したこと以外は実施例1と同様に操作して、比較例
の甘味料水溶液サンプルE〜サンプルGをそれぞれ10
0g得た。ここで使用したサッカリンナトリウム、グリ
チルリチン酸ジカリウムおよびレバウディオサイドA
は、それぞれ片山化学社製試薬、丸善製薬社製の製品、
および守田化学工業社製の製品を用いた。
【0103】
【表1】
【0104】(実験例1:甘味料水溶液の評価)熟練し
た男性の被験者11名および熟練した女性の被験者4名
の合計15名の被験者によって、実施例2および比較例
2で得られた甘味料水溶液について9要素の味覚に対し
て官能試験を実施した。ショ糖の10重量%水溶液を基
準溶液として、各種甘味料水溶液を試飲し、味覚の9要
素、すなわち、「苦み、後引き、しつこさ、く
せ、渋味、刺激、すっきり感、まろやかさ、お
よびこく」のそれぞれについて7段階の点数(0点〜
6点)で評価した。ショ糖10重量%水溶液を基準溶液
として比較を行ない、「ショ糖溶液よりもきわめて好
評」を0点、「ショ糖溶液よりもかなり好評」を1点、
「ショ糖溶液よりもやや好評」を2点、「ショ糖溶液と
変わらない」を3点、「ショ糖溶液よりもやや不評」を
4点、「ショ糖溶液よりもかなり不評」を5点、そして
「ショ糖溶液よりもきわめて不評」を6点として評価し
た。
【0105】さらに、各要素別に得られた評価点数を基
にしてレーダーチャートを作成した。すなわち、甘味質
を構成する9要素を9本の軸で表し、被験者によって評
価された順位の平均値をこの軸上にプロットし、このプ
ロットを互いに結んで9角形の曲線を画いた。この9角
形に囲まれる面積を算出した。この場合、9要素のいず
れも外側に値するほど甘味質が不評であり、内側に値す
るほど甘味質が好評であることを意味する。したがっ
て、9角形に囲まれる面積は、甘味質が好評であるほど
減少する。
【0106】評価の結果を図1および表2に示す。図1
には、上記実施例2および比較例2で得られた甘味料水
溶液の甘味質を構成する9要素に対するレーダーチャー
トを示した。表2には、甘味質を構成する9要素に対し
て、被験者によって評価された順位の平均値、およびレ
ーダーチャートから求めた面積値を示した。
【0107】
【表2】
【0108】図1および表2から明らかなように、羅漢
果果実から分画精製したモグロサイドV、モグロサイド
IV、11−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノサ
イドIの高純度品を含む実施例1のサンプルA〜サンプ
ルDは、味覚の9要素、すなわち、「苦み、後引
き、しつこさ、くせ、渋味、刺激、すっきり
感、まろやかさ、およびこく」のいずれの要素に対
しても評価点数4.00以下を示した。また、レーダー
チャートからの面積値は、サンプルA〜サンプルDの順
に40、42、45および45と低い値を示した。
【0109】これらのことから、サンプルA〜サンプル
Dは、ショ糖の甘味質(評価点数3.00)と類似した
すぐれた甘味質を示す甘味料水溶液であることがわかっ
た。
【0110】一方、サッカリンナトリウム(サンプル
E)、グリチルリチン酸ジカリウム(サンプルF)およ
びレバウディオサイドA(サンプルG)を甘味成分とす
る比較例1に示した甘味料水溶液の甘味質は、いずれも
高純度品の高甘味度甘味料を甘味成分とするにも関わら
ず、味覚の9要素に対する評価点数が4.00以上を示
す要素が認められた。サンプルEは、特に苦みに対する
点数が高く、後引き、くせ、および渋味に対しても高い
点数が得られた。サンプルFでは、後引き、しつこさ、
くせ、およびすっきり感に対して点数が高かった。サン
プルGでは、後引き、およびくせにおいて点数が高かっ
た。また、サンプルE〜サンプルGのレーダーチャート
からの面積値は、順に55、59、および49であった
ので、比較例1の甘味質は、ショ糖の甘味質と比較して
劣っていた。
【0111】(実施例3:甘味強度の測定)未乾燥羅漢
果の果実を原料として抽出および精製を行ない、表3の
実施例3のサンプルH〜サンプルJに示した含有割合で
モグロサイドV、モグロサイドIV、11−オキソ−モ
グロサイドVおよびシアメノサイドIを含有する羅漢果
エキスを得た。
【0112】
【表3】
【0113】実施例1と同様に、得られた羅漢果エキス
の甘味強度を測定した。その結果、10%ショ糖水溶液
と同等の甘味強度を得るために必要なサンプルHは0.
11重量%であって、サンプルIは0.07重量%であ
って、そしてサンプルJは0.05重量%であった。
【0114】従って、サンプルHはショ糖の約90倍、
サンプルIはショ糖の約140倍、そしてサンプルJは
ショ糖の約200倍の甘味強度を有する。
【0115】(比較例3:甘味強度の測定)未乾燥羅漢
果の果実を原料として抽出および精製を行ない、表3の
比較例のサンプルKおよびサンプルLに示した含有割合
でモグロサイドV、モグロサイドIV、11−オキソ−
モグロサイドVおよびシアメノサイドIを含有する羅漢
果エキスを得た。
【0116】実施例1と同様に、羅漢果エキスの甘味強
度を測定した。その結果、10%ショ糖水溶液と同等の
甘味強度を得るために必要なサンプルKは0.23重量
%、であり、そしてサンプルLは0.20重量%であっ
た。
【0117】従って、サンプルKはショ糖の約43倍、
そしてサンプルLはショ糖の約50倍の甘味強度を有す
る。
【0118】(実施例4および比較例4)以下に示す方
法により、ショ糖10重量%溶液と同等の甘味強度の各
種羅漢果エキス水溶液を調製した。
【0119】(実施例4:羅漢果エキス水溶液の調製)
容量100mLのガラス製ビーカーに、上記実施例3で
得られたサンプルH〜サンプルJの羅漢果エキスおよび
精製水を、以下の表4の実施例4のサンプルH〜サンプ
ルJに示す重量で加え、十分に溶解させ、サンプルH〜
サンプルJの羅漢果エキス水溶液をそれぞれ100g得
た。
【0120】(比較例4:羅漢果エキス水溶液の調製)
得られたサンプルKおよびサンプルLの羅漢果エキスを
表4の比較例4に示す重量で用いたこと以外は実施例4
と同様に操作し、比較例4のサンプルKおよびサンプル
Lの羅漢果エキス水溶液をそれぞれ100g得た。
【0121】
【表4】
【0122】(実験例2:羅漢果エキス水溶液の評価)
実施例4で得られた羅漢果エキス水溶液および比較例4
で得られた羅漢果エキス水溶液についての官能試験を、
実験例1と同様にして、熟練した被験者15名による9
要素の味覚に対して行い、それぞれの要素に対して7段
階の点数(0点〜6点)で評価した。さらに、各要素別
に得られた評価点数を基にしてレーダーチャートを作成
した。
【0123】結果を図2および表5に示す。図2には、
上記実施例4で得られた羅漢果エキス水溶液および比較
例4で得られた羅漢果エキス水溶液の甘味質を構成する
9要素に対するレーダーチャートを示した。また、表5
には、甘味質を構成する9要素に対して、被験者によっ
て評価された順位の平均値、およびレーダーチャートか
ら求めた面積値を示した。
【0124】
【表5】
【0125】図2および表5から明らかなように、羅漢
果の甘味成分であるモグロサイドV、モグロサイドI
V、11−オキソ−モグロサイドV、およびシアメノサ
イドIの合計含有量が35重量%以上である、実施例4
のサンプルH〜サンプルJは、味覚の9要素、すなわ
ち、苦み、後引き、しつこさ、くせ、渋味、
刺激、すっきり感、まろやかさ、およびこくの
いずれに対しても評価点数4.00以下を示し、レーダ
ーチャートからの面積値も約40と低い値を示した。
【0126】これらのことから、サンプルH〜サンプル
Jの羅漢果エキス水溶液は、ショ糖の甘味質(評価点数
3.00)と類似したすぐれた甘味質を示す水溶液であ
ることがわかった。
【0127】一方、羅漢果の甘味成分であるモグロサイ
ドV、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロサイド
V、およびシアメノサイドIの合計含有量が35重量%
以上という条件を満足しない、比較例4のサンプルKお
よびサンプルLは、味覚の9要素のほとんどに対して、
評価点数が4.00または5.00以上を示した。モグ
ロサイドV、モグロサイドIV、11−オキソ−モグロ
サイドV、およびシアメノサイドIの合計含有量がわず
か16.0重量%であるサンプルKは、特に「苦み」お
よび「くせ」に対する点数が著しく高く、「すっきり
感」、「まろやかさ」、「渋み」および「後引き」に対
しても高い評価点数を示した。上記合計含有量が29.
2%のサンプルLでは、「苦み」および「くせ」に対し
て点数が高かった。また、サンプルKおよびサンプルL
のレーダーチャートからの面積値は、順に67および6
3であり、これらの甘味質はショ糖の甘味質と比較して
著しく劣っていた。
【0128】(実施例5:本発明の羅漢果エキスを含有
する甘味料製剤の調製)容量1000mLのジャケット
加熱式ステンレスニーダーに、エリスリトール(日研化
学)、還元麦芽糖水飴(サンエイ糖化)、ポリデキスト
ロース(カルター・フード・サイエンス)、羅漢果エキ
ス(中国広西桂林師範大学より入手)、ステビア抽出物
(レバウディオA9−90CT、守田化学工業)および
精製水を、以下の表6の実施例5のサンプルM〜サンプ
ルOに示す重量で加えた。
【0129】必要に応じて50℃まで加温しながら、こ
の混合物を攪拌して完全に溶解させ、サンプルM〜サン
プルOの3種の甘味料製剤をそれぞれ1000g得た。
【0130】(比較例5:従来の羅漢果エキスを含む甘
味料製剤の調製)甘味料成分を表6に示すように変更し
たこと以外は、実施例5と同様に操作し、比較例5のサ
ンプルP〜サンプルRの3種の甘味料製剤をそれぞれ1
000g得た。従来の羅漢果エキスは、日本粉末薬品
(株)から、サッカリンナトリウムは育和化学(株)か
ら、そして甘草抽出物は丸善製薬(株)から購入した。
【0131】
【表6】
【0132】(実験例3:甘味料製剤の評価)実施例5
および比較例5で得た甘味料製剤の官能試験を、実験例
1および実験例2と同様にして、熟練した被験者15名
による9要素の味覚に対して行い、それぞれの要素に対
して7段階の点数(0点〜6点)で評価した。さらに、
各要素別に得られた評価点数を基にしてレーダーチャー
トを作成し、その面積値を求めた。
【0133】上記実施例5および比較例5の官能試験に
よる評価点数の測定は、いずれもショ糖10重量%水溶
液と同等の甘味強度になるように調製した後、試験した
ものである。
【0134】結果を図3および表7に示す。図3には、
実施例5および比較例5で得られた甘味料製剤の甘味質
を構成する9要素に対するレーダーチャートを示した。
また、表7には、甘味質を構成する9要素に対して、被
験者によって評価された順位の平均値、およびレーダー
チャートから求めた面積値を示した。
【0135】
【表7】
【0136】図3および表7から明らかなように、本発
明の羅漢果エキスを含む実施例5のサンプルM〜サンプ
ルOは、苦み、後引き、しつこさ、くせ、渋
味、刺激、すっきり感、まろやかさ、こく、の
いずれに対しても評価点数3.40以下を示した。
【0137】また、サンプルM〜サンプルOのレーダー
チャートからの面積値は、順に35、31、35であ
り、ショ糖に近い数値を示した。
【0138】これらのことから、サンプルM〜サンプル
Oは、ショ糖の甘味質(評価点数3.00)に、きわめ
て類似したすぐれた甘味質を示す甘味料製剤であること
がわかった。
【0139】一方、還元麦芽糖水飴をベースとしてサッ
カリンナトリウムを配合した甘味料製剤(サンプル
P)、還元麦芽糖水飴をベースとして羅漢果エキスを配
合した甘味料製剤(サンプルQ)および還元麦芽糖水飴
をベースとして甘草抽出物を配合した甘味料製剤(サン
プルR)の甘味質は、味覚の9要素に対する評価点数の
ほとんどが4.00以上を示した。また、サンプルP〜
サンプルRのレーダーチャートからの面積値は、順に5
9、86および58の順であり、比較例5のサンプルP
〜サンプルRの甘味質は、ショ糖の甘味質と比較して著
しく劣っていた。
【0140】
【発明の効果】本発明により、安全性が高く、ショ糖に
近い上質な甘味質を有する甘味料組成物が提供される。
低エネルギー甘味料組成物およびゼロエネルギー甘味料
組成物も容易に提供される。特に低エネルギー甘味料組
成物は、肥満症患者および糖尿病患者のような、エネル
ギー摂取を制限されている人およびダイエットを要求さ
れる人に有利に使用され得る。
【0141】糖類の中でショ糖が最も吸収され易いの
で、他の甘味料よりも100gあたりのエネルギーが高
いことが当該分野で公知である。羅漢果エキス中の配糖
体の100gあたりの詳細なエネルギーは未知である
が、およそショ糖のエネルギー(400kcal/10
0g)と同等以下であると考えられている。モグロサイ
ドVはショ糖の約330倍の甘味強度を有し、モグロサ
イドIVは約250倍、11−オキソ−モグロサイドV
は約70倍、そしてシアメノサイドIは約500倍であ
る。従って、同じ甘味強度で比較すると、モグロサイド
Vはショ糖の約330分の1未満のエネルギー、モグロ
サイドIVは約250分の1未満、11−オキソ−モグ
ロサイドVは約70分の1未満、そしてシアメノサイド
Iは約500分の1未満のエネルギーである。従って、
本発明のエキスおよび甘味料はエネルギー抑制に極めて
有効である。
【0142】本発明の羅漢果エキスは、羅漢果の果実か
ら得られる植物系の高甘味度甘味料であるために、安全
性が高いだけでなく、従来の羅漢果エキスに比べてきわ
めて甘味質が良好である。
【0143】さらに、羅漢果の有する薬効作用による高
血圧症、糖尿病などを防止する作用、老化防止作用など
の有益な効果が期待される。これらの理由から、本発明
の甘味料組成物は、多くの需要があると考えられ、商業
的にも非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2および比較例2で得られた甘味料水
溶液のレーダーチャートである。
【図2】 実施例4で得られた羅漢果エキス水溶液およ
び比較例4で得られた羅漢果エキス水溶液のレーダーチ
ャートである。
【図3】 実施例5および比較例5で得られた甘味料製
剤のレーダーチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神田 博史 広島県広島市東区牛田早稲田3−3−3 −102 (56)参考文献 特開 昭53−34966(JP,A) 特開 昭52−83986(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/22 - 1/236 A23L 1/30 A61K 35/78

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 甘味料組成物を調製するための羅漢果エ
    キスであって、モグロサイドV、モグロサイドIV、1
    1−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノサイドIの
    合計含有量が、33重量%以上である、羅漢果エキス。
  2. 【請求項2】 前記モグロサイドV、モグロサイドI
    V、11−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノサイ
    ドIの合計含有量が、35重量%以上である、請求項1
    に記載の羅漢果エキス。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の羅漢果エキス
    を含有する、甘味料組成物。
  4. 【請求項4】 前記羅漢果エキスが、未乾燥羅漢果の果
    実由来である、請求項3に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 さらに、補助甘味成分を含有する、請求
    項3または4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記補助甘味成分が、単糖類、二糖類、
    オリゴ糖類、および糖アルコール類からなる群より選択
    される少なくとも1種である、請求項5に記載の組成
    物。
  7. 【請求項7】 甘味料組成物の製造方法であって、羅漢
    果の果実から羅漢果エキスを抽出する工程を包含し、こ
    こで、該羅漢果エキス中のモグロサイドV、モグロサイ
    ドIV、11−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノ
    サイドIの合計含有量が、33重量%以上である、方
    法。
  8. 【請求項8】 前記モグロサイドV、モグロサイドI
    V、11−オキソ−モグロサイドVおよびシアメノサイ
    ドIの合計含有量が、35重量%以上である、請求項7
    に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記羅漢果の果実が、未乾燥羅漢果の果
    実である、請求項7または8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 さらに、抽出された羅漢果エキスに補
    助甘味成分を添加する工程を包含する、請求項7〜9の
    いずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記補助甘味成分が、単糖類、二糖
    類、オリゴ糖類、および糖アルコール類からなる群より
    選択される少なくとも1種である、請求項10に記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 請求項1または2に記載の羅漢果エキ
    スを含有する、食品。
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