JP3498359B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP3498359B2
JP3498359B2 JP11548794A JP11548794A JP3498359B2 JP 3498359 B2 JP3498359 B2 JP 3498359B2 JP 11548794 A JP11548794 A JP 11548794A JP 11548794 A JP11548794 A JP 11548794A JP 3498359 B2 JP3498359 B2 JP 3498359B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンチスキッド制御装
置に関し、特にアンチスキッド制御中に路面の摩擦係数
が変化した際に対処できるアンチスキッド制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の制動時に、ブレーキ圧
力を好適に調節して、制動距離を短く制御するアンチス
キッド制御装置が知られている。このブレーキ圧力の調
節は、次のように行われている。即ち、車両のすべての
車輪の車輪速度の内の最大速度と路面摩擦係数に対応す
る限界減速度勾配により演算される車速とのいずれか高
い方の速度を推定車体速度として設定し、この推定車体
速度に応じて設定された所定範囲から各車輪速度が低下
した場合には該当車輪のブレーキ圧力を減圧制御し、上
昇した場合には該当車輪のブレーキ圧力を増圧制御して
いる。
【0003】路面摩擦係数は、本出願人が先に出願した
特願平5−310457号により、アンチスキッド制御
に入る直前に、車輪の内、最大車輪速度を示している車
輪の減速度から求められ、直後のアンチスキッド制御中
において推定車体速度を設定するのに用いられる。した
がって、アンチスキッド制御中に路面摩擦係数が変化す
ると、推定車体速度に不都合な値が設定されることにな
り、好適な制御とならない恐れがある。
【0004】これを解決するものとして、アンチスキッ
ド制御中の路面摩擦係数の変化を捉える装置が提案され
ている(特開昭61−9365号)。この装置は、ブレ
ーキ圧力減圧後、ある一定時間経過した時点で基準車輪
速度(推定車体速度)と車輪速度との速度差の総和(積
算値)が所定値以下で有れば路面摩擦係数が高いもので
あると判定し、そうでなければ路面摩擦係数が低いもの
であると判定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、同一の路面摩
擦係数であっても、上記速度差の総和がある限られた一
定時間経過時に常に同一となるとは限らず、その一定時
間以後の状態に路面摩擦係数が反映する場合もあった。
このため、上記従来装置では、正確に路面摩擦係数の変
化を捉えることができなかった。
【0006】本発明は、アンチスキッド制御中に、正確
に路面摩擦係数の変化を捉えてアンチスキッド制御に反
映させるためのアンチスキッド制御装置を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
図1に例示するごとく、車両の制動時に、当該車両の各
車輪の車輪速度に基づいて推定車体速度を算出するとと
もに、この推定車体速度に応じて設定される基準速度と
各車輪速度との比較、および基準加速度と各車輪加速度
との比較により、当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも
減圧,増圧して調節し、各車輪に過度のスリップが発生
することを防止するアンチスキッド制御を実行する車両
用アンチスキッド制御装置において、上述のアンチスキ
ッド制御におけるブレーキ圧力の増圧の終了タイミング
を規定するとともに、当該終了タイミングまでにブレー
キ圧力の減圧が開始されなかった場合に、車両の走行路
面の摩擦係数が増加方向に変化したかを確認すべく、上
記終了タイミング後に更にブレーキ圧力の増圧を行う確
認用増圧手段と、上記確認用増圧手段によるブレーキ圧
力の増圧開始以後の車輪速度の落ち込み変化を検出し、
その変化が小さい場合に走行路面の摩擦係数が増加方向
に変化したと判断し、アンチスキッド制御をその変化に
対応して変更する制御変更手段とを備えることを特徴と
する車両用アンチスキッド制御装置である。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の車
両用アンチスキッド制御装置において、前記確認用増圧
手段は、前記アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の
増圧終了時の増圧勾配よりも大きい増圧勾配でブレーキ
圧力を増圧することを特徴とする車両用アンチスキッド
制御装置である。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1記載の車
両用アンチスキッド制御装置において、前記確認用増圧
手段は、前記アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の
増圧時間を計測する増圧計時手段を備え、増圧計時手段
によって計測された時間が所定時間に達した時を、ブレ
ーキ圧力の増圧の終了タイミングとすることを特徴とす
る車両用アンチスキッド制御装置である。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1記載の車
両用アンチスキッド制御装置において、前記アンチスキ
ッド制御におけるブレーキ圧力の増圧は、間欠的に行わ
れるものであり、前記確認用増圧手段は、前記アンチス
キッド制御によるブレーキ圧力の増圧において、間欠的
に行われた増圧の回数が所定回数に達したときを、ブレ
ーキ圧力の増圧の終了タイミングとすることを特徴とす
る車両用アンチスキッド制御装置である。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項1記載の車
両用アンチスキッド制御装置において、前記制御変更手
段は、車輪速度の落ち込み変化を、上記確認用増圧手段
によるブレーキ圧力の増圧開始以後の所定期間内に上記
アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の減圧の開始の
有無によって検出し、減圧が開始されなかった場合に、
車輪速度の落ち込み変化が小さいと判断することを特徴
とする車両用アンチスキッド制御装置である。
【0012】請求項6記載の発明は、請求項1もしくは
請求項5記載の車両用アンチスキッド制御装置におい
て、前記確認用増圧手段によるブレーキ圧力の増圧によ
って、アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の減圧が
行われた場合に、前記制御変更手段は、そのブレーキ圧
力の減圧に応じて車輪速度が上昇する際の車輪速度の復
帰加速度によって前記車輪速度の落ち込み変化を検出
し、当該復帰加速度が所定加速度以上の場合に車輪速度
の落ち込み変化が小さいと判断することを特徴とする車
両用アンチスキッド制御装置である。
【0013】請求項7記載の発明は、請求項1もしくは
請求項5記載の車両用アンチスキッド制御装置におい
て、前記確認用増圧手段によるブレーキ圧力の増圧によ
って、アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の減圧が
行われた場合に、前記制御変更手段は、そのブレーキ圧
力の減圧に応じて車輪速度が上昇する際の車輪速度の復
帰加速度によって前記車輪速度の落ち込み変化を検出
し、当該復帰加速度の変化が所定値以上である場合に、
車輪速度の落ち込み変化が小さいと判断することを特徴
とする車両用アンチスキッド制御装置である。
【0014】請求項8記載の発明は、請求項7記載の車
両用アンチスキッド制御装置において、前記復帰加速度
の変化は、当該復帰加速度の極小から極大までに要する
時間によって検出することを特徴とする車両用アンチス
キッド制御装置である。
【0015】請求項9記載の発明は、図2に例示するご
とく、車両の制動時に、当該車両の各車輪の車輪速度に
基づいて推定車体速度を算出するとともに、この推定車
体速度に応じて設定される基準速度と各車輪速度との比
較、および基準加速度と各車輪加速度との比較により、
当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧して調
節し、各車輪に過度のスリップが発生することを防止す
るアンチスキッド制御を実行する車両用アンチスキッド
制御装置において、前記推定車体速度よりも車輪速度が
低い状態が継続している時に、推定車体速度から車輪速
度を減算した値をアンチスキッド制御中に積算する速度
差積算手段と、上述のアンチスキッド制御におけるブレ
ーキ圧力の減圧が継続する時間を計測する減圧計時手段
と、上記速度差積算手段の積算値が所定値を越えた条件
と、上記減圧計時手段により計測された時間が所定時間
以上となった条件とがともに満足された場合に、走行路
面の摩擦係数が減少方向に変化したと判断し、アンチス
キッド制御をその変化に対応して変更する制御変更手段
とを備えることを特徴とする車両用アンチスキッド制御
装置である。
【0016】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
車両用アンチスキッド制御装置において、前記速度差積
算手段は、ブレーキ圧力の減圧の開始後、増圧が開始さ
れるまでの期間の推定車体速度と車輪速度との速度差を
積算するものであることを特徴とする車両用アンチスキ
ッド制御装置である。
【0017】
【作用及び発明の効果】請求項1記載の発明は、確認用
増圧手段が、アンチスキッド制御におけるブレーキ圧力
の増圧の終了タイミングを規定するとともに、当該終了
タイミングまでにブレーキ圧力の減圧が開始されなかっ
た場合に、車両の走行路面の摩擦係数が増加方向に変化
したかを確認すべく、上記終了タイミング後に更にブレ
ーキ圧力の増圧を行う。
【0018】ブレーキ圧力の増圧が、あるタイミングま
で継続してなされ、その間に減圧がなされていない場合
は、アンチスキッド制御の直前に検出した路面摩擦係数
がアンチスキッド制御中に高くなっている可能性が考え
られる。しかし、路面摩擦係数に変化がなくても、たま
たまブレーキ圧力の増圧制御が継続する時間が長くなる
場合もある。
【0019】したがって、このときに、確認用増圧手段
は、その終了タイミング後に更にブレーキ圧力を増圧さ
せる。もし、路面摩擦係数に変化がなくて、たまたまブ
レーキ圧力の増圧制御が継続する時間が長くなった場合
には、終了タイミング後のブレーキ圧力の増加により、
たちまち車輪速度が急速に落ち込んでしまう。しかし、
実際に路面摩擦係数が高い方へ変化していた場合には、
車輪速度は急速な落ち込みは示さないか、あるいは示し
たとしてもその復帰は素早い。
【0020】したがって、制御変更手段は、確認用増圧
手段によるブレーキ圧力の増圧開始以後の車輪速度の落
ち込み変化を検出し、その変化が小さい場合に路面摩擦
係数が増加方向に変化したと判断し、アンチスキッド制
御をその変化に対応して変更する。このことにより、路
面摩擦係数の増加有無が早期に判明し、より実際に即し
た正確な路面摩擦係数に基づき、より好適なアンチスキ
ッド制御を迅速に実施することができる。
【0021】なお、確認用増圧手段は、前記アンチスキ
ッド制御によるブレーキ圧力の増圧終了時の増圧勾配よ
りも大きい増圧勾配でブレーキ圧力を増圧するものであ
ってもよい。このようにすることにより、増圧がより迅
速に車輪速度に影響するので、路面摩擦係数の増加が一
層早期に判明し、より実際に即した正確な路面摩擦係数
に基づき、より好適なアンチスキッド制御を迅速に実施
することができる。
【0022】また、確認用増圧手段は、前記アンチスキ
ッド制御によるブレーキ圧力の増圧時間を計測する増圧
計時手段を備え、この増圧計時手段によって計測された
時間が所定時間に達した時を、ブレーキ圧力の増圧の終
了タイミングとするよう構成しても良い。
【0023】更に、前記アンチスキッド制御におけるブ
レーキ圧力の増圧は、間欠的に行われるものである場合
には、前記確認用増圧手段は、前記アンチスキッド制御
によるブレーキ圧力の増圧において、間欠的に行われた
増圧の回数が所定回数に達したときを、ブレーキ圧力の
増圧の終了タイミングとするよう構成しても良い。
【0024】また、制御変更手段は、車輪速度の落ち込
み変化を、上記確認用増圧手段によるブレーキ圧力の増
圧開始以後の所定期間内に上記アンチスキッド制御によ
るブレーキ圧力の減圧の開始の有無によって検出し、減
圧が開始されなかった場合に、車輪速度の落ち込み変化
が小さいと判断しても良い。
【0025】更に、確認用増圧手段によるブレーキ圧力
の増圧によって、アンチスキッド制御によるブレーキ圧
力の減圧が行われた場合に、前記制御変更手段は、その
ブレーキ圧力の減圧に応じて車輪速度が上昇する際の車
輪速度の復帰加速度によって前記車輪速度の落ち込み変
化を検出し、当該復帰加速度が所定加速度以上の場合に
車輪速度の落ち込み変化が小さいと判断しても良い。ブ
レーキ圧力の減圧の開始の有無のみによって検出するよ
りも、一層正確な路面摩擦係数に基づき、より好適なア
ンチスキッド制御を迅速に実施することができる。
【0026】更に、上記復帰加速度の変化が所定値以上
の場合に車輪速度の落ち込み変化が小さいと判断しても
良く、より早期に路面摩擦係数の状態が検出できる。な
お、この復帰加速度の変化は、当該復帰加速度の極小か
ら極大までに要する時間によって検出してもよい。
【0027】請求項9記載の発明は、速度差積算手段
が、前記推定車体速度よりも車輪速度が低い状態が継続
している時に、推定車体速度から車輪速度を減算した値
アンチスキッド制御中に積算し、減圧計時手段が、上
述のアンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の減圧が
継続する時間を計測する。
【0028】このように、速度差積算手段は、時間に拘
束されずに推定車体速度から車輪速度を減算した値を
ンチスキッド制御中に積算しているので、推定車体速度
よりも車輪速度が低い状態が継続している限り、その積
算の状態を最初から最後までチェックできる。したがっ
て、アンチスキッド制御中の路面摩擦係数の低下を捉え
ることができる。しかも、ブレーキ圧力の減圧が継続す
る時間が所定時間以上となるということは、アンチスキ
ッド制御中に路面摩擦係数が低下した可能性を示してい
る。したがって、速度差積算手段による積算値が所定値
を越えた条件と、減圧計時手段により計測された時間が
所定時間以上となったという条件とが満足されると、制
御変更手段は、正確に、路面摩擦係数の減少方向への変
化を判定することができ、アンチスキッド制御をその変
化に対応して変更できるので、好適なアンチスキッド制
御が可能となる。
【0029】なお、速度差積算手段は、ブレーキ圧力の
減圧の開始後、増圧が開始されるまでの期間の推定車体
速度と車輪速度との速度差を積算するものでもよく、よ
り正確に路面摩擦係数の減少を判定できるデータを与え
る。
【0030】
【実施例】本発明の一実施例を図3以下に示す。図3
は、本発明の一実施例としてのアンチスキッド制御装置
の構成を示す構成図である。図3において、ブレーキペ
ダル20は、真空ブースタ21を介してマスタシリンダ
28に連結されている。したがって、ブレーキペダル2
0を踏むことによりマスタシリンダ28に油圧が発生
し、この油圧は、各車輪(左前輪FL、右前輪FR、左
後輪RL、右後輪RR)に設けられたホイールシリンダ
31,32,33,34に供給され、ブレーキ圧力が発
生する。
【0031】マスタシリンダ28は互いに同じ圧力のブ
レーキ油圧を発生する2つの圧力室(図示せず)を有
し、各圧力室にはそれぞれ供給管40,50が接続され
ている。供給管40は連通管41,42に分岐してい
る。連通管41は、電磁弁60aを介して、ホイールシ
リンダ31に連通するブレーキ管43と接続されてい
る。同様に、連通管42は、電磁弁60cを介して、ホ
イールシリンダ34に連通するブレーキ管44と接続さ
れている。
【0032】供給管50も供給管40と同様な接続関係
にあり、連通管51,52に分岐している。連通管51
は、電磁弁60bを介して、ホイールシリンダ32に連
通するブレーキ管53と接続されている。同様に、連通
管52は、電磁弁60dを介してホイールシリンダ33
に連通するブレーキ管54と接続されている。
【0033】また、ホイールシリンダ33,34に接続
されるブレーキ管54,44中には公知のプロポーショ
ニングバルブ59,49が設置されている。このプロポ
ーショニングバルブ59,49は、後輪RL、RRに供
給されるブレーキ油圧を制御して前後輪FL〜RRの制
動力の分配を理想に近づけるものである。
【0034】各車輪FL〜RRには、車輪の回転速度を
捉えるための電磁ピックアップ式の車輪速度センサ7
1,72,73,74が設置され、電子制御回路(EC
U)80にその信号が入力される。ECU80は、入力
された各車輪FL〜RRの車輪速度に基づいて各ホイー
ルシリンダ31〜34のブレーキ油圧を制御すべく、電
磁弁60a〜60dに対して駆動信号を出力する。
【0035】電磁弁60a,60b,60c,60d
は、3ポート3位置型の電磁弁で図3のA位置において
は、連通管41,42,51,52とブレーキ管43,
44,53,54とをそれぞれ連通し、B位置において
は、連通管41,42,51,52、ブレーキ管43,
44,53,54、枝管47,48,57,58間を全
て遮断する。また、C位置においては、ブレーキ管4
3,44,53,54と、枝管47,48,57,58
とをそれぞれ連通する。
【0036】枝管47,48はともに排出管81に接続
され、枝管57,58はともに排出管91に接続され
る。これら排出管81,91は、それぞれリザーバ93
a,93bに接続されている。リザーバ93a,93b
は、各電磁弁60a〜60dがC位置のとき、各ホイー
ルシリンダ31〜34から排出されるブレーキ液を一時
的に蓄えるものである。このため電磁弁60a〜60d
では、A位置においてはホイールシリンダ31〜34の
ブレーキ油圧を増圧し、B位置においてはそのブレーキ
油圧を保持し、C位置においてはそのブレーキ油圧を減
圧することができる。
【0037】ポンプ99a,99bは、リザーバ93
a,93bに蓄積されたブレーキ液を汲み上げてマスタ
シリンダ28側に還流させる。また、チェック弁97
a,98a,97b,98bは、リザーバ93a,93
bから汲み上げられたブレーキ液が、再びリザーバ93
a,93b側に逆流するのを防ぐためのものである。
【0038】なお、ストップスイッチ10は、運転者が
ブレーキペダル20を踏んでいるか否かを検出するもの
である。次に、このように構成された本実施例において
ECU80が実行されるアンチスキッド制御について図
4〜7に基づき説明する。ECU80は、マイクロコン
ピュータとして構成され、公知のCPU,ROM,RA
M,I/Oを備えている。ROMにはアンチスキッド制
御を実行するためのプログラムが格納されている。
【0039】このプログラムによる処理は図示しないイ
グニッションスイッチがオンされたときに実行される。
まず、所定の初期設定(ステップ100)の後、アンチ
スキッド制御の条件が成立しているか否かが判定される
(ステップ110)。この成立条件は、例えば後述する
推定車速(推定車体速度)VBに基づいて設定された基
準速度を車輪速度が下回り、更にその車輪の減速度が基
準減速度を越えた場合に条件が成立したものとされる。
【0040】成立していればブレーキ圧力制御(ステッ
プ120)がなされる。ここでは、スリップ率を考慮し
て上記基準速度から車輪速度VWが低下した場合にブレ
ーキ圧力を減圧制御し、減速度(加速度)がゼロとなれ
ば減圧を停止し、更に上昇した場合にはブレーキ圧力を
増圧制御することにより、路面に対して車輪のスリップ
率を好ましい範囲に収めて、最短距離で停止できる制動
制御が各車輪ごとに並行して行われる。
【0041】次に、このアンチスキッド制御のブレーキ
圧制御にて使用される推定車速VB、車輪速度VW、路面
摩擦係数μ等の算出処理について図5に基づいて説明す
る。 処理が開始されると、状態の初期設定が行われ、
演算に用いられるメモリ上の変数の初期値化、後述する
カウンタCのゼロクリア、あるいはアンチスキッド制御
に用いられる各装置の初期位置設定等の処理が実施され
る(ステップ200)。
【0042】次に車輪速度センサ71〜74の出力値が
読み込まれる(ステップ210)。この値に基づいて、
車輪速度VWおよび車輪加速度GWが演算される(ステッ
プ220)。次に推定車速VBと推定車体加速度GBとが
求められる(ステップ230)。この推定車速VBは、
アンチスキッド制御外(制動前)であれば、ステップ2
20で求められた4輪の内、最大の車輪速度(以下最大
車輪速度という)VWが設定される。車体加速度GBは、
同様に、アンチスキッド制御中で無ければ、その最大車
輪速度VWの車輪の車輪加速度GWが設定される。なお、
4輪駆動車の場合は、アンチスキッド制御外には、駆動
スリップの発生を考慮し、2番目に大きな車輪速度を推
定車速VBとする。
【0043】次にアンチスキッド制御中か否かが判定さ
れる(ステップ240)。この判定は図4のステップ1
10で肯定判定されてステップ120が繰り返し実行中
であればアンチスキッド制御中であると判定され、ステ
ップ120が繰り返し実行中で無ければアンチスキッド
制御中でないと判定される。
【0044】アンチスキッド制御中で無ければ、次に推
定路面摩擦係数μが算出される(ステップ250)。即
ち、最大車輪速度が低下しはじめる初期に、最大車輪速
度と他の車輪速度との間に所定の車速差が存在し、更に
その速度差が拡大傾向にある状態での最大車輪速度の加
速度(負の値)から推定路面摩擦係数μが求められる。
【0045】次にアンチスキッド制御が開始されたか否
かが判定される。即ち図4のステップ110にて最初に
肯定判定された直後であるか否かが判定される。開始で
無ければこのまま処理を終了して、再度ステップ210
の処理から繰り返す。直後で有れば、ステップ250で
算出した推定路面摩擦係数μの関数f1(μ)により、
限界減速度勾配VDOWNを設定する(ステップ270)。
即ち、限界減速度勾配VDOWNとは、路面が実際に推定路
面摩擦係数μと同じ摩擦係数であった場合に得られる車
両の最大の減速度(速度の下降勾配)を示すものであ
り、路面摩擦係数の大きさに対応して設定され、これ以
上の減速度で車両は減速できないことを意味する。
【0046】次にステップ210に戻り、車輪速度セン
サ71〜74の出力値が読み込まれ(ステップ21
0)、この値に基づいて車輪速度VWおよび車輪加速度
GWが演算される(ステップ220)。次に推定車速VB
と推定車体加速度GBとが求められる(ステップ23
0)。この場合、推定車速VBは、ステップ220で得
られた各車輪速度の内の最大車輪速度と、上記限界減速
度勾配VDOWNで低下させることにより得られる速度との
いずれか大きい方の値として設定される。推定車体加速
度GBも推定車速VBの選択に応じて限界減速度勾配VDO
WNまたは最大速度車輪の加速度が設定される。
【0047】次にステップ240の判定ではアンチスキ
ッド制御に入っているので、肯定判定されて推定路面摩
擦係数μが、所定路面摩擦係数μMED以下か否かが判定
される(ステップ280)。この所定路面摩擦係数μME
Dは、通常の路面として存在し得る内で中間的な摩擦係
数が設定して有る。後述する所定高摩擦係数μHiは、通
常の路面として存在し得る内で高い方の代表的あるいは
平均的な摩擦係数が設定して有る。
【0048】所定路面摩擦係数μMED以下で有れば、次
に低路面摩擦係数から高路面摩擦係数に変化する場合の
検出と推定路面摩擦係数μ設定処理(ステップ285)
が開始される。この処理を図6に示すまず、通常の増圧
制御が継続してなされている時間が所定時間経過したか
否かが判定される(ステップ290)。増圧制御の継続
時間は、ECU80内部のタイマカウンタで計時されて
いるので、その値が所定時間より長くなっているか否か
で判定する。この所定時間は、通常、増圧制御の継続時
間がとり得える値としては長い方の時間が設定されてい
る。これは、増圧制御の継続時間が長いと、実際の路面
摩擦係数が高い方へ変化した可能性が高くなるので、こ
こでその可能性の高いことを判定する。所定時間以上の
継続がない場合は、カウンタCがC>0の状態に有るか
否かが判定される(ステップ300)。ここでカウンタ
Cは後述するステップ320にて所定値Dの値が設定さ
れるものであるが、初期設定ではC≦0となっているの
で否定判定されて、次にフラグFが立っているか否かが
判定される(ステップ302)。このフラグFは低路面
摩擦係数から高路面摩擦係数に変化したことを示すフラ
グであり、後述する処理で設定されるものである。初期
設定ではフラグFはゼロクリアされているので、否定判
定されてステップ270の処理の後、再度処理はステッ
プ210から繰り返す。
【0049】なお、電磁弁60をパルス的にA位置に駆
動して増圧を行う場合には、その増圧パルスの個数をカ
ウントすることによっても、相当の増圧がなされて路面
摩擦係数が高い方へ変化した可能性が高いことを判定で
きる。増圧制御が所定時間を越えると、ステップ290
にて肯定判定され、低路面摩擦係数から高路面摩擦係数
に変更したことを判定するために、ブレーキ圧力を通常
の増圧制御よりも急速に増圧する制御を行う(ステップ
310)。
【0050】即ち、図8のタイミングチャートに実線で
示すごとく、時刻t2にて路面摩擦係数が低摩擦係数か
ら高摩擦係数に変化した場合には、アンチスキッド制御
によるブレーキ油圧の増圧制御がなされても、車輪速度
VWは低下し始めないため、路面摩擦係数がほとんど変
化しない場合に比較して、なかなか増圧制御は終了しな
い。従って時刻t1〜t3まで増圧制御が継続し、ステッ
プ290で所定時間以上の増圧制御が継続したとして、
それまでよりも急速な増圧制御を一定時間(t3〜t4)
実行する(ステップ310)。
【0051】次にカウンタCに所定値Dが設定される
(ステップ320)。この所定値Dは所定時間を計時す
るためであり、この所定時間にブレーキ圧力の減圧制御
の実行、車輪速度VWの挙動、車輪加速度GWの挙動等に
より、実際に路面摩擦係数の低側から高側への変化がな
されたか否かを判定する。なお、本実施例ではブレーキ
圧力の減圧制御の実行および車輪加速度GWの挙動によ
り、低路面摩擦係数から高路面摩擦係数への変化を判定
している。
【0052】次にステップ270を処理して、再度ステ
ップ210を開始し、ステップ290の処理に至ると、
前回のステップ290の処理で肯定判定された際に、増
圧制御の継続時間を表す計時値はクリアされているとと
もに、通常の増圧はされていないので計時もストップし
ている。このことからステップ290では否定判定され
て、カウンタCがC>0か否かが判定される(ステップ
300)。カウンタCは所定周期でカウントダウンされ
ているが、C>0である内は肯定判定されて、減圧制御
が開始されたか否かが判定される(ステップ330)。
即ち、値Dに該当する時間(t3〜t5)の間で減圧制御
が開始されたか否かが判定される。減圧制御が開始され
ない内は否定判定されてフラグFが立てられる(ステッ
プ332)。C≦0になった時点まで減圧制御が開始さ
れず、フラグFが立ったままであれば、ステップ300
にて否定判定された後、ステップ302にて肯定判定さ
れる。即ち、ステップ310の急速増圧によっても車輪
速度VWが落ち込まないほどの高摩擦係数の路面に移行
したことが判明するので、推定路面摩擦係数μに所定高
路面摩擦係数μHiが設定され(ステップ340)、更に
フラグFがゼロクリアされる(ステップ342)。
【0053】次に推定路面摩擦係数μの関数f1(μ)
により限界減速度勾配VDOWNを設定する(ステップ27
0)。ここではμ=μHiとなっているので、前回よりも
限界減速度勾配VDOWNは大きくなる。即ち、図8に示す
ように、時刻t5からは推定車速VBは限界減速度勾配V
DOWNに応じて減速度が大きくなる。このことにより、推
定車速VBは実車速に近似した挙動を示すことになり、
以後も好適なアンチスキッド制御が継続されることにな
る。即ち、高路面摩擦係数に応じた制動が可能となり、
より制動距離が短くなる。
【0054】ステップ330にて、図8に点線で示すご
とくブレーキ油圧の減圧制御が開始されたと判定された
場合には、車輪加速度GWの最大値Max(GW)が所定加
速度G1に対して、Max(GW)≧G1か否かが判定され
る(ステップ360)。この車輪加速度GWの最大値Ma
x(GW)とは、所定値Dに該当する所定時間の間の車輪
加速度GWの最大値を示すものである。即ち、ステップ
360は減圧制御が実施された場合に、その減圧制御で
の車輪速度VWの回復状態を、最大の車輪加速度Max
(GW)として検出し、回復状態が速い場合(Max(G
W)≧G1)、路面摩擦係数が低側から高側へ移行したと
判定するものである。したがってステップ360で肯定
判定されると、ステップ332にてフラグFが立てられ
る。その結果、C≦0となった時点でステップ300か
らステップ302に移り、そこで肯定判定され推定路面
摩擦係数μに所定高路面摩擦係数μHiが設定される(ス
テップ340)。その後、ステップ342でフラグFが
ゼロクリアされ、ステップ270で推定路面摩擦係数μ
の関数f1(μ)により限界減速度勾配VDOWNを設定す
る。こうして減圧制御がなかった場合と同じ処理がなさ
れ、推定車速VBは実車速に近似した挙動を示すことに
なり、以後も好適なアンチスキッド制御が継続されるこ
とになる。即ち、高路面摩擦係数に応じた制動が可能と
なり、より制動距離が短くなる。
【0055】また、ステップ360で否定判定されれ
ば、路面摩擦係数に大きな変化はないとして、フラグF
をゼロクリアし(ステップ342)、ステップ270に
移行するので、推定路面摩擦係数μは変化しない。即
ち、ステップ310のブレーキ圧力急増処理により、車
輪速度VWが落込み、推定車速VBに応じて上下に設定さ
れた所定範囲の内、図8の一点鎖線で表す下限値より
も、車輪速度VWが低下した場合に、アンチスキッド制
御のブレーキ圧力制御(ステップ120)により、ブレ
ーキ圧力は図8の点線で示すごとく低下する。このこと
により、車輪速度VWは回復するが、その回復の速さを
車輪加速度GWで捉えて、Dに対応する時間内に一度も
GW≧所定加速度G1とならなければ、即ちMax(GW)
<G1であれば、復帰速度が十分でないとして、フラグ
Fがゼロクリアされ(ステップ342)、推定路面摩擦
係数μは変化しない。図8の例でもMax(GW)が所定
加速度G1に達していないので、ステップ360では否
定判定されて推定路面摩擦係数μは変化しない。
【0056】なお、上述の実施例では、高摩擦係数の路
面への乗り移りが判明した場合には、推定路面摩擦係数
μに所定の高路面摩擦係数μHiを設定したが、変更前の
推定路面摩擦係数μに対して所定値μ0を加えたものを
新たな推定路面摩擦係数μとしてもよい。この場合に
は、増圧出力後所定時間内に減圧制御が開始されなかっ
た場合に加算すべき所定値を、減圧後の復帰加速度が所
定値以上の場合に加算すべき所定値よりも大きくしても
良い。
【0057】また増圧出力後の所定時間Dは、推定路面
摩擦係数μと増圧時間とに応じて可変としても良い。こ
の場合、推定路面摩擦係数μが高いほど所定時間Dを短
く、かつ増圧時間が長いほど所定時間Dを短くなる特性
として所定時間Dを決定する。
【0058】更に、上述の実施例では、推定路面摩擦係
数μによって限界減速度勾配VDOWNを変更することによ
って、アンチスキッド制御を高摩擦路面に適したものに
変更したが、これに代えてもしくはこれと共に、車輪の
スリップが大きくなる方向に基準速度、基準加速度等を
変更したり、減圧勾配を緩やかにしたり、あるいは増圧
勾配を急峻にしたりする等の対策を採用しても良い。
【0059】次に、アンチスキッド制御中に高路面摩擦
係数から低路面摩擦係数へ移行した場合の処理について
説明する。アンチスキッド制御に入る直前のステップ2
50にて比較的高い路面摩擦係数μ(>所定路面摩擦係
数μMED)が推定されているとすると、ステップ280
では否定判定されて、次に高路面摩擦係数から低路面摩
擦係数に変化する場合の検出と推定路面摩擦係数μ設定
処理(ステップ400)が開始される。この処理を図7
に示す。
【0060】まず推定車速VBと車輪速度VWとの関係が
VB>VWか否かが判定される(ステップ410)。VB
>VWでない場合は否定判定されて、推定車速VBから車
輪速度VWを減算した値ΔVWの積算値ΣΔVWをゼロク
リアする(ステップ420)。VB>VWであれば、推定
車速VBから車輪速度VWを減算した値ΔVWの演算がな
される(ステップ430)。次に積算値ΣΔVWの内容
に値ΔVWが加算される。即ち、VB>VWの状態が継続
する限り、ΔVWがΣΔVWに積算されて行く(ステップ
440)。
【0061】次にアンチスキッド制御のステップ120
の処理が、ブレーキ圧力の減圧制御中か否かが判定され
る(ステップ450)。減圧制御中で無ければ、タイマ
カウンタTRelがゼロクリアされる(ステップ46
0)。このタイマカウンタTRelは最初にステップ40
0の処理が実行される際にゼロクリアされ、以後所定周
期でカウントアップされる計時用のカウンタであり、減
圧制御中であってステップ450で肯定判定された場合
は、ゼロクリアされないので、減圧制御が継続している
限り、その継続時間を計時していることになる。
【0062】次に積算値ΣΔVWが所定値S1に対して、
ΣΔVW≧S1か否かが判定される(ステップ470)。
またタイマカウンタTRelが所定時間T1に対して、TRe
l≧T1か否かが判定される(ステップ480)。このス
テップ470,480の両方の条件が満足された場合は
推定路面摩擦係数μに所定低路面摩擦係数μLoが設定さ
れる(ステップ490)。ステップ470,480の一
つでも満足されないとこのまま処理を終了してステップ
270の処理に移る。即ち、図9のタイミングチャート
に示すように、推定車速VBと車輪速度VWとの差ΔVW
が正であり続けるとき(t11〜t16)に積算されたΔV
Wの値ΣΔVWが所定値S1以上となり(t14以降)、か
つブレーキ圧力が減圧制御(t12〜t15)され続けてい
る時間TRelが所定時間T1以上となったとき(t13以
降)には、高路面摩擦係数から低路面摩擦係数へ路面摩
擦係数の変化があったものとして、推定路面摩擦係数μ
に所定低路面摩擦係数μLoを設定している(ステップ4
90)。このことにより、ステップ270では、推定路
面摩擦係数μの関数f1(μ)により限界減速度勾配VD
OWNを設定するが、ここではμ=μLoであるので、前回
よりも限界減速度勾配VDOWNは小さくなる。即ち、図9
に示すように、時刻t14からは推定車速VBは限界減速
度勾配VDOWNに応じて減速度が小さくなる。このことに
より、推定車速VBは実車速に近似した挙動を示すこと
になり、以後も好適なアンチスキッド制御が継続される
ことになる。
【0063】なお、上述のようにVB>VWの関係が満足
される限り、その速度差を積算するのではなく、減圧開
始後、増圧が開始されるまでの期間における車両の速度
差を積算しても良い。これにより、演算処理を簡略化す
ることが可能となる。また、上述の実施例では、低摩擦
係数の路面への乗り移りが判明した場合には、推定路面
摩擦係数μに所定の低路面摩擦係数μLoを設定したが、
変更前の推定路面摩擦係数μに対して所定値μ1を減じ
たものを新たな推定路面摩擦係数μとしてもよい。この
場合には、積算値が大きく、かつ減圧時間が長いほど所
定値μ1を大きな値とし、積算値が小さくかつ減圧時間
が短いほど小さな値としてもよい。更に、低摩擦係数の
路面への乗り移りが判明した場合には、前述したよう
に、推定路面摩擦係数μによって限界減速度勾配VDOWN
を変更することに代えてもしくはこれと共に、車輪のス
リップが小さくなる方向に基準速度、基準加速度等を変
更したり、減圧勾配を急峻にしたり、あるいは増圧勾配
を穏やかにしたりする等の対策を採用しても良い。
【0064】なお、説明上省略したが、ステップ270
にては限界減速度勾配VDOWN以外に、推定路面摩擦係数
μに応じて限界加速度勾配VUPも算出されている。限界
加速度勾配VUPとは、路面が実際に推定路面摩擦係数μ
と同じ摩擦係数であった場合に得られる車両の最大の加
速度(車速の上昇勾配)を示すものであり、それぞれ推
定路面摩擦係数μの大きさに対応して設定され、これ以
上の減速度あるいは加速度で、車両は減速あるいは加速
できないことを意味する。従って、実際にはステップ2
30で演算される推定車速VBおよび推定車体加速度GB
は限界加速度勾配VUPにより上限が設けられている。
【0065】本実施例は上述のごとく構成されているの
で、アンチスキッド制御中においても、路面摩擦係数の
変化を検出して推定車速VBに反映させることができる
ので、常に最適な状態でアンチスキッド制御が実行で
き、制動距離も最短とすることができる。
【0066】上記実施例において、ステップ330を設
けずに、ステップ300の直後にステップ360を実施
し、Max(GW)≧G1となったか否かの判断のみで、路
面摩擦係数が低側から高側への変化を判定して、推定路
面摩擦係数μに所定高路面摩擦係数μHiを設定してもよ
い。またステップ360の代わりに、図8に示す車輪加
速度GWの極小値Xから極大値Yまでの時間が所定時間
よりも短いか否かの判定としてもよい。極小値Xから極
大値Yまでの時間が短いと車輪速度VWの回復が速いこ
とになり、路面摩擦係数が低側から高側へ移行したとみ
なせるので、推定路面摩擦係数μに所定高路面摩擦係数
μHiを設定すればよい。
【0067】このほか、ステップ360の代わりに、ブ
レーキ圧力の急速な増加(ステップ310)以後の所定
期間内の車輪速度VWの落込み変化を、車輪速度VW自体
の極小値や、元の車輪速度あるいはその近傍の速度に回
復するまでの時間で捉え、車輪速度VWの極小値が所定
値以上である場合に変化が小さいとして推定路面摩擦係
数μに所定高路面摩擦係数μHiを設定してもよいし、あ
るいは車輪速度VWが元の車輪速度あるいはその近傍の
速度に回復するまでの時間が所定時間よりも短い場合に
変化が小さいとして推定路面摩擦係数μに所定高路面摩
擦係数μHiを設定してもよい。
【0068】また、高路面摩擦係数から低路面摩擦係数
に変化する場合の検出と推定路面摩擦係数μ設定処理
(ステップ400)では、路面摩擦係数が高側から低側
へ変化したとして推定路面摩擦係数μに所定低路面摩擦
係数μLoを設定する判定をするための処理として、ステ
ップ470,480の両方の条件を満足することを必要
としたが、ステップ470の速度差積算処理のみで判断
してもよい。
【0069】上記実施例において、ECU80が確認用
増圧手段、増圧計時手段、制御変更手段、速度差積算手
段、および減圧計時手段に該当し、ステップ290,3
10が確認用増圧手段としての処理に該当し、ステップ
300,302,320,330,332,340,3
42,360,270が摩擦係数の増加に対処する制御
変更手段としての処理に該当し、ステップ410,42
0,430,440が速度差積算手段としての処理に該
当し、ステップ470,490またはステップ470,
480,490が摩擦係数の減少に対処する制御変更手
段としての処理に該当し、ステップ450,460が減
圧計時手段としての処理に該当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1の発明の基本的構成の例示図であ
る。
【図2】 請求項9の発明の基本的構成の例示図であ
る。
【図3】 アンチスキッド制御装置の一実施例の構成図
である。
【図4】 実施例で行われるアンチスキッド制御処理の
フローチャートである。
【図5】 実施例で行われる推定路面摩擦係数設定処理
および限界減速度勾配設定処理のフローチャートであ
る。
【図6】 低路面摩擦係数から高路面摩擦係数に変化す
る場合の検出と推定路面摩擦係数設定処理のフローチャ
ートである。
【図7】 高路面摩擦係数から低路面摩擦係数に変化す
る場合の検出と推定路面摩擦係数設定処理のフローチャ
ートである。
【図8】 低路面摩擦係数から高路面摩擦係数へアンチ
スキッド制御中に変化した場合の処理を表すタイミング
チャートである。
【図9】 高路面摩擦係数から低路面摩擦係数へアンチ
スキッド制御中に変化した場合の処理を表すタイミング
チャートである。
【符号の説明】
20…ブレーキペダル 21…真空ブースタ 28
…マスタシリンダ 31,32,33,34…ホイールシリンダ 60a,60b,60c,60d…電磁弁 71,72,73,74…車輪速度センサ 80…ECU
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−56265(JP,A) 特開 平1−218957(JP,A) 特開 平3−200462(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の制動時に、当該車両の各車輪の車輪
    速度に基づいて推定車体速度を算出するとともに、この
    推定車体速度に応じて設定される基準速度と各車輪速度
    との比較、および基準加速度と各車輪加速度との比較に
    より、当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧
    して調節し、各車輪に過度のスリップが発生することを
    防止するアンチスキッド制御を実行する車両用アンチス
    キッド制御装置において、 上述のアンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の増圧
    の終了タイミングを規定するとともに、当該終了タイミ
    ングまでにブレーキ圧力の減圧が開始されなかった場合
    に、車両の走行路面の摩擦係数が増加方向に変化したか
    を確認すべく、上記終了タイミング後に更にブレーキ圧
    力の増圧を行う確認用増圧手段と、 上記確認用増圧手段によるブレーキ圧力の増圧開始以後
    の車輪速度の落ち込み変化を検出し、その変化が小さい
    場合に走行路面の摩擦係数が増加方向に変化したと判断
    し、アンチスキッド制御をその変化に対応して変更する
    制御変更手段とを備えることを特徴とする車両用アンチ
    スキッド制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の車両用アンチスキッド制御
    装置において、 前記確認用増圧手段は、前記アンチスキッド制御による
    ブレーキ圧力の増圧終了時の増圧勾配よりも大きい増圧
    勾配でブレーキ圧力を増圧することを特徴とする車両用
    アンチスキッド制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の車両用アンチスキッド制御
    装置において、 前記確認用増圧手段は、前記アンチスキッド制御による
    ブレーキ圧力の増圧時間を計測する増圧計時手段を備
    え、 増圧計時手段によって計測された時間が所定時間に達し
    た時を、ブレーキ圧力の増圧の終了タイミングとするこ
    とを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の車両用アンチスキッド制御
    装置において、 前記アンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の増圧
    は、間欠的に行われるものであり、 前記確認用増圧手段は、前記アンチスキッド制御による
    ブレーキ圧力の増圧において、間欠的に行われた増圧の
    回数が所定回数に達したときを、ブレーキ圧力の増圧の
    終了タイミングとすることを特徴とする車両用アンチス
    キッド制御装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の車両用アンチスキッド制御
    装置において、 前記制御変更手段は、車輪速度の落ち込み変化を、上記
    確認用増圧手段によるブレーキ圧力の増圧開始以後の所
    定期間内に上記アンチスキッド制御によるブレーキ圧力
    の減圧の開始の有無によって検出し、減圧が開始されな
    かった場合に、車輪速度の落ち込み変化が小さいと判断
    することを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置。
  6. 【請求項6】請求項1もしくは請求項5記載の車両用ア
    ンチスキッド制御装置において、 前記確認用増圧手段によるブレーキ圧力の増圧によっ
    て、アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の減圧が行
    われた場合に、前記制御変更手段は、そのブレーキ圧力
    の減圧に応じて車輪速度が上昇する際の車輪速度の復帰
    加速度によって前記車輪速度の落ち込み変化を検出し、
    当該復帰加速度が所定加速度以上の場合に車輪速度の落
    ち込み変化が小さいと判断することを特徴とする車両用
    アンチスキッド制御装置。
  7. 【請求項7】請求項1もしくは請求項5記載の車両用ア
    ンチスキッド制御装置において、 前記確認用増圧手段によるブレーキ圧力の増圧によっ
    て、アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の減圧が行
    われた場合に、前記制御変更手段は、そのブレーキ圧力
    の減圧に応じて車輪速度が上昇する際の車輪速度の復帰
    加速度によって前記車輪速度の落ち込み変化を検出し、
    当該復帰加速度の変化が所定値以上である場合に、車輪
    速度の落ち込み変化が小さいと判断することを特徴とす
    る車両用アンチスキッド制御装置。
  8. 【請求項8】請求項7記載の車両用アンチスキッド制御
    装置において、 前記復帰加速度の変化は、当該復帰加速度の極小から極
    大までに要する時間によって検出することを特徴とする
    車両用アンチスキッド制御装置。
  9. 【請求項9】車両の制動時に、当該車両の各車輪の車輪
    速度に基づいて推定車体速度を算出するとともに、この
    推定車体速度に応じて設定される基準速度と各車輪速度
    との比較、および基準加速度と各車輪加速度との比較に
    より、当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧
    して調節し、各車輪に過度のスリップが発生することを
    防止するアンチスキッド制御を実行する車両用アンチス
    キッド制御装置において、前記推定車体速度よりも車輪
    速度が低い状態が継続している時に、推定車体速度から
    車輪速度を減算した値を前記アンチスキッド制御中に
    算する速度差積算手段と、上述のアンチスキッド制御に
    おけるブレーキ圧力の減圧が継続する時間を計測する減
    圧計時手段と、上記速度差積算手段の積算値が所定値を
    越えた条件と、上記減圧計時手段により計測された時間
    が所定時間以上となった条件とがともに満足された場合
    に、走行路面の摩擦係数が減少方向に変化したと判断
    し、アンチスキッド制御をその変化に対応して変更する
    制御変更手段とを備えることを特徴とする車両用アンチ
    スキッド制御装置。
  10. 【請求項10】請求項9記載の車両用アンチスキッド制
    御装置において、 前記速度差積算手段は、ブレーキ圧力の減圧の開始後、
    増圧が開始されるまでの期間の推定車体速度と車輪速度
    との速度差を積算するものであることを特徴とする車両
    用アンチスキッド制御装置。
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