JP3508211B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP3508211B2
JP3508211B2 JP12765994A JP12765994A JP3508211B2 JP 3508211 B2 JP3508211 B2 JP 3508211B2 JP 12765994 A JP12765994 A JP 12765994A JP 12765994 A JP12765994 A JP 12765994A JP 3508211 B2 JP3508211 B2 JP 3508211B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンチスキッド制御装
置に関し、特にアンチスキッド制御中に路面の摩擦係数
が変化した際に対処できるアンチスキッド制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の制動時に、ブレーキ圧
力を好適に調節して、制動距離を短く制御するアンチス
キッド制御装置が知られている。このブレーキ圧力の調
節は、次のように行われている。即ち、車両のすべての
車輪の車輪速度の内の最大速度(以下、「最大車輪速
度」ともいう)と路面摩擦係数に対応する限界減速度勾
配により演算される車速とのいずれか高い方の速度を推
定車速として設定し、この推定車速に応じて設定された
所定範囲から各車輪速度が低下した場合には該当車輪の
ブレーキ圧力を減圧制御し、上昇した場合には該当車輪
のブレーキ圧力を増圧制御している。
【0003】路面摩擦係数は、本出願人が先に出願した
特願平5−310457号により求められ、アンチスキ
ッド制御前および制御中において推定車速を設定するの
に用いられる。したがって、アンチスキッド制御中に路
面摩擦係数が変化すると、推定車速に不都合な値が設定
されることになり、好適な制御とならない恐れがある。
【0004】これを解決するものとして、アンチスキッ
ド制御中の路面摩擦係数の変化を捉える装置が提案され
ている(特開昭64−63451号)。この装置は、ブ
レーキ圧力の再増圧量を増圧信号が出されている時間の
総和で捉えて、疑似車速(推定車速)を設定するもので
ある。即ち、ブレーキ圧力の増圧信号が長く出されてい
れば、それだけ路面摩擦係数が高くなっているものとし
て、疑似車速の低下勾配を大きくするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、単にブレーキ
圧力の増圧時間のみで、路面摩擦係数の変化の程度を捉
えていると、正確に路面摩擦係数の変化を捉えることは
できなかった。即ち、制御のばらつきで、増圧時間も減
圧時間も長くなる場合もあり、特に路面摩擦係数の変化
が緩慢である場合には、増圧時間がそれほど長くないの
にもかかわらず、次第に無視できない路面摩擦係数の差
となる場合がある。
【0006】この様な場合は、従来のごとく増圧時間の
みで路面摩擦係数を検出していると、誤検出したり、検
出が遅延したりして、その間、適切なアンチスキッド制
御が行われない恐れがある。本発明は、アンチスキッド
制御中における緩慢な路面摩擦係数の変化を正確かつ早
期に捉えてアンチスキッド制御に反映させるためのアン
チスキッド制御装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1,請求項2記載
の発明は、図1に例示するごとく、車両の走行路面の摩
擦係数を推定する摩擦係数推定手段を備え、少なくとも
この推定された走行路面の摩擦係数に基づいて推定車体
速度の限界減速度を決定するとともに、当該推定車体速
度に応じて各車輪の基準速度を設定し、この基準速度と
各車輪速度との比較、および基準加速度と各車輪加速度
との比較により、当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも
減圧,増圧して調節し、各車輪に過度のスリップが発生
することを防止するアンチスキッド制御を実行する車両
用アンチスキッド制御装置において、上述のアンチスキ
ッド制御におけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車
輪の車輪速度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧
が開始されるまでの期間において、前記車両における複
数の車輪について同時期に、ブレーキ圧力の増圧が所定
の期間継続したかどうかを判定する同期性判定手段と、
該同期性判定手段によりブレーキ圧力の同時期な増圧が
所定の期間継続したと判定され場合に、前記摩擦係数推
定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正する高摩擦補
正手段を備えることを特徴とする車両用アンチスキッド
制御装置である。請求項2記載の発明は、 車両の走行路
面の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段を備え、少な
くともこの推定された走行路面の摩擦係数に基づいて推
定車体速度の限界減速度を決定するとともに、当該推定
車体速度に応じて各車輪の基準速度を設定し、この基準
速度と各車輪速度との比較、および基準加速度と各車輪
加速度との比較により、当該車輪のブレーキ圧力を少な
くとも減圧,増圧して調節し、各車輪に過度のスリップ
が発生することを防止するアンチスキッド制御を実行す
る車両用アンチスキッド制御装置において、 前記車両に
おける複数の車輪について、ブレーキ圧力の増圧が所定
の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手段が推定し
た摩擦係数を高い側に補正する高摩擦補正手段を備え、
該高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御におけ
るブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度が
回復してから次回のブレーキ 圧力の減圧が開始されるま
での期間において、前記車両における複数の車輪につい
て同時期に、ブレーキ圧力の増圧が所定の期間継続した
場合に、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を高
い側に補正することを特徴とする車両用アンチスキッド
制御装置である。
【0008】請求項記載の発明は、請求項1または請
求項2記載の車両用アンチスキッド制御装置であって、
前記高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御にお
けるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度
が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始される
までの期間において、前記車両における複数の車輪につ
いて同時期に、ブレーキ圧力の増圧が所定の期間継続し
た場合に、さらにその間前記複数の車輪の車輪速度が前
記推定車体速度よりも低いことを条件として、前記摩擦
係数推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正するこ
とを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置である。
【0009】請求項記載の発明は、請求項記載の車
両用アンチスキッド制御装置であって、前記推定車体速
度は、前記限界減速度に従う車体速度と各車輪速度との
大きい方に基づいて作成されるものであり、前記高摩擦
補正手段は、前記推定車体速度が前記限界減速度に従っ
て作成されたことを検知して、前記複数の車輪の車輪速
度が前記推定車体速度よりも低いことを判断することを
特徴とする車両用アンチスキッド制御装置である。
【0010】請求項記載の発明は、請求項1または請
求項2記載の車両用アンチスキッド制御装置であって、
前記高摩擦補正手段による推定摩擦係数の補正に同期し
て、前記推定車体速度を前記車両の各車輪の最大車輪速
度に補正する車体速度補正手段を備えることを特徴とす
る車両用アンチスキッド制御装置である。
【0011】請求項記載の発明は、車両の走行路面の
摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段を備え、少なくと
もこの推定された走行路面の摩擦係数に基づいて推定車
体速度の限界減速度を決定するとともに、当該推定車体
速度に応じて各車輪の基準速度を設定し、この基準速度
と各車輪速度との比較、および基準加速度と各車輪加速
度との比較により、当該車輪のブレーキ圧力を少なくと
も減圧,増圧して調節し、各車輪に過度のスリップが発
生することを防止するアンチスキッド制御を実行する車
両用アンチスキッド制御装置において、上述のアンチス
キッド制御におけるブレーキ圧力の減圧によって、前記
車輪の車輪速度が回復してから次回のブレーキ圧力の減
圧が開始されるまでの期間において、前記車輪の車輪速
度が前記推定車体速度よりも低い状態が所定の期間継続
した場合に、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数
を高い側に補正する高摩擦補正手段を備え 前記推定車
体速度は、前記限界減速度に従う車体速度と各車輪速度
との大きい方に基づいて作成されるものであり、前記高
摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御におけるブ
レーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度が回復
してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始されるまでの
期間において、前記推定車体速度が所定の期間継続して
前記限界減速度に従って作成された場合に、前記摩擦係
数推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正すること
を特徴とする車両用アンチスキッド制御装置である。
求項7に記載の発明は、 車両の走行路面の摩擦係数を推
定する摩擦係数推定手段を備え、少なくともこの推定さ
れた走行路面の摩擦係数に基づいて推定車体速度の限界
減速度を決定するとともに、当該推定車体速度に応じて
各車輪の基準速度を設定し、この基準速度と各車輪速度
との比較、および基準加速度と各車輪加速度との比較に
より、当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧
して調節し、各車輪に過度のスリップが発生することを
防止するアンチスキッド制御を実行する車両用アンチス
キッド制御装置において、 上述のアンチスキッド制御に
おけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速
度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始され
るまでの期間において、前記車輪の車輪速度が前記推定
車体速度よりも低い状態が所定の期間継続した場合に、
前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補
正する高摩擦補正手段と、前記車輪速度が前記推定車体
速度より低い場合に、その速度差を積算する速度差積算
手段と、を備え、 前記高摩擦補正手段は、上述のアンチ
スキッド制御におけるブレーキ圧力の減圧によって、前
記車輪の車輪速度が回復してから次回のブレーキ圧力の
減圧が開始されるまでの期間において、前記速度差積算
手段が積算した速度差が所定値に達した場合に、前記車
輪速度が前記推定車体速度よりも低い状態が所定の期間
継続したものとして、前記摩擦係数推定手段が推定した
摩擦係数を高い側に補正することを特徴とするアンチス
キッド制御装置である。
【0012】請求項記載の発明は、請求項6または7
記載の車両用アンチスキッド制御装置であって、前記高
摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御におけるブ
レーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度が回復
してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始されるまでの
期間において、車両における複数の車輪について同時期
に、それらの車輪速度が前記推定車体速度よりも低い状
態が所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手段
が推定した摩擦係数を高い側に補正することを特徴とす
るアンチスキッド制御装置である。
【0013】
【0014】
【0015】請求項9記載の発明は、請求項から8の
いずれかに記載の車両用アンチスキッド制御装置であっ
て、前記高摩擦補正手段は、前記アンチスキッド制御に
おけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速
度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始され
るまでの期間の中で、前記車輪のブレーキ圧力を増圧し
ている期間において、前記車輪速度が前記推定車体速度
よりも低い状態が所定の期間継続した場合に、前記摩擦
係数推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正するこ
とを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置である。
【0016】請求項10記載の発明は、請求項から8
のいずれかに記載の車両用アンチスキッド制御装置であ
って、前記高摩擦補正手段による推定摩擦係数の補正に
同期して、前記推定車体速度を前記車両の各車輪の最大
車輪速度に補正する車体速度補正手段を備えることを特
徴とする車両用アンチスキッド制御装置である。
【0017】請求項11記載の発明は、図2に例示する
ごとく、請求項1から10のいずれかに記載の車両用ア
ンチスキッド制御装置であって、上述のアンチスキッド
制御におけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の
車輪速度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開
始されるまでの期間において、前記車輪の車輪速度が前
記推定車体速度よりも高い状態が所定の期間継続した場
合に、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を低い
側に補正する低摩擦補正手段を備えることを特徴とする
車両用アンチスキッド制御装置である。
【0018】請求項12記載の発明は、請求項11記載
の車両用アンチスキッド制御装置であって、 前記推定
車体速度は、所定の限界加速度で上昇する車体速度と各
車輪速度との小さい方に基づいて作成されるものであ
り、前記低摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御
におけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪
速度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始さ
れるまでの期間において、前記推定車体速度が所定の期
間継続して前記限界加速度に従って推定車体速度が作成
された場合に、前記車輪の車輪速度が前記推定車体速度
よりも高い状態が所定の期間継続したものとして、前記
摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を低い側に補正す
ることを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置であ
る。
【0019】請求項13記載の発明は、請求項12記載
の車両用アンチスキッド制御装置であって、前記所定の
限界加速度は、前記摩擦係数推定手段によって推定され
る車両の走行路面の摩擦係数に応じて変更されるもので
あることを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置で
ある。
【0020】請求項14記載の発明は、請求項11記載
の車両用アンチスキッド制御装置であって、前記限界減
速度で低下する疑似車体速度を演算する演算手段を備
え、前記低摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御
におけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪
速度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始さ
れるまでの期間において、前記演算手段によって演算さ
れる疑似車体速度よりも前記車輪の車輪速度が高い状態
が所定時間継続したときに、前記車輪の車輪速度が前記
推定車体速度よりも高い状態が所定の期間継続したもの
として、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を低
い側に補正することを特徴とする車両用アンチスキッド
制御装置である。
【0021】
【作用及び発明の効果】請求項1,請求項2記載の発明
は、高摩擦補正手段が、上述のアンチスキッド制御にお
けるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度
が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始される
までの期間において、前記車両における複数の車輪につ
いて同時期に、ブレーキ圧力の増圧が所定の期間継続し
た場合に、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数
(推定摩擦係数)を高い側に補正する。即ち、アンチス
キッド制御が実行されているときに、複数の車輪につい
て同時期に増圧制御が所定期間も継続しているというこ
とは、実際の路面摩擦係数がより高路面摩擦係数側へ移
行していると考えられ、それに比較して現在の推定車速
が高すぎると考えられる。したがって、高摩擦補正手段
は、既に摩擦係数推定手段にて推定されている摩擦係数
を高い側へ補正する。
【0022】このことにより、アンチスキッド制御中に
おける緩慢な路面摩擦係数の高側への変化を正確かつ早
期に捉えてアンチスキッド制御に反映させることができ
る。上記高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御
におけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪
速度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始さ
れるまでの期間において、前記車両における複数の車輪
について同時期に、ブレーキ圧力の増圧が所定の期間継
続した場合に、さらにその間前記複数の車輪の車輪速度
が前記推定車体速度よりも低いことを条件として、前記
摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正す
るものであってもよい。即ち、同時期に増圧制御が所定
期間も継続していることに加えて、更にその間前記複数
の車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低いという
条件を加えている。この条件は推定車体速度から見ると
スリップが継続していることを示している。つまり、ス
リップであると検出されているにもかかわらず、複数の
車輪について同時期に増圧制御が所定期間も継続してい
るということは、実際の路面摩擦係数がより高路面摩擦
係数側へ移行していると考えられ、それに比較して現在
の推定車速が高すぎると考えられる。したがって、高摩
擦補正手段は、既に摩擦係数推定手段にて推定されてい
る摩擦係数を高い側へ補正する。
【0023】このことにより、アンチスキッド制御中に
おける緩慢な路面摩擦係数の高側への変化を一層正確か
つ早期に捉えてアンチスキッド制御に反映させることが
できる。なお、前記推定車体速度が前記限界減速度に従
う車体速度と各車輪速度との大きい方に基づいて作成さ
れるものである場合は、前記推定車体速度が前記限界減
速度に従って作成されたことを検知して、前記複数の車
輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低いことを判断
することができる。このようにすれば、アンチスキッド
制御で演算している推定車体速度の作成状態を観察する
だけで、複数の車輪の車輪速度が前記推定車体速度より
も低いことを判断することができる。
【0024】また、上記高摩擦補正手段による推定摩擦
係数の補正に同期して、推定車体速度を車両の各車輪の
最大車輪速度に補正する車体速度補正手段を備えてもよ
い。このような条件下では、大きなスリップが発生して
いないと考えられ、車両の各車輪の最大車輪速度は、ほ
ぼ実際の車体速度を表していると考えられるので、推定
車体速度として車両の各車輪の最大車輪速度を設定する
ことにより、以後、一層実際に即したアンチスキッド制
御が可能となる。
【0025】請求項記載の発明は、高摩擦補正手段と
して、上述のアンチスキッド制御におけるブレーキ圧力
の減圧によって、前記車輪の車輪速度が回復してから次
回のブレーキ圧力の減圧が開始されるまでの期間におい
て、前記車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低い
状態が所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手
段が推定した摩擦係数を高い側に補正するものとしてい
る。車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低い状態
が所定の期間継続した場合には、推定車体速度から見る
とスリップが継続しているにもかかわらず、スリップを
解消する増圧制御がなされていないことを示している。
このことは、実際の路面摩擦係数がより高路面摩擦係数
側へ移行していると考えられ、それに比較して現在の推
定車速が高すぎると考えられる。したがって、高摩擦補
正手段は、既に摩擦係数推定手段にて推定されている摩
擦係数を高い側へ補正する。
【0026】このことにより、アンチスキッド制御中に
おける緩慢な路面摩擦係数の高側への変化を正確かつ早
期に捉えてアンチスキッド制御に反映させることができ
る。更に、複数の車輪について同時期に、当該車輪の車
輪速度が前記推定車体速度よりも低い状態が所定の期間
継続した場合に摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を
高い側に補正するものとしてもよい。路面摩擦係数が高
路面摩擦係数側へ移行している場合には、単独の車輪の
みでなく、複数の車輪についても同時期に同様な現象が
生じるのが普通である。したがって、このような構成と
することにより、アンチスキッド制御中における緩慢な
路面摩擦係数の高側への変化を一層正確かつ早期に捉え
てアンチスキッド制御に反映させることができる。
【0027】なお、前記推定車体速度が前記限界減速度
に従う車体速度と各車輪速度との大きい方に基づいて作
成されるものである場合は、前記推定車体速度が所定の
期間継続して前記限界減速度に従って作成された場合
に、前記車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低い
状態が所定の期間継続したことを判断することができ
る。このようにすれば、アンチスキッド制御で演算して
いる推定車体速度の作成状態を観察するだけで、車輪の
車輪速度が前記推定車体速度よりも低いことを判断する
ことができる。
【0028】また、前記速度差積算手段が積算した速度
差が所定値に達した場合に、前記車輪速度が前記推定車
体速度よりも低い状態が所定の期間継続したものとして
もよい。また、車輪の車輪速度が前記推定車体速度より
も低い状態が所定の期間継続した条件に加えて、車輪の
ブレーキ圧力を増圧している期間という条件を加えても
よい。ブレーキ圧力を増圧している期間に、車輪速度が
前記推定車体速度よりも低い状態が所定の期間継続した
ということは、一層明確に路面摩擦係数が高側に移行し
たことが判る。
【0029】更に、高摩擦補正手段による推定摩擦係数
の補正に同期して、推定車体速度を車両の各車輪の最大
車輪速度に補正する車体速度補正手段を備えてもよい。
このような条件下では、大きなスリップが発生していな
いと考えられ、車両の各車輪の最大車輪速度は、ほぼ実
際の車体速度を表していると考えられるので、推定車体
速度として車両の各車輪の最大車輪速度を設定すること
により、以後、一層実際に即したアンチスキッド制御が
可能となる。
【0030】請求項11記載の発明は、低摩擦補正手段
が、アンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の減圧に
よって、前記車輪の車輪速度が回復してから次回のブレ
ーキ圧力の減圧が開始されるまでの期間において、前記
車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも高い状態が所
定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手段が推定
した摩擦係数を低い側に補正している。即ち、アンチス
キッド制御が実行されているときに、車輪の車輪速度が
前記推定車体速度よりも高い状態が所定の期間継続した
ということは、実際の路面摩擦係数がより低側へ移行し
ていると考えられ、それに比較して現在の推定車速が低
すぎると考えられる。したがって、低摩擦補正手段は、
既に摩擦係数推定手段にて推定されている摩擦係数を低
い側へ補正する。
【0031】このことにより、アンチスキッド制御中に
おける緩慢な路面摩擦係数の低側への変化を正確かつ早
期に捉えてアンチスキッド制御に反映させることができ
る。なお、推定車体速度が所定の期間継続して前記限界
加速度に従って推定車体速度が作成された場合に、前記
車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも高い状態が所
定の期間継続したと判断してもよい。所定の期間継続し
て前記限界加速度に従って推定車体速度が作成されてい
れば、実際の路面摩擦係数がより低路面摩擦係数側へ移
行していると考えられ、それに比較して現在の推定車速
が低すぎると考えられるからである。
【0032】なお、前記限界減速度で低下する疑似車体
速度を演算する演算手段を備えて、前記低摩擦補正手段
が、前記演算手段によって演算される疑似車体速度より
も前記車輪の車輪速度が高い状態が所定時間継続したと
きに、前記車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも高
い状態が所定の期間継続したと判断してもよく、同様な
効果が得られる。
【0033】上記限界加速度は、前記摩擦係数推定手段
によって推定される車両の走行路面の摩擦係数に応じて
変更されるものであってもよい。所定の固定値の場合も
ある。なお、上記各発明によれば、実際の路面摩擦係数
がより高路面摩擦係数側へ移行している場合、あるいは
実際の路面摩擦係数がより低路面摩擦係数側へ移行して
いる場合が正確に検出されるが、これらの発明の副次的
な作用・効果として摩擦係数を誤って高く推定した場
合、あるいは摩擦係数を誤って低く推定した場合もその
検出がなされて、既に摩擦係数推定手段にて推定されて
いる摩擦係数を高い側あるいは低い側へ補正しているの
で、路面摩擦係数が高側あるいは低側に変化した場合と
同様な効果を生じる。
【0034】
【実施例】本発明の一実施例を図3以下に示す。図3
は、本発明の一実施例としてのアンチスキッド制御装置
の構成を示す構成図である。図3において、ブレーキペ
ダル20は、真空ブースタ21を介してマスタシリンダ
28に連結されている。したがって、ブレーキペダル2
0を踏むことによりマスタシリンダ28に油圧が発生
し、この油圧は、各車輪(左前輪FL、右前輪FR、左
後輪RL、右後輪RR)に設けられたホイールシリンダ
31,32,33,34に供給され、ブレーキ圧力が発
生する。
【0035】マスタシリンダ28は互いに同じ圧力のブ
レーキ油圧を発生する2つの圧力室(図示せず)を有
し、各圧力室にはそれぞれ供給管40,50が接続され
ている。供給管40は連通管41,42に分岐してい
る。連通管41は、電磁弁60aを介して、ホイールシ
リンダ31に連通するブレーキ管43と接続されてい
る。同様に、連通管42は、電磁弁60cを介して、ホ
イールシリンダ34に連通するブレーキ管44と接続さ
れている。
【0036】供給管50も供給管40と同様な接続関係
にあり、連通管51,52に分岐している。連通管51
は、電磁弁60bを介して、ホイールシリンダ32に連
通するブレーキ管53と接続されている。同様に、連通
管52は、電磁弁60dを介してホイールシリンダ33
に連通するブレーキ管54と接続されている。
【0037】また、ホイールシリンダ33,34に接続
されるブレーキ管54,44中には公知のプロポーショ
ニングバルブ59,49が設置されている。このプロポ
ーショニングバルブ59,49は、後輪RL、RRに供
給されるブレーキ油圧を制御して前後輪FL〜RRの制
動力の分配を理想に近づけるものである。
【0038】各車輪FL〜RRには、車輪の回転速度を
捉えるための電磁ピックアップ式の車輪速度センサ7
1,72,73,74が設置され、電子制御回路(EC
U)80にその信号が入力される。ECU80は、入力
された各車輪FL〜RRの車輪速度に基づいて各ホイー
ルシリンダ31〜34のブレーキ油圧を制御すべく、電
磁弁60a〜60dに対して駆動信号を出力する。
【0039】電磁弁60a,60b,60c,60d
は、3ポート3位置型の電磁弁で図3のA位置において
は、連通管41,42,51,52とブレーキ管43,
44,53,54とをそれぞれ連通し、B位置において
は、連通管41,42,51,52、ブレーキ管43,
44,53,54、枝管47,48,57,58間を全
て遮断する。また、C位置においては、ブレーキ管4
3,44,53,54と、枝管47,48,57,58
とをそれぞれ連通する。
【0040】枝管47,48はともに排出管81に接続
され、枝管57,58はともに排出管91に接続され
る。これら排出管81,91は、それぞれリザーバ93
a,93bに接続されている。リザーバ93a,93b
は、各電磁弁60a〜60dがC位置のとき、各ホイー
ルシリンダ31〜34から排出されるブレーキ液を一時
的に蓄えるものである。このため電磁弁60a〜60d
では、A位置においてはホイールシリンダ31〜34の
ブレーキ油圧を増圧し、B位置においてはそのブレーキ
油圧を保持し、C位置においてはそのブレーキ油圧を減
圧することができる。
【0041】ポンプ99a,99bは、リザーバ93
a,93bに蓄積されたブレーキ液を汲み上げてマスタ
シリンダ28側に還流させる。また、チェック弁97
a,98a,97b,98bは、リザーバ93a,93
bから汲み上げられたブレーキ液が、再びリザーバ93
a,93b側に逆流するのを防ぐためのものである。
【0042】なお、ストップスイッチ10は、運転者が
ブレーキペダル20を踏んでいるか否かを検出するもの
である。次に、このように構成された本実施例において
ECU80が実行されるアンチスキッド制御について図
4,5のフローチャートに基づき説明する。ECU80
は、マイクロコンピュータとして構成され、公知のCP
U,ROM,RAM,I/Oを備えている。ROMには
アンチスキッド制御を実行するためのプログラムが格納
されている。
【0043】このプログラムによる処理は図示しないイ
グニッションスイッチがオンされたときに実行される。
まず、所定の初期設定処理として、演算に用いられるメ
モリ上の変数の初期値化、後述する各種タイマカウンタ
のゼロクリア、あるいはアンチスキッド制御に用いられ
る各装置の初期位置設定等の処理がなされる(ステップ
100)。この後、アンチスキッド制御の条件が成立し
ているか否かが判定される(ステップ110)。この成
立条件は、例えば最大車輪速度と他の車輪速度とに所定
の速度差が生じて更にその速度差が拡大する傾向にある
場合に条件が成立したものとされる。
【0044】成立していればブレーキ圧力制御(ステッ
プ120)がなされる。ここでは、スリップ率を考慮し
て後述する推定車速VBに対して所定幅に設定されてい
る範囲(例えば減圧基準速度)から車輪速度VWが低下
した場合にブレーキ圧力を減圧制御し、上昇した場合に
はブレーキ圧力を増圧制御することにより、路面に対し
て車輪のスリップ率を好ましい範囲に収めて、最短距離
で停止できる制動制御が各車輪ごとに並行して行われ
る。
【0045】なお、車輪のスリップ率を望ましい範囲に
制御するには、実際には、車輪速度VWと車輪加速度GW
を用いることが好ましい。この場合、車輪速度VWが推
定車速VBに基づいて設定される減圧基準速度以下に低
下し、かつ車輪加速度GWが所定の基準減速度以下に低
下した場合に、車輪のブレーキ圧力を低下する。そし
て、ブレーキ圧力の減圧により車輪加速度GWが0G付
近の所定範囲(路面や車両に応じて異なる)まで復帰す
ると、ブレーキ圧力が保持される。その後、車輪速度V
Wが推定車速VBに基づいて設定される増圧基準速度まで
回復すると、ブレーキ圧力の増圧が行われる。
【0046】次に、このアンチスキッド制御のブレーキ
圧制御にて使用される推定路面摩擦係数、限界加減速度
勾配等を設定する処理について図5に基づいて説明す
る。まず処理が開始されると、状態の初期設定が行われ
る(ステップ200)。次に車輪速度センサ71〜74
の出力値が読み込まれる(ステップ210)。この値に
基づいて、車輪速度VWおよび車輪加速度GWが演算され
る(ステップ220)。
【0047】次に推定車体速度(推定車速)VBと推定
車体加速度GBとが求められる(ステップ230)。こ
の推定車体速度VBは、ステップ220で求められた4
輪の車輪速度VWの内の最大車輪速度VWMAXが設定され
る。推定車体加速度GBは、同様に、その最大車輪速度
VWMAXの車輪の車輪加速度GWが設定される。なお、4
輪駆動車では、アンチスキッド制御外での駆動スリップ
の発生を考慮し、推定車速VBが2番目に大きな車輪速
度に基づいて作成される。
【0048】次にアンチスキッド制御中か否かが判定さ
れる(ステップ240)。この判定は図4のステップ1
10で肯定判定されてステップ120が繰り返し実行中
であればアンチスキッド制御中であると判定され、ステ
ップ120が繰り返し実行中で無ければアンチスキッド
制御中でないと判定される。
【0049】アンチスキッド制御中で無ければ、次に推
定路面摩擦係数μが算出される(ステップ250)。即
ち、最大車輪速度VWMAXが低下しはじめる初期に、最大
車輪速度VWMAXと他の車輪速度VWとの間に所定の車速
差が存在し、更にその速度差が拡大傾向にある状態での
最大車輪速度VWMAXの加速度(負の値、即ち減速度)か
ら所定の関数に従って推定路面摩擦係数μが求められ
る。
【0050】なお、上記の推定路面摩擦係数μの算出に
おいては、左右輪ごとに求めることが望ましい。なぜな
らば、車両の走行路面の中には、左右輪で摩擦係数が異
なる路面も存在するためである。従って、左右輪ごと
に、前輪もしくは後輪の一方の車輪速度が落ち込み始め
た時に、残りの車輪の車輪速度の加速度から推定路面摩
擦係数を求めるのである。そして推定路面摩擦係数とし
ては、左右輪について先に求められた方が設定される。
【0051】次にアンチスキッド制御が開始されたか否
かが判定される。即ち図4のステップ110にて最初に
肯定判定された直後であるか否かが判定される。開始で
無ければこのまま処理を終了して、再度ステップ210
の処理から繰り返す。ステップ110で最初に肯定判定
された直後で有れば、ステップ250で算出した推定路
面摩擦係数μに基づいて、限界減速度勾配VDOWNおよび
限界加速度勾配VUPを設定する(ステップ270)。即
ち、限界減速度勾配VDOWNとは、路面が実際に推定路面
摩擦係数μと同じ摩擦係数であった場合に得られる車両
の最大の減速度(車速の下降勾配)を示すものであり、
限界加速度勾配VUPとは、路面が実際に推定路面摩擦係
数μと同じ摩擦係数であった場合に得られる車両の最大
の加速度(車速の上昇勾配)を示すものであり、それぞ
れ推定路面摩擦係数μの大きさに対応して設定され、こ
れ以上の減速度あるいは加速度で、車両は減速あるいは
加速できないことを意味する。次にステップ210に戻
り、車輪速度センサ71〜74の出力値が読み込まれ
(ステップ210)、この値に基づいて車輪速度VWお
よび車輪加速度GWが演算される(ステップ220)。
次に推定車体速度(車速)VBと推定車体加速度GBとが
求められる(ステップ230)。この場合、推定車体速
度VBは、ステップ220で得られた各車輪速度の内の
最大車輪速度VWMAXと、上記限界減速度勾配VDOWNで低
下させることにより得られる速度とのいずれか大きい方
を、限界加速度勾配VUPで得られる車速を上限として設
定される。これを式で表すと、次の式1のようになる。
【0052】
【数1】
【0053】なお、ここで(n)は今回の値を、(n−
1)は前回の値を表す。更に推定車体加速度GBはこの
推定車体速度VBの加速度が設定される。次にステップ
240の判定ではアンチスキッド制御に入っているの
で、肯定判定されて、限界減速度勾配VDOWNにより疑似
車体速度VSが演算される(ステップ280)。この疑
似車体速度VSは、図7のタイミングチャートに一点鎖
線で示すごとく、限界減速度勾配VDOWNとアンチスキッ
ド制御開始時からの経過時間Taの値とに基づいて設定
される。即ち、アンチスキッド制御開始時の最大車輪速
度VWMAX(0)から限界減速度勾配VDOWN×経過時間Taの
値を減算した値が設定される。これを式2に示す。
【0054】
【数2】
【0055】次に推定車速VBと車輪速度VWとの関係が
VB>VWか否かが判定される(ステップ290)。VB
>VWでない場合は否定判定されて、積算値ΣΔVWの記
憶内容をゼロクリアする(ステップ300)。VB>VW
であれば、推定車速VBから車輪速度VWを減算した値Δ
VWの演算がなされる(ステップ310)。次に積算値
ΣΔVWの内容に値ΔVWが加算される(ステップ32
0)。即ち、VB>VWの状態が継続する限り、ΔVWが
ΣΔVWに積算されて行く。これらを式3,4に示す。
【0056】
【数3】
【0057】なお、ここで(n)は今回の値を、(n−
1)は前回の値を表す。次に、通常の増圧制御が継続し
てなされている時間が所定増圧時間T1を経過したか否
かが判定される(ステップ330)。増圧制御の継続時
間は、ECU80内部のタイマカウンタで計時されてい
るので、その値が所定増圧時間T1より長くなっている
か否かで判定する。この所定増圧時間T1は、通常、増
圧制御の継続時間がとり得る値としては長い方の時間が
設定されている。これは、増圧制御の継続時間が長い
と、実際の路面摩擦係数が推定路面摩擦係数μよりも高
かったか、またはより高い方へ変化した可能性が高くな
ると考えられるので、ここでその可能性の高いことを判
定する。図6のタイミングチャートでは時刻t3以後で
ステップ330にて肯定判定される。
【0058】次にステップ320にて求めた積算値ΣΔ
VWの値が所定積算値ΔV1に対して、ΣΔVW≧ΔV1で
あるか否かが判定される(ステップ340)。即ち、推
定車速VBよりも車輪速度VWが低い状態(スリップして
いるとの検出状態)が継続していることを、ΣΔVW≧
ΔV1は表しており、このような状況では、推定路面摩
擦係数μが誤って低く推定されたか、または実際の路面
摩擦係数がより高い方へ変化した可能性が高くなると考
えられるので、ここでその可能性の高いことを判定す
る。図6のタイミングチャートでは、ΣΔVW≧ΔV1と
なっているのは、時刻t1以後である。
【0059】次に推定車体加速度GBがほぼVDOWNであ
る状態が所定継続時間T2を経過したか否かが判定され
る(ステップ350)。推定車体加速度GBがほぼVDOW
Nである状態の継続時間は、ECU80内部のタイマカ
ウンタで計時されているので、その値が所定継続時間T
2より長くなっているか否かで判定する。この所定継続
時間T2は、通常、推定車体加速度GBがほぼVDOWNであ
る状態の継続時間がとり得る値としては長い方の時間が
設定されている。これは、推定車体加速度GBがほぼVD
OWNである状態の継続時間が長いと、推定路面摩擦係数
μが誤って低く推定されたか、または実際の路面摩擦係
数がより高い方へ変化した可能性が高くなると考えられ
るので、ここでその可能性の高いことを判定する。図6
のタイミングチャートでは、推定車体加速度GBがほぼ
VDOWNである状態が所定継続時間T2を経過しているの
は、時刻t2以後である。
【0060】これらステップ330,340,350の
全てが満足された場合(図6の例では時刻t3)に、推
定路面摩擦係数μが誤って低く推定されたのは確実であ
るか、または路面摩擦係数は確実により高い路面摩擦係
数に変化しているとして、推定路面摩擦係数μが所定値
μ1分増加される(ステップ360)。次に推定車速VB
にこの時の最大車輪速度VWMAXが設定される(ステップ
370)。即ち、ステップ350にて肯定判定された時
点では、実際の車速と推定車速VBとは既に少しずれを
生じているはずなので、ここで直ちに最大車輪速度VWM
AXを設定することにより、推定車速VBとして好適な値
に変更する。次にT1,T2をカウントしているタイマカ
ウンタおよびΣΔVWがゼロクリアされ(ステップ38
0)、ステップ270に移る。
【0061】ステップ270では、ステップ360で一
層正確な値に設定し直された推定路面摩擦係数μに基づ
いて限界減速度勾配VDOWNおよび限界加速度勾配VUPを
設定することができ、その結果、アンチスキッド制御で
は、正確な減圧,増圧基準速度に基づき、ステップ12
0にて好適なブレーキ圧力の制御を行うことができる。
【0062】即ち、図6に実線で示すごとく、時刻t3
で推定路面摩擦係数μと実際の路面摩擦係数との間のず
れが修正されるとともに、推定車速VBも下方修正され
たことにより、推定車速VBに応じて設定された所定範
囲(ここでは図6に二点鎖線で示す減圧基準速度)も同
様に自動的に下方修正されるため、ブレーキ圧力(ブレ
ーキ油圧)の増圧制御を継続することができる。しか
し、従来のように推定車速VBの修正が全く行われない
場合には時刻t4で車輪速度VWが減圧基準速度より低下
してブレーキ油圧が減圧制御に移行してしまう。したが
って、ブレーキ圧力が不足なため制動距離が不必要に伸
びてしまう。本実施例ではこのような現象を防止するこ
とができる。
【0063】次にステップ330,340,350のい
ずれかにて、否定判定された場合、推定車体加速度GB
がほぼ限界加速度勾配VUPと等しい状態が所定限界加速
度継続時間T4以上継続したか否かが判定される(ステ
ップ390)。この状態の継続時間はECU80に備え
られたタイマカウンタにより計時される。通常、推定車
速VBとしては、上記式1にて設定され、限界加速度勾
配VUPにより演算される車速が選択される可能性は比較
的低い。したがって、推定車速VBとして、限界加速度
勾配VUPにより演算される車速あるいはそれに近い値が
継続して設定されているときは、実際の路面摩擦係数よ
りも高く路面摩擦係数μを推定したか、またはより低側
へ移行していると考えられ、それに比較して現在の推定
車速VBが下降し過ぎていると考えられる。ステップ3
90はこの状態を判定している。図7では時刻t13〜t
16に該当する。
【0064】次に、車輪速度VWが疑似車体速度VSと、
VW≧VSである状態が所定過大状態継続時間T5以上継
続したか否かが判定される(ステップ400)。この状
態の継続時間はECU80に備えられたタイマカウンタ
により計時される。限界減速度勾配VDOWNにより演算さ
れる疑似車体速度VSよりも、車輪速度VWが高くなって
いる状態が所定過大状態継続時間T5以上継続している
ときは、実際の路面摩擦係数よりも高く路面摩擦係数μ
を推定したか、またはより低側へ移行していると考えら
れ、それに比較して現在の推定車速VBが下降し過ぎて
いると考えられる。ステップ400ではこの状態を判定
している。図7では時刻t11〜t12,t13〜t17,t20
〜t21に該当する。
【0065】ステップ390,400が共に肯定判定さ
れると(図7の例では時刻t15)、確実に路面摩擦係数
はより低い路面摩擦係数に変化しているとして、推定路
面摩擦係数μが所定値μ1分減少される(ステップ41
0)。次にT4,T5をカウントしているタイマカウンタ
がゼロクリアされ(ステップ420)、ステップ270
に移る。
【0066】ステップ270では、ステップ410で一
層正確な値に設定し直された推定路面摩擦係数μに基づ
いて、それぞれ関数f1(μ)およびf2(μ)によって
限界減速度勾配VDOWNおよび限界加速度勾配VUPを設定
することができ、アンチスキッド制御ではステップ12
0にて好適なブレーキ圧力を設定することができる。ま
た、この直後のステップ280の演算で疑似車体速度V
Sが、上記式2に示すごとく、アンチスキッド制御開始
時の最大車輪速度VWMAXを基準に新たな限界減速度勾配
VDOWN(new)とアンチスキッド制御の経過時間に基づい
て設定される。
【0067】即ち、図7に実線で示すごとく、時刻t15
で推定路面摩擦係数μと実際の路面摩擦係数との間のず
れが修正され、推定車速VBの限界減速度勾配VDOWNも
緩い勾配に修正されたことにより、推定車速VBに応じ
て設定された所定範囲、ここでは図7に二点鎖線で示す
減圧基準速度も同様に自動的に緩い勾配に修正されるた
め、車輪速度VWは減圧基準速度から早めに低下し(時
刻t18)、早期にブレーキ油圧の減圧制御に移行するこ
とができる。しかし、修正が全く行われない場合には時
刻t18では減圧制御に入ることはできず、時刻t19にな
ってから減圧制御に移行する。したがって、過剰なスリ
ップにより制動距離が不必要に伸びてしまう。本実施例
ではこのような現象を防止することができる。
【0068】本実施例は上述のごとく構成されているの
で、アンチスキッド制御中においても、路面摩擦係数の
緩い変化を検出でき、推定車速VBに反映させることが
でき、常に最適な状態でアンチスキッド制御が実行で
き、制動距離も最短とすることができる。
【0069】上記実施例において、ステップ330,3
40,350の3つの条件が満足された場合に、推定し
た路面摩擦係数μが低すぎたか、またはより高側への路
面摩擦係数変化があったと判定していたが、この内、ス
テップ330のみでも、またステップ330およびステ
ップ340のみでも、またステップ330およびステッ
プ350のみでも、ほぼ同様な判定が可能である。
【0070】ステップ330のみの条件で、高摩擦補正
を行う場合には、複数の車輪、好ましくは4輪全輪に対
して同時にブレーキ圧力の増圧が行われている状態が所
定期間T6だけ継続したことを条件とする。なぜなら
ば、各車輪のブレーキ圧力をそれぞれ増圧しても、いず
れの車輪の車輪速度も低下せず減圧が開始されない状態
は、各車輪のブレーキ圧力が印加可能な圧力よりも全般
的に低いことを意味し、すなわち、減圧基準速度および
増圧基準速度が高いのであるから、限界減速度に従って
作成された推定車体速度VBが高すぎることを意味す
る。従って、この場合には、限界減速度を大きくするこ
とにより、実際の車両の走行状態に適した推定車体速度
VBとすることが可能になる。
【0071】また、ステップ330およびステップ34
0の条件を併用する場合、ステップ330およびステッ
プ350の条件を併用する場合とも、複数の車輪がそれ
らの条件を満足した時に、推定路面摩擦係数μを高い側
に補正することにより、より正確に補正できる。
【0072】またステップ390,400の2つの条件
が満足された場合に、より低側への路面摩擦係数変化が
あったと判定していたが、ステップ390のみでも、ス
テップ400のみでも、ほぼ同様な判定が可能である。
特にステップ390とステップ400とをAND条件で
はなく、OR条件で用いることにより、最大車輪速度V
WMAXが限界加速度勾配VUPで上昇する推定車体速度VB
ほどには上昇せず、しかし限界減速度勾配VDOWNにて下
降する推定車体速度VBよりも上昇するような場合で
も、ステップ400の条件によって推定路面摩擦係数μ
の低い側への補正が可能となる。これにより、推定路面
摩擦係数μの補正をより精密に行うことができる。
【0073】なお、ステップ390の条件によって推定
路面摩擦係数μの補正を行う場合の補正量をステップ4
00の条件によって補正する場合の補正量よりも大きく
してもよい。またステップ280の処理では、疑似車体
速度VSを、上記式2に示すごとく、アンチスキッド制
御開始時の最大車輪速度VWMAXから限界減速度勾配VDO
WN×経過時間Taの値を減算した値として算出していた
が、疑似車体速度VSを、アンチスキッド制御の時間の
経過に応じて、前回の値に対して制御のインターバルタ
イムΔtと限界減速度勾配VDOWNとの積を加えて求めて
もよい。これを式5に示す。
【0074】
【数4】
【0075】なお、ここで(n)は今回の値を、(n−
1)は前回の値を表す。更に、式5にてVSを算出して
いる場合は、ステップ410が実行されて、アンチスキ
ッド制御がより低い路面摩擦係数に対応する制御に切り
替えられた際には、新たな限界減速度勾配VDOWNとアン
チスキッド制御の開始時からの経過時間Taと基づいて
式2により求めることにより、時刻t15でのVSの切り
換えが可能となる。
【0076】上記実施例では、ステップ330にて、通
常の増圧制御が継続してなされている時間が所定増圧時
間T1を経過したか否かが判定されたが、その代わり
に、通常の増圧制御のみでなく、圧力保持制御の場合も
含めてもよい。即ち、電磁弁60a〜60dのA位置ば
かりでなく、B位置に制御されている場合も継続してい
る時間に含めてもよい。即ち、減圧制御以外の制御がな
されている場合の時間を計測し、その継続時間が所定時
間T3を越えればステップ330にて肯定判定されるよ
うにしてもよい。図6では時刻t-2〜t-1が圧力保持制
御がなされているので、時刻t0で継続時間が所定時間
T3を越える。したがって時刻t1にて路面摩擦係数はよ
り高い路面摩擦係数に変化していると判定でき、推定路
面摩擦係数μが所定値μ1分増加される(ステップ36
0)。勿論、T3=T1であっても、時刻t-2〜t-1分、
早期に判定でき、より迅速な処理が可能となる。
【0077】上記実施例において、ECU80が摩擦係
数推定手段、高摩擦補正手段、同期性判定手段、車体速
度補正手段、速度差積算手段、低摩擦補正手段、および
疑似車体速度を演算する演算手段に該当し、ステップ2
50が摩擦係数推定手段としての処理に該当し、ステッ
プ330,340,350,360が高摩擦補正手段と
しての処理に該当し、ステップ330が同期性判定手段
としての処理に相当し、ステップ370が車体速度補正
手段としての処理に該当し、ステップ290,310,
320が速度差積算手段としての処理に該当し、ステッ
プ390,400,410が低摩擦補正手段としての処
理に該当し、ステップ280が疑似車体速度を演算する
演算手段に該当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1,請求項2の発明の基本的構成の例
示図である。
【図2】 請求項11の発明の基本的構成の例示図であ
る。
【図3】 アンチスキッド制御装置の一実施例の構成図
である。
【図4】 実施例で行われるアンチスキッド制御処理の
フローチャートである。
【図5】 実施例で行われる推定路面摩擦係数、限界加
減速度勾配等の設定処理のフローチャートである。
【図6】 アンチスキッド制御中に路面摩擦係数が高側
へ変化した場合の処理を説明するタイミングチャートで
ある。
【図7】 アンチスキッド制御中に路面摩擦係数が低側
へ変化した場合の処理を説明するタイミングチャートで
ある。
【符号の説明】
20…ブレーキペダル 28…マスタシリンダ 31,32,33,34…ホイールシリンダ 60a,60b,60c,60d…電磁弁 71,72,73,74…車輪速度センサ 80…ECU
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−63451(JP,A) 特開 平4−342646(JP,A) 特開 平4−15153(JP,A) 特開 昭63−180864(JP,A) 特開 平6−107142(JP,A) 特開 昭63−78869(JP,A) 実開 昭63−45372(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行路面の摩擦係数を推定する摩
    擦係数推定手段を備え、少なくともこの推定された走行
    路面の摩擦係数に基づいて推定車体速度の限界減速度を
    決定するとともに、当該推定車体速度に応じて各車輪の
    基準速度を設定し、この基準速度と各車輪速度との比
    較、および基準加速度と各車輪加速度との比較により、
    当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧して調
    節し、各車輪に過度のスリップが発生することを防止す
    るアンチスキッド制御を実行する車両用アンチスキッド
    制御装置において、 上述のアンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の減圧
    によって、前記車輪の車輪速度が回復してから次回のブ
    レーキ圧力の減圧が開始されるまでの期間において、前
    記車両における複数の車輪について同時期に、ブレーキ
    圧力の増圧が所定の期間継続したかどうかを判定する同
    期性判定手段と、 該同期性判定手段によりブレーキ圧力の同時期な増圧が
    所定の期間継続したと判定され 場合に、前記摩擦係数推
    定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正する高摩擦補
    正手段を備えることを特徴とする車両用アンチスキッド
    制御装置。
  2. 【請求項2】 車両の走行路面の摩擦係数を推定する摩
    擦係数推定手段を備え、少なくともこの推定された走行
    路面の摩擦係数に基づいて推定車体速度の限界減速度を
    決定するとともに、当該推定車体速度に応じて各車輪の
    基準速度を設定し、この基準速度と各車輪速度との比
    較、および基準加速度と各車輪加速度との比較により、
    当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧して調
    節し、各車輪に過度のスリップが発生することを防止す
    るアンチスキッド制御を実行する車両用アンチスキッド
    制御装置において、 前記車両における複数の車輪について、ブレーキ圧力の
    増圧が所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手
    段が推定した摩擦係数を高い側に補正する高摩擦補正手
    段を備え、 該高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御におけ
    るブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度が
    回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始されるま
    での期間において、前記車両における複数の車輪につい
    て同時期に、ブ レーキ圧力の増圧が所定の期間継続した
    場合に、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を高
    い側に補正する ことを特徴とする車両用アンチスキッド
    制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の車両用ア
    ンチスキッド制御装置であって、 前記高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御にお
    けるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度
    が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始される
    までの期間において、前記車両における複数の車輪につ
    いて同時期に、ブレーキ圧力の増圧が所定の期間継続し
    た場合に、さらにその間前記複数の車輪の車輪速度が前
    記推定車体速度よりも低いことを条件として、前記摩擦
    係数推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正するこ
    とを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項記載の車両用アンチスキッド制
    御装置であって、 前記推定車体速度は、前記限界減速度に従う車体速度と
    各車輪速度との大きい方に基づいて作成されるものであ
    り、前記高摩擦補正手段は、前記推定車体速度が前記限
    界減速度に従って作成されたことを検知して、前記複数
    の車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低いことを
    判断することを特徴とする車両用アンチスキッド制御装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2記載の車両用ア
    ンチスキッド制御装置であって、 前記高摩擦補正手段による推定摩擦係数の補正に同期し
    て、前記推定車体速度を前記車両の各車輪の最大車輪速
    度に補正する車体速度補正手段を備えることを特徴とす
    る車両用アンチスキッド制御装置。
  6. 【請求項6】 車両の走行路面の摩擦係数を推定する摩
    擦係数推定手段を備え、少なくともこの推定された走行
    路面の摩擦係数に基づいて推定車体速度の限界減速度を
    決定するとともに、当該推定車体速度に応じて各車輪の
    基準速度を設定し、この基準速度と各車輪速度との比
    較、および基準加速度と各車輪加速度との比較により、
    当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧して調
    節し、各車輪に過度のスリップが発生することを防止す
    るアンチスキッド制御を実行する車両用アンチスキッド
    制御装置において、 上述のアンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の減圧
    によって、前記車輪の車輪速度が回復してから次回のブ
    レーキ圧力の減圧が開始されるまでの期間において、前
    記車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低い状態が
    所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手段が推
    定した摩擦係数を高い側に補正する高摩擦補正手段を備
    前記推定車体速度は、前記限界減速度に従う車体速度と
    各車輪速度との大きい方に基づいて作成されるものであ
    り、 前記高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御にお
    けるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度
    が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始される
    までの期間において、前記推定車体速度が所定の期間継
    続して前記限界減速度に従って作成された場合に、前記
    摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正す
    ことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  7. 【請求項7】 車両の走行路面の摩擦係数を推定する摩
    擦係数推定手段を備え、少なくともこの推定された走行
    路面の摩擦係数に基づいて推定車体速度の限界減速度を
    決定するとともに、当該推定車体速度に応じて各車輪の
    基準速度を設定し、この基準速度と各車輪速度との比
    較、および基準加速度と各車輪加速度との比較により、
    当該車輪のブレーキ圧力を少なくとも減圧,増圧して調
    節し、各車輪に過度のスリップが発生することを防止す
    るアンチスキッド制御を実行する車両用アンチスキッド
    制御装置において、 上述のアンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の減圧
    によって、前記車輪の車輪速度が回復してから次回のブ
    レーキ圧力の減圧が開始されるまでの期間において、前
    記車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも低い状態が
    所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手段が推
    定した摩擦係数を高い側に補正する高摩擦補正手段と、 前記車輪速度が前記推定車体速度より低い場合に、その
    速度差を積算する速度差積算手段と、を備え、 前記高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御にお
    けるブレーキ圧力の減 圧によって、前記車輪の車輪速度
    が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始される
    までの期間において、前記速度差積算手段が積算した速
    度差が所定値に達した場合に、前記車輪速度が前記推定
    車体速度よりも低い状態が所定の期間継続したものとし
    て、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を高い側
    に補正する ことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の車両用アンチス
    キッド制御装置であって、 前記高摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御にお
    けるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度
    が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始される
    までの期間において、車両における複数の車輪について
    同時期に、それらの車輪速度が前記推定車体速度よりも
    低い状態が所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推
    定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正することを特
    徴とするアンチスキッド制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項から8のいずれかに記載の車両
    用アンチスキッド制御装置であって、 前記高摩擦補正手段は、前記アンチスキッド制御におけ
    るブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度が
    回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始されるま
    での期間の中で、前記車輪のブレーキ圧力を増圧してい
    る期間において、前記車輪速度が前記推定車体速度より
    も低い状態が所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数
    推定手段が推定した摩擦係数を高い側に補正することを
    特徴とする車両用アンチスキッド制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項から8のいずれかに記載の車
    両用アンチスキッド制御装置であって、前記高摩擦補正
    手段による推定摩擦係数の補正に同期して、前記推定車
    体速度を前記車両の各車輪の最大車輪速度に補正する車
    体速度補正手段を備えることを特徴とする車両用アンチ
    スキッド制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項1から10のいずれかに記載の
    車両用アンチスキッド制御装置であって、 上述のアンチスキッド制御におけるブレーキ圧力の減圧
    によって、前記車輪の車輪速度が回復してから次回のブ
    レーキ圧力の減圧が開始されるまでの期間において、前
    記車輪の車輪速度が前記推定車体速度よりも高い状態が
    所定の期間継続した場合に、前記摩擦係数推定手段が推
    定した摩擦係数を低い側に補正する低摩擦補正手段を備
    えることを特徴とする車両用アンチスキッド制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の車両用アンチスキッ
    ド制御装置であって、 前記推定車体速度は、所定の限界加速度で上昇する車体
    速度と各車輪速度との小さい方に基づいて作成されるも
    のであり、前記低摩擦補正手段は、上述のアンチスキッ
    ド制御におけるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪
    の車輪速度が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が
    開始されるまでの期間において、前記推定車体速度が所
    定の期間継続して前記限界加速度に従って推定車体速度
    が作成された場合に、前記車輪の車輪速度が前記推定車
    体速度よりも高い状態が所定の期間継続したものとし
    て、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を低い側
    に補正することを特徴とする車両用アンチスキッド制御
    装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の車両用アンチスキッ
    ド制御装置であって、 前記所定の限界加速度は、前記摩擦係数推定手段によっ
    て推定される車両の走行路面の摩擦係数に応じて変更さ
    れるものであることを特徴とする車両用アンチスキッド
    制御装置。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の車両用アンチスキッ
    ド制御装置であって、 前記限界減速度で低下する疑似車体速度を演算する演算
    手段を備え、 前記低摩擦補正手段は、上述のアンチスキッド制御にお
    けるブレーキ圧力の減圧によって、前記車輪の車輪速度
    が回復してから次回のブレーキ圧力の減圧が開始される
    までの期間において、前記演算手段によって演算される
    疑似車体速度よりも前記車輪の車輪速度が高い状態が所
    定時間継続したときに、前記車輪の車輪速度が前記推定
    車体速度よりも高い状態が所定の期間継続したものとし
    て、前記摩擦係数推定手段が推定した摩擦係数を低い側
    に補正することを特徴とする車両用アンチスキッド制御
    装置。
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