JP4348828B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動状態に応じて各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するアンチスキッド制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
車両制動時に車輪がロック状態となってスリップすることを防止する装置として、種々のアンチスキッド制御装置が提案されているが、近時は、路面状態に左右されることなく、必要時にのみアンチスキッド制御を行なうようにする技術も散見されるに至っている。例えば特開平2−63956号公報には、非常に急な路面隆起以外ではロック防止動作が開始しないようにする技術に関し、ロック防止が実施されていない期間では前車軸にて路面隆起が検知されると、これによって後車軸が同じ隆起部分に達するであろうと速度及びホイールベースに基づいて予測される時点の直前に、後車軸ロック防止システムの感度が一時的に低下するようにされた車両ロック防止ブレーキシステムが提案されている。具体的には、同公報の図3が参照され、前輪にて検知された隆起が後輪に達する直前の時点t3が算出され、この算出された時点t3から隆起が後輪を通過してしまう時点t4までの「ウィンド」期間の間、後輪ロック防止検出器の感度は低下するようにされる旨記載されている(同公報第3頁右下欄第19行目乃至第4頁左上欄第3行目)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平2−63956号公報に記載のシステムにおいては、確かに後輪に関してロック防止システムの感度を一時的に低下することができるが、第1のサイクルにおけるロック防止動作を開始するための前輪スリップしきい値が充分高く設定されているため、時点t1で路面隆起に遭遇したとしてもロック防止動作は開始されないと記載されているように(同公報第3頁右下欄第12行目乃至第15行目)、前輪については感度を一時的に低下することなく従前のままとされている。そして、路面隆起に遭遇したことを前輪側で判定し、この結果を後輪の制御に供することとしている。
【0004】
然し乍ら、前輪が路面隆起に遭遇したときにも、前輪のロック防止動作を開始することはあり得、この場合にはアンチスキッド制御に移行したときと同様のフィーリングを運転者に与えることになるので、路面隆起を通過したときには前後輪を問わず、ロック防止動作の開始を回避する必要がある。また、前記公報に記載のシステムにおいては路面隆起に対処することを目的としているが、高低差のある段差、突起のみならず、鉄製マンホールの蓋、走行路を横切るスレート製の蓋等、路面と車輪との間の摩擦係数が急激に低下する部分(本願では、これらを総称して、段差等という)を通過したときにも、ロック防止動作の開始を回避する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、アンチスキッド制御開始前に車輪が段差等を通過したことを確実に検出すると共に、この検出結果に基づき、車輪が段差等を通過したときにはアンチスキッド制御が開始しないようにして、適切にアンチスキッド制御を行ない得るアンチスキッド制御装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明は、車両の各車輪に装着したホイールシリンダと、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液圧を出力する液圧発生手段と、該液圧発生手段と前記各車輪のホイールシリンダとの間に介装し、前記車両の制動状態に応じて前記各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、少くとも該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づきアンチスキッド制御の開始基準を設定する開始基準設定手段と、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪の車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段と、該車輪加速度演算手段が演算した車輪加速度に対し所定のフィルタ処理を行なったフィルタ処理後の車輪加速度と、前記車輪加速度演算手段が演算した車輪加速度の瞬時値との差が所定の値を超えたときに、車輪速度の急激な低下と判定する車輪速度急減検出手段と、アンチスキッド制御開始前に、前記車輪速度急減検出手段が車輪速度の急激な低下を検出したときには、前記開始基準設定手段が設定する前記アンチスキッド制御の開始基準を、前記アンチスキッド制御の開始が困難となる方向に補正する開始基準補正手段とを備えることとしたものであり、前記開始基準補正手段が対象とする車輪は、前記車両前方の車輪及び後方の車輪の何れでもよい。
【0007】
即ち、前記段差等を車輪が通過したときには、車輪速度が急激に低下することから、アンチスキッド制御開始前に、前記車輪速度急減検出手段が車輪速度の急激な低下を検出したときには、段差等を車輪が通過したと判定し、アンチスキッド制御の開始が困難となる方向にアンチスキッド制御開始基準を補正することとしたものである。尚、「アンチスキッド制御の開始が困難となる方向」とは、例えば、制御開始基準速度を低く設定し、アンチスキッド制御が開始しない領域を広く設定することを意味し、消極的な表現で表せば「アンチスキッド制御が開始しない方向」ということになる。
【0011】
尚、前記開始基準補正手段は、請求項に記載のように、車輪振動周期の二分の一以上の間、前記アンチスキッド制御の開始が困難となる方向に補正するように構成するとよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るアンチスキッド制御装置を示すもので、液圧発生手段としてはマスタシリンダ2a及びブースタ2bを備え、これらがブレーキペダル3によって駆動される。各車輪FR,FL,RR,RLにはホイールシリンダ51乃至54が装着されている。尚、車輪FRは運転席からみて前方右側の車輪を示し、以下車輪FLは前方左側、車輪RRは後方右側、車輪RLは後方左側の車輪を示しており、図1に明らかなように所謂ダイアゴナル配管が構成されているが、所謂前後配管としてもよい。
【0013】
そして、マスタシリンダ2aとホイールシリンダ51乃至54との間に、アンチスキッド制御(ABS)用のアクチュエータ30が介装されている。このアクチュエータ30は本発明の液圧制御手段を構成するもので、図1に二点鎖線で示すようにマスタシリンダ2aの一方の出力ポートとホイールシリンダ51,54の各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁31,37が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ21の吐出側が接続されている。同様に、マスタシリンダ2aの他方の出力ポートとホイールシリンダ52,53の各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁33,35が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ22の吐出側が接続されている。液圧ポンプ21,22は電動モータ20によって駆動され、その作動時に上記の各液圧路に所定の圧力に昇圧されたブレーキ液が供給される。
【0014】
ホイールシリンダ51,54は更に常閉の電磁弁32,38に接続されており、これらの下流側はリザーバ23に接続されると共に、液圧ポンプ21の吸入側に接続されている。ホイールシリンダ52,53は同じく常閉の電磁弁34,36に接続され、これらの下流側はリザーバ24に接続されると共に、液圧ポンプ22の吸入側に接続されている。リザーバ23,24は夫々ピストンとスプリングを備えており、電磁弁32,34,36,38を介して排出される各ホイールシリンダのブレーキ液を収容する。
【0015】
電磁弁31乃至38は2ポート2位置電磁切替弁であり、夫々ソレノイドコイル非通電時には図1に示す第1位置にあって、各ホイールシリンダ51乃至54はマスタシリンダ2aに連通している。ソレノイドコイル通電時には第2位置となり、各ホイールシリンダ51乃至54はマスタシリンダ2aとは遮断され、リザーバ23あるいは24と連通する。尚、図1においてはPVはプロポーショニングバルブ、DPはダンパ、CVはチェックバルブ、ORはオリフィス、FTはフィルタを示し、図1中同一記号のものは同一の部品を示す。チェックバルブCVはホイールシリンダ51乃至54及びリザーバ23,24側からマスタシリンダ2a側への還流を許容し、逆方向の流れを遮断するものである。
【0016】
而して、これらの電磁弁31乃至38のソレノイドコイルに対する通電、非通電を制御することによりホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧を増圧、減圧又は保持することができる。即ち、電磁弁31乃至38のソレノイドコイル非通電時にはホイールシリンダ51乃至54にマスタシリンダ2a及び液圧ポンプ21あるいは22からブレーキ液圧が供給されて増圧し、通電時にはホイールシリンダ51乃至54がリザーバ23あるいは24側に連通し減圧する。また、電磁弁31,33,35,37のソレノイドコイルに通電しその他の電磁弁のソレノイドコイルを非通電とすれば、ホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧が保持される。従って、上記ソレノイドコイルに対する通電、非通電の時間間隔を調整することにより、後述するようにパルス増圧モード(ステップ増圧モードとも呼ばれる)における液圧制御を行ない、緩やかに増圧するように制御することができ、またパルス減圧モード時には緩やかに減圧するように制御することができる。
【0017】
上記電磁弁31乃至38は電子制御装置10に接続され、各々のソレノイドコイルに対する通電、非通電が制御される。電動モータ20も電子制御装置10に接続され、これにより駆動制御される。また、車輪FR,RL,RR,FLには車輪速度検出手段たる車輪速度センサ41乃至44が配設され、これらが電子制御装置10に接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度信号が電子制御装置10に入力されるように構成されている。電子制御装置10には、更に、ブレーキペダル3が踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチ4等が接続されている。尚、電子制御装置10は、一般的なマイクロコンピュータで構成されており、図示は省略するが、バスを介して相互に接続されたプロセシングユニット(CPU)、メモリ(ROM、RAM)、タイマ、入出力インターフェース等から成り、プロセシングユニット内には本発明の車輪加速度演算手段、開始基準設定手段、車輪速度急減検出手段、及び開始基準補正手段が構成されている。
【0018】
上記のように構成された本実施形態においては、電子制御装置10によりアンチスキッド制御のための一連の処理が行なわれアクチュエータ30の作動が制御されるが、以下図2のフローチャートに基づいて説明する。イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されると、先ず図2のステップ101にて初期化が行なわれ、各種の演算値がクリアされる。続いて、ステップ102において車輪速度センサ41乃至44からの出力信号に基づき各車輪の車輪速度(代表してVwで表す)が演算され、更にステップ103にて車輪速度Vwが微分され、このときの車輪加速度、即ち瞬時値の車輪加速度DVxが求められる。また、例えば、このときの値を最終値とする所定の演算サイクル分の平均値が演算され(即ち、フィルタ処理され)、フィルタ後の車輪加速度DVwが求められる。
【0019】
次に、ステップ104において、段差等の通過判定の処理が行なわれるが、これについては図3を参照して後述する。続いてステップ105に進み、各車輪の車輪速度と比較されるアンチスキッド制御(ABS)の開始基準速度Vsが設定されるが、これについては図4及び図5を参照して後述する。更に、ステップ106に進み、アンチスキッド制御中か否かが判定され、未だアンチスキッド制御中でなければステップ107に進み、車輪速度Vwと開始基準速度Vsとの関係に基づきアンチスキッド制御の開始条件を充足しているか否かが判定される。開始条件を充足していればステップ108以降に進み、充足していなければステップ114にジャンプする。
【0020】
そして、ステップ108において、各車輪のロック状態に応じて減圧モード、パルス増圧モード及び保持モードの何れかの液圧モードに設定され、ステップ109乃至113に進み、各液圧モードに応じた液圧制御信号が出力される。而して、各液圧モードに基づき、前述のように電磁弁31乃至38の各々のソレノイドコイルに対する通電、非通電が制御され、ホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧(ホイールシリンダ液圧)が増圧、減圧又は保持される。
【0021】
そして、ステップ114において四つの車輪に関する演算処理が完了したか否かが判定され、完了していなければステップ102に戻り、上記の処理が繰り返される。四つの車輪の全てに関し演算処理が完了したと判定されると、ステップ115に進み各車輪の車輪速度Vwに基づき推定車体速度Vsoが演算される。尚、例えば対地センサ等によって、直接車体速度を検出することも可能である。続いてステップ116に進み、推定車体速度Vsoが微分され推定車体加速度DVsoが演算される。
【0022】
図3は、図2のステップ104にて行なわれる段差等の通過判定の処理を示すもので、ステップ201においてアンチスキッド制御が行なわれる前の状態か否かが判定される。アンチスキッド制御前であれば、ステップ202に進み、ブレーキスイッチ4がオンされているか否かが判定され、オンされておればステップ203に進み、段差フラグFdの状態が判定される。最初の段階では段差フラグFdはリセット(0)されているので、そのままステップ204に進み、段差等の通過判定が行なわれる。
【0023】
本実施形態の段差等の通過判定は、フィルタ後の車輪加速度DVwと瞬時値の車輪加速度DVxとの差(DVw−DVx)(以下、単に車輪加速度差という)を所定の値Kd(例えば、5G)と比較することによって行なわれる。ステップ204において、この車輪加速度差(DVw−DVx)が所定の値Kdを超えていると判定された場合には、車輪速度の急激な低下が検出されたことになる。従って、当該車輪が段差等を通過したと判定され、ステップ205にて段差フラグFdがセット(1)される。ステップ204において車輪加速度差(DVw−DVx)が所定の値Kd以下と判定された場合には、段差等を通過していないと判定され、そのまま図2のメインルーチンに戻る。
【0024】
一方、ステップ203において段差フラグFdが既にセットされていると判定されると、ステップ206にてカウンタCdがインクリメント(+1)された後、ステップ207にてカウンタCdの累積値が所定時間Td(例えば、120 ms)と比較される。このステップ207において、カウンタCdの累積値が所定時間Td未満と判定された場合には、そのまま図2のメインルーチンに戻る。カウンタCdの累積値が所定時間Td以上となると、ステップ209に進み段差フラグFdがリセット(0)される。換言すれば、所定時間Td以上となるまでは段差フラグFdがセットされた状態となる。尚、この所定時間Tdについては、図6を参照して後述する。また、例えば、既に減圧モードにあって、ステップ201にてアンチスキッド制御中であると判定された場合、及びステップ202にてブレーキスイッチ4がオフと判定された場合には、ステップ208に進みカウンタCdがクリア(0)され、ステップ209にて段差フラグFdがリセット(0)される。
【0025】
図4は、図2のステップ105にて行なわれるABS開始基準速度Vsの設定処理を示すもので、開始基準速度Vsが以下のように求められる。先ず、ステップ301において、推定車体速度Vsoに対して所定の割合(1−A)の値、即ち(1−A)・Vsoから所定の速度B(例えば3km)を減算した値が、開始基準速度Vsとされる。ここで、Aは一定の値で、例えば5%に設定される。従って、基準速度は推定車体速度Vsoの95%から所定の速度B(3km)を減算した値となる。
【0026】
続いて、ステップ302において段差フラグFdの状態が判定され、段差フラグFdがセットされている場合にはステップ303に進み、補正量たる車輪速度差ΔVsが車輪加速度差(DVw−DVx)の関数として設定される(ΔVs=f(DVw−DVx))。例えば、図5に示すように車輪加速度差(DVw−DVx)に応じて車輪速度差ΔVsが設定される。ステップ302において段差フラグFdがリセット(0)状態と判定された場合には、ステップ304に進み、車輪加速度差ΔVsが0とされてステップ305に進む。ステップ305においては、開始基準速度Vsから補正量の車輪速度差ΔVsを差し引いた値(Vs−ΔVs)が新たな開始基準速度Vsとして設定される。
【0029】
以上のように、車輪が段差等を通過したことに起因して車輪速度が急激に低下している間はアンチスキッド制御が開始しないように設定され、上記の所定時間Tdは、以下の理由から車輪振動周期の二分の一以上となるように設定される。車輪振動周期、即ち、ばね下の振動周期は車種によって決まるが、車輪が通過する段差等が高い場合には車輪が着地するまでの時間が長くなるので、車輪振動周期の二分の一より短い時間では、開始基準速度Vsが元の値に戻された時に、車輪が未だ着地していない場合が生じ得る。本発明はこれを回避すべく、所定時間Tdを車輪振動周期の二分の一以上に設定することとしたものであり、図3の実施形態では略一周期分の長さ(120 ms)に設定されている。
【0030】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明のアンチスキッド制御装置においては、アンチスキッド制御開始前に、車輪速度急減検出手段が車輪速度の急激な低下を検出したときには、開始基準設定手段が設定するアンチスキッド制御の開始基準を、アンチスキッド制御の開始が困難となる方向に補正するように構成されているので、アンチスキッド制御開始前に車輪が段差等を通過したことを確実に検出することができると共に、車輪が段差等を通過したときにはアンチスキッド制御が開始しないようにして、適切にアンチスキッド制御を行なうことができる。特に、車輪加速度演算手段の演算結果に基づき車輪速度の急激な低下を確実に判定することができるので、簡単な構成で、アンチスキッド制御開始前に車輪が段差等を通過したことを確実に検出することができる。
【0032】
更に、請求項に記載のアンチスキッド制御装置においては、開始基準補正手段が、車輪振動周期の二分の一以上の間、アンチスキッド制御の開始が困難となる方向に補正するように構成されているので、車輪が段差等を通過中にアンチスキッド制御が開始することを確実に回避し、適切にアンチスキッド制御を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るアンチスキッド制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態におけるアンチスキッド制御のための処理を示すフローチャートである。
【図3】 図2における段差等の通過判定の処理を示すフローチャートである。
【図4】 図2におけるABS開始基準速度設定の処理を示すフローチャートである。
【図5】 図3における車輪速度差トVsと車輪加速度差(DVw−DVx)の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2a マスタシリンダ, 3 ブレーキペダル, 10 電子制御装置,
20 電動モータ, 21,22 液圧ポンプ, 23,24 リザーバ,
30 アクチュエータ, 31〜36 電磁弁,
41〜44 車輪速度センサ, 51〜54 ホイールシリンダ,
FR,FL,RR,RL 車輪

Claims (2)

  1. 車両の各車輪に装着したホイールシリンダと、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液圧を出力する液圧発生手段と、該液圧発生手段と前記各車輪のホイールシリンダとの間に介装し、前記車両の制動状態に応じて前記各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、少くとも該車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づきアンチスキッド制御の開始基準を設定する開始基準設定手段と、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪の車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段と、該車輪加速度演算手段が演算した車輪加速度に対し所定のフィルタ処理を行なったフィルタ処理後の車輪加速度と、前記車輪加速度演算手段が演算した車輪加速度の瞬時値との差が所定の値を超えたときに、車輪速度の急激な低下と判定する車輪速度急減検出手段と、アンチスキッド制御開始前に、前記車輪速度急減検出手段が車輪速度の急激な低下を検出したときには、前記開始基準設定手段が設定する前記アンチスキッド制御の開始基準を、前記アンチスキッド制御の開始が困難となる方向に補正する開始基準補正手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 前記開始基準補正手段は、車輪振動周期の二分の一以上の間、前記アンチスキッド制御の開始が困難となる方向に補正することを特徴とする請求項1記載のアンチスキッド制御装置。
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