JP4501216B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の制動状態に応じて各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御するアンチスキッド制御装置に関し、特に各車輪の車輪速度に基づき推定車体速度を演算する手段を備えたアンチスキッド制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
車両制動時に車輪がロック状態となってスリップすることを防止する装置として、種々のアンチスキッド制御装置が提案されているが、例えば特開平2−141355号公報には、車輪速度検出手段からの車輪速度信号に基づいて車体速度を計算する推定車体速度計算手段を備えたアンチロック制御装置が開示されている。また、特開平3−67767号公報には、車輪速度に対する所定の増加率を設定し該増加率に基づいて第1の設定速度を演算すると共に、車輪速度に対する所定の減少率を設定し該減少率に基づいて第2の設定速度を演算し、該第2の設定速度、前記第1の設定速度及び前記車輪速度の中央値を選択して推定車体速度を設定する推定車体速度設定手段を備えたアンチスキッド制御装置が開示されている。
【0003】
更に、特開平9−21819号公報には、前掲の特開平2−141355号公報に記載の推定車体速度計算手段に関し、過大なスリップの発生に起因して誤った車体速度が推定されることを良好に回避することができるものの、車輪の回転速度にノイズが重畳したか否かの検出結果に応じて推定規則を変更することは記載されていないとして、ノイズの重畳を過大スリップの発生とは区別して検出し得、かつ、ノイズの重畳に起因して車体速度が誤って検出されることを回避し得ることを課題とした車体速度検出装置が提案されている。
【0004】
この特開平9−21819号公報に記載の車体速度検出装置は、複数の回転速度の少くとも1つにノイズが重畳しているか否かを検出するノイズ重畳検出手段を含み、車体速度推定手段が、そのノイズ重畳検出手段による検出結果に応じて推定規則を変えるノイズ重畳対応推定規則変更手段を含むことを特徴としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、前掲の特開平9−21819号公報に記載のノイズ重畳検出手段は、エンジンがレーシング状態にあることに起因して生じた駆動系の共振に伴うノイズの重畳や、回転速度検出装置の電気系の振動に起因するノイズの重畳等を検出する手段であり、これによっては、走行路面の外乱による車輪速度の変動を検出することはできない。この路面外乱による車輪速度の変動は、例えば、高低差のある段差、突起のみならず、鉄製マンホールの蓋、走行路を横切るスレート製の蓋等、路面と車輪との間の摩擦係数が急激に低下する部分(本願では、これらを総称して、段差等という)を車輪が通過したときに生ずる。
【0006】
そこで、本発明は、路面外乱に起因する車輪速度の変動時にも適切に推定車体速度を演算し、段差等を通過したときにも適切にアンチスキッド制御を行ない得るアンチスキッド制御装置を提供することを課題とする。
【0007】
上記の課題を達成するため、本発明は、車両の各車輪に装着したホイールシリンダと、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液圧を出力する液圧発生手段と、該液圧発生手段と前記各車輪のホイールシリンダとの間に介装し、前記車両の制動状態に応じて前記各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段が検出した検出車輪速度の内の少くとも二つの車輪の車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段と、少くとも該推定車体速度演算手段が推定した推定車体速度と前記車輪速度検出手段が検出した前記各車輪の車輪速度との比較結果に基づきアンチスキッド制御の開始判定を行なう開始判定手段と、前記各車輪の走行路面における路面外乱を検出する路面外乱検出手段と、該路面外乱検出手段の検出結果に応じて、前記推定車体速度演算手段による推定車体速度の演算規則を切換える推定車体速度演算切換手段とを備え、前記推定車体速度演算手段は、前記車輪速度検出手段が検出した前記各車輪の車輪速度の内の最大車輪速度と、前回の演算タイミングにおける推定車体速度に対する所定の増加率を設定し該増加率に基づいて第1の設定速度を演算すると共に、前回の演算タイミングにおける推定車体速度に対する所定の減少率を設定し該減少率に基づいて第2の設定速度を演算し、該第2の設定速度、前記第1の設定速度及び前記最大車輪速度の中央値を前記推定車体速度とし、前記推定車体速度演算切換手段は、前記路面外乱検出手段が少くとも一つの車輪の走行路面における路面外乱を検出したときには前記増加率を通常時より低い値に設定して前記推定車体速度を演算するように、前記推定車体速度演算手段による演算規則を切換えることとしたものである。
【0011】
また、請求項に記載のように、車両の各車輪に装着したホイールシリンダと、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液圧を出力する液圧発生手段と、該液圧発生手段と前記各車輪のホイールシリンダとの間に介装し、前記車両の制動状態に応じて前記各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段が検出した検出車輪速度の内の少くとも二つの車輪の車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段と、少くとも該推定車体速度演算手段が推定した推定車体速度と前記車輪速度検出手段が検出した前記各車輪の車輪速度との比較結果に基づきアンチスキッド制御の開始判定を行なう開始判定手段と、前記各車輪の走行路面における路面外乱を検出する路面外乱検出手段と、該路面外乱検出手段の検出結果に応じて、前記推定車体速度演算手段による推定車体速度の演算規則を切換える推定車体速度演算切換手段とを備え、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪の車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段を具備し、前記路面外乱検出手段は、前記車輪加速度演算手段が演算した車輪加速度の瞬時値が第1の所定値以下である状態と第2の所定値以上である状態を車輪振動周期の二分の一以上に設定された所定時間以内に検出したときに路面外乱と判定するように構成するとよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るアンチスキッド制御装置を示すもので、液圧発生手段としてはマスタシリンダ2a及びブースタ2bを備え、これらがブレーキペダル3によって駆動される。各車輪FR,FL,RR,RLにはホイールシリンダ51乃至54が装着されている。尚、車輪FRは運転席からみて前方右側の車輪を示し、以下車輪FLは前方左側、車輪RRは後方右側、車輪RLは後方左側の車輪を示しており、図1に明らかなように所謂ダイアゴナル配管が構成されているが、所謂前後配管としてもよい。
【0013】
そして、マスタシリンダ2aとホイールシリンダ51乃至54との間に、アンチスキッド制御(ABS)用のアクチュエータ30が介装されている。このアクチュエータ30は本発明の液圧制御手段を構成するもので、図1に二点鎖線で示すようにマスタシリンダ2aの一方の出力ポートとホイールシリンダ51,54の各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁31,37が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ21の吐出側が接続されている。同様に、マスタシリンダ2aの他方の出力ポートとホイールシリンダ52,53の各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁33,35が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ22の吐出側が接続されている。液圧ポンプ21,22は電動モータ20によって駆動され、その作動時に上記の各液圧路に所定の圧力に昇圧されたブレーキ液が供給される。
【0014】
ホイールシリンダ51,54は更に常閉の電磁弁32,38に接続されており、これらの下流側はリザーバ23に接続されると共に、液圧ポンプ21の吸入側に接続されている。ホイールシリンダ52,53は同じく常閉の電磁弁34,36に接続され、これらの下流側はリザーバ24に接続されると共に、液圧ポンプ22の吸入側に接続されている。リザーバ23,24は夫々ピストンとスプリングを備えており、電磁弁32,34,36,38を介して排出される各ホイールシリンダのブレーキ液を収容する。
【0015】
電磁弁31乃至38は2ポート2位置電磁切替弁であり、夫々ソレノイドコイル非通電時には図1に示す第1位置にあって、各ホイールシリンダ51乃至54はマスタシリンダ2aに連通している。ソレノイドコイル通電時には第2位置となり、各ホイールシリンダ51乃至54はマスタシリンダ2aとは遮断され、リザーバ23あるいは24と連通する。尚、図1においてはPVはプロポーショニングバルブ、DPはダンパ、CVはチェックバルブ、ORはオリフィス、FTはフィルタを示し、図1中同一記号のものは同一の部品を示す。チェックバルブCVはホイールシリンダ51乃至54及びリザーバ23,24側からマスタシリンダ2a側への還流を許容し、逆方向の流れを遮断するものである。
【0016】
而して、これらの電磁弁31乃至38のソレノイドコイルに対する通電、非通電を制御することによりホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧を増圧、減圧又は保持することができる。即ち、電磁弁31乃至38のソレノイドコイル非通電時にはホイールシリンダ51乃至54にマスタシリンダ2a及び液圧ポンプ21あるいは22からブレーキ液圧が供給されて増圧し、通電時にはホイールシリンダ51乃至54がリザーバ23あるいは24側に連通し減圧する。また、電磁弁31,33,35,37のソレノイドコイルに通電しその他の電磁弁のソレノイドコイルを非通電とすれば、ホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧が保持される。従って、上記ソレノイドコイルに対する通電、非通電の時間間隔を調整することにより、後述するようにパルス増圧モード(ステップ増圧モードとも呼ばれる)における液圧制御を行ない、緩やかに増圧するように制御することができ、またパルス減圧モード時には緩やかに減圧するように制御することができる。
【0017】
上記電磁弁31乃至38は電子制御装置10に接続され、各々のソレノイドコイルに対する通電、非通電が制御される。電動モータ20も電子制御装置10に接続され、これにより駆動制御される。また、車輪FR,RL,RR,FLには車輪速度検出手段たる車輪速度センサ41乃至44が配設され、これらが電子制御装置10に接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度信号が電子制御装置10に入力されるように構成されている。電子制御装置10には、更に、ブレーキペダル3が踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチ4等が接続されている。尚、電子制御装置10は、一般的なマイクロコンピュータで構成されており、図示は省略するが、バスを介して相互に接続されたプロセシングユニット(CPU)、メモリ(ROM、RAM)、タイマ、入出力インターフェース等から成り、プロセシングユニット内には本発明の車輪加速度演算手段、推定車体速度演算手段、開始判定手段、路面外乱検出手段、及び推定車体速度演算切換手段が構成されている。
【0018】
上記のように構成された本実施形態においては、電子制御装置10によりアンチスキッド制御のための一連の処理が行なわれアクチュエータ30の作動が制御されるが、以下図2のフローチャートに基づいて説明する。イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されると、先ず図2のステップ101にて初期化が行なわれ、各種の演算値がクリアされる。続いて、ステップ102において車輪速度センサ41乃至44からの出力信号に基づき各車輪の車輪速度(代表してVwで表す)が演算され、更にステップ103にて車輪速度Vwが微分され、このときの車輪加速度、即ち瞬時値の車輪加速度DVxが求められる。また、例えば、このときの値を最終値とする所定の演算サイクル分の平均値が演算され(即ち、フィルタ処理され)、フィルタ後の車輪加速度DVwが求められる。
【0019】
次に、ステップ104において、段差等の通過判定の処理が行なわれるが、これについては図3を参照して後述する。続いてステップ105に進み、アンチスキッド制御中か否かが判定され、未だアンチスキッド制御中でなければステップ106に進み、車輪速度Vwと車輪加速度DVwに基づきアンチスキッド制御の開始条件を充足しているか否かが判定される。開始条件を充足していればステップ107以降に進み、充足していなければステップ113にジャンプする。
【0020】
そして、ステップ107において、各車輪のロック状態に応じて減圧モード、パルス増圧モード及び保持モードの何れかの液圧モードに設定され、ステップ108乃至112に進み、各液圧モードに応じた液圧制御信号が出力される。而して、各液圧モードに基づき、前述のように電磁弁31乃至38の各々のソレノイドコイルに対する通電、非通電が制御され、ホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧(ホイールシリンダ液圧)が増圧、減圧又は保持される。
【0021】
そして、ステップ113において四つの車輪に関する演算処理が完了したか否かが判定され、完了していなければステップ102に戻り、上記の処理が繰り返される。四つの車輪の全てに関し演算処理が完了したと判定されると、ステップ114に進み各車輪の車輪速度Vwに基づき推定車体速度Vsoが演算される。続いてステップ115に進み、推定車体速度Vsoが微分され推定車体加速度DVsoが演算される。
【0022】
図3は、図2のステップ104にて行なわれる段差等の通過判定の処理を示すもので、ステップ201において車輪加速度DVxが第1の所定値Kx(例えば、−20G)と比較される。車輪加速度DVxが第1の所定値Kxを下回っているときにはステップ202に進み、車輪速度Vwが急激に低下した状態を表す急減フラグFcがセット(1)されて、ステップ203に進む。車輪加速度DVxが第1の所定値Kx以上と判定されると、そのままステップ203に進み急減フラグFcがセットされているか否かが判定される。
【0023】
ステップ203において急減フラグFcが既にセットされていると判定されると、ステップ204に進みカウンタCdがインクリメント(+1)された後、ステップ205にてカウンタCdの累積値が所定時間Td(例えば、120 ms)と比較される。このステップ205において、カウンタCdの累積値が所定時間Td未満と判定された場合には、ステップ206に進み、更に車輪加速度DVxが第2の所定値Ky(例えば、+20G)と比較される。車輪加速度DVxが第2の所定値Kyを超えているときには当該車輪が段差等を通過したと判定され、ステップ207に進み、段差フラグFdがセット(1)されて図2のメインルーチンに戻る。車輪加速度DVxが第2の所定値Ky以下であればそのまま図2のメインルーチンに戻る。
【0024】
ステップ203において急減フラグFcがリセット(0)状態と判定されたとき、及びステップ205においてカウンタCdの累積値が所定時間Td以上と判定されたときには、ステップ208にてカウンタCdがクリア(0)され、更にステップ209にて急減フラグFcがリセット(0)されると共に、ステップ210にて段差フラグFdがリセット(0)されて図2のメインルーチンに戻る。換言すれば、急減フラグFcがセットされた後、所定時間Tdを経過するまでは急減フラグFc及び段差フラグFdはリセットされない。
【0025】
尚、上記の所定時間Tdは、以下の理由から車輪振動周期の二分の一以上となるように設定される。車輪振動周期、即ち、ばね下の振動周期は車種によって決まるが、車輪が通過する段差等が高い場合には車輪が着地するまでの時間が長くなるので、車輪振動周期の二分の一より短い時間では、開始基準速度Vsが元の値に戻された時に、車輪が未だ着地していない場合が生じ得る。本実施形態ではこれを回避すべく、所定時間Tdを車輪振動周期の二分の一以上に設定することとしたものであり、略一周期分の長さ(120 ms)に設定されている。
【0026】
図4は、図2のステップ114にて行なわれる推定車体速度Vsoの演算処理を示すもので、先ずステップ301において段差フラグFdの状態が判定される。段差フラグFdがセット(1)されている場合には、ステップ302に進み、段差等を通過した車輪を除く他の車輪の内の最大車輪速度(図4中のMAXは最大値を求める関数を表す)が車輪速度Vwoとして設定される。例えば、四輪の車輪速度を用いて演算する場合において前方の二輪が段差等を通過したときには、後方の二輪の内、高速度の方の値が車輪速度Vwoとして設定される。これに対し、ステップ301において段差フラグFdがセット(1)されていない場合には、ステップ303に進み、四輪全ての車輪速度の最大値が車輪速度Vwoとして設定される。尚、二つの車輪の車輪速度に基づいて車輪速度Vwoを設定してもよく、この場合には一方の車輪のみが段差等を通過したときに、他方の車輪速度が車輪速度Vwoとして設定される。
【0027】
続いてステップ304に進み、車輪速度Vwoと、車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)が大小比較される。ここで、Vso(n-1) は前回演算の推定車体速度で、αUPはこの推定車体速度Vso(n-1) に対する加速度、即ち推定車体速度Vso(n-1) の増加率の限度を設定する値で、tは演算周期を表す。従って、車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)は前回の推定車体速度から加速度αUPで加速したと仮定したときの第1の設定速度を表している。ステップ304において車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)以上と判定されると、ステップ305にて車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)が今回の推定車体速度Vso(n) として設定される。
【0028】
一方、ステップ304において、車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)を下回ると判定されると、ステップ306に進み、車輪速度Vwoと、車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)が大小比較される。ここで、αDNは推定車体速度Vso(n-1) に対する減速度、即ち推定車体速度Vso(n-1) の減少率の限度を設定する値である(但し、αDNとしては正の値で表す)。従って、車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)は前回の推定車体速度から減速度αDNで減速したと仮定したときの第2の設定速度を表している。ステップ306において車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)を超えたと判定されると、ステップ307にて車輪速度Vwoが今回の推定車体速度Vso(n) として設定され、車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)以下と判定されると、ステップ308にて車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)が今回の推定車体速度Vso(n) として設定される。結局、ステップ304乃至308において、車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)、車輪速度Vwo、及び車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)の中間値が、今回の推定車体速度Vso(n) として設定されることになる。
【0029】
次に、図5は本発明の他の実施形態における推定車体速度Vsoの演算処理を示すもので、先ずステップ401において四輪全ての車輪速度の内の最大値が車輪速度Vwoとして設定される。続いてステップ402に進み、車輪速度Vwoと、車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)が大小比較される。ステップ402において車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)を下回ると判定されると、ステップ403に進み、更に車輪速度Vwoと、速度車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)が大小比較される。このステップ403において車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)を超えると判定されると、ステップ404にて車輪速度Vwoがが今回の推定車体速度Vso(n) として設定され、車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)以下と判定されると、ステップ405にて車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)が今回の推定車体速度Vso(n) として設定される。
【0030】
一方、ステップ402において車輪速度Vwoが車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)以上と判定されると、ステップ406に進み、段差フラグFdの状態が判定される。ステップ406において段差フラグFdがセット(1)されていると判定された場合には、ステップ407に進み、加速度αUPが最小値の0.1Gに設定される。即ち、車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)は実車体速度に近い前回の推定車体速度Vso(n-1) 近傍の値に設定される。ステップ406において段差フラグFdがリセット状態と判定された場合には、ステップ408に進み、アンチスキッド制御の開始前か否かが判定される。アンチスキッド制御の開始前であれば、ステップ409において加速度αUPは0.5Gに設定される。
【0031】
これに対し、ステップ408においてアンチスキッド制御が既に開始し制御中と判定された場合には、ステップ410において加速度αUPが最大値の1.5Gに設定される。而して、ステップ411において、ステップ407、409及び410の何れかで設定された加速度αUPに基づき車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)が演算され、今回の推定車体速度Vso(n) として設定される。以上のステップ402乃至405及びステップ411により、車体速度(Vso(n-1) −αDN・t)、車輪速度Vwo、及び車体速度(Vso(n-1) +αUP・t)の中間値が、今回の推定車体速度Vso(n) に設定され、この内、加速度αUPの値が、路面外乱時(即ち、車輪が段差等を通過した時)には最小値となるように設定される。
【0032】
上記のように設定される推定車体速度の一例として、二つの車輪の車輪速度Vw1,Vw2に基づき、図4に示すように推定車体速度を演算した場合のアンチスキッド制御状況について、図6を参照して説明する。図6は、その最上段にアンチスキッド制御時の車輪速度Vw1,Vw2及び推定車体速度Vsoの変化(但し、Vsop は従来手段による演算結果を示す)を示し、その下の段に段差フラグFdの状態を示し、更にその下の段に、段差等を通過した車輪のアンチスキッド制御状況を示し、最下段に、段差等を通過した車輪を除く他の車輪のアンチスキッド制御状況を示している。尚、ONはアンチスキッド制御の開始(減圧開始)、OFFはアンチスキッド制御の停止を表す。
【0033】
図6において、アンチスキッド制御開始前に、例えば一方の車輪が段差等を通過し、実線で示す車輪速度Vw1が急激に変化すると、この段差等を通過した車輪に関しt1時にアンチスキッド制御が開始する。しかし、段差等を通過していない車輪については実線で示すようにアンチスキッド制御は開始しない。また、当該一方の車輪が段差等を通過したと判定されて路面外乱が検出され、段差フラグFdがセットされると、段差等を通過した当該一方の車輪に関してもt2時でアンチスキッド制御が終了とされる。
【0034】
これに対し、従来の推定車体速度演算手段によれば、車輪が段差等を通過した際に車輪速度Vw1が変動する結果、推定車体速度は二点鎖線(Vsop )で示すように設定されるので、車輪速度Vw2が推定車体速度Vsop を大きく下回ることになり、t3時には、最下段に二点鎖線で示すように段差等を通過していない車輪に対するアンチスキッド制御が開始することになる。しかし、この推定車体速度Vsop には、段差等の通過に起因する車輪速度Vw1の変動によるノイズが含まれているので、段差等を通過していない車輪に対するアンチスキッド制御も開始しないようにする必要がある。このため、本実施形態においては、推定車体速度Vsoが前述(図4)のように演算され、その結果、図6の最上段に破線で示すように推定車体速度Vsoは車輪速度Vw2と同じ値に設定される。従って、図6の最下段に実線で示すように、段差等を通過していない車輪のアンチスキッド制御も開始することはない。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明のアンチスキッド制御装置においては、第1の設定速度、第2の設定速度及び最大車輪速度の中央値を推定車体速度とし、路面外乱検出手段が少くとも一つの車輪路面外乱を検出したときには増加率を通常時より低い値に設定して推定車体速度を演算するように、推定車体速度演算手段による演算規則を切換えるように構成されており、路面外乱が検出された車輪以外の車輪速度の変動によって推定車体速度が上昇することが抑制されるので、路面外乱に起因する車輪速度の変動時にも適切に推定車体速度を演算し、段差等を通過したときにも適切にアンチスキッド制御を行なうことができる。
【0036】
また、請求項2に記載のように構成すれば、各車輪の走行路面における路面外乱を確実に検出することができ、路面外乱に起因する車輪速度の変動に影響されることなく、路面外乱時にも適切に推定車体速度を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るアンチスキッド制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるアンチスキッド制御のための処理を示すフローチャートである。
【図3】図2における段差等の通過判定の処理を示すフローチャートである。
【図4】図2における推定車体速度Vsoの演算処理を示すフローチャートである。
【図5】図2における推定車体速度Vsoの演算処理の他の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態における車輪速度Vw及び推定車体速度Vsoの変化、並びにこれに伴う段差フラグの状態及び各車輪のアンチスキッド制御状態を示すグラフである。
【符号の説明】
2a マスタシリンダ, 3 ブレーキペダル, 10 電子制御装置,
20 電動モータ, 21,22 液圧ポンプ, 23,24 リザーバ,
30 アクチュエータ, 31〜36 電磁弁,
41〜44 車輪速度センサ, 51〜54 ホイールシリンダ,
FR,FL,RR,RL 車輪

Claims (2)

  1. 車両の各車輪に装着したホイールシリンダと、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液圧を出力する液圧発生手段と、該液圧発生手段と前記各車輪のホイールシリンダとの間に介装し、前記車両の制動状態に応じて前記各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段が検出した検出車輪速度の内の少くとも二つの車輪の車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段と、少くとも該推定車体速度演算手段が推定した推定車体速度と前記車輪速度検出手段が検出した前記各車輪の車輪速度との比較結果に基づきアンチスキッド制御の開始判定を行なう開始判定手段と、前記各車輪の走行路面における路面外乱を検出する路面外乱検出手段と、該路面外乱検出手段の検出結果に応じて、前記推定車体速度演算手段による推定車体速度の演算規則を切換える推定車体速度演算切換手段とを備え、前記推定車体速度演算手段は、前記車輪速度検出手段が検出した前記各車輪の車輪速度の内の最大車輪速度と、前回の演算タイミングにおける推定車体速度に対する所定の増加率を設定し該増加率に基づいて第1の設定速度を演算すると共に、前回の演算タイミングにおける推定車体速度に対する所定の減少率を設定し該減少率に基づいて第2の設定速度を演算し、該第2の設定速度、前記第1の設定速度及び前記最大車輪速度の中央値を前記推定車体速度とし、前記推定車体速度演算切換手段は、前記路面外乱検出手段が少くとも一つの車輪の走行路面における路面外乱を検出したときには前記増加率を通常時より低い値に設定して前記推定車体速度を演算するように、前記推定車体速度演算手段による演算規則を切換えることを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 車両の各車輪に装着したホイールシリンダと、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液圧を出力する液圧発生手段と、該液圧発生手段と前記各車輪のホイールシリンダとの間に介装し、前記車両の制動状態に応じて前記各車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧を制御する液圧制御手段とを備えたアンチスキッド制御装置において、前記各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、該車輪速度検出手段が検出した検出車輪速度の内の少くとも二つの車輪の車輪速度に基づき推定車体速度を演算する推定車体速度演算手段と、少くとも該推定車体速度演算手段が推定した推定車体速度と前記車輪速度検出手段が検出した前記各車輪の車輪速度との比較結果に基づきアンチスキッド制御の開始判定を行なう開始判定手段と、前記各車輪の走行路面における路面外乱を検出する路面外乱検出手段と、該路面外乱検出手段の検出結果に応じて、前記推定車体速度演算手段による推定車体速度の演算規則を切換える推定車体速度演算切換手段とを備え、前記車輪速度検出手段の検出車輪速度に基づき前記各車輪の車輪加速度を演算する車輪加速度演算手段を具備し、前記路面外乱検出手段は、前記車輪加速度演算手段が演算した車輪加速度の瞬時値が第1の所定値以下である状態と第2の所定値以上である状態を車輪振動周期の二分の一以上に設定された所定時間以内に検出したときに路面外乱と判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
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