JPH10329690A - アンチロックブレーキ装置 - Google Patents

アンチロックブレーキ装置

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JPH10329690A
JPH10329690A JP9140399A JP14039997A JPH10329690A JP H10329690 A JPH10329690 A JP H10329690A JP 9140399 A JP9140399 A JP 9140399A JP 14039997 A JP14039997 A JP 14039997A JP H10329690 A JPH10329690 A JP H10329690A
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JP
Japan
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wheel
abs control
condition
pressure
determined
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JP9140399A
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English (en)
Inventor
Masaya Shobu
昌也 菖蒲
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は車輪に過大なスリップ率が発生する
のを防止するアンチロックブレーキ装置に関し、車両の
使用環境に応じた最適な条件で段差に起因するABS制
御を強制終了させることを目的とする。 【解決手段】 車輪に過大なスリップ率が発生した場合
にABS制御を実行する。所定の段差条件が成立した際
に車輪が段差を通過したと判定する。ABS制御が開始
された後に車輪が段差を通過したと判定された場合に、
所定の増圧パターンでホイルシリンダ圧PW/C を増圧し
てABS制御を強制終了させる。ABS制御の実行条件
の成立回数CABS と段差条件の成立回数CSTEPとを用い
て段差頻度NSTEP=CSTEP/CABS を求める(ステップ
144〜156)。NSTEPに基づいて段差条件および増
圧パターンを変更する(ステップ158〜164)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンチロックブレ
ーキ装置に係り、特に、車両の車輪に過大なスリップ率
が発生するのを防止する装置として好適なアンチロック
ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平5−29422
6号に開示される如く、車輪が段差等を通過したと判別
される場合にABS制御を強制的に終了させるアンチロ
ックブレーキ装置が知られている。上記従来の装置にお
いて、ABS制御は、車輪のスリップ率が所定値を超え
る場合に開始される。また、ABS制御によれば、その
車輪のホイルシリンダ圧P W/C が一時的に減圧された
後、緩やかに増圧される。上記のABS制御によれば、
制動操作の実行に伴って車輪に大きなスリップ率が発生
した場合に、その後、スリップ率を過大な値に成長させ
ることなく効果的に大きな制動力を発生させることがで
きる。
【0003】車輪が段差等を通過する際には、車輪荷重
の低下等に起因して、その車輪のスリップ率が一時的に
大きな値となる。このため、従来のアンチロックブレー
キ装置によれば、車輪が段差等を通過する際に、ABS
制御が開始されることがある。車輪が段差等を通過する
際に一時的に大きな値となるスリップ率は、車輪が段差
等を通過し終えた後に速やかに適正な値となる。従っ
て、車輪が段差等を通過する際には、ABS制御を実行
する必要はない。
【0004】上述の如く、従来のアンチロックブレーキ
装置は、車輪が段差を通過したと認められる場合にAB
S制御の強制終了を図る。このため、上記従来の装置に
よれば、車輪が段差等を通過することに起因して、その
後、車輪のホイルシリンダ圧PW/C が不必要に低圧に制
御されるのを防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のアンチロッ
クブレーキ装置において、段差等に起因して開始される
ABS制御を高い確率で強制終了させるためには、高い
感度で段差を検出する必要がある。一方、段差の検出感
度を高くすると、路面摩擦係数が変化した場合等に車輪
の段差通過が誤判定され易くなる。このため、従来のア
ンチロックブレーキ装置において、段差の検出感度は、
背反するこれら2つの要求を共に適当に満たし得る感度
とする必要がある。
【0006】また、上記従来のアンチロックブレーキ装
置において、段差が検出された後にABS制御を速やか
に終了させるためには、ABS制御を強制終了させる際
に、ホイルシリンダ圧PW/C を大きな増圧勾配で増圧さ
せることが望ましい。一方、ABS制御を円滑に強制終
了させるためには、強制終了時においてホイルシリンダ
圧PW/C を緩やかな勾配で増圧させることが望ましい。
このため、従来のアンチロックブレーキ装置において、
ABS制御の強制終了時におけるホイルシリンダ圧P
W/C の増圧勾配は、背反するこれら2つの要求を共に適
当に満たし得る勾配とする必要がある。
【0007】ところで、段差に起因して開始されたAB
S制御を強制的に終了させることに関する精度(以下、
強制終了精度と称す)の重要度と、車輪の段差通過の誤
判定を防止することに関する精度(以下、誤判定防止精
度と称す)の重要度との比率は、全ての車両について同
一ではない。具体的には、通常の使用環境下で頻繁に段
差を通過し、摩擦係数の低い道路を殆ど走行しない車両
については、強制終了精度を誤判定防止精度に比して重
要視することが適切である。また、通常の使用環境下で
摩擦係数の低い道路を頻繁に走行し、殆ど段差を通過し
ない車両については、誤判定防止精度を強制終了精度に
比して重要視することが適切である。
【0008】同様に、ABS制御を速やかに強制終了さ
せることに関する要求(以下、高速終了要求と称す)の
重要度と、ABS制御を円滑に強制終了させることに関
する要求(以下、円滑終了要求と称す)の重要度との比
率は、全ての車両について同一ではない。具体的には、
通常の使用環境下で頻繁に段差を通過し、摩擦係数の低
い道路を殆ど走行しない車両については、高速終了要求
を円滑終了要求に比して優先させることが適切である。
また、通常の使用環境下で摩擦係数の低い道路を頻繁に
走行し、殆ど段差を通過しない車両については、円滑終
了要求を高速終了要求に比して優先することが適切であ
る。
【0009】しかし、上記従来のアンチロックブレーキ
装置において、段差の検出感度、および、ABS制御の
強制終了時におけるホイルシリンダ圧PW/C の増圧パタ
ーンは、車両の使用環境に関わらず常に一定とされてい
る。すなわち、誤判定防止精度の重要度と強制終了精度
の重要度との比率、および、円滑終了要求の重要度と高
速終了要求の重要度との比率が常に一定とされている。
このため、従来のアンチロックブレーキ装置によって
は、段差に起因して開始されるABS制御を、車両の使
用環境に応じた最適な条件で強制終了させることができ
ない場合があった。
【0010】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、車両の使用環境に応じた最適な条件で、段差に
起因して開始されるABS制御を強制終了させることの
できるアンチロックブレーキ装置を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、車輪に過大なスリップ率が発生した場
合に、ホイルシリンダ圧の減圧を図ることにより前記車
輪のロック傾向を抑制するABS制御を実行するアンチ
ロックブレーキ装置において、所定の段差条件が成立し
た際に車輪が段差を通過したと判定する段差判定手段
と、ABS制御が開始された後に車輪が段差を通過した
と判定された場合に、所定の増圧パターンでホイルシリ
ンダ圧PW/C の増圧を図る段差時増圧手段と、段差通過
頻度を検出する段差頻度検出手段と、前記段差通過頻度
に基づいて前記段差条件を変更する段差条件変更手段
と、を備えるアンチロックブレーキ装置により達成され
る。
【0012】本発明において、ABS制御が開始された
後に車輪が段差を通過したと判定されると、所定の増圧
パターンでその車輪のホイルシリンダ圧PW/C が増圧さ
れることにより、ABS制御が強制終了される。車輪が
段差を通過したか否かは段差条件が成立したか否かに基
づいて判別される。また、段差条件は、車輪が段差を通
過する頻度に基づいて変更される。この場合、段差の検
出感度を、頻繁に段差を通過する車両と、殆ど段差を通
過しない車両とで、異なる感度とすることができる。
【0013】また、上記の目的は、請求項2に記載する
如く、車輪に過大なスリップ率が発生した場合に、ホイ
ルシリンダ圧の減圧を図ることにより前記車輪のロック
傾向を抑制するABS制御を実行するアンチロックブレ
ーキ装置において、所定の段差条件が成立した際に車輪
が段差を通過したと判定する段差判定手段と、ABS制
御が開始された後に車輪が段差を通過したと判定された
場合に、所定の増圧パターンでホイルシリンダ圧PW/C
の増圧を図る段差時増圧手段と、段差通過頻度を検出す
る段差頻度検出手段と、前記段差通過頻度に基づいて前
記所定の増圧パターンを変更する増圧パターン変更手段
と、を備えるアンチロックブレーキ装置によっても達成
される。
【0014】本発明において、ABS制御が開始された
後に車輪が段差を通過したと判定されると、所定の増圧
パターンでその車輪のホイルシリンダ圧PW/C が増圧さ
れることにより、ABS制御が強制終了される。ABS
制御の強制終了時におけるホイルシリンダ圧PW/C の増
圧パターンは、車輪が段差を通過する頻度に基づいて変
更される。この場合、ホイルシリンダ圧PW/C の増圧パ
ターンを、頻繁に段差を通過する車両と、殆ど段差を通
過しない車両とで、異なるパターンとすることができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
アンチロックブレーキ装置のシステム構成図を示す。ア
ンチロックブレーキ装置は、電子制御ユニット10(以
下、ECU10と称す)を備えている。アンチロックブ
レーキ装置は、ECU10により制御される。尚、図1
は、アンチロックブレーキ装置のうち、左前輪FLおよ
び右後輪RRに対応する構成を表している。
【0016】アンチロックブレーキ装置は、ブレーキペ
ダル12を備えている。ブレーキペダル12の近傍に
は、ブレーキスイッチ14が配設されている。ブレーキ
スイッチ14は、ブレーキペダル12が踏み込まれるこ
とによりオン信号を出力する。ブレーキスイッチ14の
出力信号はECU10に供給されている。ECU10は
ブレーキスイッチ14の出力信号に基づいてブレーキペ
ダル12が踏み込まれているか否かを判別する。
【0017】ブレーキペダル12は、ブレーキブースタ
12に連結されている。ブレーキブースタ16にはマス
タシリンダ18が固定されている。マスタシリンダ18
は、その内部に液圧室を備えている。マスタシリンダ1
8の液圧室には、ブレーキペダル12に加えられたブレ
ーキ踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ
圧PM/C が発生する。
【0018】マスタシリンダ18の上部には、リザーバ
タンク20が配設されている。リザーバタンク20の内
部には、所定量のブレーキフルードが貯留されている。
マスタシリンダ18の液圧室は、ブレーキペダル12の
踏み込みが解除されている場合にリザーバタンク20と
連通する。マスタシリンダ18の液圧室には、液圧通路
22が連通している。液圧通路22には、保持ソレノイ
ド24,26および逆止弁28,30が連通している。
保持ソレノイド24,26は、外部から駆動信号が供給
されることにより閉弁状態となる2位置の電磁弁であ
る。保持ソレノイド24および逆止弁28は右後輪RR
のホイルシリンダ32に連通している。逆止弁28は、
ホイルシリンダ32から液圧通路22側へ向かう流体の
流れのみを許容する一方向弁である。また、保持ソレノ
イド26および逆止弁30は左前輪FLのホイルシリン
ダ34に連通している。逆止弁30は、ホイルシリンダ
34から液圧通路22側へ向かう流体の流れのみを許容
する一方向弁である。
【0019】ホイルシリンダ32には、保持ソレノイド
24に加えて減圧ソレノイド36が接続されている。ま
た、ホイルシリンダ34には、保持ソレノイド26に加
えて減圧ソレノイド38が接続されている。減圧ソレノ
イド36,38は、外部から駆動信号が供給されること
により開弁状態となる2位置の電磁弁である。減圧ソレ
ノイド36,38は、共に補助リザーバ40に連通して
いる。補助リザーバ40の内部には、ピストン42およ
びスプリング44が配設されている。ピストン42は、
スプリング44によって補助リザーバ40の容積が最小
となる方向に付勢されている。
【0020】補助リザーバ40は、逆止弁46を介して
ポンプ機構48が連通している。また、ポンプ機構48
は、逆止弁50を介して上述した液圧通路22に連通し
ている。逆止弁46および50は、それぞれ、ポンプ機
構48に流入する流体の流れのみを、または、ポンプ機
構48から液圧通路22に向かう流体の流れのみを許容
する一方向弁である。ポンプ機構48には、その駆動源
としてモータ52が連結されている。モータ52はEC
U10から駆動信号が供給されることにより作動状態と
なる。
【0021】本実施例のアンチロックブレーキ装置にお
いて、各車輪RR,FLの近傍には車輪速センサ54,
56を備えている。車輪速センサ54,56は、各車輪
の回転速度に応じた周期でパルス信号を発生する。EC
U10は、車輪速センサ54,56の出力値に基づいて
各車輪RR,FLの車輪速Vwを検出する。本実施例の
アンチロックブレーキ装置において、ECU10は、
通常ブレーキ制御、および、ABS制御を実行する。
【0022】通常ブレーキ制御によれば、保持ソレノ
イド24,26が開弁状態(オフ状態)とされ、減圧ソ
レノイド36,38が閉弁状態(オフ状態)とされ、か
つ、モータ52が非作動状態とされる。通常ブレーキ制
御が実行されると、マスタシリンダ18とホイルシリン
ダ32,34とが導通状態となる。この場合、各車輪R
R,FLのホイルシリンダ圧PW/C はマスタシリンダ圧
M/C と等圧に制御される。
【0023】ABS制御は、運転者によってブレーキ
ペダル12が踏み込まれている状況下で、何れかの車輪
において所定値を超えるスリップ率が発生した場合に実
行される。ABS制御の実行中は、モータ52が作動状
態とされる。また、ABS制御の実行中は、各車輪R
R,FLについて、 (i)保持ソレノイド24,26を開
弁状態とし、かつ、減圧ソレノイド36,38を閉弁状
態とする増圧モード、(ii)保持ソレノイド24,26お
よび減圧ソレノイド36,38を共に閉弁状態とする保
持モート、および、 (iii)保持ソレノイド24,26を
閉弁状態とし、かつ、減圧ソレノイド36,38を開弁
状態とする減圧モードの何れかが実現される。
【0024】図2は、ABS制御の実行に伴ってホイル
シリンダ圧PW/C に生ずる変化を示す。図2に示す如
く、ABS制御は、ホイルシリンダ圧PW/C が適当な液
圧に増圧されることにより(その結果、スリップ率が所
定値に増加することにより)開始される。ABS制御が
開始されると、先ず、ホイルシリンダ圧PW/C がが大き
く減圧される。上記の減圧は、上述した (iii)減圧モー
ドを所定期間実行することで実現される。ホイルシリン
ダ圧PW/C の減圧に伴って補助リザーバ40に流入する
ブレーキフルードはポンプ機構48によってマスタシリ
ンダ18側へ汲み上げられる。
【0025】上記の減圧が終了すると、次に、ホイルシ
リンダ圧PW/C の保持が図られる。ホイルシリンダ圧P
W/C の保持は、上述した(ii)保持モードを所定期間実行
することで実現される。ホイルシリンダ圧PW/C が所定
期間保持された後は、ホイルシリンダ圧PW/C の急増圧
および緩増圧が実行される。ホイルシリンダ圧PW/C
急増圧は、上述した (i)増圧モードを所定期間実行する
ことで実現される。また、ホイルシリンダ圧PW/C の緩
増圧は、上述した (i)増圧モードと(ii)保持モードとを
繰り返し実行することで実現される。ホイルシリンダ圧
W/C の緩増圧は、車輪のスリップ率が再び所定値に到
達するまで継続される。そして、車輪のスリップ率が所
定値に到達すると、再び上述した一連の制御が繰り返さ
れる。
【0026】上述したABS制御によれば、制動操作の
実行中に車輪にロック傾向が生じた場合に、速やかにホ
イルシリンダ圧PW/C を減圧させた後、徐々にそのホイ
ルシリンダ圧PW/C を増圧させることができる。このよ
うな制御によれば、車輪のスリップ率を過大な値とする
ことなく、その車輪位置において効果的に制動力を発生
させることができる。
【0027】次に、図3を参照して、車輪が段差等を通
過する際の本実施例のアンチロックブレーキ装置におい
て実現される動作について説明する。図3(A)および
図3(B)は、図3中に一点鎖線で示す如く車輪が高所
から低所へ進行する際に、或いは、車輪がマンホール等
の低摩擦係数部分を通過する際に、その車輪の車輪速V
wおよび車輪加速度Gwに生ずる変化を示す。車輪が段
差等を通過する際には、その車輪の荷重に変化が生ず
る。例えば、車輪が高所から低所へ向かって段差を通過
する際には、車輪の接地点が高所から低所へ変化する際
に、一時的に車輪荷重が減少する。そして、その後、車
輪が低所へ接地することにより接地荷重は当初の値に復
帰する。
【0028】ホイルシリンダ圧PW/C が適当に昇圧され
た状況下で上記の如く車輪荷重が変化すると、車輪速V
wは、図3(A)に示す如く車輪荷重が低下している間
だけ小さな値となる。また、車輪加速度Gwは、図3
(B)に示す如く、車輪荷重が低下する時期と同期して
一時的に減少し、また、車輪荷重が正常値に復帰する時
期と同期して一時的に増加する。車輪速Vwが上記の如
く変化する場合、ECU10は、車輪速Vwが急激に減
少した時点で、その車輪についてABS制御の実行条件
が成立したと判断することがある。
【0029】図3(C)は、車輪速Vwが図3(A)に
示す如く変化した場合に、ECU10が、通常時と同様
にABS制御を実行した際にホイルシリンダ圧PW/C
生ずる変化を示す。本実施例のシステムにおいて、AB
S制御の実行中は、ホイルシリンダ圧PW/C がマスタシ
リンダ圧PM/C に比して低圧に制御される。この場合、
ABS制御は、車輪の荷重が正常値に復帰した後充分に
長い期間にわたって継続的に実行される。
【0030】本実施例のシステムにおいて、ABS制御
の実行中は、マスタシリンダ圧PM/ C が増圧されていて
も、すなわち、運転者によって、より大きな制動力が要
求されていてもマスタシリンダ圧PM/C を急激に増圧す
ることができない。従って、車輪が段差等を通過する際
に通常時と同様にABS制御が実行されると、図3
(C)に示す如く、ホイルシリンダ圧PW/C の増圧が妨
げられる時期が不必要に長期に渡って継続する。
【0031】図3(D)は、車輪速Vwが図3(A)に
示す如く変化した場合に、本実施例のシステムにおいて
実現されるホイルシリンダ圧PW/C の変化を示す。本実
施例のシステムにおいて、ECU10は、車輪速Vwに
急激な減少が生じた時点でABS制御を開始する。その
後、ECU10は、車輪速Vwに急激な増加が発生する
か否かを監視する。そして、車輪速Vwに急激な増加が
認められる場合は、車輪が段差等を通過したと判断して
ABS制御の強制終了を図る。
【0032】車輪が段差等を通過する際に上記の如くA
BS制御が強制的に終了されると、図3(D)に示す如
く、ホイルシリンダ圧PW/C の増圧が妨げられる時期が
短縮される。このため、本実施例のアンチロックブレー
キ装置によれば、制動操作中に車輪が段差等を通過した
場合に、運転者が受ける違和感を抑制することができ
る。
【0033】次に、図4および図5を参照して、ECU
10が、車輪の段差通過を検出する手法について説明す
る。図4は、車輪が段差等を通過する際に車輪加速度G
wに生ずる変化を拡大して表した図を示す。上述の如
く、車輪が段差等を通過する際には、車輪加速度Gwに
急激な低下および急激な増加が生ずる。従って、ECU
10は、車輪加速度Gwにこのような急激な低下および
増加が生じた場合に、車輪が段差等を通過したと判断す
ることができる。
【0034】本実施例において、ECU10は、図4に
示す如く、所定値TH1を下回る車輪加速度Gwが発生
した後、所定時間TRED が経過する前に車輪加速度Gw
が所定値TH2に比して小さな値となり、かつ、その後
更に所定時間TINC が経過する前に車輪加速度Gwが所
定値TH3を超えた場合に、車輪が段差等を通過したと
判断する。以下、上記の条件を段差条件と称す。
【0035】図5は、段差条件に基づいて、車輪が段差
を通過したか否かを判別すべく、ECU10が実行する
制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図5に示
すルーチンは、所定時間毎に起動される定時割り込みル
ーチンである。図5に示すルーチンが起動されると、先
ずステップ100の処理が実行される。ステップ100
では、フラグXRED2に“1”がセットされているか
否かが判別される。フラグXRED2は、車輪加速度G
wが所定値TH1を下回り、かつ、その後、所定時間T
RED が経過する前に車輪加速度Gwが所定値TH2を下
回った場合に“1”とされるフラグである。本ステップ
100で、XRAD2=1が成立しないと判別された場
合は次にステップ102の処理が実行される。
【0036】ステップ102では、フラグXRED1に
“1”がセットされているか否かが判別される。フラグ
XRED1は、車輪加速度Gwが所定値TH1を下回っ
た場合に“1”とされるフラグである。本ステップ10
2で、XRAD2=1が成立しないと判別された場合は
次にステップ104の処理が実行される。ステップ10
4では、車輪加速度Gwが所定値TH1を下回っている
か否かが判別される。その結果、Gw<TH1が成立す
ると判別される場合は、次にステップ106の処理が実
行される。一方、Gw<TH1が成立しないと判別され
る場合は、以後、何ら処理が進められることなく今回の
ルーチンが終了される。
【0037】ステップ106では、フラグXRED1に
“1”がセットされる。本ステップ106の処理が実行
されると、次回以降、本ルーチンが起動される毎に、上
記ステップ102で、XRED1=1が成立すると判別
される。本ステップ106の処理が終了すると、今回の
ルーチンが終了される。本ルーチン中、上記ステップ1
02で、XRED1=1が成立すると判別された場合
は、次にステップ108の処理が実行される。
【0038】ステップ108では、車輪加速度Gwが所
定値TH2を下回っているか否かが判別される。その結
果、Gw<TH2が成立しないと判別される場合は、次
にステップ110の処理が実行される。ステップ110
では、フラグXRED1=1が成立した後の経過時間T
が所定時間TRED に達しているか否かが判別される。そ
の結果、未だT≧TRED が成立していないと判別される
場合は、以後、何ら処理が進められることなく今回のル
ーチンが終了される。一方、本ステップ110で、既に
T≧TRED が成立していると判別された場合は、段差条
件を満たす車輪加速度Gwが生じなかったと判断するこ
とができる。この場合、次にステップ112の処理が実
行される。
【0039】ステップ112では、フラグXRED1が
“0”にリセットされる。本ステップ112の処理が実
行されると、次回以降、本ルーチンが起動される毎に、
上記ステップ102で、XRED1=1が成立しないと
判別される。本ステップ112の処理が終了すると、今
回のルーチンが終了される。本ルーチン中、上記ステッ
プ108でGw<TH2が成立すると判別された場合
は、次にステップ114の処理が実行される。
【0040】ステップ114では、フラグXRED2に
“1”がセットされる。本ステップ114の処理が実行
されると、次回以降、本ルーチンが起動される毎に、上
記ステップ100で、XRED2=1が成立すると判別
される。本ステップ114の処理が終了すると、以後、
上記ステップ112の処理が実行された後、今回のルー
チンが終了される。
【0041】本ルーチン中、上記ステップ100で、X
RED2=1が成立すると判別された場合は、次にステ
ップ116の処理が実行される。ステップ116では、
車輪加速度Gwが所定値TH3を上回っているか否かが
判別される。その結果、Gw>TH3が成立しないと判
別される場合は、次にステップ118の処理が実行され
る。
【0042】ステップ118では、フラグXRED2=
1が成立した後の経過時間Tが所定時間TINC に達して
いるか否かが判別される。その結果、未だT≧TINC
成立していないと判別される場合は、以後、何ら処理が
進められることなく今回のルーチンが終了される。一
方、本ステップ118で、既にT≧TINC が成立してい
ると判別された場合は、段差条件を満たす車輪加速度G
wが生じなかったと判断することができる。この場合、
次にステップ120の処理が実行される。
【0043】ステップ120では、フラグXRED2が
“0”にリセットされる。本ステップ120の処理が実
行されると、次回以降、本ルーチンが起動される毎に、
上記ステップ100で、XRED2=1が成立しないと
判別される。本ステップ120の処理が終了すると、今
回のルーチンが終了される。本ルーチン中、上記ステッ
プ116でGw>TH3が成立すると判別された場合
は、段差条件を満たす車輪加速度Gwが発生したと判断
することができる。この場合、次にステップ122の処
理が実行される。
【0044】ステップ122では、車輪が段差を通過し
たことが判定される。本ステップ122の処理が実行さ
れると、以後、上記ステップ120の処理が実行された
後、今回のルーチンが終了される。上記の処理によれ
ば、車輪加速度Gwが、所定値TH1、TH2、TH
3、所定時間TRED およびTINC により定められた段差
判定を満たす場合に、車輪が段差を通過したと判定する
ことができる。
【0045】図6は、ECU10において実行されるメ
インルーチンの一例のフローチャートを示す。ECU1
0は、図6に示すルーチンを実行することで、ABS制
御を実現する。図6に示すルーチンにおいては、先ずス
テップ124の処理が実行される。ステップ124で
は、フラグXABSに“1”がセットされているか否か
が判別される。フラグXABSは、ABS制御の実行条
件が成立した後、ABS制御の終了条件が成立するまで
の間“1”とされるフラグである。本実施例において、
ABS制御の実行条件は、何れかの車輪について所定値
を超えるスリップ率が発生した場合に成立したと判断さ
れる。また、ABS制御の終了条件は、ABS制御が開
始された後、ブレーキペダル12の踏み込みが解除され
た場合、全ての車輪についてスリップ率が小さな値に収
束した場合、または、車輪が段差を通過したと判定され
た場合等に成立したと判別される。本ステップ124
で、XABS=1が成立すると判別される場合は、次に
ステップ126の処理が実行される。一方、XABS=
1が成立しないと判別された場合は、以後、何ら処理が
進められることなく今回のルーチンが終了される。
【0046】ステップ126では、段差判定が成立して
いるか否かが判別される。その結果、段差判定が成立し
ていないと判別される場合は、次にステップ128の処
理が実行される。一方、段差判定が成立していないと判
別される場合は、以後、ABS制御を強制的に終了させ
るため、ステップ130以降の処理が実行される。ステ
ップ128では、通常のABS制御が実行される。具体
的には、各車輪のスリップ率に基づいて、適宜上述した
(i)増圧モード、(ii)保持モードおよび (iii)減圧モー
ドを実現するための処理が実行される。本ステップ12
8の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。
【0047】ステップ130では、アンチロックブレー
キ装置を (i)増圧モードとする処理が実行される。本ス
テップ130の処理が実行されると、以後、全ての車輪
のホイルシリンダ圧PW/C は、マスタシリンダ圧PM/C
に向けて増圧される。ステップ132では、上記ステッ
プ130の処理が実行された後の経過時間Tが所定時間
FIに到達しているか否かが判別される。本ステップ1
32の処理は、T≧TFIが成立すると判別されるまで繰
り返し実行される。その結果、T≧T FIが成立すると判
別されると次にステップ134の処理が実行される。
【0048】ステップ134では、アンチロックブレー
キ装置を(ii)保持モードとする処理が実行される。本ス
テップ134の処理が実行されると、以後、全ての車輪
のホイルシリンダ圧PW/C の保持が図られる。ステップ
136では、上記ステップ134の処理が実行された後
の経過時間Tが所定時間TFHに到達しているか否かが判
別される。本ステップ136の処理は、T≧TFHが成立
すると判別されるまで繰り返し実行される。その結果、
T≧T FHが成立すると判別されると次にステップ138
の処理が実行される。
【0049】ステップ138では、カウンタCF がイン
クリメントされる。カウンタCF は、ABS制御の強制
終了が開始された後、上記ステップ130〜136の処
理が繰り返された回数を計数するためのカウンタであ
る。ステップ140では、カウンタCF の計数値が所定
回数NF 以上であるか否かが判別される。その結果、未
だCF ≧NF が成立しないと判別される場合は、再び上
記ステップ130以降の処理が実行される。一方、既に
F ≧NF が成立していると判別される場合は、次にス
テップ142の処理が実行される。
【0050】ステップ142では、フラグXABSが
“0”にリセットされる。本ステップ142の処理が終
了すると、今回のルーチンが終了される。上記の処理に
よれば、XABS=1が成立しており、すなわち、AB
S制御の実行が要求されており、かつ、段差判定が成立
しない場合は通常のABS制御を実行することができ
る。また、XABS=1が成立し、かつ、段差判定が成
立すると判別される場合は、所定時間TFI,TFHおよび
所定回数NF で定められた所定の増圧パターンでホイル
シリンダ圧PW/C を増圧した後に、ABS制御を強制的
に終了させることができる。
【0051】図7は、段差の検出感度と、段差を誤判定
する頻度との関係を示す。図7に示す如く、本実施例の
アンチロックブレーキ装置においては、段差の検出感度
を高めるほど、段差の誤判定が生じ易くなる。段差の通
過に起因するABS制御を高い確率で強制終了させるた
めには、段差の検出感度が高い方が有利である。しか
し、段差の検出感度を不要に高めると、段差が誤判定さ
れることによりABS制御が誤って強制終了され易くな
る。このため、段差の検出感度は、これら双方の要求を
適切に満たしうる感度とする必要がある。
【0052】本実施例のシステムにおいて、段差の検出
感度は、段差条件が如何に設定されるか、具体的には、
しきい値TH2,TH3および所定時間TRED が如何な
る値に設定されるかにより決定される(上記図4参
照)。そして、例えば、段差条件を、高い検出感度の得
られる条件とすると、小さな段差に起因して開始された
ABS制御も精度良く強制終了させ得る特性を実現する
ことができる。また、段差条件を、低い検出感度の得ら
れる条件とすると、段差を誤判定し難い特性を実現する
ことができる。
【0053】アンチロックブレーキ装置の特性を、AB
S制御の強制終了を優先した特性とするか、或いは、段
差の誤判定防止を優先した特性とするかは、車両の使用
環境に鑑みて決定されることが好ましい。すなわち、通
常の使用環境下で頻繁に段差を通過し、摩擦係数の小さ
な低μ路を殆ど走行しない車両においては、段差の誤判
定を防止することに比して、段差に起因して開始される
ABS制御を精度良く強制終了させることが強く要求さ
れる。一方、通常の使用環境下で頻繁に低μ路を走行
し、殆ど段差を通過しない車両においては、段差に起因
して開始されるABS制御を精度良く終了させることに
比して、段差の誤判定を防止することが強く要求され
る。従って、アンチロックブレーキ装置の特性を決める
段差条件は、車両の使用環境に応じて適切な値に設定さ
れることが望ましい。
【0054】また、本実施例のアンチロックブレーキ装
置においてABS制御を強制終了させる際には、ホイル
シリンダ圧PW/C を急激に増圧させるほど、ホイルシリ
ンダ圧PW/C が不必要に減圧される期間が短縮される。
従って、車輪が段差を通過した後に、その車輪のホイル
シリンダ圧PW/C を速やかにマスタシリンダ圧PM/C
一致させるためには、強制終了時におけるホイルシリン
ダ圧PW/C の増圧パターンは、急激であるほど望まし
い。
【0055】しかしながら、強制終了時における増圧パ
ターンが急激であるほど、その車輪が発生する制動力に
大きな変化が生ずる。段差条件は、例えば、車両が比較
的摩擦係数の低い道路を走行している場合等にも成立す
ることがある。この場合、ABS制御を円滑に強制終了
させるためには、車輪の制動力を急激に変化させないこ
とが望ましい。従って、強制終了時に用いられるホイル
シリンダ圧PW/C の増圧パターンは、頻繁に低μ路を走
行する車両においては比較的緩やかであり、低μ路を殆
ど走行しない車両においては比較的急激であることが望
ましい。
【0056】このように、段差に起因するABS制御を
最適な条件で強制終了させるためには、上述した段差条
件と増圧パターンとを、その車両の通常の使用環境に鑑
みて設定することが適切である。本実施例のアンチロッ
クブレーキ装置は、上記の要求を満たすべく、通常の使
用環境下で車両が低μ路および段差を通過する頻度を検
出し、その検出結果に基づいて上述した段差条件と増圧
パターンとを決定する点に特徴を有している。以下、図
8および図9を参照して、本実施例のアンチロックブレ
ーキ装置の特徴部について説明する。
【0057】図8は、段差頻度NSTEPと、車両の使用環
境との関係を示す。段差頻度NSTEPは、通常の使用環境
下で車両が低μ路や段差を通過する頻度を表す特性値で
ある。ECU10は、次式に従って段差頻度NSTEPを演
算する。 NSTEP=(段差判定回数)/(ABS条件成立回数) ・・・(1) 上記(1)式中“段差判定回数”は、所定期間の間に上
記の段差条件が成立した回数である。また、上記(1)
式中“ABS条件成立回数”は、その期間の間にABS
制御の実行条件が成立した回数である。本実施例におい
て、ABS制御の実行条件が成立する場合は、以下の3
つの場合に分類することができる。
【0058】ケース:路面の段差等に起因せず現実に
車輪に過大なスリップ率が発生した場合、 ケース:路面の段差等に起因して車輪に過大なスリッ
プ率が発生したが、その際に段差条件が成立しなかった
場合、および、 ケース:路面の段差等に起因して車輪に過大なスリッ
プ率が発生し、その際に段差条件が成立した場合、 上記ケース〜が発生した回数を、それぞれ、N1、
N2およびN3とすると、上記(1)式は、次式のよう
に表すことができる。
【0059】 NSTEP=N3/(N1+N2+N3) ・・・(2) 通常の使用環境下で、車両が頻繁に低μ路を走行する場
合は、ケースの頻度が、ケースおよびの頻度に比
して多くなる。この場合、段差頻度NSTEPは“0”に近
い値となる。従って、段差頻度NSTEPが“0”の近傍で
ある場合は、通常の使用環境下で、その車両が頻繁に低
μ路を走行していると判断することができる。図8に示
す如く、ECU10は、NSTEP<0.2が成立する場合
に車両が上記の環境下で使用されていると判断する。
【0060】通常の使用環境下で、車両が段差判定を満
たさない段差を頻繁に通過する場合は、ケースの頻度
が、ケースおよびの頻度に比して多くなる。この場
合、段差頻度NSTEPは“0.5”近傍の値となる。従っ
て、段差頻度NSTEPが“0.5”近傍の値である場合
は、通常の使用環境下で、その車両が段差条件を満たさ
ない段差を頻繁に通過していると判断することができ
る。図8に示す如く、ECU10は、0.2≦NSTEP
0.8が成立する場合に車両が上記の環境下で使用され
ていると判断する。
【0061】また、通常の使用環境下で、車両が段差判
定を満たす段差を頻繁に通過する場合は、ケースの頻
度がケースおよびの頻度に比して多くなる。この場
合、段差頻度NSTEPは“1”に近い値となる。従って、
段差頻度NSTEPが“1”の近傍である場合は、通常の使
用環境下で、その車両が段差条件を満たす段差を頻繁に
通過していると判断することができる。図8に示す如
く、ECU10は0.8≦NSTEPが成立する場合に車両
が上記の環境下で使用されていると判断する。
【0062】上述の如く、本実施例のシステムによれ
ば、段差頻度NSTEPに基づいて車両がの使用環境を推定
することができる。ECU10は、このようにして推定
した使用環境に基づいて、車輪が段差を通過したか否か
を判断するための段差条件、および、ABS制御を強制
終了する際に用いられるホイルシリンダ圧PW/C の増圧
パターンを設定する。
【0063】図9は、段差頻度NSTEPを演算すると共
に、その値NSTEPに基づいて段差条件および増圧パター
ンを設定すべくECU10が実行する制御ルーチンの一
例のフローチャートを示す。図9に示すルーチンは、所
定時間毎に起動される定時割り込みルーチンである。図
9に示すルーチンが起動されると、先ずステップ144
の処理が実行される。
【0064】ステップ144では、ABS制御の実行条
件が成立したか否かが判別される。その結果、ABS制
御の実行条件が成立していないと判別された場合は、以
後、何ら処理が進められることなく今回のルーチンが終
了される。一方、ABS制御の実行条件が成立している
と判別される場合は、次にステップ146の処理が実行
される。
【0065】ステップ146では、ABS制御回数カウ
ンタCABS がインクリメントされる。ABS制御回数カ
ウンタCABS は、ABS制御の実行条件が成立した回数
を計数するためのカウンタである。ABS制御回数カウ
ンタCABS は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリ
や、バックアップ機能付のRAM等に記憶される。ステ
ップ148では、段差判定が成立したか否かが判別され
る。本ステップ148では、具体的には、上記図5に示
すルーチンに沿った一連の処理が実行される。その結
果、段差判定が成立したと判別される場合は、次にステ
ップ150の処理が実行される。一方、段差判定が成立
しないと判別される場合は、ステップ150がジャンプ
され、次にステップ152の処理が実行される。
【0066】ステップ150では、段差判定回数カウン
タCSTEPがインクリメントされる。段差判定回数カウン
タCSTEPは、段差条件が成立した回数を計数するための
カウンタである。ステップ152では、ABS制御回数
が所定値(本実施例においては100)を超えているか
否か、すなわち、CABS >100が成立するか否かが判
別される。その結果、未だCABS >100が成立しない
と判別される場合は、以後、何ら処理が進められること
なく今回のルーチンが終了される。一方、CABS >10
0が成立すると判別される場合は、次にステップ154
の処理が実行される。
【0067】ステップ154では、ABS制御回数カウ
ンタCABS の計数値100と、段差判定回数カウンタC
STEPの計数値とを上記(1)式に代入することにより、
段差頻度NSTEP=CSTEP/100が演算される。ステッ
プ156では、ABS制御回数カウンタCABS および段
差判定回数カウンタCSTEPをクリアする処理が実行され
る。上記の処理によれば、ABS制御の実行条件が10
0回成立する毎に、段差頻度NSTEPを演算することがで
きる。
【0068】ステップ158では、段差頻度NSTEPが所
定値0.2以上であるか否かが判別される。その結果、
STEP≧0.2が成立しないと判別される場合は、制御
対象の車両が頻繁に低μ路を走行していると判断できる
(上記図8参照)。この場合、次にステップ159の処
理が実行される。一方、NSTEP≧0.2が成立すると判
別される場合は、次にステップ160の処理が実行され
る。
【0069】ステップ159では、ABS制御の強制終
了を実現するための条件を標準条件とする処理が実行さ
れる。本ステップ159では、具体的には、段差条件が
段差の誤判定防止を優先する条件に設定されると共に、
ABS制御の強制終了時に用いられるホイルシリンダ圧
W/C の増圧パターンが比較的勾配の緩やかなパターン
に設定される。
【0070】上記の処理によれば、車両が頻繁に低μ路
を走行する場合は、すなわち、車両が殆ど段差を通過し
ない場合は、段差の誤判定が生じ難く、かつ、ABS制
御の強制終了時にホイルシリンダ圧PW/C を円滑に変化
させる条件を設定することができる。このため、本実施
例のアンチロックブレーキ装置によれば、頻繁に低μ路
を走行する車両において、優れた制御性を以てABS制
御を実行することができる。
【0071】ステップ160では、段差頻度NSTEPが所
定値0.8を超えているか否かが判別される。その結
果、NSTEP>0.8が成立しないと判別される場合は、
制御対象の車両が、段差条件を満たさない段差を頻繁に
通過していると判断できる。この場合、次にステップ1
62の処理が実行される。一方、NSTEP>0.8が成立
すると判別される場合は、制御対象の車両が、段差条件
を満たす段差を頻繁に通過していると判断できる。この
場合、次にステップ164の処理が実行される。
【0072】ステップ162では、段差の検出感度を優
先した条件が設定される。本ステップ162では、具体
的には、しきい値TH2を標準値に比して大きな値に、
しきい値TH3を標準値に比して小さな値に、また、所
定時間TRED を標準時間に比して長時間にする処理が実
行される(図4参照)。本ステップ162の処理が終了
すると、今回のルーチンが終了される。
【0073】上記の処理によれば、車両が頻繁に段差を
通過し、かつ、頻繁に段差の通過が見過ごされている場
合に、段差判定が成立する確率を高めることができる。
従って、本実施例のアンチロックブレーキ装置によれ
ば、段差に起因して開始されたABS制御が高い確率で
強制終了されない場合に、そのABS制御が強制終了さ
れる確率を高めることができる。
【0074】ステップ164では、ABS制御の強制終
了時に用いられるホイルシリンダ圧PW/C の増圧パター
ンを急勾配とする条件が設定される。本ステップ162
では、具体的には、強制終了の際にホイルシリンダ圧P
W/C の増圧が継続される時間TFIを標準時間に比して長
時間とし、ホイルシリンダ圧PW/C の保持が図られる時
間TFHを標準時間に比して短時間とし、それらの繰り返
し回数NF を標準回数に比して減少させる処理が実行さ
れる(ステップ130〜140参照)。本ステップ16
4の処理が実行されると、今回のルーチンが終了され
る。
【0075】上記の処理によれば、車両が頻繁に段差を
通過し、かつ、段差の検出が高い確率で行われている場
合に、ABS制御の強制終了時に用いられる増圧パター
ンを急勾配化することができる。従って、本実施例のア
ンチロックブレーキ装置によれば、車両が段差を通過す
る際に開始されるABS制御を速やかに終了させて、運
転者にとって違和感の少ない操作感覚を実現することが
できる。
【0076】上述の如く、本実施例のアンチロックブレ
ーキ装置によれば、車両の使用環境に応じて、段差条件
および増圧パターンを適宜最適なものに変化させること
ができる。従って、本実施例のアンチロックブレーキ装
置によれば、車両の使用環境に応じた最適な条件に従っ
てABS制御を実行することができる。尚、上記の実施
例においては、ECU10が、上記ステップ100〜1
22の処理を実行することにより前記請求項1または2
記載の「段差判定手段」が、上記ステップ124、12
6および130〜140の処理を実行することにより前
記請求項1または2記載の「段差時増圧手段」が、上記
ステップ144〜156の処理を実行することにより前
記請求項1または2記載の「段差頻度検出手段」が、ま
た、上記ステップ158〜164の処理を実行すること
により前記請求項1記載の「段差条件変更手段」または
前記請求項2記載の「増圧パターン変更手段」が、それ
ぞれ実現されている。
【0077】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、頻繁に段差を通過する車両と、殆ど段差を通過しな
い車両とで、段差の検出感度を異なる感度とすることが
できる。このため、本発明によれば、段差に起因して開
始されるABS制御を強制的に終了させる精度と、段差
の誤判定を防止する精度とのラバンスを、車両の使用環
境に応じた最適なバランスとすることができる。
【0078】請求項2記載の発明によれば、頻繁に段差
を通過する車両と、殆ど段差を通過しない車両とで、A
BS制御の強制終了時におけるホイルシリンダ圧PW/C
の増圧パターンを異なる感度とすることができる。この
ため、本発明によれば、ABS制御の強制終了時におい
て、車両の使用環境に応じた最適な増圧パターンで、速
やかに、かつ、円滑にホイルシリンダ圧PW/C の増圧を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるアンチロックブレーキ
装置のシステム構成図である。
【図2】本実施例のアンチロックブレーキ装置において
ABS制御が実行されることによりホイルシリンダ圧P
W/C に生ずる変化を示す図である。
【図3】本実施例のアンチロックブレーキ装置の動作を
説明するためのタイムチャートである。
【図4】車輪が段差等を通過する際に車輪加速度Gwに
現れる変化を示す図である。
【図5】本実施例のアンチロックブレーキ装置において
段差判定を行うべく実行される制御ルーチンの一例のフ
ローチャートである。
【図6】本実施例のアンチロックブレーキ装置において
実行されるメインルーチンの一例のフローチャートであ
る。
【図7】段差の検出感度と段差を誤判定する頻度との関
係を示す特性図である。
【図8】段差頻度NSTEPと車両の使用環境との関係を示
す図である。
【図9】本実施例のアンチロックブレーキ装置において
段差判定および増圧パターンを定めるべく実行される制
御ルーチンの一例のフローチャートである。
【符号の説明】
10 電子制御ユニット(ECU) 12 ブレーキペダル 18 マスタシリンダ PW/C ホイルシリンダ Vw 車輪速 Gw 車輪加速度 NSTEP 段差頻度

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪に過大なスリップ率が発生した場合
    に、ホイルシリンダ圧の減圧を図ることにより前記車輪
    のロック傾向を抑制するABS制御を実行するアンチロ
    ックブレーキ装置において、 所定の段差条件が成立した際に車輪が段差を通過したと
    判定する段差判定手段と、 ABS制御が開始された後に車輪が段差を通過したと判
    定された場合に、所定の増圧パターンでホイルシリンダ
    圧PW/C の増圧を図る段差時増圧手段と、 段差通過頻度を検出する段差頻度検出手段と、 前記段差通過頻度に基づいて前記段差条件を変更する段
    差条件変更手段と、 を備えることを特徴とするアンチロックブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 車輪に過大なスリップ率が発生した場合
    に、ホイルシリンダ圧の減圧を図ることにより前記車輪
    のロック傾向を抑制するABS制御を実行するアンチロ
    ックブレーキ装置において、 所定の段差条件が成立した際に車輪が段差を通過したと
    判定する段差判定手段と、 ABS制御が開始された後に車輪が段差を通過したと判
    定された場合に、所定の増圧パターンでホイルシリンダ
    圧PW/C の増圧を図る段差時増圧手段と、 段差通過頻度を検出する段差頻度検出手段と、 前記段差通過頻度に基づいて前記所定の増圧パターンを
    変更する増圧パターン変更手段と、 を備えることを特徴とするアンチロックブレーキ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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