JP2008213670A - 車両用ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンチロック制御を行う車両用ブレーキ制御装置において、μスプリット路面での車両の挙動を安定化させる。
【解決手段】運転者がブレーキ操作をしたことを判定するブレーキ操作判定部と、緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する急増圧レート設定部と、を備え、ヨーコントロール制御部は、ブレーキ操作判定部においてブレーキ操作されたと判定された時点で、高μ側の車輪の車輪ブレーキを緩増圧制御するヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、ブレーキ操作判定部によってブレーキ操作されたと判定された以降、急増圧レート設定部によって設定された急増圧レートに従って高μ側の車輪のブレーキを制御することを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】運転者がブレーキ操作をしたことを判定するブレーキ操作判定部と、緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する急増圧レート設定部と、を備え、ヨーコントロール制御部は、ブレーキ操作判定部においてブレーキ操作されたと判定された時点で、高μ側の車輪の車輪ブレーキを緩増圧制御するヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、ブレーキ操作判定部によってブレーキ操作されたと判定された以降、急増圧レート設定部によって設定された急増圧レートに従って高μ側の車輪のブレーキを制御することを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両用ブレーキ制御装置に関する。
近年、車両用ブレーキ装置は高機能化しており、路面摩擦係数μの低い路面、いわゆる低μ路で車輪が過度にスリップするのを防止するアンチロック制御機能付きのブレーキ装置は、広く実用されている。そして、アンチロック制御の技術の応用として、左右の車輪が異なる路面摩擦係数μに跨る、いわゆるμスプリット路面において、車両の安定性を高めるために以下の技術も知られている。
μスプリット路面においては、左右の車輪に同じように制動力を掛けると左右の車輪で制動力の差が生じ、車体は、制動力が小さい低μ側が前方に進むようにスピンしようとする傾向がある。
μスプリット路面においては、左右の車輪に同じように制動力を掛けると左右の車輪で制動力の差が生じ、車体は、制動力が小さい低μ側が前方に進むようにスピンしようとする傾向がある。
これを解決する手段として、例えば、特許文献1には、左右の車輪の一方に対してアンチロック制御を実行するとともに、左右の車輪の他方に対してアンチロック制御を実行しない状態にあっては、他方の車輪の制動力調整手段が運転者の制動操作に応じて制動力が急上昇するのを抑えて緩上昇させるヨーコントロール制御を実行する車両用ブレーキ制御装置が記載されている。
また、特許文献2には、左右の車輪の一方に対してアンチロック制御を実行するとともに、左右の車輪の他方に対してアンチロック制御を実行しない状態にあっては、他方の車輪のホイールシリンダのブレーキ液圧の制御を、当該一方側の車輪のスリップ状態に応じて増加勾配が変化するように調整する車両用ブレーキ制御装置が記載されている。この車両用ブレーキ制御装置では、例えば、前記の他方の車輪の車輪速度が基準速度を下回ったときにブレーキ液圧の増加勾配が小さくなるように調整する。また、他方の車輪に関して摩擦係数のピークと判定したときに増加勾配が小さくなるように調整する。
前記のような車両用ブレーキ制御装置では、車両が左右の車輪間で路面摩擦係数μが異なるμスプリット路面を走行していて、運転者によるブレーキ操作に先行してエンジンブレーキ等による制動が作用した場合、低μ側の車輪がスリップしてアンチロック制御が作動する。しかしながら、エンジンブレーキにより低μ側の車輪と高μ側の車輪との間でスリップ差が発生し、ここで前記ヨーコントロール制御が実行されると、高μ側の車輪の制動力の増圧レートが増加勾配の小さい緩増圧レートに設定されてしまう。この段階で、運転者がブレーキ操作をすると、高μ側の車輪は緩増圧レートに設定されているので、運転者のブレーキ操作に伴う制動において車両のヨー方向運動の発生は抑えられるものの、制動の立ち上がりが緩くなり、運転者に減速度の不足感を与えてしまうという問題があった。
本発明は、運転者のブレーキ操作に基づくもの以外による車輪の制動が先行して作用している状態で、さらに運転者がブレーキ操作をした場合における運転者に与えるブレーキフィーリングの向上を図ることを目的とする。
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、左右の車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、取得した車輪速度に基づいて左右の車輪のスリップ量を取得するスリップ量取得手段と、取得したスリップ量が所定のスリップ条件を満たす場合に、スリップ条件を満たさない場合よりも増加勾配が小さい緩増圧レートで、左右の車輪のうち低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御し、左右の車輪のスリップ差によって車両にヨー方向運動が発生するのを抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、さらに、運転者がブレーキ操作をしたことを判定するブレーキ操作判定手段と、緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備え、ヨーコントロール制御手段は、ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定された時点で、ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、ブレーキ操作判定手段によってブレーキ操作がなされたと判定された以降、増圧レート設定手段によって設定された急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、運転者のブレーキ操作に基づく制動以外の制動が先行して作用し、ヨーコントロール制御が行われている状態において運転者がブレーキ操作をすると、ヨーコントロール制御手段は、緩増圧レートから、増加勾配が大きい急増圧レートに切り替えてヨーコントロール制御をするので、より効果のある制動力が発生され、減速時のブレーキフィーリングを向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加えて、ブレーキ操作判定手段は、左右の従動輪の少なくとも一方の車輪減速度を算出する車輪減速度判定手段を有し、ヨーコントロール制御手段は、車輪減速度判定手段において車輪減速度が所定値以上であると判定された場合は、ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定されなくても、増圧レート設定手段によって設定された急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、ブレーキ操作判定手段は、車輪減速度判定手段において車輪減速度が所定値以上であると判定された場合は、ブレーキ操作がなされたと判定されなくても、増圧レート設定手段によって設定された急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御するので、例えば、ブレーキペダルスイッチ等の故障により運転者がブレーキ操作を行ったと判定できない場合でも、車輪減速度から運転者がブレーキ操作を行ったと判定でき、より強い減速感を運転者に与えることができる。
また、請求項3に記載の発明は、左右の車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、取得した車輪速度に基づいて左右の車輪のスリップ量を取得するスリップ量取得手段と、取得したスリップ量が所定のスリップ条件を満たす場合に、スリップ条件を満たさない場合よりも増加勾配が小さい緩増圧レートで、左右の車輪のうち低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御し、左右の車輪のスリップ差によって車両にヨー方向運動が発生するのを抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、さらに、車両の動力装置が、エンジンブレーキ状態、または回生発電状態であることを判定するエンジンブレーキ状態判定手段と、緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備え、ヨーコントロール制御手段は、エンジンブレーキ状態判定手段においてエンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された時点で、ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、エンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された以降、もし運転者がブレーキ操作をしたとき、増圧レート設定手段によって設定された急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、運転者のブレーキ操作に先行してエンジンブレーキ状態、または回生発電状態が先行し、ヨーコントロール制御が開始されている状態の場合は、ヨーコントロール制御手段は、緩増圧レートから、増加勾配が大きい急増圧レートに切り替えてヨーコントロール制御をするので、運転者がブレーキ操作をしたときには、より効果のある制動が発生され、減速時のブレーキフィーリングを向上させることができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3に記載の構成に加えて、前記スリップ条件を満たすとは、左右いずれかの車輪のスリップ量が基準スリップ量を超えた状態が所定の時間を超えて継続する場合、または左右の車輪のスリップ差が基準スリップ差を超える場合であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、所定のスリップ条件を設定することにより、所定のスリップ条件を満たしている場合は、車両のヨー方向運動が発生していると判断することができる。
請求項5に記載の発明は、車両のヨー方向運動に相関するパラメータ値を取得するヨー方向運動状態取得手段と、車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、取得されたパラメータ値が車両の操舵状態と一致しているかどうかを判定するヨー方向運動状態判定手段と、ヨー方向運動状態判定手段によって車両の操舵状態と一致しないと判定された場合に、一致すると判定された場合に比べて、左右の車輪のうちのいずれか一方のブレーキの制動力の増圧レートを、増加勾配が小さい緩増圧レートで制御することによってヨー方向運動を抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、を備える車両用ブレーキ制御装置であって、さらに、運転者がブレーキ操作をしたことを判定するブレーキ操作判定手段と、緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備えている。そして、ヨーコントロール制御手段は、ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定された時点で、ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、ブレーキ操作判定手段によってブレーキ操作がなされたと判定された以降、増圧レート設定手段によって設定された増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、運転者のブレーキ操作に基づく制動以外の制動が先行して作用し、ヨーコントロール制御が行われている状態において運転者がブレーキ操作をすると、ヨーコントロール制御手段は、緩増圧レートから、増加勾配が大きい急増圧レートに切り替えてヨーコントロール制御をするので、より効果のある制動が発生され、減速時のブレーキフィーリングを向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5の構成に加えて、左右の車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段を備え、ブレーキ操作判定手段は、左右の従動輪の少なくとも一方の車輪減速度を車輪速度に基づいて算出する車輪減速度判定手段を有し、ヨーコントロール制御手段は、車輪減速度判定手段において車輪減速度が所定値以上であると判定された場合は、ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定されなくても、増圧レート設定手段によって設定された急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、ブレーキ操作判定手段は、車輪減速度判定手段において車輪減速度が所定値以上であると判定された場合は、ブレーキ操作がなされたと判定されなくても、増圧レート設定手段によって設定された急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御するので、例えば、ブレーキペダルスイッチ等の故障により運転者がブレーキ操作を行ったと判定できない場合でも、車輪減速度から運転者がブレーキ操作を行ったと判定でき、より強い減速感を運転者に与えることができる。
請求項7に記載の発明は、車両のヨー方向運動に相関するパラメータ値を取得するヨー方向運動状態取得手段と、車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、取得されたパラメータ値が車両の操舵状態と一致しているかどうかを判定するヨー方向運動状態判定手段と、ヨー方向運動状態判定手段によって車両の操舵状態と一致しないと判定された場合に、一致すると判定された場合に比べて、左右の車輪のうちのいずれか一方のブレーキの制動力の増圧レートを、増加勾配が小さい緩増圧レートで制御することによってヨー方向運動を抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、を備える車両用ブレーキ制御装置であって、さらに、車両の動力装置が、エンジンブレーキ状態、または回生発電状態であることを判定するエンジンブレーキ状態判定手段と、緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備え、ヨーコントロール制御手段は、エンジンブレーキ状態判定手段においてエンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された時点で、ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、増圧レート設定手段によって緩増圧レートから急増圧レートに切り替え、エンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された以降、運転者がブレーキ操作をしたときには、急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、エンジンブレーキ状態、または回生発電状態に先行して、ヨーコントロール制御が開始されている状態で運転者がブレーキ操作をしたときには、ヨーコントロール制御手段は、緩増圧レートから、増加勾配が大きい急増圧レートに切り替えてヨーコントロール制御をするので、運転者がブレーキ操作をしたときには、より効果のある制動が発生され、減速時のブレーキフィーリングを向上させることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7に記載の構成に加えて、車両は、少なくとも操舵輪に駆動力が伝達される形式の車両であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から請求項7の構成の車両用ブレーキ制御装置は、少なくとも操舵輪である前輪を駆動輪とする車両に適用され、ヨーコントロールに際しヨーコントロールに効果的な左右の前輪の一方のブレーキに対して、緩増圧レートによって制御してヨーコントロール制御を行うこととした場合、ブレーキ操作以外の作用によって左右の前輪間にスリップ量の差が生じたとき、左右の前輪の一方がヨーコントロールのため緩増圧レートに設定されるが、ブレーキ操作がなされたと判定された場合、または、エンジンブレーキ状態、もしくは回生発電状態と判定された場合、急増圧レートに設定され、運転者のブレーキ操作に対して急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御するのでより効果のある制動が発生され、減速時のブレーキフィーリングを向上させることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8の構成に加えて、車両の変速機の変速比情報を取得する変速情報取得手段をさらに備え、増圧レート設定手段は、変速比が大きいほど増圧レートをより増加勾配の大きい急増圧レートに設定することを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、ブレーキ操作以外の作用でブレーキ操作を行う以前にヨーコントロールが開始されて、左右の車輪の一方が緩増圧レートに設定されている場合において、変速比が大きいほど、例えば、エンジンブレーキを掛けている度合いが強く、引き続いて運転者がブレーキ操作を行う可能性が高いので、より増加勾配が大きい急増圧レートに設定することによって、運転者がブレーキ操作を行った後、より強い減速感を運転者に与えることができる。
本発明によれば、車両のヨー方向運動を抑制して安定化させ、ヨーコントロール制御中に無用に制動力が小さくなるのを防止し、良好なブレーキフィーリングを与えることができる。
《第1の実施の形態》
次に、本発明の第1の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した車両用ブレーキ装置の構成図であり、図2は、本車両用ブレーキ制御装置の液圧ユニットの液圧回路図であり、図3は、本車両用ブレーキ制御装置のブロック図であり、図4は、本車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における制御動作を説明するフローチャートである。図5は、第1の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における作用効果を説明する図であり、図6は従来の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における作用効果を説明する図である。
次に、本発明の第1の実施の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した車両用ブレーキ装置の構成図であり、図2は、本車両用ブレーキ制御装置の液圧ユニットの液圧回路図であり、図3は、本車両用ブレーキ制御装置のブロック図であり、図4は、本車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における制御動作を説明するフローチャートである。図5は、第1の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における作用効果を説明する図であり、図6は従来の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における作用効果を説明する図である。
ここでは前輪駆動の車両(FF車両)の場合を例に説明する。
図1に示すように、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した車両用ブレーキ装置200は、各車輪Tに設けられた液圧式ブレーキである車輪ブレーキBと、これらの車輪ブレーキBの動作を制御する車両用ブレーキ制御装置100とから構成されている。
車輪T、車輪ブレーキBが設けられている車輪Tを区別する場合には、符号に添字FL、FR、RL、RRを付して区別する。例えば、左前輪(操舵輪)TFL、右前輪(操舵輪)TFR、左後輪TRL、右後輪TRR、左前輪ブレーキBFL、右前輪ブレーキBFR、左後輪ブレーキBRL、右後輪ブレーキBRRと記載する。
ここでは、操舵対象の車輪である左前輪TFLと右前輪TFRのことを操舵輪と称することにする。
図1に示すように、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した車両用ブレーキ装置200は、各車輪Tに設けられた液圧式ブレーキである車輪ブレーキBと、これらの車輪ブレーキBの動作を制御する車両用ブレーキ制御装置100とから構成されている。
車輪T、車輪ブレーキBが設けられている車輪Tを区別する場合には、符号に添字FL、FR、RL、RRを付して区別する。例えば、左前輪(操舵輪)TFL、右前輪(操舵輪)TFR、左後輪TRL、右後輪TRR、左前輪ブレーキBFL、右前輪ブレーキBFR、左後輪ブレーキBRL、右後輪ブレーキBRRと記載する。
ここでは、操舵対象の車輪である左前輪TFLと右前輪TFRのことを操舵輪と称することにする。
各車輪ブレーキBは、例えば、ディスクDとホイールシリンダHとからなる。ホイールシリンダHは、マスタシリンダMおよび車両用ブレーキ制御装置100により発生されたブレーキ液圧を各車輪Tに設けられた車輪ブレーキBの作動力に変換する液圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ制御装置100の液圧ユニット10に接続されている。通常時のブレーキ制御およびアンチロックブレーキ制御の場合のいずれも、車両用ブレーキ制御装置100を介してブレーキ液がホイールシリンダHへ供給される。
車両用ブレーキ制御装置100は、液圧ユニット10と、制御装置(図中、ECUと表示、以下、ECUと称する)20Aと、車両CRの挙動を検知するための各種のセンサから構成されている。
車両用ブレーキ制御装置100は、停止した車両の車輪ブレーキBに付与した制動力を保持するとともに、車両の挙動、路面状況、ブレーキペダルBPの操作状況等に応じて車輪Tのスリップを抑制し、アンチロックブレーキ制御や、車両の挙動を安定化させるヨーコントロール制御等を実行する。
車両CRには、このセンサとして、車輪Tの回転速度を検出する車輪速度取得手段である車輪速センサ91(91FL、91FR、91RL、91RR)と、運転者がブレーキペダルBPを踏む操作に連動してオン、オフ動作するブレーキペダルスイッチ(ブレーキペダルSW)92とを備えている。
車両用ブレーキ制御装置100は、停止した車両の車輪ブレーキBに付与した制動力を保持するとともに、車両の挙動、路面状況、ブレーキペダルBPの操作状況等に応じて車輪Tのスリップを抑制し、アンチロックブレーキ制御や、車両の挙動を安定化させるヨーコントロール制御等を実行する。
車両CRには、このセンサとして、車輪Tの回転速度を検出する車輪速度取得手段である車輪速センサ91(91FL、91FR、91RL、91RR)と、運転者がブレーキペダルBPを踏む操作に連動してオン、オフ動作するブレーキペダルスイッチ(ブレーキペダルSW)92とを備えている。
各センサ91、92は、ECU20Aに接続されており、それぞれ、検出した情報をECU20Aへ出力する。液圧ユニット10は、ブレーキペダルBPの操作によりマスタシリンダMで発生した液圧が伝達されるようにマスタシリンダMと接続されている。
ECU20Aは、例えば、中央演算装置(以下、CPUと称する)、RAM、ROM等のメモリおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ91、ブレーキペダルスイッチ92からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を行うことによって、後記するスリップ量取得手段、ヨーコントロール制御手段、ブレーキ操作判定手段、増圧レート設定手段として機能する。
ECU20Aは、例えば、中央演算装置(以下、CPUと称する)、RAM、ROM等のメモリおよび入出力回路を備えており、車輪速センサ91、ブレーキペダルスイッチ92からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を行うことによって、後記するスリップ量取得手段、ヨーコントロール制御手段、ブレーキ操作判定手段、増圧レート設定手段として機能する。
次に、図2を参照して、液圧ユニット10の構成を説明する。なお、図2において液圧ユニット10内の各種部品を繋ぐ実線は、液圧ユニット10に形成された油路を示している。
図2に示すように液圧ユニット10は、電磁弁やポンプ等の各種部品やブレーキ液の流路が設けられており、液圧ユニット10の各種部品はECU20Aにより制御される。
図2に示すように液圧ユニット10は、電磁弁やポンプ等の各種部品やブレーキ液の流路が設けられており、液圧ユニット10の各種部品はECU20Aにより制御される。
液圧ユニット10は、液圧源であるマスタシリンダMと車輪ブレーキB(BFL、BFR、BRL、BRR)のホイールシリンダHとの間に介設されるものであり、四つの車輪ブレーキB(BFL、BFR、BRL、BRR)のうちの二つの車輪ブレーキBFL、BRRに制動力を付与するためのブレーキ系統K1および残り二つの車輪ブレーキBFR、BRLに制動力を付与するためのブレーキ系統K2を備えている。
なお、マスタシリンダMは、ブレーキペダルBPに加える踏力に応じた液圧を発生するものであり、二つのブレーキ系統K1、K2に対応して二つの出力ポートM1,M2を備えている。
なお、ブレーキ系統K1、K2は、実質的に同一の構成であるので、以下においては主としてブレーキ系統K1について説明し、適宜ブレーキ系統K2について説明する。
ブレーキ系統K1には、レギュレータR、制御弁手段Q、Q、吸入弁4、リザーバ5、ポンプ6、ダンパ7、オリフィス7a、液圧センサ8(ブレーキ系統K2)が設けられている。
ブレーキ系統K1には、レギュレータR、制御弁手段Q、Q、吸入弁4、リザーバ5、ポンプ6、ダンパ7、オリフィス7a、液圧センサ8(ブレーキ系統K2)が設けられている。
なお、以下では、マスタシリンダMとホイールシリンダHとを連通する流路のうち、マスタシリンダMの出力ポートM1からレギュレータRに至る流路(油路)を「出力液圧路A1」と称し、レギュレータRからホイールシリンダHに至る流路を「車輪液圧路A2」と称する。また、レギュレータRを迂回する流路のうち、出力液圧路A1からポンプ6に至る流路を「吸入液圧路A3」と称し、ポンプ6から車輪液圧路A2に至る流路を「吐出液圧路A4」と称する。また、車輪液圧路A2から吸入液圧路A3に至る流路を「開放路A5」と称する。
レギュレータRは、出力液圧路A1から車輪液圧路A2へのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換える機能と、出力液圧路A1から車輪液圧路A2へのブレーキ液の流入が遮断されているときに車輪液圧路A2および吐出液圧路A4のブレーキ液圧を設定値以下に調節する機能とを有しており、カット弁1、チェック弁1aおよびリリーフ弁1bを備えて構成されている。
カット弁1は、出力液圧路A1と車輪液圧路A2との間に介設された常開型の電磁弁からなり、開弁状態にあるときにマスタシリンダM側からホイールシリンダH側へのブレーキ液の流入を許容し、閉弁状態にあるときに遮断する。カット弁1を構成する常開型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御ユニット20Aと電気的に接続されており、制御ユニット20Aからの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、消磁すると開弁する。
チェック弁1aは、その上流側から下流側へのブレーキ液の流入のみを許容する一方向弁であり、カット弁1と並列に設けられている。
リリーフ弁1bは、車輪液圧路A2のブレーキ液圧から出力液圧路A1のブレーキ液圧を差し引いたときの値が開弁圧以上になったときに開弁するものであるが、本実施形態では、カット弁1となる常閉型の電磁弁に機能として付加されている。なお、リリーフ弁1bの開弁圧(カット弁1の開弁圧)は、電磁弁を駆動させるための電磁コイルに与える電流値の大きさを制御することで増減させることができる。
リリーフ弁1bは、車輪液圧路A2のブレーキ液圧から出力液圧路A1のブレーキ液圧を差し引いたときの値が開弁圧以上になったときに開弁するものであるが、本実施形態では、カット弁1となる常閉型の電磁弁に機能として付加されている。なお、リリーフ弁1bの開弁圧(カット弁1の開弁圧)は、電磁弁を駆動させるための電磁コイルに与える電流値の大きさを制御することで増減させることができる。
制御弁手段Qは、車輪液圧路A2と開放路A5との交差部分に設けられていて、車輪液圧路A2を開放しつつ開放路A5を遮断する増圧状態、車輪液圧路A2を遮断しつつ開放路A5を開放する減圧状態、および、車輪液圧路A2と開放路A5を遮断する保持状態を切り替える機能を有している。つまり、制御弁手段Qは、ホイールシリンダHに作用するブレーキ液圧を増圧する状態、減圧する状態および保持する状態を切り替えるものである。本実施形態に係る制御弁手段Qは、入口弁2、チェック弁2aおよび出口弁3を備えて構成されている。
入口弁2は、車輪液圧路A2に設けられた常開型の電磁弁からなり、開弁状態にあるときにマスタシリンダM側からホイールシリンダH側へのブレーキ液の流入を許容し、閉弁状態にあるときに遮断する。入口弁2を構成する常開型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルがECU20Aと電気的に接続されており、ECU20Aからの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、電磁コイルを消磁すると開弁する。
チェック弁2aは、ホイールシリンダH側からマスタシリンダM側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、各入口弁2と並列に接続されている。
出口弁3は、車輪液圧路A2と開放路A5との間に介設された常閉型の電磁弁からなり、閉弁状態にあるときにホイールシリンダH側からリザーバ5側へのブレーキ液の流入を遮断し、開弁状態にあるときに許容する。出口弁3を構成する常閉型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルがECU20Aと電気的に接続されており、ECU20Aからの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると開弁し、電磁コイルを消磁すると閉弁する。
出口弁3は、車輪液圧路A2と開放路A5との間に介設された常閉型の電磁弁からなり、閉弁状態にあるときにホイールシリンダH側からリザーバ5側へのブレーキ液の流入を遮断し、開弁状態にあるときに許容する。出口弁3を構成する常閉型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルがECU20Aと電気的に接続されており、ECU20Aからの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると開弁し、電磁コイルを消磁すると閉弁する。
吸入弁4は、カット弁1を迂回する流路であってマスタシリンダMとポンプ6の吸入側とを連通する流路(吸入液圧路A3)に設けられた常閉型の電磁弁からなり、吸入液圧路A3を開放する状態および遮断する状態を切り換える。吸入弁4を構成する常閉型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルがECU20Aと電気的に接続されており、ECU20Aからの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると開弁し、電磁コイルを消磁すると閉弁する。
リザーバ5は、開放路A5に設けられており、制御弁手段Qを介して放出されたブレーキ液を一時的に貯留する機能を有している。また、リザーバ5とポンプ6との間には、リザーバ5側からポンプ6側へのブレーキ液の流入のみを許容するチェック弁5aが介設されている。
ポンプ6は、出力液圧路A1に通じる吸入液圧路A3と車輪液圧路A2に通じる吐出液圧路A4との間に介設されており、後記するモータ9の回転力によって駆動し、リザーバ5に一時的に貯留されたブレーキ液を吸入して吐出液圧路A4に吐出する。これにより、リザーバ5にブレーキ液を貯留することによって減圧された出力液圧路A1や車輪液圧路A2の圧力状態が回復される。また、カット弁1が閉弁状態にあり、吸入弁4が開弁状態にあるときには、ポンプ6は、そのマスタシリンダM側にあるブレーキ液を吸入して吐出液圧路A4に吐出する。これにより、ブレーキペダルBPの操作によって発生したブレーキ液圧を増圧することが可能となり、さらには、ブレーキペダルBPを操作していない状態でもホイールシリンダHにブレーキ液圧を作用させることが可能となる。
なお、ダンパ7およびオリフィス7aは、その協働作用によってポンプ6から吐出されたブレーキ液の脈動を減衰させている。
液圧センサ8は、出力液圧路A1のブレーキ液圧(すなわち、マスタシリンダMのブレーキ液圧)の大きさを計測するものであり、その計測結果はECU20Aに随時取り込まれ、ECU20AによりマスタシリンダMからブレーキ液圧が出力されているか否かが判定され、さらに、液圧センサ8で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、後記する保持制御やヨーコントロール制御等が実行される。
液圧センサ8は、出力液圧路A1のブレーキ液圧(すなわち、マスタシリンダMのブレーキ液圧)の大きさを計測するものであり、その計測結果はECU20Aに随時取り込まれ、ECU20AによりマスタシリンダMからブレーキ液圧が出力されているか否かが判定され、さらに、液圧センサ8で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、後記する保持制御やヨーコントロール制御等が実行される。
モータ9は、ブレーキ系統K1,K2にあるポンプ6、6の共通の動力源であり、ECU20Aからの指令に基づいて作動する。
ECU20Aは、四つの車輪の各々に付設された車輪速センサ91(91FL、91FR、91RL、91RR)からの出力、液圧センサ8からの出力等に基づいて、レギュレータR(カット弁1)、制御弁手段Q(入口弁2、出口弁3)、吸入弁4、モータ9等を制御するものであり、車両の挙動、路面状況、ブレーキペダルBPの操作状況等に応じて車輪のスリップを抑制するアンチロックブレーキ制御や、車両の挙動を安定化させるヨーコントロール制御等を実行する。
通常時は、入口弁2が開き、出口弁3が閉じていることで、マスタシリンダMから加えられた液圧が入口弁2を通って車輪ブレーキBに伝達される。
一方、アンチロック制御時は、入口弁2、出口弁3およびポンプ6を協働させることで、各車輪ブレーキBの液圧を低減、保持または増加させる。入口弁2を閉じて出口弁3を開放することで車輪ブレーキBから出口弁3を介してブレーキ液が排出され、液圧が低減される。また、入口弁2と出口弁3を両方閉じることで、液圧が保持される。さらに、入口弁2を開き、出口弁3を閉じることで、ブレーキペダルBPの操作に連動するマスタシリンダMから作用される液圧により各車輪ブレーキBの液圧が増加される。
一方、アンチロック制御時は、入口弁2、出口弁3およびポンプ6を協働させることで、各車輪ブレーキBの液圧を低減、保持または増加させる。入口弁2を閉じて出口弁3を開放することで車輪ブレーキBから出口弁3を介してブレーキ液が排出され、液圧が低減される。また、入口弁2と出口弁3を両方閉じることで、液圧が保持される。さらに、入口弁2を開き、出口弁3を閉じることで、ブレーキペダルBPの操作に連動するマスタシリンダMから作用される液圧により各車輪ブレーキBの液圧が増加される。
(ECUの構成)
次に、図3を参照して、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100におけるECU20Aの構成について説明する。
ECU20Aは、ブレーキ液の液圧を増圧、保持、減圧の制御をする演算処理部21Aと、記憶部29とを有する。演算処理部21Aは、前記CPUで構成されており、記憶部29に記憶された制御プログラム29aを読み出して実行することで、各種の制御機能を実現している。
また、ECU20Aは、図示しない入出力ポートを有し、車輪速センサ91、ブレーキペダルスイッチ(ブレーキペダルSW)92からの検出信号が入力されるとともに、液圧ユニット10の入口弁2、出口弁3およびモータ9に対し動作を指令する信号を出力する。
次に、図3を参照して、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100におけるECU20Aの構成について説明する。
ECU20Aは、ブレーキ液の液圧を増圧、保持、減圧の制御をする演算処理部21Aと、記憶部29とを有する。演算処理部21Aは、前記CPUで構成されており、記憶部29に記憶された制御プログラム29aを読み出して実行することで、各種の制御機能を実現している。
また、ECU20Aは、図示しない入出力ポートを有し、車輪速センサ91、ブレーキペダルスイッチ(ブレーキペダルSW)92からの検出信号が入力されるとともに、液圧ユニット10の入口弁2、出口弁3およびモータ9に対し動作を指令する信号を出力する。
記憶部29は、ROM、RAM等で構成されており、その種類は問わない。記憶部29には、制御プログラム29a、判定基準値設定情報29bが記憶されている。
制御プログラム29aは、後述する演算処理部21A内の各機能を実現するためのプログラムである。
制御プログラム29aは、後述する演算処理部21A内の各機能を実現するためのプログラムである。
判定基準値設定情報29bは、後記のアンチロック制御部24におけるアンチロック制御のABS作動条件が成立しているか否かの判定基準値、ヨーコントロール制御部26Aのスリップ判定部26aにおける所定のスリップ条件が成立しているか否かの判定基準値等を含んでいる。
演算処理部21Aは、機能部として、車両速度算出部22、スリップ率算出部(スリップ量取得手段)23、アンチロック制御部24、ブレーキ操作判定部(ブレーキ操作判定手段)25A、ヨーコントロール制御部(ヨーコントロール制御手段)26A、増圧モード設定部27Aを有する。
車両速度算出部22は、車輪速センサ91から入力された信号に基づき、車両CRの推定車体速度である車両速度Viを推定する。車両速度Viは、例えば、各車輪Tの車輪速度Vw(VwFL、VwFR、VwRL、VwRR)のうちでも最も大きい値に基づいて算出することができる。
スリップ率算出部23は、車両速度Viと、車輪速度Vw(VwFL、VwFR、VwRL、VwRR)とから、式(1)に基づいて各車輪Tのスリップ率SL(SLFL、SLFR、SLRL、SLRR)を算出する。式(1)では、符号SL、Vwの添字FL、FR、RL、RRは略して、一般的に表現してある。
SL=(Vi−Vw)/Vi×100(%) ・・・(1)
スリップ率算出部23は、車両速度Viと、車輪速度Vw(VwFL、VwFR、VwRL、VwRR)とから、式(1)に基づいて各車輪Tのスリップ率SL(SLFL、SLFR、SLRL、SLRR)を算出する。式(1)では、符号SL、Vwの添字FL、FR、RL、RRは略して、一般的に表現してある。
SL=(Vi−Vw)/Vi×100(%) ・・・(1)
アンチロック制御部24は、各車輪Tのスリップ率SLを監視し、通常のアンチロック制御を行う。図2を参照して説明すると、アンチロックブレーキ制御部24は、車輪がロック状態に陥りそうであるか否か(すなわち、個別の車輪のスリップ率SLが所定値よりも大きいか否か)を判定し、ロック状態に陥りそうであると判定された場合に、対応する制御弁手段Qにおいて入口弁2を閉弁させるとともに出口弁3を開弁する制御を実行し、かかる状態において、ポンプ6を駆動させるべくモータ9を作動させる制御を実行する。このようにすると、ロック状態に陥りそうになっていた車輪の車輪ブレーキBに作用していたブレーキ液が減圧され、車輪のスリップが緩和されることになる。
ブレーキ操作判定部25Aは、運転者のブレーキ操作の有無をブレーキペダルスイッチ92からのオン、オフ信号に基づいて判定し、ブレーキ操作の有無の信号をヨーコントロール制御部26Aに入力する。
また、ブレーキ操作判定部25Aは、車輪減速度判定部(車輪減速度判定手段)25aを有する。車輪減速度判定部25aは車輪速センサ91からの信号に基づいて従動輪(この場合は左後輪TRLと右後輪TRR)の車輪減速度を算出し、車輪減速度が所定値以上であるか否かを判定する。そして、ブレーキ操作判定部25Aは、車輪減速度判定部25aにおいていずれかの従動輪Tの減速度が所定値以上であると判定された場合、従動輪Tの減速度大の信号と従動輪のそれぞれの車輪減速度値をヨーコントロール制御部26Aに入力する。
また、ブレーキ操作判定部25Aは、車輪減速度判定部(車輪減速度判定手段)25aを有する。車輪減速度判定部25aは車輪速センサ91からの信号に基づいて従動輪(この場合は左後輪TRLと右後輪TRR)の車輪減速度を算出し、車輪減速度が所定値以上であるか否かを判定する。そして、ブレーキ操作判定部25Aは、車輪減速度判定部25aにおいていずれかの従動輪Tの減速度が所定値以上であると判定された場合、従動輪Tの減速度大の信号と従動輪のそれぞれの車輪減速度値をヨーコントロール制御部26Aに入力する。
増圧モード設定部27Aは、各車輪Tの車輪速度Vw、車両速度Viに応じて演算処理部21Aがブレーキ液の液圧を増圧制御する際に、複数用意されている増圧モードの中から選定してブレーキ制御を行えるように予め増圧パルス信号の発生頻度を用意しているものである。
増圧モードには、連続増圧とせず間歇的に増圧させる「緩増圧」モード、前記緩増圧モードを終了した状態の「緩増圧通常終了」モード、車輪速度の低下による増圧終了「速度低下による終了」モード、前記「緩増圧」よりも高い頻度で間歇的に増圧させる「急増圧」モード等が用意されている。
増圧モードには、連続増圧とせず間歇的に増圧させる「緩増圧」モード、前記緩増圧モードを終了した状態の「緩増圧通常終了」モード、車輪速度の低下による増圧終了「速度低下による終了」モード、前記「緩増圧」よりも高い頻度で間歇的に増圧させる「急増圧」モード等が用意されている。
図3に示すように増圧モード設定部27Aは、緩増圧レート設定部(増圧レート設定手段)27a、急増圧設定部(増圧レート設定手段)27bを有している。緩増圧レート設定部27aは前記「緩増圧」モードにおいて用いられる増圧レートを設定するものであり、同じく急増圧レート設定部27bは前記「急増圧」モードにおいて用いられる増圧レートを設定するものである。他の前記増圧モードに対するものは、本発明と直接関係しないので省略する。
緩増圧レート設定部27aは、前記入口弁2を所定間隔で間歇的に開かせるように入口弁2のソレノイドを制御するパルス信号を発生し、ヨーコントロール制御部26Aがパルス信号の出力先の入口弁2を指定する。急増圧レート設定部27bは、前記入口弁2を緩増圧モードの場合より短い所定間隔で間歇的に開かせるように入口弁2のソレノイドを制御するパルス信号を発生し、ヨーコントロール制御部26Aがパルス信号の出力先の入口弁2を指定する。
この増圧レートは、入口弁2を開くソレノイドを開状態にするパルス信号の出力頻度を、高く設定することで急増圧でき、パルス信号の出力頻度を低く設定することで緩増圧できる。
この増圧レートは、入口弁2を開くソレノイドを開状態にするパルス信号の出力頻度を、高く設定することで急増圧でき、パルス信号の出力頻度を低く設定することで緩増圧できる。
(ヨーコントロール制御部の説明)
以下に、ヨーコントロール制御部26Aの機能を詳細に説明する。
ヨーコントロール制御部26Aは、スリップ判定部26aと増圧レート選定部(増圧レート設定手段)26bを有している。
スリップ判定部26aは、アンチロック制御部24が、アンチロック制御を行っている間、左右の車輪Tの代表的なスリップ率SLL、SLRを監視して、所定のスリップ条件を満たすかどうか判定し、所定のスリップ条件を満たすと判定したとき、ヨー方向運動抑制のために、ヨーコントロール制御部26Aが行うヨーコントロール制御に介入する。
本実施の形態では、FF車両を例に説明しているので、後記する式(2)に示すように左側車輪Tの代表的なスリップ率SLLとして左前輪TFLのスリップ率SLFLを、右側車輪Tの代表的なスリップ率SLRとして右前輪TFRのスリップ率SLFRを用いることとする。
以下に、ヨーコントロール制御部26Aの機能を詳細に説明する。
ヨーコントロール制御部26Aは、スリップ判定部26aと増圧レート選定部(増圧レート設定手段)26bを有している。
スリップ判定部26aは、アンチロック制御部24が、アンチロック制御を行っている間、左右の車輪Tの代表的なスリップ率SLL、SLRを監視して、所定のスリップ条件を満たすかどうか判定し、所定のスリップ条件を満たすと判定したとき、ヨー方向運動抑制のために、ヨーコントロール制御部26Aが行うヨーコントロール制御に介入する。
本実施の形態では、FF車両を例に説明しているので、後記する式(2)に示すように左側車輪Tの代表的なスリップ率SLLとして左前輪TFLのスリップ率SLFLを、右側車輪Tの代表的なスリップ率SLRとして右前輪TFRのスリップ率SLFRを用いることとする。
(所定のスリップ条件の説明)
以下に、前記所定のスリップ条件について説明する。
スリップ判定部26aは、前記左右の車輪Tの代表的なスリップ率SLL、SLRを監視し、アンチロック制御部24がアンチロック制御に入った後で、左右の車輪T間のスリップ率SLLとSLRの差ΔSLを算出する。
ΔSL=|SLL−SLR|=|SLFL−SLFR| ・・・・・(2)
以下に、前記所定のスリップ条件について説明する。
スリップ判定部26aは、前記左右の車輪Tの代表的なスリップ率SLL、SLRを監視し、アンチロック制御部24がアンチロック制御に入った後で、左右の車輪T間のスリップ率SLLとSLRの差ΔSLを算出する。
ΔSL=|SLL−SLR|=|SLFL−SLFR| ・・・・・(2)
そして、スリップ判定部26aは、(a)ΔSLが、所定の基準値ΔSLthより大きい場合、または、(b)スリップ率SLFL、SLFRのいずれかが所定値SLthより大きい値を時間閾値Tth以上継続した場合の、(a)、(b)いずれかの条件が成立し、かつ、スリップ率SLFL、SLFRの内の小さい側の車輪Tがアンチロック制御されていない場合に、所定のスリップ条件を満たしたと判定し、そうでない場合は、所定のスリップ条件を満たしていないと判定する。
増圧レート選定部26bは、スリップ判定部26aが所定のスリップ条件を満たしたと判定した場合に、スリップ率SLFL、SLFRのうち小さい側の前輪Tのブレーキ液圧に対して、緩増圧レート設定部27aの出力する緩増圧レートを選定して制御し、制動力を緩増加させる。なお、本実施の形態では、FF車両を例に説明しているので、スリップ率SLFL、SLFRのうち小さい側、つまり、高μ側の前輪Tのブレーキ液圧を緩増圧させて、制動力を緩増加させるものである。
この結果、μスプリット路面を走行しているときに、前記所定のスプリット条件を満たす場合は、後記するようにヨーコントロール制御部26Aにより、高μ側の前輪Tが緩増圧レートで制動され、スリップ率SLが大きい低μ側の車輪T側に旋回しようとする車両CRのヨー方向運動、つまり、スピンしようとする傾向を抑制できる。
この結果、μスプリット路面を走行しているときに、前記所定のスプリット条件を満たす場合は、後記するようにヨーコントロール制御部26Aにより、高μ側の前輪Tが緩増圧レートで制動され、スリップ率SLが大きい低μ側の車輪T側に旋回しようとする車両CRのヨー方向運動、つまり、スピンしようとする傾向を抑制できる。
増圧レート選定部26bは、さらに、前記スリップ条件が満たされて、スリップ率SLFL、SLFRのうち小さい側の車輪Tのブレーキ液圧を緩増圧レートのヨーコントロール制御を行っている際に、ブレーキ操作判定部25Aから、運転者のブレーキ操作有の信号を受けた場合に、スリップ率SLFL、SLFRのうち小さい側の前輪T、つまり、高μ側(低スリップ側)の駆動輪のブレーキ液圧を、急増圧レート設定部27bの出力する急増圧レートを選定して制御し、制動力を急増加させる。
(ヨーコントロール制御のフローチャート)
以上のように構成された車両用ブレーキ制御装置100の制御動作について図4を参照して説明する。
なお、図4のフローチャートでは、運転者がブレーキ操作を行っていない状態で、例えば、運転者がエンジンブレーキを掛けたりしたことによりアンチロック制御に始まって、ヨーコントロール制御が開始され、その後一段の減速が必要になってブレーキ操作をした場合を想定する。
以上のように構成された車両用ブレーキ制御装置100の制御動作について図4を参照して説明する。
なお、図4のフローチャートでは、運転者がブレーキ操作を行っていない状態で、例えば、運転者がエンジンブレーキを掛けたりしたことによりアンチロック制御に始まって、ヨーコントロール制御が開始され、その後一段の減速が必要になってブレーキ操作をした場合を想定する。
図4に示すように、車両CRが走行している際には、車両速度算出部22は、随時、車両速度Viを算出し、スリップ率算出部23は、スリップ率SLを算出し、アンチロック制御(ABS)作動条件成立か否かをチェックしている(S101)。ABS作動条件成立とは、車両速度Viが所定値以上のとき、ブレーキ操作に関係なくスリップ率SLが基準スリップ率SL0を超えた場合に成立する。ABS作動条件成立(Yes)の場合は、ステップS102へ進み、ABS作動条件不成立(No)の場合は、ステップS101を繰り返す。ステップS102では、アンチロック制御部24が、ABS作動条件が成立した車輪Tの車輪ブレーキBに対して通常のアンチロック制御を行う。
ステップS103では、ヨーコントロール制御部26Aのスリップ判定部26aにおいて、前記所定のスリップ条件を満足しているか否かを判定する。所定のスリップ条件を満足している場合(Yes)は、ステップS104へ進み、ヨーコントロール制御部26Aがヨーコントロール・フラグを立て、ステップS105へ進む。なお、ヨーコントロール制御部26Aは、ヨーコントロール・フラグを立てると、タイマを起動し、ヨーコントロール制御を開始以後の、一連のヨーコントロール制御の時間を計測する。所定のスリップ条件を満足していない場合(No)は、ステップS101へ戻る。ステップS105では、ヨーコントロール制御部26Aが、ヨーコントロール制御を行う。
具体的には、ヨーコントロール制御部26Aは、ブレーキペダルBPを操作されていない場合において、前記所定のスリップ条件の判定に基づいて特定の車輪Tを制動すべきと判定されたときには、カット弁1を閉弁させ、吸入弁4を開弁させるとともに、制動したい車輪Tに対応する制御弁手段Q以外の制御弁手段Qにおいて入口弁2を閉弁させる制御を実行し、かかる状態において、ポンプ6を駆動させるべくモータ9を作動させる制御を実行する。このようにすると、マスタシリンダM、出力液圧路A1、吸入液圧路A3に貯留されているブレーキ液が、ポンプ6と吐出液圧路A4とを経由して制動したい車輪TのホイールシリンダHに通じる車輪液圧路A2のみに流入し、その結果、当該ホイールシリンダHにブレーキ液圧が作用することになる。そして、増圧レート選定部26bが、緩増圧レート設定部27aからのパルス信号を選定し、制動したい車輪Tの車輪ブレーキBに対応する液圧ユニット10の入口弁2に出力させ、緩増圧レートで制御する。このようにしてμスプリット路面において前記所定のスリップ条件が成立した場合、高μ側の駆動輪である前輪Tに対し緩増圧レートで制動制御が行われて、車両CRの挙動が安定化される。
ステップS106では、増圧レート選定部26bは、ブレーキ操作判定部25Aからのブレーキ操作有無の信号をチェックする。ブレーキ操作有の信号を受けている場合(Yes)は、ステップS108に進み、ブレーキ操作有の信号を受けていない場合(No)は、ステップS107へ進む。
ステップS107では、増圧レート選定部26bは、ブレーキ操作判定部25Aからの減速度大の信号に基づき従動輪Tのそれぞれの車輪減速度値をチェックし、従動輪の低μ側車輪Tが所定以上の減速度か否かを判定する。従動輪の低μ側車輪Tが所定以上の減速度の場合(Yes)は、ステップS108へ進み、所定未満の減速度の場合(No)は、ステップS112へ進む。
ステップS107では、増圧レート選定部26bは、ブレーキ操作判定部25Aからの減速度大の信号に基づき従動輪Tのそれぞれの車輪減速度値をチェックし、従動輪の低μ側車輪Tが所定以上の減速度か否かを判定する。従動輪の低μ側車輪Tが所定以上の減速度の場合(Yes)は、ステップS108へ進み、所定未満の減速度の場合(No)は、ステップS112へ進む。
ステップS107は、ブレーキペダルスイッチ92の故障により、運転者がブレーキ操作をしているにもかかわらずブレーキペダルスイッチ92からオン信号が入力されず、ブレーキ操作有の判定ができない場合に対するフェィルセーフ設計として設けたものである。ブレーキ操作判定部25Aにおいてブレーキ操作有と判定されない場合でも、ブレーキ操作により従動輪Tにブレーキが掛けられると、車輪ブレーキBが作用し始めた初期において低μ側車輪Tが高μ側車輪Tよりもより大きい減速度になりやすい。この大きい減速度を車輪減速度判定部25aが検出し、増圧レート選定部26bにおいて低μ側車輪Tが所定以上の減速度か否かを判定することによりブレーキ操作がなされたか否かを判定する。
なお、低μ側、高μ側の判定は、スリップ率SLの大きい方が低μ側であり、スリップ率SLの小さい方が高μ側であるので、増圧レート選定部26bにおいて容易に判定できる。
なお、増圧レート選定部26bではなく車輪減速度判定部25aで低μ側車輪Tが所定以上の減速度か否かを判定することも可能である。
なお、低μ側、高μ側の判定は、スリップ率SLの大きい方が低μ側であり、スリップ率SLの小さい方が高μ側であるので、増圧レート選定部26bにおいて容易に判定できる。
なお、増圧レート選定部26bではなく車輪減速度判定部25aで低μ側車輪Tが所定以上の減速度か否かを判定することも可能である。
ステップS112では、ヨーコントロール制御部26Aは、ヨーコントロール条件終了か否かを判定する。ヨーコントロール制御部26Aは、ステップS104においてヨーコントロール・フラグを立てると同時に起動したタイマが所定の上限制御時間を経過しているか否かチェックし、所定の上限制御時間を経過しているときヨーコントロール条件終了と判定する。また、車両CRの車両速度Viが所定値以下の減速度(または、加速度)を示したとき、ヨーコントロール条件終了と判定する。そうでない場合はヨーコントロール条件終了とは判定しない。ヨーコントロール条件終了の場合(Yes)は、ステップS113へ進み、ヨーコントロール制御部26Aは、ヨーコントロール・フラグをリセットする。なお、このときタイマもリセットされる。ステップS113の後ステップS101へ戻る。ステップS112で、ヨーコントロール条件終了でない場合(No)は、ステップS105へ戻り、ヨーコントロール制御を続ける。
ステップS108では、高μ側駆動輪Tの車輪ブレーキBを急増圧レートに設定する。つまり、増圧レート選定部26bは、急増圧レート設定部27bからのパルス信号を選定し、高μ側の駆動輪Tの車輪ブレーキBに対応する液圧ユニット10の入口弁2に出力させ、急増圧レートで制御する。その結果、ステップS109では、演算処理部21Aが運転者のブレーキ操作に従い、高μ側の駆動輪Tの車輪ブレーキBを急増圧レートで増圧制御し、アンチロック制御とヨーコントロール制御を伴う制動制御を行う。
ステップS110では、ヨーコントロール制御部26Aは、前記ステップS112と同様にヨーコントロール条件終了か否かを判定する。ヨーコントロール条件終了の場合(Yes)は、ステップS111へ進み、ヨーコントロール制御部26Aは、ヨーコントロール・フラグをリセットする。ステップS111で一連の制御を終える。
なお、このときタイマもリセットされる。ヨーコントロール制御が終了後は、運転者のブレーキ操作が続いている場合は、通常のアンチロック制御を伴う制動制御を続ける。
なお、このときタイマもリセットされる。ヨーコントロール制御が終了後は、運転者のブレーキ操作が続いている場合は、通常のアンチロック制御を伴う制動制御を続ける。
ステップS110においてヨーコントロール条件終了でない場合(No)は、ステップS109に戻り、アンチロック制御とヨーコントロール制御を伴う制動制御を続ける。
なお、μスプリット路面において、先ず運転者がブレーキ操作を行い、その結果アンチロック制御が開始され、さらにヨーコントロール制御が開始された場合には、ヨーコントロール制御中、高μ側の駆動輪Tの車輪ブレーキBは、緩増圧レートで制御され、ヨー方向運動が抑制される。
本実施の形態における増圧レート選定部26b、緩増圧レート設定部27a、急増圧レート設定部27bは、本発明の増圧レート設定手段を構成する。
本実施の形態における増圧レート選定部26b、緩増圧レート設定部27a、急増圧レート設定部27bは、本発明の増圧レート設定手段を構成する。
本実施の形態における車両用ブレーキ制御装置100の作用効果を図5、図6に基づいて説明する。図5は、本実施の形態における車両CRの挙動、各車輪の車輪ブレーキの状況を示すものであり、図6は、従来の場合の車両CRの挙動、各車輪の車輪ブレーキの状況を示すものである。この図では、左側車輪Tが低μ側車輪Tであり、右側車輪Tが高μ側車輪Tの場合である。
図5、図6は、μスプリット路面においてエンジンブレーキを作動させた後、さらに運転者がブレーキ操作をする場合の本実施の形態の効果を説明する図であり、車両速度Viの変化を車両CRの減速度LGの変化で、車両CRの旋回率YAWの変化、車輪速度の変化、低μ側車輪ブレーキBの入口弁2、出口弁3の動作および高μ側車輪ブレーキBの入口弁2、出口弁3の動作等を並べて示したタイミングチャートである。
図5、図6中、最上段の3本のFR_SOL、FL_SOL、RR_SOLで示す矩形波の曲線は、それぞれ右前輪ブレーキBFR、左前輪ブレーキBFL、右後輪ブレーキBRRの入口弁2、出口弁3の開閉制御を行うソレノイドへの出力信号の状態を示す。なお、左後輪ブレーキBRLの入口弁2、出口弁3の開閉制御を行うソレノイドへの出力信号の状態は、表示を省略してある。
ソレノイドへの出力信号の状態は、それぞれ減圧、圧力保持、増圧の3つの状態で示す。
ソレノイドへの出力信号の状態は、それぞれ減圧、圧力保持、増圧の3つの状態で示す。
図5、図6中、RR_SOLの曲線の下に示した4本の曲線は、各車輪TFL、TFR、TRL、TRRの車輪速度Vwを、それぞれ符号FL_Vw、FR_Vw、RL_Vw、RR_Vwを付して示す。
図中、車輪速度Vwの下に示す2本の曲線は、符号LGを付して車両CRの減速度(単位G)を示し、符号YAWを付してヨー方向の旋回率(単位deg/s)を示す。
図中、車輪速度Vwの下に示す2本の曲線は、符号LGを付して車両CRの減速度(単位G)を示し、符号YAWを付してヨー方向の旋回率(単位deg/s)を示す。
図5、図6中、曲線YAW、LGの下に符号BLSを付した曲線は、運転者がブレーキペダルBPを踏み込んだか否かを示すブレーキペダルスイッチ92のオン/オフ信号を示す。さらにその下の3本の曲線は、左前輪ブレーキBFL、右前輪ブレーキBFR、右後輪ブレーキBRRの液圧の変化を示し、それぞれに符号FL_P、FR_P、RR_Pを付して区別してある。なお、左後輪ブレーキBRLの液圧の変化は、表示を省略する。
図5、図6では、時刻t0において、エンジンブレーキが掛かり、駆動輪である左右の前輪TFL、TFRが制動を始め、低μ側の左前輪TFLの車輪速度FL_Vwがスリップして大きく低下する。左前輪TFLのスリップ率SLFLが基準スリップ率SL0を超えたことにより、ABS作動条件が成立し、時刻t1においてアンチロック制御部24がアンチロック制御を始める。つまり、左前輪ブレーキBFLに対してFL_SOLの曲線で示すように、減圧パルス信号が高頻度で出力される。
なお、ここでは、ブレーキ操作に関係なくアンチロック制御を開始する判定基準である基準スリップ率SL0と所定のスリップ条件の前記ΔSLthとはほぼ同じ値としているので、アンチロック制御部24が左前輪ブレーキBFLに対してアンチロック制御を開始した直後に、スリップ判定部26aがヨーコントロール制御開始の所定のスリップ条件が満たされたと判定する。その結果を受けて、ヨーコントロール制御部26Aは、右前輪ブレーキBFRに対し、圧力保持の制御を始め、同時に増圧レート選定部26bにおいて、高μ側の前輪TFRの車輪ブレーキBFRに対して、緩増圧レートを選定する。
時刻t2において、運転者がブレーキペダルBPを踏み込むと、本実施の形態では図5に示すように、高μ側の右前輪ブレーキBFRの入口弁2に対してFR_SOLの曲線に示すように急増圧レートで増圧パルス信号が出力され制動が掛けられる。その結果、曲線FR_Pに示すようにブレーキ液圧は、図6に示す従来の場合よりも時刻t2以降速く増加し、右前輪TFRの車輪速度FR_Vwを低下させる。この後、右前輪TFRのスリップ率SLFRが増加し、時刻t3以降減圧パルス信号が出され、右前輪ブレーキBFRはアンチロック制御の状態に入る。
運転者が時刻t2においてブレーキペダルBPを踏み込むと、高μ側の右後輪ブレーキBRRに対しては、RR_SOLの曲線で示すように連続モードで増圧信号が出力され制動が掛けられ、その結果、曲線RR_Pに示すようにブレーキ液圧は、曲線FR_Pよりも急増加し、右後輪車輪速度RR_Vwを低下させ、その後アンチロック制御の状態に入る。
低μ側の左前輪ブレーキBFLに対しては、運転者が時刻t2においてブレーキペダルBPを踏み込んだ後も、スリップ率SLFLが大きいので、その後もアンチロック制御が続いており、FL_SOLの曲線で示すように減圧パルスが高レートで出ている。その後、スリップ率SLFLが減少して減圧パルスの出力頻度が低下する。その結果、曲線FL_Pに示すように時刻t2以降ブレーキを掛けているにもかかわらずブレーキ液圧はほとんど増加しない。
低μ側の左後輪ブレーキBRLに対しては、図示しないが連続モードで増圧信号が出力され制動が掛けられ、曲線RL_Vwに示すように車輪速度Vwが急減して、つまりスリップ率が急増し、すぐにアンチロック制御に入る。
低μ側の左後輪ブレーキBRLに対しては、図示しないが連続モードで増圧信号が出力され制動が掛けられ、曲線RL_Vwに示すように車輪速度Vwが急減して、つまりスリップ率が急増し、すぐにアンチロック制御に入る。
これに対し、従来例を示す図6では、運転者が時刻t2においてブレーキペダルBPを踏み込む前の段階においては本実施の形態を示す図5と同様、すでに時刻t1直後からヨーコントロール制御が開始されており、高μ側の右前輪TFRの車輪ブレーキBFRに対して緩増圧レートが設定されているが、ブレーキペダルBPが踏み込まれる時刻t2後も、緩増圧レートのままで増圧パルス信号が出力され、曲線FR_Pで示すように、図5に比して液圧が緩やかに増加する。従来の場合の他の車輪Tにおける挙動は、図5の場合と同じ傾向なので、説明を省略する。
以上の結果、図5と図6における車両CRの減速度を示す曲線LGについて比較すると分かるように、時刻t2においてブレーキペダルBPを踏み込んでから、減速度γに達するまでの時間、つまり時刻t2から時刻t3に至るまでの時間が大幅に減少することとなり、ブレーキフィーリングの向上を図ることができる。また、このような、制御としても図5の曲線YAWで示すようにμスプリット路面における制動時の車両CRのヨー方向の旋回率YAWは、従来とほとんど同じであり、良好に制御できている。
以上のように本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100によれば、エンジンブレーキにより低μ側の車輪Tと高μ側の車輪Tとの間でスリップ差が発生し、ヨーコントロール制御が実行されて、高μ側の車輪Tの車輪ブレーキBに対して制動力の増加勾配が小さい緩増圧レートに設定されてしまう場合においても、運転者がブレーキ操作をすると、高μ側の車輪Tの車輪ブレーキBに対しては緩増圧レートから制動の増加勾配が大きい急増圧レートに設定が変更される。その結果、制動の立ち上がりが早くなり、運転者に良好な減速フィーリングを感じさせることができ、車両CRのヨー方向運動が抑制され挙動の安定性を確保して、安定した操縦性能を実現することができる。
《第2の実施の形態》
次に、図7から図9を適宜参照しながら本発明に係る第2の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置について説明する。
図7は本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のブロック図であり、図8、図9は、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における制御動作を説明するフローチャートである。
本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
次に、図7から図9を適宜参照しながら本発明に係る第2の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置について説明する。
図7は本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のブロック図であり、図8、図9は、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における制御動作を説明するフローチャートである。
本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態における車両用ブレーキ制御装置100は、第1の実施の形態におけるECU20Aの代わりにECU20Bにより構成されており、車両CRの挙動を検知するための各種のセンサとから構成されている。
本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100では、第1の実施の形態のようにブレーキペダルBPを運転者が操作したかを判定するための入力信号を必要としない。
本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100では、第1の実施の形態のようにブレーキペダルBPを運転者が操作したかを判定するための入力信号を必要としない。
先ず、図7を参照して、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100におけるECU20Bの構成について説明する。
ECU20Bは、演算処理部21Bと、記憶部29とを有する。演算処理部21Bは、前記CPUで構成されており、記憶部29に記憶された制御プログラム29aを読み出して実行することで、各種の制御機能を実現している。
ECU20Bは、演算処理部21Bと、記憶部29とを有する。演算処理部21Bは、前記CPUで構成されており、記憶部29に記憶された制御プログラム29aを読み出して実行することで、各種の制御機能を実現している。
また、ECU20Bは、図示しない入出力ポートを有し、車輪速センサ(車輪速度取得手段)91、アクセルポジションセンサ93、シフトポジションセンサ94A、エンジン制御装置95から、それぞれ車輪速度信号、アクセルペダルの踏み込み量を示すアクセルポジション信号、変速機のシフト位置を示すシフトポジション信号、エンジン回転速度信号が入力されるとともに、液圧ユニット10の入口弁2、出口弁3およびモータ9に対し動作を指令する信号を出力する。
なお、アクセルポジション信号、シフトポジション信号は、アクセルポジションセンサ93、シフトポジションセンサ94Aから入力する代わりに、車両CRの動力装置であるエンジンを制御するエンジン制御装置95からまとめて、車載通信回線でエンジン回転速度信号とともに入力される構成でも良い。
図7に示す演算処理部21Bは、機能部として、車両速度算出部22、スリップ率算出部(スリップ量取得手段)23、アンチロック制御部24、ブレーキ操作緩急判定部25B、エンジンブレーキ状態判定部(エンジンブレーキ状態判定手段)25C、ヨーコントロール制御部(ヨーコントロール制御手段)26B、増圧モード設定部27Bを有する。
ブレーキ操作緩急判定部25Bには、スリップ率算出部23において算出された各車輪Tのスリップ率SL(SLFL、SLFR、SLRL、SLRR)が入力される。また、車輪速センサ91から各車輪Tの車輪速度Vw(VwFL、VwFR、VwRL、VwRR)が入力される。
ブレーキ操作緩急判定部25Bは、運転者のブレーキ操作の緩急度合いを従動輪の車輪速センサ91からの信号に基づいて判定し、その結果をヨーコントロール制御部26Bに入力する。
ブレーキ操作緩急判定部25Bは、例えば、左右の従動輪(後輪)の内のスリップ率の大きい側の車輪速度Vwから算出された減速度が所定値以上の場合は、運転者のブレーキ操作が急なスパイク入力であると判定し、そうでない場合は運転者のブレーキ操作が通常の減速時に用いる緩慢入力であると判定する。
ブレーキ操作緩急判定部25Bは、運転者のブレーキ操作の緩急度合いを従動輪の車輪速センサ91からの信号に基づいて判定し、その結果をヨーコントロール制御部26Bに入力する。
ブレーキ操作緩急判定部25Bは、例えば、左右の従動輪(後輪)の内のスリップ率の大きい側の車輪速度Vwから算出された減速度が所定値以上の場合は、運転者のブレーキ操作が急なスパイク入力であると判定し、そうでない場合は運転者のブレーキ操作が通常の減速時に用いる緩慢入力であると判定する。
エンジンブレーキ状態判定部25Cは、(1)アクセルポジション信号により、運転者がアクセルペダルから足をはずしている状態であること、(2)シフトポジション信号により、変速機が「ロー(Low)」または「セカンド(2nd)」の位置にあること(すなわち、変速比が大きい状態にあること)、(3)エンジン回転速度信号により、所定のエンジン回転速度以上であること、の3つの条件が全て成立しているかどうかを判定して、エンジンブレーキが掛かっている状態か否かを判定し、その結果をヨーコントロール制御部26Bに入力する。
増圧モード設定部27Bは、各車輪Tの車輪速度Vw、車両速度Viに応じて演算処理部21Bがブレーキ液の液圧を増圧制御する際に、複数用意されている増圧モードの中から選定してブレーキ制御を行えるように予め増圧パルス信号の発生頻度を用意しているものである。
増圧モードには、連続増圧を避けて間歇的に増圧させる「緩増圧」モード、前記緩増圧モードを終了した状態の「緩増圧通常終了」モード、車輪速度の低下による増圧終了「速度低下による終了」モード、前記「緩増圧」よりも高い頻度で間歇的に増圧させる「急増圧」モードが用意されている。さらに、増圧モードとして、μスプリット路面走行中の低μ側車輪Tのブレーキ制御のために、運転者が急ブレーキを踏んだ場合に対応する「スパイク入力」モード、運転者がゆっくりブレーキを踏んだ場合に対応する「緩慢入力」モード等が用意されている。
図7に示すように増圧モード設定部27Bは、緩増圧レート設定部(増圧レート設定手段)27a、急増圧レート設定部(増圧レート設定手段)27b、スパイク入力用増圧レート設定部27c、緩慢入力用増圧レート設定部27dを有している。緩増圧レート設定部27aは前記「緩増圧」モードにおいて用いられる増圧レートを設定するものであり、同じく急増圧レート設定部27bは前記「急増圧」モードにおいて用いられる増圧レートを設定するものである。
緩増圧レート設定部27aは、前記入口弁2を所定間隔で間歇的に開かせるように入口弁2のソレノイドを制御するパルス信号を発生し、ヨーコントロール制御部26Bがパルス信号の出力先の入口弁2を指定する。急増圧レート設定部27bは、前記入口弁2を緩増圧モードの場合より短い所定間隔で間歇的に開かせるように入口弁2のソレノイドを制御するパルス信号を発生し、ヨーコントロール制御部26Bがパルス信号の出力先の入口弁2を指定する。
この増圧レートは、入口弁2を開くソレノイドを開状態にするパルス信号の出力頻度を、高く設定することで急増圧でき、パルス信号の出力頻度を低く設定することで緩増圧できる。
この増圧レートは、入口弁2を開くソレノイドを開状態にするパルス信号の出力頻度を、高く設定することで急増圧でき、パルス信号の出力頻度を低く設定することで緩増圧できる。
スパイク入力用増圧レート設定部27cは、前記「スパイク入力」モードにおいて用いられる増圧レートを設定するものである。同じく緩慢入力用増圧レート設定部27dは前記「緩慢入力」モードにおいて用いられる増圧レートを設定するものである。ここで、増圧レートを決めるパルス信号の出力頻度は、「緩増圧」モード、「緩慢入力」モード、「スパイク入力」モード、「急増圧」モードの順に頻度が増し、増圧レートが大きくなる。
(ヨーコントロール制御部の説明)
以下に、ヨーコントロール制御部26Bの機能を詳細に説明する。
ヨーコントロール制御部26Bは、スリップ判定部26aと増圧レート選定部(増圧レート設定手段)26cを有している。
スリップ判定部26aは、アンチロック制御部24が、アンチロック制御を行っている間、左右の車輪Tの代表的なスリップ率SLL、SLRを監視して、所定のスリップ条件を満たすかどうか判定し、所定のスリップ条件を満たすと判定したとき、ヨー方向運動抑制のために、アンチロック制御部24が行うアンチロック制御に介入する。
なお、本実施の形態では、FF車両を例に説明しているので、左側車輪Tの代表的なスリップ率SLLとして左前輪TFLのスリップ率SLFLを、右側車輪Tの代表的なスリップ率SLRとして右前輪TFRのスリップ率SLFRを用いることとする。
以下に、ヨーコントロール制御部26Bの機能を詳細に説明する。
ヨーコントロール制御部26Bは、スリップ判定部26aと増圧レート選定部(増圧レート設定手段)26cを有している。
スリップ判定部26aは、アンチロック制御部24が、アンチロック制御を行っている間、左右の車輪Tの代表的なスリップ率SLL、SLRを監視して、所定のスリップ条件を満たすかどうか判定し、所定のスリップ条件を満たすと判定したとき、ヨー方向運動抑制のために、アンチロック制御部24が行うアンチロック制御に介入する。
なお、本実施の形態では、FF車両を例に説明しているので、左側車輪Tの代表的なスリップ率SLLとして左前輪TFLのスリップ率SLFLを、右側車輪Tの代表的なスリップ率SLRとして右前輪TFRのスリップ率SLFRを用いることとする。
増圧レート選定部26cは、スリップ判定部26aが所定のスリップ条件を満たしたと判定した場合で、且つ、エンジンブレーキ状態判定部25Cから、エンジンブレーキが掛かっていない状態との判定入力があるときは、スリップ率SLFL、SLFRのうち小さい側の前輪Tのブレーキ液圧に対して、緩増圧レート設定部27aの出力する緩増圧レートを選定して制御し、制動力を緩増加させ、ヨーコントロール制御を行う。
さらに、増圧レート選定部26cは、ブレーキ操作緩急判定部25Bが判定した結果に応じて、高μ側の前輪Tに対する増圧レートとしてスパイク入力用増圧レート設定部27c、または緩慢入力用増圧レート設定部27dのいずれかの増圧レートを選定して、ヨーコントロール制御部26Bが高μ側の前輪Tに対するブレーキ制御を行うようにする。
この結果、ブレーキ操作をされたとき、高μ側の車輪は運転者のブレーキ操作に応じたスパイク入力モードまたは緩慢入力モードの増圧レートで制動され、運転者のブレーキ操作に応じた良好な減速フィーリングを感じさせることができるとともに、車両CRのヨー方向運動が抑制され挙動の安定性を確保して、安定した操縦性能を実現することができる。
増圧レート選定部26cは、さらに、前記スリップ条件が満たされて、スリップ率SLFL、SLFRのうち小さい側の前輪Tのブレーキ液圧を緩増圧レートのヨーコントロール制御を行っている際に、エンジンブレーキ状態判定部25Cからエンジンブレーキが掛かっている状態との判定入力があるときは、それまでスリップ率SLFL、SLFRのうち小さい側の前輪T、つまり、高μ側(低スリップ側)の駆動輪のブレーキ液圧を、運転者のブレーキ操作に対して、急増圧レート設定部27bの出力する急増圧レートを選定し、制御し制動力を急増加させることを可能とする。
(ヨーコントロール制御のフローチャート)
以上のように構成された車両用ブレーキ制御装置100の制御動作について図8、図9を参照して説明する。
図8に示すように、ステップS201〜S205は、第1の実施の形態における図4に示すフローチャートのステップS101〜S105と同じであり、説明を省略する。ただし、ヨーコントロール制御部26Aはヨーコントロール制御部26Bに、増圧レート選定部26bは増圧レート選定部26cに読み替える。
以上のように構成された車両用ブレーキ制御装置100の制御動作について図8、図9を参照して説明する。
図8に示すように、ステップS201〜S205は、第1の実施の形態における図4に示すフローチャートのステップS101〜S105と同じであり、説明を省略する。ただし、ヨーコントロール制御部26Aはヨーコントロール制御部26Bに、増圧レート選定部26bは増圧レート選定部26cに読み替える。
ステップS206では、増圧レート選定部26cは、エンジンブレーキ状態判定部25Cからのエンジンブレーキが掛かっている状態か否かの判定をチェックする。このエンジンブレーキ状態判定部25Cでの判定は、(1)アクセルポジション信号により、運転者がアクセルペダルから足をはずしている状態であること、(2)シフトポジション信号により、変速機が「ロー(Low)」または「セカンド(2nd)」の位置にあること、(3)エンジン回転速度信号により、所定のエンジン回転速度以上であること、の3つの条件が全て成立しているかどうかで判定する。
エンジンブレーキが掛かっている状態と判定された場合(Yes)は、ステップS207へ進み、増圧レート選定部26cが、高μ側駆動輪Tの車輪ブレーキBを急増圧レートに設定する。すなわち、増圧レート選定部26cが、急増圧レート設定部27bからのパルス信号を選定し、高μ側の駆動輪Tの車輪ブレーキBに対応する液圧ユニット10の入口弁2に出力させ、急増圧レートで制御する。
ステップS207の後、ステップS208へ進む。
ステップS207の後、ステップS208へ進む。
ステップS206において、エンジンブレーキが掛かっている状態ではないと判定された場合(No)は、図9に示すステップS211へ進み、増圧レート選定部26cは、ブレーキ操作緩急判定部25Bからのブレーキ操作のスパイク入力/緩慢入力があったか否かをチェックする。この判定は、ブレーキ操作緩急判定部25Bにおいて、左右の従動輪(後輪)の内のスリップ率の大きい側の車輪速度Vwから算出された減速度が第1の所定値以上の場合は、運転者のブレーキ操作がスパイク入力であると判定し、第1の所定値未満で第2の所定値以上の場合は、運転者のブレーキ操作が通常の減速時に用いる緩慢入力であると判定し、第2の所定値未満の場合はブレーキ操作がなかったものと判定する。
左右の従動輪(後輪)Tの内のスリップ率の大きい側の車輪速度Vwから算出された減速度がスパイク入力、緩慢入力のいずれでもない場合(無し)は、ステップS214へ進む。スパイク入力があったと判定された場合(スパイク入力)は、ステップS212へ進み、増圧レート選定部26cが、高μ側駆動輪Tの車輪ブレーキBをスパイク入力用増圧レートに設定する。緩慢入力があったと判定された場合(緩慢入力)は、ステップS213へ進み、増圧レート選定部26cが、高μ側駆動輪Tの車輪ブレーキBを緩慢入力用増圧レートに設定する。ステップS212、S213の後、ステップS208へ進む。
ステップS208では、演算処理部21Bが、運転者のブレーキ操作に従いアンチロック制御とヨーコントロール制御を伴う制動制御を行う。ステップS207からステップS208へ到った場合は、高μ側駆動輪Tの車輪ブレーキBを急増圧レートで制動する。ステップS212からステップS208へ到った場合は、高μ側駆動輪Tの車輪ブレーキBをスパイク入力用の増圧レートで制動する。ステップS213からステップS208へ到った場合は、高μ側駆動輪Tの車輪ブレーキBを緩慢入力用の増圧レートで制動する。
その後、ステップS209へ進み、ヨーコントロール制御部26Bは、ヨーコントロール条件が終了か否かを判定する。ヨーコントロール制御部26Bは、ステップS204においてヨーコントロール・フラグを立てると、同時に起動したタイマが所定の上限制御時間を経過しているか否かチェックし、所定の上限制御時間を経過しているときヨーコントロール条件終了と判定する。また、車両CRの車両速度Viが所定値以下の減速度(または、加速度)を示したとき、ヨーコントロール条件終了と判定する。そうでない場合はヨーコントロール条件終了とは判定しない。ヨーコントロール条件が終了でない場合(No)は、ヨーコントロール制御部26Bは、運転者のブレーキ操作に従い、アンチロック制御およびヨーコントロール制御を伴う制動制御を継続する。
ヨーコントロール条件終了の場合(Yes)は、ステップS210へ進み、ヨーコントロール制御部26Bは、ヨーコントロール・フラグをリセットする。ステップS210で、一連のヨーコントロール制御を終了する。
なお、このときタイマもリセットされる。ヨーコントロール制御が終了後は、運転者のブレーキ操作が続いている場合は、通常のアンチロック制御を伴う制動制御を続ける。
なお、このときタイマもリセットされる。ヨーコントロール制御が終了後は、運転者のブレーキ操作が続いている場合は、通常のアンチロック制御を伴う制動制御を続ける。
ステップS211からステップS214へ進んだ場合は、ヨーコントロール条件が終了か否かをチェックする。終了でない場合は、ステップS205へ戻り、ヨーコントロール制御を続ける。終了している場合は、ヨーコントロール制御部26Bは、ステップS215へ進み、ヨーコントロール・フラグをリセットする。なお、このときタイマもリセットされる。
以上のように本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100によれば、エンジンブレーキにより低μ側の車輪Tと高μ側の車輪Tとの間でスリップ差が発生し、ヨーコントロール制御が実行されて、高μ側の車輪Tの車輪ブレーキBに対して制動力の増加勾配が小さい緩増圧レートに設定されている場合においても、エンジンブレーキが掛かっている状態であると判定されると、運転者がさらに一段の減速のためにブレーキ操作をする可能性が高いとして、高μ側の車輪Tの車輪ブレーキBに対しては緩増圧レートから制動の増加勾配が大きい急増圧レートに設定が変更される。その結果、ブレーキ操作があると制動の立ち上がりが早くなり、運転者に良好な減速フィーリングを感じさせることができるとともに、車両CRのヨー方向運動が抑制され挙動の安定性を確保して、安定した操縦性能を実現することができる。
本実施の形態において、エンジンブレーキが掛かっている状態の判定には前記アクセルポジション信号、シフトポジション信号、エンジン回転速度信号を用いるものとしたが、それに限定されない。
動力装置としてエンジンとモータを組み合わせたハイブリッドエンジン車両において、または、動力装置としてモータを用いる電気自動車において、図7に破線枠のモータ制御装置96で示すようにアクセルポジションセンサ93、シフトポジションセンサ94A、エンジン制御装置95からの信号の変わりに、モータ制御装置96からのモータの回生発電制御信号をエンジンブレーキ状態判定部25Cに入力し、モータが回生発電状態に制御されて車両CRが回生ブレーキ状態を検出してエンジンブレーキ状態と判定しても良い。
動力装置としてエンジンとモータを組み合わせたハイブリッドエンジン車両において、または、動力装置としてモータを用いる電気自動車において、図7に破線枠のモータ制御装置96で示すようにアクセルポジションセンサ93、シフトポジションセンサ94A、エンジン制御装置95からの信号の変わりに、モータ制御装置96からのモータの回生発電制御信号をエンジンブレーキ状態判定部25Cに入力し、モータが回生発電状態に制御されて車両CRが回生ブレーキ状態を検出してエンジンブレーキ状態と判定しても良い。
《第3の実施の形態》
次に、図10、図11を適宜参照しながら本発明に係る第3の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置について説明する。
図10は本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のブロック図であり、図11は、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における制御動作を説明するフローチャートである。
次に、図10、図11を適宜参照しながら本発明に係る第3の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置について説明する。
図10は本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のブロック図であり、図11は、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置のμスプリット路面における制御動作を説明するフローチャートである。
本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した車両用ブレーキ装置200は、図10に示すように第1の実施の形態における車両用ブレーキ制御装置の構成に加えて、さらに操舵角センサ97、横Gセンサ98、ヨーレートセンサ99の3つのセンサを備えている。
操舵角センサ97は、ステアリングSTの操舵角を検出し、横Gセンサ98は車両CRの左右方向の加速度を検知し、ヨーレートセンサ99はヨー方向の旋回率を検出し、検出した量をECU20Cに入力する。
本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
操舵角センサ97は、ステアリングSTの操舵角を検出し、横Gセンサ98は車両CRの左右方向の加速度を検知し、ヨーレートセンサ99はヨー方向の旋回率を検出し、検出した量をECU20Cに入力する。
本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態における車両用ブレーキ制御装置100は、第1の実施の形態におけるECU20Aの代わりにECU20Cにより構成されており、車両CRの挙動を検知するための各種のセンサとから構成されている。
先ず、図10を参照して、本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置100におけるECU20Cの構成について説明する。
ECU20Cは、演算処理部21Cと、記憶部29とを有する。演算処理部21Cは、前記CPUで構成されており、記憶部29に記憶された制御プログラム29aを読み出して実行することで、各種の制御機能を実現している。
ECU20Cは、演算処理部21Cと、記憶部29とを有する。演算処理部21Cは、前記CPUで構成されており、記憶部29に記憶された制御プログラム29aを読み出して実行することで、各種の制御機能を実現している。
また、ECU20Cは、図示しない入出力ポートを有し、車輪速センサ(車輪速度取得手段)91、ブレーキペダルスイッチ92、操舵角センサ(操舵状態検出手段)97、横Gセンサ(ヨー方向運動状態取得手段)98、ヨーレートセンサ(ヨー方向運動状態取得手段)99から、それぞれ車輪速度信号、ブレーキ操作の有無の信号、操舵角信号、横方向加速度信号、ヨー方向旋回率信号等が入力されるとともに、液圧ユニット10の入口弁2、出口弁3およびモータ9に対し動作を指令する信号を出力する。
操舵角、横方向加速度、ヨー方向旋回率は、本発明の車両CRのヨー方向運動に相関するパラメータである。
操舵角、横方向加速度、ヨー方向旋回率は、本発明の車両CRのヨー方向運動に相関するパラメータである。
演算処理部21Cは、機能部として、車両速度算出部22、スリップ率算出部(スリップ量取得手段)23、アンチロック制御部24、ブレーキ操作判定部(ブレーキ操作判定手段)25A、ヨーコントロール制御部(ヨーコントロール制御手段)26C、増圧モード設定部27A、ヨー方向運動状態判定部(ヨー方向運動状態判定手段)25Dを有する。
ヨー方向運動状態判定部25Dは、操舵角センサ97からの操舵角信号、横Gセンサ98からの横方向加速度信号、ヨーレートセンサ99からの旋回率信号、車両速度算出部22からの車両速度Viに基づいて、車両の旋回率が運転者の意図した操舵状態と一致するかどうかを判定する。ヨー方向運動状態判定部25Dは、ヨー方向旋回率が所定値以上の場合に、前記旋回率が、操舵角センサ97からの操舵角信号、横Gセンサ98からの横方向加速度、車両速度Vi等から判定して操舵状態と不一致かどうかを判定する。
つまり、直進走行を意図した操舵角の場合に所定値以上の旋回率になっていないか、または、操舵角、横方向加速度、車両速度Viを考慮した旋回率よりも所定値以上大きい旋回率になっていないか、または、操舵角、横方向加速度、車両速度Viを考慮した旋回率よりも所定値以上小さすぎる旋回率になっていないかを判定する。判定した結果をヨーコントロール制御部26Cに入力する。
増圧モード設定部27Aは、第1の実施の形態におけるものと同一の構成である。
(ヨーコントロール制御部の説明)
以下に、ヨーコントロール制御部26Cの機能を詳細に説明する。
ヨーコントロール制御部26Cは、増圧レート選定部(増圧レート設定手段)26dを有している。
増圧レート選定部26dは、ヨー方向運動状態判定部25Dにおいて運転者のステアリング操作に対応したヨー方向の運動状態と判定された場合に、通常のアンチロック制御とする。
運転者のステアリング操作に対応したヨー方向の運動状態ではないと判定された場合に、左右の駆動輪(前輪)Tの内の一方側の車輪ブレーキB(車輪ブレーキBFL/車輪ブレーキBFR)に対して、ヨー方向運動を抑制するように、旋回方向と反対側の前輪T(右旋回の場合は左前輪TFL、左旋回の場合は右前輪TFR)の車輪ブレーキBに対して緩増圧レート設定部27aからの出力する緩増圧レートを選定して、制動力を緩増加させる。
この結果、ブレーキ操作をされたとき、運転者のステアリング操作と一致しない方向のヨー方向運動が抑制できる。
なお、旋回時は荷重が旋回方向と反対側の車輪(旋回外輪)に大きく掛かるので、低スリップ側は旋回方向と反対側の車輪(旋回外輪)となる。また、旋回外輪がヨーコントロール制御を受けている場合は、旋回方向側の車輪(旋回内輪)に対してはアンチロック制御が作動している。
以下に、ヨーコントロール制御部26Cの機能を詳細に説明する。
ヨーコントロール制御部26Cは、増圧レート選定部(増圧レート設定手段)26dを有している。
増圧レート選定部26dは、ヨー方向運動状態判定部25Dにおいて運転者のステアリング操作に対応したヨー方向の運動状態と判定された場合に、通常のアンチロック制御とする。
運転者のステアリング操作に対応したヨー方向の運動状態ではないと判定された場合に、左右の駆動輪(前輪)Tの内の一方側の車輪ブレーキB(車輪ブレーキBFL/車輪ブレーキBFR)に対して、ヨー方向運動を抑制するように、旋回方向と反対側の前輪T(右旋回の場合は左前輪TFL、左旋回の場合は右前輪TFR)の車輪ブレーキBに対して緩増圧レート設定部27aからの出力する緩増圧レートを選定して、制動力を緩増加させる。
この結果、ブレーキ操作をされたとき、運転者のステアリング操作と一致しない方向のヨー方向運動が抑制できる。
なお、旋回時は荷重が旋回方向と反対側の車輪(旋回外輪)に大きく掛かるので、低スリップ側は旋回方向と反対側の車輪(旋回外輪)となる。また、旋回外輪がヨーコントロール制御を受けている場合は、旋回方向側の車輪(旋回内輪)に対してはアンチロック制御が作動している。
増圧レート選定部26dは、さらに、前記運転者のステアリング操作に対応したヨー方向の運動状態ではないと判定されて、ヨー方向旋回方向と反対側の前輪Tのブレーキ液圧を緩増圧レートのヨーコントロール制御を行っている際に、ブレーキ操作判定部25Aから、運転者のブレーキ操作有の信号を受けた場合に、それまで旋回方向と反対側の前輪Tのブレーキ液圧を、急増圧レート設定部27bの出力する急増圧レートを選定して制御し、制動力を急増加させる。
この結果、ブレーキ操作をされたとき、旋回方向と反対側の前輪Tの車輪ブレーキBは急増圧レートで制動され、運転者に良好なブレーキフィーリングを感じさせることができるとともに、運転者の意図した操舵状態と一致しないヨー方向旋回を抑制できる。
以上のように構成された車両用ブレーキ制御装置の動作について図11を参照して説明する。
図11に示すように、車両CRが走行している際には、車両速度算出部22は、随時、車両速度Viを算出し、スリップ率算出部23は、スリップ率SLを算出し、アンチロック制御(ABS)作動条件成立か否かをチェックしている(S301)。ABS作動条件成立とは、車両速度Viが所定値以上のとき、ブレーキ操作に関係なくスリップ率SLが基準スリップ率SL0を超えた場合に成立する。ABS作動条件成立(Yes)の場合は、ステップS302へ進み、ABS作動条件不成立(No)の場合は、ステップS301を繰り返す。ステップS302では、アンチロック制御部24が、ABS作動条件が成立した車輪Tの車輪ブレーキBに対して通常のアンチロック制御を行う。
図11に示すように、車両CRが走行している際には、車両速度算出部22は、随時、車両速度Viを算出し、スリップ率算出部23は、スリップ率SLを算出し、アンチロック制御(ABS)作動条件成立か否かをチェックしている(S301)。ABS作動条件成立とは、車両速度Viが所定値以上のとき、ブレーキ操作に関係なくスリップ率SLが基準スリップ率SL0を超えた場合に成立する。ABS作動条件成立(Yes)の場合は、ステップS302へ進み、ABS作動条件不成立(No)の場合は、ステップS301を繰り返す。ステップS302では、アンチロック制御部24が、ABS作動条件が成立した車輪Tの車輪ブレーキBに対して通常のアンチロック制御を行う。
ステップS303では、ヨー方向運動状態判定部25Dは、ヨーレートセンサ99からの旋回率が所定値以上どうかをチェックして旋回状態か否かを判定する。所定値以上の旋回率の場合(Yes)は、ステップS304へ進み、ヨー方向運動状態判定部25Dは、前記旋回率が、操舵角センサ97からの操舵角信号、横Gセンサ98からの横方向加速度、車両速度Vi等から判定して操舵状態と不一致かどうかを判定する。つまり、直進走行を意図した操舵角の場合に所定値以上の旋回率になっていないか、また、操舵角、横方向加速度、車両速度Viを考慮した旋回率よりも所定値以上大きい旋回率になっていないか、または操舵角、横方向加速度、車両速度Viを考慮した旋回率よりも所定値以上小さすぎる旋回率になっていないかを判定する。
ステップS304において操舵状態と不一致の場合(Yes)はステップS305へ進み、ヨー方向運動状態判定部25Dがヨーコントロール・フラグを立て、ステップS306へ進む。なお、ヨーコントロール制御部26Cは、ヨーコントロール・フラグを立てると、タイマを起動し、ヨーコントロール制御を開始以後の、一連のヨーコントロール制御の時間を計測する。
ステップS304において操舵状態と一致の場合(No)は、ステップS301へ戻る。
ステップS304において操舵状態と一致の場合(No)は、ステップS301へ戻る。
ステップS306では、ヨーコントロール制御部26Cが、ヨーコントロール制御を行う。すなわち、増圧レート選定部26dが、緩増圧レート設定部27aからのパルス信号を選定し、旋回方向側の駆動輪Tの車輪ブレーキBに対応する液圧ユニット10の入口弁2に出力させ、緩増圧レートで制御する。すなわち、増圧レート選定部26dが、緩増圧レート設定部27aからのパルス信号を選定し、ヨーコントロール制御部26Cが、操舵状態に矛盾するヨー方向運動を抑制するように、左右の前輪Tの一方の車輪ブレーキBを緩増圧レートで制動制御する。
ステップS307では、増圧レート選定部26dは、ブレーキ操作判定部25Aからのブレーキ操作有無の信号をチェックする。ブレーキ操作有の信号を受けている場合(Yes)は、ステップS309に進み、ブレーキ操作有の信号を受けていない場合(No)は、ステップS308へ進む。
ステップS308では、増圧レート選定部26dは、ブレーキ操作判定部25Aからの減速度大の信号に基づき従動輪Tのそれぞれの車輪減速度値をチェックし、従動輪の低μ側車輪Tが所定以上の減速度か否かを判定する。低μ側従動輪Tが所定以上の減速度の場合(Yes)は、ステップS309へ進み、所定未満の減速度の場合(No)は、ステップS313へ進む。
ステップS308は、第1の実施の形態における図4のフローチャートのステップS107と同様に、ブレーキペダルスイッチ92の故障に対するフェィルセーフ設計として設けたものである。
ステップS308は、第1の実施の形態における図4のフローチャートのステップS107と同様に、ブレーキペダルスイッチ92の故障に対するフェィルセーフ設計として設けたものである。
ステップS313では、ヨーコントロール制御部26Cは、ヨーコントロール条件終了か否かを判定する。ヨーコントロール制御部26Cは、ステップS305においてヨーコントロール・フラグを立てると、同時に起動したタイマが所定の上限制御時間を経過しているか否かチェックし、所定の上限制御時間を経過しているときヨーコントロール条件終了と判定する。また、車両CRの車両速度Viが所定値以下の減速度(または、加速度)を示したとき、ヨーコントロール条件終了と判定する。そうでない場合はヨーコントロール条件終了とは判定しない。ヨーコントロール条件終了の場合(Yes)は、ステップS314へ進み、ヨーコントロール制御部26Cは、ヨーコントロール・フラグをリセットする。なお、このときタイマもリセットされる。ステップS314の後ステップS301へ戻る。ステップS313で、ヨーコントロール条件終了でない場合(No)は、ステップS306へ戻り、ヨーコントロール制御を続ける。
ステップS309では、増圧レート選定部26dは、ステップS306において緩増圧レートを設定した左右の前輪Tの内の一方の側の車輪ブレーキBを、急増圧レートに設定する。その結果、ステップS310では、演算処理部21Cが運転者のブレーキ操作に従い、旋回方向と反対側の駆動輪Tの車輪ブレーキBを急増圧レートで増圧制御し、アンチロック制御とヨーコントロール制御を伴う制動制御を行う。
ステップS311では、ヨーコントロール制御部26Cは、前記ステップS313と同様にヨーコントロール条件終了か否かを判定する。ヨーコントロール条件終了の場合(Yes)は、ステップS312へ進み、ヨーコントロール制御部26Cは、ヨーコントロール・フラグをリセットする。ステップS312で一連の制御を終える。
なお、このときタイマもリセットされる。
ヨーコントロール制御が終了後は、運転者のブレーキ操作が続いている場合は、通常のアンチロック制御を伴う制動制御を続ける。
なお、このときタイマもリセットされる。
ヨーコントロール制御が終了後は、運転者のブレーキ操作が続いている場合は、通常のアンチロック制御を伴う制動制御を続ける。
なお、μスプリット路面において、先ず運転者がブレーキ操作を行い、その結果アンチロック制御が開始され、運転者の意図した操舵状態と不一致のヨー方向運動が生じた場合は、旋回方向と反対側の駆動輪Tの車輪ブレーキBは、緩増圧レートで制御され、ヨー方向運動が抑制される。
本実施の形態における増圧レート選定部26d、緩増圧レート設定部27a、急増圧レート設定部27bは、本発明の増圧レート設定手段を、構成する。
本実施の形態における増圧レート選定部26d、緩増圧レート設定部27a、急増圧レート設定部27bは、本発明の増圧レート設定手段を、構成する。
本実施の形態の車両用ブレーキ制御装置によれば、ブレーキ操作以外のエンジンブレーキ等により低μ側の車輪と高μ側の車輪との間でスリップ差が発生し、ヨー方向運動が生じた際に、ヨーコントロール制御が開始され、旋回方向と反対側の車輪Tの車輪ブレーキBに対して増加勾配が小さい緩増圧レートに設定されてしまう場合においても、運転者がブレーキ操作をすると、旋回方向と反対側の車輪Tの車輪ブレーキBに対しては緩増圧レートから増加勾配が大きい急増圧レートに設定が変更される。その結果、制動の立ち上がりが早くなり、運転者に良好な減速フィーリングを感じさせることができるとともに、車両CRのヨー方向運動が抑制され挙動の安定性を確保して、安定した操縦性能を実現することができる。
(変形例)
以上説明した第1実施の形態から第3の実施の形態において急増圧レート設定部27bにおいて設定するパルス信号の出力頻度は一定のものに限定されない。
以上説明した第1実施の形態から第3の実施の形態において急増圧レート設定部27bにおいて設定するパルス信号の出力頻度は一定のものに限定されない。
例えば、変速機を制御する変速機ECU(変速情報取得手段)94Bから変速比情報を取得して、変速比が大きいほど(変速機が低いギアポジションにあるほど)急増圧レート設定部27bにおいて設定するパルス信号の出力頻度をより高頻度にするように、つまり、増圧勾配のより大きい増圧レートを設定するようにしても良い。
なお、ここでは変速比とは、(変速機の入力軸の回転速度)/(変速機の出力軸の回転速度)の定義である。
運転者が変速比の大きい状態にしているほど、エンジンブレーキはより強く掛けられており、その状態からさらに追加のブレーキ操作がされる可能性が高くなることから、その場合のブレーキフィーリングをより減速度の高いものにすることにより、運転者が期待する減速が得られやすくなる。
なお、ここでは変速比とは、(変速機の入力軸の回転速度)/(変速機の出力軸の回転速度)の定義である。
運転者が変速比の大きい状態にしているほど、エンジンブレーキはより強く掛けられており、その状態からさらに追加のブレーキ操作がされる可能性が高くなることから、その場合のブレーキフィーリングをより減速度の高いものにすることにより、運転者が期待する減速が得られやすくなる。
また、第1の実施の形態から第3の実施の形態において、アンチロック制御、ヨーコントロール制御において本発明のスリップ量としてスリップ率を用いたが、車両速度Viと車輪速度Vwとの差を用いても良いし、スリップ量を意味する他の物理量を用いることもできる。具体的には、所定のスリップ条件の判定に左右の車輪Tのスリップ率の差を用いたが、その替わりに左右輪の速度差をスリップ量として用いることもできる。
また、第1の実施の形態から第3の実施の形態において、前輪駆動の車両を前提に説明してきたが、それに限定されない。4輪駆動車両で、減速時に前輪のみに駆動力を与えることができる制御が可能な4輪駆動車にも適用できる。このような車両において、μスプリット路においてエンジンブレーキを掛けた場合、前輪駆動の車両と同じアンチロック制御、ヨーコントロール制御の挙動が再現され、前記の第1から第3の実施の形態の車両用ブレーキ制御装置を適用して、同様の効果を得ることができる。
2 入口弁
3 出口弁
6 ポンプ
9 モータ
10 液圧ユニット
20A、20B、20C 制御装置
21A、21B、21C 演算処理部
22 車両速度算出部
23 スリップ率算出部(スリップ量取得手段)
24 アンチロック制御部
25A ブレーキ操作判定部(ブレーキ操作判定手段)
25a 車輪減速度判定部(車輪減速度判定手段)
25C エンジンブレーキ状態判定部(エンジンブレーキ状態判定手段)
25D ヨー方向運動状態判定部(ヨー方向運動状態判定手段)
26A、26B、26C ヨーコントロール制御部(ヨーコントロール制御手段)
26a スリップ判定部
26b、26c、26d 増圧レート選定部(増圧レート設定手段)
27A、27B 増圧モード設定部
27a 緩増圧レート設定部(増圧レート設定手段)
27b 急増圧レート設定部(増圧レート設定手段)
91 車輪速センサ(車輪速度取得手段)
92 ブレーキペダルスイッチ
93 アクセルポジションセンサ
94A シフトポジションセンサ
94B 変速機ECU
95 エンジン制御装置
96 モータ制御装置
97 操舵角センサ(ヨー方向運動状態取得手段)
98 横Gセンサ(ヨー方向運動状態取得手段)
99 ヨーレートセンサ(ヨー方向運動状態取得手段)
100 車両用ブレーキ制御装置
200 車両用ブレーキ装置
B 車輪ブレーキ
T 車輪
3 出口弁
6 ポンプ
9 モータ
10 液圧ユニット
20A、20B、20C 制御装置
21A、21B、21C 演算処理部
22 車両速度算出部
23 スリップ率算出部(スリップ量取得手段)
24 アンチロック制御部
25A ブレーキ操作判定部(ブレーキ操作判定手段)
25a 車輪減速度判定部(車輪減速度判定手段)
25C エンジンブレーキ状態判定部(エンジンブレーキ状態判定手段)
25D ヨー方向運動状態判定部(ヨー方向運動状態判定手段)
26A、26B、26C ヨーコントロール制御部(ヨーコントロール制御手段)
26a スリップ判定部
26b、26c、26d 増圧レート選定部(増圧レート設定手段)
27A、27B 増圧モード設定部
27a 緩増圧レート設定部(増圧レート設定手段)
27b 急増圧レート設定部(増圧レート設定手段)
91 車輪速センサ(車輪速度取得手段)
92 ブレーキペダルスイッチ
93 アクセルポジションセンサ
94A シフトポジションセンサ
94B 変速機ECU
95 エンジン制御装置
96 モータ制御装置
97 操舵角センサ(ヨー方向運動状態取得手段)
98 横Gセンサ(ヨー方向運動状態取得手段)
99 ヨーレートセンサ(ヨー方向運動状態取得手段)
100 車両用ブレーキ制御装置
200 車両用ブレーキ装置
B 車輪ブレーキ
T 車輪
Claims (9)
- 左右の車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、取得した車輪速度に基づいて前記左右の車輪のスリップ量を取得するスリップ量取得手段と、取得したスリップ量が所定のスリップ条件を満たす場合に、該スリップ条件を満たさない場合よりも増加勾配が小さい緩増圧レートで、前記左右の車輪のうち低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御し、前記左右の車輪のスリップ差によって車両にヨー方向運動が発生するのを抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、を備える車両用ブレーキ制御装置であって、
さらに、運転者がブレーキ操作をしたことを判定するブレーキ操作判定手段と、
前記緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備え、
前記ヨーコントロール制御手段は、前記ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定された時点で、前記ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、前記ブレーキ操作判定手段によってブレーキ操作がなされたと判定された以降、前記増圧レート設定手段によって設定された前記急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。 - 前記ブレーキ操作判定手段は、左右の従動輪の少なくとも一方の車輪減速度を算出する車輪減速度判定手段を有し、
前記ヨーコントロール制御手段は、該車輪減速度判定手段において前記車輪減速度が所定値以上であると判定された場合は、前記ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定されなくても、前記増圧レート設定手段によって設定された前記急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ制御装置。 - 左右の車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段と、取得した車輪速度に基づいて前記左右の車輪のスリップ量を取得するスリップ量取得手段と、取得したスリップ量が所定のスリップ条件を満たす場合に、該スリップ条件を満たさない場合よりも増加勾配が小さい緩増圧レートで、前記左右の車輪のうち低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御し、前記左右の車輪のスリップ差によって車両にヨー方向運動が発生するのを抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、を備える車両用ブレーキ制御装置であって、
さらに、前記車両の動力装置が、エンジンブレーキ状態、または回生発電状態であることを判定するエンジンブレーキ状態判定手段と、
前記緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備え、
前記ヨーコントロール制御手段は、前記エンジンブレーキ状態判定手段において前記エンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された時点で、前記ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、前記増圧レート設定手段によって前記緩増圧レートから前記急増圧レートに切り替え、前記エンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された以降、運転者がブレーキ操作をしたときには、前記急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。 - 前記スリップ条件を満たすとは、左右いずれかの車輪のスリップ量が基準スリップ量を超えた状態が所定の時間を超えて継続する場合、または左右の車輪のスリップ差が基準スリップ差を超える場合であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。
- 車両のヨー方向運動に相関するパラメータ値を取得するヨー方向運動状態取得手段と、
車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、
前記取得されたパラメータ値が車両の操舵状態と一致しているかどうかを判定するヨー方向運動状態判定手段と、
前記ヨー方向運動状態判定手段によって前記車両の操舵状態と一致しないと判定された場合に、一致すると判定された場合に比べて、前記左右の車輪のうちのいずれか一方のブレーキの制動力の増圧レートを、増加勾配が小さい緩増圧レートで制御することによって前記ヨー方向運動を抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、を備える車両用ブレーキ制御装置であって、
さらに、運転者がブレーキ操作をしたことを判定するブレーキ操作判定手段と、
前記緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備え、
前記ヨーコントロール制御手段は、前記ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定された時点で、前記ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、前記ブレーキ操作判定手段によってブレーキ操作がなされたと判定された以降、前記増圧レート設定手段によって設定された増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。 - 左右の車輪の車輪速度を取得する車輪速度取得手段を備え、
前記ブレーキ操作判定手段は、左右の従動輪の少なくとも一方の車輪減速度を前記車輪速度に基づいて算出する車輪減速度判定手段を有し、
前記ヨーコントロール制御手段は、該車輪減速度判定手段において前記車輪減速度が所定値以上であると判定された場合は、前記ブレーキ操作判定手段においてブレーキ操作がなされたと判定されなくても、前記増圧レート設定手段によって設定された前記急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする請求項5に記載の車両用ブレーキ制御装置。 - 車両のヨー方向運動に相関するパラメータ値を取得するヨー方向運動状態取得手段と、
車両の操舵状態を検出する操舵状態検出手段と、
前記取得されたパラメータ値が車両の操舵状態と一致しているかどうかを判定するヨー方向運動状態判定手段と、
前記ヨー方向運動状態判定手段によって前記車両の操舵状態と一致しないと判定された場合に、一致すると判定された場合に比べて、前記左右の車輪のうちのいずれか一方のブレーキの制動力の増圧レートを、増加勾配が小さい緩増圧レートで制御することによって前記ヨー方向運動を抑制するヨーコントロール制御を実行するヨーコントロール制御手段と、を備える車両用ブレーキ制御装置であって、
さらに、前記車両の動力装置が、エンジンブレーキ状態、または回生発電状態であることを判定するエンジンブレーキ状態判定手段と、
前記緩増圧レートより増加勾配が大きい急増圧レートを設定する増圧レート設定手段と、を備え、
前記ヨーコントロール制御手段は、前記エンジンブレーキ状態判定手段において前記エンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された時点で、前記ヨーコントロール制御をすでに実行している場合に、前記増圧レート設定手段によって前記緩増圧レートから前記急増圧レートに切り替え、前記エンジンブレーキ状態、または回生発電状態と判定された以降、運転者がブレーキ操作をしたときには、前記急増圧レートに従って低スリップ側の車輪に設けられたブレーキの制動力を制御することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。 - 前記車両は、少なくとも操舵輪に駆動力が伝達される形式の車両であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。
- 前記車両の変速機の変速比情報を取得する変速情報取得手段をさらに備え、
前記増圧レート設定手段は、前記変速比が大きいほど増圧レートをより増加勾配の大きい前記急増圧レートに設定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2018144661A (ja) * | 2017-03-06 | 2018-09-20 | トヨタ自動車株式会社 | 偏向制御装置 |
WO2019107522A1 (ja) * | 2017-11-29 | 2019-06-06 | 株式会社アドヴィックス | 車両の制動制御装置 |
JP2020138661A (ja) * | 2019-02-28 | 2020-09-03 | 株式会社アドヴィックス | 車両の制動制御装置 |
CN116215475A (zh) * | 2023-05-09 | 2023-06-06 | 清华大学 | 新能源智能网联客车制动单元突发故障的容错控制方法 |
-
2007
- 2007-03-05 JP JP2007053990A patent/JP2008213670A/ja active Pending
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CN116215475A (zh) * | 2023-05-09 | 2023-06-06 | 清华大学 | 新能源智能网联客车制动单元突发故障的容错控制方法 |
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