JPH07329754A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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Publication number
JPH07329754A
JPH07329754A JP12251794A JP12251794A JPH07329754A JP H07329754 A JPH07329754 A JP H07329754A JP 12251794 A JP12251794 A JP 12251794A JP 12251794 A JP12251794 A JP 12251794A JP H07329754 A JPH07329754 A JP H07329754A
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JP
Japan
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pressure
wheel
wheel cylinder
time
master cylinder
Prior art date
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Application number
JP12251794A
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English (en)
Inventor
Takashi Watanabe
多佳志 渡辺
Junji Mizutani
淳司 水谷
Nobuhiko Makino
信彦 牧野
Toshiro Nagata
敏郎 永田
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、車両の急ブレーキ時および緩ブレ
ーキ時によらず、車両の制動性を確保し、特に、緩ブレ
ーキ時において車両の制動性および乗員のコントロール
性を向上させたアンチスキッド制御装置を提供すること
を目的とする。 【構成】 マスタシリンダが発生する油圧と、前記ホイ
ールシリンダによる車輪方向への伝達油圧との差圧を推
定する。この推定結果によって、前記差圧が小さいと推
定された場合には、車輪のロック傾向時における減圧さ
れた伝達油圧を前記マスタシリンダ油圧に、前記差圧が
大きい場合と同様の時間にて回復させるために、前記伝
達油圧の増圧方法を変更する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の走行時において
車輪に制動力が加えられた場合に、車両のロック傾向を
回避し、車両の制動性を向上させるアンチスキッド制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アンチスキッド制御装置は、車輪速度と
車体速度とを比較することによって車輪のロック傾向を
検出し、車輪のロック傾向を検知した際には乗員のブレ
ーキ操作に関わらずに、車輪に制動力を伝達するホイー
ルシリンダを減圧制御して、ロック傾向を回避するもの
である。
【0003】ところで、急ブレーキ時には、乗員のブレ
ーキペダル操作に応じてマスタシリンダが発生するブレ
ーキ圧力が、ホイールシリンダを通じて車輪に過剰に加
わることによって、車輪がロックしたりロックに近い状
況に陥ることがある。このような車輪のロックもしくは
ロック傾向を回避は、乗員のブレーキペダル操作がマス
タシリンダを増圧作動していても、そのブレーキ圧力の
車輪側への伝達をホイールシリンダまでの間に配設され
ているアクチュエータを所定時間減圧制御することによ
って行う。この際、マスタシリンダによって発生される
マスタシリンダ圧とアクチュエータによって制御された
ホイールシリンダ圧とに差圧が発生する。この差圧は、
急ブレーキ時には大きい値になる。減圧によって車輪速
度が回復しロック傾向が解除された後、アクチュエータ
において減圧制御されているホイールシリンダ圧は、車
輪に制動力を加えるべく所定時間増圧制御され、マスタ
シリンダ圧に近づいていく。前記ホイールシリンダ圧の
増圧は、アクチュエータによるマスタシリンダ側とのブ
レーキ油液の連通時間によって制御されている。この
際、急ブレーキ時には、前記差圧が大きいため、所定時
間におけるホイールシリンダ圧の増圧量は、後述する緩
ブレーキ時の増圧量よりも多くなる。なお、乗員のブレ
ーキペダルの操作によるブレーキ力調整は、ホイールシ
リンダ圧がマスタシリンダ圧と同様になった場合に反映
される。
【0004】車両の緩ブレーキ時においても車輪がロッ
ク傾向に陥る場合がある。すなわち、乗員がブレーキペ
ダルの調整を行っている際に、多少踏力が強くなり、車
輪のスリップが大きくなった場合に、アンチスキッド制
御が開始されることがある。この場合においても、急ブ
レーキ時と同様、アクチュエータを減圧制御することに
よって、車輪側に伝達されるホイールシリンダ圧を減圧
する。その後、車輪速度の回復によって車輪のロック傾
向が解除された際には、上述のようにホイールシリンダ
圧を増圧制御し、車輪に制動力が加えられるようにす
る。また、この時には、ホイールシリンダ圧の増圧によ
ってマスタシリンダ圧に近づくこととなる。なお、ホイ
ールシリンダの減圧制御によって発生するマスタシリン
ダ圧とホイールシリンダ圧との差圧は、緩ブレーキ時に
は小さい値となる。
【0005】
【課題】上述のように、緩ブレーキ時におけるマスタシ
リンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧が小さい場合に
は、車輪のロック傾向が解除された際に、ホイールシリ
ンダ制御によるブレーキ油液の増圧量は急ブレーキ時と
比較して少量になる。これは、ホイールシリンダ制御
の、緩ブレーキ時における連通時間も急ブレーキ時にお
ける連通時間も同様の所定時間だからである。乗員がパ
ニック状態に陥っていると予想される急ブレーキ時と異
なり、乗員がブレーキの調整をしていた緩ブレーキ時に
おいてはアンチスキッド制御が作動したとしても、ホイ
ールシリンダ圧を早く上昇させて、車輪に制動力を加え
るようにしたい。しかし、前述のようにブレーキ油液の
連通時間は急ブレーキ時においても緩ブレーキ時におい
ても同様であるため、緩ブレーキ時における増圧量は、
急ブレーキ時と比較して小さい値である。このため、緩
ブレーキ時は急ブレーキ時と比較して車両の減速度が小
さくなる。
【0006】また、緩ブレーキ時においては、車輪のロ
ック傾向が解除された後、なるべく早く乗員の意志をブ
レーキ操作に反映したい。このためには、緩ブレーキ時
にてホイールシリンダ圧を早く上昇させ、ホイールシリ
ンダ圧とマスタシリンダ圧との差圧が早く埋まるように
する必要がある。しかし、前述のようにブレーキ油液の
連通時間は急ブレーキ時においても緩ブレーキ時におい
ても同様であるため、緩ブレーキ時においてホイールシ
リンダ圧の増圧が遅れる。このため、乗員によるブレー
キ操作が車両の制動に反映されるまでに遅れが生じる。
【0007】そこで、本発明は、車両の急ブレーキ時お
よび緩ブレーキ時によらず、車両の制動性を確保し、特
に、緩ブレーキ時において車両の制動性および乗員のコ
ントロール性を向上させたアンチスキッド制御装置を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明によるアンチスキッド制御装置は、車輪に制
動力を加える際に乗員の操作によって油圧を発生するマ
スタシリンダと、前記マスタシリンダからの油圧を基
に、各車輪に制動力を伝達するホイールシリンダと、車
両の制動時に、前記各車輪のロック傾向を回避するため
に各車輪に伝達される油圧を減圧または減圧後の油圧を
マスタシリンダ側とホイールシリンダ側とを連通するこ
とによって増圧する増減圧手段とを有するアンチスキッ
ド制御装置において、前記増減圧手段によって減圧され
たホイールシリンダに伝達されるホイールシリンダ圧
と、その時の前記マスタシリンダが発生するマスタシリ
ンダ圧との差圧を推定する推定手段と、前記推定手段に
よって、前記差圧が小さいと推定された場合には、前記
増減圧手段によって減圧されているホイールシリンダ圧
を増圧する際の単位時間当たりの増圧時間を、前記差圧
が大きいと判断された場合と比較して大きくする補正手
段とを有することを特徴とする。
【0009】また、車輪に制動力を加える際に乗員の操
作によって油圧を発生するマスタシリンダと、前記マス
タシリンダからの油圧を基に、各車輪に制動力を伝達す
るホイールシリンダと、車両の制動時に、前記各車輪の
ロック傾向を回避するために各車輪に伝達される油圧を
減圧または減圧後の油圧をマスタシリンダ側とホイール
シリンダ側とを連通することによって増圧する増減圧手
段とを有するアンチスキッド制御装置において、前記増
減圧手段によって減圧されたホイールシリンダに伝達さ
れるホイールシリンダ圧と、その時の前記マスタシリン
ダが発生するマスタシリンダ圧との差圧を推定する推定
手段と、前記推定手段によって、前記差圧が小さいと推
定された場合には、前記増減圧手段によって減圧されて
いるホイールシリンダ圧を増圧する際の増圧時間を、前
記差圧が大きいと判断された場合と比較して延長する補
正手段とを有することを特徴とするアンチスキッド制御
装置を採用するようにしてもよい。
【0010】また、車輪に制動力を加える際に乗員の操
作によって油圧を発生するマスタシリンダと、前記マス
タシリンダからの油圧を基に、各車輪に制動力を伝達す
るホイールシリンダと、車両の制動時に、前記各車輪の
ロック傾向を回避するために各車輪に伝達される油圧を
減圧または減圧後の油圧をマスタシリンダ側とホイール
シリンダ側とを連通することによって増圧する増減圧手
段とを有するアンチスキッド制御装置において、前記増
減圧手段によって減圧されたホイールシリンダに伝達さ
れるホイールシリンダ圧と、その時の前記マスタシリン
ダが発生するマスタシリンダ圧との差圧を推定する推定
手段と、前記推定手段によって、前記差圧が小さいと推
定された場合には、前記増減圧手段によって減圧されて
いるホイールシリンダ圧をパルス増圧する際の保持時間
を、前記差圧が大きいと判断された場合と比較して短縮
する短縮手段とを有することを特徴とするアンチスキッ
ド制御装置を採用するようにしてもよい。
【0011】また、車輪に制動力を加える際に乗員の操
作によって油圧を発生するマスタシリンダと、前記マス
タシリンダからの油圧を基に、各車輪に制動力を伝達す
るホイールシリンダと、車両の制動時に、前記各車輪の
ロック傾向を回避するために各車輪に伝達される油圧を
減圧または減圧後の油圧をマスタシリンダ側とホイール
シリンダ側とを連通することによって増圧する増減圧手
段とを有するアンチスキッド制御装置において、前記増
減圧手段によって減圧されたホイールシリンダに伝達さ
れるホイールシリンダ圧と、その時の前記マスタシリン
ダが発生するマスタシリンダ圧との差圧を推定する推定
手段と、前記推定手段によって、前記差圧が小さいと推
定された場合には、前記増減圧手段によって減圧されて
いるホイールシリンダ圧をパルス増圧する際のパターン
をにおけるパルス増圧回数を、前記差圧が大きいと判断
された場合と比較して低減し、早く連続増圧を実行する
制御変更手段とを有することを特徴とするアンチスキッ
ド制御装置を採用するようにしてもよい。
【0012】また、前記推定手段は、ホイールシリンダ
圧の減圧量を推定する減圧量推定手段と、ホイールシリ
ンダ圧の減圧後増圧開始から増圧が終了するまでの増圧
時間をカウントするカウント手段とを有し、前記減圧量
推定手段によって推定される減圧量に対して前記カウン
ト手段によってカウントされる増圧時間が所定の増圧時
間よりも大きい場合には、前記差圧を小と、前記減圧量
推定手段によって推定される減圧量に対して前記カウン
ト手段によってカウントされる増圧時間が所定の増圧時
間よりも小さい場合には、前記差圧を大と、推定するこ
とを特徴とする請求項1もしくは請求項2もしくは請求
項3もしくは請求項4に記載のアンチスキッド制御装置
を採用するようにしてもよい。
【0013】また、前記減圧量推定手段は、車輪下の路
面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段を有し、前
記路面摩擦係数推定手段によって推定される路面摩擦係
数から、前記増減圧手段によってホイールシリンダ圧の
減圧を開始するタイミングにおいて、ホイールシリンダ
圧を推定し、前記減圧開始タイミングにおけるホイール
シリンダ圧から、前記増減圧手段によるホイールシリン
ダ圧の減圧時の減圧勾配を推定し、前記減圧勾配と、前
記増減圧手段による減圧時間とに基づいて減圧量を推定
することを特徴とする請求項1もしくは請求項2もしく
は請求項3もしくは請求項4もしくは請求項5に記載の
アンチスキッド制御装置を採用するようにしてもよい。
【0014】また、前記補正手段は、ホイールシリンダ
圧のパルス増圧を実行する際の1パルスの増圧に対する
増圧時間を延長することを特徴とする請求項1もしくは
請求項2に記載のアンチスキッド制御装置を採用するよ
うにしてもよい。また、前記アンチスキッド制御の初回
の制御サイクルにおける前記差圧は、あらかじめ差圧、
中に設定されていることを特徴とする請求項1もしくは
請求項2もしくは請求項3もしくは請求項4もしくは請
求項5もしくは請求項6もしくは請求項7に記載のアン
チスキッド制御装置を採用するようにしてもよい。
【0015】また、前記アンチスキッド制御の初回の制
御サイクルにおける前記差圧は、車両の急ブレーキ時に
は差圧、大、緩ブレーキ時には差圧、小と設定されるこ
とを特徴とする請求項1もしくは請求項2もしくは請求
項3もしくは請求項4もしくは請求項5もしくは請求項
6もしくは請求項7もしくは請求項8に記載のアンチス
キッド制御装置を採用するようにしてもよい。
【0016】また、前記車両の前後方向に発生する加速
度を検知する加速度検出手段を有し、前記アンチスキッ
ド制御の初回の制御サイクルにおいて前記加速度が所定
値よりも小さい場合には、前記差圧値を小と設定するこ
とを特徴とする請求項1もしくは請求項2もしくは請求
項3もしくは請求項4もしくは請求項5もしくは請求項
6もしくは請求項7もしくは請求項8もしくは請求項9
に記載のアンチスキッド制御装置を採用するようにして
もよい。
【0017】また、前記記路面摩擦係数推定手段によっ
て推定される路面摩擦係数が所定値幅内から外れること
によって、前記車両の走行路面に所定の変化があったこ
とを検知した場合には、前記推定手段によらず、前回の
アンチスキッド制御において設定された差圧値を採用す
ることを特徴とする請求項1もしくは請求項2もしくは
請求項3もしくは請求項4もしくは請求項5もしくは請
求項6もしくは請求項7もしくは請求項8もしくは請求
項9もしくは請求項10に記載のアンチスキッド制御装
置を採用するようにしてもよい。
【0018】
【作用】上述のように構成される、本発明によるアンチ
スキッド制御装置における作動を以下に説明する。上述
の如く、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差
圧を推定し、その差圧値が小さい場合にはホイールシリ
ンダ圧の増圧時間を延長する。または、保持時間を短縮
するようにしてもよい。前記差圧値が小さい場合には、
前記差圧値が大きい場合と比較してホイールシリンダ圧
の増圧勾配が小さくなるが、前記増圧時間を延長する、
あるいは保持時間を短縮することによって、ホイールシ
リンダ圧をマスタシリンダ圧まで上昇させる時間を短縮
することが可能である。すなわち、ホイールシリンダ圧
を早く上昇することが可能であり、前記差圧値が小の場
合、つまり車両の緩ブレーキ時においても車両の制動力
を向上することが可能である。
【0019】また、増圧時間を延長することによって、
マスタシリンダ側とホイールシリンダ側とが連通される
時間が延長される。なお上述のように保持時間の短縮、
もしくはパルス増圧のパターンにおいてパルス数を低減
し、連続増圧を早く実行するようにしてもよい。このよ
うにすることによって、乗員によるマスタシリンダ圧の
調整が、ホイールシリンダに伝達される時間が長くな
り、乗員による車輪の制動力のコントロール範囲が拡が
る。また、ホイールシリンダ圧を早く上昇させるという
ことは、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧とを早
く同一圧力にでき、乗員のマスタシリンダ圧のコントロ
ールをダイレクトにホイールシリンダに伝達できる範囲
を拡大することが可能である。
【0020】
【実施例】以下に、本発明によるアンチスキッド制御装
置の一実施例を図に基づいて説明する。図1は、本発明
によるアンチスキッド制御装置の全体構成を表す構成図
である。右前輪1、左前輪2、右後輪3および左後輪4
の各々に電磁式、磁気抵抗式等の回転速度センサ5、
6、7、8が配置され、各車輪1〜4の回転に応じた周
波数のパルス信号を出力する。さらに、各車輪1から4
には各々油圧ブレーキ装置(ホイールシリンダ)11、
12、13、14が配置され、各車輪1〜4に制動力を
発生させる。ブレーキペダル25の踏み込みによって生
じるマスターシリンダ16からの油圧は、アクチュエー
タ21、22、23、24および各油圧管路を介して、
各ホイールシリンダ11〜14に送られる。ブレーキペ
ダル25の踏み込み状態は、ストップスウィッチ26に
よって検出される。このストップスウィッチ26から、
制動時にはオン信号が出力され、非制動時にはオフ信号
が出力される。
【0021】リザーバ28a、28bは、アンチスキッ
ド制御中、各ホイールシリンダ11〜14から排出され
た油液を一時的に蓄えるものである。リザーバ28a、
28bに蓄えられた油液は、電動モータ(図示せず)に
よって駆動される油圧ポンプ27a、27bによって吸
引され、圧力が高められた後、吐出される。アクチュエ
ータ21〜24は、電子制御回路40によって制御さ
れ、アンチスキッド制御中にホイールシリンダ11〜1
4の油圧を調整し、各車輪1〜4ごとに制動力を調整す
る。各アクチュエータ21〜24は、増圧モード、減圧
モード、保持モードを持つ電磁式三位置弁で、アクチュ
エータ21に図示したA位置でブレーキ油圧を増圧し、
B位置でブレーキ油圧を保持し、C位置でブレーキ油圧
をリザーバ28a、28bに逃がし、減圧を行う。ま
た、この三位置弁は非通電時に増圧モードとなり、通電
時にその電流レベルにより保持または減圧モードとな
る。
【0022】電子制御装置40は、イグニッションスイ
ッチ41がオンされることにより電力が供給され、速度
センサ5〜8およびストップスウィッチ26からの信号
を受けて、ブレーキ力制御のための演算を実行する。こ
の演算結果にともなって、アクチュエータ21〜24に
対する駆動制御信号を出力する。また、車体の前後水平
軸線について加速度を検出する加速度センサ51が設け
られており、その検出信号は電子制御装置40に入力さ
れる。なお、電子制御回路40は、CPU、ROM、I
/Oインターフェース等からなるマイクロコンピュータ
から構成されている。
【0023】図2および図3において、本発明によるア
ンチスキッド制御装置の制御概要について説明する。図
2には、従来の構成を有するアンチスキッド制御装置
が、乗員のブレーキペダル25の踏み込み過多によって
作動した場合において、急ブレーキ時と緩ブレーキ時と
の相違を表す。すなわち、急ブレーキ時と緩ブレーキ時
とにおいて、ブレーキペダル25の踏み込みに対応する
マスタシリンダ16のマスタシリンダ圧M/Cと、前記
各車輪1〜4に対応するアクチュエータ21〜24のソ
レノイド駆動制御によるホイールシリンダ圧W/Cとの
差圧の関係を示す。図2の(a) は、緩ブレーキ時におけ
るマスタシリンダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W/C
との関係を表している。図2の(b) は、急ブレーキ時に
おけるマスタシリンダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W
/Cとの関係を表している。
【0024】図2の(a) 、(b) のそれぞれ、時間tが0
の時点で乗員がブレーキペダル25を踏み始めたとす
る。その後、図2の(a) の緩ブレーキ時には、t=0か
らのブレーキペダル25の踏み込みによってa1時点で
車輪のスリップ率が大きくなり、アンチスキッド制御が
開始されたとする。また、図2の(b) の急ブレーキ時に
おいては、時間t=0の時にパニック的に急ブレーキを
踏んで、b1時点において車輪のロック傾向が過大にな
りアンチスキッド制御が開始されたとする。
【0025】アンチスキッド制御が作動すると、アンチ
スキッド制御によって、車輪速度を回復し、ロック傾向
を解除するために、アクチュエータの減圧制御が成され
る。その場合、図2の(a) のような緩ブレーキ時の場合
には、もともとのマスタシリンダ16が発生するマスタ
シリンダ圧M/Cが小さいため、ホイールシリンダ圧W
/Cとマスタシリンダ圧M/Cとの差圧は小さい値にな
る。また、図2の(b)のような急ブレーキ時の場合に
は、乗員がブレーキペダル25を強く踏み込んでおり、
もともとマスタシリンダ圧M/Cは高まっているため、
ホイールシリンダ圧W/Cとマスタシリンダ圧M/Cと
の差圧は大きい値となる。
【0026】アンチスキッド制御が作動して、ロック傾
向にある車輪に対応するホイールシリンダ圧W/Cを減
圧側へ制御し、車輪速度を回復しロック傾向が解除され
た後、新たに車輪に制動力を加えるべく、ホイールシリ
ンダ圧W/Cの増圧制御を所定時間t1の増圧時間にお
いて増圧制御と保持制御とを繰り返すパルス増圧制御を
実行する。このパルス増圧は、著しく急激な増圧を実行
することによって、すぐに再度ロック傾向が発生するこ
とを防いでいる。急ブレーキ時における増圧制御の連通
時間も、緩ブレーキ時における増圧制御の連通時間も、
同じ所定時間t1である。また、緩ブレーキ時における
油圧の増圧量W11は、急ブレーキ時における油圧の増
圧量W12と比較して小さい値になる。なぜなら、急ブ
レーキ時と比較して緩ブレーキ時におけるホイールシリ
ンダ圧W/Cの増圧勾配が小さいためである。よって、
差圧が大きい場合には、所定時間t1において、増圧制
御によるホイールシリンダ圧W/Cの増圧量は大きい
が、緩ブレーキ時には、微量づつしか増圧されない。よ
って、緩ブレーキ時の所定時間t1における微量なホイ
ールシリンダ圧W/Cの増圧では、増圧量が不足してい
た。
【0027】そこで、緩ブレーキ時のように差圧値が小
さい場合には、ホイールシリンダ圧W/Cの増圧時間の
所定値t1を延長する制御を実行する。これによって、
低増圧勾配でも、ホイールシリンダ圧W/Cを長い増圧
時間中に大きく増圧することが可能である。ホイールシ
リンダ圧W/Cの増圧を確保することによって、緩ブレ
ーキ時における車輪の制動力を向上することが可能であ
る。
【0028】また、緩ブレーキ時においては、乗員に余
裕がある場合が多いと予想されるため乗員のブレーキペ
ダルによる制動力のコントロール範囲を拡大したいとい
う要求もある。この乗員による制動力のコントロール
は、各アクチュエータ21〜24が連通した状態以外は
マスタシリンダ圧M/Cがホイールシリンダ圧W/Cに
伝達されないため、実行不可能である。なお、マスタシ
リンダ圧M/Cがホイールシリンダ圧W/Cにダイレク
トに伝達されるのは、ホイールシリンダ圧W/Cがマス
タシリンダ圧M/Cと同様になった時であるため、なる
べく早くホイールシリンダ圧W/Cをマスタシリンダ圧
M/Cに近づけることが必要である。このため、マスタ
シリンダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W/Cとの連通
時間を多く採れるように、パルス増圧時の増圧時間を急
ブレーキ時の増圧時間t1と比較して長い、増圧時間t
2に延長する必要がある。ここで、緩ブレーキ時の増圧
時間をt2に延長すると、図3に示すように増圧時間t
2におけるブレーキ圧力の増圧量W2を、図2の(a) に
おける増圧量W11と比較して大きくすることが可能で
ある。これによって、前述の如く、緩ブレーキ時におけ
る増圧が早く実行でき、いち早く制動力を確保すること
が可能である。さらに、ホイールシリンダ圧W/Cとマ
スタシリンダ圧M/Cと連通時間が延長され、また、早
くホイールシリンダ圧W/Cをマスタシリンダ圧M/C
に近づくことによって、乗員のブレーキペダルの操作の
車両への反映を早めることが可能である。
【0029】本発明によるアンチスキッド制御装置の制
御構成を、図4のブロック図に基づいて説明する。ま
ず、各ホイールシリンダ11〜14のそれぞれに対する
ホイールシリンダ圧W/Cを増圧するアクチュエータ2
1〜24の増圧時間をブロック101において所定のカ
ウンタにて検知する。また、前記アクチュエータ21〜
24の減圧時間をブロック102において検知する。ま
た、ブロック103において、現在の車両の走行路面の
路面状態を検知する基準として路面摩擦係数を推定す
る。この路面摩擦係数の推定には、加速度センサを採用
し、車両の制動時に発生する減速加速度に基づいて実行
するようにしてもよい。これらホイールシリンダ圧W/
Cの減圧時間と路面摩擦係数とを用いて、ブロック10
4においてホイールシリンダ圧W/Cの減圧量を推定す
る。すなわち、路面摩擦係数から、ホイールシリンダ圧
W/Cの減圧開始時におけるホイールシリンダ圧を後述
する図12のマップに基づいて推定する。なぜなら、所
定の路面摩擦係数を有する路面において車輪に制動力を
かけた場合、ほぼ一定のホイールシリンダ圧にて車輪が
ロック傾向を生じ始めアンチスキッド制御による減圧が
開始されるために、路面摩擦係数からホイールシリンダ
圧を推定することができるためである。その次に、この
減圧開始時におけるホイールシリンダ圧から、後述する
図13のマップにおいて、減圧開始時のホイールシリン
ダ圧W/Cの減圧勾配を推定する。そして、前記減圧勾
配と減圧時間から減圧量を推定する。また、ブロック1
05においては、ホイールシリンダ圧W/Cの増圧時間
と減圧量を用いて、マスタシリンダ圧M/Cとホイール
シリンダ圧W/Cとの差圧を演算する。この演算結果に
基づいてブロック106において、アクチュエータ21
〜24におけるホイールシリンダ圧W/Cのパルス増圧
の方法を判断する。
【0030】次に、図5には、図4のブロック図におい
て概要を説明したアンチスキッド制御装置の処理内容の
メインルーチンを表すフローチャートを示す。なお、こ
の処理は、イグニッションスイッチ41がオンされたと
き、ステップ100より所定時間ごとに(例えば5ms
ごとに)実行される。処理を開始すると、まずステップ
110において各種フラグや各種カウンタの初期設定を
行う。続くステップ120では、車輪速度センサ5、
6、7、8から車輪速度信号を入力し、各車輪1〜4の
車輪速度を演算する。次に、ステップ130では、ステ
ップ120で演算した車輪速度から各車輪1〜4の車輪
加速度を演算する。
【0031】ステップ140では、ステップ120にて
演算された車輪速度に基づいて、車両の車体速度を演算
する。この際、基本的には、各車輪1〜4の車輪速度の
中で最も高い速度のものを車体速度とするが、例えば図
示しない前後方向の加速度を検出する加速度センサ等の
検出値に応じて、車体速度の変化に制限を設ける等の処
理により、車体速度の演算精度を向上させることができ
る。
【0032】ステップ150では、ステップ120にて
演算された車輪速度およびステップ140にて演算され
た車体速度等に基づいて、各車輪1〜4のスリップ率を
演算する。なお、この演算方法は公知であるため、詳細
は省略する。ステップ160では、右前輪のソレノイド
駆動パターンを決定する。この制御パターンの決定は、
後述する図7のステップ400からのフローチャートに
おいて詳述する。ステップ170では、右前輪に対する
マスタシリンダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W/Cと
の差圧を推定する。さらに、ステップ180では、推定
された差圧に従って、右前輪に対する増圧パルスの出力
パターンにおける増圧時間を変更する。なお、この差圧
の推定および出力パターンにおける増圧時間の変更は、
図8において後に詳述する。
【0033】ステップ190では、左前輪のソレノイド
駆動制御パターンを決定する。この制御パターンの決定
は、後述する図7のステップ400からのフローチャー
トにおいて詳述する。ステップ200では、右前輪に対
するマスタシリンダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W/
Cとの差圧を推定する。さらに、ステップ210では、
推定された差圧に従って、右前輪に対する増圧パルスの
出力パターンを変更する。なお、この差圧の推定および
出力パターンにおける増圧時間の変更は、図8において
後に詳述する。
【0034】ステップ220では、左前輪のソレノイド
駆動制御パターンを決定する。この制御パターンの決定
は、後述する図7のステップ400からのフローチャー
トにおいて詳述する。ステップ230では、左右後輪
3、4に対するマスタシリンダ圧M/Cとホイールシリ
ンダ圧W/Cとの差圧をそれぞれ推定する。さらに、ス
テップ240では、推定された差圧に従って、左右後輪
に対する増圧パルスのパターンを変更する。なお、この
差圧の推定および出力パターンにおける増圧時間の変更
は、図8において後に詳述する。
【0035】図6のステップ300〜330には、図5
において説明したアンチスキッド制御装置のメインルー
チンに対して、各車輪1〜4に対応するそれぞれのアク
チュエータをソレノイド駆動させるべくアクチュエータ
に向けて出力信号を出力するフローチャートを示す。次
に、上記図5のフローチャートのステップ160、19
0および220において決定される各前輪1、2、およ
び各後輪3、4のソレノイド駆動制御パターンの決定方
法を図7に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0036】ステップ400からスタートし、続くステ
ップ410では、現在アンチスキッド制御中であるか否
かを表すフラグFABSが、アンチスキッド制御中であ
ることを示す1に設定されているかどうかを判定する。
ここで、FABSが1に設定されていない場合、すなわ
ち、アンチスキッド制御が開始される前の状態である場
合には、ステップ420に進む。
【0037】ステップ420では、車両の制動状態を判
断するために、あらかじめ定められたスリップ率の所定
値(ここでは一例として20%を採用する)と現在のス
リップ率を比較する。この際、各輪1〜4の制御パター
ンを判定する場合は、現在のスリップ率として、ステッ
プ150において演算されたスリップ率を採用する。こ
こで、現在のスリップ率が所定値よりも大きくない場合
はステップ430に進む。
【0038】ステップ430では、車輪のスリップ率が
所定値以下であり、車輪と路面との摩擦結合状態が悪く
はないとされ、アンチスキッド制御を開始する必要がな
いと判断される。そこで、フラグFABSをアンチスキ
ッド制御中ではないことを示す0に設定し、ステップ4
40に進む。このステップ440では、FABS=0を
受けて、車輪のソレノイド駆動制御パターンを、後に図
8において詳述するP=4に設定する。
【0039】ステップ420において、現在のスリップ
率が所定値よりも大きい場合には、アンチスキッド制御
を開始すべきである可能性があるとして、ステップ45
0に進む。ステップ450では、現在の車輪の加速度が
あらかじめ定められた車輪加速度の所定値(ここでは、
一例として−1.2Gを採用する。ただし、Gは重力加
速度を示す。)よりも大きい値か否かを判定する。この
際、各輪1〜4の制御パターンを判定する場合は、現在
の車輪加速度をしてステップ130において演算された
車輪加速度を採用する。ここで、車両の減速方向の加速
度が所定値よりも大きいと判断された場合には、ステッ
プ460に進む。また、車両の減速方向の加速度が所定
値よりも大きくないと判断された場合は、車輪のスリッ
プ状態はある程度以上であるか、車輪の加速度がそれほ
ど大きくないため、車輪と路面との摩擦結合状態が悪く
はないとされ、ステップ430に進む。
【0040】ステップ460では、車輪の刷り付率が所
定のスリップ率よりも大きく、且つ車輪の減速方向の加
速度が所定値よりも大きいことにより、車輪がある程度
以上のスリップ状態にあるとされる。そして、これによ
って車輪と路面との摩擦結合状態が悪い状態であり、こ
れを改善するべくアンチスキッド制御が必要であると判
断する。そこで、フラグFABSを1に設定し、ステッ
プ470に進む。このステップ470では、車輪のソレ
ノイド駆動制御パターンを、図8にて詳述するP=0に
設定する。
【0041】ステップ410にて、フラグFABSが1
であり、既にアンチスキッド制御が開始され、制御中で
ある場合、ステップ480に進む。ステップ480で
は、各車輪の現在のスリップ率と車輪加速度とにより、
各車輪のソレノイド駆動制御パターンを決定する。ここ
で、現在のスリップ率は、ステップ420と同様のもの
が使用され、また、現在の車輪加速度は、ステップ45
0と同様のものが使用される。また、現在の車輪加速度
は、ステップ450と同様のものが使用される。このよ
うなスリップ率および車輪加速度を用いて、ステップ4
80内に示すマップに基づいて各車輪1〜4の制御パタ
ーンを決定する。ただし、マップはこれに限定されるも
のではなく、車両の使用目的によってこれと異なったマ
ップを採用するようにしてもよい。
【0042】ステップ490では、上記のマップにおい
て決定された車輪のソレノイド駆動制御パターンが、図
8にて後述するパターンP=3であるかどうかを判定す
る。ここで、P=3ではない場合には、各車輪をステッ
プ480において判定されたソレノイド駆動制御パター
ンに基づいて、左後輪に対してアクチュエータ24をソ
レノイド駆動させるべく駆動信号を出力する。
【0043】また、ステップ490では、上記マップに
おいて決定された車輪のソレノイド駆動制御パターンが
P=3であると判断された場合、ステップ500に進
む。このステップ500では、後述するパターンP=3
の出力パターン数が終了したかどうか判定する。ここ
で、終了してないと判断された場合には、ステップ40
0からのフローを繰り返し行い、出力パターン数を終了
したと判断された場合にはステップ510に進む。ステ
ップ510では、パターンP=3の出力パターン数を完
了したことによって、車輪と路面との摩擦結合状態が良
好に回復し、アンチスキッド制御が終了していると判断
され、フラグFABSを0に設定する。続くステップ5
20では、FABS=0を受けて、車輪の制御パターン
を、図8にて詳述するP=4に設定する。
【0044】次に、ステップ480等で決定するソレノ
イド駆動制御出力パターンPについて、図8に示すパタ
ーン表に基づいて説明する。このパターンPは、アクチ
ュエータ21〜24を駆動する駆動信号を表してい
る。、まずソレノイド駆動駆動制御パターンP=0は、
ステップ470、およびステップ480のマップ状で減
速方向の車輪加速度およびスリップ率ともに大きい場合
に設定される。つまり、過剰なブレーキ圧力によって車
輪と路面との結合状態が悪化しているときに連続的にブ
レーキ圧力を減圧する信号を出力することによって、結
合状態を回復させるための制御パターンである。
【0045】次に、ソレノイド駆動制御パターンP=1
は、ステップ480の、マップ上で、スリップ率と車輪
の減速方向の加速度との関係において、連続してブレー
キ圧力を減圧するほどの必要はないが、結合状態は良好
ではないという場合に設定される。つまり、ブレーキ圧
力保持信号と減圧信号とを繰り返し出力し、徐々に結合
状態を回復させるための制御パターンである。
【0046】ソレノイド駆動制御パターンP=2は、ス
テップ480のマップ上において、スリップ率は大きい
値となっているが車輪速度が復帰する過程であり車輪加
速度はプラス方向に大きい場合、また、減速方向の車輪
加速度は大きいがスリップ率は小さい場合、および、こ
の2つの場合の中間当たりのスリップ率および車輪加速
度の関係を有している場合に設定される。このような時
に設定されるパターンP=2は、ブレーキ圧力を保持す
る保持信号を出力する。
【0047】ソレノイド駆動制御パターンP=3は、ス
テップ480のマップ状において、スリップ率も車輪加
速度も所定値以下であり、しかしアンチスキッド制御中
であるという場合に設定される。この制御パターンP=
3は、ブレーキ圧力保持信号と増圧信号を繰り返し出力
する。この繰り返しのパルス数は、あらかじめ定めてお
く。ここでは、一例として10パルスを採用するが、こ
のソレノイド駆動制御パターンを繰り返して、ブレーキ
圧力制御を行った場合に、ホイールシリンダ11、1
2、13、14における油圧とマスターシリンダ16か
らの油圧とを、同じ圧力になるように、パルス数を設定
する。また、ホイールシリンダ圧W/Cの減圧状態か
ら、増圧を実行する際には、最適スリップ率における最
高路面摩擦係数をなるべく早く確保し、最適な制動力を
得ることができるホイールシリンダ圧W/Cまでなるべ
く早く増圧したい。これを実現するために、パルス増圧
の1パルス目の増圧時間Tn1を、2回目以後の増圧時
間Tn2と比較して、例えば2倍の所定時間等に設定し
ている。なお、この設定は、急ブレーキ時のブレーキ圧
力の増圧量が大きい場合に合わせて設定するようにす
る。
【0048】ソレノイド駆動制御パターンP=4は、ス
テップ440およびステップ520のアンチスキッド制
御が行われていない場合において設定される。この制御
パターンP=4は、ブレーキ圧力を連続的に増圧する信
号を出力し、ブレーキ力の増大を計るものである。次
に、上記図5のフローチャート中のステップ170、1
80、200、210、230、240において実行さ
れる、ホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧M/Cと
の差圧の推定、その差圧の推定結果に応じたブレーキ圧
のパルス増圧のパターン変更を、図9に示すフローチャ
ートにしたがって説明する。
【0049】ステップ600からスタートし、続くステ
ップ610では、前回のフローにおいて出力パターン
が、図9におけるP(N-1) ≠0or1かどうかを判断す
る。すなわち、前回のソレノイド駆動制御の出力パター
ンが連続減圧もしくはパルス減圧でないか否かを判断す
る。ここで、前回の出力パターンが0or1でないとす
ると、ステップ620に進み、今回図7に示すフローチ
ャート中にて決定された出力パターンが0または1であ
るかどうかを判断する。
【0050】ステップ620において出力パターンが0
または1である場合にはステップ630に進み、前回の
フロー処理から今回のフロー処理にかけて、車両の走行
している路面の摩擦係数に変化があるか否かを判定す
る。この判定には、車両の前後方向にかかる加速度を検
出する加速度センサ51からの信号に基づいて演算した
前後加速度の変化を所定値と比較することによって判断
するようにしてもよい。ここで、路面摩擦係数に変化が
ある、すなわち走行路面状態が代わったと判断された場
合には、ステップ640に進み、前回このフローにおい
て判定されたホイールシリンダ圧W/Cとマスタシリン
ダ圧M/Cとの差圧値を再びセットする。これは、路面
摩擦係数に変化がある場合には、車輪に加えることが可
能なホイールシリンダ圧W/Cが変化するために、正確
に差圧値が推定できないためである。その後、ステップ
680に進む。
【0051】ステップ630において、前回のフロー処
理から今回のフロー処理にかけて、車両の走行している
路面の摩擦係数に変化がないと判断された場合には、ス
テップ650に進み、現在のフローが、アンチスキッド
制御のフローが開始された1回目の処理であるかどうか
を判断する。ここで、制御の1サイクル目であると判定
された場合には、ステップ660に進み、暫定的に差圧
値を中に固定する。また、今回が1回目の処理ではない
場合には、ステップ670に進み、差圧値判定のマップ
から差圧を推定する。このマップの一例を図10に示
す。後述する図11のフローにおけるカウンタによって
計測された前回の増圧時間と、同図11のフローにおい
て演算されるブレーキ圧力の減圧量との関係から差圧値
を推定する。ここで図10のマップにて減圧量が小さい
場合にブレーキ圧力の増圧が長い時間必要とするのは、
緩ブレーキ時における差圧値が小さく増圧勾配が小さく
ブレーキ油圧の増圧量が少ない場合であるから、減圧量
が小さく且つ増圧時間が長い側では差圧値は小と推定さ
れる。また反対に、前回、減圧量が大きい場合において
もブレーキ圧力の増圧時間が短くて済む場合は、急ブレ
ーキ時における差圧値が大きいため増圧勾配が大きくブ
レーキ油圧の増圧量が多い場合である。よって、前回減
圧量が大きく増圧時間が短い側では、差圧値は大と推定
される。
【0052】以上のように差圧値が推定設定された後
に、ステップ680において、増圧時間および減圧量を
測定記憶するカウンタに現在記憶されている値をリセッ
トする。なお、ステップ610において前記の出力パタ
ーンがP=0or1でない場合、もしくはステップ62
0において今回の出力パターンがP=0or1でない場
合は、ステップ630から680の処理を行わずに、ス
テップ690に進む。すなわち、ホイールシリンダ圧W
/Cとマスタシリンダ圧M/Cとの差圧を推定は、各ア
クチュエータ21〜24のソレノイド駆動によるホイー
ルシリンダ圧W/Cのパルス減圧もしくは連続減圧の開
始タイミングにおいて実行される。
【0053】ステップ690では、現在ソレノイド駆動
制御の出力パターンがP=3すなわちパルス増圧に設定
されているか否かを判定する。ここで、P=3以外に設
定されている場合には、このフローを終了する。また、
P=3に設定されている場合にはステップ700に進
み、差圧値が大と推定されているか否かを判定する。こ
こで差圧値が大であるならばステップ740に進み、パ
ルス増圧の各パルスに対応する所定時間Tn1およびT
n2を、所定時間Tn1およびTn2を、そのままブレ
ーキ油圧をパルス増圧する際の、各パルスにおける増圧
時間に採用する。これは、所定時間Tn1およびTn2
が、差圧値が大である、増圧勾配が大きく単位時間当た
りのブレーキ圧力の増圧量は多い場合を想定してあらか
じめ設定されているためである。
【0054】ステップ700において、差圧値が大では
ないと判定された場合には、ステップ710に進み、差
圧値が中と推定されているか否かを判定する。ここで差
圧値が中ではないと判定された場合には、ステップ72
0に進む。ステップ720では、差圧値は小と推定され
ているとして、パルス増圧の各パルスに対応する所定時
間Tn1およびTn2を、所定時間Tn1およびTn2
に所定の数値KT3を掛けた所定時間Tup13 およびT
up23 に設定する。差圧値が小の場合、増圧勾配が小さ
く単位時間当たりのブレーキ圧力の増圧量が少ないた
め、この所定値KT3を比較的大きい値、例えば4倍に
設定しておく。これによって、1パルスにおけるブレー
キ圧力の増圧量が差圧値大の場合と同じほど多くなるた
め、車輪に対する制動力を向上することが可能である。
また、緩ブレーキ時においても、ホイールシリンダ圧W
/Cをマスタシリンダ圧M/Cに早く近づけるように増
圧することができる。
【0055】また、ステップ710において、差圧値が
中であると判断された場合には、ステップ730に進
み、パルス増圧の各パルスに対応する所定時間Tn1お
よびTn2を、所定時間Tn1およびTn2に所定の数
値KT2を掛けた所定時間Tup12 およびTup22 に設
定する。この所定値KT2は、KT3より小さい値、す
なわちKT2=2倍に設定しておく。これによって、1
パルスにおけるブレーキ圧力の増圧量を、差圧値大の場
合とほぼ同様にすることが可能である。
【0056】次に、図11のステップ800からのフロ
ーチャートは、ず6の各車輪のソレノイド駆動出力、ス
テップ300〜330に相当し、各車輪にたいしてソレ
ノイド駆動を実行するとともに、前記図9のステップ6
70にて差圧値をマップにて推定する際のパラメータと
なるブレーキ圧の増圧時間と減圧量の演算を行うもので
ある。またここでは、パルス増圧時の増圧時間をも含め
て、各車輪1〜4に対するアクチュエータ21〜24の
ソレノイド駆動出力パターンを確定し、各アクチュエー
タ21〜24に向けて、ソレノイド駆動出力信号を発生
する。
【0057】ステップ800からスタートし、続くステ
ップ810では、図5のステップ160、190、22
0において各輪に対するソレノイド駆動制御出力パター
ンを図7のフローチャートに基づいて決定した結果を読
み込む。そして、今回のタイミングで増圧、保持、減圧
のいずれを出力するかを決定する。ステップ820にお
いて、現在ソレノイド駆動制御出力パターンに保持出力
であるかどうかを判定する。ここで、今回保持出力タイ
ミングであればステップ860に進み、この保持出力に
したがって各アクチュエータ21〜24のソレノイド駆
動信号を出力する。
【0058】また、ステップ820において、保持出力
でないと判定された場合には、ステップ830に進み、
現在増圧出力タイミングかどうかを判定する。ここで、
今回増圧出力タイミングである場合には、ステップ84
0に進み、ブレーキ圧の増圧時間をカウントするカウン
タをインクリメントする。なお、この増圧時間とは、出
力パターンP=4の連続増圧時の増圧時間および、P=
3のパルス増圧時の各増圧時間の双方を指す。そして、
ステップ850にて、増圧出力にしたがってソレノイド
駆動信号を出力する。
【0059】ステップ830において、現在増圧出力に
設定されていないと判定された場合には、ステップ87
0に進み、記憶されている前回のソレノイド駆動出力パ
ターンが減圧出力すなわちP=0もしくは1に出力され
ているか否かを判定する。ここで、前回のソレノイド駆
動制御出力パターンが減圧出力、すなわちP=0もしく
は1に設定されていると判定された場合にはステップ8
80に進み、今回の出力パターンもP=0もしくは1と
出力されているか否かを判定する。つまり、ステップ8
70および880において、ホイールシリンダ圧W/C
が連続して減圧制御されているか否かを判定する。ここ
で、減圧制御が成されていると判定された場合には、ス
テップ890に進む。また、連続した減圧制御が実行さ
れていない場合にはステップ900に進む。
【0060】ステップ890では、ソレノイド駆動制御
によるホイールシリンダ圧W/Cの減圧開始時における
ホイールシリンダ圧PW/C を図12に示すマップに基づ
いて推定する。ホイールシリンダ圧PW/C は、その時の
車両の走行路面の摩擦係数に比例するため、その時点に
おける路面摩擦係数に基づいて検出する。ステップ90
0では、ホイールシリンダ圧W/Cの減圧制御時の減圧
勾配Kdwを、図13のマップに基づいて推定する。この
減圧勾配Kdwは、ステップ890において検出された減
圧開始時におけるホイールシリンダ圧PW/C に対し図1
3のような特性を有しており、ホイールシリンダ圧PW/
C に基づいて検出する。
【0061】ステップ910では、ソレノイド駆動制御
によるホイールシリンダ圧W/Cの減圧量Pdwを演算す
る。この演算は、前回の減圧量Pdw(n-1) と減圧勾配K
dwに減圧時間Tdwを掛けた値とを足すことによって算出
する。続くステップ920では、次回のフローにおいて
採用するホイールシリンダ圧PW/C (n+1)を演算す
る。これは、前回のホイールシリンダ圧PW/C (n-1) か
ら今回の減圧量Pdw(n)をひくことによって算出す
る。そして、ステップ930では、ソレノイド駆動制御
出力パターンに減圧を出力する。
【0062】以上のように構成されるアンチスキッド制
御装置における作動効果を、図14および図15のタイ
ムチャートにしたがって説明する。図14の(a) 〜(d)
に、車両の走行中に乗員がブレーキペダルを踏み始め
て、アンチスキッド制御が作動した直後におけるホイー
ルシリンダ圧W/Cとマスタシリンダ圧M/Cとの関係
およびアンチスキッド制御の作動を示す。なお、ここで
は、車両の一定摩擦係数路面における緩ブレーキ時のタ
イムチャートを示している。
【0063】図14(a) における時点0において、制動
力を確保するために乗員がブレーキを踏み始め、その後
時点において車輪のスリップ率が大きくなりすぎ、ア
ンチスキッド制御が開始されるとする。車両速度を回復
し、スリップ状態を回避するために時点〜にかけて
ホイールシリンダ圧W/Cを減圧制御する。この時の減
圧量は、図14(c) に示す減圧量Pdになる。また、時
点は、ホイールシリンダ圧W/Cの増圧制御から減圧
制御に変わる変わり目であり、このタイミングにてホイ
ールシリンダ圧W/Cとマスタシリンダ圧M/Cとの差
圧値が推定される。しかし、今回は、アンチスキッド制
御が開始された後、1回目の処理であるため、差圧値を
推定する際のパラメータとなる、増圧時間と減圧量とを
推定できない。そのため、図9のステップ650および
660に示したように、制御開始初回の時点では、差
圧値を中と設定する。よって、次の増圧制御時、すなわ
ち時点〜までは、パルス増圧制御は差圧値、中とい
う推定にしたがって制御される。
【0064】時点〜までの所定時間、減圧状態が保
持された後、車輪速度が充分回復しスリップ状態から回
避されたとして時点からパルス増圧が開始される。こ
のパルス増圧の制御は、図14の(d) に示す差圧値中に
従って実行される。すなわち増圧時間には、基準のパル
ス増圧時間Tn1,2にKT2を掛けた所定値Tup12
,22 が採用される。
【0065】ここで、図14(a) に示すように、〜
時点までの間、増圧時間の所定値Tup12 ,22 にした
がってパルス増圧が実行される。しかし、マスタシリン
ダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W/Cとの差圧値が、
実際は小であった場合には、ホイールシリンダ圧W/C
の増圧勾配が小さく、現実のホイールシリンダ圧W/C
の増圧は、線β1に示すように変化する。もし差圧値
が、中という推定通りであるとしたら、増圧勾配はもっ
と大きく、線α1に示すようにホイールシリンダ圧W/
Cが増圧する筈であった。が、実際の差圧値が小であっ
たため、線β1のようにホイールシリンダ圧W/Cがパ
ルス増圧されるとすると、ホイールシリンダ圧W/Cが
最適圧まで上昇するのに、長い時間がかかってしまうこ
ととなる。すなわち、小さい増圧勾配および短い増圧時
間によって、車輪速度の復帰後、ホイールシリンダ圧W
/Cの増圧が遅れてしまう。
【0066】そこで、スリップ率が大きくなった時点
における減圧を開始するタイミングにおいて、図14
(b) および(c) に示す、増圧時間と減圧量とを用いて、
マスタシリンダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W/Cと
の差圧値を図10に示すマップを用いて推定する。すな
わちここでは、差圧値が中の場合におけるホイールシリ
ンダ圧W/Cの増圧に時間が所定時間より長くかかって
いる。よって、図14(d) に示すように、実際の差圧値
は小であると推定差圧値が変更される。
【0067】〜時点まで、前回の減圧量と同量の減
圧量Pdが減圧され、〜時点まで保持される。これ
によって、車輪速度が復帰してくると、時点から再び
パルス増圧が開始される。このパルス増圧は、増圧時間
の所定値Tup13 ,23 にしたがって実行される。増圧
時間の所定値Tup13 ,23 は、差圧値が中と推定され
ていた前回のパルス増圧時における所定値Tup12 ,2
2 と比較して2倍の時間に設定され、増圧勾配が小さい
差圧値小においても、ホイールシリンダ圧W/Cの増圧
は、差圧値大もしくは中の際と同様な時間で増圧を達成
することが可能である。よって、緩ブレーキ時において
も、ホイールシリンダ圧W/Cを速やかに増圧すること
が可能であり、制動力の向上、および乗員のコントロー
ル範囲を増加することが可能である。
【0068】次に、図15の(a) 〜(d) において、乗員
がブレーキペダル25を踏み始めた後の時点からにお
けるマスタシリンダ圧M/Cとホイールシリンダ圧W/
Cとの差圧の関係およびアンチスキッド制御の作動につ
いて説明する。なお、図14と同様、車両の一定摩擦係
数路面における緩ブレーキ時のタイムチャートを示して
いる。
【0069】時点において、車輪のスリップ率が大き
くなり、アンチスキッド制御によってホイールシリンダ
圧W/Cの減圧が開始される。なお、時点以前におけ
る差圧値は、中であったとする。この減圧が開始される
タイミング時点において、図14の(b) および(c) に
示す前回のホイールシリンダ圧W/Cの増圧時間および
減圧量から、差圧値を推定する。ここでは、図14(d)
に示すように、時点では差圧値は中と判断されてい
る。
【0070】〜時点まで減圧制御が実行され、〜
時点まで保持される。これによって、車輪速度が回復
すると、時点からパルス増圧が開始される。このパル
ス増圧の増圧時間は、差圧値中に基づいて、所定値Tup
12 ,22 に設定される。しかし、時点前後におい
て、乗員が、ブレーキペダル25を強く踏み過ぎたかな
と思い、踏力を弱めたとする。すると、マスタシリンダ
圧M/Cは、時点もしくは近傍において低下して、
ホイールシリンダ圧W/Cとマスタシリンダ圧M/Cと
の差圧が、パルス増圧を開始する時点では小さくなって
いる場合がある。この場合には、ホイールシリンダ圧W
/Cの増圧勾配が小さくなっているため、線α2のよう
には増圧せず、実際には線β2のように増圧することと
なる。よって、なかなか最適圧までホイールシリンダ圧
W/Cが増圧せず、図14(b)に示すように、増圧時間
が長くなってしまう。
【0071】しかし、次回、時点
【0072】
【外1】
【0073】からの増圧制御は、スリップ率が増大し、
減圧開始される時点
【0074】
【外2】
【0075】において、前回の図14(b) に示す増圧時
間と(c) に示す減圧量Pdとを用いて推定される差圧値
小に基づいて実行される。よって、
【0076】
【外3】
【0077】時点におけるパルス増圧は増圧時間の所定
値Tup13 ,23 に基づいて実行され、増圧時間の所定
値Tup13 ,23 は、差圧値が中と推定されていた前回
のパルス増圧時における所定値Tup12 ,22 と比較し
て2倍の時間に設定され、増圧勾配が小さい差圧値小に
おいても、ホイールシリンダ圧W/Cの増圧は、差圧値
大もしくは中の際と同様な時間で増圧を達成することが
可能である。よって、乗員がブレーキペダル25を操作
している途中においても、ホイールシリンダ圧W/Cを
速やかに増圧される。すなわち、ホイールシリンダ圧W
/Cの増圧時間を延長し、すなわちアクチュエータの連
通時間を延長することによって、制動力の向上、および
乗員のコントロール範囲を増加を実現することが可能で
ある。
【0078】本発明は、上記実施例に限定されるわけで
はなく、以下のように種々変形可能である。例えば、図
9のステップ650において制御サイクルが初回である
と判定された場合のホイールシリンダ圧W/Cとマスタ
シリンダ圧M/Cとの差圧の設定を、以下のように行っ
てもよい。
【0079】すなわち、図16のステップ1000にお
いて、本アンチスキッド制御の処理が1回目のサイクル
であると判断された場合、ステップ1010において、
制御初回の差圧値を、車輪加速度dVwの大きさに基づい
て判断する。車輪加速度dVwの大きさが−6G(ただ
し、Gは重力加速度を表す。)よりも小さいか否かを判
定し、−6Gよりも小さいと判断された場合には、ステ
ップ1020において減速方向の加速度が大きく出るの
は急ブレーキ時であると判断し、差圧値に大をセットす
る。また、車輪加速度dVwの大きさが−6G以下である
場合には、それ程の減速加速度が出ない、緩ブレーキ時
に近い状態だとして、ステップ1030において差圧値
に中をセットする。このようにアンチスキッド制御のフ
ローの初回において差圧を設定すると、車両の制動性の
確実性を向上することが可能である。
【0080】また、路面摩擦係数が高い路面においてブ
レーキペダル25を踏み制動力を加える場合と、路面摩
擦係数が小さい路面において制動力を加える場合とで
は、路面摩擦係数が低い路面の方が、ホイールシリンダ
圧W/Cが小さい時点で車輪のスリップが始まる。ま
た、車両の左右の車輪において、マスタシリンダ圧M/
Cとホイールシリンダ圧W/Cとの差圧値を比較した
際、差圧値が左右で異なる場合がある。この場合には、
マスタシリンダ圧M/Cは1値しかないため、差圧値が
大きい方がの車輪は、左右において摩擦係数が違う跨ぎ
路において、低摩擦係数路面側を走行していると推定す
ることができる。逆に、差圧値が小さい方の車輪は、跨
ぎ路における孔摩擦係数路面側を走行していると推定す
ることができる。この結果を用いて、アンチスキッド制
御を、車体の左右輪において独立して実行し、跨ぎ路に
対応できるようにすることも可能である。
【0081】また、ホイールシリンダ圧W/Cとマスタ
シリンダ圧M/Cとの差圧が差圧小の場合には、P=3
の増圧パルス数を減らし、早くP=4とすることによっ
て、より早く圧力を回復し、より早くドライバの意志を
反映させることも可能である。さらに、前記と同様、差
圧が小の場合に、P=3のパルス増圧時の増圧時間を短
縮することによっても同様の効果を得ることが可能であ
る。なお、これらの方法を組み合わせると、なお一層の
効果を得ることもできる。
【0082】
【効果】本発明によれば、車両の急ブレーキ時および緩
ブレーキ時によらず、車両の制動性を確保し、特に、緩
ブレーキ時において車両の制動性および乗員のコントロ
ール性を向上させたアンチスキッド制御装置を提供する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアンチスキッド制御装置の全体構
成を表す構成図である。
【図2】緩ブレーキ時と急ブレーキ時とにおけるマスタ
ーシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧の関係を示
す関係図である。
【図3】乗員のブレーキ圧力のコントロール範囲を表す
関係図である。
【図4】本発明によるアンチスキッド制御装置の制御内
容を表すブロック図である。
【図5】本発明によるアンチスキッド制御装置の制御の
メインルーチンを表すフローチャートである。
【図6】各輪をそれぞれの出力パターンにしたがってソ
レノイド駆動するためのフローチャートである。
【図7】各輪のソレノイド駆動制御の出力パターンを決
定するためのフローチャートである。
【図8】各輪のソレノイド駆動制御パターンを表すパタ
ーン図である。
【図9】マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差
圧値を推定し、ソレノイド駆動時における増圧パルスの
パターンを差圧値に応じて変更するフローチャートであ
る。
【図10】差圧値を検出するためのマップである。
【図11】ソレノイド駆動による増圧時間および減圧量
を演算するフローチャートである。
【図12】減圧開始時におけるホイールシリンダ圧を検
出するためのマップである。
【図13】ホイールシリンダ圧の減圧時における減圧勾
配を検出するためのマップである。
【図14】本発明によるアンチスキッド制御装置が作動
した場合の作動開始時におけるタイムチャートである。
【図15】本発明によるアンチスキッド制御装置の作動
中におけるタイムチャートである。
【図16】他の実施例において、制御初回のフローにお
ける差圧値の設定方法を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1〜4 各車輪、 5〜8 速度センサ、 11〜14 ホイールシリンダ 16 マスタシリンダ、 21〜24 アクチュエータ、 25 ブレーキペダル、 40 電子制御装置 41 イグニッションスイッチ、 51 加速度センサ、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永田 敏郎 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪に制動力を加える際に乗員の操作に
    よって油圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシ
    リンダからの油圧を基に、各車輪に制動力を伝達するホ
    イールシリンダと、車両の制動時に、前記各車輪のロッ
    ク傾向を回避するために各車輪に伝達される油圧を減圧
    または減圧後の油圧をマスタシリンダ側とホイールシリ
    ンダ側とを連通することによって増圧する増減圧手段と
    を有するアンチスキッド制御装置において、 前記増減圧手段によって減圧されたホイールシリンダに
    伝達されるホイールシリンダ圧と、その時の前記マスタ
    シリンダが発生するマスタシリンダ圧との差圧を推定す
    る推定手段と、 前記推定手段によって、前記差圧が小さいと推定された
    場合には、前記増減圧手段によって減圧されているホイ
    ールシリンダ圧を増圧する際の単位時間当たりの増圧時
    間を、前記差圧が大きいと判断された場合と比較して大
    きくする補正手段とを有することを特徴とするアンチス
    キッド制御装置。
  2. 【請求項2】 車輪に制動力を加える際に乗員の操作に
    よって油圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシ
    リンダからの油圧を基に、各車輪に制動力を伝達するホ
    イールシリンダと、車両の制動時に、前記各車輪のロッ
    ク傾向を回避するために各車輪に伝達される油圧を減圧
    または減圧後の油圧をマスタシリンダ側とホイールシリ
    ンダ側とを連通することによって増圧する増減圧手段と
    を有するアンチスキッド制御装置において、 前記増減圧手段によって減圧されたホイールシリンダに
    伝達されるホイールシリンダ圧と、その時の前記マスタ
    シリンダが発生するマスタシリンダ圧との差圧を推定す
    る推定手段と、 前記推定手段によって、前記差圧が小さいと推定された
    場合には、前記増減圧手段によって減圧されているホイ
    ールシリンダ圧を増圧する際の増圧時間を、前記差圧が
    大きいと判断された場合と比較して延長する補正手段と
    を有することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  3. 【請求項3】 車輪に制動力を加える際に乗員の操作に
    よって油圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシ
    リンダからの油圧を基に、各車輪に制動力を伝達するホ
    イールシリンダと、車両の制動時に、前記各車輪のロッ
    ク傾向を回避するために各車輪に伝達される油圧を減圧
    または減圧後の油圧をマスタシリンダ側とホイールシリ
    ンダ側とを連通することによって増圧する増減圧手段と
    を有するアンチスキッド制御装置において、 前記増減圧手段によって減圧されたホイールシリンダに
    伝達されるホイールシリンダ圧と、その時の前記マスタ
    シリンダが発生するマスタシリンダ圧との差圧を推定す
    る推定手段と、 前記推定手段によって、前記差圧が小さいと推定された
    場合には、前記増減圧手段によって減圧されているホイ
    ールシリンダ圧をパルス増圧する際の保持時間を、前記
    差圧が大きいと判断された場合と比較して短縮する短縮
    手段とを有することを特徴とするアンチスキッド制御装
    置。
  4. 【請求項4】 車輪に制動力を加える際に乗員の操作に
    よって油圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシ
    リンダからの油圧を基に、各車輪に制動力を伝達するホ
    イールシリンダと、車両の制動時に、前記各車輪のロッ
    ク傾向を回避するために各車輪に伝達される油圧を減圧
    または減圧後の油圧をマスタシリンダ側とホイールシリ
    ンダ側とを連通することによって増圧する増減圧手段と
    を有するアンチスキッド制御装置において、 前記増減圧手段によって減圧されたホイールシリンダに
    伝達されるホイールシリンダ圧と、その時の前記マスタ
    シリンダが発生するマスタシリンダ圧との差圧を推定す
    る推定手段と、 前記推定手段によって、前記差圧が小さいと推定された
    場合には、前記増減圧手段によって減圧されているホイ
    ールシリンダ圧をパルス増圧する際のパターンをにおけ
    るパルス増圧回数を、前記差圧が大きいと判断された場
    合と比較して低減し、早く連続増圧を実行する制御変更
    手段とを有することを特徴とするアンチスキッド制御装
    置。
  5. 【請求項5】 前記推定手段は、 ホイールシリンダ圧の減圧量を推定する減圧量推定手段
    と、ホイールシリンダ圧の減圧後増圧開始から増圧が終
    了するまでの増圧時間をカウントするカウント手段とを
    有し、 前記減圧量推定手段によって推定される減圧量に対して
    前記カウント手段によってカウントされる増圧時間が所
    定の増圧時間よりも大きい場合には、前記差圧を小と、 前記減圧量推定手段によって推定される減圧量に対して
    前記カウント手段によってカウントされる増圧時間が所
    定の増圧時間よりも小さい場合には、前記差圧を大と、 推定することを特徴とする請求項1もしくは請求項2も
    しくは請求項3もしくは請求項4に記載のアンチスキッ
    ド制御装置。
  6. 【請求項6】 前記減圧量推定手段は、車輪下の路面摩
    擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段を有し、 前記路面摩擦係数推定手段によって推定される路面摩擦
    係数から、前記増減圧手段によってホイールシリンダ圧
    の減圧を開始するタイミングにおいて、ホイールシリン
    ダ圧を推定し、 前記減圧開始タイミングにおけるホイールシリンダ圧か
    ら、前記増減圧手段によるホイールシリンダ圧の減圧時
    の減圧勾配を推定し、 前記減圧勾配と、前記増減圧手段による減圧時間とに基
    づいて減圧量を推定することを特徴とする請求項1もし
    くは請求項2もしくは請求項3もしくは請求項4もしく
    は請求項5に記載のアンチスキッド制御装置。
  7. 【請求項7】 前記補正手段は、ホイールシリンダ圧の
    パルス増圧を実行する際の1パルスの増圧に対する増圧
    時間を延長することを特徴とする請求項1もしくは請求
    項2に記載のアンチスキッド制御装置。
  8. 【請求項8】 前記アンチスキッド制御の初回の制御サ
    イクルにおける前記差圧は、あらかじめ差圧、中に設定
    されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2
    もしくは請求項3もしくは請求項4もしくは請求項5も
    しくは請求項6もしくは請求項7に記載のアンチスキッ
    ド制御装置。
  9. 【請求項9】 前記アンチスキッド制御の初回の制御サ
    イクルにおける前記差圧は、車両の急ブレーキ時には差
    圧、大、緩ブレーキ時には差圧、小と設定されることを
    特徴とする請求項1もしくは請求項2もしくは請求項3
    もしくは請求項4もしくは請求項5もしくは請求項6も
    しくは請求項7もしくは請求項8に記載のアンチスキッ
    ド制御装置。
  10. 【請求項10】 前記車両の前後方向に発生する加速度
    を検知する加速度検出手段を有し、 前記アンチスキッド制御の初回の制御サイクルにおいて
    前記加速度が所定値よりも小さい場合には、前記差圧値
    を小と設定することを特徴とする請求項1もしくは請求
    項2もしくは請求項3もしくは請求項4もしくは請求項
    5もしくは請求項6もしくは請求項7もしくは請求項8
    もしくは請求項9に記載のアンチスキッド制御装置。
  11. 【請求項11】 前記記路面摩擦係数推定手段によって
    推定される路面摩擦係数が所定値幅内から外れることに
    よって、前記車両の走行路面に所定の変化があったこと
    を検知した場合には、前記推定手段によらず、前回のア
    ンチスキッド制御において設定された差圧値を採用する
    ことを特徴とする請求項1もしくは請求項2もしくは請
    求項3もしくは請求項4もしくは請求項5もしくは請求
    項6もしくは請求項7もしくは請求項8もしくは請求項
    9もしくは請求項10に記載のアンチスキッド制御装
    置。
JP12251794A 1994-06-03 1994-06-03 アンチスキッド制御装置 Pending JPH07329754A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001260838A (ja) * 2000-03-16 2001-09-26 Aisin Seiki Co Ltd 車両の制動力配分制御方法
US6457785B1 (en) 1995-12-26 2002-10-01 Denso Corporation Brake control apparatus for vehicle
KR100918542B1 (ko) * 2005-09-29 2009-09-21 가부시키가이샤 애드빅스 차량용 미끄럼방지 제어 장치

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6457785B1 (en) 1995-12-26 2002-10-01 Denso Corporation Brake control apparatus for vehicle
JP2001260838A (ja) * 2000-03-16 2001-09-26 Aisin Seiki Co Ltd 車両の制動力配分制御方法
KR100918542B1 (ko) * 2005-09-29 2009-09-21 가부시키가이샤 애드빅스 차량용 미끄럼방지 제어 장치

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