JP3157192B2 - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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JP3157192B2 JP15915891A JP15915891A JP3157192B2 JP 3157192 B2 JP3157192 B2 JP 3157192B2 JP 15915891 A JP15915891 A JP 15915891A JP 15915891 A JP15915891 A JP 15915891A JP 3157192 B2 JP3157192 B2 JP 3157192B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪のスリップ率等に
応じてブレーキ圧を制御することより、凍結路等の摩擦
係数の低い路面の走行時に、車輪がロックするのを防止
する車両のスリップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特公昭63−41333号
公報に示されるように、車両の走行状態に応じてブレー
キ圧を制御することにより、制動時における車輪のロッ
クおよびスキッドの発生を防止するように構成されたア
ンチスキッドブレーキシステムを有する車両のスリップ
制御装置が知られている。上記アンチスキッドブレーキ
システムには、車輪がロックするのを効果的に防止する
ため、車輪の減速度が急激に減少する傾向にあるととも
に、車輪速が予め設定された基準スリップ率に対応する
値を下回ったことが確認された場合に、ブレーキ圧を急
減圧させる制御手段が設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように車両の走
行状態に応じてブレーキ圧を急減させる制御手段を設け
た場合には、車輪に急激なロック傾向が生じた時点でこ
れを迅速に制御することができるという利点を有する反
面、路面の摩擦係数の大小に関係なく、車輪の減速度お
よびスリップ率に応じた急減圧制御が実行されるため、
路面状態に応じた適正なブレーキ圧の制御を実行するこ
とができないという問題がある。
【0004】例えば、低μ路の走行時において、高μ路
の走行時と同一のタイミングで急減圧制御を終了するよ
うに構成すると、車輪速の回復が不十分となり、車輪が
再度ロック状態となるという問題がある。これに対して
低μ路の走行時に合わせて上記急減圧制御の終了タイミ
ングを設定すると、高μ路の走行時に、制動力が不十分
になる傾向が生じるという問題がある。
【0005】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、走行路面の状態に応じた急減圧制御を
実行することにより、制動時における車輪のロックを効
果的に防止することができる車輪のスリップ制御装置を
提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
車両の走行状態を検出する検出手段と、ブレーキ圧を調
節するブレーキ圧調節手段とを有し、車両の走行状態に
応じてブレーキ圧を調節することによって車輪がロック
するのを防止する車両のスリップ制御装置において、上
記検出手段の検出信号に応じて車輪が急激なロック傾向
にあることが確認された場合に、ブレーキ圧を急減圧さ
せるように上記ブレーキ圧調節手段を制御する制御手段
と、この急減圧制御を終了させるか否かの判断基準とな
る各種の閾値を記憶する閾値記憶手段と、上記検出手段
の検出信号に応じて走行路面の摩擦係数を推定する路面
状態推定手段と、この路面状態推定手段の出力信号に応
じて走行路面が低μ路であることが確認された場合に、
高μ路の走行時に比べて急減圧制御の終了時期を遅らせ
るように設定された閾値を上記閾値記憶手段から読出す
閾値読出手段を備えたものである。
【0007】請求項2に係る発明は、走行路面の摩擦係
数を推定する路面状態推定手段の出力信号に応じて急減
圧制御に移行した時点における摩擦係数を判別し、高μ
路の走行時に急減圧の制御状態となったことが確認され
た場合に、低μ路の走行時に急減圧状態となった場合に
比べて急減圧制御の終了時期を更に遅らせるように設定
された閾値を読出すように構成したものである。
【0008】
【作用】上記請求項1記載の発明によれば、ブレーキ圧
を急減圧させる急減圧制御状態において、路面状態推定
手段によって走行路面が低μ路であることが確認された
場合には、急減圧制御を終了するか否かの判断基準とな
る閾値、つまり車輪の減速度等の値がが高μ路の走行時
に比べて終了タイミングを遅らせるように設定され、車
輪速の減速度が上記閾値を超えるまで上記急減圧制御が
継続されることになる。
【0009】上記請求項2記載の発明によれば、高μ路
の走行時に急減圧制御が実行された場合には、急減圧制
御を終了するか否かの判断基準となる車輪の減速度等の
閾値が、急減圧制御の実行時点が低μ路である場合に比
べて終了タイミングを遅らせるように設定され、車輪速
の減速度が上記閾値を超えるまで上記急減圧制御が継続
されることになる。
【0010】
【実施例】図2は、本発明に係るスリップ制御装置を備
えた車両を示している。この車両は、従動輪となる左右
の前輪1,2と、駆動輪となる左右の後輪3,4とを備
え、エンジン5の駆動力が自動変速機6、プロペラシャ
フト7、ディファレンシャル8及び左右の車軸9,10
を介して後輪3,4に伝達されるように構成されてい
る。上記各車輪1〜4には、車輪と一体的に回転するデ
ィスク11a〜14a及び制動圧の供給を受けてこのデ
ィスク11a〜14aの回転を制御するキャリパ11か
らなるブレーキ装置11〜14が設けられ、これらブレ
ーキ装置11〜14は、ブレーキ制御システム15によ
り駆動制御されるようになっている。
【0011】上記ブレーキ制御システム15は、ブレー
キペダル16の踏込力を増大する倍力装置17とこの倍
力装置17により増大された踏込力に応じてブレーキ圧
を発生させるマスタシリンダ18とを有する。そして、
このマスタシリンダ18から導かれた前輪用のブレーキ
圧ライン19が2経路に分岐されて、これらの前輪用分
岐路19a,19bが左右の前輪1,2におけるブレー
キ装置11,12のキャリパ11a,12aにそれぞれ
接続されているとともに、左前輪1のブレーキ装置11
に通じる一方の前輪用分岐路19aには、電磁式の開閉
弁20aと、電磁式のリリーフ弁20bとからなる第1
バルブユニット20が配置され、また、右前輪2のブレ
ーキ装置12に通じる他方の前輪用分岐制動圧ライン1
9bにも、上記第1バルブユニット20と同様に電磁式
の開閉弁21と、同じく電磁式のリリーフ弁21bとか
らなる第2バルブユニット21が設置されている。
【0012】一方、上記マスタシリンダ18から導かれ
た後輪用のブレーキ圧ライン22には、上記第1、第2
バルブユニット20,21と同様に電磁式の開閉弁23
aと、同じく電磁式のリリーフ弁23bとからなる第3
バルブユニット23が設置されているとともに、このブ
レーキ圧ライン22は、上記第3バルブユニット23の
下流側で2経路に分岐されて、これらの後輪用分岐路2
2a,22bが左右の後輪2,3におけるブレーキ装置
13,14のキャリパ13b,14bにそれぞれ接続さ
れている。
【0013】なお、上記電磁リリーフ弁20b,21
b,23bから排出されるブレーキオイルは、不図示の
ドレインラインを介して上記マスタシリンダ18のリザ
ーバタンク18aに戻されるようになっている。
【0014】そして、上記第1〜第3バルブユニット2
0,21,23は、コントロールユニットUTRにより
それぞれ独立に駆動制御され、第1バルブユニット2
0,21の作動により左前輪1のブレーキ装置11と右
前輪2のブレーキ装置12の制動力がそれぞれ可変制御
され、第3バルブユニット23の作動により左右の後輪
3,4のブレーキ装置13,14の制動力が同時に可変
制御されるようになっている。
【0015】上記コントロールユニットUTRには、ブ
レーキペダル16の踏込みの有無を検出するブレーキス
イッチ25の検出信号と各車輪の回転速度をそれぞれ検
出する車輪速センサ26〜29の検出信号とが入力さ
れ、コントロールユニットUTRは、これらの検出信号
に基づいてアンチスキッドブレーキ制御の制御信号を生
成し、この制御信号を上記第1〜第3バルブユニット2
0,21,23にそれぞれ出力して左右の前輪1,2及
び後輪3,4のスリップに対する制動制御を第1〜第3
バルブユニット毎に並行して行う。
【0016】上記コントロールユニットUTRは、図1
に示すように車輪速センサ26〜29の検出信号に応じ
て車両の走行速度を算出する車体速算出手段30と、車
輪1〜4のスリップ率を算出するスリップ率算出手段3
1と、各車輪1〜4の加減速度を算出する加減速度算出
手段32と、路面の摩擦係数を推定する路面状態推定手
段33と、各種のスリップ制御用の閾値をマップとして
記憶する閾値記憶手段34と、上記マップから現在の車
両の走行状態に適合した閾値を読出す閾値読出手段35
と、上記ブレーキ制御システム15からなるブレーキ圧
調節手段を制御する制御手段36とが設けられている。
【0017】上記車速算出手段30は、上記車輪速セン
サ26〜29の検出信号から得られる車輪速Vwに基づ
いて従来周知の方法により、疑似的な車体速Vrを算出
するように構成されている。また、上記スリップ制御装
置31は、次式に示すように車輪速Vwと、疑似車速V
rとの比からなるスリップ率Sを各車輪1〜4毎に算出
するものである。
【0018】スリップ率(S)=(車輪速Vw/擬似車
体Vr)×100 〔%〕 また、上記加減速算出手段32は、車輪速Vwの加速度
もしくは減速度を算出するものであり、車輪速Vwの前
回値と今回値との差分をサンプリング周期Δt(例えば
7ms)で除算した値を重力加速度に換算することによ
り、上記加速度もしくは減速度を算出する。上記路面状
態推定手段33は、上記加減速度算出手段32によって
求めた車輪速Vwの加速度もしくは減速度から図3に示
すフローチャートに従って路面の摩擦係数を推定するよ
うに構成されている。
【0019】すなわち、上記摩擦係数を推定する制御動
作がスタートすると、まずステップS1において、各種
データを読み込んだ後、ステップS2において、アンチ
スキッドブレーキ制御を実行中であることを表示するフ
ラグFabsに応じ、現在アンチスキッドブレーキ制御
を実行中であるか否かを判別する。この判別結果がNO
であり、現在アンチスキッドブレーキ制御を実行中でな
いことが確認された場合には、ステップS3において、
摩擦係数値MUに高μ路を示す「3」がセットされる。
【0020】一方、上記ステップS2において現在アン
チスキッドブレーキ制御を実行中であることが確認され
た場合には、ステップS4〜S6において、前回の制御
値、つまり車輪速VWの減速度DWもしくは加速度AW
に基づいて路面状態が高μ路、中μ路及び低μ路の何れ
の状態にあるかが判別され、各路面状態に応じた摩擦係
数値MUがセットされる。
【0021】すなわち、ステップS4において、上記減
速度DWが予め設定された基準減速度「−20G」より
も小さいか否かを判定するとともに、ステップS5,S
6において、加速度AWが予め設定された第1基準加速
度「10G」および第2基準加速度「20G」よりも大
きいか否かを判定する。そして上記判定の結果、減速度
DWが「−20G」以下であることが確認された場合に
は、ステップS7において、摩擦係数値MUに低μ路を
示す「1」がセットされ、加速度AWが「20G」より
も大きいことが確認された場合には、ステップS8にお
いて、摩擦係数値MUに高μ路を示す「3」がセットさ
れ、加速度AWが「10〜20G」の範囲内にあること
が確認された場合には、ステップS9において、摩擦係
数値MUに中μ路を示す「2」がセットされる。
【0022】上記閾値読出手段35は、上記車体速算出
手段30および路面状態推定手段33の出力信号に基づ
いて閾値記憶手段34に記憶されたマップから現在の走
行状態に対応した車輪速の減速度およびスリップ率の閾
値を制御手段36に読出し、この制御手段36におい
て、後述するアンチスキッドブレーキ制御の開始タイミ
ングを判別するとともに、ブレーキの保持および減圧お
よび増圧のタイミングを判別して上記ブレーキ制御シス
テム15に制御信号が出力されるようになっている。
【0023】上記車輪の減速度の閾値のマップは、高μ
路、中μ路及び低μ路の各路面状態において車輪1〜4
がロックを生じる値として予め実験等により求められた
ものであり、本実施例では、例えば(高μ路閾値,中μ
路閾値,低μ路閾値)=(−3.0G,−2.0G,−
1.5G)に設定されている。
【0024】また、上記スリップ率の閾値のマップは後
述するようにブレーキ圧を減圧もしくは増圧するタイミ
ングを設定する各種の閾値からなり、車速および走行路
面の状態に対応した閾値が読出されてブレーキ制御シス
テム15に制御信号として出力されるように構成されて
いる。
【0025】また、上記制御手段36は、ブレーキペダ
ル6の踏み操作に応じた制動開始直後の車輪の減速度D
Wと、上記閾値読出手段35で読出された減速度の閾値
とを比較し、車輪1〜4の減速度DWが閾値以下に低下
すると、増圧後のブレーキ圧を保持させる制御信号を生
成する。また、ブレーキ圧を増圧・保持した後の車輪1
〜4のスリップ率Sと、上記閾値読取手段35で読出さ
れたスリップ率の閾値とを比較し、車輪1〜4のスリッ
プ率Sが上記閾値以下に低下すると、ブレーキ圧を減圧
させる制御信号を生成する。この制御信号は、ブレーキ
制御システム15に入力され、このブレーキ制御システ
ム15において、上記第1〜第3バルブユニット20,
21,23の電磁開閉弁20a,21a,23aと、電
磁リリーフ弁20b,21b,23bとをそれぞれデュ
ーティ制御により開閉制御し、これによりスリップ状態
に応じた制動力を前輪1,2および後輪3,4に発生さ
せるようになっている。
【0026】なお、アンチスキッドブレーキ制御が行わ
れていないときは、上記第1〜第3バルブユニット2
0,21,23には上記制動圧制御信号が出力されず、
上記電磁開閉弁20a,21a,23aは開状態に保持
される一方、上記電磁リリーフ弁20b,21b,23
bは閉状態に保持される。これによりブレーキペダル1
6の踏込力に応じてマスタシリンダ18で発生したブレ
ーキ圧がブレーキ圧ライン19,22を介して左右の前
輪1,2および後輪3,4のブレーキ装置11〜14に
供給され、ブレーキペダル16の踏込力に応じた制動圧
が車輪1〜4に直接付加される。
【0027】次に、図4によって本発明に係るスリップ
制御装置の制御動作を説明する。なお、ブレーキ圧の増
減制御は、第1〜第3バルブユニット20,21,23
の各ユニットについて行われるが、ここでは左前輪1用
の第1バルブユニット20を例に説明する。
【0028】図4の時点Toでブレーキペダル16が踏
み込まれると、マスタシリンダ18で発生したブレーキ
圧が除々に増大し、この制動力により左前輪1の車輪速
Vw1は減少する。この車輪速Vwの減速度DWは上記
加減速度算出手段32により算出され、上記閾値読出手
段34で読出された高μ路における減速度の閾値「−3
G」と比較される。そして、車輪速Vwの減速度DWが
閾値「−3G」以下に低下すると、アンチスキッドブレ
ーキ制御の非制御状態であるフェーズ0からフェーズ2
の制御状態に移行し、第1サイクル目のアンチスキッド
ブレーキ制御が開始される。
【0029】このようにアンチスキッドブレーキ制御の
第1サイクル目では、上記車輪1の減速度の閾値として
高μ路の閾値が読出されるようにしている。これは、第
1サイクルにおいて路面の摩擦係数を推定することがで
きず、上記閾値として低μ路における閾値「−1.5
G」を用いると、車輪の減速度がわずかに低下した場合
にも閾値以下となるという事態が生じ、これによって頻
繁にアンチスキッド制御が開始されることとなるからで
ある。
【0030】そして上記アンチスキッドブレーキ制御
は、増圧後のブレーキ圧を保持するフェーズ2から開始
され、以後Tb時点において増圧・保持後のブレーキ圧
を減圧するフェーズ3の制御が実行されるとともに、時
点Tcにおいて減圧後のブレーキ圧を保持するフェーズ
4が実行された後、時点Tdにおいて第1サイクル目の
アンチスキッドブレーキ制御が終了する。次いで上記時
刻Tdから再度ブレーキ圧を増圧するフェーズ1の制御
が実行されて第2サイクル目のアンチスキッドブレーキ
制御が開始され、以後、上記フェーズ2〜フェーズ4を
経て第2サイクル目が終了すると、第3サイクル目以後
のアンチスキッドブレーキ制御が繰り返して実行される
ことになる。
【0031】上記フェーズ2の保持制御の実行時には、
車輪速Vwからスリップ率算出手段31によって車輪1
のスリップ率Sが算出されるとともに、車体速Vrおよ
び路面摩擦係数に応じて減圧制御を開始するか否かの判
断基準となるスリップ率の閾値が、上記閾値読出手段3
5により読出され、この閾値と上記スリップ率Sとが制
御手段36において比較される。例えば上記スリップ率
の閾値として高μ路の高速時の閾値90%が読出された
場合、で上記スリップ率Sが90%以下に低下した時点
Tbでフェーズ2からフェーズ3に移行し、ブレーキ圧
の減圧制御が開始される。つまり、上記第1バルブユニ
ット20のリリーフ弁20bが所定のデューティ率に従
ってオン・オフされ、これによりブレーキ圧が所定の勾
配で減少し、制動力が徐々に低下して左前輪1の回転力
は回復する。
【0032】また、時点Tcで左前輪1の車輪速Vwの
減速度DWもしくは加速度AWが、0になると、フェー
ズ3からフェーズ4に移行し、ブレーキ圧は減速後のレ
ベルに保持され、このフェーズ4の間に車輪速Vwは、
再び上昇する。そして時点Tdで車輪速Vwが回復して
そのスリップ率Sが再び上記スリップ率の閾値90%を
越えると、フェーズ4からフェーズ1に移行し、第2サ
イクル目のアンチスキッドブレーキ制御が開始される。
【0033】上記フェーズ2の減圧制御の実行中に、車
輪1のスリップ率Sが閾値読出手段35において読出さ
れた急減圧制御開始用の閾値と比較され、例えば図4に
示す時点Tfで上記スリップ率Sが上記閾値を超えて低
下したことが確認された場合には、ブレーキ圧を通常時
に比べて急激に減圧する急減圧制御が実行される。そし
て上記急減圧制御の実行中に、車輪1の減速度DWが閾
値読出手段35において読出された急減圧制御終了用の
閾値と比較され、例えば時点Tgで上記減速度DWが上
記閾値を超えて上昇したことが確認された場合には、上
記急減圧制御を終了する。
【0034】上記急減圧制御を、図5に示すフローチャ
ートに基づいて説明する。この制御動作がスタートする
と、先ずステップS11において、各種のデータを入力
した後、ステップS12において、閾値記憶手段34に
記憶されたマップから急減圧制御を開始するか否かの判
断基準となるスリップ率閾値を読出す。この急減圧開始
用のスリップ率閾値は、図6に示すように、車体速Vr
および路面の摩擦係数μをパラメータとして設定され、
この路面の摩擦係数μが低い場合には、高い場合に比べ
て小さな値に設定されるとともに、車体速Vrが低い場
合には、高い場合に比べて小さな値に設定されている。
この結果、低μ路の走行時には、高μ路の走行時に比べ
て車輪のスリップ率Sが大きく低下するまで急減圧制御
が実行されず、急減圧制御に入るタイミングが遅れる。
また低速走行時には、高速走行時に比べて車輪のスリッ
プ率Sが大きく低下するまで急減圧制御が実行されず、
急減圧制御に入るタイミングが遅れることになる。
【0035】上記ステップS12で読出された閾値と、
車輪速Vwに基づいて算出したスリップ率Sとを比較
し、このスリップ率Sが上記閾値以下であるか否かを判
定する。この判定結果がYESとなり、上記スリップ率
Sが急減圧開始用のスリップ率閾値以下であることが確
認された場合には、ステップS14において、車輪1の
減速度DWが0よりも小さいか否かを判定する。つまり
現在、車輪1の回転速度Vwが減少している状態である
か否かを判定する。この判定結果がYESとなった場合
には、ステップS15に移行してブレーキ圧を急激に減
少させる急減圧制御を実行する。
【0036】次にステップS16において、上記急減圧
の制御状態となった時点が高μ路であるか否かを判定す
る。この判定の結果、高μ路の走行時に急減圧状態に入
ったことが確認された場合には、ステップS17におい
て閾値記憶手段34に記憶されたマップから急減圧制御
を終了するか否かの判断基準となる第1減速度閾値G1
を読出し、この第1減速度閾値G1と、車輪1の減速度
DWとを比較してこの減速度が閾値G1よりも大きいか
否かを判定する。
【0037】上記急減圧終了用の第1減速度閾値G1
は、図7に示すように、現時点、つまり急減圧制御を終
了するか否かの判断時における走行路面の摩擦係数をパ
ラメータとして設定され、この路面の摩擦係数μが高い
場合には、低い場合に比べて大きな値に設定されてい
る。この結果、低μ路の走行時には、高μ路の走行時に
比べて急減圧制御を終了するタイミングが遅れることと
なる。そして上記ステップS17でYESと判定され、
車輪1の減速度DWが上記閾値以上であることが確認さ
れた場合には、ステップS18において上記急減圧制御
を終了する。
【0038】また、上記ステップS16でNOと判定さ
れ、低μ路の走行時に急減圧状態に入ったことが確認さ
れた場合には、ステップS19において閾値記憶手段3
4に記憶されたマップから急減圧制御を終了するか否か
の判断基準となる第2減速度閾値G2を読出し、この第
2減速度閾値G2と、車輪1の減速度DWとを比較して
この減速度が閾値G2よりも大きいか否かを判定するこ
とにより、急減圧制御を終了するか否かを判断する。こ
の判定結果がYESである場合には、ステップS18に
移行して急減圧制御を終了する。
【0039】上記急減圧制御終了用の第2減速度閾値G
2は、第8図に示すように、急減圧制御の実行時点にお
ける摩擦係数μをパラメータとして設定され、この急減
圧制御の実行時点における摩擦係数μが高い場合には、
この摩擦係数μが低い場合に比べて減速度の絶対値が大
きな値に設定され、かつ上記第1減速度閾値G1に比べ
て減速度の絶対値が全体的に大きな値に設定されてい
る。この結果、高μ路の走行時に急減圧の制御状態にな
った場合には、低μ路の走行時に急減圧の制御状態にな
った場合に比べ、急減圧制御を終了するタイミングが遅
れることになる。
【0040】上記のように車輪が急激なロック傾向にあ
ることが確認された場合に、ブレーキ圧を急減圧するよ
うに構成された車両のスリップ制御装置において、急減
圧制御を終了するか否かの判断基準となる減速度閾値
を、走行路の摩擦係数μをパラメータとしたマップとし
て設定し、低μ路の走行時には、高μ路の走行時に比べ
て上記終了のタイミングを遅らせるように設定された閾
値を上記マップから読出すように構成したため、高μ路
の走行時に急減圧制御が長時間に亘って実行されて制動
力が不足するという事態を生じることなく、低μ路にお
いて車輪がロック状態となるのを効果的に防止すること
ができる。
【0041】また、上記のように2種類の減速度閾値の
マップを設け、急減圧制御の実行時点における路面の摩
擦係数μに応じて上記マップを選択して使用することに
より、高μ路の走行時に急減圧の制御状態になった場合
には、低μ路の走行時に急減圧の制御状態になった場合
に比べ、急減圧制御を終了するタイミングを、より遅ら
せるようにした構成によると、高μ路の走行状態におい
て高い状態にあったブレーキ圧を十分に減圧して車輪の
ロックを効果的に防止できるという利点がある。
【0042】なお、上記実施例では、急減圧制御に入る
か否かの判断基準となるスリップ率閾値のマップを、車
体速Vrおよび摩擦係数μをパラメータして設定し、こ
のマップから車両の走行状態に応じたスリップ率閾値を
読出すことにより、走行路の摩擦係数μが低い場合に、
高い場合に比べて急減圧制御に入るタイミングを遅らせ
るように構成したため、低μの走行時に早期に急減圧制
御が実行されることによるブレーキ圧の過度の低下を防
止できるという利点がある。すなわち、低μ路の走行時
には、急減圧しても車輪の回転速度が回復しにくく、早
期に急減圧制御を実行すると、ブレーキ圧が低下しすぎ
る傾向があるため、上記のように構成することにより、
ブレーキ圧が過度に低下するのを防止することができ
る。
【0043】また、上記マップから急減圧制御用のスリ
ップ率閾値を車速に応じて選択して読出し、高速走行時
には、低速走行時に比べて急減圧制御に入るタイミング
を早めるように構成することにより、低速走行時に不要
なアンチスキッド制御が実行されのを防止しつつ、高速
走行時に生じる車輪のロックを、迅速かつ効果的に防止
することができるという利点がある。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、車輪が
急激なロック傾向にあることが確認された場合に、ブレ
ーキ圧を急減圧するように構成された車両のスリップ制
御装置において、急減圧制御を終了するか否かの判断基
準となる各種の閾値を、走行路の摩擦係数をパラメータ
としたマップとして設定し、低μ路の走行時には、高μ
路の走行時に比べて上記終了タイミング遅らせるように
設定された閾値を上記マップから読出すように構成した
ため、高μ路の走行時に急減圧制御が長時間に亘って実
行されて制動力が不足するという事態を生じることな
く、低μ路において車輪がロック状態となるのを効果的
に防止することができる。
【0045】また、上記急減圧制御を終了するか否かの
判断基準となる減速度閾値のマップを2種類設け、急減
圧制御の実行時点における路面の摩擦係数μに応じて上
記マップから特定の閾値を読出すことにより、高μ路の
走行時に急減圧の制御状態になった場合には、低μ路の
走行時に急減圧の制御状態になった場合に比べ、急減圧
制御を終了するタイミングを遅らせるようにした構成に
よると、高μ路の走行状態において高い状態にあったブ
レーキ圧を十分に減圧して車輪のロックを効果的に防止
できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスリップ制御装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図2】上記スリップ制御装置を備えた車両の全体構成
図である。
【図3】上記スリップ制御装置における摩擦係数の推定
動作を示すフローチャートである。
【図4】上記スリップ制御装置の制御動作を示すタイム
チャートである。
【図5】上記スリップ制御装置における急減圧制御動作
を示すフローチャートである。
【図6】上記急減圧制御用のスリップ率閾値を示すマッ
プである。
【図7】上記急減圧制御用の第1減速度閾値を示すマッ
プである。
【図8】上記急減圧制御用の第2減速度閾値を示すマッ
プである。
【符号の説明】
1〜4 車輪 15 ブレーキ制御システム(ブレーキ圧調節手段) 33 路面状態推定手段 34 閾値記憶手段 35 閾値読出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 晴樹 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−95746(JP,A) 特開 昭60−191861(JP,A) 特開 平1−122764(JP,A) 特開 昭62−149546(JP,A) 特開 平3−167059(JP,A) 特公 昭51−4225(JP,B1) 特公 昭49−2833(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行状態を検出する検出手段と、
    ブレーキ圧を調節するブレーキ圧調節手段とを有し、車
    両の走行状態に応じてブレーキ圧を調節することによっ
    て車輪がロックするのを防止する車両のスリップ制御装
    置において、 上記検出手段の検出信号に応じて車輪が急激なロック傾
    向にあることが確認された場合に、ブレーキ圧を急減圧
    させるように上記ブレーキ圧調節手段を制御する制御手
    段と、この急減圧制御を終了させるか否かの判断基準と
    なる各種の閾値を記憶する閾値記憶手段と、上記検出手
    段の検出信号に応じて走行路面の摩擦係数を推定する路
    面状態推定手段と、この路面状態推定手段の出力信号に
    応じて走行路面が低μ路であることが確認された場合
    に、高μ路の走行時に比べて急減圧制御の終了時期を遅
    らせるように設定された閾値を上記閾値記憶手段から読
    出す閾値読出手段を備えたことを特徴とする車両のスリ
    ップ制御装置。
  2. 【請求項2】 走行路面の摩擦係数を推定する路面状態
    推定手段の出力信号に応じて急減圧制御に移行した時点
    における摩擦係数を判別し、高μ路の走行時に急減圧の
    制御状態となったことが確認された場合に、低μ路の走
    行時に急減圧状態となった場合に比べて急減圧制御の終
    了時期を更に遅らせるように設定された閾値を読出すよ
    うに構成したことを特徴とする請求項1記載の車両のス
    リップ制御装置。
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