JP3221696B2 - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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JP3221696B2
JP3221696B2 JP24127791A JP24127791A JP3221696B2 JP 3221696 B2 JP3221696 B2 JP 3221696B2 JP 24127791 A JP24127791 A JP 24127791A JP 24127791 A JP24127791 A JP 24127791A JP 3221696 B2 JP3221696 B2 JP 3221696B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪のブレーキ圧を制
御することによって車輪のスリップを制御するアンチス
キッド制御手段を備えて成る車両のスリップ制御装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開昭57-130754 号公
報に開示されている様に、制動時に、過大ブレーキ圧に
より車輪がロック状態となってスリップし制動性や方向
安定性等が損なわれるのを防止するため、車輪のブレー
キ圧を制御して車輪のスリップ率を適宜制御するアンチ
スキッド制御が知られている。上記ブレーキ圧制御は、
通常増圧フェーズや減圧フェーズ等の制御フェーズが設
定され、該制御フェーズに基づいてブレーキ圧を適宜増
減することにより行なわれる。
【0003】上記アンチスキッド制御においては、通
常、制御の精度を向上させるため、路面状況に応じて適
宜各種の制御しきい値(各制御フェーズへの移行を判定
するためのしきい値)を決定し、この制御しきい値に基
づいて各制御フェーズへの移行、即ちブレーキ圧の増減
が行なわれる。しかるに、路面状況、典型的には路面摩
擦係数(路面μ)はアンチスキッド制御によりブレーキ
圧の増減を行なった状況下での車輪速変化状態に基づい
て推定される。従って、制御開始初期はその様な実際の
路面状況を知ることができないので、予め設定された固
定路面情報(路面μ等の路面状況に関する情報)に基づ
いて決定された制御しきい値に基づいて制御を行ない
(初期制御段階)、その後はアンチスキッド制御下で得
られた実際の路面情報に基づいて決定された制御しきい
値に基づいて制御を行なう(継続制御段階)ことが考え
られている。
【0004】上記初期制御段階においては、通常は、車
輪減速度やスリップ率に基づいてロック傾向になった旨
のロック判定をおこない、該ロック判定を行ったら例え
ば保持フェーズを介して減圧フェーズに移行し、該減圧
フェーズにおいてブレーキ圧を減少させてロックの進行
を阻止することが考えられるが、状況によっては、保持
フェーズから増圧フェーズに移行する方が望ましい場合
もある。例えば、低μ路走行中にロック判定がなされ、
それによって制御を開始して保持フェーズに入ったが、
その保持フェーズの途中に走行路面が高μ路となり、そ
れによって一旦発生しかかったロックが収まり、取り敢
えずロックの可能性がなくなったような場合には、最早
減圧する必要はなく、従って本来の制動を実現すべく、
増圧フェーズに移行することが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、増圧フェー
ズに移行するとやがては再びロック傾向となり、そのロ
ックの進行を阻止すべく減圧フェーズに移行することと
なる。しかしながら、初期制御段階の場合には、上述の
ように未だ路面状況が正確に把握されておらず、従って
車輪減速度やスリップ率の大きさのみからは真にロック
傾向になったか否かを正確に判定することが困難であ
り、その結果ロック傾向になったと判定して減圧して
も、本当は未だ直ちに大きなロックになりそうな状況で
はなく、因ってその減圧は本来未だ必要のない無駄な減
圧であり、それによって制動距離が大きくなってしまう
という問題がある。
【0006】本発明の目的は、上記事情に鑑み、上記の
如き初期制御段階における無駄な減圧に起因する制動性
の低下を回避することのできる車両のスリップ制御装置
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明にあっては次のような構成としてある。すな
わち、車輪のブレーキ圧を制御することによって車輪の
スリップを制御すると共に、制御中の車輪挙動に基づい
て実際の路面に応じた路面情報を推定するアンチスキッ
ド制御手段を備え、前記アンチスキッド制御手段が、車
輪挙動と所定の制御しきい値との比較により、制動力保
持フェーズと増圧フェーズと減圧フェーズの各制御フェ
ーズを選択的に実行するように構成され、かつ制御開始
から最初の減圧後の制動力保持フェーズを経過するまで
の間はあらかじめ設定された固定路面情報に基づいて前
記制御しきい値を決定し、当該減圧後の保持フェーズを
通過した後は、実際の路面に応じた路面情報に基づいて
上記制御しきい値を決定するように構成されている車両
のスリップ制御装置であって、前記アンチスキッド制御
手段が、所定の制御開始条件成立時に、前記制動力保持
フェーズが最初に実行されるように構成されていると共
に、前記制動力保持フェーズ中に車輪のスリップ量が所
定値より小さくなったときは増圧フェーズに移行する一
方、該制動力保持フェーズ中にスリップ量が上記所定値
より大きくなったときに減圧フェーズに移行し、該減圧
フェーズ中において車輪減速度が所定減速度以下になっ
たときに制動力保持フェーズに移行するように構成さ
れ、さらに、前記制御開始時に実行される制動力保持フ
ェーズの直後に実行される増圧フェーズからは、前記制
動力保持フェーズと減圧フェーズとのうち制動力保持フ
ェーズのみに移行するように構成される一方、前記減圧
後の制動力保持フェーズを経過した後に実行される増圧
フェーズからは、車輪のスリップ状態に応じて前記制動
力保持フェーズと減圧フェーズとを選択して移行するよ
うに構成されている、ような構成としてある。
【0008】上記初期制御段階では増圧フェーズの直後
に必ず保持フェーズに移行させる場合において、上記継
続制御段階では、増圧フェーズから保持フェーズおよび
減圧フェーズのいずれにも移行させ得るように構成する
ことができる。
【0009】
【作用】前述のように、初期制御段階は路面μが不明で
あり、車輪減速度やスリップ率の大きさのみからは正確
なロック予測が困難である。従って、増圧フェーズにお
いて車輪減速度等によりロック傾向になったと判定して
もその判定は必ずしも正確ではなく、その結果ロック傾
向判定時点においては未だ直ちに減圧が必要ではなく、
もし減圧すると無駄な減圧であり、制動性の低下につな
がる場合があり得る。
【0010】しかるに、上記のように、もし増圧フェー
ズを設定した場合その増圧フェーズの後は必ず保持フェ
ーズとすれば、該保持フェーズの状態で車輪の挙動を観
察し、その観察結果を参照することにより路面μが不明
であってもある程度正確なロック傾向判定を行うことが
可能となり、それによって真に減圧が必要な場合にのみ
減圧フェーズに移行させることができ、そうすることに
よって無駄な減圧を避けて制動性の低下を回避すること
ができる。
【0011】また、初期制御段階においては増圧フェー
ズの後は必ず保持フェーズとするが、継続制御段階にお
いては最早実際の路面状況が正確に把握されているので
正確なロック傾向判定が可能となり、従ってロック傾向
判定をした場合には直ちに減圧制御を行っても問題はな
く、よって増圧フェーズの後保持フェーズのみでなく減
圧フェーズへの移行も許容し、それによって制御の自由
度が向上し、種々の状況に対してそれぞれ適切な対応が
可能となり、制御の精度が向上する。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例に
ついて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を備え
た車両の平面概略図である。
【0013】<スリップ制御装置の構成>図1に示すよ
うに、本実施例を備えた車両は、左右の前輪1,2が従
動輪、左右の後輪3,4が駆動輪とされ、エンジン5の
出力トルクが自動変速機6からプロペラシャフト7、差
動装置8および左右の駆動軸9,10を介して左右の後輪
3,4に伝達される。
【0014】上記各車輪1〜4には、これらの車輪1〜
4と一体的に回転するディスク11a〜14a と、制動圧
(ブレーキ圧)の供給を受けてこれらのディスク11a 〜
14a の回転を制動するキャリパ11b 〜14b 等で構成され
るブレーキ装置11〜14がそれぞれ設けられていると共
に、これらのブレーキ装置11〜14を制御するブレーキ制
御システム15が設けられている。
【0015】ブレーキ制御システム15は、運転者による
ブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装置17と、
この倍力装置17によって増大された踏込力に応じた制動
圧を発生させるマスターシリンダ18とを有する。そし
て、このマスターシリンダ18から導かれた前輪用制動圧
供給ライン19が2経路に分岐され、これらのライン19
a,19b が左右の前輪1,2におけるブレーキ装置11,1
2のキャリパ11b ,12b にそれぞれ接続されていると共
に、左前輪1のブレーキ装置11に通じる一方のライン19
a には、電磁式の開閉弁20a と電磁式のリリーフ弁20b
とからなる第1バルブユニット20が設置され、また右前
輪2のブレーキ装置12に通じる他方のライン19b にも、
上記第1バルブユニット20と同様に、電磁式の開閉弁21
aと電磁式のリリーフ弁21b とからなる第2バルブユニ
ット21が設置されている。
【0016】一方、上記マスターシリンダ18から導かれ
た後輪用制動圧供給ライン22には、上記第1、第2バル
ブユニット20,21と同様に、電磁式の開閉弁23a と電磁
式のリリーフ弁23b とからなる第3バルブユニット23が
設置されていると共に、この後輪用制動圧供給ライン22
は、上記第3バルブユニット23の下流側で2経路に分岐
され、これらの後輪用分岐制動圧ライン22a ,22b が左
右の後輪3,4におけるブレーキ装置13,14のキャリパ
13b ,14b にそれぞれ接続されている。
【0017】すなわち、本実施例におけるブレーキ制御
システム15は、上記第1バルブユニット20の作動によっ
て左前輪1におけるブレーキ装置11の制動圧を可変制御
する第1チャンネルと、第2バルブユニット21の作動に
より右前輪2におけるブレーキ装置12の制動圧を可変制
御する第2チャンネルと、第3バルブユニット23の作動
によって左右の後輪3,4における両ブレーキ装置13,
14の制動圧を可変制御する第3チャンネルとが設けら
れ、これら第1〜第3チャンネルが互いに独立してアン
チスキッド制御されるようになっている。
【0018】上記ブレーキ制御システム15には上記第1
〜第3チャンネルをアンチスキッド制御するアンチスキ
ッド制御手段であるコントロールユニット24が備えら
れ、このコントロールユニット24は、ブレーキペダル16
のON/OFFを検出するブレーキスイッチ25からのブ
レーキ信号と、各車輪の回転速度をそれぞれ検出する車
輪速センサ26〜29からの車輪速信号とが入力され、これ
らの信号に応じた制動圧制御信号を第1〜第3バルブユ
ニット20,21,23にそれぞれ出力することにより、左右
の前輪1,2および後輪3,4のスリップに対するアン
チスキッド制御を第1〜第3チャンネルごとに並行して
行う。すなわち、コントロールユニット24は、上記各車
輪速センサ26〜29からの車輪速信号が示す車輪速に基づ
いて上記第1〜第3バルブユニット20,21,23における
開閉弁20a ,21a ,23a とリリーフ弁20b ,21b ,23b
とをそれぞれデューティ制御によって開閉制御すること
により、スリップの状態に応じた制動圧で前輪1,2お
よび後輪3,4に制動力を付与する。なお、第1〜第3
バルブユニット20,21,23における各リリーフ弁20b,2
1b ,23b から排出されたブレーキオイルは、図示しな
いドレンラインを介して上記マスターシリンダ18のリザ
ーバタンク18a に戻される。
【0019】なお、アンチスキッド非制御状態において
は、上記コントロールユニット24からは制動圧制御信号
が出力されず、したがって図示のように第1〜第3バル
ブユニット20,21,23におけるリリーフ弁20b ,21b ,
23b がそれぞれ閉保持されると共に開閉弁20a ,21a ,
23a がそれぞれ開保持され、ブレーキペダル16の踏込力
に応じてマスターシリンダ18で発生した制動圧が各制動
圧供給ライン19,22を介して各車輪のブレーキ装置11〜
14に対して供給され、これらの制動圧に応じた制動力が
各車輪1〜4に対して直接に付与される。
【0020】<アンチスキッド制御の概要>次に、上記
コントロールユニット24が行なうアンチスキッド制御の
概要を説明する。
【0021】[FABS .FLOK .FCON ]以下の説明に
おいては、アンチスキッド制御フラグFABS 、ロックフ
ラグFLOK 、継続制御フラグFCON が用いられる。
【0022】FABS はアンチスキッド制御中か否かを示
し、FABS =0は非制御中、FABS =1は制御中を示
す。FABS は、以下に述べるいずれかのチャンネルのF
LOK が1にセットされたときに1にセットされ、ブレー
キスイッチ25のONからOFFへの切換等の所定のアン
チスキッド制御終了条件が満たされたときに0にリセッ
トされる。
【0023】FLOK は各チャンネル毎に設定され、それ
ぞれのチャンネルの車輪がロック状態に入ったか否かを
示す。FLOK =0は非ロック状態を示し、FLOK =1は
ロック状態を示す。所定のロック判定条件に基づいて各
チャンネルの車輪がロック状態に入ったと判定されたと
きに、そのチャンネルのFLOK が1にセットされる。ロ
ック判定については後述する。各チャンネルの車輪がロ
ック状態に入ったと判定された場合、そのチャンネルは
アンチスキッド制御が開始される。従って、いずれかの
チャンネルのFLOK が1にセットされると、上述の様に
ABS は1にセットされる。
【0024】なお、FLOK は各チャンネル毎に設定さ
れ、従って各チャンネル別を表わすためにFLOK1、F
LOK2、FLOK3の様に添字1,2,3が付される。FLOK
以外にも各チャンネ毎に設定されるものについては同様
に添字1,2,3が付される。
【0025】FCON は各チャンネル毎に設定され、それ
ぞれのチャンネルのアンチスキッド制御が初期制御段階
(非制御状態を含む)か継続制御段階かを示す。FCON
=0は初期制御段階もしくは非制御状態を示し、FCON
=1は継続制御段階を示す。即ち、本アンチスキッド制
御においては、制御の精度を向上させるため、路面μに
応じて決定された各種の制御しきい値に基づいてブレー
キ圧の増減制御が行なわれる。その場合、路面μは以下
に述べる様にアンチスキッド制御下での車輪速変化状態
に基づいて推定される。従って、制御開始初期はその様
な実際の走行路面μを知ることができないので、路面μ
は高μであると仮定し、高μであるということに基づい
て決定された制御しきい値に基づいて制御を行ない、こ
の初期制御を行なって実際の路面μが得られるようにな
ったら、継続制御段階移行判定部を構成するコントロー
ルユニット24が初期制御段階から継続制御段階に移行す
ると判定し、それによってFCON は1にセットされ、上
記推定した路面μに基づいて決定された制御しきい値に
基づいて継続制御が行なわれる。
【0026】[車輪加速度および減速度の算出]コント
ロールユニット24は、上記センサ26〜29からの信号が示
す車輪速に基づいて各車輪ごとの加速度および減速度を
それぞれ算出する。コントロールユニット24は、車輪速
の前回値に対する今回値の差分をサンプリング周期Δt
(例えば7ms)で除算し、その結果を重力加速度に換算
した値を今回の加速度ないし減速度として更新する。
【0027】また、コントロールユニット24は、上記第
3チャンネル用の車輪速および加減速度を代表させる後
輪3,4を選択する。本実施例においては、スリップ時
における後輪3,4の両車輪速センサ28,29の検出誤差
を考慮して両車輪速のうちの小さいほうの車輪速が後輪
車輪速として選択され、また該車輪速から求めた加速度
および減速度が後輪加速度および後輪減速度として選択
される。
【0028】[悪路判定]また、コントロールユニット
24は走行路面が悪路か否かを判定する。この悪路判定処
理は、例えば次のように実行される。つまり、コントロ
ールユニット24は、例えば後輪3,4の減速度ないし加
速度が一定時間内に所定の上限値もしくは下限値を超え
た回数が設定値以内ならば悪路でないと判定して悪路フ
ラグFAKR を0に維持し、加速度および減速度を示
す値が一定時間内に上記上限値および下限値を超えた回
数が設定値以上ならば悪路であると判定して悪路フラグ
AKR を1にセットする。
【0029】[スリップ率の算出]コントロールユニッ
ト24は、上記車輪速センサ28,29からの信号から求めた
後輪車輪速および上記各車輪速センサ26,27からの信号
が示す左右の各前輪1,2の車輪速と擬似車体速(擬似
車体速はコントロールユニット24が算出するが、これに
ついては後述する)とから、第1〜第3チャンネルのそ
れぞれについてスリップの程度を示すスリップ率を算出
する。本実施例では、次の関係式、 スリップ率=(車輪速/擬似車体速)×100 を用いてスリップ率が算出される。つまり、擬似車体速
に対する車輪速の偏差が大きくなるほどスリップ率が小
さくなって、当該車輪のスリップ傾向が大きくなる。
【0030】「路面摩擦係数(路面μ)の推定」
【0031】コントロールユニット24は、各チャンネル
毎に逐次路面μの推定を行ってそれを更新する。この路
面μの推定は、FABS=0のときは、上述の様に路面μ
の推定ができないので、路面μ値MU1=3(3は高摩
擦路面を示す)とする。
【0032】FABS=1のときは各推定時前の車輪減速
度DW1と車輪加速度AW1とに基づいて、MU1がMU1
=1(1は低摩擦路面を示す)、MU1=2(2は中摩
擦路面を示す)、MU1=3のどれに相当するか推定す
る。
【0033】なお、FABS =1のときであっても、路面
μの推定ができないあるいは推定精度が低い初期制御段
階の間は、路面は高摩擦路面であると仮定し、MU1
予め設定された固定値である3にセットされる。また、
悪路(FAKR =1)の場合もMU1 は自動的に3にセッ
トされる。これは、悪路のときはロック気味で制御した
方がより制動性を高めることができるので、ロック気味
で制御するため路面を高摩擦路面と仮定したものであ
る。
【0034】[擬似車体速の算出]コントロールユニッ
ト24は擬似車体速を算出する。擬似車体速の算出処理
は、例えば図3のフローチャートに従って次のように行
なわれる。すなわち、コントロールユニット24は、T1
で各種データを読み込み、T2で上記センサ26〜29から
の信号が示す車輪速W1 〜W4 の中から最高車輪速WMX
を決定し、T3で該車輪速WMXのサンプリング周期Δt
あたりの車輪速変化量ΔWMXを算出する。
【0035】次いで、T4において図4に示すマップか
ら代表摩擦係数値MU(MU1 ,MU2 ,MU3 の最小
値)に対応する車体速補正値CVRを読み出し、T5で上
記車輪速変化量ΔWMXがこの車体速補正値CVR以下か否
かを判定する。そして、車輪速変化量ΔWMXが上記車体
速補正値CVR以下のときは、T6で擬似車体速VR の前
回値から上記車体速補正値CVRを減算した値を今回値に
置き換える。したがって、擬似車体速VR が上記車体速
補正値CVRに応じた所定の勾配で減少することになる。
【0036】一方、上記T5において車輪速変化量ΔW
MXが車体速補正値CVRより大きいと判定したとき、すな
わち上記最高車輪速WMXが過大な変化を示したときに
は、T7において擬似車体速VR から最高車輪速WMX
減算した値が所定値V0 以上か否かを判定する。つま
り、最高車輪速WMXと擬似車体速VR との間に大きな開
きがないかどうかを判定する。そして、大きな開きがな
いときには、上記T6に進んで擬似車体速VR の前回値
から上記車体速補正値CVRを減算した値を今回値に置き
換える。また、最高車輪速WMXと擬似車体速VR との間
に所定値V0 より大きな開きが生じたときには、T7か
らT8に進んで最高車輪速WMXを擬似車体速VR に置き
換える。
【0037】このようにして、当該車両の擬似車体速V
R が各車輪速W1 〜W4 に応じてサンプリング周期Δt
ごとに更新されていく。
【0038】[制御フェーズの設定]上記コントロール
ユニット24は、上記第1〜第3バルブユニット20,21,
23に対する制御量を規定するための制御フェーズ設定処
理を行なう。該制御フェーズ設定処理の概略を説明する
と、コントロールユニット24は、当該車両の運転状態に
応じて設定したそれぞれの制御しきい値(制御しきい値
については後に詳述する)と車輪加減速度やスリップ率
との比較によって、アンチスキッド非制御状態を示すフ
ェーズ0、アンチスキッド制御時における増圧状態を示
すフェーズ1、増圧後の保持状態を示すフェーズ2、減
圧状態を示すフェーズ3および減圧後の保持状態を示す
フェーズ5を選択する。
【0039】そして、コントロールユニット24は、各チ
ャンネルごとに設定されたフェーズ値に応じた制御量を
設定した上で、その制御量に従った制動圧制御信号を第
1〜第3バルブユニット20,21,23に対してそれぞれ出
力する。これにより、第1〜第3バルブユニット20,2
1,23の下流側における前輪用分岐制動圧ライン19a ,1
9b および後輪用分岐制動圧ライン22a ,22b の制動圧
が、増圧あるいは減圧したり、増圧もしくは減圧後の圧
力レベルに保持されたりする。
【0040】[制御しきい値の設定]上記コントロール
ユニット24は、上記第1〜第3チャンネルのブレーキ圧
制御に用いる各種の制御しきい値を設定する。制御しき
い値の設定処理は、図5のフローチャートに従って次の
ように行なわれる。なお、この制御しきい値の設定処理
は、各チャンネルごとに独立して行なわれることになる
が、ここでは左前輪用の第1チャンネルに対する設定処
理について説明する。
【0041】コントロールユニット24は、まずU1で各
種データを読み込み、U2において、図6に示す予め設
定したパラメータ選択テーブルから、摩擦係数値MU1
と疑似車体速VR とに応じたパラメータを選択する。摩
擦係数値MU1 =1で疑似車体速VR が中速域のとき
は、上記パラメータとして中速低摩擦路面用のLM2が
選択される。また、コントロールユニット24は、悪路
(FAKR =1)である場合、図6に示すように、疑似車
体速VR のみに応じたパラメータを選択し、このパラメ
ータは摩擦係数値MU1 =3の場合のパラメータと同一
に設定されている。つまり、例えば疑似車体速VR が中
速域に属するときには、上記パラメータとして中速高摩
擦路面用のHM2が強制的に選択される。これは、悪路
走行時においては上述の様にMU1 は自動的に3にセッ
トされるからである。
【0042】パラメータの選択が終了すると、U3に進
んで図7に示す制御しきい値テーブルから上記選択した
パラメータに対応する制御しきい値をそれぞれ読み出
す。ここで、制御しきい値としては、図7に示すよう
に、フェーズ1からフェーズ2への移行判定用の1−2
中間減速度しきい値B′12、フェーズ2からフェーズ3
への移行判定用の2−3中間スリップ率しきい値
B′SG、フェーズ3からフェーズ5への移行判定用の3
−5中間減速度しきい値B′35、フェーズ5からフェー
ズ1への移行判定用の5−1中間スリップ率しきい値
B′SZおよびフェーズ1からフェーズ3への移行判定用
の1−3中間スリップ率しきい値B′ZGと1−3中間減
速度しきい値B′13などが、各パラメータ毎にそれぞれ
設定されている。この場合、制動力に大きく影響する減
速度しきい値は、路面μが大きいときのブレーキ性能と
路面μが小さいときの制御の応答性とを高水準で両立す
るために、摩擦係数値MU1 のレベルが小さくなるほ
ど、つまり路面μが小さくなるほど0Gに近づくように
設定されている。
【0043】そして、コントロールユニット24は、上記
パラメータとして中速低摩擦路面用のLM2を選択して
いるときには、図7の制御しきい値テーブルにおけるL
M2の欄に示すように、B′12,B′SG,B′35,B′
SZ,B′ZG,B′13として、-0.5G,90%,0G,90
%,85%,-1.0Gの各値をそれぞれ読み出す。
【0044】次に、U4で摩擦係数値MU1 =3である
か否かを判定し、MU1 =3のときはU5でFAKR =1
であるか否かを判定し、FAKR =1のときは、U6で悪
路時における制御しきい値の補正処理を行なう。この補
正処理は、例えば図8に示した最終しきい値テーブルに
基づいて行なわれ、コントロールユニット24は、1−2
中間減速度しきい値B′12および1−3中間減速度しき
い値B′13から1.0 Gを減算した値を最終1−2減速度
しきい値B12および最終1−3減速度しきい値B13とし
てセットし、また2−3中間スリップ率しきい値
B′SG、5−1中間スリップ率しきい値B′SZおよび1
−3中間スリップ率しきい値B′ZGからそれぞれ10%を
減算した値を最終2−3スリップ率しきい値BSG、最終
5−1スリップ率しきい値BSZおよび最終1−3スリッ
プ率しきい値BZGとしてセットし、3−5中間減速度し
きい値B′35はそのまま最終3−5減速度しきい値B35
としてセットする。これは、悪路走行時には車輪速セン
サ26〜29が誤検出を生じやすいため、制御の応答性を遅
らせて良好な制動性を確保するためである。MU1
1,2およびMU1 =3でFAKR =0の場合は、各中間
しきい値がそのまま最終しきい値としてセットされる。
なお、第2、第3チャンネルについても、同様にして制
御しきい値が設定される。
【0045】[ロック判定]コントロールユニット24
は、各チャンネル毎に車輪がロック状態になったか否か
を判定する。例えば左前輪用の第1チャンネルに対する
ロック判定においては、コントロールユニット24は、ま
ず第1チャンネル用の継続フラグFCON1の今回値を前回
値としてセットし、次に疑似車体速VR と車輪速W1
が所定の条件(例えば、V<5Km/H、W1 <2.5Km /
H)を満足するか否かを判定し、これらの条件を満足す
るときに継続フラグFCON1およびロックフラグFLOK1
それぞれ0にリセットする一方、満足していなければロ
ックフラグFLOK1が1にセットされているか否かを判定
する。ロックフラグFLOK1が1にセットされていなけれ
ば、予め設定されたロック判定条件を満たしたとき(本
実施例では車輪減速度DW1 ≦-3.0Gを満たしたとき)
にロック状態になったと判定し、FLOK1を1にセットす
る。なお、第2、第3チャンネルに対しても同様にして
ロック判定処理が行なわれる。
【0046】<基本制御の概要>図9および図10は本発
明にかかるアンチスキッド制御の一実施例を示すフロー
チャートである。この実施例は、基本制御部分と増圧関
連制御部分とから成る。本実施例における基本制御は、
増圧フェーズ1、増圧後の保持フェーズ2、減圧フェー
ズ3および減圧後の保持フェーズ5をこの順に進むサイ
クルを繰り返す制御(ただし、最初の第1サイクルは増
圧後の保持フェーズ2から始まる)として構成されてい
る。図9および図10のフローチャートのうちQ12, Q1
3、Q14およびQ15、Q26は増圧関連制御のためのステ
ップであり、これらのステップを削除した状態、即ちQ
5のNOから直接Q4に戻り、またQ2のNOから直接
Q16に進む制御が基本制御である。かかる基本制御につ
いて、第1チャンネルの場合を例にとって図9および図
10のフローチャートに従って説明する。
【0047】コントロールユニット24は、Q1で各種デ
ータを読み込み、Q2でFABS =0か否かを判定し、F
ABS =0のときはQ3で車輪減速度DW1 が−3.0 G以
下か否かを判定する。−3.0 Gより大のときはリターン
に進み、−3.0 G以下になったら前述の様にロック判定
を行ない、アンチスキッド制御を開始してFABS を1に
セットし、初期制御段階に入る。即ち、DW1 が−3.0
G以下になったらQ4で制御フェーズ値P1 を2にセッ
トして増圧後の保持フェーズに移行する。
【0048】続いて、Q5でスリップ率S1 が2−3ス
リップ率しきい値BSGより小さいか否かを判定する。上
述のように図9中のQ12, Q13、Q14は増圧関連制御の
ためのステップであり、基本制御ではこのQ12, Q13、
Q14を除いてQ5のNOから直接Q4に戻る。従って、
基本制御においては上記Q5でS1 がBSG以上である間
はQ4に戻って上記保持フェーズを維持し、小になった
時点でQ6に進み、P1 を3にセットして減圧フェーズ
に移行する。
【0049】上記の様にQ6の減圧フェーズに移行した
ら、Q7でDW1 が3−5減速度しきい値B35(0G)
に到達したか否かを判定し、DW1 が0Gになった時点
でQ8に進んでP1 を5にセットし、減圧後の保持フェ
ーズに移行する。続いて、Q9でスリップ率S1 が90%
より大か否かを判定し、大になるまでフェーズ値P1
5に維持し、90%より大になった時点でQ10に進み、P
1 を1にセットして増圧フェーズに移行する。Q9にお
ける判定は保持フェーズ5から増圧フェーズ1への移行
判定であるのでしきい値としてBSZを用いても良いが、
本実施例ではQ10の判定は継続制御段階移行判定を兼ね
ている関係上、特にしきい値として予め設定した90%と
いう固定値を使用している。
【0050】上記増圧フェーズ1への移行と同時にQ11
においてFCON1が1にセットされる。つまり、上記Q8
での減圧後の保持フェーズ終了までが上記初期制御段階
であり、Q10で増圧フェーズに移行した時点からは上記
継続制御段階に移行する。なお、上記初期制御段階にお
いては、上述の様に摩擦係数値MU1 は予め設定された
固定値3にセットされており、従ってMU1 =3という
条件の下に選定された各種制御しきい値に従って上記制
御が行なわれ、以後の継続制御段階においては、DW1
およびAW1 に基づいて実際に推定したMU1 の下に選
定された各種制御しきい値に従って制御が行なわれる。
【0051】上記Q11まで進んで継続制御段階に移行し
たら、Q1に戻ってQ2に進み、この時点で既にFABS
=1となっているのでQ2においてNOであり、しかる
に上述の様にQ15は増圧関連制御のためのステップであ
り、基本制御ではQ2のNOから直接Q16に進み、そこ
でDW1 がB12より小か否かを判定し、小になるまで増
圧フェーズを維持すると共に小になった時点でQ17に進
みそこでP1 を2にセットして増圧後の保持フェーズに
移行する。
【0052】次いで、Q18でS1が2−3スリップ率し
きい値BSGより小さいか否かを判定し、小となった時点
でQ15に進み、P1を3にセットして減圧フェーズに移
行する。次いでQ20でDW1が3−5固定減速度しきい
値B35(B35=0G)に到達したか否かを判定し、到達
した時点でQ21に進んでP1を5にセットし、減圧後の
保持フェーズに移行する。次いでQ22でS1が5−1ス
リップ率しきい値BSZを越えたか否かを判定し、越えた
時点でQ23に進んでP1を1にセットし、増圧フェーズ
に移行する。次いでQ24でアンチスキッド制御が終了し
たか否かを判定し、終了していなければリターンに進ん
でさらにQ15〜Q24を繰り返し、終了であればQ25に進
んでFABSを0にリセットした後リターンに進む。な
お、アンチスキッド制御の終了条件は、前述したように
ブレーキスイッチのONからOFFへの変更等である。
【0053】次に第1チャンネルに対する上記制御につ
いて図2を参照しながらさらに具体的に説明する。減速
時のアンチスキッド非制御状態において、ブレーキペダ
ル16の踏込操作によってマスターシリンダ18で発生した
制動圧が徐々に増圧し、例えば図2(c)に示すように
左前輪1の車輪減速度DW1が−3Gに達したときに
は、同図(a)に示すようにFLOK1が1にセットされ、
当該時刻taからアンチスキッド制御を開始してP1=2
(保持フェーズ)とし、制動圧が保持される。この制御
開始直後の初期制御段階においては、上記したようにM
U1=3にセットされていることから、コントロールユ
ニット24は、FAKRが1にセットされておらずかつ上記
擬似車体速VRが例えば中速域に属するときには、制御
パラメータとして図6に示すテーブルから中速高摩擦路
面用のHM2を選択すると共に、このパラメータに従っ
て図7に示した制御しきい値設定テーブルから各種の制
御しきい値を読み出し、これに基づいて最終的な制御し
きい値を決定する。
【0054】そして、コントロールユニット24は、上記
車輪速W1 から算出したS1 、DW1 、AW1 と上記各
種の制御しきい値とを比較し、S1 が2−3スリップ率
しきい値BSGより小になったらP1 =3(減圧フェー
ズ)として第1バルブユニット20のリリーフ弁20b を所
定のデューティ率に従ってON/OFFさせる。これに
より、同図(e) に示すように、当該時刻tb から制動圧
が所定の勾配で減少して制動力が徐々に低下し、前輪1
の回転力が回復し始める。そして、さらに制動圧の減圧
が続いてDW1 が3−5減速度しきい値B35(0G)ま
で回復したらP1 =5(減圧後の保持フェーズ)とし、
当該時刻tc から制動圧が減圧後のレベルで維持され
る。
【0055】そして、フェーズ5の状態が続いてS1
上述の固定値90%を超えるとP1 =1(増圧フェーズ)
として制動圧を増圧し、かつ同図(b) に示すようにF
CON1を1にセットして初期制御段階から継続制御段階に
移行する。このフェーズ1への移行直後には、第1バル
ブユニット20の開閉弁20b が、初期制御段階におけるフ
ェーズ5の持続時間に基づいて設定された初期急増圧時
間TPZに応じて100 %のデューティ率で開閉され、同図
(e) に示すように制動圧が急勾配で増圧される。また、
初期急増圧時間TPZが終了してからは、上記開閉弁20a
が所定のデューティ率に従ってON/OFFされ、制動
圧が上記勾配よりも緩かな勾配に従って徐々に上昇す
る。このように、継続制御段階への移行直後において
は、制動圧が確実に増圧されるので良好な制動力が確保
される。
【0056】継続制御段階に移行後は、基本的に図示の
様なフェーズ1,2,3,5という変化が周期的に繰り
返される。なお、継続制御段階においては、実際の路面
状態を示すMU1 に応じて制御しきい値が選択されるの
で、路面状態に応じた緻密な制動圧の制御が行なわれ
る。
【0057】<増圧関連制御>上記コントロールユニッ
ト24は、上記の基本制御に加えて増圧関連制御を行う。
この増圧関連制御は、上記基本制御以外の制御であって
増圧フェーズに関連する制御である。本実施例では、上
記増圧関連制御は上記初期制御段階と上記継続制御段階
の双方において行われる。
【0058】先ず、初期制御段階における増圧関連制御
について説明する。初期制御段階においては、増圧関連
制御として、上記Q5のNOからQ4に戻る経路中にQ
12,Q13、Q14のステップを設け、それにより増圧フェ
ーズを設定するとともに該増圧フェーズの後は必ず保持
フェーズに移行する制御が行われる。
【0059】即ち、図9のフローチャートに示すよう
に、アンチスキッド制御を開始してQ4の保持フェーズ
に移行した後、Q5でS1 がBSGよりも小か否かを判定
し、S1 がBSG以上である間はQ12に進んでDW1 が−
3.0 G以下か否かを判定し、DW1 が−3.0 G以下の時
はそのままQ4に戻って保持フェーズを維持する(上記
Q3において既にDW1 は−3.0 G以下と判定されてい
るので通常はこのQ12の判定時点では未だDW1 は−3.
0 G以下であり、こちらの経路を通ることとなる。そし
てこちらの経路が上記基本制御に該当する)。しかしな
がら、Q12でDW1 が−3.0 Gより大になった場合には
Q13に進み、そこでP1 を1にセットして増圧フェーズ
に移行する。そして、増圧フェーズに移行したらQ14に
進んで再びDW1 が−3.0 G以下か否かを判定し、−3.
0 Gより大である限りは増圧フェーズを維持し、−3.0
G以下になったらQ4に戻って保持フェーズに移行す
る。
【0060】前述のように、例えば低μ路走行中にロッ
ク判定がなされ、それによって制御を開始して保持フェ
ーズに入ったが、その保持フェーズの途中に走行路面が
高μ路となり、それによって一旦発生しかかったロック
が収まり、取り敢えずロックの可能性がなくなったよう
な場合には、最早減圧する必要はなく、従って本来の制
動を実現すべく増圧フェーズに移行することが望まし
い。かかる場合には、Q3で一旦−3.0 G以下になった
DW1 が保持フェーズの間に再び−3.0 Gより大とな
り、従って上記の増圧関連制御によれば、上記Q12でN
OとなってQ13に進み、増圧フェーズへの移行が実現さ
れる。
【0061】さらに、前述のように初期制御段階は路面
μが不明であり、車輪減速度やスリップ率の大きさのみ
からは正確なロック予測が困難であるので、増圧フェー
ズにおいて車輪減速度等によりロック傾向になったと判
定してもその判定が必ずしも正確ではなく、従って、ロ
ック傾向判定時点では未だそれほどロック傾向にはなっ
ておらず、よってその判定時点では未だ減圧は必要な
く、もし減圧するとそれは無駄な減圧であって制動性の
低下につながる場合があり得る。
【0062】しかるに、上記増圧関連制御のようにもし
増圧フェーズに移行した場合その増圧フェーズの後は必
ず保持フェーズに移行するように構成すれば、該保持フ
ェーズの状態で車輪の挙動を観察し、その観察結果を参
照することにより路面μが不明であってもある程度正確
なロック傾向判定を行うことが可能となり、それによっ
て真に減圧が必要な場合にのみ減圧フェーズに移行させ
ることができ、そうすることによって無駄な減圧を避け
て制動性の低下を回避することができる。
【0063】次に、継続制御段階における増圧関連制御
について説明する。継続制御段階においては、増圧関連
制御として上記Q2のNOからQ16に至る経路部分にQ
15、Q26を設け、それによって増圧フェーズの後に増圧
後の保持フェーズのみでなく適宜直接減圧フェーズに移
行し得るように構成されている。
【0064】即ち、図10のフローチャートに示すよう
に、継続制御段階の各サイクルの初めは増圧フェーズと
されるが、その増圧フェーズにおいてはQ15でS1 がB
ZGより大か否かを判定し、BZGより大であればQ16に進
んでDW1がB12より小か否かを判定し、B12以上であれ
ばQ15に戻り、B12ょり小であればQ17に進んで増圧後
の保持フェーズに移行する。また、上記Q15でS1 がB
ZG以下であればQ26に進んでDW1 がB13より小か否か
を判定し、B13以上であればQ15に戻り、B13より小で
あれば増圧後の保持フェーズを経ること無く直ちにQ19
に進み、P1 を3にセットして減圧フェーズに移行す
る。
【0065】つまり、増圧フェーズにおいては、先ずS
1 がBZGより大か否かを判定し、BZGより大である間は
W1がB12より小になるまで増圧フェーズを維持し小に
なった時点で増圧後の保持フェーズに移行する。第2サ
イクルの増圧フェーズへは上記Q9においてS1 が90%
より大になった時点で移行し、また第3サイクル以降の
各増圧フェーズへはそれぞれQ24においてS1 がBSZ
り大になった時点で移行する。そして、上記BZGは、上
述の図7、8に示されているように、上記Q9における
判定値90%およびQ22における判定値BSZと比較してそ
れら以下に設定されており、従って通常はS1 がBZG
下になる前にDW1がB12より小となり、増圧フェーズか
ら保持フェーズに移行し、この場合の制御が上記基本制
御に該当する。
【0066】一方、何等かの原因によりDW1がB12より
小になる前にS1 がBSZ以下になった場合には、Q26に
おいてDW1 がB13より小か否かを判定する。そして、
13は、上述の図7、8に示されているように、B12
りも更に小さい値が設定されており、従ってQ26でDW
1 がB13より小の場合は、上記Q15でS1 がBSZ以下で
あることと相俟ってS1 およびDW1 が相当小さくした
がってスリップ傾向が相当大きい状況であり、よってそ
の場合は保持フェーズに移行すること無く直ちに減圧フ
ェーズに移行する。そして、このように増圧フェーズか
ら通常は保持フェーズに移行するとともに所定の場合は
直ちに減圧フェーズに移行することにより、種々の状況
に対してそれぞれ適した制御が可能となり、高精度の制
御が可能となる。
【0067】<変更態様>本発明にかかる車両のスリッ
プ制御装置は、上記実施例に限定されるものではなく、
その要旨を越えない範囲で種々の変更態様を取ることが
できる。即ち、上記初期制御段階における増圧フェーズ
はどこに設定しても良いつまり増圧フェーズへの移行条
件は適宜に設定することができ、また増圧フェーズから
保持フェーズへの移行条件も適宜に設定することができ
る。また、継続制御段階における増圧フェーズからの移
行先は特に限定されるものではないが、例えば上記実施
例のように保持フェーズと減圧フェーズのいずれかに移
行し得るのが望ましく、その場合のそれぞれのフェーズ
への移行条件は適宜に決定することができる。なお、上
記実施例ではQ26でNOの場合Q15に戻しているが、こ
れはQ16に戻しても良い。
【0068】
【発明の効果】本発明に係る車両のスリップ制御装置に
おいては、上記の様に、初期制御段階では、増圧フェー
ズの直後は必ず保持フェーズに移行せしめられる。従っ
て、路面μが不明であり正確なロック予測が困難な初期
制御段階においても、上記増圧後の保持フェーズの状態
で車輪の挙動を観察し、その観察結果を参照することに
より正確なロック傾向判定を行うことが可能となり、そ
れによって真に減圧が必要な場合にのみ減圧フェーズに
移行させることができ、無駄な減圧を避けて制動性の低
下を回避することができる。
【0069】また、初期制御段階においては増圧フェー
ズの後は必ず保持フェーズとするが、継続制御段階にお
いては増圧フェーズの直後に減圧フェーズにも移行させ
得る様に構成することができる。継続制御段階おいては
最早路面状況が正確に把握されているので正確なロック
傾向判定が可能となり、従ってロック傾向判定をした場
合には直ちに減圧制御を行っても問題はない。従って、
増圧フェーズの後保持フェーズのみでなく減圧フェーズ
への移行も許容することにより、制御の自由度が向上
し、種々の状況に対してそれぞれに適した対応が可能と
なり、制御の精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を備えた車両の全体概略構成
図。
【図2】基本制御を示すタイムチャート。
【図3】擬似車体速の算出手順を示すフローチャート。
【図4】擬似車体速の算出に用いるマップを示す図。
【図5】制御しきい値設定手順を示すフローチャート。
【図6】パラメータ選択テーブルを示す図。
【図7】制御しきい値テーブルを示す図。
【図8】最終しきい値テーブルを示す図。
【図9】基本制御および増圧関連制御の手順を示すフロ
ーチャート。
【図10】基本制御および増圧関連制御の手順を示すフ
ローチャート。
【符号の説明】
1,2,3,4 車輪 24 アンチスキッド制御手段、継続制御段階移行判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 洋治 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−41454(JP,A) 特開 昭56−95746(JP,A) 特開 平1−273759(JP,A) 特開 平1−106763(JP,A) 特開 平3−79461(JP,A) 特開 平4−201774(JP,A) 特開 平4−356261(JP,A) 特開 平4−353061(JP,A) 実開 昭62−3362(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪のブレーキ圧を制御することによって
    車輪のスリップを制御すると共に、制御中の車輪挙動に
    基づいて実際の路面に応じた路面情報を推定するアンチ
    スキッド制御手段を備え、 前記アンチスキッド制御手段が、車輪挙動と所定の制御
    しきい値との比較により、制動力保持フェーズと増圧フ
    ェーズと減圧フェーズの各制御フェーズを選択的に実行
    するように構成され、かつ制御開始から最初の減圧後の
    制動力保持フェーズを経過するまでの間はあらかじめ設
    定された固定路面情報に基づいて前記制御しきい値を決
    定し、当該減圧後の保持フェーズを通過した後は、実際
    の路面に応じた路面情報に基づいて上記制御しきい値を
    決定するように構成されている車両のスリップ制御装置
    であって、 前記アンチスキッド制御手段が、所定の制御開始条件成
    立時に、前記制動力保持フェーズが最初に実行されるよ
    うに構成されていると共に、 前記制動力保持フェーズ中に車輪のスリップ量が所定値
    より小さくなったときは増圧フェーズに移行する一方、
    該制動力保持フェーズ中にスリップ量が上記所定値より
    大きくなったときに減圧フェーズに移行し、該減圧フェ
    ーズ中において車輪減速度が所定減速度以下になったと
    きに制動力保持フェーズに移行するように構成され、さ
    らに、 前記制御開始時に実行される制動力保持フェーズの直後
    に実行される増圧フェーズからは、前記制動力保持フェ
    ーズと減圧フェーズとのうち制動力保持フェーズのみに
    移行するように構成される一方、前記減圧後の制動力保
    持フェーズを経過した後に実行される増圧フェーズから
    は、車輪のスリップ状態に応じて前記制動力保持フェー
    ズと減圧フェーズとを選択して移行するように構成され
    ている、 ことを特徴とする車両のスリップ制御装置。
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