JP3500684B2 - 車両制御装置 - Google Patents

車両制御装置

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JP3500684B2
JP3500684B2 JP03111394A JP3111394A JP3500684B2 JP 3500684 B2 JP3500684 B2 JP 3500684B2 JP 03111394 A JP03111394 A JP 03111394A JP 3111394 A JP3111394 A JP 3111394A JP 3500684 B2 JP3500684 B2 JP 3500684B2
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多佳志 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の制御装置に関
し、特に、車両の制動旋回走行中において、車両の後輪
の制御モードを変化させることによって車両のトレース
性を向上させるためのものである。
【0002】
【従来の技術】車両のコーナリング中における、制動時
あるいは加速時の車両の走行安定性あるいは旋回性能を
確保するための従来技術として、例えば、特開平1−2
08256号公報に開示されているアンチスキッド制御
装置がある。この装置においては、ステアリングの操舵
角および車両のヨーレートから運転者が意図した以上に
車両が旋回している状態(車両の不安定走行状態)であ
るか、運転者が意図した程には旋回していない状態(旋
回半径の拡大状態)であるかを検出する。そして、この
検出結果に応じて後輪または前輪の目標スリップ率を低
下させる。すなわち、車両の不安定走行状態を検出した
場合には、後輪の目標スリップ率を低下させ、後輪の制
動力を減少させることによって、後輪のグリップ力を増
加させて走行安定性を得る。また、車両の旋回半径の拡
大状態を検出した場合には、前輪の目標スリップ率を低
下させ、前輪の制動トルクを減少させることによって、
前輪のサイドフォースを増加させて旋回性能を改善す
る。
【0003】このようにすることによって、車両の不安
定走行状態および旋回半径の拡大状態を解消して、車両
旋回走行時のトレース性の向上を可能としている。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】しかし、かかる従来装
置は、車両旋回中の制動時において、車両走行安定性あ
るいは旋回性能を向上させるために、車両の制動性を犠
牲にしていたという問題がある。つまり前述の従来装置
では、トレース性を向上するために、通常のアンチスキ
ッド制御に比較して目標スリップ率を低下させ、制動ト
ルクを減少させている。このため、車両の制動力が不足
傾向に陥るため、車両の制動距離が延びるという問題が
ある。
【0005】本発明は、車両の制動力を確保しながら車
両のトレース性を向上させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明による車両制御装置は、車両の速度が変化す
る際の、各車輪の過大なスリップの発生を抑制すべく、
前記各車輪のブレーキ圧力を制御する制御手段と、車輌
の制動旋回走行中における前記車両の目標旋回運動量を
判定する目標旋回運動量決定手段と、制動旋回走行中に
おける実際の車両の旋回運動量を検出する実旋回運動量
検出手段と、前記目標旋回運動量決定手段と実旋回運動
量検出手段とによって各々検知される旋回運動量の差異
に基づいて、実旋回運動量を前記目標旋回運動量に近づ
けるべく、前記制御手段における車両後輪に対するブレ
ーキ圧力制御モードを変更する変更手段とを備え、該変
更手段は、左右後輪のうち低速度の車輪に基づいてブレ
ーキ力を制御するローセレクト制御と、高速度の車輪に
基づいてブレーキ圧力を制御するハイセレクト制御との
間で、前記目標旋回運動量と前記実旋回運動量との差異
に基づいて制御モードを変更し、かつ、前記目標旋回運
動量よりも前記実旋回運動量の方が大きい場合には、前
記制御モードをローセレクト制御にし、前記目標旋回運
動量よりも前記実旋回運動量の方が小さい場合には、前
記制御モードをハイセレクト制御にすることを特徴とす
る車両制御装置を採用する。
【0007】
【0008】 また、前記目標運動量決定手段は、車両
旋回時のステアリングの操舵角を検出する第1の検出手
段と、前記車両の車体速度を検出する第2の検出手段
と、前記第1および第2の各検出手段からの出力信号を
用いて、車両旋回時に車体の側方方向に発生すると推定
される加速度を演算する演算手段とを備えることを特徴
とする請求項1記載の車両制御装置を採用する。
【0009】 また、前記実旋回運動量決定手段は、車
両旋回時に車体の側方方向に作用する実際の加速度を検
出する、加速度センサから構成されることを特徴とする
請求項記載の車両制御装置を採用する
【0010】
【0011】 また、前記変更手段は、目標旋回量と実
旋回量との差異に基づいて、左右後輪のうち低速度の車
輪に基づいて、ブレーキ圧力を制御するローセレクト制
御と、高速度の車輪に基づいて、ブレーキ液圧を制御す
るハイセレクト制御との間で、連続的に制御モードを変
更することを特徴とする請求項記載の車両制御装置を
採用する。
【0012】 また、前記変更手段は、目標旋回運動量
と実旋回運動量との差異に基づいて、左右後輪のスリッ
プ状態から算出された単一の制御信号に従って左右後輪
のブレーキ圧力を制御する同時制御と、左右後輪のブレ
ーキ圧力を各輪のスリップ状態から個別に算出されたそ
れぞれの制御信号に従って、独立して制御する独立制御
との間で、制御モードを変更することを特徴とする請求
記載の車両制御装置を採用する。
【0013】 また、前記変更手段は、目標旋回運動量
と実旋回運動量との差異に基づいて、目標旋回運動量よ
りも実旋回運動量の方が大きい場合には、前記制御モー
ドを同時制御にし、目標旋回運動量よりも実旋回運動量
の方が小さい場合には、前記制御モードを独立制御にす
ることを特徴とする請求項記載の車両制御装置を採用
する。
【0014】 また、前記変更手段は、目標旋回運動量
と実旋回運動量との差異に基づいて、左右後輪のスリッ
プ状態から算出された単一の制御信号に従って左右後輪
のブレーキ圧力を制御する同時制御と、左右後輪のブレ
ーキ圧力を各輪のスリップ状態から個別に算出されたそ
れぞれの制御信号に従って、独立して制御する独立制御
との間で、連続的に制御モードを変更することを特徴と
する請求項記載の車両制御装置を採用する。
【0015】
【作用】以上のように構成される本発明の請求項1に記
載の車両制御装置では、車両の速度変化によって、各車
輪において過大なスリップが発生することを抑制する制
御が行われる。この制御は各車輪に対するブレーキ圧力
の制御によって行われる。また、車両の旋回走行中に、
車輪に制動力が加えられた場合、目標とする旋回走行の
目標運動量を決定する。さらに、車両の旋回走行の実際
の運動量を検知する。このような車両制動旋回時の実際
の運動量を、目標運動量に近づけるため、車両後輪に対
するブレーキ圧力の制御モードを変更する。この変更
は、車両制動旋回時の実際の運動量と目標運動量との差
異の大きさに基づいて行う。なお、車両後輪に対するブ
レーキ圧力の制御モードの変更に、車両の実際の運動量
を用いることによって、乗員の意図する旋回状態により
近づけることができる。また、車両後輪に対するブレー
キ圧力の制御モードを変更を、ローセレクト制御とハイ
セレクト制御との間において行う。この際、ローセレク
ト制御は、車両旋回制動時の実際の運動量と目標運動量
との差異の大きさにより判断された、左右後輪における
低速度の車輪に基づいて、ブレーキ力を制御するもので
ある。またハイセレクト制御は、実際の運動量と目標運
動量との差異の大きさにより判断された、左右後輪にお
ける高速度の車輪に基づいて、ブレーキ力を制御するも
のである。このように制御モードを変更することによっ
ても車両のトレース性を向上させることができる。ま
た、制動旋回走行中の後輪のブレーキ圧力の制御モード
を、目標運動量よりも実際の運動量の方が大きい場合に
は、ローセレクト制御にする。また、後輪のブレーキ圧
力の制御モードを、実際の運動量よりも目標運動量の方
が大きい場合には、ハイセレクト制御にする。この制御
モードの変更により、車両のトレース性を向上させるこ
とができる。
【0016】
【0017】 また、請求項に記載の車両制御装置で
は、制動旋回走行中の車両の、目標運動量を決定する際
に、車両旋回時のステアリングの操舵角と、車体速度と
を用いる。このように、操舵角と車体速度とを用いて決
定される、車体の側方方向に発生すると推定される加速
度を目標運動量として採用することも可能である。ま
た、請求項に記載の車両制御装置では、制動旋回走行
中の車両の、実際の運動量を検知する際に、車両の側方
方向に実際に作用する加速度を加速度センサによって検
出した値を実際の運動量として採用することも可能であ
る。
【0018】
【0019】
【0020】 また、請求項に記載の車両制御装置で
は、制御モードをローセレクト制御からハイセレクト制
御の間で連続的に変更することも可能である。また、請
求項に記載の車両制御装置では、車両の後輪に対する
ブレーキ圧力の制御モード変更を、同時制御と独立制
御との間において行うことも可能である。
【0021】 また、請求項に記載の車両制御装置で
は、制動旋回中の後輪のブレーキ圧力の制御モードを、
目標運動量よりも実際の運動量の方が大きい場合には、
同時制御にする。また、後輪のブレーキ圧力の制御モー
ドを、目標運動量よりも実際の運動量の方が大きい場合
には、独立制御にする。このように制御モードを変更す
ることによっても車両のトレース性を向上することがで
きる。
【0022】 また、請求項記載の車両制御装置で
は、制御モードを、独立制御から同時制御の間で連続的
に変更することも可能である。
【0023】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。図1は本発明における車両制御装置をアンチ
スキッド制御装置に適用した場合の一実施例としてのア
ンチスキッド制御システムの構成を示す。本実施例はフ
ロントエンジン・リアドライブの四輪車に適用した例で
ある。
【0024】右前輪1、左前輪2、右後輪3および左後
輪4の各々に電磁式、磁気抵抗式等の回転速度センサ
5、6、7、8が配置され、各車輪1〜4の回転に応じ
た周波数のパルス信号を出力する。さらに、各車輪1〜
4には各々油圧ブレーキ装置(ホイールシリンダ)1
1、12、13、14が配置され、各車輪1〜4に制動
力を発生させる。マスターシリンダ16からの油圧は、
アクチュエータ21、22、23、24および各油圧管
路を介して、各ホイールシリンダ11〜14に送られ
る。ブレーキペダル25の踏み込み状態は、ストップス
イッチ26によって検出される。このストップスイッチ
26から、制動時にはオン信号が出力され、非制動時に
はオフ信号が出力される。
【0025】リザーバ28a、28bは、アンチスキッ
ド制御中、各ホイールシリンダ11〜14から排出され
た油を一時的に蓄えるものである。リザーバ28a、2
8bに蓄えられたブレーキ油は、電動モータ(図示せ
ず)によって駆動される油圧ポンプ27a、27bによ
って吸引され、圧力が高められた後、吐出される。アク
チュエータ21〜24は、電子制御回路40によって制
御され、アンチスキッド制御中にホイールシリンダ11
〜14のブレーキ油圧を調整し、各車輪1〜4ごとに制
動力を調整する。各アクチュエータ21〜24は、増圧
モード、減圧モード、保持モードを持つ電磁式三位置弁
で、アクチュエータ21に図示したA位置でブレーキ油
圧を増圧し、B位置でブレーキ油圧を保持し、C位置で
ブレーキ油をリザーバ28a、28bに逃がし、減圧を
行う。また、この三位置弁は非通電磁に増圧モードとな
り、通電時に、その電流レベルにより保持または減圧モ
ードとなる。
【0026】電子制御回路40は、イグニッションスイ
ッチ41がオンされることにより電源が供給され、速度
センサ5〜8およびストップスイッチ26からの信号を
受け、ブレーキ力制御のための演算制御等を行い、アク
チュエータ21〜24に対する駆動制御信号を出力す
る。また、車体の側方の水平軸線についての加速度を検
出する加速度センサ51が設けられ、その検出信号は電
子制御回路40に入力される。また、ステアリング60
が乗員によって回転される時の操舵角を検出する。舵角
センサ61が設けられており、その検出信号も電子制御
回路40に入力される。
【0027】電子制御回路40は、CPU、ROM、R
AM、I/Oインターフェース等からなるマイクロコン
ピュータから構成されている。次に、電子制御回路40
が実行するアンチスキッド制御を図2〜8に基づいて説
明する。図2は、本発明の第一実施例としてのアンチス
キッド制御装置の処理内容を示すフローチャートであ
る。なお、この処理はイグニッションスイッチ41がオ
ンされたとき、ステップ100より開始される。
【0028】処理を開始すると、まずステップ110に
おいて、各種フラグや各種カウンタの初期設定を行う。
続くステップ120では、車輪速度センサ5、6、7、
8から車輪速度信号を入力し、各車輪1〜4の車輪速度
を演算する。次に、ステップ130では、ステップ12
0で演算した車輪速度から各車輪1〜4の車輪加速度を
演算する。
【0029】ステップ140では、ステップ120にて
演算された車輪速度に基づいて、車両の車体速度を演算
する。この際、基本的には、各車輪1〜4の車輪速度の
中で最も高い速度のものを車体速度とするが、例えば図
示しない前後方向の加速度を検出する加速度センサ等の
検出値に応じて、車体速度の変化に制限を設ける等の処
理により、車体速度の演算精度を向上させることができ
る。
【0030】ステップ150では、ステップ120にて
演算された車輪速度およびステップ140にて演算され
た車体速度等に基づいて、各車輪1〜4のスリップ率を
演算する。なお、この演算方法は公知であるため、詳細
は省略する。ステップ160では、右前輪のソレノイド
駆動制御パターンを決定する。この制御パターンの決定
は、後述する図3のステップ500からのフローチャー
トにおいて詳述する。ステップ170では、ここで判定
された駆動制御パターンに基づいて、右前輪に対してア
クチュエータ21を駆動させるべく駆動信号を出力す
る。
【0031】ステップ180では、左前輪のソレノイド
駆動制御パターンを決定する。この制御パターンの決定
は、後述する図3のステップ500からのフローチャー
トにおいて詳述する。ステップ190では、ここで判定
されたソレノイド駆動制御パターンに基づいて、左前輪
に対してアクチュエータ22を駆動させるべく駆動信号
を出力する。
【0032】ステップ200では、左右後輪に対して実
行すべきトレース制御モードを決定する。このトレース
制御モードの決定は、後述する図5のステップ700か
らのフローチャートにおいて説明する。ステップ210
では、ステップ200にて決定されたトレース制御モー
ドに従って、左右後輪3、4の車輪速度から、所定のス
リップ率および車輪加速度を、後述する図7、のステッ
プ900からのフローチャートにおいて作成する。
【0033】ステップ220では、上記ステップ210
において作成された車輪加速度およびスリップ率に基づ
いて、右後輪および左後輪のソレノイド駆動制御パター
ンを決定する。この際にも、後述する図3のステップ5
00からのフローチャートに従って制御パターンを決定
する。ステップ230では、ステップ220において判
定されたソレノイド駆動制御パターンに基づいて、右後
輪3に対してアクチュエータ23を駆動させるべく駆動
信号を出力する。
【0034】さらにステップ240では、ステップ22
0において判定されたソレノイド駆動制御パターンに基
づいて、左後輪4に対してアクチュエータ24を駆動さ
せるべく駆動信号を出力する。次に、上記フローチャー
トのステップ160、180および220において決定
される右前輪1、左前輪2、右後輪3および左後輪4の
ソレノイド駆動制御パターンの決定方法を図3に示すフ
ローチャートに従って説明する。
【0035】ステップ500からスタートし、続くステ
ップ510では、現在アンチスキッド制御中であるか否
かを表すフラグFABSが、アンチスキッド制御中であ
ることを示す1に設定されているかどうかを判定する。
ここでFABSが1に設定されていない場合、すなわ
ち、アンチスキッド制御が開始される前の状態である場
合には、ステップ520に進む。
【0036】ステップ520では車両の制動状態を判断
するために、あらかじめ定められたスリップ率の所定値
(ここでは一例として20%を採用する)と現在のスリ
ップ率を比較する。この際、前輪1、2の制御パターン
を判定する場合は、現在のスリップ率として、ステップ
150において演算されたスリップ率を採用し、後輪
3、4の制御パターンを判定する場合は、現在のスリッ
プ率としてステップ210にて作成された所定のスリッ
プ率を採用する。ここで、現在のスリップ率が所定値よ
りも大きくない場合はステップ530に進む。
【0037】ステップ530では、車輪のスリップ率が
所定値以下であり、車輪と路面との摩擦結合状態が悪く
はないとされ、アンチスキッド制御を開始する必要がな
いと判断される。そこで、フラグFABSをアンチスキ
ッド制御中ではないことを示す0に設定し、ステップ5
40に進む。このステップ540では、FABS=0を
受けて、車輪のソレノイド駆動制御パターンを、後に図
4にて詳述するP=4に設定する。
【0038】ステップ520において、現在のスリップ
率が所定値よりも大きい場合は、アンチスキッド制御を
開始すべきである可能性があるとして、ステップ550
に進む。ステップ550では、現在の車輪の加速度があ
らかじめ定められた車輪加速度の所定値(ここでは、一
例として−1、2Gを採用する。ただし、Gは重力加速
度を示す。)よりも大きいか否かを判定する。この際、
前輪1、2の制御パターンを判定する場合は、現在の車
輪加速度として、ステップ130において演算された車
輪加速度を採用し、後輪3、4の制御パターンを判定す
る場合は、現在の車輪加速度としてステップ210にて
作成された車輪加速度を採用する。ここで、車両の減速
方向の加速度が所定値よりも大きいと判断された場合
は、ステップ560に進む。また、車両の減速方向の加
速度が所定値よりも大きくないと判断された場合は、車
輪のスリップ状態はある程度以上であるが、車輪の減速
方向の加速度がそれほど大きくないため、車輪と路面と
の摩擦結合状態が悪くはないとされ、ステップ530に
進む。
【0039】ステップ560では、車輪のスリップ率が
所定のスリップ率よりも大きく、かつ、車輪の減速方向
の加速度が所定値よりも大きいことにより、車輪がある
程度以上のスリップ状態にあるとされる。そして、これ
によって車輪と路面との摩擦結合状態が悪い状態であ
り、これを改善するべくアンチスキッド制御が必要であ
ると判断する。そこで、フラグFABSを1に設定し、
ステップ570に進む。このステップ570では、車輪
のソレノイド駆動制御パターンを、図4にて詳述するP
=0に設定する。
【0040】ステップ510にて、フラグFABSが1
であり、すでにアンチスキッド制御が開始され、制御中
である場合、ステップ580に進む。ステップ580で
は、各車輪の現在のスリップ率と車輪加速度により、各
車輪のソレノイド駆動制御パターンを決定する。ここで
の現在のスリップ率は、ステップ520と同様のものが
使用され、また、現在の車輪加速度は、ステップ550
と同様のものが使用される。このようなスリップ率およ
び車輪加速度を用いて、ステップ580内に示すマップ
に基づいて各車輪1〜4の制御パターンを決定する。た
だし、マップはこれに限定されるものではなく、車両の
使用目的等によってこれとは異なったマップを採用して
もよい。
【0041】ステップ590では、上記のマップにおい
て決定された車輪のソレノイド駆動制御パターンが図4
にて後述するパターンP=3であるかどうかを判定す
る。ここで、P=3ではない場合には、各輪をステップ
580において判定されたソレノイド駆動制御パターン
に基づいて、左後輪に対してアクチュエータ24をソレ
ノイド駆動させるべく駆動信号を出力する。
【0042】また、ステップ590で、上記マップにお
いて決定された車輪のソレノイド駆動制御パターンがP
=3であると判断された場合、ステップ600に進む。
このステップ600では、後述するパターンP=3の出
力パターン数が終了したかどうか判定する。ここで、終
了していないと判断された場合には、ステップ500か
らのフローを繰り返し行い、出力パターン数を終了した
と判断された場合にはステップ610に進む。
【0043】ステップ610ではパターンP=3の出力
パターン数を完了したことによって、車輪と路面との摩
擦結合状態が良好に回復し、アンチスキッド制御が終了
していると判断され、フラグFABSを0に設定する。
続くステップ620では、FABS=0を受けて、車輪
の制御パターンを、図4にて詳述するP=4に設定す
る。
【0044】次に、ステップ580等で決定するソレノ
イド駆動制御パターンPについて、図4に示すパターン
表に基づいて説明する。このパターンPは、アクチュエ
ータ21〜24を駆動する駆動信号を表している。まず
ソレノイド駆動制御パターンP=0は、ステップ57
0、およびステップ580のマップ上で減速方向の車輪
加速度およびスリップ率ともに大きい場合に設定され
る。つまり過剰なブレーキ液圧によって車輪と路面との
結合状態が悪化している時に連続的にブレーキ液圧を減
圧する信号を出力することによって、結合状態を回復さ
せるための制御パターンである。
【0045】次に、ソレノイド駆動制御パターンP=1
は、ステップ580のマップ上で、スリップ率と車輪の
減速方向の加速度との関係において、連続してブレーキ
液圧を減圧する程の必要はないが、結合状態は良好では
ないという場合に設定される。つまり、ブレーキ液圧保
持信号と減圧信号とを繰り返し出力し、徐々に結合状態
を回復する制御パターンである。
【0046】ソレノイド駆動制御パターンP=2は、ス
テップ580のマップ上において、スリップ率は大きい
値となっているが車輪速度が復帰する過程であり車輪加
速度はプラス方向に大きい場合、また減速方向の車輪加
速度は大きいがスリップ率は小さい場合、および、この
2つの場合の中間あたりのスリップ率および車輪加速度
の関係を有している場合に設定される。このような時に
設定されるパターンP=2はブレーキ液圧を保持する保
持信号を出力する。
【0047】ソレノイド駆動制御パターンP=3は、ス
テップ580のマップ上において、スリップ率も車輪加
速度も所定値以下であり、しかしアンチスキッド制御中
であるという場合に設定される。この制御パターンP=
3は、ブレーキ液圧保持信号と増圧信号を繰り返し出力
する。この繰り返しのパルス数は、あらかじめ定めてお
く。ここでは、一例として10パルスを採用するが、こ
のソレノイド駆動制御パターンを繰り返して、ブレーキ
液圧制御を行った場合に、ホイールシリンダ11、1
2、13、14における油圧とマスターシリンダ16か
らの油圧とが同じ圧力になるようにパルス数を設定す
る。
【0048】ソレノイド駆動制御パターンP=4は、ス
テップ540およびステップ620の、アンチスキッド
制御が行われていない場合において設定される。この制
御パターンP=4は、ブレーキ液圧を連続的に増圧する
信号を出力し、ブレーキ力の増大を図るものである。次
に、図2におけるステップ200の、左右後輪のトレー
ス制御モードの判定方法について、図5に示すフローチ
ャートに基づいて説明する。
【0049】ステップ700からスタートするが、初期
のトレース制御モードは車両走行の安定性を重視し、後
輪ローセレクト同時制御を行うモード、すなわちモード
M(n)=0に設定しておく。ここで、nは演算回数を
示すパラメータである。続くステップ710では、車両
を旋回させるために乗員がステアリングを回転させた時
の操舵角θを舵角センサ61にて検出し、演算する。ま
た、横加速度センサ51から、車両旋回時の側方方向の
加速度Gyを検出し、演算する。
【0050】続くステップ720では、ステップ140
にて演算した車体速度および操舵角θ等を用いて、後述
する数1によって目標の横加速度Gtを演算する。この
目標横加速度Gtとは、車両が所定の速度で走行してい
る際にステアリングをある角度回転させた場合、車両の
走行方向が変化する時に発生するはずの横方向加速度を
示している。
【0051】
【数1】Gt=k・θ・Vt ただし、kは、所定の係数を表し、Vtは車体速度を表
す。続くステップ730では、ステップ710で求めた
実際の横加速度Gyとステップ720で求めた目標横加
速度Gtとの偏差ΔGyを演算する。
【0052】ステップ740では、この偏差ΔGyをあ
らかじめ定められている所定値K1と比較する。ここ
で、所定値K1よりも偏差ΔGyの方が大きい場合は、
実際の横加速度よりも、目標横加速度の方が大きいこと
を示している。この時は車両がアンダーステアリング傾
向にあり、操舵性が不足している状態であることを表し
ている。よって、ステップ750に進み、現在のモード
M(n)から1ランクアップする。トレース制御モード
M(n)については、後に詳述するが、後述の2つのモ
ード設定方法とも、モードM(n)が1ランクアップす
るほど走行安定性は低下し、制動力を重視したブレーキ
液圧の制御方法となる。ここでnは演算回数を示すパラ
メータである。
【0053】ここで、図6に基づいて、後輪のトレース
制御モードM(n)について説明する。このトレース制
御モードM(n)は、公知の、同時制御におけるブレー
キ液圧制御モードに基づくものである。すなわち、モー
ドM(n)=0は、左右後輪において、車輪速度の小さ
い(スリップ率の大きい)方の車輪と同じ制御を他方の
車輪に行う、走行安定性を重視した後輪ローセレクト同
時制御を表している。またモードM(n)=1は、左右
の後輪において、例えば両車輪速度および両車輪加速度
の平均値に基づき、左右後輪のブレーキ圧力を制御す
る、後輪ミーンセレクト同時制御を表す。またモードM
(n)=2は、左右後輪において、車輪速度の大きい
(スリップ率の小さい)方の車輪と同じ制御を他方の車
輪に対しても行う後輪ハイセレクト同時制御を表す。
【0054】ステップ740において、所定値K1より
も偏差ΔGyの方が大きくない場合は、ステップ760
に進む。このステップ760では、偏差ΔGyの絶対値
を所定値K1と比較する。この時、所定値K1の方が偏
差ΔGyの絶対値よりも大きい場合、実際の横加速度と
目標横加速度とが、所定値K1以下の差しか有しておら
ず、車両にアンダーステアおよびオーバステアの傾向も
みられていないことを表している。つまり、車両が運転
者の意図通りの旋回状態にあることを表している。
【0055】よって、ステップ770に進み、ステップ
770では前回のフローにおいて決定されているモード
M(n)をそのまま採用する。またステップ760にお
いて、所定値K1の方が偏差ΔGyの絶対値よりも大き
くない場合、目標横加速度よりも、実際の横加速度の方
が大きく、かつ実際の横加速度と目標横加速度とが、所
定値K1以上の差を有していることを示している。この
時は車両がオーバステアリング傾向にあり、車両の走行
安定性が不足している状態であることを表している。よ
って、ステップ780に進み、現在のモードM(n)か
ら、1ランクダウンする。ここで、モードM(n)を1
ランクダウンさせるということは、走行安定性を重視し
たブレーキ液圧の制御方法を採用するということであ
る。
【0056】ステップ790からステップ820まで
は、上記ステップ780でモードM(n)をダウンし、
ステップ750でモードM(n)をアップしていった場
合に、モードM(n)の幅を0から2以内に収めるため
の処理である。次に、上記図2におけるステップ210
において、所定のスリップ率および車輪加速度を選択ま
たは作成する方法を、図7に示すフローチャートに基づ
いて説明する。
【0057】ステップ900からスタートし、続くステ
ップ910では、トレース制御モードM(n)が、前述
の図5のステップ700からのフローによってモードM
(n)=0に設定されているか否かを判断する。ここ
で、トレース制御モードM(n)が、M(n)=0に設
定されている場合は、ステップ920に進む。またこの
時は図6に示すように、左右後輪の同時制御におけるブ
レーキ液圧制御モードはローセレクト同時制御が採用さ
れている。このため、トレース制御モードを決定するた
めの基準となるスリップ率は、左右後輪で大きい方のス
リップ率を採用する。また、車輪加速度は左右後輪で小
さい方の車輪加速度を採用する。このように選択された
スリップ率および車輪加速度を用いて、図2のステップ
220における左右後輪のソレノイド駆動制御パターン
を、前述の図3のフローチャートに基づいて決定する。
【0058】また、ステップ910で、トレース制御モ
ードM(n)がモードM(n)=0に設定されていない
と判断された場合、ステップ930に進み、トレース制
御モードM(n)が、前述の図5のステップ700から
のフローによってモードM(n)=1に設定されている
か否かを判断する。ここでトレース制御モードM(n)
が、M(n)=1に設定されている場合はステップ94
0に進む。またこの時は図6に示すように、左右後輪
の、同時制御におけるブレーキ液圧制御モードはミーン
セレクト同時制御が採用されている。このため、トレー
ス制御モードを決定するための基準となるスリップ率お
よび車輪加速度は、ともに左右後輪の平均値として演算
する。そして、このように演算される左右後輪の平均の
スリップ率および車輪加速度を用いて、図2のステップ
220における左右後輪のソレノイド駆動制御パターン
を図3のフローチャートに基づいて判定する。
【0059】また、ステップ930で、トレース制御モ
ードM(n)がモードM(n)=1に設定されていない
と判断された場合、ステップ950に進む。この場合、
トレース制御モードM(n)がモードM(n)=0にも
モードM(n)=1にも設定されていないということに
なり、トレース制御モードM(n)はモードM(n)=
2であることになる。よってこの時は図6に示すよう
に、同時制御におけるブレーキ液圧制御モードはハイセ
レクト同時制御が採用されている。このため、トレース
制御モードを決定するための基準となるスリップ率は左
右後輪で小さい方のスリップ率を選択する。また、車輪
加速度は左右後輪で大きい方の車輪加速度を選択する。
このように選択されたスリップ率および車輪加速度を用
いて、図2のステップ220における左右後輪のソレノ
イド駆動制御パターンを図3のフローチャートに基づい
て判定する。
【0060】以上詳述した、本実施例の作用効果を説明
する。本第1実施例においては、トレース制御モードの
判定を行う際に、乗員がステアリングを回転させた場合
の操舵角を検出する舵角センサ61と、その時の車両の
旋回に伴う側方方向の加速度を検出する横加速度センサ
51が用いられている。そして、舵角センサ61からの
出力は、車両をどのように旋回させようとしているのか
という乗員の意志の大きさを表している。また、横加速
度センサ51の出力は、前記乗員の意志の大きさに対す
る車両の応答性能、すなわち実際の車両の挙動を表して
いる。このような各センサ61、51の出力信号を用い
て、乗員の車両を旋回させようとする意志を目標横加速
度として算出し、またそれに対する車両挙動(運動量)
を実際の横加速度として検出する。これら目標横加速度
と実際の横加速度とを比較することによって、車両が、
オーバステアリング状態による安定性不足を生じていな
いかを判断する。また、あるいはアンダステアリング状
態による旋回半径の拡大を生じていないかを判断してい
る。そこで、車両の旋回半径の拡大あるいは安定性不足
を生じている場合には、左右の後輪の制御方法を変化さ
せることによって、車両の制動力を犠牲にすることなく
旋回半径の拡大あるいは安定性不足を解消する。 すな
わち、オーバステアリング状態の場合には、後輪のブレ
ーキ液圧制御をスリップ率の大きい側の車輪に併せて行
う方向に変更する。このような安定性重視のローセレク
ト同時制御に近づくようにすることによって、左右後輪
のスリップ率は比較的小さく抑えられる。これによって
グリップ力が確保されるため、後輪の横滑りが抑制され
る。これによって車両の走行安定性不足を解消する。な
お、このローセレクト同時制御は、後輪に対して行われ
る一般的なブレーキ液圧制御方法であり、制動力の確保
には全く問題がない。また、車両制動時に大きな制動力
を発生する左右前輪は、従来と同様の制御によって大き
な制動力を確保することが可能である。
【0061】またアンダステアリング状態の場合には、
後輪のブレーキ液圧制御をスリップ率の小さい側の車輪
に併せて行うハイセレクト同時制御に近づくようにする
ことによって、後輪のスリップ率が比較的大きく確保さ
れる。これによって後輪のグリップ力が減少するため、
車両が旋回しやすくなる。よって、車両は乗員の意図す
る旋回状態に達することが可能となる。なお、この場合
は、スリップ率の小さい側の車輪に対応してブレーキ液
圧を制御するため、少なくとも小さなスリップ率の車輪
について、路面との最大摩擦結合を得ることができる。
これにより、車両の減速度を大きくかせぐことが可能で
あり、制動性をも向上することができる。
【0062】以上詳述したように、車両の制動性を確保
しながら、車両の操舵性および安定性を向上させること
ができる。次に、図8に示す、本発明の第二実施例とし
てのアンチスキッド制御装置の処理内容のフローチャー
トについて説明する。本第二実施例では、トレース制御
を、左右後輪における制動の制御の関連性に基づいて行
う。なお、これより本第二実施例を説明するにあたっ
て、第一実施例と同様である作用および効果は省略し、
相違部分のみを詳述する。またこの処理は、第一実施例
と同様、イグニッションスイッチ41がオンされたと
き、ステップ300より開始される。
【0063】図8に示すようにステップ300からアン
チスキッド制御を開始するが、ステップ390までは第
一実施例におけるステップ100からステップ190間
での処理内容と同様なため、説明を省略する。ステップ
400では、トレース制御モードの判定を行う。図5に
おいて前述した制御モード判定のフローチャートにおい
て、第一実施例においては図6に示す左側の制御モード
を選択していたが、第二実施例では図6に示す右側のト
レース制御モードM(n)を選択する。なお、このトレ
ース制御モードM(n)は、公知のブレーキ液圧制御モ
ードに基づくものであるが、以下に簡単に説明する。
【0064】トレース制御モードのモードM(n)=0
は、左右の後輪のブレーキ液圧を左右後輪のスリップ状
態から算出された単一の制御信号に従って制御する、後
輪同時制御を意味する。また、モードM(n)=1は、
左右の後輪において、どちらかの車輪のブレーキ液圧制
御に関連を持たせて残った方のブレーキ液圧を制御す
る、後輪半独立制御を表す。さらに、モードM(n)=
2は、後輪のブレーキ液圧を、左後輪と右後輪とで、各
輪のスリップ状態から個別に算出されたそれぞれの制御
信号に従って制御する、後輪完全独立制御を表してい
る。
【0065】ステップ410では、右後輪のソレノイド
駆動制御パターンを、図3において説明したフローチャ
ートにおいて決定する。ステップ420では、左後輪の
ソレノイド駆動制御パターンを、図3において説明した
フローチャートにおいて決定する。ステップ430で
は、左右の後輪のブレーキ液圧制御モードに、ステップ
400において決定された、左右後輪におけるトレース
制御モードM(n)を反映させるべく、後述する図9の
フローに従って、それぞれの駆動制御パターンを補正す
る。
【0066】ここで、図9のフローチャートについて説
明する。ステップ1000からスタートし、続くステッ
プ1010では、上述のステップ400において、左右
後輪のトレース制御モードM(n)が、後輪同時制御で
あるモードM(n)=0に設定されたかどうかを判定す
る。ここで、モードM(n)=0であると判定された場
合はステップ1020に進み、図8のステップ410お
よび420における左右後輪のソレノイド駆動制御パタ
ーンによって、ブレーキ液圧を減圧する方向の制御パタ
ーンに設定されている車輪を検出する。そして、このブ
レーキ液圧が減圧する方向の制御パターンに設定されて
いる車輪をアンチスキッド制御基準として駆動を行う制
御信号を出力する。
【0067】ステップ1010で、トレース制御モード
M(n)がモードM(n)=0に設定されていないと判
定された場合には、ステップ1030に進み、モードM
(n)=1に設定されているかどうかを判定する。ここ
でモードM(n)=1に設定されていないと判断された
場合には、ステップ1040に進む。ステップ1040
では、トレース制御モードM(n)がモードM(n)=
0にもM(n)=1にも設定されていないということ
で、モードM(n)=2の独立制御に設定されているこ
ととなる。よってステップ410および420にて判定
された左右各車輪のソレノイド駆動制御パターンによっ
て、アクチュエータ23、24の駆動を行う信号を出力
する。
【0068】また、ステップ1030において、モード
M(n)=1に設定されている場合はステップ1050
に進む。この場合、左右後輪は半独立制御が行われるこ
ととなる。ステップ1050では、左右の各後輪におい
て、ステップ410および420にて判定されたソレノ
イド駆動制御パターンが同じであるか否かを判定する。
ここで、左右の各後輪においてソレノイド駆動パターン
PRR、PRLが同じである場合には、左右後輪のブレーキ
圧力をそれぞれの駆動パターンPRR、PRLに従って制御
しても何ら支障を来さないため、ステップ1040に進
み、独立制御をする信号を出力する。
【0069】ステップ1050において、左右の各後輪
においてソレノイド駆動制御パターンPRR、PRLが同じ
ではないと判断された場合には、ステップ1060に進
む。ここでは、右後輪のソレノイド駆動制御パターンP
RRの方が左後輪のソレノイド駆動制御パターンPRLより
も大きい、すなわち右後輪の方が左後輪に対してブレー
キ液圧制御が増圧傾向にある場合にはステップ1070
に進む。
【0070】ステップ1070では、右後輪のソレノイ
ド駆動パターンPRRを1段階分、ブレーキ液圧を減圧す
る方向の制御パターン方向に変更する。また、右後輪に
比べて、ソレノイド駆動制御パターンがブレーキ液圧を
減圧気味に制御している左後輪のソレノイド圧駆動制御
パターンPRLはそのまま据え置く。このように左右の後
輪のブレーキ液圧制御に関連を持たせたアクチュエータ
23、24の駆動信号を出力する。
【0071】また、ステップ1060において、右後輪
のソレノイド駆動制御パターンPRRの方が左後輪のソレ
ノイド駆動制御パターンPRLよりも小さい、すなわち右
後輪の方が左後輪に対してブレーキ液圧制御が減圧傾向
にある場合には、ステップ1080に進む。ここでは、
右後輪のソレノイド駆動制御パターンPRRの方が左後輪
のソレノイド駆動制御パターンPRLと比較して、ブレー
キ液圧を減圧傾向に制御していることに対応して左後輪
のソレノイド駆動制御パターンPRLを1段階分、ブレー
キ液圧を減圧する方向の制御パターン方向に変更する。
また、左後輪に比べて、ソレノイド駆動制御パターンが
ブレーキ液圧を減圧気味に制御している右後輪のソレノ
イド圧駆動制御パターンPRRはそのまま据え置く。この
ように左右の後輪のブレーキ液圧制御に関連を持たせた
アクチュエータ23、24の駆動信号を出力する。
【0072】ステップ440では、ステップ430にて
補正されたソレノイド駆動制御信号に基づいて、右後輪
に対してアクチュエータ23をソレノイド駆動させるべ
く駆動信号を出力する。さらにステップ450では、ス
テップ430にて補正されたソレノイド駆動制御信号に
基づいて、左後輪に対してアクチュエータ24をソレノ
イド駆動させるべく、駆動信号を出力する。
【0073】以上詳述した、本発明の第二実施例の作動
効果において、第一実施例と異なることについてのみを
説明する。本第二実施例においては、車両の旋回半径の
拡大あるいは安定性不足を解消するためのトレース制御
を、左右後輪における駆動または制動制御の関連性に基
づいて行っている。このトレース制御では、車両の制動
力を確保しつつ、旋回半径の拡大あるいは安定性不足を
解消する。すなわち、アンダステアリング状態の場合に
は、後輪のブレーキ液圧制御を左右の各後輪において独
立に制御する後輪独立制御に近づくように制御モードを
変更し、左右後輪のスリップ率を相対的に上昇させて、
後輪のサイドフォースを減少させ、曲がりやすくする。
なお、独立制御に近づくほど、左右の各後輪ともに対し
てそれぞれ最大の制動力が得られるようにブレーキ液圧
が制御されるため、車両の減速度をかせぐことが可能で
ある。またオーバステアリング状態の場合には、左右の
各後輪を同時に制御する安定性重視の後輪同時制御に近
づくように制御モードを変更することによって安定性不
足を解消することができる。
【0074】以上詳述したような車両制御装置を採用す
ることによって、車両の制動性を確保しつつ、車両の操
舵性および安定性を向上させることができる。本発明は
上記実施例に限定されるものではなく、以下の如く種々
変形可能である。例えば、上記実施例においては、車両
の実際の旋回運動量を検出し、この実旋回運動量と目標
旋回運動量とを比較することによって、左右後輪のブレ
ーキ圧力制御モードを変更し、トレース性の向上等の効
果をあげていた。しかし、実旋回運動量を用いずに目標
運動量から、左右後輪のブレーキ圧力の制御モードを変
更することも可能である。まず目標運動量を決定し、こ
の目標運動量と1個以上のしきい値と比較して、大きく
なるほど旋回性が向上するようにハイセレクト側もしく
は独立制御側の制御モードを選択する。これによって
も、車両のトレース性を向上し、乗員の意図する旋回状
態を確保することが可能である。
【0075】また、第二実施例におけるトレース制御
は、左右後輪に制動力を加えるためのブレーキ液圧制御
モードに、独立、半独立および同時制御を採用してい
た。しかし、左右後輪のブレーキ液圧制御モードが同時
制御に、第一実施例で詳述したハイセレクト、ローセレ
クト制御を併用しするようにしてもよい。すなわち、ブ
レーキ液圧制御モードを、ローセレクト同時制御、ハイ
セレクト同時制御、半独立制御、独立制御の順に選択す
るようにしてもよい。
【0076】また、上記第一および第二の各実施例にお
いて、実際の車両の旋回状態を判断するために、加速度
センサを用いて実際の横加速度を検出していたが、ヨー
レートセンサ等を用いて実際の車両の旋回状態を判断す
るようにしてもよい。また、第1実施例のトレース制御
モードの判定において、モードM(n)=0のローセレ
クト制御からモードM(n)=2のハイセレクト制御の
間のミーンセレクト制御を、重み付けによって連続的に
選択可能にしてもよい。
【0077】この際の重み付けは、上記第1実施例のよ
うに、実際の横加速度Gyと目標横加速度Gtとの偏差
ΔGyを、1個の所定値K1と比較するのではなく、少
なくとも2つ以上の所定値と比較することによって行っ
てもよい。この際、ミーンセレクト制御において、以下
の図10に示すように設定される制御モードを決定する
ためのレベルL2〜L5に応じて、左右後輪の車輪速度
に対して所定の係数kを掛けるようにする。
【0078】
【数2】〔ミーンセレクト制御〕=k*VwMIN +(1
−k)*VwMAX 但し、 k…係数 VwMIN …低車輪速側の車輪速度 VwMAX …高車輪速側の車輪速度 数2における係数kは、後述するレベルL2〜L5に応
じて設定されている。ここで、制御モードを決定するた
めのレベルL2は、車両の旋回状態がアンダステアリン
グ傾向の場合に決定される制御レベルである。よって、
制御モードL2に対する係数kは、車輪速度が大きい側
の車輪速度VwMAX を重視するアンチスキッド制御を行
うように、例えば0.1に設定されている。これによっ
て、ハイセレクト制御の度合いが大きいアンチスキッド
制御を行い、トレース性を向上する。また、レベルL4
は、車両の旋回状態がややオーバステアリング傾向の場
合に決定される制御レベルである。よって、制御モード
L4に対する係数kは、車輪速度が小さい側の車輪速度
VwMIN を重視するアンチスキッド制御を行うように、
例えば0.7に設定されている。これによって、ややロ
ーセレクト制御の度合いが大きいアンチスキッド制御を
行い、トレース性を向上する。
【0079】制御モードを決定するためのレベルL1〜
L7の決定方法を図10に示す。ステップ741、76
1にて偏差ΔGyを、3個の所定値Ka、Kb、Kcと
比較するとする。この場合は、偏差ΔGyと最大の所定
値Kcとを比較して、車両の制動旋回状態が、アンダス
テアリング傾向が大きいL1と、オーバーステアリング
傾向が大きいL7とを判定する。L1では、ブレーキ液
圧制御モードM(n)を1ランクアップさせるように
し、またL7では、ブレーキ液圧制御モードM(n)を
1ランクダウンさせるようにする。また、ステップ76
2〜765において、偏差ΔGyを所定値Kb、Kaと
比較し、L2〜L5までの5段階のミーンセレクト制御
のレベルを判断する。このレベルL2〜L5の結果に応
じて、ハイセレクトおよびローセレクトの度合いを変化
させることも可能である。
【0080】また、第2実施例のトレース制御モードの
判定において、モードM(n)=0の同時制御からモー
ドM(n)=2の独立制御の間の半独立制御を、上記と
同様の重み付けを加えることによって、連続的に選択可
能にしてもよい。また、第2実施例における図9のフロ
ーチャートにおいては、独立、半独立および同時制御に
よるブレーキ圧力制御を、ソレノイド駆動制御パターン
の変更によって行っていた。しかし、ブレーキ圧検出手
段またはブレーキ圧増圧保持時間計測手段等を用いるこ
とによって、ブレーキ圧力制御を、ブレーキ圧力の片区
によって行うようにしてもよい。
【0081】また、本発明による車両制御装置は、車両
旋回中の駆動時において、車両の駆動力をブレーキによ
る制動力によって調整するトラクションコントロール装
置にも適用することもできる。
【0082】
【効果】以上説明したように、本発明によれば、車両の
制動力を確保しながら車両のトレース性を向上させるこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両制御装置を、アンチスキッド
制御装置に適用した場合の構成図である。
【図2】本発明による車両制御装置を、アンチスキッド
制御装置に適用した場合の第一実施例における、アンチ
スキッド制御の処理を表すフローチャートである。
【図3】本発明による車両制御装置を、アンチスキッド
制御装置に適用した場合の第一実施例における、各輪の
ブレーキ液圧制御パターンの決定方法を表すフローチャ
ートである。
【図4】各輪のブレーキ液圧制御パターンを表すパター
ン図である。
【図5】本発明による車両制御装置を、アンチスキッド
制御装置に適用した場合の第一実施例における、トレー
ス制御方法を表すフローチャートである。
【図6】第1および第2実施例のトレース制御モードM
(n)を示す図である。
【図7】本発明による車両制御装置を、アンチスキッド
制御装置に適用した場合の第一実施例における、トレー
ス制御方法の具体的なフローを表すフローチャートであ
る。
【図8】本発明による車両制御装置を、アンチスキッド
制御装置に適用した場合の第二実施例における、アンチ
スキッド制御の処理を表すフローチャートである。
【図9】本発明による車両制御装置を、アンチスキッド
制御装置に適用した場合の第二実施例における、トレー
ス制御方法の具体的なフローを表すフローチャートであ
る。
【図10】他の実施例における、ミーンセレクト制御
の、左右後輪に対するハイセレクトおよびローセレクト
の度合いを決定する方法を表す図である。
【符号の説明】
1〜4 右前輪 5〜8 車輪速度センサ 40 電子制御回路 51 加速度センサ 60 ステアリング 61 舵角センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−283555(JP,A) 特開 平4−78644(JP,A) 特開 平5−270383(JP,A) 特開 平2−171376(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の速度が変化する際の、各車輪の過
    大なスリップの発生を抑制すべく、前記各車輪のブレー
    キ圧力を制御する制御手段と、 車両の制動旋回走行中における前記車両の目標旋回運動
    量を判定する目標旋回運動量決定手段と、 制動旋回走行中における実際の車両の旋回運動量を検出
    する実旋回運動量検出手段と、 前記目標旋回運動量決定手段と実旋回運動量検出手段と
    によって各々検知される旋回運動量の差異に基づいて、
    実旋回運動量を前記目標旋回運動量に近づけるべく、前
    記制御手段における車両後輪に対するブレーキ圧力制御
    モードを変更する変更手段とを備え、 該変更手段は、左右後輪のうち低速度の車輪に基づいて
    ブレーキ力を制御するローセレクト制御と、高速度の車
    輪に基づいてブレーキ圧力を制御するハイセレクト制御
    との間で、前記目標旋回運動量と前記実旋回運動量との
    差異に基づいて制御モードを変更し、かつ、 前記目標旋回運動量よりも前記実旋回運動量の方が大き
    い場合には、前記制御モードをローセレクト制御にし、
    前記目標旋回運動量よりも前記実旋回運動量の方が小さ
    い場合には、前記制御モードをハイセレクト制御にする
    ことを特徴とする車両制御装置。
  2. 【請求項2】 前記目標運動量決定手段は、車両旋回時
    のステアリングの操舵角を検出する第1の検出手段と、
    前記車両の車体速度を検出する第2の検出手段と、前記
    第1および第2の各検出手段からの出力信号を用いて、
    車両旋回時に車体の側方方向に発生すると推定される加
    速度を演算する演算手段とを備えることを特徴とする請
    求項記載の車両制御装置。
  3. 【請求項3】 前記実旋回運動量決定手段は、車両旋回
    時に車体の側方方向に作用する実際の加速度を検出す
    る、加速度センサから構成されることを特徴とする請求
    記載の車両制御装置。
  4. 【請求項4】 前記変更手段は、前記ローセレクト制御
    前記ハイセレクト制御との間で、連続的に前記制御モ
    ードを変更することを特徴とする請求項記載の車両制
    御装置。
  5. 【請求項5】 前記変更手段は、前記目標旋回運動量と
    前記実旋回運動量との差異に基づいて、左右後輪のスリ
    ップ状態から算出された単一の制御信号に従って左右後
    輪のブレーキ圧力を制御する同時制御と、左右後輪のブ
    レーキ圧力を各輪のスリップ状態から個別に算出された
    それぞれの制御信号に従って、独立して制御する独立制
    御との間で、前記制御モードを変更することを特徴とす
    る請求項記載の車両制御装置。
  6. 【請求項6】 前記変更手段は、前記目標旋回運動量と
    前記実旋回運動量との差異に基づいて、前記目標旋回運
    動量よりも前記実旋回運動量の方が大きい場合には、前
    記制御モードを同時制御にし、前記目標旋回運動量より
    前記実旋回運動量の方が小さい場合には、前記制御モ
    ードを独立制御にすることを特徴とする請求項記載の
    車両制御装置。
  7. 【請求項7】 前記変更手段は、前記目標旋回運動量と
    前記実旋回運動量との差異に基づいて、左右後輪のスリ
    ップ状態から算出された単一の制御信号に従って左右後
    輪のブレーキ圧力を制御する同時制御と、左右後輪のブ
    レーキ圧力を各輪のスリップ状態から個別に算出された
    それぞれの制御信号に従って、独立して制御する独立制
    御との間で、連続的に前記制御モードを変更することを
    特徴とする請求項記載の車両制御装置。
JP03111394A 1994-03-01 1994-03-01 車両制御装置 Expired - Lifetime JP3500684B2 (ja)

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