JP3655756B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ブレーキ操作時に車輪ロックなどにより車両の操縦性および安定性が損なわれることを防止するためのアンチスキッド制御装置に関し、特に、特別なセンサなどを付加することなくダブルブレーキ操作状態を判定し、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制したアンチスキッド制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ブレーキ操作時の車両の操縦性および安定性を確保するために、車輪ロック状態などに応答してブレーキ圧(制御量)を増減させるアンチスキッド制御装置は種々提案されている。
【0003】
図12は従来より知られた一般的なアンチスキッド制御装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図12において、1はブレーキペダルであり、車両を減速させるときに運転者により踏み込み操作される。2は制動圧力源となるマスタシリンダであり、ブレーキペダル1の操作量に連動してブレーキ液圧を発生する。
【0004】
3aおよび3bはマスタシリンダ2に連通された2系統のブレーキ導管であり、制動圧調整手段4を介して、車両の各車輪に対応した各ホイールシリンダ5a〜5dまで延長されている。ブレーキ導管3aおよび3bは同一構成なので、ここでは、1系統のみについて説明する。
【0005】
4つのホイールシリンダ5a〜5dは、各車輪毎のブレーキ本体を構成している。ここでは、ホイールシリンダ5aはFR(右前輪)、ホイールシリンダ5bはRL(左後輪)、ホイールシリンダ5cはFL(左前輪)、ホイールシリンダ5dはRR(右後輪)にそれぞれ対応している。
【0006】
ここでは、いわゆるX配管ブレーキシステムの場合を示しており、一系統のブレーキ導管3aに対して、FRおよびRLに対応したホイールシリンダ5aおよび5bが接続され、他系統のブレーキ導管3bに対して、FLおよびRRに対応したホイールシリンダ5cおよび5dが接続されている。
【0007】
アンチスキッド制御用の制動圧調整手段4は、マスタシリンダ2と各車輪毎のホイールシリンダ5a〜5dとの間に個別に配設されたハイドロユニット(以下、「H/U」と記す)4a〜4dからなる。
【0008】
各H/U4a〜4dは、周知のように、ブレーキ導管3aおよび3bから伝達される制動圧を連通または遮断する制御弁とポンプモータと(図示せず)からなり、制御弁およびポンプモータを駆動または非駆動することによって、各ホイールシリンダ5a〜5dに対する制動圧を減圧、保持または増圧するようになっている。
【0009】
ブレーキペダル1、マスタシリンダ2、ブレーキ導管3a、3b、H/U4およびホイールシリンダ5a〜5dは、車両を減速させるためのブレーキを構成している。
【0010】
6a〜6dは各車輪の回転速度を車輪速Vwとして検出する車輪速センサである。
実際には、車輪速Vwは、車輪速センサ6a〜6dからのパルス信号の時間間隔に基づいてECU(後述する)において演算されるが、ここでは便宜的に、車輪速検出信号(パルス信号)を車輪速Vwとして記述する。
【0011】
10はアンチスキッド制御を実行するためのマイクロコンピュータからなるコントロールユニット(以下、「ECU」と記す)であり、主に車輪速センサ6a〜6dからの車輪速Vwに基づいて、H/U4a〜4dに対する駆動指令Dを出力する。
【0012】
ECU10は、車輪速Vwを取り込む入力回路11と、車輪速Vwに応じてH/U4a〜4dの制御量を演算するCPU12と、演算された制御量に応じてH/U4a〜4dの駆動指令Dを出力する出力回路13とにより構成されている。
【0013】
ECU10は、H/U4および車輪速センサ6a〜6dなどと共働してアンチスキッド制御装置として機能し、車両の挙動に応じて適切に制動圧を増減することにより、安定に車両を減速させるようになっている。
【0014】
このため、ECU10内のCPU12は、車輪速Vwに基づいて車両に関する制動パラメータ(後述する減速度、路面摩擦係数、スリップ量など)を演算する制動パラメータ演算手段と、H/U4からホイールシリンダ5a〜5dを介して各車輪に印加される制動圧を制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令Dを出力する制御量演算手段とを備えている。
【0015】
これにより、H/U4は、ECU10からの駆動指令Dに基づいて、運転者の操作量に応じた基本的な制動圧を減圧、保持または増圧制御することにより、車輪のロックを防止し、車両の操縦性および安定性を確保することができる。
【0016】
しかしながら、実際には、車両の走行路面環境の違いや種々の運転状況の違いなどによって、ブレーキング状態が異なることが多い。
たとえば、運転者が急ブレーキをかけた後に、一時的にブレーキを緩めて(ブレーキ操作量を減少させ)、直後にブレーキ操作量を増大させて再度ブレーキをかけるダブルブレーキ操作を行うことがある。
【0017】
同様に、ブレーキをかけたり外したりすることを繰り返す、いわゆるポンピングブレーキと称されるダブルブレーキ操作を行うこともある。
このように、運転者によるダブルブレーキ操作時に、車輪のロック傾向が検出されてアンチスキッド制御が開始されると、ダブルブレーキ操作中の再度のブレーキ操作時に制動圧を適切に調整することができないおそれがある。
【0018】
すなわち、図12において、運転者により操作されたブレーキ力は、マスタシリンダ2からの液圧として発生し、この液圧がホイールシリンダ5a〜5dに導かれているが、ホイールシリンダ5a〜5dの液圧が高くなりすぎると、車輪がロック傾向を示すので、アンチスキッド制御が開始される。
【0019】
このアンチスキッド制御により適切な制動圧に自動調整しているときに、運転者がダブルブレーキ操作によりブレーキを緩めると、当然のことながら、ホイールシリンダ5a〜5dの液圧も下がることになる。
このときの減圧操作は、運転者の意思によるものなので、ECU10は、運転者の操作する圧力に見合った制動圧でH/U4を制御する。
【0020】
しかし、この直後に運転者が再度ブレーキを強く操作した場合、運転者の意志としては、早く車両を停止しようとしているにもかかわらず、アンチスキッド制御が継続状態であることから、ECU10の増圧指令が運転者のブレーキ操作より遅い速度で行われるので、制動力不足に陥ることになる。
【0021】
図13は上記のようなダブルブレーキ操作時の制動圧変化を示すタイミングチャートであり、マスタシリンダ2の液圧(マスタシリンダ圧)PMと、ホイーリシリンダ5a〜5dの液圧(ホイーリシリンダ圧)PWとのそれぞれの時間変化を示している。
【0022】
図13において、マスタシリンダ圧PMは、運転者が操作する制動力に相当している。
この場合、マスタシリンダ圧PMの変化から明らかなように、時刻t2においてブレーキ操作量が減少され(緩められ)、続く時刻t3においてブレーキ操作量が再度増大されている。
【0023】
一方、ホイーリシリンダ圧PWは、ダブルブレーキ操作時の1つのホイールシリンダ(たとえば、5a)の液圧を示している。
この場合、ホイーリシリンダ圧PWの変化から明らかなように、時刻t1において車輪のロック傾向が検出されてアンチスキッド制御が開始され、時刻t2の直後に、マスタシリンダ圧PMの減少にともないホイールシリンダ圧PWも減少している。
【0024】
さらに、運転者の再ブレーキ操作後の時刻t3から時刻t4までの期間において、ブレーキ操作に直接関連するマスタシリンダ圧PMが急上昇するにもかかわらず、ホイーリシリンダ圧PWは、ECU10からの駆動指令Dに基づいて段階的に増圧制御される。
【0025】
したがって、ホイーリシリンダ圧PWが十分に増圧するまでに長い時間を要することになり、この応答遅れが制動力不足を生むことになる。
そこで、このような制動力不足を防止するために、たとえば特公昭63−45336号公報に記載されたアンチスキッド制御装置のように、ブレーキセンサなどを付加して、ブレーキペダル1の変位を検出することも考えられる。
【0026】
このようなブレーキセンサを用いれば、ダブルブレーキ操作の状態を容易に検出することができるので、運転者の再ブレーキ操作を検出したときに制動圧を増圧補正することにより、制動力不足を防止することができる。
ただし、ブレーキセンサなどを付加することから、コストアップを招くことは避けられない。
【0027】
また、たとえば特開平4−27649号公報に記載されたアンチスキッド制御装置においては、特別なセンサを使用することなく車両の旋回状態またはスピン状態を検出し、旋回またはスピン検出後に全輪の制動圧を増圧することが提案されている。
【0028】
しかしながら、上記公報に記載されたいずれの従来装置においても、運転者のダブルブレーキ操作を検出することは全く考慮しておらず、たとえば、後者の従来装置は、スピン検出時に単に全車輪の制動圧を強制的に増圧するものである。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来のアンチスキッド制御装置は、ダブルブレーキ操作時の制動力不足について特に考慮していないので、制動力不足により運転者に与える不安感などの不都合を防止することができないという問題点があった。
【0030】
また、仮にダブルブレーキ操作を検出するためにブレーキセンサを付加しようとすると、ブレーキセンサの追加によるコストアップを招くうえ、ブレーキセンサの取付精度が要求されることから、種々の設計的制約を受けるという問題点があった。
【0031】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、特別なセンサなどを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出し、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係るアンチスキッド制御装置は、車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、コントローラは、車輪速に基づいて車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、制動圧調整手段から各車輪に印加される制動圧を、制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、ブレーキの操作時に操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作を判定するダブルブレーキ判定手段と、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、制動パラメータ演算手段は、車両のタイヤと路面との間の摩擦係数を路面摩擦係数として推定演算する路面摩擦係数推定手段を含み、ダブルブレーキ判定手段は、路面摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数に変化し且つ制御量演算手段が減圧方向の駆動指令を出力していないときに、ダブルブレーキ操作の状態を判定するものである。
【0035】
また、この発明の請求項2に係るアンチスキッド制御装置は、請求項1において、ダブルブレーキ判定手段は、減圧方向の駆動指令がないことを各車輪毎にチェックするものである。
【0036】
また、この発明の請求項3に係るアンチスキッド制御装置は、請求項1において、ダブルブレーキ判定手段は、減圧方向の駆動指令がないことを、車両の前輪毎または後輪毎にチェックするものである。
【0037】
また、この発明の請求項4に係るアンチスキッド制御装置は、車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、コントローラは、車輪速に基づいて車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、制動圧調整手段から各車輪に印加される制動圧を、制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、ブレーキの操作時に操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作を判定するダブルブレーキ判定手段と、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、制動パラメータ演算手段は、車両の車体減速度を推定演算する車体減速度推定手段と、車両の所定の車輪のスリップ量を推定演算するスリップ推定手段とを含み、ダブルブレーキ判定手段は、車体減速度が所定値以上減少し且つスリップ量が所定量以下のときに、ダブルブレーキ操作の状態を判定するものである。
【0038】
また、この発明の請求項5に係るアンチスキッド制御装置は、車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、コントローラは、車輪速に基づいて車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、制動圧調整手段から各車輪に印加される制動圧を、制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、ブレーキの操作時に操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作を判定するダブルブレーキ判定手段と、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、制動パラメータ演算手段は、車両のタイヤと路面との間の摩擦係数を路面摩擦係数として推定演算する路面摩擦係数推定手段と、車両の所定の車輪のスリップ量を推定演算するスリップ推定手段とを含み、ダブルブレーキ判定手段は、路面摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数に変化し且つスリップ量が所定量以下のときに、ダブルブレーキ操作の状態を判定するものである。
【0039】
また、この発明の請求項6に係るアンチスキッド制御装置は、請求項4または請求項5において、ダブルブレーキ判定手段は、スリップ量が所定量以下であることを各車輪毎にチェックするものである。
【0040】
また、この発明の請求項7に係るアンチスキッド制御装置は、請求項4または請求項5において、ダブルブレーキ判定手段は、スリップ量が所定量以下であることを、車両の前輪毎または後輪毎にチェックするものである。
【0041】
また、この発明の請求項8に係るアンチスキッド制御装置は、請求項1から請求項7までのいずれか1項において、制御量変更手段は、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧の増圧ゲインを通常よりも増大させるものである。
【0042】
また、この発明の請求項9に係るアンチスキッド制御装置は、請求項1から請求項7までのいずれか1項において、制御量変更手段は、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、アンチスキッド制御を中止または中断するものである。
【0043】
また、この発明の請求項10に係るアンチスキッド制御装置は、請求項1から請求項9までのいずれか1項において、制御量変更手段は、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、アンチスキッド制御による制動圧の減圧条件を、制動圧が減圧されにくい方向に変更するものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1のシステム構成を示すブロック図であり、図2は図1内の要部を具体的に示す機能ブロック図である。
【0045】
図1において、前述と同様のものについては、同一符号を付して詳述を省略する。また、10A、12AおよびDAは、それぞれ、前述のECU10、CPU12および駆動指令Dにそれぞれ対応している。
【0046】
図2において、アンチスキッド制御装置のコントローラとして機能するECU10A内のCPU12Aは、前述の制動パラメータ演算手段14および制御量演算手段15に加えて、ブレーキの操作時に操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作を判定するダブルブレーキ判定手段16と、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段17とを備えている。
【0047】
図2においては、簡略化のために、右前輪(FR)に対するホイールシリンダ5a、車輪速センサ6aおよびH/U4aのみが示されている。
CPU12A内の制動パラメータ演算手段14は、後述するように車輪速Vwに基づいて種々の制動パラメータを演算することができる。
【0048】
たとえば、制動パラメータ演算手段14は、車輪減速度αwを演算する車輪減速度演算手段と、車体減速度βwを推定演算する車体減速度推定手段と、車体速度Vrを推定演算する車体速度推定手段と、車輪のスリップ量(スリップ率)Swを推定演算するスリップ推定手段と、車両タイヤと路面との間の摩擦係数を路面摩擦係数μとして推定演算する路面摩擦係数推定手段とを含む。
【0049】
制御量演算手段15は、車輪速Vw、車輪減速度αw、車体速度Vr、車体減速度βw、スリップ量Swおよび路面摩擦係数μのうちの少なくとも1つの制動パラメータに応じてアンチスキッド用の制御量を演算し、この制御量に応じて、H/U4a〜4dに対する駆動指令DAを出力する。これにより、前述と同様に、車両の挙動に応じて適切に制動圧を増減し、安定に車両を停止させる。
【0050】
一方、ダブルブレーキ判定手段16は、上記制動パラメータのうちの少なくとも1つに基づいてダブルブレーキ操作の状態を判定し、制御量変更手段17は、ダブルブレーキ操作の状態に応答して制御量を変更し、ブレーキの制動性を向上させる。
【0051】
ダブルブレーキ判定手段16は、運転者のダブルブレーキ操作、すなわち強ブレーキ状態から弱ブレーキ(または、ブレーキ中断)状態への移行に続く、直後の再度の強ブレーキ状態への移行(いわゆる、ダブルブレーキ操作)を判定すると、ダブルブレーキ判定信号WBを出力する。
【0052】
制御量変更手段17は、ダブルブレーキ操作状態を示すダブルブレーキ判定信号WBに応答して、たとえば、制御量演算手段15からの駆動指令DAを増圧方向に変更する。
【0053】
図3は制御量変更手段17に基づくダブルブレーキ操作時のマスタシリンダ圧PMおよびホイーリシリンダ圧PWの変化を示すタイミングチャートである。
図3において、マスタシリンダ圧PM(運転者が操作する制動力)は、前述と同様に、時刻t2にブレーキ操作量が減少され、時刻t3にブレーキ操作量が再度増大されている。
【0054】
また、ホイーリシリンダ圧PWは、運転者の最初のブレーキ踏み込み操作時には、前述と同様に、時刻t1において車輪のロック傾向が検出されてアンチスキッド制御が開始され、時刻t2の直後に減少する。
さらに、ホイーリシリンダ圧PWは、運転者の再度のブレーキ踏み込み操作時に、時刻t3〜t5の期間において段階的に増圧制御される。
【0055】
すなわち、時刻t3〜t5の期間において、ブレーキ操作に直接関連するマスタシリンダ圧PMが急上昇するにもかかわらず、ホイーリシリンダ圧PWは、ECU10Aからの駆動指令DAに基づき、各時刻ta〜tcにおいて、前述(図13参照)よりも大きいゲインで段階的に増圧制御される。
【0056】
次に、図3のタイミングチャートとともに、図4〜図7のフローチャートを参照しながら、図1および図2に示したこの発明の実施の形態1によるCPU12Aの具体的な動作について説明する。
【0057】
図4はCPU12Aの全体の処理動作を示す。また、図5は制御量演算処理動作を示しており、ここでは、簡略化のために、1つの車輪のみに注目した処理を示している。さらに、図6はダブルブレーキ操作状態の判定動作を示し、図7は制御量の演算および変更動作を示している。
【0058】
まず、図4において、電源投入後にCPU12Aの処理動作がスタートし、CPU12A内のRAMおよび入出力ポートなどの初期化(ステップS1)を実行した後、各車輪速センサ6a〜6dからの車輪速Vwを各々演算する(ステップS2)。
【0059】
なお、車輪速Vwは、前述のように、各車輪速検出信号の時間間隔から演算され得る。また、車輪速Vwは、各車輪(FR、FL、RR、RL)毎に演算されるものとする。
【0060】
続いて、CPU12A内の制動パラメータ演算手段は、各車輪速Vwに基づいて車体速度Vrを推定演算する(ステップS3)。
車体速度Vrは、たとえば、車輪速Vwの最高速を選択して所定のフィルタ処理を施すことにより演算され得る。
【0061】
次に、制動パラメータ演算手段は、車輪速Vwの微分に基づいて各車輪毎の車輪減速度αwを演算し(ステップS4)、車体速度Vrおよび車輪速Vwから各車輪のスリップ量Swを演算する(ステップS5)。
【0062】
続いて、制御量演算手段15は、上記種々の制動パラメータに基づいて、駆動指令DAに相当する制御量(アンチスキッド制御量)を演算し(ステップS6)、ダブルブレーキ判定手段16は、ダブルブレーキ操作状態(ダブルブレーキ判定信号WB)の有無を判定する(ステップS7)。
【0063】
もし、ステップS7において、ダブルブレーキ操作の状態である(すなわち、YES)と判定されれば、制御量変更手段17は、制御量を変更し(ステップS7A)、変更後の制御量に相当する駆動指令DAを制御量演算手段15から出力させる(ステップS8)。
【0064】
一方、ステップS7において、ダブルブレーキ操作の状態でない(すなわち、NO)と判定されれば、制御量変更手段17は、変更されない制御量に相当する駆動指令DAを制御量演算手段15から出力させる(ステップS8)。
【0065】
最後に、CPU12Aは、待ち時間処理(ステップS9)を実行し、所定時間Tの経過後に、再度ステップS2に戻って同様の処理を繰り返す。
これにより、上記ステップS2〜S8の処理は、所定時間T毎に実行されることになる。
【0066】
図5は制御量演算手段15の演算処理(図4内のステップS6)を具体的に示している。
図5において、まず、制御量演算手段15は、制動パラメータに含まれる車輪減速度αwが車輪ロック傾向の判定基準となる所定値Aよりも大きいか否かを判定する(ステップS10)。
【0067】
ここでは、説明を簡略化するために、実際には負の値である車輪減速度αwを正の値としてあつかうものとする。このことは、後述する車体減速度βwについても同様である。
【0068】
もし、ステップS10において、αw>A(すなわち、YES)と判定されれば、車輪がロック傾向を示しているので、制御量を減圧するための処理(ステップS12)に進む。
【0069】
一方、ステップS10において、αw≦A(すなわち、NO)と判定されれば、車輪がロック傾向を示していないので、続いて、スリップ量Swが第1の所定量Bよりも大きいか否かを判定する(ステップS11)。
【0070】
もし、ステップS11において、Sw>B(すなわち、YES)と判定されれば、車輪がロック傾向を示しているので、制動圧減圧指令を示すフラグCNTRをセット(CNTR=H)し(ステップS12)、ステップS19に進む。
【0071】
一方、ステップS11において、Sw≦B(すなわち、NO)と判定されれば、車輪がロック傾向を示していないので、続いて、アンチスキッド制御中を示すフラグABSFがセットされているか否かを判定する(ステップS13)。
【0072】
もし、ステップS13において、ABSF=H(すなわち、YES)と判定されれば、アンチスキッド制御中なので、続いて、スリップ量Swが第2の所定量Cよりも大きいか否かを判定する(ステップS14)。
ここで、ステップS11における第1の所定量Bと、ステップS14における第2の所定量Cとは、C<Bの関係を満たすように設定されている。
【0073】
もし、ステップS14において、Sw>C(すなわち、YES)と判定されれば、車輪ロックよりも小さいスリップ状態なので、制動圧保持用の指令フラグCNTHをセット(CNTH=H)し(ステップS15)、ステップS19に進む。
【0074】
一方、ステップS14において、Sw≦C(すなわち、NO)と判定されれば、スリップがほとんどない状態なので、続いて、アンチスキッド制御が中止状態か否かを判定する(ステップS16)。
なお、アンチスキッド制御中止の有無判定は、所定時間以上または所定回数以上にわたって増圧状態が継続しているか否かに基づいて実行され得る。
【0075】
もし、ステップS16において、アンチスキッド制御中止状態でない(すなわち、NO)と判定されれば、制動圧増圧指令を示すフラグCNTBをセット(CNTB=H)し(ステップS17)、ステップS19に進む。
【0076】
一方、ステップS16において、アンチスキッド制御中止状態である(すなわち、NO)と判定されれば、各制御指令フラグCNTR、CNTH、CNTBおよびアンチスキッド制御中フラグABSFをリセット(=L)するとともに、他のフラグ(後述する)もリセットし(ステップS18)、ステップS19に進む。
【0077】
同様に、ステップS13において、ABSF=Hでない(すなわち、NO)と判定された場合も、アンチスキッド制御中でないので、ステップS18に進み、各種フラグをリセットした後、ステップS19に進む。
【0078】
ステップS19においては、アンチスキッド制御中フラグABSFをセット(ABSF=H)し、図5のアンチスキッド制御処理ルーチンを終了する。
以上のように、制御量演算手段15において、車輪速Vwに応じて制動圧を増減するための判定が行われている。
【0079】
なお、ここでは、簡略化のために1つの車輪のみに注目して説明したが、実際には他の車輪についても同様のアンチスキッド制御が実行されることは言うまでもない。
【0080】
図6はダブルブレーキ判定手段16の判定処理(図4内のステップS7)を具体的に示している。
ダブルブレーキ判定処理は、アンチスキッド制御中のみに実行され、アンチスキッド制御中でなければ実行されることはない。
【0081】
図6において、まず、ダブルブレーキ判定手段16は、アンチスキッド制御中フラグABSFを参照して、アンチスキッド制御中か否かを判定し(ステップS20)、アンチスキッド制御中でない(すなわち、NO)と判定されれば、そのまま図6の処理ルーチンを終了する。
【0082】
一方、ステップS20において、アンチスキッド制御中である(すなわち、YES)と判定されれば、続いて、車体速度Vrの減速度βwが第1の所定値D1(ブレーキを緩めた状態の判定基準)以下か否かを判定する(ステップS21)。
【0083】
なお、車体減速度βwは、車体速度Vrの微分に基づいて推定演算することができる。
もし、ステップS21において、βw>D1(すなわち、NO)と判定されれば、運転者がブレーキを緩めていないものと推定されるので、続いて、車体減速度βwが第2の所定値D2よりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。
【0084】
ステップS22においては、図3内の時刻t2までの間に、車体減速度βwが第2の所定値D2よりも大きい状態(強いブレーキ操作)があったか否かが判定されている。
ここで、第1の所定値D1および第2の所定値D2は、D1≦D2の関係にあり、D1=D2であってもよい。
【0085】
もし、ステップS22において、βw>D2(すなわち、YES)と判定されれば、強いブレーキ操作により十分に大きい車体減速度βwを示している状態と見なせるので、車体減速度フラグβFLAGをセット(βFLAG=H)し(ステップS23)、図6の処理ルーチンを終了する。
【0086】
また、ステップS22において、βw≦D2(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS23の処理を実行せずに、図6の処理ルーチンを終了する。
【0087】
一方、ステップS21において、βw≦D1(すなわち、YES)と判定されれば、運転者がブレーキを緩めて車体減速度βwが十分小さい状態と見なせるので、続いて、車体減速度フラグβFLAGを参照し、前回の車体減速度βwが第2の所定値D2よりも大きい状態があった(βFLAG=H)か否かを判定する(ステップS24)。
【0088】
ここで、車体減速度βwが第1の所定値D1以下ということは、図3内の時刻t2〜t3の間に、運転者がブレーキを緩めた状態であるかを判定することに相当する。
【0089】
もし、ステップS24において、βFLAG=Hでない(すなわち、NO)と判定されれば、ダブルブレーキ操作とは無関係なので、何の処理も実行せずに、そのまま図6の処理ルーチンを終了する。
【0090】
一方、ステップS24において、βFLAG=H(すなわち、YES)と判定されれば、強いブレーキ操作後にブレーキを緩めたものと見なせる。
しかし、このとき、減圧方向の駆動指令DAが出力されている場合には、運転者の意志にかかわりなく減圧指令を優先させる必要がある。
【0091】
したがって、続いて、減圧指令フラグCNTRを参照して、減圧方向の駆動指令DAが出力されていない(制動圧が減圧状態でない)か否かを判定する(ステップS25)。
【0092】
なお、ここでは、ダブルブレーキ判定処理を迅速に行うために、減圧方向の駆動指令DAがないことを、各車輪毎にチェックするものとする。
【0093】
もし、ステップS25において、減圧方向の駆動指令DAが出力中であって、CNTR=H(すなわち、NO)と判定されれば、アンチスキッド制御による減圧状態なので、このアンチスキッド制御を優先させるために、ダブルブレーキ判定を実行せずに、そのまま図6の処理ルーチンを終了する。
【0094】
一方、ステップS25において、CNTR=L(すなわち、YES)と判定されれば、減圧指令状態ではないので、運転者によるダブルブレーキ操作状態を判定する。
【0095】
したがって、ダブルブレーキ判定手段16は、ダブルブレーキフラグWBFをセット(WBF=H)して(ステップS26)、ダブルブレーキ判定信号WBを生成し、図6の処理ルーチンを終了する。
【0096】
なお、ダブルブレーキフラグWBFおよび車体減速度フラグβFLAGは、図5内のステップS18において、リセット(WBF=L、βFLAG=L)される。
【0097】
たとえば、図3のように、まずブレーキを強く操作して、時刻t1にアンチスキッド制御に入り、車体減速度βwが所定値以上になった後でブレーキを緩めると、車体減速度βwが当然小さくなるので、図5および図6の処理により、車体減速度βwに基づいてダブルブレーキ操作状態の判定が可能となる。
【0098】
また、このとき、制動圧状態(減圧指令フラグCNTR)を参照して、減圧状態でない場合のみにダブルブレーキ操作状態を判定することにより、減圧指令を優先させることができる。
【0099】
したがって、たとえば、ブレーキペダルセンサまたはマスタシリンダ圧力センサなどの特別なセンサを付加することなく、有効にダブルブレーキ操作状態を判定することができる。
【0100】
図7は制御量演算手段15および制御量変更手段17の動作を示すフローチャートであり、ダブルブレーキ判定が終了した後のアンチスキッド制御量の変更処理動作を示している。
【0101】
この場合、制御量変更手段17は、ダブルブレーキ操作状態が判定された場合に、ダブルブレーキ判定信号WBに応答して、図3のように制動圧の増圧ゲインを通常よりも増大させている。
【0102】
図7において、まず、ダブルブレーキフラグWBFがセットされている(WBF=H)か否かを判定し(ステップS30)、WBF=H(すなわち、YES)と判定されれば、ダブルブレーキ操作があったと見なせるので、制御量を補正増圧モードとするように出力し(ステップS31)、図7の処理ルーチンを終了する。
【0103】
一方、ステップS30において、WBF=L(すなわち、NO)と判定されれば、以下、通常のアンチスキッド制御出力を行う(ステップS32〜S38)。
すなわち、まず、減圧指令がある(CNTR=H)か否かを判定し(ステップS32)、CNTR=H(すなわち、YES)と判定されれば、減圧モード出力を行い(ステップS33)、図7の処理ルーチンを終了する。
【0104】
また、ステップS32において、CNTR=L(すなわち、NO)と判定されれば、続いて、保持指令がある(CNTH=H)か否かを判定し(ステップS34)、CNTH=H(すなわち、YES)と判定されれば、制動圧を保持するための保持モード出力を行い(ステップS35)、図7の処理ルーチンを終了する。
【0105】
また、ステップS34において、CNTH=L(すなわち、NO)と判定されれば、続いて、増圧指令がある(CNTB=H)か否かを判定し(ステップS36)、CNTB=H(すなわち、YES)と判定されれば、通常増圧モードとするように制御量を出力し(ステップS37)、図7の処理ルーチンを終了する。
【0106】
一方、ステップS36において、CNTB=L(すなわち、NO)と判定されれば、非アンチスキッド制御モードつまり通常増圧モード(通常ブレーキモード)を出力し(ステップS38)、図7の処理ルーチンを終了する。
【0107】
以上のように、この発明の実施の形態1による制御量変更動作は、ダブルブレーキフラグWBFに応答して補正増圧モード(ステップS31)に移行することにより達成される。
【0108】
ここで、通常増圧モード(ステップS31)および補正増圧モード(ステップS37)について、図3および図13を参照しながら説明する。
通常増圧モード(ステップS37)において、アンチスキッド制御によるホイールシリンダ圧PWは、図13内の時刻t3〜t4のように、階段状に徐々に増大する波形となる。
【0109】
図13内の時刻t3〜t4におけるホイールシリンダ圧PWの階段状波形は、制動圧の保持(ステップS35)および増圧(ステップS37)を繰り返し実行することにより達成されており、実質的に所望の増圧ゲインを設定している。
【0110】
一方、補正増圧モード(ステップS31)においては、図3のように増圧補正されたホイールシリンダ圧PWの階段状波形となる。すなわち、時刻t3までには、すでにダブルブレーキ判定が終了しているので、時刻t3から、直ちに補正増圧モード(ステップS31)に変更された波形となる。
【0111】
図3において、補正増圧モード(ステップS31)時の増圧ゲインは、増圧時間ta〜tbを通常増圧モードの場合よりも長く設定し、且つ、保持時間tb〜tcを通常増圧モードの場合よりも短く設定することにより、達成されている。
【0112】
このような時間間隔(ta〜tbおよびtb〜tc)の変更により、増圧ゲインを必要に応じて任意に変更することができ、車両や車輪の挙動などによって、最適な増圧ゲインを設定することができる。
【0113】
上記増圧補正により、次回の減圧時期は、通常の場合(図13内の時刻t3〜t4)と比べて、時刻t4〜t5まで早めることができ、制動圧不足を抑制することができる。
また、保持時間tb〜tcをできる限り小さく設定する(零に近づける)ことにより、H/U4の増圧ゲインを最大まで使用することができる。
【0114】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1によるダブルブレーキ判定手段16は、判定処理速度を優先して、減圧方向の駆動指令DAがないことを各車輪毎にチェックしたが、車両の前輪毎または後輪毎にチェックしてもよい。
【0115】
この場合、各車輪毎に独立に減圧指令がないことをチェックした場合と比べて、ダブルブレーキの再ブレーキ操作時の増圧開始時点が両輪に関して同時となるので、左右両輪のホイールシリンダ圧が同等に増圧され、左右の車輪に対する制動圧の差がなくなり、車両の直進安定性が向上するという効果がある。
【0116】
実施の形態3.
また、上記実施の形態1では、ダブルブレーキ判定手段16の処理動作(図6参照)において、車体減速度βwが所定値D1以下を示すときにダブルブレーキ判定処理(ステップS24、S25)を実行したが、車体減速度βwが所定値以上減少した場合にダブルブレーキ判定処理を実行してもよい。
【0117】
以下、車体減速度βwが所定値以上減少したときにダブルブレーキ判定を実行するようにしたこの発明の実施の形態3によるダブルブレーキ判定動作について説明する。
【0118】
図8はこの発明の実施の形態3によるダブルブレーキ判定手段16の判定動作を示すフローチャートであり、前述(図6参照)と同様のステップについては、同一符号を付して詳述を省略する。
【0119】
また、ステップS21A、S23AおよびS24Aは、前述のステップS21、S23およびS24にそれぞれ対応している。
この場合、CPU12A内のダブルブレーキ判定手段16の機能が一部異なるのみであり、装置構成は前述(図1および図2参照)と同様である。
【0120】
まず、図8内のステップS20において、アンチスキッド制御中であることが判定された場合、ダブルブレーキ判定手段16は、車体減速度βwを前回値γと比較し、車体減速度βwが前回値γよりも小さいか否かを判定する(ステップS21A)。
【0121】
なお、車体減速度βwの前回値γは、減圧方向の駆動指令DAが発生したときに、図5内のステップS18において、あらかじめ初期値が0に設定されているものとする。
【0122】
もし、ステップS21Aにおいて、γ≦βw(すなわち、NO)と判定されれば、前回値γは車体減速度βwの現在値に更新され(ステップS23A)、図8の処理ルーチンを終了する。
これにより、前回値γとして、常に車体減速度βwの最大値が格納される。
【0123】
一方、ステップS21Aにおいて、γ>βw(すなわち、YES)と判定されれば、車体減速度βwが減少しているので、続いて、減少量(γ−βw)を第3の所定値D3と比較し、車体減速度βwが第3の所定値D3以上減少したか否かを判定する(ステップS24A)。
【0124】
もし、ステップS24Aにおいて、γ−βw<D3(すなわち、NO)と判定されれば、車体減速度βwが第3の所定値D3以上減少していないので、そのまま、図8の処理ルーチンを終了する。
【0125】
一方、ステップS24Aにおいて、γ−βw≧D3(すなわち、YES)と判定されれば、車体減速度βwが第3の所定値D3以上減少しているので、減圧指令フラグCNTRがセットされていないことをチェック(ステップS25)した後、ダブルブレーキフラグWBFをセットし(ステップS26)、図8の処理ルーチンを終了する。
【0126】
このように、車体減速度βwの前回値γからの減少量が第3の所定値D3以上を示したときに減圧指令がなければ、ダブルブレーキ判定手段16からダブルブレーキ判定信号WBが生成されるので、制御量演算手段15において制御量が変更され、前述と同等の作用効果を奏する。
【0127】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1〜3では、ダブルブレーキ判定処理(図6、図8内のステップS25参照)において、減圧指令フラグCNTRがセットされいないことをチェックしたが、スリップ量Swが所定量以下であることをチェックしてもよい。
【0128】
以下、スリップ量Swが所定量以下のときにダブルブレーキ操作状態を判定するようにしたこの発明の実施の形態4によるダブルブレーキ判定動作について説明する。
【0129】
図9はこの発明の実施の形態4によるダブルブレーキ判定手段16の判定動作を示すフローチャートであり、前述(図8参照)と同様のステップについては、同一符号を付して詳述を省略する。また、ステップS25Bは、前述のステップS25に対応している。
【0130】
この場合、ダブルブレーキ判定手段16は、ステップS24Aにおいて、車体減速度βwが第3の所定値D3以上減少したことを判定した場合に、続いて、スリップ量Swが所定量E以下であるか否かを判定する(ステップS25B)。
ここでは、スリップ量Swのチェックは、各車輪毎に行われるものとする。
【0131】
もし、Sw≦E(すなわち、YES)と判定されれば、ダブルブレーキ操作の状態があったものと判定して、ダブルブレーキフラグWBFをセット(ステップS26)し、Sw>E(すなわち、NO)と判定されれば、ダブルブレーキ判定は行わずに図9の処理ルーチンを終了する。
【0132】
このように、制動パラメータとして、減圧指令でなくスリップ量Swを用いても、センサなどを付加することなくダブルブレーキ操作状態を判定することができ、前述と同等の作用効果を奏する。
【0133】
また、上記実施の形態3および4のダブルブレーキ判定処理を組み合わせて、減圧方向の駆動指令DAがなく、且つ、スリップ量Swが所定量E以下の場合にダブルブレーキ操作状態を判定してもよい。
【0134】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態3では、車体減速度βwが所定値D3以上減少した場合にダブルブレーキ判定処理を実行したが、路面摩擦係数μが高摩擦係数から低摩擦係数に変化した場合にダブルブレーキ判定処理を実行してもよい。
【0135】
以下、路面摩擦係数μが高摩擦係数から低摩擦係数に変化した場合にダブルブレーキ判定処理を実行するようにしたこの発明の実施の形態5によるダブルブレーキ判定動作について説明する。
【0136】
図10はこの発明の実施の形態5によるダブルブレーキ判定手段16の判定動作を示すフローチャートであり、前述(図8参照)と同様のステップについては、同一符号を付して詳述を省略する。また、ステップS21C、S23CおよびS24Cは、前述のステップS21A、S23AおよびS24Aにそれぞれ対応している。
【0137】
この場合、ダブルブレーキ判定手段16は、路面摩擦係数μが高摩擦係数から低摩擦係数に変化し、且つ、制御量演算手段15が減圧方向の駆動指令DAを出力していないときに、ダブルブレーキ操作の状態を判定してダブルブレーキフラグWBFをセット(ステップS26)する。
【0138】
まず、図10内のステップS20において、アンチスキッド制御中(ABSF=H)であることが判定されれば、続いて、路面摩擦係数μ(車両タイヤと路面との間の摩擦係数)が所定値F以下(低摩擦係数)か否かを判定する(ステップS21C)。
【0139】
なお、路面摩擦係数μは、たとえば、車両に加速度センサ(図示せず)が搭載されている場合には、加速度センサの検出値から推定演算することができ、加速度センサが搭載されていない場合には、車体速度Vr、車輪速Vwまたは制動圧モードから推定演算することができる。
【0140】
ステップS21Cにおいて、μ>F(すなわち、NO)と判定されれば、路面摩擦係数μが高摩擦係数と見なせるので、摩擦係数フラグμFLAGをセット(μFLAG=H)し(ステップS23C)、図10の処理ルーチンを終了する。
【0141】
一方、ステップS21Cにおいて、μ≦F(すなわち、YES)と判定されれば、路面摩擦係数μが低摩擦係数と見なせるので、続いて、摩擦係数フラグμFLAGがセットされている(μFLAG=H)か否かを判定する(ステップS24C)。
【0142】
ステップS24Cにおいては、図3内の時刻t2までに、路面摩擦係数μが高摩擦係数の状態(μ>F)があったか否かがチェックされる。
もし、ステップS24Cにおいて、μFLAG=L(すなわち、NO)と判定されれば、路面摩擦係数μが高摩擦係数になったことがないので、何も実行せずに図10の処理ルーチンを終了する。
【0143】
一方、ステップS24Cにおいて、μFLAG=H(すなわち、YES)と判定されれば、路面摩擦係数μが高摩擦係数になったと見なせるので、以下、前述と同様に、減圧状態(CNTR=L)であるか否かを判定し(ステップS25)、CNTR=L(すなわち、YES)と判定されれば、ダブルブレーキフラグWBFをセットする(ステップS26)。
【0144】
なお、ダブルブレーキフラグWBFおよび摩擦係数フラグμFLAGは、図5内のステップS18において、リセット(WBF=L、μFLAG=L)されるものとする。
【0145】
このように、制動パラメータとして路面摩擦係数μを用いることにより、路面摩擦係数μの高摩擦係数から低摩擦係数への変化に基づいて、ダブルブレーキ操作状態を判定することができ、前述と同等の作用効果を奏する。
【0146】
なぜなら、ブレーキ操作時において、アンチスキッド制御に入って路面摩擦係数μが高摩擦係数になった後でブレーキを緩めると、路面摩擦係数μが見かけ上小さくなることから、ダブルブレーキ操作が路面摩擦係数μの変化として検出されるからである。
【0147】
実施の形態6.
なお、上記実施の形態5では、ダブルブレーキ判定処理(図10内のステップS25参照)において、減圧指令フラグCNTRがセットされていないことをチェックしたが、前述の実施の形態4(図9内のステップS25B参照)と同様に、スリップ量Swが所定量E以下であることをチェックしてもよい。
【0148】
この場合、図10内のステップS25に代えて、図9内のステップS25Bを挿入し、ステップS25Bにおいて、Sw≦E(すなわち、YES)と判定されれば、ダブルブレーキ操作があったものと見なし、ダブルブレーキフラグWSFをセット(ステップS26)することになる。したがって、前述と同等の作用効果を奏する。
【0149】
実施の形態7.
なお、上記実施の形態4および6では、ダブルブレーキ判定処理(図9内のステップS25B参照)において、スリップ量Swが所定量E以下であることを各車輪毎にチェックしたが、車両の前輪毎または後輪毎にチェックしてもよい。
【0150】
この場合、ダブルブレーキ判定手段16および制御量変更手段17は、前輪または後輪の両輪を制御量(ブレーキ圧)の変更対象とし、ダブルブレーキ判定手段16は、図9内のステップS25Bにおいて、スリップ量Swのチェックを、両前輪(または、より低速の前輪)、または、両後輪(または、より低速の後輪)について判定する。
【0151】
これにより、各車輪毎に独立にスリップ量Swをチェックした場合と比べて、ダブルブレーキの再ブレーキ操作時の増圧開始時点が両輪に関して同時となるので、左右両輪のホイールシリンダ圧が同等に増圧され、左右の車輪に対する制動圧の差がなくなり、車両の直進安定性が向上するという効果がある。
【0152】
実施の形態8.
なお、上記実施の形態1〜7では、図3のように、ダブルブレーキ操作状態が判定されたときに、再ブレーキ操作時の制御量(ブレーキ圧)を増圧変更したが、アンチスキッド制御を中止または中断してもよい。
【0153】
図11はダブルブレーキ操作状態が判定された場合にアンチスキッド制御を中止または中断するようにしたこの発明の実施の形態8による制御量変更処理動作を示すタイミングチャートである。
【0154】
この場合、制御量演算手段15および制御量変更手段17は、ダブルブレーキ操作状態が判定された場合に、アンチスキッド制御を中止または中断する。
したがって、再ブレーキ操作直後(図11内の時刻t3〜t6)の期間において、ホイーリシリンダ圧PWはマスタシリンダ圧PMに追従して増大する。
【0155】
また、図7を参照しながら、制御量演算手段15および制御量変更手段17の動作について説明すると、ステップS30においてダブルブレーキ操作があり(WBF=H)と判定された場合に、補正増圧モード(ステップS31)に進むのではなく、一旦、非ABSモード(ステップS38)にジャンプすることになる。
【0156】
すなわち、時刻t3までにダブルブレーキ操作が判定された場合、時刻t3の時点で、一旦、非アンチスキッドモードとなることにより、運転者の操作に応じた制動圧がホイールシリンダに印加されることになる。したがって、時刻t3〜t6において、ホイーリシリンダ圧PWはマスタシリンダ圧PMに追従して、良好な制動を実現することができる。
【0157】
この場合、ダブルブレーキ操作における再ブレーキ操作時に、時刻t3〜t6にわたって、全く制動圧不足が発生することがないという効果がある。
なお、非アンチスキッドモードは、通常ブレーキモードと同一であってもよく、アンチスキッド制御を中断または中止しても同等の効果を奏する。
【0158】
実施の形態9.
なお、上記実施の形態8では、減圧開始(時刻t6)の条件について特に言及しなかったが、ダブルブレーキ操作が判定された場合のアンチスキッド制御時における制動圧減圧条件を、制動圧が減圧されにくい方向に変更してもよい。
【0159】
この場合、制御量演算手段15および制御量変更手段17は、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、アンチスキッド制御による制動圧減圧条件を、減圧されにくいように変更する。
【0160】
たとえば、仮にダブルブレーキ判定後のアンチスキッド制御による制動圧減圧条件を変更しない場合、ダブルブレーキ判定時に車体減速度βwが一旦小さくなった後に、再び大きくなる途中の時期においては、通常の減圧条件を適用すると早めに減圧されてしまい、制動圧が理想値よりも低めで減圧されてしまうことになる。
【0161】
これは、車体減速度βwが一旦小さくなり、見かけ上の路面摩擦係数μが小さくなるために発生する現象である。
そこで、ダブルブレーキ判定後の再ブレーキ操作時において、減圧条件を通常よりも減圧されにくい(厳しい)方向に変更することにより、より適切な制動圧調整を行うことが望ましい。
【0162】
具体的には、ダブルブレーキ判定後において、制御量演算処理ルーチン(図5参照)内のステップS10およびS11における所定値A(車輪ロック傾向の判定基準)および第1の所定量B(スリップ量Swの比較基準)をそれぞれ大きく設定することにより、実現することができる。
【0163】
すなわち、車輪減速度Vwおよび車輪スリップ量Swの閾値を厳しくすることにより、減圧条件を減圧しにくい方向に変更することができる。
これにより、たとえば図11において、ダブルブレーキ判定後のホイールシリンダ圧PWの減圧開始時期(時刻t6)は、ホイールシリンダ圧PWが十分高い値に上昇した時点に設定されることになる。
【0164】
したがって、再ブレーキ操作時の平均制動圧が高く設定されるので、ブレーキ力をより有効に使用することになり、制動距離を短縮させる効果がある。
【0165】
なお、ダブルブレーキ判定後の減圧条件を減圧しにくい方向に変更することは、上記実施の形態8のみに限らず、他の実施の形態に適用しても、同様に有効である。
【0166】
たとえば、増圧ゲインを増大補正した場合(図3参照)に適用した場合、減圧開始時期(時刻t5)は、ホイールシリンダ圧PWが十分に上昇した時点に設定されるので、上述と同等の作用効果を奏する。
【0167】
【発明の効果】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、コントローラは、車輪速に基づいて車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、制動圧調整手段から各車輪に印加される制動圧を、制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、ブレーキの操作時に操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作を判定するダブルブレーキ判定手段と、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、制動パラメータ演算手段は、車両のタイヤと路面との間の摩擦係数を路面摩擦係数として推定演算する路面摩擦係数推定手段を含み、ダブルブレーキ判定手段は、路面摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数に変化し且つ制御量演算手段が減圧方向の駆動指令を出力していないときに、ダブルブレーキ操作の状態を判定するようにしたので、特別なセンサを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出して、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0170】
また、この発明の請求項2によれば、請求項1において、ダブルブレーキ判定手段は、減圧方向の駆動指令がないことを各車輪毎にチェックするようにしたので、特別なセンサを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出して、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0171】
また、この発明の請求項3によれば、請求項1において、ダブルブレーキ判定手段は、減圧方向の駆動指令がないことを、車両の前輪毎または後輪毎にチェックするようにしたので、制動時の安定性を向上させたアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0172】
また、この発明の請求項4によれば、車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、コントローラは、車輪速に基づいて車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、制動圧調整手段から各車輪に印加される制動圧を、制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、ブレーキの操作時に操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作を判定するダブルブレーキ判定手段と、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、制動パラメータ演算手段は、車両の車体減速度を推定演算する車体減速度推定手段と、車両の所定の車輪のスリップ量を推定演算するスリップ推定手段とを含み、ダブルブレーキ判定手段は、車体減速度が所定値以上減少し且つスリップ量が所定量以下のときに、ダブルブレーキ操作の状態を判定するようにしたので、特別なセンサを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出して、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0173】
また、この発明の請求項5によれば、車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、コントローラは、車輪速に基づいて車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、制動圧調整手段から各車輪に印加される制動圧を、制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、ブレーキの操作時に操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作を判定するダブルブレーキ判定手段と、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、制動パラメータ演算手段は、車両のタイヤと路面との間の摩擦係数を路面摩擦係数として推定演算する路面摩擦係数推定手段と、車両の所定の車輪のスリップ量を推定演算するスリップ推定手段とを含み、ダブルブレーキ判定手段は、路面摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数に変化し且つスリップ量が所定量以下のときに、ダブルブレーキ操作の状態を判定するようにしたので、特別なセンサを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出して、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0174】
また、この発明の請求項6によれば、請求項4または請求項5において、ダブルブレーキ判定手段は、スリップ量が所定量以下であることを各車輪毎にチェックするようにしたので、特別なセンサを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出して、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0175】
また、この発明の請求項7によれば、請求項4または請求項5において、ダブルブレーキ判定手段は、スリップ量が所定量以下であることを、車両の前輪毎または後輪毎にチェックするようにしたので、左右輪の制動圧差を低減させて制動時の安定性を向上させたアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0176】
また、この発明の請求項8によれば、請求項1から請求項7までのいずれか1項において、制御量変更手段は、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、制動圧の増圧ゲインを通常よりも増大させるようにしたので、特別なセンサを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出して、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0177】
また、この発明の請求項9によれば、請求項1から請求項7までのいずれか1項において、制御量変更手段は、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、アンチスキッド制御を中止または中断するようにしたので、特別なセンサなどを付加することなくダブルブレーキ操作状態を検出して、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【0178】
また、この発明の請求項10によれば、請求項1から請求項9までのいずれか1項において、制御量変更手段は、ダブルブレーキ操作が判定された場合に、アンチスキッド制御による制動圧の減圧条件を、制動圧が減圧されにくい方向に変更するようにしたので、ダブルブレーキ後の平均制動圧を高くすることができ、ダブルブレーキ操作時の制動力不足を抑制して適正な制動制御を行うことのできるアンチスキッド制御装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の要部を示す機能ブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態1によるダブルブレーキ操作時の制動圧の時間変化を示すタイミングチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態1〜9による概略動作を示すフローチャートである。
【図5】 この発明の実施の形態1〜9によるアンチスキッド制御量の演算動作を示すフローチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態1によるダブルブレーキ判定動作を示すフローチャートである。
【図7】 この発明の実施の形態1による制御量設定動作を示すフローチャートである。
【図8】 この発明の実施の形態3によるダブルブレーキ判定動作を示すフローチャートである。
【図9】 この発明の実施の形態4によるダブルブレーキ判定動作を示すフローチャートである。
【図10】 この発明の実施の形態5によるダブルブレーキ判定動作を示すフローチャートである。
【図11】 この発明の実施の形態8によるダブルブレーキ操作時の制動圧の時間変化を示すタイミングチャートである。
【図12】 従来のアンチスキッド制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図13】 従来のアンチスキッド制御装置によるダブルブレーキ操作時の制動圧の時間変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル、2 マスタシリンダ、4、4a〜4d H/U(制動圧調整手段)、5a〜5d ホイールシリンダ、6a〜6b 車輪速センサ、
10A ECU(コントローラ)、12A CPU、14 制動パラメータ演算手段、15 制御量演算手段、16 ダブルブレーキ判定手段、17 制御量変更手段、D1、D3 所定値、DA 駆動指令、E 所定量、F 所定値、Swスリップ量、Vw 車輪速、WB ダブルブレーキ判定信号、βw 車体減速度、μ 路面摩擦係数、S7 ダブルブレーキ操作の状態を判定するステップ。

Claims (10)

  1. 車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、
    前記各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、
    前記制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、
    前記ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記車輪速に基づいて前記車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、
    前記制動圧調整手段から前記各車輪に印加される制動圧を、前記制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、
    前記ブレーキの操作時にブレーキ操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作の状態を判定するダブルブレーキ判定手段と、
    前記ダブルブレーキ操作の状態が判定された場合に、前記制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、
    前記制動パラメータ演算手段は、前記車両のタイヤと路面との間の摩擦係数を路面摩擦係数として推定演算する路面摩擦係数推定手段を含み、
    前記ダブルブレーキ判定手段は、前記路面摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数に変化し且つ前記制御量演算手段が減圧方向の駆動指令を出力していないときに、前記ダブルブレーキ操作の状態を判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 前記ダブルブレーキ判定手段は、前記減圧方向の駆動指令がないことを前記各車輪毎にチェックすることを特徴とする請求項1に記載のアンチスキッド制御装置。
  3. 前記ダブルブレーキ判定手段は、前記減圧方向の駆動指令がないことを、前記車両の前輪毎または後輪毎にチェックすることを特徴とする請求項1に記載のアンチスキッド制御装置。
  4. 車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、
    前記各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、
    前記制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、
    前記ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記車輪速に基づいて前記車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、
    前記制動圧調整手段から前記各車輪に印加される制動圧を、前記制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、
    前記ブレーキの操作時にブレーキ操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作の状態を判定するダブルブレーキ判定手段と、
    前記ダブルブレーキ操作の状態が判定された場合に、前記制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、
    前記制動パラメータ演算手段は、
    前記車両の車体減速度を推定演算する車体減速度推定手段と、
    前記車両の所定の車輪のスリップ量を推定演算するスリップ推定手段とを含み、
    前記ダブルブレーキ判定手段は、前記車体減速度が所定値以上減少し且つ前記スリップ量が所定量以下のときに、前記ダブルブレーキ操作の状態を判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  5. 車両の各車輪の回転速度を車輪速として検出する車輪速検出手段と、
    前記各車輪に対応して配設された制動圧調整手段と、
    前記制動圧調整手段により駆動されるブレーキと、
    前記ブレーキの制動量を制御するコントローラとを備えたアンチスキッド制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記車輪速に基づいて前記車両に関する制動パラメータを演算する制動パラメータ演算手段と、
    前記制動圧調整手段から前記各車輪に印加される制動圧を、前記制動パラメータに基づいて減圧および増圧するための駆動指令を出力する制御量演算手段と、
    前記ブレーキの操作時にブレーキ操作量が一時減量された直後に再度増量されるダブルブレーキ操作の状態を判定するダブルブレーキ判定手段と、
    前記ダブルブレーキ操作の状態が判定された場合に、前記制動圧を増圧方向に変更する制御量変更手段とを含み、
    前記制動パラメータ演算手段は、
    前記車両のタイヤと路面との間の摩擦係数を路面摩擦係数として推定演算する路面摩擦係数推定手段と、
    前記車両の所定の車輪のスリップ量を推定演算するスリップ推定手段とを含み、
    前記ダブルブレーキ判定手段は、前記路面摩擦係数が高摩擦係数から低摩擦係数に変化し且つ前記スリップ量が所定量以下のときに、前記ダブルブレーキ操作の状態を判定することを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  6. 前記ダブルブレーキ判定手段は、前記スリップ量が所定量以下であることを前記各車輪毎にチェックすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のアンチスキッド制御装置。
  7. 前記ダブルブレーキ判定手段は、前記スリップ量が所定量以下であることを、前記車両の前輪毎または後輪毎にチェックすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のアンチスキッド制御装置。
  8. 前記制御量変更手段は、前記ダブルブレーキ操作の状態が判定された場合に、前記制動圧の増圧ゲインを通常よりも増大させることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のアンチスキッド制御装置。
  9. 前記制御量変更手段は、前記ダブルブレーキ操作の状態が判定された場合に、アンチスキッド制御を中止または中断することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のアンチスキッド制御装置。
  10. 前記制御量変更手段は、前記ダブルブレーキ操作の状態が判定された場合に、アンチスキッド制御による前記制動圧の減圧条件を、前記制動圧が減圧されにくい方向に変更することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のアンチスキッド制御装置。
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