JP3875391B2 - 前後加速度センサの検出状態判定装置 - Google Patents

前後加速度センサの検出状態判定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前後加速度センサの検出状態判定装置に関し、特に、車両の前後方向の減速度を検出する前後加速度センサに対し、その検出状態を判定し得る前後加速度センサの検出状態判定装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
近時の車両には、その前後方向の減速度を検出する前後加速度センサが装着されており、その検出信号はアンチスキッド制御を初め、種々の制御に供されている。例えば特開平7−196029号公報には、前後加速度センサのゲイン大異常とゲイン小異常の両方を検出することを目的とし、推定車体加速度に対する前後加速度センサの出力から計算した車体加速度の比率を計算し、この比率が所定の範囲内にあるときは第1積算値を減算する一方、所定の範囲外にあるときは第1積算値を加算し、この第1積算値が所定値以上であれば、所定のフェールセーフ処理を行うようにした前後加速度センサ異常検出装置が提案されている。
【0003】
また、特開平8−184610号公報には、坂道やスプリット路面を走行している場合でも正確に加速度センサの故障を検出することを目的とし、(a) 車体加速度A>第1の所定加速度a、(b) 加速度センサの出力に対応する較正加速度G<第2の所定加速度b、(c) 車輪速度のうち最高速度と最低速度との差が所定の速度差ΔVより小であること、(d) アンチスキッド制御が行われていないこと、(e) 自動車が走行中であること、という条件が同時に所定時間継続したときに異常が発生したと判断する加速度センサの異常検出方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前掲の特開平7−196029号公報に記載の前後加速度センサ異常検出装置においては、車両が坂路を走行中にブレーキ作動が行われた場合、傾斜によって前後加速度センサの出力が変動するため前記比率が所定の範囲外となって、前後加速度センサ自体は正常であるにも拘らず異常と誤検知されるおそれがある。
【0005】
これに対し、特開平8−184610号公報に記載の方法においては、車両が坂道を走行している場合でも正確に加速度センサの故障を検出することが企図されているが、車体加速度A及び較正加速度Gに対し、夫々第1の所定加速度a及び第2の所定加速度bによって一律に制限が付与され、しかも坂道でも正確に異常検出するため、これらの所定加速度は大きな値に設定されることになる。また同公報では、更に、加速度センサの出力値Gと車体加速度Aとの差が第2の所定加速度b’と比較することも開示されているが、これは単なる加速度差と所定値との比較であり、しかも坂道でも正確に異常検出するため第2の所定加速度b’も大きな値に設定されることになるので、即座に加速度センサの異常を検出することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、車両が坂路上にあって傾斜していても、前後加速度センサの検出状態を的確に判定し迅速に異常検出し得る前後加速度センサの検出状態判定装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明の前後加速度センサの検出状態判定装置は、請求項1に記載のように、車両の前後方向の減速度を検出する前後加速度センサと、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、該車輪速度センサの検出車輪速度に基づき前記車両の推定車体減速度を演算する推定車体減速度演算手段と、前記車両の制動開始時に前記前後加速度センサが検出した検出減速度と、前記前後加速度センサが検出した検出減速度の微分値を演算し該微分値が0であるときの検出減速度である最大値との差を演算し検出減速度の変化率として出力する検出減速度変化率演算手段と、前記車両の制動開始時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と、前記前後加速度センサが検出した検出減速度が最大である時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度との差を演算し推定車体減速度の変化率として出力する推定車体減速度変化率演算手段と、該推定車体減速度変化率演算手段の演算結果と前記検出減速度変化率演算手段の演算結果の偏差を演算する変化率偏差演算手段と、該変化率偏差演算手段が演算した変化率の偏差が所定範囲内の値であるときに前記前後加速度センサの検出状態が正常と判定する検出状態判定手段とを備えることとしたものである。
【0010】
あるいは請求項に記載のように、車両の前後方向の減速度を検出する前後加速度センサと、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、該車輪速度センサの検出車輪速度に基づき前記車両の推定車体減速度を演算する推定車体減速度演算手段と、前記車両の制動開始時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と前記車両の制動開始時に前記前後加速度センサが検出した検出減速度の偏差と、前記前後加速度センサが検出した検出減速度の微分値を演算し該微分値が0であって検出減速度が最大である時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と前記前後加速度センサが検出した最大検出減速度の偏差との差を演算する偏差演算手段と、該偏差演算手段が演算した前記差が所定範囲内の値であるとき前記前後加速度センサの検出状態が正常と判定する検出状態判定手段とを備えたものとすることもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態を示すブロック図で、車両の前後方向の減速度(加速度を含む)を検出する前後加速度センサGSと、車両の各車輪WLの車輪速度を検出する車輪速度センサWSが装着されている。車輪速度センサWSの検出車輪速度に基づき推定車体減速度演算手段EDにて推定車体減速度が演算される。次に、図1に破線で示すように、検出減速度変化率演算手段DRにて、車両の制動開始時に前後加速度センサGSで検出された検出減速度と、前後加速度センサGSで検出された検出減速度の微分値が0であるときの検出減速度である最大値との差が演算され、検出減速度の変化率として出力される。また、推定車体減速度変化率演算手段ERにて、車両の制動開始時に推定車体減速度演算手段EDで演算された推定車体減速度と、前後加速度センサGSで検出された検出減速度が最大である時に推定車体減速度演算手段EDで演算された推定車体減速度との差が演算され、推定車体減速度の変化率として出力される。これら検出減速度の変化率と推定車体減速度の変化率の偏差が変化率偏差演算手段演算され、検出状態判定手段DTにおいて、その偏差が所定範囲内の値であるときに前後加速度センサGSの検出状態が正常と判定され、そうでなければ異常と判定される。
【0012】
あるいは、図1に破線で示した手段に代えて、偏差演算手段DFにおいて、車両の制動開始時に推定車体減速度演算手段EDが演算した推定車体減速度と車両の制動開始時に前後加速度センサGSが検出した検出減速度の偏差と、前後加速度センサGSが検出した検出減速度の微分値が0であって検出減速度が最大である時に推定車体減速度演算手段EDが演算した推定車体減速度と前後加速度センサGSが検出した最大検出減速度の偏差との差を演算し、この差が所定範囲内の値であるときに検出状態判定手段DTにて、前後加速度センサGSの検出状態が正常と判定するように構成することできる
【0013】
図2は、前後加速度センサGSの一態様であるリニア前後加速度センサ1、並びに上記の推定車体減速度演算手段ED、変化率偏差演算手段DF、検出状態判定手段DT等(これらは、電子制御装置10内に構成)を備えたアンチスキッド制御装置を示すもので、液圧発生手段としてはマスタシリンダ2a及びブースタ2bを備え、これらがブレーキペダル3によって駆動される。各車輪FR,FL,RR,RLにはホイールシリンダ51乃至54が装着されている。尚、図1では車輪を代表してWLで表しているが、図2においては車輪FRは運転席からみて前方右側の車輪を示し、以下車輪FLは前方左側、車輪RRは後方右側、車輪RLは後方左側の車輪を示している。液圧配管については、図2に明らかなように所謂ダイアゴナル配管が構成されているが、所謂前後配管としてもよい。
【0014】
そして、マスタシリンダ2aとホイールシリンダ51乃至54との間に、アンチスキッド制御(ABS)用のアクチュエータ30が介装されている。このアクチュエータ30は二点鎖線の枠内に示したように構成されており、マスタシリンダ2aの一方の出力ポートとホイールシリンダ51,54の各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁31,37が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ21の吐出側が接続されている。同様に、マスタシリンダ2aの他方の出力ポートとホイールシリンダ52,53の各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁33,35が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ22の吐出側が接続されている。液圧ポンプ21,22は電動モータ20によって駆動され、その作動時に上記の各液圧路に所定の圧力に昇圧されたブレーキ液が供給される。
【0015】
ホイールシリンダ51,54は更に常閉の電磁弁32,38に接続されており、これらの下流側はリザーバ23に接続されると共に、液圧ポンプ21の吸入側に接続されている。ホイールシリンダ52,53は同じく常閉の電磁弁34,36に接続され、これらの下流側はリザーバ24に接続されると共に、液圧ポンプ22の吸入側に接続されている。リザーバ23,24は夫々ピストンとスプリングを備えており、電磁弁32,34,36,38を介して排出される各ホイールシリンダのブレーキ液を収容する。
【0016】
電磁弁31乃至38は2ポート2位置電磁切替弁であり、夫々ソレノイドコイル非通電時には図2に示す第1位置にあって、各ホイールシリンダ51乃至54はマスタシリンダ2aに連通している。ソレノイドコイル通電時には第2位置となり、各ホイールシリンダ51乃至54はマスタシリンダ2aとは遮断され、リザーバ23あるいは24と連通する。尚、図2においてはPVはプロポーショニングバルブ、DPはダンパ、CVはチェックバルブ、ORはオリフィス、FTはフィルタを示し、図2中同一記号のものは同一の部品を示す。チェックバルブCVはホイールシリンダ51乃至54及びリザーバ23,24側からマスタシリンダ2a側への還流を許容し、逆方向の流れを遮断するものである。
【0017】
而して、これらの電磁弁31乃至38のソレノイドコイルに対する通電、非通電を制御することによりホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧を増圧、減圧又は保持することができる。即ち、電磁弁31乃至38のソレノイドコイル非通電時にはホイールシリンダ51乃至54にマスタシリンダ2a及び液圧ポンプ21あるいは22からブレーキ液圧が供給されて増圧し、通電時にはホイールシリンダ51乃至54がリザーバ23あるいは24側に連通し減圧する。また、電磁弁31,33,35,37のソレノイドコイルに通電しその他の電磁弁のソレノイドコイルを非通電とすれば、ホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧が保持される。従って、上記ソレノイドコイルに対する通電、非通電の時間間隔を調整することにより後述するようにパルス増圧(ステップ増圧)を行ない、緩やかに増圧するように制御することができ、またパルス減圧によって緩やかに減圧するように制御することができる。
【0018】
上記電磁弁31乃至38は電子制御装置10に接続され、各々のソレノイドコイルに対する通電、非通電が制御される。電動モータ20も電子制御装置10に接続され、これにより駆動制御される。また、車輪FR,RL,RR,FLには車輪速度センサ41乃至44(図1では代表してWSで表している)が配設され、これらが電子制御装置10に接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度信号が電子制御装置10に入力されるように構成されている。更に、車両にはリニア前後加速度センサ1(以下、リニアGセンサ1という)が搭載されており、その出力信号が電子制御装置10に入力されるように構成されている。電子制御装置10には、更に、ブレーキペダル3が踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチ4等が接続されている。
【0019】
リニアGセンサ1は、図2に模式的に示したように、車両の加減速に伴う前後方向の錘の移動を電気信号に変換し、車両の加速度(減速度を含む)に対しリニアに比例する信号を出力するものであり、既に市販されているので詳細な説明は省略する。尚、電子制御装置10は、一般的なマイクロコンピュータで構成されており、図示は省略するが、バスを介して相互に接続されたプロセシングユニット(CPU)、メモリ(ROM、RAM)、タイマ、入出力インターフェース等から成る。この電子制御装置10内に、リニアGセンサ1の検出状態を判定する検出状態判定手段DTを初め、図1に示す推定車体減速度演算手段ED、変化率偏差演算手段DF等が構成されている。
【0020】
上記のように構成された本実施形態においては、電子制御装置10によりアンチスキッド制御のための一連の処理が行なわれアクチュエータ30の作動が制御されるが、以下図3のフローチャートに基づいて説明する。イグニッションスイッチ(図示せず)が閉成されると、先ず図3のステップ101にて初期化が行なわれ、各種の演算値がクリアされる。ステップ102は車輪速度センサ41乃至44からの出力信号に基づき各車輪の車輪速度(代表してVwで表す)が演算され、ステップ103にて車輪速度Vwが微分されて車輪加速度DVwが求められる。
【0021】
続いて、ステップ104において各車輪の車輪速度Vwに基づき推定車体速度Vsoが演算される。この推定車体速度Vsoは、例えばMED(αDNt,Vw,αUPt)によって求めることができる。ここで、MEDは中間値を求める関数を表し、αUPは車両の加速度(減速度を含む)αの上限側(車輪速度Vwより大とする側)の値で、αDNは車両の加速度(減速度を含む)αの下限側(車輪速度Vwより小とする側の値であり、tは時間である。更に、ステップ105において推定車体速度Vsoが微分され、推定車体減速度DVsoが演算される。尚、DVsoは推定車体加速度として扱われることが多いが、加速度と減速度は符号を異にするのみであり、ここでは、リニアGセンサ1の検出減速度との比較の便宜上、DVsoを推定車体減速度として表す。
【0022】
次に、ステップ106に進み、アンチスキッド制御に供する各車輪の実スリップ率(代表してSaで表す)が演算される(Sa=(Vso−Vw)/Vso)。続いてステップ107に進み、各車輪毎に目標スリップ率が設定される。次に、ステップ108にてリニアGセンサ1の出力たる検出減速度Gxが読み込まれる。そして、ステップ109においてリニアGセンサ1の検出状態の判定が行なわれるが、これについては後述する。
【0023】
而して、ステップ110に進み、リニアGセンサ1の検出状態の判定結果に応じて正常と判定されておればステップ111に進み、アンチスキッド制御のためのブレーキ液圧制御が行なわれ、ステップ102に戻る。ステップ111では、前述のように電磁弁31乃至38の各々のソレノイドコイルに対する通電、非通電が制御され、ホイールシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧(ホイールシリンダ液圧)が増圧、減圧又は保持される。一方、リニアGセンサ1の検出状態の判定結果が正常ではなく、リニアGセンサ1が異常と判定されると、ステップ110からステップ112に進み所定の警報(例えば、警告ランプの点灯)が行われた後、終了する。
【0024】
図4は、図3のステップ109で行なわれるリニアGセンサ1の検出状態判定処理の一例を示すもので、先ずステップ201において、前回の処理ルーチンでブレーキペダル3が操作されてブレーキスイッチ4がオンとなっていたか否かが判定され、オフ状態のままであればステップ202に進み、更に今回の処理ルーチンでブレーキスイッチ4がオンとなったか否かが判定される。今回もブレーキスイッチ4がオフ状態のままであればそのまま図3のフローチャートに戻るが、今回初めてオンとなったのであれば、ステップ203に進み、そのときの推定車体減速度DVsobとリニアGセンサ1の検出減速度Gxbの偏差Db(=DVsob−Gxb)が演算される。
【0025】
一方、前回の処理ルーチンでブレーキスイッチ4がオンとなっていたときには、ステップ201からステップ204に進み、リニアGセンサ1の最大減速度Gxmが検出される。具体的には、リニアGセンサ1の検出減速度Gxの微分値が0になったときの減速度Gxの値が最大減速度Gxmとして設定され、メモリに格納される。そして、ステップ205,206において、最大減速度Gxmが前回の処理ルーチンで検出されたものか、今回の処理ルーチンで検出されたものか、何れであるかが判定され、前回であればそのまま図3のフローチャートに戻る。最大減速度Gxmが今回検出された場合にはステップ207に進み、そのときの推定車体減速度DVsomとリニアGセンサ1の検出減速度Gxmの偏差Dm(=DVsom−Gxm)が演算される。
【0026】
続いて、ステップ208に進み、最大減速度Gxmが検出された時の推定車体減速度DVsomとリニアGセンサ1の検出減速度Gxmの偏差Dmと、ブレーキスイッチ4がオンとなった時の推定車体減速度DVsobとリニアGセンサ1の検出減速度Gxbの偏差Dbとの差Df(=Dm−Db)が演算される。このように演算された差Dfは、次のように表すことができる。
即ち、Df=Dm−Db=(DVsom−Gxm)−(DVsob−Gxb)=(DVsom−DVsob)−(Gxm−Gxb)
【0027】
つまり、上記の差Dfは、ブレーキスイッチ4がオンとなった時と最大減速度Gxmが検出された時における、推定車体減速度DVsoの変化率(DVsom−DVsob)と検出減速度Gxの変化率(Gxm−Gxb)との差、即ち推定車体減速度DVsoの勾配と検出減速度Gxの勾配との差、を表していることになる。尚、この間の状況を図5に示す。
【0028】
そして、ステップ209において、上記の差Dfが所定範囲(例えば、所定値D1から所定値D2の値)であるか否かが判定される。換言すれば、ブレーキスイッチ4がオンとなった時(図5のto)と最大減速度Gxmが検出された時(図5のtm)における推定車体減速度DVsoの変化率(DVsom−DVsob)と検出減速度Gxの変化率(Gxm−Gxb)との間に、所定範囲を超える差が生じているか否かが判定される。
【0029】
この結果、上記の差Dfが所定範囲内の値(所定値D1から所定値D2の値)であれば、ステップ209からステップ210に進み、リニアGセンサ1は正常と判定されるが、差Dfが所定範囲を超えているときには、ステップ211に進みリニアGセンサ1が異常と判定される。このように、推定車体減速度の変化率と検出減速度の変化率の偏差を演算し、この変化率の偏差を所定範囲内の基準と比較することとしているので、車両が坂路走行中で傾斜状態にあっても、リニアGセンサ1の検出状態を精度良く的確に判定することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明の前後加速度センサの検出状態判定装置においては、車両の制動開始時の検出減速度と、検出減速度の最大値との差を、検出減速度の変化率として出力すると共に、車両の制動開始時の推定車体減速度と、検出減速度が最大である時の推定車体減速度との差を、推定車体減速度の変化率として出力し、推定車体減速度の変化率と検出減速度の変化率の偏差を演算し、この変化率の偏差が所定範囲内の値であるときに前後加速度センサの検出状態が正常と判定するように構成されているので、仮に車両が坂路上にあって傾斜していても、前後加速度センサの検出状態を的確に判定し、迅速に異常を検出することができる。
【0031】
あるいは、請求項に記載のように、車両の制動開始時に推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と車両の制動開始時に前後加速度センサが検出した検出減速度の偏差と、前後加速度センサが検出した検出減速度が最大である時に推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と前後加速度センサが検出した最大検出減速度の偏差との差を演算し、この差が所定範囲内の値であるときに前後加速度センサの検出状態が正常と判定するように構成すれば、演算処理を迅速に行うことができるので、一層迅速に前後加速度センサの異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る前後加速度センサの検出状態判定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】一実施形態に係る前後加速度センサの検出状態判定装置を含むアンチスキッド制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】アンチスキッド制御のための処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における前後加速度センサの検出状態判定の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における前後加速度センサによる検出減速度及び推定車体減速度の変化の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 リニア前後加速度センサ
2a マスタシリンダ, 2b ブースタ
3 ブレーキペダル
10 電子制御装置
20 電動モータ
21,22 液圧ポンプ
23,24 リザーバ
30 アクチュエータ
31〜36 電磁弁
WS,41〜44 車輪速度センサ
51〜54 ホイールシリンダ
WL,FR,FL,RR,RL 車輪

Claims (2)

  1. 車両の前後方向の減速度を検出する前後加速度センサと、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、該車輪速度センサの検出車輪速度に基づき前記車両の推定車体減速度を演算する推定車体減速度演算手段と、前記車両の制動開始時に前記前後加速度センサが検出した検出減速度と、前記前後加速度センサが検出した検出減速度の微分値を演算し該微分値が0であるときの検出減速度である最大値との差を演算し検出減速度の変化率として出力する検出減速度変化率演算手段と、前記車両の制動開始時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と、前記前後加速度センサが検出した検出減速度が最大である時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度との差を演算し推定車体減速度の変化率として出力する推定車体減速度変化率演算手段と、該推定車体減速度変化率演算手段の演算結果と前記検出減速度変化率演算手段の演算結果の偏差を演算する変化率偏差演算手段と、該変化率偏差演算手段が演算した変化率の偏差が所定範囲内の値であるときに前記前後加速度センサの検出状態が正常と判定する検出状態判定手段とを備えたことを特徴とする前後加速度センサの検出状態判定装置。
  2. 車両の前後方向の減速度を検出する前後加速度センサと、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、該車輪速度センサの検出車輪速度に基づき前記車両の推定車体減速度を演算する推定車体減速度演算手段と、前記車両の制動開始時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と前記車両の制動開始時に前記前後加速度センサが検出した検出減速度の偏差と、前記前後加速度センサが検出した検出減速度の微分値を演算し該微分値が0であって検出減速度が最大である時に前記推定車体減速度演算手段が演算した推定車体減速度と前記前後加速度センサが検出した最大検出減速度の偏差との差を演算する偏差演算手段と、該偏差演算手段が演算した前記差が所定範囲内の値であるとき前記前後加速度センサの検出状態が正常と判定する検出状態判定手段とを備えたことを特徴とする前後加速度センサの検出状態判定装置。
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