JP3489464B2 - 液圧ブレーキ装置 - Google Patents

液圧ブレーキ装置

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JP3489464B2
JP3489464B2 JP30192998A JP30192998A JP3489464B2 JP 3489464 B2 JP3489464 B2 JP 3489464B2 JP 30192998 A JP30192998 A JP 30192998A JP 30192998 A JP30192998 A JP 30192998A JP 3489464 B2 JP3489464 B2 JP 3489464B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポンプから吐出され
る作動液によりブレーキを作動させる液圧ブレーキ装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上述の液圧ブレーキ装置の一例が、特開
平9─256960号公報に記載されている。この公報
に記載の液圧ブレーキ装置はブレーキシリンダとブレー
キ液圧制御装置とを含み、ブレーキシリンダは作動液の
液圧によりブレーキを作動させる。また、ブレーキ液圧
制御装置は、互いに並列に接続された2つのポンプを
含み、ブレーキシリンダに接続されたポンプ装置と、
このポンプ装置に含まれる2つのポンプの回転状態を制
御することにより、ブレーキシリンダの液圧を制御する
ポンプ装置制御装置とを含む。この液圧ブレーキ装置に
おいては、2つのポンプのうちの少なくとも1つのポン
プから吐出された作動液がブレーキシリンダに供給され
て、増圧される。2つのポンプ各々を選択的に作動状態
と非作動状態とに切り換えることにより、ブレーキシリ
ンダに1つのポンプから吐出された作動液が供給される
独立増圧状態と、2つのポンプ各々から吐出された作動
液が供給される共同増圧状態とに切り換えられ、それに
より、ブレーキシリンダへの作動液の流入流量が制御さ
れる。しかし、この公報には、液圧ブレーキ装置におい
て、ブレーキシリンダの作動液をポンプや減圧弁を経て
流出させて減圧すること、あるいはポンプの回転方向や
回転速度を制御すること、あるいはポンプ装置に複数の
ブレーキシリンダを接続すること等は記載されていな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,解決手段,作用および
効果】本発明は、ブレーキシリンダの増圧のみならず減
圧もポンプによってなし得る液圧ブレーキ装置や、複数
のポンプを含むポンプ装置によって複数のブレーキシリ
ンダの液圧を共通に制御することが可能な液圧ブレーキ
装置を得ることを課題としてなされたものであり、本発
明によって下記各態様の液圧ブレーキ装置が得られる。
なお、各態様はそれぞれ項に分け、項番号を付し、必要
に応じて他の項の番号を引用して請求項と同じ形式で記
載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用すること
の可能性を明示するためである。 (1)作動液の液圧によりブレーキを作動させるブレー
キシリンダと、そのブレーキシリンダの液圧を制御する
ブレーキ液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であっ
て、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記ブレーキシリン
ダに接続された少なくとも1つのポンプを備え、その少
なくとも1つのポンプのうちの少なくとも1つから吐出
された作動液を前記ブレーキシリンダに供給する増圧状
態と、前記少なくとも1つのポンプのうちの少なくとも
1つを経てブレーキシリンダから作動液を排出させる減
圧状態とに選択的に切り換え可能なポンプ装置と、少な
くとも前記少なくとも1つのポンプの回転状態を制御す
ることにより、前記ブレーキシリンダの液圧を制御する
ポンプ装置制御装置とを含むことを特徴とする液圧ブレ
ーキ装置。ポンプ装置が増圧状態にある場合には、ポン
プから吐出された作動液がブレーキシリンダに供給さ
れ、ブレーキシリンダの液圧が増圧される。ポンプ装置
が減圧状態にある場合には、ブレーキシリンダの作動液
がポンプを経て排出され、減圧される。このように、本
項に記載の液圧ブレーキ装置においては、ポンプの作動
によりブレーキシリンダ液圧の増圧のみでなく減圧も行
われる。ポンプ装置は、少なくとも1つのポンプを含む
ものであり、含まれるポンプは1つであっても2つ以上
であってもよい。また、ポンプに加えて方向切換弁等も
含むものであってもよい。ポンプ装置に含まれるポンプ
が1つの場合には、そのポンプの回転方向を切り換える
ことにより増圧状態と減圧状態とに切り換え可能とした
り、回転方向は一定であるが方向切換弁の作動により増
圧状態と減圧状態とに切り換え可能としたりすることが
できる。例えば、ポンプ装置がギヤポンプを含むもので
ある場合には、ギヤポンプの回転方向が切り換えられれ
ば、ブレーキシリンダ側に作動液を吐出する増圧状態
と、ブレーキシリンダ側から作動液を吸入する減圧状態
とに切り換えられる。また、ポンプが吸入弁および吐出
弁を備えた往復動型ポンプである等により、駆動軸の回
転方向のいかんを問わず吐出方向が一定である場合に
は、方向切換弁の作動により、ブレーキシリンダをポン
プの吐出側に接続する増圧状態と吸入側に接続する減圧
状態とに切り換えられる。この場合、ポンプはギヤポン
プ,プランジャポンプ,ベーンポンプ等のいずれであっ
てもよい。ポンプ装置に含まれるポンプが2つの場合に
は、例えば、一方のポンプを増圧専用とし、他方のポン
プを減圧専用とすることができる。減圧専用ポンプが停
止状態に保たれ、増圧専用ポンプが作動状態とされれ
ば、ポンプ装置が増圧状態とされ、増圧専用ポンプが停
止状態に保たれ、減圧専用ポンプが作動状態とされれ
ば、減圧状態とされる。また、一方のポンプを増圧専用
ポンプとし、他方のポンプをブレーキシリンダに作動液
を供給する増圧状態と作動液を流出させる減圧状態とに
切り換え可能な増圧・減圧両用ポンプとしたり(方向切
換弁の作動により切り換え可能なものも含む)、一方の
ポンプを減圧専用ポンプとし、他方のポンプを増圧・減
圧両用ポンプとしたり、両方のポンプを増圧・減圧両用
ポンプとしたりすることができる。ポンプ装置が、増圧
専用ポンプと増圧・減圧両用ポンプとを含む場合には、
増圧専用ポンプおよび増圧・減圧両用ポンプの両方を作
動状態とすれば、ブレーキシリンダへ大きな流量で作動
液を供給することができ、増圧・減圧両用ポンプを作動
状態とし増圧専用ポンプを停止状態に保てば、ブレーキ
シリンダから作動液を流出させることができる。また、
(4) 項に関して説明するように、増圧専用ポンプを最大
吐出量が小さく最大吐出圧が大きい高圧小容量型のポン
プとし、増圧・減圧両用ポンプを最大吐出圧が小さく最
大吐出量が大きい低圧大容量型のポンプとした場合にお
いて、通常制動時に増圧・減圧両用ポンプを作動状態と
し、緊急制動時に増圧専用ポンプを作動状態とすれば、
通常制動時にブレーキシリンダの液圧を増圧したり、減
圧(以下、単にブレーキシリンダの増圧あるいは減圧と
称する)したりすることができ、緊急制動時に十分な液
圧まで増圧することができる。2つのポンプを含む場合
には、2つのポンプ各々の最大吐出圧,最大吐出量等の
ポンプ能力を同じ程度のものとしても、異なるものとし
てもよい。異なるものとした場合には、液圧制御範囲を
広くすることができ、制御の自由度を高めることができ
る。上述のように、ポンプ装置制御装置は、ポンプ装置
に含まれるポンプの回転,停止,回転方向,回転速度等
の回転状態を制御するものであるが、ポンプ装置が方向
切換弁を含む場合には、ポンプの回転状態に加えて方向
切換弁も制御する。ポンプの回転速度を制御すれば、最
大吐出量を越えない範囲における単位時間当たりの吐出
量を変え、ブレーキシリンダの増圧速度や減圧速度を制
御することができる。以下、ポンプ装置に含まれる1つ
以上のポンプの回転状態や方向切換弁等を制御すること
を、単にポンプ装置を制御すると略称する。なお、ポン
プ装置を3つ以上のポンプを含むものとすることも可能
であり、3つ以上のポンプの組み合わせは、ポンプ装置
を増圧状態と減圧状態とに切り換え可能とする、増圧専
用ポンプ,減圧専用ポンプ,増圧・減圧両用ポンプの1
種以上のポンプの3つ以上の組み合わせとなる。 (2)作動液の液圧によりブレーキを作動させるブレー
キシリンダと、そのブレーキシリンダの液圧を制御する
ブレーキ液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であっ
て、前記ブレーキ液圧制御装置が、前記ブレーキシリン
ダに接続された少なくとも1つのポンプを備え、その少
なくとも1つのポンプのうちの少なくとも1つの回転状
態を制御することにより、作動液をブレーキシリンダに
供給する増圧状態と、ブレーキシリンダから作動液を流
出させる減圧状態とに選択的に切り換え可能なポンプ装
置と、前記少なくとも1つのポンプの回転状態を制御す
ることにより、前記ブレーキシリンダの液圧を制御する
ポンプ装置制御装置とを含むことを特徴とする液圧ブレ
ーキ装置。本項に記載の液圧ブレーキ装置においては、
ポンプ装置が1つ以上のポンプを含む。含まれるポンプ
が1つの場合には、そのポンプの回転方向の切り換えに
より、増圧状態と減圧状態とに切り換えられる。ポンプ
としては例えばギヤポンプが採用可能である。含まれる
ポンプが2つの場合には、(1) 項に関して説明したよう
に、増圧専用ポンプと減圧専用ポンプとを含むものとし
たり、増圧専用ポンプと減圧専用ポンプとのいずれか一
方と増圧・減圧両用ポンプとを含むものとしたり、2つ
の増圧・減圧両用ポンプを含むものとしたりすることが
できる。本態様においては、1つ以上のポンプの回転状
態の制御により増圧状態と減圧状態との切換えが行われ
るのであり、ポンプ装置が方向切換弁を含み、方向切換
弁の制御により増圧状態と減圧状態とを切り換えること
は予定されていない。ただし、ポンプ装置とは別に液圧
制御弁装置を設け、ポンプ装置による増,減圧に加え
て、アンチロック制御等のための増,減圧を行うことま
で排除されるわけではない。 (3)前記ポンプ装置が、複数の前記ブレーキシリンダ
に接続され、それら複数のブレーキシリンダの液圧を共
通に制御する(1) 項または(2) 項に記載の液圧ブレーキ
装置。ポンプ装置に複数のブレーキシリンダを接続すれ
ば、ポンプ装置の制御により、複数のブレーキシリンダ
の液圧を共通に制御することが可能となる。各ブレーキ
シリンダ毎に専用のポンプ装置あるいは液圧制御弁装置
を設け、それらを共通の指令により一斉に制御してブレ
ーキシリンダの液圧を制御する場合には、制御のバラツ
キに起因して複数のブレーキシリンダ間に液圧差が生じ
ることを避け得ないのであるが、本項に記載の液圧ブレ
ーキ装置においては、ポンプ装置の制御により、そのポ
ンプ装置に接続された複数のブレーキシリンダの液圧が
制御されるため、複数のブレーキシリンダの液圧を容易
に同じ大きさに制御することができる。 (4)前記ポンプ装置が、互いに並列に接続された2つ
のポンプを含み、一方のポンプが他方のポンプより、単
位時間当たりの最大吐出量が大きく最大吐出圧が小さい
ものであり、かつ、その一方のポンプの回転方向の切換
えによって、ポンプ装置が、作動液をホイールシリンダ
側へ吐出する増圧状態とホイールシリンダ側から吸入す
る減圧状態とに切り換えられる(1) 項ないし(3) 項のい
ずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請求項1)。本
項に記載の液圧ブレーキ装置に含まれるポンプ装置は互
いに並列に接続された2つのポンプを含むものであり、
一方のポンプが増圧・減圧両用ポンプである。増圧・減
圧両用ポンプは、単位時間当たりの最大吐出量が大きく
最大吐出圧が小さい低圧大容量型のポンプである。低圧
大容量型の増圧・減圧両用ポンプの回転方向が切り換え
られることによって、ポンプ装置が増圧状態と減圧状態
とに切り換えられる。低圧大容量型の増圧・減圧両用ポ
ンプとしては、例えば、ギヤポンプが採用可能である。
ギヤポンプにおいて2つの歯車の回転方向を切り換えれ
ば、ブレーキシリンダ側に作動液を吐出する増圧状態
と、ブレーキシリンダ側から作動液を吸入する減圧状態
とに切り換わる。なお、2つの歯車同士の隙間、歯車と
本体との隙間からの漏れを利用してブレーキシリンダか
ら作動液を流出させ、これを減圧の一形態とすることも
可能である。単位時間当たりの最大吐出量は、ポンプと
そのポンプを駆動するモータとによって決まる。単位時
間当たりの吐出量は、一回転当たりの吐出量が大きい場
合は小さい場合より大きくなり、回転速度が大きい場合
は小さい場合より大きくなる。一回転当たりの吐出量
は、ポンプの構造によって決まり、回転速度の上限値は
モータの能力等によって設計上決まる。最大吐出量は、
上限回転速度で回転させた場合の吐出量であり、ポンプ
の吐出量は最大吐出量を越えない範囲内において、回転
速度の制御により制御可能である。ポンプの最大吐出圧
は、ポンプに接続されたリリーフ弁の設定圧によって決
まることが多い。ポンプの吐出圧が設定圧より大きくな
ることが回避され、ポンプやモータの負荷が過大となる
ことが回避されるのである。ポンプ装置が低圧大容量型
の増圧・減圧両用ポンプを含むため、低圧領域において
ブレーキシリンダへの作動液の流入流量を大きくし得、
例えば、ブレーキ操作部材の操作開始時にブレーキの効
き遅れを小さくし得る。また、ブレーキシリンダの液圧
がそれほど大きくない場合、すなわち、通常制動時に、
ブレーキシリンダを増圧したり、減圧したりすることが
できるため、ブレーキシリンダ液圧の大きさを任意の大
きさに制御することが可能となる。例えば、ブレーキ装
置が搭載された車両の減速度が、正確にブレーキ操作部
材の操作力に応じた大きさになるように制御する制動効
果制御を実行することが可能となるのである。他方のポ
ンプは、一方のポンプより、最大吐出圧が大きく最大吐
出量が小さい高圧小容量型のポンプであるが、増圧・減
圧両用ポンプとしても、減圧専用ポンプとしても、増圧
専用ポンプとしてもよい。しかし、一方のポンプが増圧
・減圧両用ポンプであるため、増圧専用ポンプとするこ
とが望ましい。前述のように、通常制動時には、低圧大
容量型の増圧・減圧ポンプの作動により、ブレーキシリ
ンダの液圧が制御されるが、緊急制動時等大きな操作力
でブレーキ操作部材が操作された場合(ブレーキシリン
ダの所要液圧が大きい場合)には、ブレーキフィーリン
グは問題にされないことが多いため、ブレーキシリンダ
の減圧を制御する必要は殆どなく、増圧できれば十分な
場合が多い。そのため、高圧小容量型ポンプを増圧・減
圧両用ポンプとする必要性は低く、増圧専用ポンプとす
ればよいのである。高圧小容量型のポンプとしては、例
えば、プランジャポンプが好適である。このように、ポ
ンプ装置を、低圧大容量型の増圧・減圧両用ポンプと高
圧小容量型の増圧専用ポンプとを含むものとした場合に
は、制動開始時等の効き遅れを小さくし、通常制動時に
おけるブレーキ力をポンプにより制御することが可能と
なり、かつ、大きなブレーキ力を発生させることが可能
となる。ポンプ装置を高圧大容量型の1つの増圧・減圧
ポンプを含むものとしても同様の効果を得ることができ
るが、高圧大容量型のポンプは高価であり、大形にな
る。そこで、本項に記載の液圧ブレーキ装置におけるよ
うに、低圧大容量型の増圧・減圧ポンプと高圧小容量型
の増圧専用ポンプとを含むものとすれば、コスト低減お
よび小形化を図ることができる。なお、厳密にいえば、
高圧時にブレーキシリンダ液圧をポンプにより減圧する
ことはできなくなるのであるが、上述のように、高圧時
に減圧を制御する必要は殆どないため、高圧小容量型ポ
ンプを増圧・減圧両用ポンプとする必要はないのであ
る。 (5)前記ポンプ装置が、互いに並列に接続された2つ
のポンプを含み、一方のポンプが他方のポンプより、単
位時間当たりの最大吐出量が大きく最大吐出圧が小さい
ものである(1) 項ないし(3) 項のいずれか1つに記載の
液圧ブレーキ装置。本項に記載の液圧ブレーキ装置のポ
ンプ装置は、高圧小容量型ポンプと低圧大容量型ポンプ
とを含むものである。これら2つのポンプのうちの一方
を増圧専用ポンプとし、他方を減圧専用ポンプとした
り、少なくとも一方を増圧・減圧両用ポンプとしたりす
ることができる。例えば、高圧小容量型ポンプを増圧・
減圧両用ポンプとすれば、高圧時にもブレーキシリンダ
を減圧することが可能となり、広い圧力領域において正
確に操作力に応じた制動効果が得られるようにすること
が可能となる。 (6)前記ポンプ装置が、前記ブレーキシリンダに接続
され、ブレーキシリンダから作動液を流出可能な減圧可
能ポンプと、その減圧可能ポンプとブレーキシリンダと
を接続する液通路の途中に設けられ、前記減圧可能ポン
プとブレーキシリンダとを連通させる連通状態と、ブレ
ーキシリンダから減圧可能ポンプへの作動液の流れを阻
止する流出阻止状態とに切り換えが可能な流出阻止弁と
を含む(1) 項ないし(5) 項のいずれか1つに記載の液圧
ブレーキ装置。流出阻止弁は、電気的に連通状態と流出
阻止状態とに切り換えられる電磁切換弁であっても、ポ
ンプ装置の吐出液圧に基づいて切り換わるパイロット式
切換弁であってもよい。また、流出阻止弁は、シーティ
ング弁を含むものとしても、スプール弁を含むものとし
てもよい。シーティング弁を含むものとした場合には、
流出阻止状態においてブレーキシリンダから減圧可能ポ
ンプへの作動液の流出を完全に阻止し得るが、スプール
弁を含むものとした場合には、流出阻止状態としても、
漏れによる作動液の僅かな流出は避け得ない。流出阻止
状態は、ブレーキシリンダと減圧可能ポンプとの間の双
方向の作動液の流れを阻止する双方向流れ阻止状態であ
っても、減圧可能ポンプからブレーキシリンダへの作動
液の流れは許容する一方向流れ阻止状態であってもよ
い。いずれであっても、ブレーキシリンダから減圧可能
ポンプへの作動液の流れを阻止することができる。減圧
可能ポンプは、ブレーキシリンダから作動液を流出させ
ることはできるが供給することはできない減圧専用ポン
プであっても、供給も流出も可能な増圧・減圧両用ポン
プ(増圧・減圧可能ポンプと称することもできる)であ
ってもよい。減圧専用ポンプである場合には、ポンプ装
置には、減圧可能ポンプの他に、ブレーキシリンダへ作
動液を供給可能な増圧可能ポンプが設けられることにな
る。いずれにしても、流出阻止弁が流出阻止状態にある
場合には、ブレーキシリンダから減圧可能ポンプを経て
作動液が流出することを阻止することができ、ブレーキ
シリンダが減圧されることを阻止することができる。さ
らに詳細に説明する。ブレーキシリンダと減圧可能ポン
プとの間に流出阻止弁が設けられていない場合、すなわ
ち、常に連通状態にある場合には、ブレーキシリンダ側
とリザーバ側との液圧差に基づいてポンプをモータとし
て作動させようとする向きの逆駆動トルクが作用し、こ
の逆駆動トルクがポンプを駆動する電動モータ等駆動源
の駆動トルクあるいは静止トルクより大きければ(減圧
可能ポンプが低圧用である場合にこのような事態が発生
する)、ポンプが現実に逆向きに回転させられ、作動液
がリザーバ側へ流れてブレーキシリンダの増圧や保持
(液圧保持)ができなくなる。駆動源の駆動トルクや静
止トルクが十分に大きいか、あるいは、ポンプと駆動源
との間に例えばウォームとウォームホイールとの組合わ
せのようにポンプ側から駆動源を回転させることを許容
しない逆駆動阻止装置が設けられていれば、そのような
大流量のリザーバ側への流れは防止されるが、ポンプが
構造上漏れを完全に防止できないものである場合には、
その漏れによって多少の作動液がリザーバ側へ流れて、
ブレーキシリンダの減圧あるいはエネルギ損失が発生す
る。また、減圧可能ポンプが低圧用である場合には、高
圧が作用すればポンプが破損する恐れもある。それに対
して、本態様におけるように、流出阻止弁を設けて流出
阻止状態に切り換えれば、上記種々の事態の発生を防止
することができるのである。流出阻止弁が前述のシーテ
ィング弁を含むものであってもスプール弁を含むもので
あっても、上記逆駆動トルクによるポンプの回転を伴う
作動液のリザーバ側への大流量の流れは阻止できる。流
出阻止弁がシーティング弁を含み、漏れを防止できるも
のである場合には、ポンプの漏れに起因する作動液のリ
ザーバ側への流れを阻止したり、ポンプが過大な液圧に
より破損したりすることを防止したりすることができ
る。 (7)前記ポンプ装置が、前記ブレーキシリンダに前記
減圧可能ポンプと並列に接続され、ブレーキシリンダに
作動液を供給可能な増圧可能ポンプを含む(6) 項に記載
の液圧ブレーキ装置。増圧可能ポンプは、ブレーキシリ
ンダから作動液を流出させることができない増圧専用ポ
ンプであっても、流出させることができる増圧・減圧両
用ポンプであってもよい。減圧可能ポンプが減圧専用ポ
ンプであり、増圧可能ポンプが増圧専用ポンプである場
合において、流出阻止弁が連通状態にある場合に、増圧
専用ポンプと減圧専用ポンプとを択一的に作動状態とす
れば、ブレーキシリンダの液圧を増圧したり、減圧した
りすることができる。流出阻止状態にある場合に、減圧
専用ポンプを停止状態とし、増圧専用ポンプを作動状態
とすれば、ブレーキシリンダを増圧することができる。
減圧可能ポンプが増圧・減圧両用ポンプであり、増圧可
能ポンプが増圧・減圧両用ポンプより最大吐出圧が大き
い増圧専用ポンプである場合において、流出阻止弁が連
通状態にある場合に、増圧・減圧専用ポンプを作動状態
とすれば、ブレーキシリンダの液圧を増圧したり、減圧
したりすることができる。流出阻止状態にある場合に、
増圧・減圧両用ポンプを停止状態とし、増圧専用ポンプ
を作動状態とすれば、ブレーキシリンダ液圧を増圧・減
圧両用ポンプによる場合より大きくすることができる。 (8)前記ポンプ装置が作動液を収容するリザーバに接
続されており、かつ、そのリザーバと前記ブレーキシリ
ンダとを接続する液通路の途中に設けられ、吐出した作
動液をブレーキシリンダに供給したり、ブレーキシリン
ダから作動液を流出させたりする増圧・減圧両用ポンプ
と、前記液通路の増圧・減圧両用ポンプと前記リザーバ
との間に設けられ、前記増圧・減圧両用ポンプを経てブ
レーキシリンダから流出させられた作動液を収容する補
助リザーバと、前記液通路の前記補助リザーバと前記リ
ザーバとの間に設けられ、増圧・減圧両用ポンプからリ
ザーバへの作動液の流れを阻止するが、逆向きの流れを
許容する逆止弁とを含む(1) 項ないし(5) 項のいずれか
1つに記載の液圧ブレーキ装置。本態様においては、リ
ザーバとブレーキシリンダとを接続する液通路には、上
流側から、逆止弁,補助リザーバ,増圧・減圧両用ポン
プが直列に設けられることになる。補助リザーバとリザ
ーバとの間には、逆止弁が設けられているため、ブレー
キシリンダから排出された作動液はリザーバでなく補助
リザーバに収容される。補助リザーバが作動液を収容可
能である間は、増圧・減圧両用ポンプの作動によりブレ
ーキシリンダを減圧することができるのである。補助リ
ザーバには、その他に、増圧・減圧両用ポンプにおいて
漏れた作動液や、増圧・減圧両用ポンプをモータとして
作動させつつブレーキシリンダから流出した作動液も収
容される。そして、補助リザーバがフル状態になれば、
これらの望ましくない作動液の流出が停止する。望まし
くない作動液の流出量の上限が補助リザーバの容量によ
り規制されるのである。補助リザーバの容量は、減圧制
御に伴って排出される作動液を収容するという目的から
すれば大きい方がよく、望ましくない作動液の流出を規
制するという目的からすれば小さい方がよいことにな
り、両者を勘案して決められることになる。その際、補
助リザーバが作動液を加圧下に蓄えるタイプのものであ
れば、ブレーキシリンダに作動液を供給する必要が生じ
た場合には、補助リザーバの作動液がリザーバの作動液
より優先的に増圧・減圧両用ポンプにより供給されるた
め、補助リザーバは、1回の制動中に行われるすべての
減圧制御に伴う作動液を収容し得る容量を有するもので
ある必要はなく、例えば、1〜5回程度の減圧制御に伴
って排出される作動液を収容し得る容量を有するもので
あればよいことになる。また、一回の増圧制御に必要な
作動液を収容し得る容量とすることもできる。 (9)前記ブレーキ液圧制御装置が、作動液を収容する
リザーバと、そのリザーバと前記ブレーキシリンダとを
前記ポンプ装置を経ないで接続する作動液戻し通路と、
その作動液戻し通路の途中に設けられ、電流が供給され
た場合にその作動液戻し通路を遮断する遮断状態とな
り、電流が供給されない場合に作動液戻し通路を連通さ
せる連通状態となる常開電磁制御弁とを含む(1) 項ない
し(8) 項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置(請
求項3)。ブレーキシリンダとリザーバとの間に、常開
電磁制御弁が設けられ、電流が供給された場合には作動
液戻し通路が遮断され、ブレーキシリンダがリザーバか
ら遮断される。ブレーキシリンダの作動液のリザーバへ
の流出が阻止されるのである。電流が供給されない場合
には、作動液戻し通路が連通させられ、ブレーキシリン
ダがリザーバに連通させられる。ブレーキシリンダの作
動液のリザーバへの流出が許容され、減圧される。この
電磁制御弁は、いわゆる減圧弁である。減圧弁は、通
常、常閉の電磁制御弁とされるが、本項に記載の液圧ブ
レーキ装置においては、常開電磁制御弁とされるのであ
る。この減圧弁は、制動中には電流が供給されることに
より遮断状態に保たれるが、非制動中には電流が供給さ
れず連通状態に保たれる。制動終了時に電流が供給され
なくなれば、ブレーキシリンダに供給された作動液は、
電磁制御弁を経てリザーバに戻される。それに対して、
減圧弁が常閉の電磁制御弁である場合には、制動終了時
からブレーキシリンダの作動液がすべて流出させられた
と推定し得る流出完了時間以上経過するまで電流が供給
されて連通状態に保たれた後に、電流が供給されなくな
って遮断状態に切り換えられる。そのため、電流が供給
されなくなった後に、ブレーキシリンダに作動液が残っ
ている場合があり、引きずりが生じる場合がある。それ
に対し、減圧弁を常開電磁制御弁とすれば、制動終了時
に電流が供給されなくなれば連通状態に保たれるため、
ブレーキシリンダから作動液を確実に流出させることが
でき、引きずりを防止することができる。 (10)前記常開電磁制御弁が、弁座と、その弁座に対
して接近・離間可能に設けられた弁子と、その弁子を弁
座から離間させる方向に付勢するスプリングと、前記ス
プリングの付勢力と逆向きに作用する電磁駆動力を付与
する電磁駆動装置とを含む(9) 項に記載の液圧ブレーキ
装置。本項の特徴によれば電磁制御弁の電磁駆動装置が
比較的小さくて済む。本項の電磁制御弁装置において
は、スプリングの付勢力は弁子を弁座から離間させる方
向に作用し、ブレーキシリンダとリザーバとの間の液圧
差(厳密にいえば、減圧弁の前後の液圧差)に応じた差
圧作用力がスプリングの付勢力と同じ方向に作用する。
そのため、電流が供給されない場合(電磁駆動力が0の
場合)に弁子を弁座から離間させた連通状態に保つため
に、スプリングの付勢力は小さくてよい。また、電磁駆
動装置に最大の駆動力が必要になるのは、電磁制御弁前
後の液圧差が最大の状態で弁子を弁座に着座した状態に
保つ場合であり、その場合の電磁駆動力に比較してスプ
リングの付勢力は無視し得るほど小さいため、電磁駆動
力は最大液圧差に基づく液圧作用力よりやや大きければ
よい。それに対して、減圧弁が、弁座と、その弁座
に対して接近・離間可能に設けられた弁子と、その弁
子を弁座に着座させる方向に付勢するスプリングと、
前記スプリングの付勢力と逆向きの電磁駆動力を付与す
る電磁駆動装置とを含む常閉の電磁制御弁である場合に
は、減圧弁の前後の液圧差に応じた差圧作用力が、スプ
リングの付勢力と逆向きに作用する。そのため、電流が
供給されない場合に遮断状態に保つためには、スプリン
グの付勢力を大きくしなければならない。また、電磁駆
動装置に最大の電磁駆動力が必要になるのは、差圧が0
の場合に、弁子を弁座から離間させて連通状態に切り換
える場合であり、その場合の電磁駆動力はスプリングの
付勢力より大きいことが必要である。つまり、スプリン
グの付勢力は差圧作用力の最大値より大きいことが必要
であり、電磁駆動力はスプリングの付勢力より大きいこ
とが必要であるため、上記常開電磁制御弁の場合のよう
に、最大の電磁駆動力が単に最大の差圧作用力より大き
ければよい場合に比較して、最大の電磁駆動力を大きく
設計しておくことが必要なのである。また、常開電磁制
御弁においてはスプリングの付勢力を非常に小さくする
ことができるため、電磁駆動力の制御におけるスプリン
グの付勢力の影響が、常閉の電磁制御弁における場合よ
り小さくなる。そのため、スプリングの付勢力のバラツ
キに起因する制御バラツキを小さくすることが可能とな
り、制御精度の向上を図ることができる。 (11)当該液圧ブレーキ装置が、ブレーキ操作部材の
操作力に応じた液圧を発生させるマスタシリンダを含
み、前記ブレーキシリンダがそのマスタシリンダに接続
されることなく前記ポンプ装置に接続される動力圧作動
ブレーキシリンダであることを特徴とする(9) 項または
(10)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項4)。本項に
記載の液圧ブレーキ装置においては、ポンプ装置に接続
され、マスタシリンダに接続されない動力圧作動ブレー
キシリンダに対する減圧弁が常開電磁制御弁とされる。
マスタシリンダに接続されるマスタ圧作動ブレーキシリ
ンダは、制動終了後にマスタシリンダを介してリザーバ
に連通させられるのが普通であるため、作動液戻し通路
を経なくても、作動液を確実にマスタシリンダへ、必要
があればさらにリザーバへ戻すことができる。そのた
め、動力圧作動ブレーキシリンダに対する減圧弁を常開
電磁制御弁とすれば、すべての車輪についての引きずり
を防止できることになる。マスタ圧作動ブレーキシリン
ダは、マスタシリンダに接続されてポンプ装置に接続さ
れないものであっても、マスタシリンダとポンプ装置と
の両方に接続されるものであってもよい。前者である場
合には、マスタ圧作動ブレーキシリンダは電磁制御弁等
を経ることなく直接マスタシリンダおよびリザーバに接
続できるため、制動終了時に電磁制御弁等の制御を行う
ことなくリザーバに戻すことができる。後者である場合
には、少なくともマスタ圧作動ブレーキシリンダとマス
タシリンダとの間には、マスタ圧作動ブレーキシリンダ
をマスタシリンダに連通させたり、マスタシリンダから
遮断したりするマスタ連通電磁制御弁が設けられること
となるが、このマスタ連通電磁制御弁は、フェールセー
フ等のために常開電磁制御弁とされるのが普通である。
そのため、制動終了時に、マスタ連通電磁制御弁への電
流供給を停止することにより、マスタ圧作動ブレーキシ
リンダをマスタシリンダおよびリザーバに連通させるこ
とができ、作動液を確実にマスタ圧作動ブレーキシリン
ダから流出させることができる。換言すれば、マスタ圧
作動ブレーキシリンダとリザーバとをマスタシリンダを
経ることなく接続する作動液戻し通路の途中に設けられ
る減圧弁は、常開電磁制御弁である必要はなく、常閉の
電磁制御弁でよい。常閉の電磁制御弁は、電流を供給し
ないことにより遮断状態に保ち得るものである。したが
って、動力圧作動ブレーキシリンダに対する減圧弁を常
開電磁制御弁とし、マスタ圧作動ブレーキシリンダに対
する減圧弁を常閉の電磁制御弁とすれば、引きずりを防
止しつつ、消費電力を低減させることができる。 (12)当該液圧ブレーキ装置が、前記マスタシリンダ
に接続されたマスタ圧作動ブレーキシリンダと、そのマ
スタ圧作動ブレーキシリンダと前記リザーバとを前記ポ
ンプ装置もマスタシリンダも経ないで接続する作動液戻
し通路と、その作動液戻し通路の途中に設けられ、電流
が供給された場合にその作動液戻し通路を連通させる連
通状態となり、電流が供給されない場合に作動液戻し通
路を遮断する遮断状態となる常閉の電磁制御弁とを含む
(11)項に記載の液圧ブレーキ装置。マスタ圧作動ブレー
キシリンダに対する減圧弁を常閉の電磁制御弁とすれ
ば、電気系統の故障時等にもブレーキを作動させること
ができる。マスタ圧作動ブレーキシリンダは、前述のよ
うに、マスタシリンダに接続されてポンプ装置に接続さ
れないものと、マスタシリンダとポンプ装置との両方に
接続されるものとがあり得る。そして、後者の場合に
は、電気系統の正常時にマスタシリンダから遮断されて
ポンプ装置に連通させられ、異常時にポンプ装置から遮
断されてマスタシリンダに連通させられるようにするこ
とができる。したがって、前者,後者いずれの場合も、
減圧弁を常閉の電磁制御弁として、電気系統の異常時に
遮断状態に保たれるようにすれば、マスタシリンダの作
動液をマスタ圧作動ブレーキシリンダに供給することに
よりブレーキを作動させることができるのである。ま
た、マスタ圧作動ブレーキシリンダと前述の動力圧作動
ブレーキシリンダとの両方に対する減圧弁を常開電磁制
御弁とすると、制動時にすべての減圧弁に電流を供給す
る必要があるが、マスタ圧作動ブレーキシリンダに対す
る減圧弁を常閉の電磁制御弁とすれば、制動時に電流を
供給する必要がなくなる。そのため、すべての減圧弁を
常閉の電磁制御弁とする場合より、消費電力を低減させ
ることができる。 (13)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記ブレーキシ
リンダと、ポンプ装置と、リザーバとの間に設けられ、
ブレーキシリンダをポンプ装置に連通させたり、リザー
バに連通させたりする液圧制御弁装置を含む(1) 項ない
し(12)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。本
態様によれば、ポンプ装置の制御との共同で、あるいは
ポンプ装置の制御とは別個に、液圧制御弁装置の制御に
よりブレーキシリンダの液圧を制御することが可能とな
る。例えば、通常はポンプ装置の制御により複数のブレ
ーキシリンダの液圧を共通に制御して、正確に所望の制
動効果を得、アンチロック制御,トラクション制御,ビ
ークルスタビリティ制御等が必要となった場合には、各
ブレーキシリンダの液圧をポンプ装置から供給された作
動液の液圧(ポンプ装置の制御により制御されていて
も、されてないくてもよい)に基づいて個別に制御する
ことが可能となるのである。 (14)1つ以上のポンプを含むポンプ装置と、そのポ
ンプ装置に接続されたブレーキシリンダと、作動液を収
容するリザーバと、そのリザーバと前記ブレーキシリン
ダとを、前記ポンプ装置を経ないで接続する作動液戻し
通路と、その作動液戻し通路の途中に設けられ、電気
エネルギが供給された場合にその作動液戻し通路を遮断
する遮断状態となり、電気エネルギが供給されない場合
に作動液戻し通路を連通させる連通状態となる常開の電
磁開閉弁と、電気エネルギが供給された場合に、それ
自身の前後の液圧差を、その供給された電気エネルギ量
に応じた大きさに制御する制御状態となり、電気エネル
ギが供給されない場合に作動液の戻し通路を連通させる
連通状態となる常開の電磁液圧制御弁とのいずれか一方
とを含む液圧ブレーキ装置。本項に記載のポンプ装置
は、(1) 項ないし(8) 項に記載のように、増圧・減圧両
用ポンプや減圧専用ポンプ等の減圧用ポンプを含むもの
とすることができるが、減圧用ポンプを含むものに限ら
ず、1つ以上の増圧専用ポンプを含むものとしたり、ア
キュムレータを含むものとしたりすることができる。2
つ以上の増圧専用ポンプを含む場合には、低圧用増圧専
用ポンプと高圧用増圧専用ポンプとを含むものとするこ
とが望ましい。ポンプ装置が減圧用ポンプを含まないも
のである場合には、ブレーキシリンダの作動液が上述の
電磁開閉弁あるいは電磁液圧制御弁を経てリザーバに戻
されることにより、減圧されることになる。電磁開閉弁
は、減圧制御時に連通状態に切り換えられるが、連通状
態に保たれるとは限らず、連通状態と遮断状態とに交互
に切り換えられる場合もある。電磁液圧制御弁は、リザ
ーバとブレーキシリンダとの間に設けられているため、
自身の前後の液圧差が小さい場合は大きい場合より、ブ
レーキシリンダ液圧が小さくされる。いずれにしても、
電磁開閉弁や電磁液圧制御弁の制御により、ブレーキシ
リンダの液圧が減圧制御されることになり、制動終了後
には、電気エネルギ量が0にされることにより連通状態
に戻されるため、引きずりを良好に防止することができ
る。なお、本項に記載の液圧ブレーキ装置は、(10)項な
いし(13)項を適用することができる。例えば、電磁開閉
弁や電磁液圧制御弁は、(10)項に記載のシーティング弁
とすることができ、(11)項に記載のように、マスタシリ
ンダに接続されていない動力圧作動ブレーキシリンダに
対応して設けられた減圧弁に適用することが望ましい。 (15)前記ポンプ装置が、前記他方のポンプとブレー
キシリンダとを接続する液通路と、前記一方のポンプと
を接続する液通路の途中に設けられ、一方のポンプとブ
レーキシリンダとを連通させる連通状態と、ブレーキシ
リンダから一方のポンプへの作動液の流れを阻止する流
出阻止状態とに切り換えが可能な流出阻止弁を含むこと
を特徴とする(4)項に記載の液圧ブレーキ装置(請求項
2)。前記(7)項,(9)項または(13)項のいずれかに記載
の特徴は本項にも適用可能である。 (16)当該液圧ブレーキ装置が、前記ブレーキシリン
ダを複数備え、前記ポンプ装置が、それら複数のブレー
キシリンダに接続され、それら複数のブレーキシリンダ
の液圧を共通に制御することを特徴とする(1)項,(2)
項,(4)項ないし(6)項,(8)項,(9)項,(13)項,(15)項
のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置(請求項5)。 (17)作動液の液圧により複数のブレーキをそれぞれ
作動させる複数のブレーキシリンダと、それら複数のブ
レーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置
とを含む液圧ブレーキ装置であって、前記ブレーキ液圧
制御装置が、互いに並列に接続された複数のポンプを含
み、それら複数のポンプが前記複数のブレーキシリンダ
に共通に接続され、それら複数のポンプのうちの2つの
ポンプの一方が他方のポンプより、単位時間当たりの最
大吐出量が大きく最大吐出圧が小さいものであり、か
つ、それら2つのポンプのうちの少なくとも1つから吐
出された作動液を前記ブレーキシリンダに供給するポン
プ装置と、前記複数のポンプの回転状態を制御すること
により、前記複数のブレーキシリンダの液圧を共通に制
御するポンプ装置制御装置とを含むことを特徴とする液
圧ブレーキ装置(請求項6)。前記(8)項,(9)項または
(13)項のいずれかに記載の特徴は本項にも適用可能であ
る。 (18)作動液の液圧により複数のブレーキをそれぞれ
作動させる複数のブレーキシリンダと、それら複数のブ
レーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置
とを含む液圧ブレーキ装置であって、前記ブレーキ液圧
制御装置が、互いに並列に接続された2つ以上のポンプ
を備え、それら2つ以上のポンプが前記複数のブレーキ
シリンダに共通に接続され、前記2つ以上のポンプのう
ちの少なくとも1つから吐出された作動液を前記ブレー
キシリンダに供給するポンプ装置と、前記少なくとも1
つのポンプの回転方向と回転速度とのうち少なくとも一
方を制御することにより、前記複数のブレーキシリンダ
の液圧を共通に制御するポンプ装置制御装置とを含むこ
とを特徴とする液圧ブレーキ装置。前記(4)項ないし(6)
項,(8)項,(9)項,(13)項のいずれかに記載の特徴は本
項および次項にも適用可能である。 (19)作動液の液圧により複数のブレーキをそれぞれ
作動させる複数のブレーキシリンダと、それら複数のブ
レーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置
とを含む液圧ブレーキ装置であって、前記ブレーキ液圧
制御装置が、互いに並列に接続されるとともに前記複数
のブレーキシリンダに共通に接続され、それら複数のブ
レーキシリンダに作動液を供給可能な少なくとも1つの
増圧可能ポンプと、それら複数のブレーキシリンダから
作動液を流出可能な少なくとも1つの減圧可能ポンプと
を含むポンプ装置と、そのポンプ装置に含まれるポンプ
の回転状態を制御することにより、前記複数のブレーキ
シリンダの液圧を共通に制御するポンプ装置制御装置と
を含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。 (20)前記ポンプ装置が、前記複数のブレーキシリン
ダに接続され、それら複数のブレーキシリンダから作動
液を流出可能な減圧可能ポンプと、その減圧可能ポンプ
以外のポンプと前記複数のブレーキシリンダとを接続す
る液通路と、前記減圧可能ポンプとを接続する液通路の
途中に設けられ、その減圧可能ポンプと前記複数のブレ
ーキシリンダとを連通させる連通状態と、それら複数の
ブレーキシリンダから前記減圧可能ポンプへの作動液の
流れを阻止する流出阻止状態とに切り換えが可能な流出
阻止弁とを含む(17)項ないし(19)項のいずれかに記載の
液圧ブレーキ装置(請求項)。前記(7)項,(9)項,(1
3)項のいずれかに記載の特徴は本項にも適用可能であ
る。 (21)ブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を発生
させるマスタシリンダを含み、かつ前記ブレーキ液圧制
御装置が、作動液を収容するリザーバと、前記複数のブ
レーキシリンダのうち前記マスタシリンダに接続される
ことなく前記ポンプ装置に接続される動力圧作動ブレー
キシリンダと、前記リザーバとを、前記ポンプ装置を経
ないで接続する作動液戻し通路と、その作動液戻し通路
の途中に設けられ、電流が供給された場合にその作動液
戻し通路を遮断する遮断状態となり、電流が供給されな
い場合に作動液戻し通路を連通させる常開電磁制御弁と
を含むことを特徴とする(17)項ないし(20)項のいずれか
に記載の液圧ブレーキ装置(請求項)。前記(11)項,
(13)項のいずれかに記載の特徴は本項にも適用可能であ
る。 (22)前記ポンプ装置が、1台の車両に設けられた前
記複数のブレーキシリンダを含むすべてのブレーキシリ
ンダに共通に接続されたことを特徴とする (3)項,(16)
項ないし(21)項のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置。 (23)前記ブレーキ液圧制御装置が、前記ポンプ装置
に含まれるポンプのうち少なくとも1つのポンプの少な
くとも回転速度の制御を行うものであることを特徴とす
る (1)項ないし(13)項,(15)項ないし(22)項のいずれか
に記載の液圧ブレーキ装置。 (23)前記ポンプ装置に含まれる複数のポンプの各々
が、複数のモータの各々によって個別に駆動されること
を特徴とする(1)項ないし(23)項のいずれかに記載の液
圧ブレーキ装置。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、請求項1ないし5に記載の
発明に共通の一実施形態である液圧ブレーキ装置につい
て図面に基づいて詳細に説明する。図1において、10
はブレーキ操作部材としてのブレーキペダルであり、1
2はマスタシリンダである。マスタシリンダ12は2つ
の加圧室を備えたタンデム式のものであり、一方の加圧
室には液通路14を介して左前輪16のホイールシリン
ダ18が接続され、他方の加圧室には液通路20を介し
て右前輪22のホイールシリンダ24が接続されてい
る。本実施形態においては、1つの加圧室に1つのホイ
ールシリンダがそれぞれ接続されることになる。液通路
14,20の途中には、それぞれマスタ遮断弁26,2
8が設けられている。マスタ遮断弁26,28は、ソレ
ノイドのON,OFFにより、ホイールシリンダをマス
タシリンダ12から遮断する遮断状態と、マスタシリン
ダ12に連通させる連通状態とに切り換え可能なもので
ある。制動中は電流が供給されることにより遮断状態に
保たれ、非制動中は電流が供給されないことにより連通
状態に保たれる常開弁であり、電気系統の異常時には連
通状態に保たれる。
【0005】マスタシリンダ12に作動液を供給するマ
スタリザーバ30と上述のホイールシリンダ18,24
および左右後輪32,34のホイールシリンダ36,3
8との間には、ポンプ装置40が設けられている。ポン
プ装置40は、2つのポンプ42,44、逆止弁45
a,b、流出阻止弁46等を含むものである。マスタリ
ザーバ30の作動液は、ポンプ42,44のいずれか一
方により加圧されて各ホイールシリンダ18,24,3
6,38に供給される。また、ホイールシリンダ18,
24,36,38の作動液は、ポンプ44を経て流出さ
せられ、マスタリザーバ30に流入させられる。各ホイ
ールシリンダ18,24,36,38の液圧は、ブレー
キペダル10の操作力に応じた減速度が得られるように
制御される。本実施形態においては、制動効果制御が行
われるのである。
【0006】2つのポンプ42,44は、図に示すよう
に、互いに並列に配設されており、ホイールシリンダ1
8,24,36,38に接続されている。一方のポンプ
42は、最大吐出圧が大きく、単位時間当たりの最大吐
出量が小さい高圧小容量型のプランジャポンプ(以下、
高圧用ポンプ42と称する)であり、他方のポンプ44
は、最大吐出圧が小さく、最大吐出量が大きい低圧大容
量型のギヤポンプ(以下、低圧用ポンプ44と称する)
である。高圧用ポンプ42は高圧用モータ48の駆動に
よって作動させられ、低圧用ポンプ44は低圧用モータ
50の駆動によって作動させられる。これら高圧用モー
タ48,低圧用モータ50の回転速度を制御することに
よって、最大吐出圧を越えない範囲内において、単位時
間当たりの吐出量を制御することができる。低圧用モー
タ50は、正逆両方向に回転可能なものであり、低圧用
ポンプ44を正逆両方向に回転させることができる。低
圧用ポンプ44の回転方向を切り換えることによって、
増圧状態と減圧状態とに切り換えることが可能となる。
【0007】低圧用モータ50を一方向に回転させた場
合には、低圧用ポンプ44は、マスタリザーバ側から作
動液を吸引してホイールシリンダ側へ吐出する増圧状態
とされる。他方向に回転させた場合には、低圧用ポンプ
44は、作動液をホイールシリンダ側から吸引してマス
タリザーバ側へ流出させる減圧状態とされる。このよう
に、低圧用モータ50の回転方向を制御することによっ
て、低圧用ポンプ44が、ホイールシリンダ18,2
4,36,38へ作動液を供給する増圧状態と、ホイー
ルシリンダ18,24,36,38から作動液を排出さ
せる減圧状態とに切り換えられる。また、前述のよう
に、低圧用ポンプ44はギヤポンプであるため、漏れが
生じる場合があるが、漏れを利用して減圧することも可
能である。
【0008】ここで、低圧用ポンプ44は、通常制動
時、すなわち、ホイールシリンダ液圧が約3MPa以下
の場合に作動状態とされ、3MPaを越えた場合には停
止状態とされる。それに対して、高圧用ポンプ42は、
約3MPa以下の場合に停止状態に保たれ、3MPaを
越えた場合に作動状態とされる。このように、各ホイー
ルシリンダ18,24,36,38には、低圧用ポンプ
44と高圧用ポンプ42とのいずれか一方から吐出され
た作動液が選択的に供給されることになる。通常制動中
においては、低圧用モータ50の作動状態の制御によ
り、低圧用ポンプ44の作動状態が制御され、ホイール
シリンダ18,24,36,38の液圧が制御される。
本実施形態においては、1つのポンプ装置40に4つの
ホイールシリンダ18,24,36,38が接続されて
いるため、ポンプ装置40によって制御された作動液が
ホイールシリンダ18,24,36,38に同様に供給
され、これらの液圧をほぼ同じ大きさに制御することが
できる。また、低圧用ポンプ44は、容量が大きいもの
であるため、ブレーキペダル10の踏込み初期時等に大
きな流量で作動液を供給することができ、ブレーキの効
き遅れを小さくすることができる。さらに、通常制動中
において、ブレーキペダル10の踏力に応じた減速度が
得られるように、ホイールシリンダ液圧を増圧,減圧す
る制動効果制御が行われる。
【0009】踏力が大きく、ホイールシリンダ液圧が3
MPaを越えた場合には、高圧用ポンプ42が作動させ
られ、低圧用ポンプ44の作動が停止させられる。高圧
用ポンプ42から吐出された作動液がホイールシリンダ
18,24,36,38に供給されることにより、さら
に、増圧させられ、大きなブレーキ力を得ることができ
る。緊急制動時等、ホイールシリンダ液圧が3MPaを
越えた場合には、ブレーキフィーリングが問題になるこ
とは殆どないため、ホイールシリンダ液圧を減圧する必
要はなく、増圧すれば十分であるため、高圧用ポンプ4
2を減圧状態に切り換え可能なものとする必要がないの
である。
【0010】前記流出阻止弁46は、図示するように、
連通状態と流出阻止状態とに切り換え可能なパイロット
式の制御弁であり、高圧用ポンプ42の吐出圧が設定圧
(例えば、3MPa)に達すると連通状態から流出阻止
状態に切り換えられ、ホイールシリンダから低圧用ポン
プ44へ向かう方向の作動液の流れが阻止される。ホイ
ールシリンダ18,24,36,38の作動液が低圧用
ポンプ44から漏れてマスタリザーバ側へ流出させられ
ることが回避される。流出阻止弁46が流出阻止状態に
切り換えられれば、低圧用ポンプ44の故障時等におけ
る低圧用ポンプ44からの漏れを回避することも可能と
なる。本実施形態においては、低圧用ポンプ44と低圧
用モータ50との間には、逆駆動阻止装置が設けられて
いる。そのため、流出阻止弁46における作動液の漏れ
等に起因して、低圧用ポンプ44の前後に液圧差が生
じ、液圧差に基づいて低圧用ポンプ44をモータとして
作動させようとする逆駆動トルクが作用しても、モータ
が回転させられることが確実に回避される。なお、逆駆
動阻止装置は不可欠ではなく、逆駆動阻止装置がなくて
も、十分に作動液の流出を阻止し得る。
【0011】各ホイールシリンダ18,24,36,3
8とポンプ装置40とを接続するポンプ通路52の途中
には、これらを連通させる連通状態とこれらを遮断する
遮断状態とに切り換え可能な増圧弁としての電磁開閉弁
54が設けられている。電磁開閉弁54は、電流が供給
されない場合は遮断状態にあるが、電流が供給されると
連通状態になる常閉電磁開閉弁である。ポンプ装置40
が作動状態にされると、増圧弁54は連通状態に切り換
えられ、ポンプ装置40から各ホイールシリンダ18,
24,36,38への作動液の流入が許容される。増圧
弁54が連通状態に保たれれば、ポンプ装置40におい
て制御された作動液がホイールシリンダ各々に同様に供
給されるため、これらホイールシリンダ液圧を同じ大き
さにすることが可能となる。
【0012】前輪16,22のホイールシリンダ18,
24、後輪32,34のホイールシリンダ36,38と
マスタリザーバ30とを、ポンプ装置40およびマスタ
シリンダ12をバイパスして接続する作動液戻し通路5
8が設けられ、この作動液戻し通路58の途中には、こ
の作動液戻し通路58を連通させる連通状態と遮断する
遮断状態とに切り換え可能な減圧弁60,62が設けら
れている。前輪16,22のホイールシリンダ18,2
4に対応して設けられた減圧弁60は、電流が供給され
ない場合に遮断状態にある常閉の電磁開閉弁であり、後
輪32,34のホイールシリンダ36,38に対応して
設けられた減圧弁62は、電流が供給されない場合に連
通状態にある常開の電磁開閉弁である。前輪16,22
のホイールシリンダ18,24には、マスタシリンダ1
2とポンプ装置40との両方が接続されているが、後輪
32,34のホイールシリンダ36,38には、ポンプ
装置40が接続されているが、マスタシリンダ12は接
続されていない。換言すれば、マスタシリンダ12とポ
ンプ装置40との両方に接続されたマスタ圧作動ホイー
ルシリンダ18,24に対する減圧弁60が常閉の電磁
開閉弁とされ、マスタシリンダ12には接続されないが
ポンプ装置40に接続された動力圧作動ホイールシリン
ダ36,38に対する減圧弁62が常開の電磁開閉弁と
されているのである。
【0013】動力圧作動ホイールシリンダに対する減圧
弁が常閉の電磁開閉弁とされた場合には、制動終了時か
らホイールシリンダの作動液が確実にマスタリザーバに
戻されたと推定し得る流出完了時間まで、電流を供給す
ることによって連通状態に保たれ、その後、遮断状態に
戻されることになる。しかし、ホイールシリンダに作動
液が残っている場合があり、引きずりが生じるおそれが
ある。それに対して、減圧弁が常開の電磁開閉弁とされ
た場合には、制動終了後に、電流の供給を停止すること
によって連通状態に保つことができるため、ホイールシ
リンダの作動液をすべてマスタリザーバに戻すことがで
き、引きずりを防止することができる。それに対して、
マスタ圧作動ホイールシリンダは、通常、フェールセー
フ等のために、非制動時にマスタシリンダに連通させら
れるようにされている。本実施形態においては、マスタ
遮断弁26,28が、非制動中(制動終了時)には連通
状態に保たれる。そのため、制動終了時には、マスタ圧
作動ホイールシリンダ18,24の作動液は、減圧弁6
0でなく、連通状態にあるマスタ遮断弁26,28を経
てマスタシリンダ12に戻されることになり、減圧弁6
0が常開の電磁開閉弁でなくても、引きずりを防止する
ことが可能となる。
【0014】マスタ遮断弁26,28は、前述のよう
に、電気系統の異常時(電流が供給されない)には連通
状態に戻される。また、増圧弁54は保持状態に戻され
る。そのため、マスタ圧作動ホイールシリンダ18,2
4は、ポンプ装置40から遮断されてマスタシリンダ1
2に連通させられることになる。マスタ圧作動ホイール
シリンダ18,24にマスタシリンダ12の作動液が供
給され、マスタ圧によってブレーキが作動させられる。
この場合に、減圧弁が常開の電磁開閉弁である場合に
は、遮断状態に切り換えることが不可能となり、ブレー
キが作動しなくなるおそれがある。それに対して、本実
施形態においては、減圧弁60が常閉の電磁開閉弁とさ
れているため、電気系統の異常時等にもブレーキを作動
させることが可能となる。このように、本実施形態にお
いては、マスタ圧作動ホイールシリンダ18,24に対
応する減圧弁60を常閉の電磁開閉弁とし、動力圧作動
ホイールシリンダ36,38に対応する減圧弁62を常
開の電磁開閉弁とすることにより、引きずりを防止しつ
つ電気系統の異常時等に良好にブレーキを作動させるこ
とが可能となる。また、すべてのホイールシリンダに対
する減圧弁を常開の電磁開閉弁とする場合より、制動中
における消費電力を低減させることができる。
【0015】本液圧ブレーキ装置には、コンピュータを
主体とするブレーキ液圧制御装置70が設けられてい
る。ブレーキ液圧制御装置70の入力部には、ブレーキ
ペダル10が踏み込まれた状態にあることを検出するブ
レーキスイッチ72、マスタシリンダ12の加圧室の液
圧を検出するマスタ圧検出装置74、ポンプ装置40の
吐出側の液圧を検出するポンプ圧検出装置76、各ホイ
ールシリンダの液圧をそれぞれ検出するホイールシリン
ダ圧検出装置78、各車輪の回転速度を検出する車輪速
センサ80等が接続され、出力部には、前述の各電磁開
閉弁のソレノイドが図示しない駆動回路を介して接続さ
れるとともに、低圧用モータ50,高圧用モータ48が
駆動回路を介して接続されている。ROMには、図2の
フローチャートで表されるポンプ回転状態制御プログラ
ム,アンチロック制御プログラム,トラクション制御プ
ログラム等種々のプログラムや図3のグラフで表される
モータ回転速度制御テーブル等が格納されているが、本
実施形態においては、ブレーキペダル10の踏力に応じ
た減速度が得られるように、低圧用モータ50,高圧用
モータ48の作動状態が制御され、低圧用ポンプ44,
高圧用ポンプ42の回転状態が制御される。
【0016】ブレーキペダル10の踏力は、マスタ圧検
出装置74の検出結果に基づいて取得される。マスタシ
リンダ12には、ストロークシミュレータ82が設けら
れ、マスタ遮断弁26,28が遮断状態にあっても、運
転者が違和感を感じないようにされている。各増圧弁5
4が連通状態にあり、減圧弁60,62が遮断状態にあ
る場合には、ポンプ圧検出装置76によって検出された
ポンプ装置40の吐出側の液圧は、ホイールシリンダ各
々の液圧と同じであると推定することができる。また、
車輪速センサ80によって検出された車輪速度、これら
車輪速度等に基づいて取得された推定車両速度等に基づ
いて各車輪16,22,32,34の制動スリップ状態
や駆動スリップ状態が取得される。これらスリップ状態
に基づいて、アンチロック制御やトラクション制御が行
われる。
【0017】以上のように構成された液圧ブレーキ装置
における作動について説明する。電気系統が正常な場合
には、ホイールシリンダ18,24,36,38の液圧
が、図2のフローチャートで表されるポンプ回転状態制
御プログラムの実行に従って制御される。ステップ1
(以下、S1と略称する。他のステップについても同様
とする)において、ブレーキペダル10が踏み込まれて
いるか否かが、ブレーキスイッチ72の状態に基づいて
判定される。踏み込まれている場合には、S2におい
て、マスタ遮断弁26,28が遮断状態に、増圧弁54
が連通状態に、減圧弁62が遮断状態にそれぞれ切り換
えられる。S3において、ブレーキペダル10の踏力に
基づいて目標ホイールシリンダ液圧P* WCが求められ
る。踏力に応じた減速度が得られるようにホイールシリ
ンダ液圧の大きさが決められるのである。S4におい
て、目標ホイールシリンダ液圧P* WCが3MPa以下か
否かが判定される。すなわち、通常制動中の場合には、
判定がYESとなり、S5において、低圧用モータ50
の作動状態が制御される。低圧用モータ50の回転方向
の制御により、ホイールシリンダ18,24,36,3
8に作動液が供給されたり、作動液が排出させられたり
する。また、回転速度の制御により、これらの場合の作
動液量が制御される。ここでは、高圧用モータ48は停
止状態に保たれる。目標ホイールシリンダ液圧P* WC
3MPaを越えた場合、すなわち、踏力が大きい緊急制
動時等には、高圧用モータ48の作動状態が制御され、
低圧用モータ50は停止状態に保たれる。高圧の作動液
がホイールシリンダに供給されることにより、液圧が増
圧させられる。この場合には、流出阻止弁46が遮断状
態に切り換えられ、低圧用ポンプ44から作動液が漏れ
ることが回避される。
【0018】上述のS5における低圧用モータ50の制
御は、図3のグラフで表されるテーブルに従って行われ
る。目標ホイールシリンダ液圧P* WCが実ホイールシリ
ンダ液圧PWCより大きい場合には、増圧状態とされ、低
圧用モータ50が正方向に回転させられる。目標ホイー
ルシリンダ液圧P* WCが実ホイールシリンダ液圧PWC
り小さい場合には、減圧状態とされ、低圧用モータ50
が逆方向に回転させられる。また、回転速度は、目標ホ
イールシリンダ液圧P* WCと実ホイールシリンダ液圧P
WCとの差が大きい場合は小さい場合より大きくされる。
吐出量あるいは排出量が大きくされ、早急に目標ホイー
ルシリンダ液圧P* WCに近づけられる。図に示すよう
に、目標ホイールシリンダ液圧P* WCと実ホイールシリ
ンダ液圧P WCとの差が、図の2点鎖線で形成されたいず
れの領域に属するかが求められ、その領域について決定
された回転速度R′n ,Rn で低圧用モータ50が増圧
方向あるいは減圧方向に回転させられるのである。
【0019】また、図に示すように、目標ホイールシリ
ンダ液圧P* WCと実ホイールシリンダ液圧PWCとの差が
小さい場合には、保持状態とされ、低圧用モータ50の
回転が停止させられる。本実施形態においてはヒステリ
シスが設けられており、目標ホイールシリンダ液圧P*
WCと実ホイールシリンダ液圧PWCとの差が大きくなり、
一点鎖線に示す差を越えると、低圧用モータ50が回転
させられるが、これらの差が小さくなり、破線を越える
と、低圧用モータ50の回転が停止させられる。ヒステ
リシスを設けることにより、低圧用モータ50の回転状
態の制御が頻繁に変更されることが回避される。それに
対して、ブレーキペダル10が踏み込まれていない場合
には、S1における判定がNOとなり、低圧用モータ5
0も高圧用モータ48も停止状態に保たれる。その結
果、無駄な電気エネルギの消費を回避することができ
る。
【0020】また、電気系統の異常時等には、マスタ遮
断弁26,28が連通状態に保たれるため、ホイールシ
リンダ18,24にマスタシリンダ12が連通させられ
る。ブレーキペダル10が踏み込まれると、マスタシリ
ンダ12の作動液がホイールシリンダ18,24に供給
され、ブレーキが作動させられる。前輪側の方が後輪側
よりホイールシリンダの容量が大きいため、前輪側のホ
イールシリンダ18,24に作動液が供給されるように
されているのである。
【0021】少なくとも1輪の制動スリップ状態が路面
の摩擦係数に対して過大になった場合には、アンチロッ
ク制御が行われる。マスタ遮断弁26,28が遮断状態
に保たれた状態で、増圧弁54,減圧弁60,62の制
御により、ポンプ装置40から供給された作動液により
各ホイールシリンダ18,24,36,38の液圧が、
各車輪16,22,32,34の制動スリップ状態が適
正状態に保たれるように制御される。また、駆動輪の駆
動スリップ状態が過大になった場合には、トラクション
制御が行われる。本実施形態においては、後輪が駆動輪
であるため、マスタ遮断弁26,28が連通状態に保た
れ、前輪16,22に対して設けられた増圧弁54が遮
断状態に保たれた状態で、後輪32,34のホイールシ
リンダ36,38の液圧が、増圧弁54,減圧弁62の
制御により制御される。トラクション制御中にブレーキ
ペダル10が踏み込まれた場合には、マスタシリンダ1
2の作動液が、連通状態にあるマスタ遮断弁26,28
を経てホイールシリンダ18,24に供給され得る。な
お、アンチロック制御中,トラクション制御中において
は、ポンプ装置40を制御することは不可欠ではなく、
予め定められた回転状態が保たれるようにすることがで
きる。
【0022】以上のように、本実施形態においては、ホ
イールシリンダの液圧がポンプ装置40の制御により制
御される。また、ポンプ装置40に4輪のホイールシリ
ンダ18,24,36,38すべてが接続されているた
め、4つのホイールシリンダ18,24,36,38の
液圧を同じ大きさに制御することが可能となる。ポンプ
から吐出された作動液を、ホイールシリンダ各々に対応
して設けられた液圧制御弁の制御により、ホイールシリ
ンダ液圧を制御する場合には、制御バラツキが生じる
が、本実施形態においては、共通に制御することが可能
であるため、各ホイールシリンダの液圧を同じ大きさに
制御することができるのである。さらに、高圧小容量
型,低圧大容量型の2つのポンプが設けられているた
め、高圧大容量型の1つのポンプとするより、小形化を
図り、コストダウンを図ることができる。また、低圧大
容量型のポンプをギヤポンプとして正逆両方向に回転可
能なものとしたため、踏力がそれほど大きくない通常制
動時に、踏力に応じた減速度が得られるように制動効果
制御を行うことが可能となる。踏力が非常に大きい場合
には、ホイールシリンダ液圧を減圧する必要は殆どな
く、高圧を作動液を少量供給すれば足りる。さらに、マ
スタシリンダ12に接続されたホイールシリンダ18,
24に対応する減圧弁を常閉の電磁開閉弁とし、マスタ
シリンダ12に接続されないホイールシリンダ36,3
8に対応する減圧弁を常開電磁開閉弁とすることによっ
て、電気系統の異常時にブレーキを作動させ得、引きず
りを防止することができる。
【0023】本実施形態においては、ブレーキ液圧制御
装置70のポンプ回転状態制御プログラムを実行する部
分等によりポンプ装置制御装置が構成され、ポンプ装置
制御装置およびポンプ装置40等により、ブレーキ液圧
制御装置が構成されることになる。
【0024】なお、ポンプ装置の構造は上記実施形態に
おけるそれに限らず、図4に示す構造のポンプ装置88
とすることもできる。低圧用ポンプ44の上流側には、
逆止弁90と補助リザーバ92とが直列に設けられてお
り、2つのポンプ42,44、逆止弁90および補助リ
ザーバ92等によりポンプ装置88が構成される。逆止
弁90は、マスタリザーバ30から低圧用ポンプ44へ
の作動液の流れを許容するが、逆向きの流れを阻止する
ものである。補助リザーバ92は、容積がそれほど大き
いものではないが、複数回の減圧時にホイールシリンダ
18,24,36,38から流出した作動液を蓄え得る
大きさのものである。
【0025】減圧時に低圧用ポンプ44を経てホイール
シリンダから流出されられた作動液、高圧用ポンプ42
の作動時に吐出側から漏れた作動液は補助リザーバ92
に蓄えられる。補助リザーバ92の上流側に逆止弁90
が設けられているために、低圧用ポンプ44を経て排出
された作動液が補助リザーバ92に蓄えられるのであ
る。補助リザーバ92がフル状態になれば、低圧用ポン
プ44の前後の液圧差が小さくなり、ホイールシリンダ
側からマスタリザーバ側への作動液の漏れを少なくする
ことができる。このように、補助リザーバ92は、減圧
時に流出させられた作動液を収容する機能と、低圧用ポ
ンプ44における漏れを少なくする機能との両方を備え
たものであるため、容量は、これらを勘案して決められ
る。低圧用ポンプ44によって作動液が加圧される場合
には、補助リザーバ92に収容された作動液が吸引され
たり、マスタリザーバ30の作動液が逆止弁90を経て
吸引されたりする。また、本実施形態においては、低圧
用ポンプ44と低圧用モータ50との間に、逆駆動阻止
装置が設けられているため、高圧用ポンプ42の作動時
にポンプ圧が大きくなって、吐出側の作動液が低圧用ポ
ンプ44から漏れることはあっても、それによってモー
タが逆転させられ、多量の作動液が低圧用ポンプ44を
経て流出させられることが回避される。
【0026】なお、補助リザーバ92の容量は、上記実
施形態における容量に限らず、一回の増圧時に吐出され
る作動液量に対応する量とすることもできる。また、逆
駆動阻止装置は不可欠ではない。低圧用モータ50が減
圧方向に回転させられて、多量の作動液が流出させられ
ても、補助リザーバ92がフル状態となれば、それ以上
作動液が流出させられることはないのである。
【0027】また、2つのポンプ42,44の作動状態
の制御の態様は、上記実施形態における場合に限らず、
他の態様とすることもできる。例えば、制動初期時に、
低圧用ポンプ44と高圧用ポンプ42との両方を作動状
態にすることもでき、その場合には、ホイールシリンダ
へ供給し得る作動液の流量を、低圧用ポンプ44のみが
作動状態とされる場合より大きくすることができ、ブレ
ーキを早急に作動させることが可能となる。
【0028】さらに、高圧用ポンプ42を増圧状態と減
圧状態とに切り換え可能なものとすることもできる。そ
の場合には、高圧時においてもホイールシリンダ液圧を
精度よく制御することが可能となる。ポンプ装置94を
図5に示す構造のものとする。高圧用ポンプ42の吐出
側に2つの方向切換弁96,98が設けられている。方
向切換弁96は、高圧用ポンプ42の吐出口をホイール
シリンダに接続する第一状態と、液通路100を介して
マスタリザーバ30に接続する第二状態とに切り換え可
能なものである。方向切換弁98は、高圧用ポンプ42
の吐出口をホイールシリンダに接続する第一位置と、ホ
イールシリンダを液通路102を介して吸入口に接続す
る第二位置とに切り換え可能なものである。方向切換弁
96,98がともに第一位置にある場合には増圧状態と
される。高圧用ポンプ42によってマスタリザーバ30
から吸引された作動液がホイールシリンダに供給され
る。方向切換弁96,98がともに第二位置に切り換え
られると減圧状態とされる。ホイールシリンダの作動液
が、液通路102,高圧用ポンプ42,液通路100を
経てマスタリザーバ30に戻されるのである。また、高
圧用ポンプ42,低圧用ポンプ44のホイールシリンダ
側にダンパを設けることもできる。ダンパにより、ポン
プの脈動を抑制し得る。
【0029】さらに、増圧弁54を常閉の電磁開閉弁と
することも不可欠ではなく、常開の電磁開閉弁とするこ
ともできる。また、アンチロック制御,トラクション制
御可能とする必要は必ずしもない。この場合には、増圧
弁54,減圧弁60,62等も不要となり、制動終了時
に、動力圧作動ホイールシリンダの作動液を、低圧用ポ
ンプ44の減圧方向回転によりマスタリザーバ30に戻
すことも可能である。さらに、緊急時等に、ブレーキペ
ダル10の操作に先立ってホイールシリンダ18,2
4,36,38に作動液を供給する等自動ブレーキを作
動させることもできる。さらに、増圧弁54,減圧弁6
0,62は、単なる開閉弁でなく、開状態において流れ
る作動液の流量を制御可能な液圧制御弁とすることもで
きる。
【0030】また、マスタ圧作動ホイールシリンダ1
8,24を連結する連結通路を設けるとともに、連結通
路の途中に、電磁開閉弁を設けてもよい。電磁開閉弁
は、アンチロック制御時等2つのホイールシリンダ1
8,24の液圧を異なる大きさに制御する場合には遮断
状態とされ、2つのホイールシリンダ液圧を同じ大きさ
に制御する場合、電気系統の故障時等マスタシリンダ1
2の作動液によってブレーキが作動させられる場合に連
通状態とされる。ホイールシリンダ18,24が連通さ
せられれば、左右のホイールシリンダ液圧を同じ高さに
制御することができ、制動安定性を向上させることがで
きる。また、マスタシリンダ12の2つの加圧室のうち
の一方の加圧室に液圧が発生させられなくなった場合に
も、左右の制動力を同じ大きさにし得るという利点があ
る。
【0031】さらに、上記実施形態においては、4つの
ブレーキシリンダ18,24,36,38すべてに1つ
のポンプ装置40が接続され、そのうちの前輪16,2
2のホイールシリンダ18,24にマスタシリンダ12
が接続されていたが、4つのホイールシリンダ18,2
4,36,38と、マスタシリンダ12,ポンプ装置4
0との接続態様は上記実施形態における場合に限らず他
の態様とすることもできる。例えば、後輪32,34の
ホイールシリンダ36,38にポンプ装置40が接続さ
れ、前輪16,22のホイールシリンダ18,24にマ
スタシリンダ12が接続されるようにしたり、すべての
ホイールシリンダ18,24,36,38にマスタシリ
ンダ12とポンプ装置との両方が接続されるようにした
りすること等が可能なのである。4つのホイールシリン
ダのうちの少なくとも1つのホイールシリンダにポンプ
装置40が接続されればよいのである。
【0032】また、高圧用ポンプ42をギヤポンプとす
ることもできる。この場合には、高圧用ポンプを逆回転
させることにより、減圧することも可能となる。さら
に、ポンプ装置を減圧用ポンプを含まないものとしても
よく、その場合には、ホイールシリンダの作動液が減圧
弁60,62を経てリザーバ30に流出させられること
によって、減圧されることになる。さらに、目標ホイー
ルシリンダ液圧が3MPa以上の場合には、高圧用ポン
プ42と低圧用ポンプ44との両方を作動状態とするこ
ともできる。また、低圧用ポンプ44,高圧用ポンプ4
2の各々について、各々の最高吐出圧を開弁圧とするリ
リーフ弁を設けることもできる。さらに、流出阻止弁4
6が高圧用ポンプ42の吐出圧が設定圧に達すると流出
阻止状態に切り換えられるものであったが、ホイールシ
リンダの液圧が設定圧になると切り換えられるものとす
ることもできる。その場合においても、減圧用ポンプ4
4からの漏れを阻止することができる。また、連通状態
から流出阻止状態へ切り換えられる際の設定圧の大きさ
は上記実施形態における場合に限定されない。さらに、
電磁開閉弁とすることもできるが、流出阻止弁は不可欠
なものではない。その他、いちいち例示することはしな
いが、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者の知識
に基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液圧ブレーキ装置全
体の回路図である。
【図2】上記液圧ブレーキ装置に含まれるブレーキ液圧
制御装置のROMに格納されたポンプ回転状態制御プロ
グラムを表すフローチャートである。
【図3】上記ROMに格納されたポンプ回転速度の制御
テーブルを表すグラフである。
【図4】本発明の別の一実施形態である液圧ブレーキ装
置に含まれるポンプ装置を表す回路図である。
【図5】本発明のさらに別の一実施形態である液圧ブレ
ーキ装置に含まれるポンプ装置を表す回路図である。
【符号の説明】
30 マスタリザーバ 40,88,94 ポンプ装置 42 高圧用ポンプ 44 低圧用ポンプ 46 流出阻止弁 48 高圧用モータ 50 低圧用モータ 62 減圧弁 70 ブレーキ液圧制御装置 90 逆止弁 92 補助リザーバ 96,98 方向切換弁
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 7/12 - 8/96 B60T 13/66

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】作動液の液圧によりブレーキを作動させる
    ブレーキシリンダと、 そのブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制
    御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記ブレーキ液圧制御装置が、 互いに並列に接続されるとともに前記ブレーキシリンダ
    に接続された2つのポンプを含み、一方のポンプが他方
    のポンプより、単位時間当たりの最大吐出量が大きく最
    大吐出圧が小さいものであり、かつ、その一方のポンプ
    の回転方向の切換えによって、作動液をホイールシリン
    ダ側へ吐出する増圧状態とホイールシリンダ側から吸入
    する減圧状態とに選択的に切り換え可能なポンプ装置
    と、 前記2つのポンプの回転状態を制御することにより、前
    記ブレーキシリンダの液圧を制御するポンプ装置制御装
    置とを含むことを特徴とする液圧ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記ポンプ装置が、前記他方のポンプと前
    記ブレーキシリンダとを接続する液通路と、前記一方の
    ポンプとを接続する液通路の途中に設けられ、一方のポ
    ンプとブレーキシリンダとを連通させる連通状態と、ブ
    レーキシリンダから一方のポンプへの作動液の流れを阻
    止する流出阻止状態とに切り換えが可能な流出阻止弁を
    含むことを特徴とする請求項1に記載の液圧ブレーキ装
    置。
  3. 【請求項3】前記ブレーキ液圧制御装置が、 作動液を収容するリザーバと、 そのリザーバと前記ブレーキシリンダとを前記ポンプ装
    置を経ないで接続する作動液戻し通路と、 その作動液戻し通路の途中に設けられ、電流が供給され
    た場合にその作動液戻し通路を遮断する遮断状態とな
    り、電流が供給されない場合に作動液戻し通路を連通さ
    せる連通状態となる常開電磁制御弁とを含むことを特徴
    とする請求項1または2に記載の液圧ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】当該液圧ブレーキ装置が、ブレーキ操作部
    材の操作力に応じた液圧を発生させるマスタシリンダを
    含み、前記ブレーキシリンダがそのマスタシリンダに接
    続されることなく前記ポンプ装置に接続される動力圧作
    動ブレーキシリンダであることを特徴とする請求項3に
    記載の液圧ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】当該液圧ブレーキ装置が、前記ブレーキシ
    リンダを複数備え、前記ポンプ装置が、それら複数のブ
    レーキシリンダに接続され、それら複数のブレーキシリ
    ンダの液圧を共通に制御することを特徴とする請求項1
    ないし4のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置。
  6. 【請求項6】作動液の液圧により複数のブレーキをそれ
    ぞれ作動させる複数のブレーキシリンダと、 それら複数のブレーキシリンダの液圧を制御するブレー
    キ液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記ブレーキ液圧制御装置が、 互いに並列に接続された複数のポンプを含み、それら複
    数のポンプが前記複数のブレーキシリンダに共通に接続
    され、それら複数のポンプのうちの2つのポンプの一方
    が他方のポンプより、単位時間当たりの最大吐出量が大
    きく最大吐出圧が小さいものであり、かつ、それら2つ
    のポンプから吐出された作動液を前記ブレーキシリンダ
    に供給するポンプ装置と、 前記複数のポンプの回転状態を制御することにより、前
    記複数のブレーキシリンダの液圧を共通に制御するポン
    プ装置制御装置とを含むことを特徴とする液圧ブレーキ
    装置。
  7. 【請求項7】 前記ポンプ装置が、 前記複数のブレーキシリンダに接続され、それら複数の
    ブレーキシリンダから作動液を流出可能な減圧可能ポン
    プと、 その減圧可能ポンプ以外のポンプと前記複数のブレーキ
    シリンダとを接続する液通路と、前記減圧可能ポンプと
    を接続する液通路の途中に設けられ、その減圧可能ポン
    プと前記複数のブレーキシリンダとを連通させる連通状
    態と、それら複数のブレーキシリンダから前記減圧可能
    ポンプへの作動液の流れを阻止する流出阻止状態とに切
    り換えが可能な流出阻止弁とを含む請求項6記載の液
    圧ブレーキ装置。
  8. 【請求項8】 ブレーキ操作部材の操作力に応じた液圧を
    発生させるマスタシリンダを含み、かつ、前記ブレーキ
    液圧制御装置が、 作動液を収容するリザーバと、 前記複数のブレーキシリンダのうち前記マスタシリンダ
    に接続されることなく前記ポンプ装置に接続される動力
    圧作動ブレーキシリンダと、前記リザーバとを、前記ポ
    ンプ装置を経ないで接続する作動液戻し通路と、 その作動液戻し通路の途中に設けられ、電流が供給され
    た場合にその作動液戻し通路を遮断する遮断状態とな
    り、電流が供給されない場合に作動液戻し通路を連通さ
    せる常開電磁制御弁とを含むことを特徴とする請求項6
    または7に記載の液圧ブレーキ装置。
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