JP3471058B2 - 水性ラミネート用接着剤組成物およびラミネート加工方法 - Google Patents

水性ラミネート用接着剤組成物およびラミネート加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリウレタン樹脂を
いた水性ラミネート用接着剤組成物およびラミネート加
工方法に関し、より詳しくは、分子内にヒドラジン残基
とラジカル重合性二重結合を有するポリウレタン樹脂を
バインダー樹脂とした優れた接着性、耐水性、耐熱水性
を有する水性ラミネート用接着剤組成物およびそれを使
用したラミネート加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食品包装容器の分野では、高級印
刷物の印がえられ、またインキと内容物とが直接触れ
ることがなく衛生面で優れる点から、プラスチックフィ
ルムの内側に印刷インキを印刷し、さらに印刷面にポリ
マーを薄膜状に積層したラミネート加工物が使用されて
いる。このラミネート加工物をうる方法としては、イン
キ印刷面にアンカーコート剤を介して溶融ポリオレフィ
ンなどを積層する押出しラミネート加工法と、印刷面に
接着剤を介してプラスチックフィルムを積層するドライ
ラミネート加工法があり、要求される性能に応じて、そ
れぞれの加工法からえられる包装容器が使い分けられて
いる。
【0003】一般に、シチューやスープなどの水や油を
含んだ内容物の包装容器には、ドライラミネート加工物
が用いられるが、これはドライラミネート加工物が、押
出しラミネート加工物と比較して、良好なラミネート強
度と内容物に侵されない優れた耐水性・耐油性を有して
いるからである。
【0004】しかし、近年、シチューやスープなどが未
調理のまま包装容器に詰められた後、調理や殺菌のため
に熱水中に浸漬するボイル・レトルト処理が行われるよ
うになり、その分野で使用されるドライラミネート加工
物では、さらにボイル・レトルト処理中にラミネート浮
きが生じないように、耐ボイル・レトルト適性が要求さ
れる。これらの耐ボイル・レトルト適性は、ドライラミ
ネート加工で使用する接着剤の耐水性、耐熱水性に依存
することから、従来より接着剤としては、プラスチック
基材によく濡れ、耐水性、耐熱水性の優れた溶剤性ラミ
ネート用接着剤が使用されてきた。
【0005】一方、最近では環境問題、省資源、労働安
全性および食品衛生などの見地から、印刷インキ、接着
剤共に極力有機溶剤を含まない水性タイプのものが強く
要望されている。
【0006】そこで、いろいろなタイプの水性ラミネー
ト用接着剤が検討されているが、以下のような理由から
実用化されていないのが現状である。
【0007】水性接着剤でありながら良好な耐水性、耐
熱水性を有するためには、接着剤のバインダー樹脂が、
乾燥・硬化後に水に不溶化することが必要である。この
ようなタイプのバインダー樹脂としては、水中に分散し
た状態で存在し、乾燥後造膜する水不溶性樹脂(水分散
性樹脂)、二液系で官能基の反応により硬化する樹脂
(二液硬化性樹脂)、あるいは紫外線等の照射により硬
化する樹脂(光硬化性樹脂)がある。
【0008】その中で、水分散性樹脂をバインダーとし
た接着剤は、塗工機上で一旦乾燥・硬化すると除去が困
難であり(機上安定性不良)、またバインダー樹脂が造
膜性を必要とすることから、皮膜が柔軟になり過ぎて充
分な接着性がえられないなどの問題がある。
【0009】次に、通常の水性の二液硬化性樹脂をバイ
ンダーとした接着剤は、耐水性付与のために多量の硬化
剤を必要とし、機上安定性がさらに不良となること、硬
化反応を完結させるために長時間の加温が必要であるこ
となどの問題がある。
【0010】最後に、光硬化性樹脂をバインダーとした
接着剤は、未硬化の低分子量モノマーが人体に有害な影
響を与えるため、ラミネート加工時の作業環境の悪化お
よび残留モノマーによる食品衛生性の低下をまねくなど
の問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、水性ラミネート用接着剤の前記問題点を解決するこ
とであり、そのために接着剤のバインダー樹脂として、
優れた性能を有するポリウレタン樹脂を開発することで
ある。また、機上安定性の良化が可能で、紫外線の照射
がなくとも充分な性能を有し、さらに紫外線を照射する
ことにより、耐水性、耐熱水性がより向上する水性ラミ
ネート用接着剤を提供することにある。また、当該水性
ラミネート用接着剤を使用したラミネート加工方法を提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、つ
ぎの水性ラミネート用接着剤組成物、およびラミネート
加工方法に関するものである。(1)有機ジイソシアネート化合物、高分子量ジオール
化合物、鎖伸長剤および反応停止剤を反応させてえら
れ、分子内に少なくとも1つのヒドラジン残基およびラ
ジカル重合性二重結合を有し、分子量が4,000〜2
00,000であるポリウレタン樹脂であって、前記ヒ
ドラジン残基を、下記(A)のヒドラジン残基を有する
鎖伸長剤および/または下記(B)のヒドラジン残基を
有する反応停止剤を使用して導入し、前記ラジカル重合
性二重結合を、下記(C)のラジカル重合性二重結合を
有する鎖伸長剤を使用して導入したポリウレタン樹脂を
水性化した水性ポリウレタン樹脂を必須成分として含有
することを特徴とする水性ラミネート用接着剤組成物。 (A)ヒドラジン残基を有する鎖伸長剤:下記一般式
(1):
【化2】 (式中、R 1 は2〜15個の炭素原子を有するアルキレ
ン基、6〜15個の炭素原子を有する2価の脂環族基あ
るいは芳香族基、3〜5個の窒素原子を有するポリエチ
レンポリアミンから一級アミノ基を除いてえられる2価
の基、R 2 は水素原子またはメチル基を表す)で表わさ
れるポリアミノヒドラジド (B)ヒドラジン残基を有する反応停止剤:前記一般式
(1)で表わされるポリアミノヒドラジド;ヒドラジ
ン;下記一般式(3): 2 N−NH−X−NH−NH 2 (3) (式中、Xは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン
基、あるいは2〜10個の炭素原子を有する飽和または
不飽和二塩基酸の残基を表す)で表わされるアルキレン
ジヒドラジン;および飽和脂肪族二塩基酸または不飽和
二塩基酸のジヒドラジド化合物よりなる群から選択され
る化合物 (C)ラジカル重合性二重結合を有する鎖伸長剤:アル
ケンジオール;および不飽和ジカルボン酸無水物と低分
子ポリオール化合物を、1:1のモル比率で反応させて
えられる反応生成物よりなる群から選択される化合物 (2)前記水性ポリウレタン樹脂が、乳化剤の存在下
で、前記ポリウレタン樹脂を水中に分散させてえられる
水性ポリウレタン樹脂である前記(1)項記載の水性ラ
ミネート用接着剤組成物。 (3)前記水性ポリウレタン樹脂が、さらに高分子量ジ
オール化合物および/または鎖伸長剤として、遊離のカ
ルボキシル基を有する化合物を反応させてえられ、5〜
100の酸価を有するポリウレタン樹脂を、アルカリ水
溶液中に溶解または分散させてえられる水性ポリウレタ
ン樹脂である前記(1)項記載の水性ラミネート用接着
剤組成物。 (4)前記水性ポリウレタン樹脂が、さらに高分子量ジ
オール化合物および/または鎖伸長剤として、芳香環に
直接結合した遊離のカルボキシル基を有する化合物を反
応させてえられ、5〜100の酸価を有するポリウレタ
ン樹脂を、アルカリ水溶液中に溶解または分散させてえ
られる水性ポリウレタン樹脂である前記(1)項記載の
水性ラミネート用接着剤組成物。 (5)前記水性ポリウレタン樹脂が、さらに高分子量ジ
オール化合物および/または鎖伸長剤として、三級アミ
ノ基を有する化合物を反応させてえられ、10〜100
のアミン価を有するポリウレタン樹脂を、酸水溶液中に
溶解または分散させてえられる水性ポリウレタン樹脂で
ある前記(1)項記載の水性ラミネート用接着剤組成
物。 (6)さらに水溶性または水分散性エポキシ樹脂を、固
形分重量比率として、ポ リウレタン樹脂100に対して
エポキシ樹脂1〜100の範囲で含有させてなる前記
(1)〜(5)項のいずれかに記載の水性ラミネート用
接着剤組成物。 (7)プラスチックフィルムにインキ組成物を印刷後、
印刷面に前記(1)〜(6)項のいずれかに記載の水性
ラミネート用接着剤組成物を塗工し、ついでプラスチッ
クフィルムを積層することを特徴とするラミネート加工
方法。
【0013】
【作用および実施例】本発明のポリウレタン樹脂は、分
子内にカルボニル基などと常温で架橋可能なヒドラジン
残基と紫外線の照射によりラジカル重合しうる不飽和二
重結合を有する。
【0014】また、ポリウレタン樹脂の分子量が4,0
00以上であるため、樹脂自体に接着剤として必要な皮
膜凝集力を有する。
【0015】したがって、本発明のポリウレタン樹脂を
バインダーとした接着剤をドライラミネート加工で使用
したばあい、紫外線の照射がなくとも、接着剤のヒドラ
ジン残基と、印刷面またはプラスチックフィルム表面の
カルボニル基とが常温で速やかに架橋し、後硬化の必要
がなく、良好な接着性、耐水性、耐熱水性を有するラミ
ネート加工物をうることができる。さらに、紫外線が照
射されるとラジカル重合性二重結合が開裂し、ポリウレ
タン分子間架橋が起こり、より優れた耐水性、耐熱水性
を有するラミネート加工物をうることができる。
【0016】なお、本発明の接着剤は、一般的な紫外線
硬化型接着剤と異なり、有害なモノマー成分を含有しな
いため、作業環境や食品衛生面でも問題とならない。
【0017】さらに、本発明のポリウレタン樹脂を水性
化する方法として、乳化剤の存在下で水中に分散させる
方法、分子内にカルボキシル基を導入し、アルカリとの
塩を形成させて水中に分散または溶解させる方法、ある
いは分子内に三級アミノ基を導入し、酸との塩を形成さ
せて水中に分散または溶解させる方法を利用する。
【0018】ここで、アルカリまたは酸との塩を形成さ
せた水溶性のポリウレタン樹脂は、一旦乾燥・硬化して
も再溶解性を有し、機上安定性を良好にすることができ
る。
【0019】以下に本発明をより詳しく説明する。
【0020】まず、本発明のポリウレタン樹脂で使用さ
れる、有機ジイソシアネート化合物、高分子量ジオール
化合物、鎖伸長剤、および反応停止剤について説明す
る。
【0021】なお、本発明のポリウタレン樹脂は、ヒド
ラジン残基を有する、鎖伸長剤および/または反応停止
剤を使用して、ヒドラジン残基を分子内に導入するする
ため、その鎖伸長剤および反応停止剤もここで合わせて
説明する。
【0022】また、本発明のポリウタレン樹脂は、ラジ
カル重合性二重結合を有する鎖伸長剤を使用して、ラジ
カル重合性二重結合を分子内に導入するするため、その
鎖伸長剤もここで合わせて説明する。
【0023】さらに、本発明のポリウレタン樹脂を水性
化する方法として、ポリウレタン樹脂の分子内に、遊離
のカルボキシル基または三級アミノ基を導入し、アルカ
リまたは酸水溶液中に溶解あるいは分散させる方法を利
用するため、アミノ基または遊離のカルボキシル基を有
する高分子量ジオール化合物および鎖伸長剤もここで合
わせて説明する。
【0024】まず、有機ジイソシアネート化合物として
は、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−ト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族
ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネー
ト、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′−シク
ロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソ
シアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、テト
ラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族
ジイソシアネート化合物、トリレンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソ
シアネート化合物をあげることができる。その中でも、
各種フィルムに対する接着性や水性印刷インキの再溶解
性を良好にするという点から、脂環族または芳香脂肪族
ジイソシアネート化合物が好ましい。
【0025】つぎに、高分子量ジオール化合物として
は、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖状グリコール
類、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチルブ
チルプロパンジオールなどの分岐グリコール類、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコールなどのエーテ
ル系ジオール類などの低分子量ジオール成分と、アジピ
ン酸、フタル酸などの二塩基酸成分との重縮合、あるい
は、ラクトン類などの環状エステル化合物の開環反応に
よってえられるポリエステルジオール類、また、アルキ
レンカーボネート、ジアリルカーボネート、ジアルキル
カーボネートなどのカーボネート成分あるいはホスゲン
と、前記低分子量ジオール成分とを反応させてえられる
ポリカーボネートジオール類、酸化エチレン、酸化プロ
ピレン、テトラヒドロフランなどを重合もしくは共重合
してえられるポリエーテルジオール類、ポリブタジエン
グリコール類などがあげられる。
【0026】また、ポリウレタン樹脂の水性化のために
使用する、遊離のカルボキシル基を有する高分子量ジオ
ール化合物としては、前記高分子量ジオール成分と無水
ピロメリット酸などの四塩基酸無水物を反応させるか、
あるいは、ジメチロールプロピオン酸などを開始剤とし
て、ラクトン類を開環重合してえられる高分子量ジオー
ル化合物を使用することができる。
【0027】さらに、ポリウレタン樹脂の水性化のため
に使用する、三級アミノ基を有する高分子量ジオール化
合物としては、N−メチルジエタノールアミンなどのア
ミノ基含有ジオール化合物を開始剤として、アルキレン
オキシド類、ラクトン類などを開環重合してえられる高
分子量ジオール化合物を使用することができる。
【0028】これらの高分子ジオール化合物の分子量
(数平均分子量、以下同様)としては、500ないし
4,000のものが好適に使用できる。
【0029】なお、プラスチックフィルムとの接着性、
ラミネート適性などの面から、ポリエステルジオール
類、ポリカーボネートジオール類が好適に使用でき、さ
らに、ボイル・レトルト適性の面から、ポリエステルジ
オール類が好適に使用できる。
【0030】また、ポリエーテルジオール類は、従来、
耐ボイル・レトルト適性を必要とする用途では全く使用
できなかったが、本発明では単独で使用しても耐ボイル
適性がえられ、またポリエステルジオール類などの他の
高分子ジオール化合物を適量併用することにより、耐レ
トルト適性を付与することができる。
【0031】次に、ウレタンプレポリマーの鎖伸長に用
いる鎖伸長剤について説明する。
【0032】まず、ヒドラジン残基を有する鎖伸長剤と
しては、たとえば次の一般式(1)で表されるポリアミ
ノヒドラジドをあげることができる。
【0033】
【化3】
【0034】(式中、R1は2〜15個の炭素原子を有
するアルキレン基、6〜15個の炭素原子を有する2価
の脂環族基あるいは芳香族基、3〜5個の窒素原子を有
するポリエチレンポリアミンから一級アミノ基を除いて
えられる2価の基、R2は水素原子またはメチル基を表
す)。
【0035】前記一般式(1)の鎖伸長剤は、従来公知
の方法(特公平3−8649号公報)に従って、まずポ
リアミンと(メタ)アクリル酸誘導体のマイケル付加化
合物をえた後、ヒドラジンと(メタ)アクリル酸エステ
ル部のエステル交換によりうることができる。
【0036】ここで、前記ポリアミノヒドラジドの合成
に使用できるポリアミンとしては、エチレンジアミン、
ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチ
ルヘキサメチレンジアミンなどの2〜15個の炭素原子
を有する脂肪族ジアミン、ジアミノベンゼン、キシリレ
ンジアミン、4,4′−ジアミノビシクロヘキシルメタ
ン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン
などの6〜15個の炭素原子を有する脂環族あるいは芳
香族ジアミン、さらにジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの3〜
5個の窒素原子を有するポリエチレンポリアミンをあげ
ることができる。
【0037】一方、(メタ)アクリル酸誘導体として
は、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステ
ル、ヒドロキシアルキルエステル、アミノアルキルエス
テルなどをあげることができ、その中でも反応性の面か
らアクリル酸誘導体が好ましい。
【0038】また、三級アミノ基を有する鎖伸長剤とし
ては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエ
タノールアミンなどのN−アルキルジアルカノールアミ
ン化合物、N−メチル−N,N−ジ(アミノエチル)ア
ミン、N−エチル−N,N−ジ(アミノエチル)アミン
などのN−アルキル−N,N−ジ(アミノアルキル)ア
ミン化合物を使用することができる。
【0039】さらに、ポリウレタン樹脂の水性化のため
に使用する、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤と
しては、下記の一般式(2):
【0040】
【化4】
【0041】(式中、R3は、水素原子、または1〜8
個の炭素原子を有する直鎖状または側鎖を有するアルキ
ル基を表す)で示される化合物、あるいはコハク酸、ア
ジピン酸などと低級ポリオールとを反応させてえられる
脂肪族カルボン酸含有ポリオール類、フタル酸、トリメ
リット酸、ピロメリット酸またはその無水物と低級ポリ
オールとを反応させてえられる芳香族カルボン酸含有ポ
リオール類をあげることができる。
【0042】さらに光重合性付与のために使用する、光
重合性二重結合を有する鎖伸長剤としては、1,4−ブ
テンジオールなどのアルケンジオール類、あるいは無水
マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの
不飽和ジカルボン酸無水物と、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子量
ポリオールとの1:1付加物をあげることができる。
【0043】さらに、他の使用可能な鎖伸長剤として
は、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの
グリコール類、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,4
−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミンなど
の脂肪族ジアミン類を単独または混合して使用でき、グ
リセリン、1,2,3−トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトールなどの脂肪族ポリオール類、1,3,
5−シクロヘキサントリオールなどの脂環族ポリオール
類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン類を
一部併用することもできる。
【0044】次に、反応停止剤について説明する。
【0045】反応停止剤とは、ウレタンプレポリマーを
鎖伸長剤で鎖伸長した後、未反応のイソシアネート基と
反応させて、反応性を消失させるために使用されるもの
である。
【0046】まず、ヒドラジン残基を有する反応停止剤
としては、イソシアネート基と反応するための官能基と
ヒドラジン残基を有する化合物であり、前記ポリアミノ
ヒドラジドが好適に使用できる他、ヒドラジン、下記の
一般式(3)で示される、アルキレンジヒドラジン、あ
るいは飽和脂肪族二塩基酸や不飽和二塩基酸のジヒドラ
ジド化合物なども使用できる。
【0047】 H2N−NH−X−NH−NH2 (3) (式中、Xは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン
基、あるいは2〜10個の炭素原子を有する飽和または
不飽和二塩基酸の残基を表す)前記アルキレンジヒドラ
ジンとして、具体的にはメチレンジヒドラジン、エチレ
ンジヒドラジン、プロピレンジヒドラジン、ブチレンジ
ヒドラジンなどをあげることができる。また、飽和脂肪
族二塩基酸のジヒドラジド化合物として、具体的にはシ
ュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸
ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジ
ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどをあげること
ができ、さらに不飽和二塩基酸のジヒドラジド化合物と
して、具体的にはフタル酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒ
ドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどをあげることが
できる。
【0048】さらに、他の使用可能な反応停止剤として
は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、N,N−
ジ−n−ブチルアミンなどのアルキルアミン、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノール
アミン、メタノール、エタノールなどのモノアルコール
をあげることができる。
【0049】以上の有機ジイソシアネート化合物、高分
子ジオール化合物、鎖伸長剤、および反応停止剤を用い
て、ポリウレタン樹脂を製造する方法を説明する。
【0050】まず、必要に応じて水混和性溶媒、触媒な
どの存在下で、有機ジイソシアネート化合物と高分子量
ジオール化合物を(1.3〜3.0):1、より好まし
くは、(1.5〜2.0):1のモル比率で60〜12
0℃で反応させて、ウレタンプレポリマーを合成する。
次いで、残存するイソシアネート基に対して、0.5〜
0.95当量の鎖伸長剤、必要に応じて水混和性溶媒、
触媒などを添加して、30〜140℃の反応温度で反応
させ、さらに残存するイソシアネート基を反応停止剤で
反応停止させて製造を完結する。
【0051】なお、反応停止剤を使用するかわりに、鎖
伸長剤を過剰に使用して鎖伸長と反応停止を行う方法で
も差し支えない。
【0052】ここで、ポリウレタン樹脂の製造の際に使
用される水混和性溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール溶
剤、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコ
ール誘導体、N−メチルピロリドン、アセトン、酢酸メ
チルなどがあげられ、これらを単独または混合して使用
する。また、ポリウレタン樹脂の製造で使用できる触媒
としては、オクチル酸第一錫、ジブチル錫アセテート、
テトラブトキシチタネートなど各種公知の触媒をあげる
ことができる。
【0053】以上の材料と製造方法よりえられたポリウ
レタン樹脂において、本発明で特定する分子量(数平均
分子量、以下同様)は4,000〜200,000であ
る。ポリウレタン樹脂の分子量が4,000未満では、
樹脂皮膜の凝集力が乏しく、充分な接着力がえられなく
なり、一方、200,000を超えると、後記のアルカ
リまたは酸水溶液に溶解させた水性ポリウレタン樹脂溶
液では粘度が高くなり、またアルカリまたは酸水溶液あ
るいは乳化剤の存在下の水中に分散させた水性ポリウレ
タン樹脂分散液では分散性が低下する。
【0054】なお、本発明のポリウレタン樹脂は反応生
成物であるため、ヒドラジン残基及びラジカル重合性二
重結合をより多く有する分子とより少ない分子とが同時
に生成される可能性がある。しかし、一分子当たり平均
1つ以上のヒドラジン残基と平均1つ以上のラジカル重
合性二重結合を有するポリウレタン樹脂であれば、本発
明の目的とする性能を有することができるものである。
【0055】次に、本発明のポリウレタン樹脂を水性化
する方法について説明する。
【0056】本発明のポリウレタン樹脂を水性化する方
法としては、乳化剤の存在下で水中にポリウレタン樹脂
を分散させる方法、ポリウレタン樹脂の分子内に遊離の
カルボキシル基を導入し、アルカリ水溶液中に溶解ある
いは分散させる方法、およびポリウレタン樹脂の分子内
に三級アミノ基を導入し、酸水溶液中に溶解あるいは分
散させる方法が利用できる。
【0057】第一に、乳化剤の存在下で水中にポリウレ
タン樹脂を分散させる方法としては、有機ジイソシアネ
ート化合物と高分子量ジオール化合物を反応させてえら
れたウレタンプレポリマーを、乳化剤の存在下で水中に
分散させた後、鎖伸長剤で鎖伸長し、反応停止剤で反応
停止する方法と、該ウレタンプレポリマーを水混和性溶
媒に溶解させて、鎖伸長剤で鎖伸長し、反応停止剤で反
応停止した後、乳化剤を含有した水と混合し、水混和性
溶媒を留去する方法がある。この方法によれば、ポリウ
レタン樹脂の分子内にカルボキシル基、三級アミノ基を
有する、有しないにかかわらず、ポリウレタン樹脂を水
中に分散させることができる。
【0058】なお、この方法で使用できる乳化剤として
は、たとえば高級アルコール硫酸エステル塩類、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキ
ル硫酸エステル塩類などの陰イオン系界面活性剤、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン誘導体など
の非イオン系界面活性剤をあげることができ、これらは
単独または混合して使用できる。
【0059】また第二に、ポリウレタン樹脂をアルカリ
水溶液中で溶解または分散させる方法としては、遊離の
カルボキシル基を有する高分子量ジオール化合物および
/または鎖伸長剤を用いる方法が利用できる。
【0060】ここで、ポリウレタン樹脂をアルカリ水溶
液中で溶解または分散させるのに必要な遊離のカルボキ
シル基の量は、当該ポリウレタン樹脂の酸価を5以上と
する量である。酸価が5より低いばあいには、えられる
ポリウレタン樹脂が水系で安定な自己乳化状態を維持す
るのが困難となる。一方、印刷インキのバインダー、水
性ラミネート用接着剤などとして使用するばあい、酸価
が100を超えると、えられる樹脂皮膜が硬くなり過ぎ
て、良好な皮膜物性をえられなくなるため、用途と必要
性能に応じて、カルボキシル基の含有量を調節して使用
する。
【0061】一方、水溶液として用いるアルカリ化合物
としては、アンモニア、有機アミン、アルカリ金属水酸
化物などをあげることができ、具体的には、有機アミン
として、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレン
ジアミンなどのアルキルアミン類およびアルキレンジア
ミン類、モノエタノールアミン、エチルエタノールアミ
ン、ジエチルエタノールアミンなどのアルカノールアミ
ン類、アルカリ金属水酸化物として、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどがあげられる。その中でも、乾
燥性を向上させるために、常温あるいはわずかの加温で
容易に揮発するものが望ましい。
【0062】さらに第三に、ポリウレタン樹脂を酸水溶
液に溶解または分散させる方法としては、三級アミノ基
を有する高分子量ジオール化合物および/または鎖伸長
剤を用いる方法が利用できる。
【0063】ここで、ポリウレタン樹脂を酸水溶液中で
溶解または分散させるのに必要な三級アミノ基の量は、
当該ポリウレタン樹脂のアミン価を10以上とする量で
ある。アミン価が10より低いばあいには、えられるポ
リウレタン樹脂が水系で安定な分散状態を維持するのが
困難となる。
【0064】一方、水溶液として用いる酸としては、塩
酸、硝酸、酢酸などの無機および有機酸をあげることが
できる。
【0065】なお、第二、第三の方法において、ポリウ
レタン樹脂を水中に溶解または分散させるために使用す
るアルカリあるいは酸の使用量は、そのポリウレタン樹
脂を中和するのに必要な量の0.15〜1.2等量であ
る。アルカリまたは酸の使用量がこの範囲より少なくな
るとポリウレタン樹脂を水中に分散させることが困難と
なる。一方、アルカリまたは酸をこの範囲より過剰に使
用することもできるが、ポリウレタン樹脂を水中に溶解
あるいは分散させる効果は、1.2等量の使用量のとき
と大差ないものとなる。
【0066】また、水性ポリウレタン樹脂の固形分とし
ては、5〜50重量%の範囲が適量である。固形分がこ
の範囲より少なくなると、濃度が低くなり過ぎて、用途
が制限され、一方、多くなると水中に分散または溶解さ
せることが困難となり好ましくない。
【0067】以上の水性ポリウレタン樹脂を接着剤とし
て使用するばあい、乳化剤の存在下で水中に分散させた
樹脂を使用したものは、耐水性、耐熱水性の面から有利
となり、一方、アルカリまたは酸の存在下で、水中に溶
解または分散させた樹脂を使用したものは機上安定性の
面から有利となることから、ラミネート加工物に要求さ
れる性能に応じて使い分けることができる。
【0068】次に、水性ポリウレタン樹脂を使用した水
性ラミネート用接着剤について説明する。
【0069】まず、水性ラミネート用接着剤のバインダ
ー樹脂としては、先に記載した水性ポリウレタン樹脂の
いずれのタイプのものも利用することができる。さら
に、水性ポリウレタン樹脂を光硬化性水性ラミネート用
接着剤として使用するばあい、重合開始剤としては、ベ
ンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベ
ンゾイン類、2,2−ジエトキシアセトフェノンなどの
アセトフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェ
ノンなどのベンゾフェノン類、2−クロロチオキサント
ン、2−エチルチオキサントンなどのチオキサントン類
が使用できる。
【0070】また、本発明の水性ラミネート用接着剤
は、機上安定性を著しく低下させない範囲で、通常の2
液型接着剤で使用されるエポキシ樹脂を添加することが
できる。
【0071】ここで添加できるエポキシ樹脂としては、
ビスフェノール−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、
環状脂肪族エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、
エポキシオレフィン樹脂、ポリオール−グリシジル型エ
ポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、シランエポキシ樹脂な
どをあげることができる。
【0072】これらのエポキシ樹脂のうち、水中に単独
で溶解または分散しないものは、乳化剤を用いて水中に
強制乳化させたものを添加することができる。
【0073】本発明で特定するポリウレタン樹脂とエポ
キシ樹脂との固形分重量混合比率は、ポリウレタン樹脂
100に対して、エポキシ樹脂1〜100、より好まし
くは5〜70である。
【0074】なお、エポキシ基との反応性の面から、本
発明で特定するポリウレタン樹脂としては、芳香環に直
接結合したカルボキシル基を分子内に有するポリウレタ
ン樹脂がより好適である。
【0075】さらに、本発明の水性ラミネート用接着剤
は、必要に応じて、低級アルコール類、グリコール類な
どの水混和性有機溶剤、ウレタン変性メタクリレートな
どの皮膜硬度調整剤などを添加することができる。
【0076】次に、本発明の水性ラミネート用接着剤を
用いたラミネート加工方法について説明する。
【0077】本発明のラミネート加工方法は、プラスチ
ックフィルム基材のインキ印刷面または無地部に、本発
明の水性ラミネート用接着剤を塗工し、さらにプラスチ
ックフィルムを積層するものである。
【0078】ここで、プラスチックフィルム基材として
は、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリエステ
ル、ナイロン、ポリスチレンなどの各種プラスチックフ
ィルムが使用でき、特にコロナ放電処理または表面コー
ト処理により、フィルム表面にケト基を有するプラスチ
ックフィルムが好適である。
【0079】また、印刷インキとしては、既知のフレキ
ソまたはグラビア印刷方式で印刷されるプラスチックフ
ィルム用ラミネートインキが使用できる。なお、安全衛
生、環境問題などの面から、完全に水性のラミネート加
工物をうるために、インキは水性タイプのものを使用す
る事が好ましい。
【0080】さらに、印刷面または無地部に本発明の水
性ラミネート用接着剤を塗工した後、積層するプラスチ
ックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン
などのフィルムが使用できる。
【0081】以上の構成からなるラミネート加工物に紫
外線を照射することにより、さらに優れた耐水性、耐熱
水性を付与することができる。
【0082】なお、高温レトルト用途などの過酷な条件
で使用される包装容器では、より高い耐熱水性付与のた
めにエポキシ樹脂との二液系が好ましく、さらに基材と
積層されるプラスチックフィルムの間にアルミ箔をはさ
んで、紫外線の照射の可能な部分に紫外線を照射したラ
ミネート加工を行うこともできる。
【0083】この方法からえられたラミネート加工物を
使用することにより、高いラミネート強度を有し、耐水
性、耐熱水性の優れた包装容器をうることができ、さら
には、ボイル・レトルト用途に適用できるものである。
【0084】以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】なお、実施例などにおける部および%は特
に限定がない限り、重量部および重量%を表す。
【0086】<化合物I〜IVの合成> 合成例1(化合物Iの合成) 攪拌機、温度計、ジムロート、窒素ガス導入管を備えた
四つ口フラスコに、トリメチロールプロパン134部
と、無水マレイン酸98部およびN−メチルピロリドン
232部を仕込み、80〜90℃で3時間反応させ、無
水基が消失していることをIRで確認後、冷却し、目的
物であるトリメチロールプロパンと無水マレイン酸の
1:1(モル比)反応物(化合物I)をえた。
【0087】合成例2(化合物IIの合成) 合成例1と同様の装置を用いて、分子量500のポリ
(3−メチルペンチルアジペート)100部、無水ピロ
メリット酸21.8部を仕込み80〜90℃で2時間反
応後、60℃まで冷却し、イソホロンジイソシアネート
44.4部を仕込み4時間反応後、さらに2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート26部を仕込み、さらに4時間
反応させ、次いで水449部、トリエチルアミン21部
を仕込み、分子量1,700の水性ウレタン変性メタク
リレート(化合物II)をえた。
【0088】合成例3(化合物IIIの合成) 撹拌機、冷却管、窒素ガス導入管および滴下ロートを備
えた四つ口フラスコに、トリメチルヘキサメチレンジア
ミン158.3部を仕込み、窒素ガス導入下45℃に加
熱した後、45〜50℃の温度を維持しながら、アクリ
ル酸エチル100部を90分かけて滴下した。この反応
物を45℃で7時間保温し、反応を完結させた。次に液
温を50℃に維持しながら、ヒドラジン水和物50部を
加え、さらに65℃に加熱して5時間反応させてポリア
ミンヒドラジン(化合物III)をえた。
【0089】合成例4(化合物IVの合成) 分子量500のポリプロピレングリコール100部、イ
ソホロンジイソシアネート88.8部を仕込み、80〜
90℃で4時間反応させ、さらにN−メチルジエタノー
ルアミンを11.3部仕込み、さらに3時間反応させ
た。次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2
6.1部仕込み4時間反応させ、反応後、水530部、
酢酸6部を仕込み分子量2,200の水性ウレタン変性
メタクリレート(化合物IV)をえた。
【0090】<水性ポリウレタン樹脂の合成>製造 例1(水性ポリウレタン樹脂Aの合成) 合成例1と同様の装置を用いて、分子量1,300のポ
リ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール200
部、無水ピロメリット酸16.7部を仕込み、90℃で
2時間反応後、60℃まで冷却し、化合物Iを29部、
イソホロンジイソシアネート49.5部を仕込み60℃
で4時間反応させ、冷却後、水628部、トリエチルア
ミン22部を仕込み、系内を均一にした後ヒドラジン
和物4.0部を仕込み反応を完結させて、目的とする分
子量8,000の水性ポリウレタン樹脂をえた。
【0091】製造例2(水性ポリウレタン樹脂Bの合
成)製造 例1と同条件で化合物Iの代わりに、1,4−ブテ
ンジオール5.5部使用し、目的とする分子量8,00
0の水性ポリウレタン樹脂Bをえた。
【0092】製造例3(水性ポリウレタン樹脂Cの合
成) 合成例1と同様の装置を用いて、分子量1,300のポ
リ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール200
部、無水ピロメリット酸16.7部を仕込み、90℃で
2時間反応後、60℃まで冷却し、1,4−ブテンジオ
ール3.4部、イソホロンジイソシアネート38.3部
仕込み60℃で4時間反応させ、冷却後、水628部、
トリエチルアミン22部を仕込み、系内を均一にした
後、化合物IIIを14.2部仕込み、さらにモノエタノ
ールアミン1.4部を仕込み、目的とする分子量24,
000のポリウレタン樹脂Cをえた。
【0093】製造例4(水性ポリウレタン樹脂Dの合
成) 合成例1と同様の装置を用いて、分子量1,000のポ
リプロピレングリコール300部、イソイソホロンジイ
ソシアネート133.2部を仕込み、窒素ガスを導入し
ながら100〜105℃で6時間反応させ、次いで、
1,4−ブテンジオール10.6部を仕込み、さらに3
時間反応させた。反応後、冷却し、水347部、アセト
ン347部を仕込み、系内を均一にした後、N−メチル
ビス(アミノプロピルアミン)15.7部を加え、さら
にヒドラジン水和物7.2部を加え、反応を完結させ
た。
【0094】さらに、水736部、酢酸6.5部を仕込
み、アセトンを蒸留除去し、目的とする分子量6,00
0のポリウレタン樹脂Dをえた。
【0095】比較製造例1(水性ポリウレタン樹脂Eの
合成) 合成例1と同様の装置を用いて、分子量1,300のポ
リ(3−メチルペンチルアジペート)ジオール200
部、無水ピロメリット酸16.7部を仕込み、90℃で
2時間反応後、60℃まで冷却し、エチレングリコール
3.8部、イソホロンジイソシアネート49.5部を仕
込み、4時間反応させた。冷却後、水641部、トリエ
チルアミン22部を仕込み、均一にした後、エチレンジ
アミン3部を加え分子量3,340の水性ポリウレタン
樹脂Eをえた。
【0096】比較製造例2(水性ポリウレタン樹脂Fの
合成) 合成例1と同様の装置を用いて、分子量500のポリ
(3−メチルペンチルアジペート)ジオール100部、
無水ピロメリット酸21.8部を仕込み、80〜90℃
で2時間反応後、60℃まで冷却し、イソホロンジイソ
シアネート44.4部を仕込み、4時間反応させ、冷却
後、水408部とトリエチルアミン21部を仕込み、均
一にした後、エチレンジアミン4.8部、ヒドラジン
和物2.4部を加え、分子量8,000の水性ポリウレ
タン樹脂Fをえた。
【0097】比較製造例3(水性ポリウレタン樹脂Gの
合成)製造 例1と同様の条件で、ヒドラジン水和物の代わりに
モノエタノールアミンを4.1部使用し、分子量8,0
00の水性ポリウレタン樹脂Gをえた。
【0098】<水性ラミネート用接着剤組成物の製造> 実施例 水性ポリウレタン樹脂Aの80部、化合物IIの20部、
ベンゾインエチルエーテル1部、水40部およびエタノ
ール10部を撹拌混合し、水性ラミネート用接着剤組成
物1をえた。
【0099】実施例 水性ポリウレタン樹脂Bの80部、化合物IIの20部、
ベンゾインエチルエーテル1部、水40部およびエタノ
ール10部を撹拌混合し、水性ラミネート用接着剤組成
物2をえた。
【0100】実施例 水性ポリウレタン樹脂Cの80部、化合物IIの20部、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル12
部、ベンゾインエチルエーテル1部、水40部およびエ
タノール10部を撹拌混合し、水性ラミネート用接着剤
組成物3をえた。
【0101】実施例 水性ポリウレタン樹脂Cの80部、化合物IVの20部、
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル12
部、ベンゾインエチルエーテル1部、水40部およびエ
タノール10部を撹拌混合し、水性ラミネート用接着剤
組成物4をえた。
【0102】実施例 水性ポリウレタン樹脂Aの60部、トリメチロールプロ
パントリグリシジルエーテル12部、ベンゾインエチル
エーテル1部、水40部およびエタノール10部を撹拌
混合し、水性ラミネート用接着剤組成物5をえた。
【0103】比較例 水性ポリウレタン樹脂Eの80部、化合物IIの20部、
ベンゾインエチルエーテル1部、水40部およびエタノ
ール10部を撹拌混合し、水性ラミネート用接着剤組成
物比1をえた。
【0104】比較例 水性ポリウレタン樹脂Fの80部、化合物IIの20部、
ベンゾインエチルエーテル1部、水40部およびエタノ
ール10部を撹拌混合し、水性ラミネート用接着剤組成
物比2をえた。
【0105】比較例 水性ポリウレタン樹脂Gの80部、化合物IIの20部、
ベンゾインエチルエーテル1部、水40部およびエタノ
ール10部を撹拌混合し、水性ラミネート用接着剤組成
物比3をえた。
【0106】<水性ラミネート用接着剤の性能評価> 水性ラミネート用接着剤組成物1〜5および比1〜比3
のラミネート強度、耐水性および耐熱水性を以下の試験
方法により評価した。結果を表1に示す。
【0107】ラミネート物の製造 水性ラミネート用接着剤組成物1〜5および比1〜比3
を厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以
下、OPPフィルムという)または厚さ12μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィル
ムという)に乾燥後塗布量が2g/m2になるように塗
付した後、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィル
ム(以下、CPPフィルムという)を積層してラミネー
ト物を製造した。なお、光照射は、CPPフィルム側か
ら60mジュールの紫外線を照射した。
【0108】ラミネート強度試験 ラミネート物を15mmの幅に切断し、T字剥離による
剥離強度(g/15mm)を測定した。
【0109】耐水性 ラミネート物の5cm×5cm試料片を25℃の水中に
24時間浸漬し、外観の変化から耐水性を評価した。
【0110】A:外観上全く変化しない。 B:ラミネート物のエッジ部分のみにラミ浮きが認めら
れる。 C:ラミネート物が完全にはがれてしまう。
【0111】耐熱水性 ラミネート物の5cm×5cm試料片を90℃の熱水中
に30分間浸漬し、外観の変化から耐熱水性を評価し
た。
【0112】A:外観上全く変化しない。 B:ラミネート物のエッジ部分のみにラミ浮きが認めら
れる。 C:ラミネート物が完全にはがれてしまう。
【0113】
【表1】
【0114】
【発明の効果】以上、実施例をあげて具体的に説明した
ように、本発明で特定するポリウレタン樹脂をバインダ
ーとした水性ラミネート用接着剤は、紫外線を照射しな
くとも良好なラミネート強度、耐水性、耐熱水性を有
し、さらに紫外線を照射することにより、より優れた耐
水性、耐熱水性を付与することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87 C09J 1/00 - 201/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ジイソシアネート化合物、高分子量
    ジオール化合物、鎖伸長剤および反応停止剤を反応させ
    てえられ、分子内に少なくとも1つのヒドラジン残基お
    よびラジカル重合性二重結合を有し、分子量が4,00
    0〜200,000であるポリウレタン樹脂であって、
    前記ヒドラジン残基を、下記(A)のヒドラジン残基を
    有する鎖伸長剤および/または下記(B)のヒドラジン
    残基を有する反応停止剤を使用して導入し、前記ラジカ
    ル重合性二重結合を、下記(C)のラジカル重合性二重
    結合を有する鎖伸長剤を使用して導入したポリウレタン
    樹脂を水性化した水性ポリウレタン樹脂を必須成分とし
    て含有することを特徴とする水性ラミネート用接着剤組
    成物。 (A)ヒドラジン残基を有する鎖伸長剤:下記一般式
    (1): 【化1】 (式中、R 1 は2〜15個の炭素原子を有するアルキレ
    ン基、6〜15個の炭素原子を有する2価の脂環族基あ
    るいは芳香族基、3〜5個の窒素原子を有するポリエチ
    レンポリアミンから一級アミノ基を除いてえられる2価
    の基、R 2 は水素原子またはメチル基を表す)で表わさ
    れるポリアミノヒドラジド (B)ヒドラジン残基を有する反応停止剤:前記一般式
    (1)で表わされるポリアミノヒドラジド;ヒドラジ
    ン;下記一般式(3): 2 N−NH−X−NH−NH 2 (3) (式中、Xは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン
    基、あるいは2〜10個の炭素原子を有する飽和または
    不飽和二塩基酸の残基を表す)で表わされるアルキレン
    ジヒドラジン;および飽和脂肪族二塩基酸または不飽和
    二塩基酸のジヒドラジド化合物よりなる群から選択され
    る化合物 (C)ラジカル重合性二重結合を有する鎖伸長剤:アル
    ケンジオール;および不 飽和ジカルボン酸無水物と低分
    子ポリオール化合物を、1:1のモル比率で反応させて
    えられる反応生成物よりなる群から選択される化合物
  2. 【請求項2】 前記水性ポリウレタン樹脂が、乳化剤の
    存在下で、前記ポリウレタン樹脂を水中に分散させてえ
    られる水性ポリウレタン樹脂である請求項1記載の水性
    ラミネート用接着剤組成物
  3. 【請求項3】 前記水性ポリウレタン樹脂が、さらに高
    分子量ジオール化合物および/または鎖伸長剤として、
    遊離のカルボキシル基を有する化合物を反応させてえら
    れ、5〜100の酸価を有するポリウレタン樹脂を、ア
    ルカリ水溶液中に溶解または分散させてえられる水性ポ
    リウレタン樹脂である請求項1記載の水性ラミネート用
    接着剤組成物
  4. 【請求項4】 前記水性ポリウレタン樹脂が、さらに高
    分子量ジオール化合物および/または鎖伸長剤として、
    芳香環に直接結合した遊離のカルボキシル基を有する化
    合物を反応させてえられ、5〜100の酸価をるポ
    リウレタン樹脂を、アルカリ水溶液中に溶解または分散
    させてえられる水性ポリウレタン樹脂である請求項1記
    載の水性ラミネート用接着剤組成物
  5. 【請求項5】 前記水性ポリウレタン樹脂が、さらに高
    分子量ジオール化合物および/または鎖伸長剤として、
    三級アミノ基を有する化合物を反応させてえられ、10
    〜100のアミン価を有するポリウレタン樹脂を、酸水
    溶液中に溶解または分散させてえられる水性ポリウレタ
    ン樹脂である請求項1記載の水性ラミネート用接着剤組
    成物
  6. 【請求項6】 さらに水溶性または水分散性エポキシ樹
    脂を、固形分重量比率として、ポリウレタン樹脂100
    に対してエポキシ樹脂1〜100の範囲で含有させてな
    る請求項1〜5のいずれかに記載の水性ラミネート用接
    着剤組成物。
  7. 【請求項7】 プラスチックフィルムにインキ組成物を
    印刷後、印刷面に請求項1〜6のいずれかに記載の水性
    ラミネート用接着剤組成物を塗工し、ついでプラスチッ
    クフィルムを積層することを特徴とするラミネート加工
    方法。
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