JP3796854B2 - ラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法 - Google Patents

ラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なるラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、分子中に特定の構造単位を有し、しかも、水分散粒子が個々に架橋されているという特定の水性ウレタン樹脂を用いることから成る、斬新なるラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法に関する。
【0002】
そして、このような特定の形の水性ウレタン樹脂を用いて得られる、本発明に係る水性印刷インキ組成物は、幅広い種類のプラスチック・フィルムに対して良好なる接着性を発揮すると同時に、良好なるラミネート強度を示というものであるし、加えて、耐熱性ならびに耐水性などにも優れるという、極めて実用性の高いものである。
【0003】
【従来の技術】
従来において使用されていた、プラスチック・フィルムに印刷されるインキは、顔料分散性、フィルムに対する接着性、耐水性、乾燥性ならびに印刷適性などのインキの基本性能は勿論のこと、ラミネート加工や、ボイル・レトルト処理などの後加工適性にも優れているという処からも、ほとんどが、溶剤タイプのものであった。
【0004】
ところで、インキ用バインダーとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、極性基を有するフィルムに対して良好なる接着性を有するポリウレタン樹脂の単独系であるとか、あるいはポリウレタン樹脂と、ポリオレフィン系フィルムに対して良好なる接着性を有する塩素化ポリプロピレンとを、特定の組成比で以て併用した形の併用系などであり、こうした形の公知慣用の種々のインキ用バインダーが用いられている。
【0005】
しかし、最近では、資源保護、環境保全ならびに作業の安全性の向上化などのニーズの高まりによって、印刷インキの水性化が図られており、斯かる水性化の手段としての、まず、溶剤性インキを水性化する方法として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、溶剤性インキとして用いられている、いわゆるバインダー樹脂を、乳化剤の存在下で、水中に分散させるか(水分散タイプ)、
【0006】
あるいは分子中に酸基を導入せしめたのちに、塩基性化合物の存在下で、水中に溶解させ(水溶性タイプ)または分散させて(自己乳化性タイプ)、水を媒体とした形のインキと為すという方法がある。
【0007】
ところが、乳化剤を用いた形の水分散タイプの樹脂をインキ用バインダーとして使用するときは、とりわけ、顔料分散性、インキの流動性ならびに再溶解性が不良であるという処から、インキ用バインダーとして使用することが出来ないという状況である。
【0008】
そこで、一般には、水溶性タイプおよび自己乳化タイプの樹脂が用いられているが、分子中に酸基を有するものであるという処から、溶剤タイプに比べると、耐熱水性あるいはプラスチック・フィルムへの接着性、特に、非極性フィルムへの接着性が、依然として充分ではなく、ポリヒドラジン化合物、ポリアジリジン化合物またはポリカーボジイミド化合物あるいは其の他の外部架橋剤を加える二液硬化型インキにするとかなどの対策が講じられてこそいるものの、
【0009】
とりわけ、印刷適性、インキの保存安定性ならびに衛生面などに問題があって、印刷適性、ポリオレフィン・フィルム、ポリエステル・フィルムあるいはナイロン・フィルムなどへの接着性などをはじめ、さらには、ラミネート物性ならびに耐熱水性などを必要とする包装材料用の汎用ラミネート・フィルム用として、充分に実用に耐えるような水性印刷インキは得られていないというのが、実状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来型の技術に従う限りは、どうしても、幅広い種類のプラスチック・フィルムに対して良好なる接着性を発揮すると同時に、ラミネート強度を示すというような、加えて、耐熱性ならびに耐水性などに優れるというような、極めて実用性の高い水性印刷インキ組成物を得ることは、頗る、困難であった。
【0011】
しかるに、本発明者らは、上述したような従来型技術における種々の欠点ないしは欠陥の存在に鑑みて、とりわけ、印刷適性、インキの保存安定性ならびに衛生面などの諸問題を解決し、併せて、とりわけ、ポリオレフィン・フィルム、ポリエステル・フィルムあるいはナイロン・フィルムなどへの接着性などをはじめ、さらには、ラミネート物性ならびに耐熱水性などを必要とする包装材料用の汎用ラミネート・フィルム用として、充分に実用に耐えるような、極めて実用性の高い水性印刷インキを求めて、鋭意、研究を開始した。
【0012】
したがって、本発明の目的とする処は、端的には、とりわけ、良好なる印刷適性と、幅広い種類のプラスチック・フィルムへの接着性と、ラミネート物性とを示し、さらに、耐熱性ならびに耐水性などにも優れた、極めて実用性の高いラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法を提供するということにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、良好なる印刷適性と、幅広い種類のプラスチック・フィルムへの接着性と、ラミネート物性とを示し、さらに、耐熱性ならびに耐水性などにも優れた、極めて実用性の高い水性印刷インキ組成物を提供することが出来るということを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0014】
すなわち、本発明は、基本的には、ダイマージオール、又はダイマージオール若しくはダイマー酸を原料とするポリエステルポリオールと、有機ポリイソシアネートと、親水性基及び両末端にイソシアネート基と反応性のある官能基を有する化合物とを反応させ、次いで得られる親水性基を有し、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに一分子中に2以上のイソシアネート基を有する疎水性ポリイソシアネートを混合し、前記親水性基を中和した後、水を混合し、次いで得られるウレタンプレポリマーの水性分散液に鎖伸長剤を加え鎖伸長することにより得られるポリウレタン樹脂水性分散液の存在下で、エチレン性不飽和結合含有単量体を乳化重合した後、着色剤を配合することを特徴とするラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法を提供しようとするものである。
【0016】
通常、酸基を分子中に導入せしめ、インキ用バインダーであるポリウレタン樹脂を水性化せしめると、インキ皮膜の表面張力が高くなり、フィルムへの接着性、就中、非極性フィルムへの接着性が不十分となる。
【0017】
ところが、本発明において使用する複合体、すなわち、複合エマルジョンは、それ自体、炭化水素成分が多く、インキ皮膜の表面張力が低くなるという処からも、各種基材への密着性にも優れるし、加えて、エチレン性不飽和結合含有単量体たる重合成分の高分子量化を通して、耐熱水性にも優れるというものであると考えられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
このように、本願は、ダイマージオール、又はダイマージオール若しくはダイマー酸を原料とするポリエステルポリオールと、有機ポリイソシアネートと、親水性基及び両末端にイソシアネート基と反応性のある官能基を有する化合物とを反応させ、次いで得られる親水性基を有し、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに一分子中に2以上のイソシアネート基を有する疎水性ポリイソシアネートを混合し、前記親水性基を中和した後、水を混合し、次いで得られるウレタンプレポリマーの水性分散液に鎖伸長剤を加え鎖伸長することにより得られるポリウレタン樹脂水性分散液の存在下で、エチレン性不飽和結合含有単量体を乳化重合した後、着色剤を配合することを特徴とするラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法を請求しているものである。
【0019】
以下に、本発明を、さらに詳細に、説明することにする。
【0020】
すなわち、まず、本発明において、ダイマージオール、又はダイマージオール若しくはダイマー酸を原料とするポリエステルポリオールを用いて得られる水性ポリウレタン樹脂とは、たとえば、それぞれ、(a) 重合脂肪酸を還元させて得られる、いわゆるダイマー・ジオールまたは(b) ダイマー・ジオールを用いて得られる、いわゆるポリエステルポリオールあるいは(c) 重合脂肪酸を水添化せしめて得られる、いわゆる水添ダイマー酸を用いて得られる、いわゆるポリエステルポリオールと
【0021】
さらに必要に応じて、(d) 上記した、それぞれ、(a)または(b)に属するジオールないしはポリオールあるいは上記した(c)に属するポリオール以外のポリオールと、(e) 有機イソシアネート化合物と、(f) 親水性基を有し、しかも、両末端にイソシアネート基との反応性のある官能基を、2個、有する化合物と、さらには亦、必要に応じて、(g) 鎖伸長剤および/または(h) 末端停止剤とを反応せしめるということによって得られるというような部類の化合物などを指称するものである。
【0022】
ここにおいて、上記した重合脂肪酸として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、オレイン酸またはリノール酸などのような、C18なる不飽和脂肪酸のディールス・アルダー型の二量化反応の生成物などであって、種々のものが市販されている。
【0023】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、C18なるモノカルボン酸の0〜約5重量%と、C36なるダイマー酸の約70〜約98%と、C54なるトリマー酸の0〜約30重量%とからなるというような形のものなどである。
【0024】
また、上記した、ダイマー・ジオールを用いたポリエステルジオール(b)とは、たとえば、上掲したダイマー・ジオール(a)と、ジカルボン酸あるいは此等の無水物とを反応せしめるというようにして得られる部類の生成物などを指称するものである。
【0025】
ここにおいて、上記したジカルボン酸あるいは此等の無水物として特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アゼライン酸またはセバチン酸などである。
【0026】
さらに、上記した、水添ダイマー酸を用いて得られるポリエステルポリオール(c)とは、水添ダイマー酸と、ジオール化合物とを反応せしめるというようにして得られる部類の生成物などを指称するものである。
【0027】
ここにおいて、上記したジオールとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールまたは1,8−オクタンジオールなどである。
【0028】
さらに亦、上記した、それぞれ、(a)または(b)に属するジオールないしはポリオールあるいは上記した(c)に属するポリオール以外のポリオール(d)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ジカルボンポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールなどである。
【0029】
ここにおいて、〔(a)または(b)あるいは(c)〕/(d)の割合としては、1以上であることが望ましい。此の割合が1未満となるような場合には、どうしても、OPPへの接着性などが劣り易くなる傾向が見られるので、好ましくない。
【0030】
また、上記した有機イソシアネート化合物(e)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、芳香族、脂肪式または脂環族二属する公知慣用の種々のジイソシアネート類などであり、こうした部類の化合物を使用することが出来る。
【0031】
それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4−ジベンジルイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートなどである。
【0032】
さらに、前記した、親水性基を有し、しかも、両末端にイソシアネート基と反応性のある官能基を、2個、有する化合物(f)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ジヒドロキシアルカン酸などにより代表されるような各種の化合物などであるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ジメチロールプロピオン酸またはジメチロールブタン酸などである。
【0033】
さらにまた、上記した鎖伸長剤(g)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミンまたはジシクロヘキシル−4,4−ジアミンなどにより代表されるような、それぞれ、各種の脂肪族ないしは脂環式のジアミン類などであり、こうした部類の各化合物が利用できる。
【0034】
そして亦、上記した末端停止剤(f)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、n−プロピルアミン、n−ブチルアミンまたはN,N−ジ−n−ブチルアミンなどにより代表されるような各種のアルキルアミン類;モノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどにより代表されるような各種のアルカノールアミン類;メタノールまたはエタノールなどなどにより代表されるような各種のモノアルコール類などである。
【0035】
次いで、以上に掲げたような、それぞれ、重合脂肪酸を還元させて得られるという形のダイマー・ジオール(a)または該ダイマー・ジオールを用いた形のポリエステルポリオール(b)あるいは重合脂肪酸を水添化せしめて得られるという形の水添ダイマー酸を用いた形のポリエステルポリオール(c)と、さらに必要に応じて、上記(a)または(b)あるいは(c)以外のポリオール(d)と、有機イソシアネート化合物(e)と、親水性基を有し、しかも、両末端にイソシアネート基と反応性のある官能基を、2個、有する化合物(f)と、さらには亦、必要に応じて、鎖伸長剤(g)および/または末端停止剤(h)とを用いるということによって、ポリウレタン樹脂の水性化物たる水性ポリウレタン樹脂を調製する方法についての説明をすることにする。
【0036】
すなわち、まず、上掲したような各種の原料成分たる、それぞれ、(a)または(b)あるいは(c)と、さらに必要に応じて、(d)と、(e)と、(f)とを用いて、常法により、イソシアネート基が過剰となる割合で以て混合せしめたのち、それぞれの反応性に応じて、水混和性溶剤やそれらの種類;触媒の要否やそれらの種類;あるいは反応温度などを、適宜、決定して、常法により、反応せしめるということによって、目的とする、末端イソシアネート基のプレポリマーを調製する。
【0037】
次いで、さらに必要に応じて、上掲したような各種の原料成分たる、それぞれ、(g)および/または(h)をも、此の末端イソシアネート基のプレポリマーに添加して、反応を完結せしめ、しかるのち、塩基性物質により中和せしめたのちに、水分散化せしめ、引き続いて、脱溶剤するというような方法であるとか、あるいは塩基性物質で中和し水分散化せしめたのちに、(g)成分を添加して、脱溶剤するというような方法などが挙げられる。
【0038】
後者の方法の場合には、疎水性ポリイソシアネート化合物化合物を混合せしめ、しかるのち、水分散化せしめるという手段によって、分散粒子の内部架橋密度が高くなり、ひいては、耐熱水性などの向上化を極めて大きくするということが出来るようになる。
【0039】
ここにおいて、上記した疎水性ポリイソシアネート化合物とは、水に対して、単独では溶解ないしは分散させることの出来ない、一分子中に、2個以上の基を有する、比較的分子量の低いものを指称する。
【0040】
そうしたもののうちでも特に代表的なもののみ例示するにとどめれば、二液型塗料用硬化剤の名で以て、一般的に呼称されているような、各種のポリイソシアネート・プレポリマーなどであるが、
【0041】
こうしたポリイソシアネート・プレポリマーとして特に代表的なもののみ例示するにとどめれば、トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートの如き、各種のジイソシアネート類の種々の重合体;あるいはトリメチロールプロパンやエチレングリコールなどで代表されるような各種のポリオール類の種々のアダクト;
【0042】
あるいは亦、水分子を反応に介在させた形の、いわゆるアロファネート体などであるが、当該疎水性ポリイソシアネート化合物の数平均分子量としては、おおよそ、600〜1,000の範囲内が適切であるし、また、当該疎水性ポリイソシアネート化合物の平均官能基が4〜6の範囲内が適切である。
【0043】
これらとは別に、湿気硬化型ウレタン樹脂の名で、一般的に呼称されているような、各種のポリイソシアネート・プレポリマーなどもあり、それらのうちでも特に代表的なもののみ例示するにとどめれば、
【0044】
トリメチロールプロパンやエチレングリコールなどで代表されるような各種のポリオール類とか、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールの如き、各種のポリオールプレポリマー類とか、
【0045】
トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートの如き、各種のジイソシアネート類を基本原料として、OH/NCO<1なる条件下で以て、ウレタン化反応せしめるということによって得られるという形の化合物などである。
【0046】
親水性基を導入して自己乳化性を与えた末端イソシアネート基のプレポリマーと、上掲したような疎水性ポリイソシアネート化合物との混合比率としては、疎水性ポリイソシアネート・プレポリマーを基準として、0〜約60重量%の範囲内が、好ましくは、0〜40重量%の範囲内が適切である。
【0047】
約60重量%を超えて余りにも多くなるというような場合には、どうしても、カプセル化が困難となるし、こうした、余りにも多くなるというような大量の使用の場合には、粒子径も亦、1マイクロ・メータないしはミクロン(μm)を超えて、頗る、大きくなって、水分散安定性の上で、支障が出て来るようになるので、好ましくない。
【0048】
また、ポリウレタン樹脂の調製の際に使用される水混和性溶剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチルまたはN−メチルピロリドンなどであるし、さらに、触媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、オクチル第一錫、ジブチル錫ジアセテート、テトラブトキシチタネートまたはトリエチルアミンなどである。
【0049】
以上に掲げたような種々の原料成分と調製方法とを駆使して得られる当該ポリウレタン樹脂としては、酸価が約10〜約200の範囲内が、好ましくは、15〜100の範囲内が適切である。
【0050】
約10未満の場合には、どうしても、乳化重合時の安定性が確保され難くなり易いし、一方、約200を超えて余りにも多くなるというような場合には、どうしても、とりわけ、皮膜強度ならびに耐水性などが悪くなり易いので、いずれの場合も、好ましくない。
【0051】
中和剤としての塩基性化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、水酸化リチウムもしくは水酸化ナトリウムまたはアンモニアあるいはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンまたはN−メチルモルホリンなどのような種々の第3級アミン類などであるが、
【0052】
これらの種々の塩基性化合物の中でも、分散性などが良好であって、しかも、塗膜中に残存しにくい、いわゆる揮発性の高い、たとえば、アンモニア、トリエチルアミンまたはジメチルエタノールアミンなどの使用が特に望ましい。
【0053】
次いで、前記したエチレン性不飽和結合単量体(以下、エチレン性不飽和単量体ともいう。)の乳化重合についての説明をすることにする。
【0054】
エチレン性不飽和単量体(以下、不飽和単量体類ともいう。)としては、勿論、公知慣用の種々の化合物を使用することが出来るが、それらの化合物のうちでも特に、アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルなどと、それらの不飽和単量体類と共重合可能なる其の他の不飽和単量体類とを併用することが望ましく、こうした共重合可能なる不飽和単量体類として特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルの如き、各種のアクリル酸エステル類;
【0055】
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルまたはメタクリル酸n−ブチルの如き、メタクリル酸エステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチルまたはイタコン酸ジエチルの如き、各種の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルまたは第三級カルボン酸ビニルの如き、各種のビニルエステル類;
【0056】
スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、p−tert−ブチルスチレンまたはビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニルエステル類;ビニルピロリドンの如き、各種の複素環式ビニル化合物;塩化ビニリデン、臭化ビニリデンまたは弗化ビニリデンの如き、各種のハロゲン化ビニリデン化合物;エチレンまたはプロピレンの如き、各種のα−オレフィン類;ブタジエンの如き、各種のジエン類;
【0057】
ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランまたはγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの如き、各種のシラン系化合物などをはじめ、
【0058】
さらには、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン、ジアセトンアクリレートまたはアセトニトリルアクリレートなどのような種々の不飽和単量体;
【0059】
あるいはN−メチルアクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、Nメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミドまたはN−イソプロポキシメタクリルアミドの如き、そして、アクリルアミド、メタクリルアミドの如き、各種のアミド類、各種のN−メチロール化合物ないしはN−メチロールエーテル化合物;あるいは亦、各種のイソシアネート系化合物などであるし、さらには亦、各種のグリシジル系化合物などである。
【0060】
この種の乳化重合において、とりわけ、耐熱水性などの面からも、界面活性剤は全く使用しないようにするか、あるいは必要最小限の使用量にとどめおくことが望ましい。
【0061】
使用し得る界面活性剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、一般的に、この種の乳化重合において使用されているようなものであれば、特に制限はなく、公知慣用の種々の化合物が使用できるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0062】
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ナトリウムジアルキルスルホサクシネートまたはアルキルフェニルポリオキシエチレンサルフェート・ナトリウム塩ないしは−アンモニウム塩などのような種々のアニオン性乳化剤;
【0063】
あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体などのような種々のノニオン性乳化剤;あるいは亦、分子中にエチレン性不飽和結合ないしはラジカル重合性不飽和結合を有するという形の、種々の化合物などである。
【0064】
本発明においては、とりわけ、耐熱水性などの観点からも、分子中にラジカル重合性不飽和結合を有する界面活性剤の使用が望ましく、そうした部類の化合物の具体例としては、たとえば、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アクリル酸ポリオキシエチレン硫酸アンモニウム、メタクリル酸ポリオキシエチレンスルホン酸ナトリウム、
【0065】
ポリオキシエチレンアルケニルフェニルスルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルケニルフェニル硫酸ナトリウム、ナトリウムアリルアルケニルスルホサクシネートまたはメタクリル酸ポリオキシプロピレンスルホン酸ナトリウムなどのような種々のアニオン系反応性乳化剤;
【0066】
あるいはポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテルまたはポリオキシエチレンメタクリロイルエーテルなどのような種々のノニオン系反応性乳化剤などが挙げられる。
【0067】
ダイマー・ジオールあるいはダイマー酸系ポリエステルポリオールを用いて得られる水性ポリウレタン樹脂の存在下で、不飽和単量体類を重合させる際に、前述した、それぞれ、ポリウレタン樹脂と、不飽和単量体類との比率としては、それぞれの固形分換算比で以て、不飽和単量体類の100重量部に対して、ポリウレタン樹脂の約5〜約400重量部となるような範囲内が、好ましくは、10〜200重量部となるような範囲内が適切である。
【0068】
かかる範囲内を逸脱するときは、どうしても、分散安定性が悪くなったり、強度ならびに耐久性などの低下を来すようになったりするので、いずれの場合も好ましくない。
【0069】
共重合反応時における目的複合体、つまり、複合エマルジョン分散液の濃度としては、実用的なる観点からも、最終的には、約25〜約65重量%なる固形分含有率となるようにするのがよく、また、反応系への不飽和単量体類およびラジカル重合開始剤は、一括仕込方式、連続滴下方式または分割添加方式などのような、公知慣用のいずれの方式に従ってもよいことは、勿論である。
【0070】
共重合反応時の反応温度も、公知慣用の乳化重合反応で行なわれているような範囲内、たとえば、約50〜約80℃なる範囲内でよく、また、かかる共重合反応は、常圧下において行なわれるし、あるいはガス状の不飽和単量体類を使用するときには、加圧下において行なわれるというものである。
【0071】
上記の共重合反応において用いることの出来るラジカル重合開始剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸ナトリウムなどのような種々の過硫酸塩類;アゾビスイソブチロニトリルまたは其の塩酸塩などのような種々のアゾ系開始剤;あるいは過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド(tert−ブチルハイドロパーオキサイド)またはクメンハイドロパーオキサイドなどのような種々の過酸化物系開始剤などである。
【0072】
本発明に係わる水性印刷インキ組成物、とりわけ、複合エマルジョンを含有した形の水性印刷インキ組成物を調製するに当たって使用する着色剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、顔料類または染料類などであるが、本発明においては、斯かる顔料類または染料類などを、それぞれ、単独で以て用いることも、あるいは2種以上の併用の形で用いることも出来る。
【0073】
上記した着色剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、溶性ないしは不溶性のアゾ系、フタロシアニン系またはナフトール系などで代表されるような種々の有機顔料類;酸化チタン、弁柄、カーボンブラック、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムなどで代表されるような種々の無機顔料類;あるいは金属錯塩の有機染料類などであるが、
【0074】
こうした着色剤、就中、顔料類または染料類などの、単独系あるいは併用系の形で用いられる。そして、その際には、斯かる着色剤としては、それ自体、乾燥粉末のものを使用してもよいが、水分を含有するという形の、いわゆるプレス・ケーキを使用するということも出来る。
【0075】
本発明に係る水性印刷インキ組成物は、任意の方法で調製してもよいが、たとえば、次の処方に従って調製することが出来る。すなわち、プレス・ケーキまたは乾燥粉末の着色剤は、通常、まず、上述した、親水性基を有し、しかも、両末端にイソシアネート基との反応性のある官能基を、2個、有する化合物、就中、カルボキシル基含有水性樹脂を、さらに必要に応じて、中和剤、消泡剤あるいは界面活性剤などの成分と共に、ボールミルまたはサンドミル、あるいは其の他のメディアミルなどのような、通常の練肉機で以て練肉分散化されて、着色剤ベースとされる。
【0076】
次いで、此の着色剤ベースは、前述したような複合エマルジョンを含む其の他の樹脂成分、ならびに、必要により、さらに、水、溶剤、中和剤あるいは消泡剤などをはじめ、さらには、その他の添加剤類と混合されて、目的とする水性印刷インキ組成物として、最終的に調製される処となる。
【0077】
かくして、水性印刷インキ組成物を用いて得られるインキ皮膜は、とりわけ、着色剤ベースと、複合体中の、すなわち、複合エマルジョン中の親水性基、就中、カルボキシル基と、片や、エチレン性不飽和結合単量体中のグリシジル基との反応を通して、強靭なる皮膜を形成する処となる。
【0078】
また、本発明に係る水性印刷インキ組成物の調製を通して得られる複合体、すなわち、複合エマルジョンないしは複合エマルジョンの分散液は、印刷インキ用としてのみならず、塗料、接着剤または繊維処理剤などとしての用途に、あるいは其の他の用途にも応用するということが出来る。
【0079】
【実施例】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0080】
参考例1(練肉用水性アクリル樹脂の調製例)
撹拌機、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、イソプロピルアルコールの600部を仕込んで、撹拌を開始し、窒素気流中で、80℃にまで昇温した。
【0081】
次いで、ここへ、予め、アクリル酸の48部、メタクリル酸メチルの420部、アクリル酸n−ブチルの132部およびアゾビスブチロニトリルの12部を用いて調製しておいた混合乳化液を、3時間に亘って滴下した。
【0082】
この際の反応温度は、常時、80℃±3℃に保持した。滴下終了後も、同温度の範囲内に、2時間のあいだ保持したのち、アゾビスブチロニトリルの1.2部を加え、さらに、2時間のあいだ保持して、撹拌下に、反応を継続させた。
【0083】
反応終了後は、40℃にまで冷却してから、ジメチルエタノールアミンの46部を加えるということによって、水溶化せしめた。
【0084】
次いで、かくして得られた、透明なる反応生成物より、減圧下において、60℃で、イソプロピルアルコールを除去せしめてから、イオン交換水を加えて、濃度を調整せしめた処、半透明なる水溶性のアクリル樹脂(A−1)が得られた。このものの性状値は、次の通りである。
【0085】
水溶性アクリル樹脂(A−1)
【0086】
不揮発分(%) 30.1
粘度(CPS)* 440
pH 8.2
固形分酸価 60
重量分子量(実測値) 9000
【0087】
* 25℃におけるブルック・フィールド粘度(60rpmなる条件下)
【0088】
参考例2(水性ポリウレタンの調製例)
テレフタル酸の294部、イソフタル酸の294部、エチレングリコールの131部およびジエチレングリコールの223部を混合して、180〜230℃で、8時間のあいだ加熱して、エステル化反応を行なったのち、酸価が1よりも小さくなるまで、230℃で、6時間のあいだ縮合反応を行なった。
【0089】
次いで、減圧下において、120℃で、脱水処理を行なってから、90℃にまで冷却したのち、メチルエチルケトンの263部を加えて、よく撹拌して、充分に溶解させた処、酸価が0.7で、かつ、水酸基価が50なるポリエステルポリオールが得られた。
【0090】
しかるのち、このポリエステルポリオールの226部と、イソホロンジイソシアネートの44部とを、75℃において、充分に撹拌させたのち、鎖伸長剤としての2,2−ジメチロールプロピオン酸の13部を加え、70℃で、12時間のあいだ反応せしめた。
【0091】
反応終了後は、40℃にまで冷却してから、5%アンモニア水の35部を加えるということによって、水溶化せしめた。
【0092】
次いで、かくして得られた、透明なる反応生成物より、減圧下において、60℃で、メチルエチルケトンを除去せしめてから、イオン交換水を加えて、濃度を調整せしめた処、透明なる水性ポリウレタンが得られた。
【0093】
以下、これを水性ポリウレタン(B−1)と略記するが、このものの性状値は、次の通りである。
【0094】
水性ポリウレタン(B−1):
【0095】
不揮発分(%) 22.5
粘度(CPS)* 30
pH 7.3
固形分酸価 19
【0096】
参考例3(同上)
反応容器に、「PLACCEL 212」[ダイセル化学工業(株)製の、ポリカプロラクトンジオールの商品名;水酸基価=90mgKOH/g]の186.9部およびイソホロンジイソシアネートの100.0部を仕込んだ。次いで、これを撹拌しながら、110℃に加熱した。
【0097】
1時間後に、80℃にまで冷却して、ジメチロールプロピオン酸の20.1部、ジブチル錫ジラウレートの0.3部および酢酸エチルの76.8部を加え、80℃で、2時間のあいだ反応させた。此処へ、MEKの408部を加えた。この時のNCO基含有量は、固形分換算で4.1%であった。
【0098】
これを30℃以下まで冷却し、トリエチルアミンの15.2部を加え、次いでイオン交換水の1293部を加えて、O/W型のエマルジョンを得た。続いて10%ジエチレントリアミン水溶液の90.4部を徐々に加え、加え終わったのち60℃にまで昇温してして30分撹拌を続けた。
【0099】
次いで、減圧下において、蒸留を行ない、溶剤と水の一部とを除去せしめてから、イオン交換水を加えて、濃度を調整せしめた処、透明なる水性ポリウレタンが得られた。
【0100】
以下、これを水性ポリウレタン(B−2)と略記するが、このものの性状値は、次の通りである。
【0101】
水性ポリウレタン(B−2):
【0102】
不揮発分(%) 22.5
粘度(CPS)* 20
pH 7.3
固形分酸価 27.3
【0110】
参考例(同上)
反応容器に、「ペスポールHP−1000」[東亜合成(株)製の、ダイマー・ジオールの商品名;水酸基価=200mgKOH/g]の141部およびイソホロンジイソシアネートの137.4部を仕込んだ。
【0111】
次いで、撹拌をしながら、110℃に加熱した。その1時間後に、80℃にまで冷却して、ジメチロールプロピオン酸の21.6部、オクチル酸錫の0.3部および酢酸エチルの100部を加え、80℃で、2時間のあいだ反応させた。
【0112】
此処へ、「バーノックDN−980S」[大日本インキ化学工業(株)製の、HDIをビュレット化した形のポリイソシアネートの商品名;NCO含有量=20%]の15部と、MEKの100部とを加えた。この時のNCO基含有量は、固形分換算で以て、5.3%であった。
【0113】
これを30℃以下にまで冷却して、トリエチルアミンの17.9部を加え、次いで、イオン交換水の960.5部を加えて、O/W型のエマルジョンを得た。引き続いて、10%ジエチレントリアミン水溶液の116.9部を、徐々に加えて行き、加え終わったのちに、60℃にまで昇温して、30分間のあいだ撹拌を続けた。
【0114】
次いで、減圧下において、蒸留を行ない、溶剤と水の一部とを除去せしめてから、イオン交換水を加えて、濃度を調整せしめた処、透明なる水性ポリウレタンが得られた。
【0115】
以下、これを水性ポリウレタン(B−)と略記するが、このものの性状値は、次の通りである。
【0116】
水性ポリウレタン(B−
【0117】
不揮発分(%) 22.5
粘度(CPS)* 20
pH 7.5
固形分酸価 30.1
【0118】
参考例(複合エマルジョンの調製例)
撹拌機、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、「レベノールWZ」[花王(株)製の、陰イオン性乳化剤の商品名;固形分=25%]の8部と、イオン交換水の17.5部と、参考例2で得られた水性ポリウレタン(B−1)の222.2部を仕込んで、撹拌を開始し、窒素気流中で、80℃にまで昇温した。
【0119】
次いで、ここへ、予め、アクリル酸エチルの75部、アクリル酸n−ブチルの10部、アクリロニトリルの5部およびメタクリル酸グリシジルの10部からなる不飽和単量体類の混合物の100部と、「レベノールWZ」の6部およびイオン交換水の30部とを用いて調製しておいた混合乳化液の5重量%ならびに過硫酸カリウムの0.3部を加えてから、その20分後に、さらに、上記混合乳化液の残量と、5%tert−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液の10.0部とを、3時間に亘って滴下した。
【0120】
この際の反応温度は、常時、80℃±3℃に保持した。滴下終了後も、同温度の範囲に、1時間のあいだ保持しつつ、撹拌下に、反応を継続させるということによって、不揮発分が35.0%で、25℃における粘度が370cpsで、かつ、pHが7.0なる複合エマルジョンを得た。以下、これを(C−1)と略記する。
【0121】
参考例6、7(同上)
参考例3、4で得られた、水性ポリウレタン(B−2)〜(B−)なる、それぞれの水性ポリウレタン樹脂を用いるというように変更した以外は、参考例6と同様にして、それぞれの水性樹脂に相当する、各種の複合エマルジョンを調製した。それぞれの複合エマルジョンの諸物性値は、まとめて、第1表に示す。
【0122】
【表1】
【0123】
参考例(同上)
撹拌機、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入口を備えた四ツ口フラスコに、「ラテムルS−180A」の2.0部と、イオン交換水の8.0部と、参考例2で得られた水性ポリウレタン(B−1)の266.72部とを仕込んで、撹拌を開始し、窒素気流中で、80℃にまで昇温した。
【0124】
次いで、此処へ、予め、アクリル酸エチルの75部、メタクリル酸メチルの10部、アクリル酸2−エチルヘキシルの5部およびメタクリル酸グリシジルの10部からなる不飽和単量体類の混合物の100部と、「ラテムルS−180A」の3.0部と、イオン交換水の22部とを用いて調製しておいた混合乳化液の5重量%ならびに2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]の0.1部を加えてから、その20分後に、さらに、上記混合乳化液の残量と、5%tert−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液の10.0部とを、3時間に亘って滴下した。この際の反応温度は、常時、80℃±3℃に保持した。
【0125】
滴下終了後も、同温度の範囲に、1時間のあいだ保持しつつ、撹拌下に反応を継続させるということによって、不揮発分が35.0%で、25℃における粘度が20cpsで、かつ、pHが6.9なる複合エマルジョンを得た。以下、これを(C−)と略記する。
【0126】
参考例9、10(同上)
参考例3、4で得られた、水性ポリウレタン(B−2)、(B−3)なる、それぞれの水性ポリウレタン樹脂を用いるというように変更した以外は、参考例と同様にして、それぞれの水性樹脂に相当する、各種の複合エマルジョンを調製した。それぞれの複合エマルジョンの諸物性値は、まとめて、第2表に示す。
【0127】
【表2】
【0128】
水性ラミネート用印刷インキの応用試験
【0129】
着色剤ベースの調製
【0130】
参考例1得られた水性アクリル樹脂分散液(A−1)の35部、酸化チタンの28部、工業用エタノールの5部、イオン交換水の2部およびセラミック・ビーズの140部を加え、ペイント・コンディショナーにより、30分間のあいだ練肉せしめるということによって、目的とする着色剤ベースを調製した。以下、これを(D−1)と略記する。
【0131】
実施例1、2ならびに比較例1〜4
まず、比較例1として、着色剤ベース(D−1)と、イオン交換水と、複合エマルジョン(C−1)とを、第3表に示すような割合で以て配合せしめるということによって、対照用の水性印刷インキと為した。
【0132】
また、比較例2〜4ならびに実施例1、2として、同様にして、(C−1)、(C−2)なる、それぞれの複合エマルジョンを、第3表に示すような割合で以て配合せしめるということによって、各種の水性印刷インキと為した。
【0133】
ラミネート試験の要領および試験の結果
【0134】
かくして得られた、それぞれの印刷インキは、ザーン・カップ#3により、17秒となるようにして、水/エタノール=1/1(重量部比)なる混合溶剤で以て希釈を行なってから、版深30μmのグラビア版を備えた簡易グラビア印刷機により、厚さ12μmの片面コロナ処理ポリエステルフィルム(以下、PETと略記する。)と、厚さ15μmの片面コロナ処理ナイロンフィルム(以下、Nyと略記する。)と、厚さ30μmの片面コロナ処理ポリプロピレンフィルム(以下OPPと略記する。)との、それぞれの処理面に印刷をし、
【0135】
70℃の乾燥機を通して乾燥をするということによって、各種の印刷フィルムを得た。以後は、それぞれの印刷フィルムについて、印刷インキの接着性、ラミネート強度ならびに耐ボイル性の評価判定を行なった。それらの結果は、まとめて、第3表および第4表に示す。なお、それぞれの評価判定の要領および評価判定の結果の表示の要領は、次の通りである。
【0136】
(1) 接着試験
【0137】
それぞれの印刷フィルムを、1日のあいだ(1昼夜)放置したのち、印刷面にセロファン・テープを貼り付けて、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜の外観の状態を、目視により評価判定した。なお、評価判定の結果の判定基準は、次の通りである。
【0138】
5…印刷皮膜が全く剥がれなかった場合
4…印刷皮膜の80%以上がフィルムに残った場合
3…印刷皮膜の50〜80%がフィルムに残った場合
2…印刷皮膜の30〜50%がフィルムに残った場合
1…印刷皮膜の30%未満がフィルムに残った場合
【0139】
(2) ラミネート試験
【0140】
接着剤として、「ディックドライLx−75A」[大日本インキ化学工業(株)製の、主剤の商品名]の10部と、「ディックドライKW−40」(同上社製の、硬化剤の商品名)の2部と、酢酸エチルの15.2とからなる溶液を用意した。
【0141】
それぞれの印刷フィルムの印刷面に、此の接着剤を、ドローダウンロット#12を用いて塗布せしめてから、溶剤を揮散せしめたのち、線状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ=60μm)と重ね合わせ、80kg/cm2 なる圧力の加圧ロールを用いて、ラミネートを行なった。
【0142】
かくして得られた、それぞれのラミネート物を、50℃の恒温槽中で、72時間のあいだエージングを行なってから、15mm幅のテープ状に切断せしめたのち、(株)オリエンテック製の「テンシロン RTM−25」を用いて、300mm/分の速度における、インキ層のT型剥離の剥離強度を測定した。
【0143】
(3) ボイル試験
【0144】
上記した、それぞれのラミネート物から、12cm×12cmの袋を作製し、其処へ、水を充填したものを、熱水中に、30分間のあいだ浸漬せしめるということによって、ボイル処理を行ない、その後、すぐに、ラミネート・フィルムの状態の変化を観察した。
【0145】
その際の処理温度としては、それぞれ、OPPを用いたラミネート物にあっては90℃としているし、PETおよびNyを用いたラミネート物にあっては98℃としている。それらの評価判定の結果の判定基準は、次の通りである。
【0146】
A…変化がない場合
B…やや変化している場合
C…変化している場合
【0147】
【表3】
【0148】
【表4】
Figure 0003796854
【0149】
【発明の効果】
本発明に係る水性印刷インキ組成物は、とりわけ、印刷適性にも優れるし、幅広いプラスチック・フィルムに対する接着性にも優れるし、とりわけ、ラミネート強度などに代表されるラミネート諸物性にも優れるし、併せて、耐熱性ならびに耐水性などにの優れるという、極めて実用性の高いものであることが、無理なく、知り得よう。
【0150】
したがって、本発明により、それぞれ良好なる印刷適性と、幅広い種類のプラスチック・フィルムへの接着性と、良好なるラミネート物性とを示し、さらに、耐熱性ならびに耐水性などに優れた印刷インキ組成物が得られるようになった。

Claims (1)

  1. ダイマージオール、又はダイマージオール若しくはダイマー酸を原料とするポリエステルポリオールと、有機ポリイソシアネートと、親水性基及び両末端にイソシアネート基と反応性のある官能基を有する化合物とを反応させ、次いで得られる親水性基を有し、両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに一分子中に2以上のイソシアネート基を有する疎水性ポリイソシアネートを混合し、前記親水性基を中和した後、水を混合し、次いで得られるウレタンプレポリマーの水性分散液に鎖伸長剤を加え鎖伸長することにより得られるポリウレタン樹脂水性分散液の存在下で、エチレン性不飽和結合含有単量体を乳化重合した後、着色剤を配合することを特徴とするラミネートフィルム用水性印刷インキ組成物の製造方法
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