JP3466524B2 - 積層型電子部品およびその製法 - Google Patents

積層型電子部品およびその製法

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JP3466524B2 JP33997599A JP33997599A JP3466524B2 JP 3466524 B2 JP3466524 B2 JP 3466524B2 JP 33997599 A JP33997599 A JP 33997599A JP 33997599 A JP33997599 A JP 33997599A JP 3466524 B2 JP3466524 B2 JP 3466524B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型電子部品お
よびその製法に関するもので、特に、複数のセラミック
グリーンシートを積み重ねて形成された積層セラミック
コンデンサに好適に用いられる積層型電子部品およびそ
の製法に関する。
【0002】
【従来技術】従来の積層セラミックコンデンサは、図9
乃至図11に示すように、複数のセラミック層1と、長
辺3aと短辺3bを有する複数の長方形状の内部電極3
を交互に積層してなる積層体5の上下面に、上側端面セ
ラミック層6および下側端面セラミック層7が形成され
て、電子部品本体8が形成されており、この電子部品本
体8の両端部に外部電極9を設けて構成されていた。
【0003】電子部品本体8は、異なる極性の内部電極
3が重畳し、実質的に容量を発生させる容量発生部10
と、その両側に形成された容量非発生部11とから構成
され、電子部品本体8の両端部にそれぞれ形成された外
部電極9は、内部電極3が一層毎に容量非発生部11を
介して接続されている。
【0004】このような積層セラミックコンデンサは、
例えば、先ず、PETフィルム上に、セラミック粉末、
有機バインダーおよび溶剤を含むセラミックスラリーを
塗布し、40〜80℃で10〜20秒間乾燥後、これを
PETフィルムから剥離して複数のセラミックグリーン
シートを形成し、これらを複数積層して下側と上側の端
面セラミックグリーンシートを形成する。この下側端面
セラミックグリーンシートを台板上に配置し、プレス機
により圧着して貼り付ける。
【0005】一方、PETフィルム上に、上記と同様の
セラミックスラリーを塗布し、40〜80℃で10〜2
0秒間乾燥後、このセラミックグリーンシート上に、例
えば、Ni、Cu、Ag−Pdのうち一種を含む内部電
極ペーストを塗布して、セラミックグリーンシート上に
長辺と短辺を有する長方形状の内部電極パターンを複数
形成した後、この内部電極パターンが形成されたグリー
ンシートをPETフィルムから剥離する。
【0006】この後、下側端面セラミックグリーンシー
トの上に、内部電極パターンが形成されたグリーンシー
トを積層し、プレス機により加圧して仮固定する工程を
繰り返して内部電極パターンが形成されたグリーンシー
トを所定枚数積層し、次に、上側端面セラミックグリー
ンシートを積層し、複数のセラミックグリーンシート
と、長辺と短辺を有する複数の長方形状の内部電極パタ
ーンを交互に積層してなる積層成形体の上下面に、端面
セラミックグリーンシート層が積層された電子部品成形
体を作製する。
【0007】次に、図12に示すように、セラミックグ
リーンシート12と内部電極パターン13が交互に積層
された電子部品成形体15を、セラミックグリーンシー
ト12および内部電極パターン13が軟化する温度に一
挙に加熱した状態で積層方向からプレス機により加圧し
て圧着し、さらに、この後、電子部品成形体15の上部
にゴム型を配置し、上記と同様の温度に加熱した状態で
静水圧成形する。この後、所定のチップ形状にカット
し、そのチップ状成形体の両端面に外部電極ペーストを
塗布して、焼成することにより、積層セラミックコンデ
ンサが形成されていた。尚、外部電極については、焼成
されたチップ状成形体の両端面に外部電極ペーストを塗
布して焼き付けることによっても形成されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セラミ
ックグリーンシート12および内部電極パターン13が
軟化する温度に一挙に加熱した状態で積層方向からプレ
ス機により加圧して圧着していたため、図12に矢印で
示したように、異なる極性の内部電極パターン13が重
畳する部分(容量発生部)から、異なる極性の内部電極
パターン13が重畳しない部分(容量非発生部)へ、セ
ラミックグリーンシート12が押し出され、セラミック
グリーンシート12が湾曲するとともに内部電極パター
ン13が湾曲し、また、セラミックグリーンシート12
がプレス機の加圧力に応じて伸び、層厚が薄くなり、シ
ョートの発生率が増加するという問題があった。特に、
セラミックグリーンシート12を薄くすればする程、シ
ョート発生率が増加するという問題があった。
【0009】また、内部電極パターン13に、異なる極
性の内部電極パターン13の湾曲部分が近づき、ショー
ト不良が集中するという問題があった。また、ショート
まで至らない製品であっても、信頼性評価にて著しく寿
命が低下するという問題があった。
【0010】また、内部電極パターンが形成されたグリ
ーンシートを積層し、プレス機により加圧して仮固定す
る工程を繰り返して電子部品成形体15を形成していた
ため、下層のセラミックグリーンシート同士は加圧工程
を受ける回数が多いため密着力は高いが、上層にいくほ
ど加圧工程を受ける回数が少なくなり、セラミックグリ
ーンシート同士の密着性が低下する。従って、セラミッ
クグリーンシート12および内部電極パターン13が軟
化する温度に一挙に加熱した状態で積層方向からプレス
機により加圧して圧着すると、上層のセラミックグリー
ンシート12は接着強度が弱いため、容易に伸び、薄く
なって、上記と同様、電子部品本体3の上層部において
ショート不良が集中するという問題があった。この場合
においても、小型薄型化のためにセラミック層の厚みを
薄くすればする程、その傾向が大きくなるという問題が
あった。
【0011】本発明は、セラミック層を薄くしても異な
る極性の内部電極間のショートを抑制できる積層型電子
部品およびその製法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型電子部品
は、複数のセラミック層と複数の内部電極とを交互に積
層してなり、容量を発生させる容量発生部とその両側に
形成された容量非発生部を有する電子部品本体と、該電
子部品本体の両端面にそれぞれ形成され、前記内部電極
が前記容量非発生部を介して交互に接続された外部電極
とを具備する積層型電子部品において、前記容量非発生
部の積層方向中央部における内部電極に屈曲部が形成さ
れ、かつ前記容量非発生部の上下部分における内部電極
は略平坦であり、前記屈曲部が、積層方向に対して所定
角度を有する直線状に形成されているものである。
【0013】このような積層型電子部品は、セラミック
グリーンシートに複数の内部電極パターンを形成する工
程と、該セラミックグリーンシートを複数積層し、これ
を所定温度で加圧して電子部品成形体を作製する工程
と、該電子部品成形体を、所定位置で切断してチップ状
成形体を作製する工程とを具備する積層型電子部品の製
法であって、前記電子部品成形体を作製する工程が、前
記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシ
ートを複数積層し、これを前記セラミックグリーンシー
トが軟化する温度で、かつ内部電極パターンが軟化しな
い温度に加熱して加圧板により加圧した後、内部電極パ
ターンが軟化する温度まで加熱して加圧板により加圧
し、前記電子部品成形体を作製することにより得られ
る。
【0014】このように、セラミックグリーンシートを
複数積層した後、プレス設定温度をセラミックグリーン
シート軟化温度であって、内部電極パターンが軟化しな
い温度に加熱して加圧板により加圧することにより、異
なる極性の内部電極パターンが重畳する部分(容量発生
部)から、異なる極性の内部電極パターンが重畳しない
部分(容量非発生部)へ、セラミックグリーンシートが
押し出されるが、内部電極パターンは軟化していないた
め、ある一定量グリーンシートが押し出されると、その
部分で内部電極パターンが屈曲し、この内部電極パター
ンの屈曲部が防壁の役目をして、セラミックグリーンシ
ートの押し出しが阻止される。屈曲部が形成される部位
は、電子部品成形体は上下方向から加圧されるため、そ
の積層方向中央部に形成される。また、セラミックグリ
ーンシートが薄くなる程、一層の内部電極パターンに複
数の屈曲部が形成され易く、また、内部電極パターンに
形成された屈曲部、積層方向に対して所定角度をなす直
線状に形成され易い。
【0015】この後、セラミックグリーンシート軟化温
度よりも高く、かつ内部電極パターンが軟化する温度に
まで加熱して加圧板により加圧することにより、セラミ
ックグリーンシートと内部電極パターンとの密着性、セ
ラミックグリーンシート相互間の密着性を向上でき、ク
ラックやデラミネーションの発生を防止できる。
【0016】従って、層厚が異常に薄くなることを抑制
でき、異なる極性の内部電極間の近接を抑制でき、ショ
ートの発生を抑制できる。
【0017】また、上層にいくほどセラミックグリーン
シート同士の密着性が低下したとしても、セラミックグ
リーンシートおよび内部電極パターンが軟化する温度に
一挙に加熱することなく、先ず、セラミックグリーンシ
ート軟化温度に加熱して加圧板により加圧することによ
り、内部電極パターンに屈曲部が形成され、それ以降の
セラミックグリーンシートの押し出しが阻止されるた
め、上層のセラミックグリーンシートが異常に薄くなる
ことがなく、下層部から上層部にいたりまで均一な厚み
になり、上層部に集中していたショート不良の発生を抑
制できる。
【0018】さらに、加圧板を用いて加圧しており、し
かも、内部電極が屈曲しているため、容量非発生部にお
ける上下部分における内部電極はほぼ平坦となる
【0019】また、セラミックグリーンシートの軟化温
度から、内部電極パターンの軟化温度までに、段階的に
加圧力を大きくして加圧することが望ましい。このよう
に段階的に加圧力を大きくすることにより、各セラミッ
クグリーンシートがより均一厚みとすることができる。
【0020】さらに、本発明の積層型電子部品では、複
数の内部電極にそれぞれ複数の屈曲部が形成されている
ことが望ましい。このように屈曲部を同一平面に分散し
て形成することにより、その屈曲部での異なる極性の内
部電極の近接を防止し、また内部応力の集中を抑制で
き、高信頼性を確保できる。
【0021】また、本発明の積層型電子部品では、複数
の内部電極にそれぞれ複数の屈曲部が形成されており、
該複数の屈曲部が、積層方向に対して所定角度を有する
直線状に形成されていることが重要である。このように
屈曲部の形成位置が積層方向に対してずれていることに
より、容量発生部、容量非発生部に該当する電子部品本
体の表面を平坦とすることができるとともに、容量非発
生部における応力集中が抑制され、焼成時におけるクラ
ックやデラミネーションの発生を抑制できる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の積層型電子部品を、例え
ば、積層セラミックコンデンサを例にして説明する。本
発明の積層セラミックコンデンサは、図1乃至図3に示
すように、複数のセラミック層31と、長辺33aと短
辺33bを有する複数の長方形状の内部電極33を交互
に積層してなる積層体35の上下面に、上側端面セラミ
ック層36および下側端面セラミック層37が形成され
て、電子部品本体38が形成されており、この電子部品
本体38の両端部に外部電極39を設けて構成されてい
る。
【0023】電子部品本体38は、異なる極性の内部電
極33が重畳し、実質的に容量を発生させる容量発生部
40と、その両側に形成された容量非発生部41とから
構成され、電子部品本体38の両端面にそれぞれ形成さ
れた外部電極39には、内部電極33が一層毎に容量非
発生部41を介して接続されている。
【0024】内部電極33の短辺33bは、図1に示し
たように、容量非発生部41を介して電子部品本体38
の両端面に交互に露出しており、これらの短辺33bが
外部電極39に接続されている。
【0025】そして、容量非発生部41における積層方
向中央部(セラミック層31の厚み方向中央部)の内部
電極33には、それぞれ屈曲部Aが形成されており、容
量非発生部41の上下部分における内部電極33は、略
平坦とされている。容量非発生部41における内部電極
33の屈曲部Aは、図4に示すように、積層方向xに対
して(セラミック層31の厚み方向に対して)所定角度
θを有する直線状に形成されている。尚、図1では、便
宜上、屈曲部を同じ位置に形成した。
【0026】積層体35の積層方向中央部における内部
電極33の長辺33aは、図2に示したように、上下端
の内部電極33の長辺33aよりも距離xだけ、即ち2
0〜70μm外方に突出している。
【0027】また、上下端の内部電極33の長辺33a
近傍が積層方向中央部に向けて湾曲しており、その曲率
半径R2 は50μm以上とされている。
【0028】複数のセラミック層31の厚みは、3μm
以下、特には2.5μm以下とされており、その厚み差
は0. 2μm以内であることが望ましい。このように、
セラミック層31の厚みが薄くなればなるほど、異なる
極性の内部電極が近づき、ショートや絶縁抵抗の低下が
発生し易くなる。また、厚み差を0. 2μm以内とする
ことにより、ショート不良および絶縁不良を抑制するこ
とができる。
【0029】積層セラミックコンデンサは、例えば、先
ず、PETフィルム上に、セラミック粉末、有機バイン
ダーおよび溶剤を含むセラミックスラリーを塗布し、乾
燥器内で乾燥後、これを剥離して複数のセラミックグリ
ーンシートを形成し、これらを複数積層して端面セラミ
ックグリーンシートを形成する。
【0030】そして、本発明では、端面セラミックグリ
ーンシートを、上記グリーンシートの乾燥温度よりも高
く、かつ長時間乾燥させ、例えば、60〜120℃で1
0〜60分間乾燥することにより、十分に乾燥させて収
縮させ、硬化させる。この端面セラミックグリーンシー
トの厚みは、50〜150μmとされており、図5に示
すように、このような端面セラミックグリーンシート4
2を、台板43上に配置し、プレス機により圧着して台
板43上に貼り付ける。
【0031】セラミック粉末としては、例えば、BaT
iO3 粉末にMgCO3 、MnCO3 、Y2 3 粉末を
混合したものが用いられ、有機バインダーとしては、例
えば、ブチラール樹脂が用いられ、溶剤としてはトルエ
ンが用いられる。
【0032】一方、PETフィルム上に、上記と同一の
セラミックスラリーを塗布し、乾燥器内で乾燥後、この
厚み2〜10μmのセラミックグリーンシートに、例え
ば、Ni粒子、BaTiO3 粉末、有機バインダーとし
ては、例えば、エチルセルロースが用いられ、溶剤とし
ては炭化水素系溶剤を含む内部電極ペーストを塗布して
乾燥し、グリーンシート上に長辺と短辺を有する長方形
状の内部電極パターンを形成し、乾燥後、剥離する。
尚、セラミックスラリーは、端面セラミックグリーンシ
ートと同一である必要はなく、異なる組成であっても良
い。
【0033】この後、図5に示すように、端面セラミッ
クグリーンシート42の上に、内部電極パターンが形成
されたグリーンシートを積層し、プレス機の加圧板によ
り仮固定し、この工程を複数回繰り返し、この後、端面
セラミックグリーンシート44を積層し、複数のセラミ
ックグリーンシートと、長辺と短辺を有する複数の長方
形状の内部電極パターンを交互に積層してなる積層成形
体45の上下面に、端面セラミックグリーンシート層4
2、44が積層された電子部品成形体47を作製する。
【0034】次に、電子部品成形体47を、図6(a)
に示すように、電子部品成形体47が形成された台板4
3を金型51に載置し、所定温度に加熱した状態で、積
層方向からプレス機の加圧板53により加圧して圧着す
る。
【0035】特に、本発明では、電子部品成形体47
を、図7に示すように、セラミックグリーンシートが軟
化する温度に加熱して加圧板により加圧した後、このセ
ラミックグリーンシート軟化温度よりも高く、かつ内部
電極パターンが軟化する温度まで加熱して加圧板により
加圧することが重要である。このセラミックグリーンシ
ートや内部電極パターンの軟化温度は、一般に有機バイ
ンダーの種類、量によって決定されるため、内部電極パ
ターンの軟化温度がセラミックグリーンシートの軟化温
度よりも高くなるように設定する必要がある。
【0036】温度は、台板43および電子部品成形体4
7に均等に温度が行き渡ってから昇圧するように一定時
間をおき、また各昇圧スピードは、緩やかにすることが
望ましい。
【0037】この後、図6(b)に示すように、さらに
電子部品成形体47の上部にゴム型57を配置し、所定
温度に加熱した状態で、静水圧成形し、この後、台板4
3から電子部品成形体47を剥離する。尚、電子部品成
形体47を上下からゴム型により静水圧成形しても良
い。静水圧成形時の加熱温度は、内部電極の軟化温度よ
りも高くなるように設定する。
【0038】このような加圧成形工程により、図8に示
すような電子部品成形体47が得られる。
【0039】この後、この電子部品成形体47を所定の
チップ形状にカットし、そのチップ状成形体の両端面
に、例えばNiを含有する外部電極ペーストを塗布し
て、焼成することにより、積層セラミックコンデンサが
形成される。尚、外部電極については、焼成されたチッ
プ状成形体の両端面に外部電極ペーストを塗布して焼き
付けることによっても形成できる。
【0040】以上のように構成された積層セラミックコ
ンデンサでは、図7に示すように、プレス設定温度をセ
ラミックグリーンシート軟化温度に加熱して加圧板53
により加圧することにより、図8(a)に示すように、
異なる極性の内部電極パターンが重畳する部分(容量発
生部)から、異なる極性の内部電極パターンが重畳しな
い部分(容量非発生部)へ、セラミックグリーンシート
が押し出されるが、内部電極パターンは軟化していない
ため、ある一定量グリーンシートが押し出されると、そ
の部分で内部電極パターンが屈曲し、この内部電極パタ
ーンの屈曲部が防壁の役目をして、セラミックグリーン
シートの押し出しが阻止される。この後、図7に示した
ように、セラミックグリーンシート軟化温度よりも高
く、かつ内部電極パターンが軟化する温度にまで加熱し
て加圧板により加圧することにより、セラミックグリー
ンシートと内部電極パターンとの密着性を向上でき、デ
ラミネーションやクラックの発生を防止できる。
【0041】従って、一部分においてセラミック層の層
厚が異常に薄くなることを抑制でき、異なる極性の内部
電極間の近接を抑制でき、ショートの発生を抑制でき
る。
【0042】また、上層にいくほどセラミックグリーン
シート同士の密着性が低下したとしても、セラミックグ
リーンシートおよび内部電極パターンが軟化する温度に
一挙に加熱することなく、先ず、セラミックグリーンシ
ート軟化温度に加熱して加圧板により加圧することによ
り、内部電極パターンに屈曲部が形成され、それ以降の
セラミックグリーンシートの押し出しが阻止されるた
め、上層のセラミックグリーンシートが異常に薄くなる
ことがなく、下層部から上層部にいたるまで均一な厚み
になり、上層部に集中していたショート不良の発生を抑
制できる。
【0043】さらに、加圧板を用いて加圧しているの
で、容量非発生部における上下部分における内部電極は
ほぼ平坦となる。
【0044】また、積層方向からプレス機の加圧板53
により加圧すると、図8(b)に示すように、積層方向
中央部では内部電極パターンの長辺近傍が横方向に延び
るものの、端面セラミックグリーンシート層42、44
が乾燥され硬化されているため延びにくく、これらの端
面セラミックグリーンシート層42、44に引きずられ
て上下端部の内部電極パターンの長辺の延びが抑制さ
れ、積層方向中央部では内部電極パターンの長辺が、上
下端の内部電極パターンの長辺よりも突出した状態とな
る。
【0045】そして、この後、ゴム型57を用いて静水
圧成形すると、図8(b)に示すように、内部電極パタ
ーンの長辺近傍は、従来よりも曲率半径が大きい湾曲状
態となり、その下方にある極性の異なる内部電極パター
ンとの距離も従来よりも大きくすることができ、ショー
ト不良や絶縁抵抗低下を抑制することができる。
【0046】また、積層方向中央部では内部電極パター
ンの長辺近傍が横方向に延びるものの、端面セラミック
グリーンシート層42、44が延びにくいため、この端
面セラミックグリーンシート層42、44に引きずられ
て電子部品成形体47の横方向への延びが抑制され、セ
ラミックグリーンシート間の剥離やクラックを防止で
き、これにより、積層型電子部品のデラミネーションお
よびクラックの発生を抑制することができる。
【0047】尚、上記例では、本発明の積層型電子部品
を積層セラミックコンデンサに適用した例について説明
したが、本発明では上記例に限定されるものではなく、
例えば、積層型インダクタ、圧電トランス、圧電アクチ
ュエータ等に用いても良いことは勿論である。
【0048】
【実施例】先ず、PETフィルム上に、BaTiO3
MgCO3 、MnCO3 およびY2 3 粉末、ブチラー
ル樹脂、およびトルエンからなるセラミックスラリーを
作製し、これをドクターブレード法により塗布し、乾燥
器内で60℃で15秒間乾燥後、これを剥離して厚み9
μmのセラミックグリーンシートを10枚形成し、これ
らを積層して端面セラミックグリーンシートを形成し
た。そして、これらの端面セラミックグリーンシート
を、90℃で30分間乾燥させた。
【0049】この端面セラミックグリーンシートを台板
43上に配置し、プレス機により圧着して台板43上に
貼り付けた。
【0050】一方、PETフィルム上に、上記と同一の
セラミックスラリーをドクターブレード法により塗布
し、60℃で15秒間乾燥後、厚み3μmのセラミック
グリーンシートを多数作製した。このセラミックグリー
ンシートの軟化温度は60℃であった。
【0051】このPETフィルム上のセラミックグリー
ンシートに、Ni粉末、BaTiO3 粉末、エチルセル
ロース、炭化水素系溶剤からなる内部電極ペーストを塗
布し、グリーンシート上に長辺と短辺を有する長方形状
の内部電極パターンを複数形成し、乾燥後、剥離した。
内部電極パターンの軟化温度は80℃であった。
【0052】この後、図5に示すように、端面セラミッ
クグリーンシート42の上に、内部電極パターンが形成
されたグリーンシートを積層し、プレス機の加圧板53
により仮固定し、この工程を繰り返して内部電極パター
ンが形成されたグリーンシートを361枚積層し、この
後、端面セラミックグリーンシート44を積層し、電子
部品成形体47を作製した。
【0053】次に、電子部品成形体47を、図6(a)
に示すように、金型51上に載置し、図7に示すよう
に、セラミックグリーンシートが軟化する温度の65℃
に加熱して、段階的に加圧力で増加させて加圧板53に
より加圧した後、セラミックグリーンシート軟化温度よ
りも高く、かつ内部電極パターンが軟化する温度の90
℃に加熱して、セラミックグリーンシート軟化温度での
加圧力よりも大きい圧力で加圧した。
【0054】この後、図6(b)に示すように、さらに
電子部品成形体47の上部にゴム型57を配置し、静水
圧成形した。
【0055】この後、この電子部品成形体47を所定の
チップ形状にカットし、そのチップ状成形体の両端面
に、Niを含有する外部電極ペーストを塗布して、焼成
し、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0056】そして、作製された積層セラミックコンデ
ンサの横断面を光学顕微鏡により観察したところ、図4
に示すように、容量非発生部における積層方向中央部の
内部電極に複数の屈曲部が形成され、複数の屈曲部が、
積層方向に対して所定角度を有する直線状に形成されて
おり、電子部品本体の上面は略平坦であった。
【0057】さらに、作製された積層セラミックコンデ
ンサについて、LCRメーターにより、1KHz、1V
rmsの条件で測定し、容量およびショート不良の発生
を測定し、また、容量値が得られた製品について絶縁抵
抗を測定し、絶縁抵抗が100KΩ以下である場合に絶
縁不良とした。
【0058】さらに、作製された積層セラミックコンデ
ンサの横断面を光学顕微鏡により観察して、デラミネー
ションやクラックの発生を確認した。これらの結果を表
1に記載した。
【0059】さらに、得られた積層セラミックコンデン
サの側面端面を研磨し内部を観察することにより、セラ
ミック層の厚みを測定し、その平均厚みを算出するとと
もに、その厚みバラツキを測定した。その結果も表1に
記載した。
【0060】また、本発明者は、上記実施例において、
図6(a)に示すように、金型51上に載置し、一挙に
セラミックグリーンシートおよび内部電極パターンが軟
化する温度の90℃まで加熱して、最終加圧力を上記実
施例と同じように段階的に加圧した以外は、上記と同様
にして比較例の積層セラミックコンデンサを作製した。
この積層セラミックコンデンサについても、上記と同様
の特性を評価し、表1に記載した。
【0061】
【表1】
【0062】この表1から、本発明の試料1〜4では、
厚みバラツキが0.15μm以下であり、ショート、絶
縁不良、デラミネーション、クラックの発生がないこと
が判る。また、一挙に最終加圧状態まで印加した試料N
o.5では、厚みバラツキが0.17μmとやや大きいこ
とが判る。
【0063】一方、一挙に内部電極パターンが軟化する
温度まで上げて加圧した比較例の試料No.6では、屈曲
部は形成されず、しかも、厚みバラツキが0.25μm
と大きく、また、ショートや絶縁不良が発生することが
判る。
【0064】
【発明の効果】本発明の積層型電子部品およびその製法
によれば、セラミックグリーンシートを複数積層した
後、プレス設定温度をセラミックグリーンシート軟化温
度であって、内部電極パターンが軟化しない温度に加熱
して加圧板により加圧することにより、異なる極性の内
部電極パターンが重畳する部分(容量発生部)から、異
なる極性の内部電極パターンが重畳しない部分(容量非
発生部)へ、セラミックグリーンシートが押し出される
が、内部電極パターンは軟化していないため、ある一定
量グリーンシートが押し出されると、その部分で内部電
極パターンが屈曲し、この内部電極パターンの屈曲部が
防壁の役目をして、セラミックグリーンシートの押し出
しが阻止される。
【0065】この後、セラミックグリーンシート軟化温
度よりも高く、かつ内部電極パターンが軟化する温度に
まで加熱して加圧板により加圧することにより、セラミ
ックグリーンシートと内部電極パターンとの密着性、セ
ラミックグリーンシート相互間の密着性を向上でき、ク
ラックやデラミネーションの発生を防止できる。
【0066】従って、層厚が異常に薄くなることを抑制
でき、異なる極性の内部電極間の近接を抑制でき、ショ
ートの発生を抑制できる。
【0067】また、上層にいくほどセラミックグリーン
シート同士の密着性が低下したとしても、セラミックグ
リーンシートおよび内部電極パターンが軟化する温度に
一挙に加熱することなく、先ず、セラミックグリーンシ
ート軟化温度に加熱して加圧板により加圧することによ
り、内部電極パターンに屈曲部が形成され、それ以降の
セラミックグリーンシートの押し出しが阻止されるた
め、上層のセラミックグリーンシートが異常に薄くなる
ことがなく、下層部から上層部にいたりまで均一な厚み
になり、上層部に集中していたショート不良の発生を抑
制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品の縦断面模式図であ
る。
【図2】図1のa−a線に沿った横断面図である。
【図3】セラミック層上の内部電極を説明するための斜
視図である。
【図4】複数の屈曲部が直線状に配列している状態を示
す断面図である。
【図5】台板上に電子部品成形体を形成した状態を示す
側面図である。
【図6】本発明の製法を説明するための説明図であり、
(a)は加圧成形する状態を示す断面図、(b)はゴム
型により静水圧成形する状態を示す断面図である。
【図7】時間に対する加熱温度と加圧力との関係を示す
グラフである。
【図8】電子部品成形体の断面図であり、(a)は縦断
面図、(b)は(a)のc−c線に沿った横断面図であ
る。
【図9】従来の積層型電子部品の縦断面図である。
【図10】図9のb−b線に沿った横断面図である。
【図11】従来のセラミック層上の内部電極を説明する
ための斜視図である。
【図12】従来の電子部品成形体を示す断面図である。
【符号の説明】
31・・・セラミック層 33・・・内部電極 38・・・電子部品本体 39・・・外部電極 40・・・容量発生部 41・・・容量非発生部 47・・・電子部品成形体 A・・・屈曲部

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のセラミック層と複数の内部電極とを
    交互に積層してなり、容量を発生させる容量発生部とそ
    の両側に形成された容量非発生部を有する電子部品本体
    と、該電子部品本体の両端面にそれぞれ形成され、前記
    内部電極が前記容量非発生部を介して交互に接続された
    外部電極とを具備する積層型電子部品において、前記容
    量非発生部の積層方向中央部における内部電極に屈曲部
    が形成され、かつ前記容量非発生部の上下部分における
    内部電極は略平坦であり、前記屈曲部が、積層方向に対
    して所定角度を有する直線状に形成されていることを特
    徴とする積層型電子部品。
  2. 【請求項2】複数の内部電極にそれぞれ複数の屈曲部が
    形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層
    型電子部品。
  3. 【請求項3】セラミックグリーンシートに複数の内部電
    極パターンを形成する工程と、該セラミックグリーンシ
    ートを複数積層し、これを所定温度で加圧して電子部品
    成形体を作製する工程と、該電子部品成形体を、所定位
    置で切断してチップ状成形体を作製する工程とを具備す
    る積層型電子部品の製法であって、前記電子部品成形体
    を作製する工程が、前記内部電極パターンが形成された
    セラミックグリーンシートを複数積層し、これを前記セ
    ラミックグリーンシートが軟化する温度で、かつ前記内
    部電極パターンが軟化しない温度に加熱して加圧板によ
    り加圧した後、前記内部電極パターンが軟化する温度ま
    で加熱して前記加圧板により加圧し、前記電子部品成形
    体を作製することを特徴とする積層型電子部品の製法。
  4. 【請求項4】セラミックグリーンシートの軟化温度か
    ら、内部電極パターンの軟化温度までの加圧力を段階的
    に大きくすることを特徴とする請求項3記載の積層型電
    子部品の製法。
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