JP3878916B2 - 積層型電子部品の製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型電子部品の製法に関し、特にセラミックグリーンシートと導体パターンとを積層してなる積層成形体を作製し、この積層成形体を加熱加圧して素子本体成形体を作製し、この素子本体成形体を脱脂処理し焼成する積層型電子部品の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、積層型電子部品の製法として、セラミックグリーンシートを積層し、セラミックグリーンシートに含有されたバインダ樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱すると共に積層方向に加圧して仮圧着することで予備積層体を形成した後、切断してユニット体を形成し、この後、複数のユニット体を積層し、積層方向に加圧すると共に仮圧着工程以上の温度で加熱して本圧着を行い素子本体成形体を得、この素子本体成形体を脱脂処理し焼成する製法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、近年においては、例えば、小型の積層型圧電アクチュエータで大きな圧力下において大きな変位量を確保するため、より高い電界を印加し、長期間連続駆動させることが行われている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−314161号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の積層型電子部品の製法では、仮圧着工程においてバインダ樹脂をガラス転移点以上の温度で加熱すると共に加圧することにより、ユニット体の粉末充填率が向上するため、複数のユニット体を積層し、仮圧着時の温度以上で加熱して加圧する本圧着工程において、隣接するユニット体の界面近傍における粉末充填率の変化が少ないため、ユニット体間での密着力が低く、脱脂、焼成時にデラミネーション(層間剥離)やクラックの原因となり、連続駆動時のクラックの起点となり、積層型圧電アクチュエータの動作不良を引き起こし易いという問題があった。
【0006】
また、ユニット体の仮圧着工程と、複数のユニット体を積層するための本圧着工程を有するため、ユニット単体として見ると複数回の加圧を行うことになり、素子本体成形体内の気孔が殆ど除去されるため、脱脂時のガスを気孔を介して十分に外部に排出することができず、セラミックグリーンシートと内部電極との界面にバインダの飛散に伴う応力が大きく発生し、デラミネーションやクラックを発生する確率が大きくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、デラミネーション、クラック等の発生を抑制することができ、高信頼性が得られる積層型電子部品の製法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型電子部品の製法は、セラミック粉末及び有機バインダを含有する複数のセラミックグリーンシートと複数の導体パターンとを積層してなる積層体成形体を作製する工程と、該積層成形体を加熱した状態で加圧して素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を脱脂処理し焼成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、積層前の前記セラミックグリーンシートのセラミック粉末充填率(X1)と、前記素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)が5%以上であり、且つ、前記素子本体成形体内に気孔を含有せしめることを特徴とする。
【0009】
本発明の積層型電子部品の製法では、積層前のセラミックグリーンシートのセラミック粉末充填率(X1)と、素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)を5%以上とすることにより、複数のセラミックグリーンシートと複数の導体パターンとの積層成形体を加熱した状態で加圧して一体化する際に、セラミックグリーンシートの厚みが薄くなって、セラミックグリーンシートを構成するセラミック粉末が、隣接するセラミックグリーンシートのセラミック粉末もしくは導体パターンの金属粉末に十分に絡み合い、セラミックグリーンシート同士の界面、及びセラミックグリーンシートと導体パターンの界面における気孔を低下させ、密着力を向上させることができる。
【0010】
また、上記したように界面における気孔を低下するものの、素子本体成形体内に気孔を含有するため、脱脂時に有機バインダの燃焼によるガスを気孔を介して十分に除去することができ、脱脂、及び焼成後におけるデラミネーションやクラックの発生を抑制できる。
【0011】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)が50%以上であることを特徴とする。このような積層型電子部品の製法では、焼成時の収縮量を低下させることができ、セラミックグリーンシートと導体パターンとの界面での収縮差によるデラミネーション、クラック等の発生を抑制することができる。
【0012】
さらに、本発明の積層型電子部品の製法では、素子本体成形体内に1%以上の気孔を含有せしめることを特徴とする。上記したように、セラミックグリーンシート同士の界面、及びセラミックグリーンシートと導体パターンの界面における気孔を低下できるものの、この積層型電子部品の製法では、素子本体成形体内に1%以上の気孔を含有するため、脱脂時に有機バインダの燃焼によるガスを気孔を介して十分に除去することができ、脱脂、及び焼成後におけるデラミネーションやクラックの発生を抑制できる。
【0013】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、積層成形体を、有機バインダの軟化点以上の温度に加熱した状態で加圧して素子本体成形体を作製することを特徴とする。これにより加熱加圧時におけるセラミック粉末充填率(X2)を大きくでき、粉末充填率(X2)の差(X2−X1)を大きくできると共に、セラミックグリーンシートの界面、及びセラミックグリーンシートと導体パターンとの界面における気孔含有率を低下させ、密着力を向上することができる。
【0014】
さらに、本発明の積層型電子部品の製法では、積層前のセラミックグリーンシートにおけるセラミック粉末の平均粒径が0.3〜0.9μmであることを特徴とする。これにより、加熱加圧後のセラミック粉末充填率(X2)を容易に高くすることができ、焼成時の収縮量をさらに低下させることができる。
【0015】
また、本発明の積層型電子部品の製法では、セラミックグリーンシート中のセラミック粉末が圧電セラミック粉末であることを特徴とする。本発明では、デラミネーションやクラックの発生を抑制できるため、高電界で連続駆動される圧電セラミック粉末を用いた積層型圧電素子に好適に用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の積層型電子部品の製法は、先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉末(セラミック粉末)と、アクリル樹脂、ブチラール樹脂などの有機高分子からなる有機バインダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、例えばスリップキャステイング法により、厚み50〜250μmのセラミックグリーンシートを作製する。
【0017】
本発明では、セラミックスの仮焼粉末の平均粒径は0.3〜0.9μmであることが望ましい。セラミックスの仮焼粉末の平均粒径を0.3μm以上とすることにより、セラミックグリーンシート作製時の乾燥クラック発生防止のために必要な有機バインダを少量とすることができ、加熱加圧工程後のセラミック粉末充填率を大きくすることができる。このような理由から、セラミック粉末の平均粒径は、特には、0.5μm以上であることが望ましい。
【0018】
一方、セラミックスの仮焼粉末の平均粒径を0.9μm以下とすることにより、焼成時の焼結を充分に行うことができ、磁器強度を高くでき、例えば積層型圧電アクチュエータにおいて電界により発生する応力によるクラックの発生を抑制できる。このような理由から、セラミック粉末の平均粒径は、特には、0.8μm以下であることが望ましい。
【0019】
また、セラミックグリーンシートの厚みは絶縁強度を向上させるという理由から90μm以上、特には、100μm以上であることが望ましい。また、セラミックグリーンシートの取り扱い時のクラック発生を防止するために、有機バインダとしては、高い引張強度を有するブチラール樹脂を用いることが望ましい。グリーンシート中における有機バインダ量は、セラミック粉末100重量部に対して5〜10重量部であることが望ましい。
【0020】
次に、作製されたグリーンシートを所定の寸法に打ち抜いた後、図1に示すようにグリーンシート1の片面に、内部電極2となる銀−パラジウム及び溶媒を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷し、乾燥させて内部導体パターン2を形成する。特に、内部導体パターン2の厚みが厚いほどグリーンシート1との段差が発生し、密着強度が低下し易いため、内部導体パターン2の厚みは3μm以上の場合に、本発明を好適に用いることができる。
【0021】
図1に示した内部導体パターン2は矩形状をなしており、矩形状のグリーンシート1よりも小さい面積を有しており、内部導体パターン2の一辺はグリーンシート1の一辺に重なり、他の辺には重ならないように形成されている。即ち、部分電極構造となっている。
【0022】
次に、図2に示すように、内部導体パターン2が形成されたグリーンシート1を、内部導体パターン2の一辺が積層成形体の対向する側面に交互に露出するように所定の枚数だけ積層して活性部積層成形体3aを作製し、この活性部積層成形体3aの上下面に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシート1を複数積層してなる不活性部成形体3bを積層し、積層成形体3を作製する。グリーンシート1の積層は有機バインダの軟化点以下で行うことが望ましい。これにより、金型からの脱型が容易となり、作業性が向上する。有機バインダの軟化点以上で積層すると、有機バインダが軟化するため、粉体の再配列が起こりやすく粉末充填率の変化が大きいため、後の素子本体成形体を得る工程での密着力が低下するからである。
【0023】
尚、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシート1を複数積層して、下側の不活性部積層成形体3bを作製した後、この不活性部積層成形体3b上に、内部導体パターン2が形成された複数のグリーンシート1を所定の枚数だけ積層して活性部積層成形体3aを積層し、この活性部積層成形体3a上に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシート1を複数積層して上側の不活性部積層成形体3bを積層し、積層成形体3を作製しても良い。
【0024】
次に、この積層成形体3を有機バインダの軟化点以上の温度で加熱を行いながら加圧を行い、積層成形体3を一体化し、素子本体成形体を得る。このとき、素子本体成形体の前後でのセラミック粉末充填率の変化率、即ち積層前のグリーンシート1のセラミック粉末充填率(X1)と、素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)を5%以上とし、且つ、素子本体成形体内に気孔を含有せしめることが重要である。
【0025】
セラミック粉末充填率の差(X2−X1)を5%以上としたのは、5%よりも小さい場合には、積層成形体3を加熱した状態で加圧して一体化する際に、グリーンシート1を構成するセラミック粉末が、隣接するグリーンシート1のセラミック粉末もしくは内部導体パターン2の金属粉末に十分に絡み合わず、密着力が低下するからである。セラミック粉末充填率の差(X2−X1)は、グリーンシート1同士、もしくはグリーンシート1と内部導体パターン2との密着力を向上するため、5.5%以上、気孔を含有するという点から8%以下であることが望ましい。
【0026】
尚、積層前のグリーンシート1のセラミック粉末充填率(X1)は、バインダ量を低減することにより脱脂性を向上させ、且つ有機バインダによる密着力を向上させるという点から、下限は40%以上、特には44%以上であり、上限は50%以下、特には47%以下であることが望ましい。セラミック粉末充填率(X1)を低くするには、グリーンシート作製工程において、スラリー塗布後の乾燥温度を下げたり、スラリー塗布後乾燥までの時間を長くすることにより達成できる。
【0027】
また、素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)は、素子本体成形体内に気孔を1%以上確保するという点から51〜58%、特には52〜55%であることが望ましい。尚、素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)とは、内部導体パターンの金属含有率は素子本体成形体と比較してごく僅かであり、しかもPbを含有するセラミック粉末重量は内部導体パターンの金属とほぼ同等であるため、実質的に素子本体成形体におけるグリーンシートのセラミック粉末充填率を意味する。
【0028】
また、素子本体成形体(脱脂前)に気孔を含有せしめたのは、セラミックグリーンシート1中に気孔を含有しない場合、脱脂時に有機バインダによるガスを十分に除去することができないからである。素子本体成形体の気孔含有率は、脱脂性を向上させるという点から1%以上が望ましく、密着力の向上という点から10%以下が望ましい。
【0029】
ここで、素子本体成形体の前後でのセラミック粉末充填率の変化率、及び気孔含有率は、以下の手順で求められる。
【0030】
即ち、積層前のグリーンシート1の密度をρ1、このグリーンシート1を脱脂させた後の密度をρ2、セラミック粉末の密度をρ3、有機バインダの密度をρ4とすると、積層前のセラミック粉末充填率(X1%)はρ2/ρ3×100で算出される値である。ここで、グリーンシート1を脱脂させた後の密度をρ2とは有機バインダ及び可塑剤を95%以上飛散させた状態の密度のことである。グリーンシート1中の気孔含有率(%)は、100−{ρ2/ρ3+(ρ1−ρ2)/ρ4}×100の式で算出される値である。
【0031】
同様に、素子本体成形体(加熱加圧した後)の密度をρ5、素子本体成形体を脱脂させた後の密度をρ6、セラミック粉末の密度をρ3、有機バインダの密度をρ4とすると、セラミック粉末充填率(X2%)はρ6/ρ3×100で算出される値である。ここで、素子本体成形体を脱脂させた後の密度をρ6とは有機バインダ及び可塑剤を95%以上飛散させた状態の密度のことである。素子本体成形体中の気孔含有率(%)は、100−{ρ6/ρ3+(ρ5−ρ6)/ρ4}×100の式で算出される値である。気孔を含有するとは、上記気孔含有率が0より大きいということを意味する。
【0032】
セラミック粉末充填率の変化率(X2−X1)は、積層前のグリーンシート1のセラミック粉末充填率(X1)と、素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)で表されるため、積層前のグリーンシート1におけるセラミック粉末充填率(X1)を求め、加熱加圧した後の素子本体成形体におけるセラミック粉末充填率(X2)を求め、その差(X2−X1)を求めることにより得られる。
【0033】
また、本発明では、素子本体成形体のセラミック粉末充填率X2は50%以上であることが望ましい。これにより、脱脂、焼成時にセラミックスと内部電極2との界面に気孔の発生を低減することが可能となり、デラミネーション、クラック等の発生を抑制することができる。
【0034】
また、本発明では、積層成形体3を、有機バインダの軟化点以上の温度に加熱した状態で加圧して素子本体成形体を作製することが望ましい。有機バインダの軟化温度とは、有機バインダのガラス転移点でもよいが、可塑剤を含有する場合にはその限りではなく、有機バインダのガラス転移点より低い温度でもよい。
【0035】
例えば、有機バインダとしてブチラール樹脂を用いる場合には、軟化温度は25〜40℃であるため、加熱温度は50〜100℃であることが望ましい。この範囲なら積層成形体を十分に密着することができ、積層精度を向上できる。尚、軟化温度は以下の式により算出される。バインダのガラス転移点をT1、可塑剤の融点をT2、バインダと可塑剤の体積分率をそれぞれV1、V2とすると、軟化温度T0=(T1×V1+T2×V3)/(V1+V2)にて算出される。
【0036】
これにより加圧時に気孔含有率を低下させると共に、セラミックグリーンシート1の界面、及びセラミックグリーンシート1と内部電極2の界面の密着力を向上することができる。また、加圧する方法としては金型や静水圧による加圧等があり、その圧力は粉末充填率を5%以上変化させ、且つ50%以上となる圧力であればよい。また、圧力を過度に上げることで気孔含有率を1%より低下させると、バインダを除去する脱脂時に、セラミックグリーンシート1と内部電極2の界面にバインダが飛散する応力がかかるためデラミネーション、及びクラックが発生する場合がある。また、積層精度を向上させるという点で静水圧による加圧が望ましく、その圧力は、20〜120MPaであることが望ましい。
【0037】
ここで、セラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)を5%以上とするためには、グリーンシート1を作製するためのセラミック粉末の平均粒径を0.3〜0.9μmとし、グリーンシート作製工程において、スラリー塗布後の乾燥温度を下げたり、スラリー塗布後乾燥までの時間を長くして、40〜50%の低いセラミック粉末充填率(X1)とし、有機バインダの軟化点以下で積層成形体3を作製し、積層成形体3を有機バインダの軟化点以上の温度に加熱した状態で加圧して素子本体成形体を作製することにより達成できる。また、素子本体成形体内に気孔を含有せしめるには、プレスの回数を低減し、好ましくは1回のみプレスすることも有効である。
【0038】
一体化された素子本体成形体は所定の大きさに切断された後、大気中において400〜800℃で5〜40時間の脱脂を行ない、この後、900〜1200℃において2〜5時間で本焼成が行われ、図3に示すような素子本体33を得る。この素子本体33は、圧電体層41と内部電極42が交互に積層された活性部を有しており、その対向する側面には内部電極42の一辺が交互に露出している。
【0039】
つぎに、図4に示すように、素子本体33の内部電極42の端部が露出した側面に熱硬化性の導電性接着剤を塗布し、この導電性接着剤を熱硬化させることにより、外部電極44を形成する。これにより、内部電極42は互い違いに1層おきに外部電極44にそれぞれ接続される。
【0040】
また、外部電極44は、銀を主成分とする銀ガラスペーストを塗布し500〜900℃で熱処理することにより形成してもよい。
【0041】
尚、本発明の積層型電子部品の製法は、積層型圧電トランス、積層型コンデンサ、積層型圧電アクチュエータ等の積層型電子部品の製法に好適に用いられる。特に高電界にて連続駆動される、圧電セラミックを用いた積層型圧電アクチュエータにおいては、本発明の積層型電子部品の製法は好適に用いられる。
【0042】
また、グリーンシートの面積が広くなると、グリーンシート同士、グリーンシートと内部導体パターンとの密着性が低くなる傾向があるため、グリーンシートの面積は、100cm2以上の場合に本発明を好適に用いることができる。
【0043】
さらに、上記形態では、図2に示したように、一つの積層成形体3により一つの素子本体を作製したが、一枚のグリーンシートに複数の内部導体パターンを形成し、このグリーンシートを複数積層して、多数の素子本体成形体を作製しうるマザーの積層成形体を作製し、この積層成形体を所定寸法で切断して、多数の図2に示すような素子本体成形体を一度に作製する積層型電子部品の製法に本発明を適用しても良いことは勿論である。このような場合には、上記したように、グリーンシートの面積が広くなるため、本発明を好適に用いることができる。
【0044】
また、グリーンシートの積層数が多くなるに従い、グリーンシート同士、グリーンシートと内部導体パターンとの密着性が低くなる傾向があるため、特に、グリーンシートの積層数は20層以上、さらには100層以上の場合に、本発明を好適に用いることができる。
【0045】
さらにまた、上記形態では、グリーンシートの一部に内部導体パターンを形成した部分電極構造の素子本体成形体を作製する場合について説明したが、グリーンシートに対する内部導体パターンの面積比率が多くなるとグリーンシート同士、グリーンシートと内部導体パターンとの密着性が低くなる傾向があるため、特に、グリーンシートに対する内部導体パターンの面積比率が70%以上の場合に、本発明を好適に用いることができる。さらには、グリーンシートの全面に内部導体パターンを形成した全面電極構造の素子本体成形体を作製する場合には、本発明を好適に用いることができる。
【0046】
【実施例】
チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3からなる粒径0.3〜0.9μmの圧電体セラミックスの仮焼粉末(セラミック粉末)と、軟化温度が40℃のブチラール樹脂からなる有機バインダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、100mm×100mmで厚み150μmのグリーンシート1を作製した。積層前のグリーンシート1のセラミック粉末充填率(X1)は47%であった。
【0047】
このグリーンシート1の片面に、図1に示したように、内部電極42となる銀−パラジウムと、溶媒を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷法により4μmの厚みに印刷し、内部導体パターン2を形成した。内部導体パターン2が形成されたグリーンシート1を300枚積層し、この積層体の上下面に、導電性ペーストを塗布していないグリーンシート1を20枚ずつ積層し、図2に示すような積層体成形体3を作製した。
【0048】
次に、この積層成形体を金型内に配置し、90℃で加熱を行いながら静水圧プレスにより100MPaの加圧を行い一体化し、素子本体成形体を作製した。この素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)を求めたところ53%であった。セラミック粉末充填率の差(X2−X1)は6%であり、素子本体成形体の気孔含有率(%)は2.5%であった。
【0049】
これを10mm×10mmの大きさに切断した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、1130℃において2時間本焼成を行い、素子本体33を得た。脱バインダ前の素子本体成形体のグリーンシートに対する面積比率は80%であった。
【0050】
その後、活性部の対向する側面に、銀を主成分とする導電性樹脂を塗布し、250℃で1時間の熱処理をすることにより外部電極44を形成し、本発明の積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0051】
また、実施例2として静水圧プレスを50MPaとし粉末充填率を52%、気孔含有率を3.5%とした以外は、上記実施例と同様に積層型圧電アクチュエータを作製し、実施例3として静水圧プレスを100MPaで2回のプレスとし粉末充填率を54%、気孔含有率を1%とした以外は、上記実施例と同様に積層型圧電アクチュエータを作製し、実施例4としてグリーンシートの粉末充填率を44%とし、静水圧プレスを100MPaでプレスとし粉末充填率を52%、気孔含有率を3%とした以外は、上記実施例と同様に積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0052】
また、比較例1として、内部導体パターン2が形成されたグリーンシート1を50枚積層し、この積層成形体を金型内に配置し60℃で加熱を行いながら50MPaの加圧を行い粉末充填率を4%変化させ51%の成形体を作製し、30mm×30mmに切断した後、これらを6個重ねて金型内に配置し、90℃で加熱を行いながら金型の上下より100MPaの加圧を行い一体化し、粉末充填率を2%変化させ53%とした後、10mm×10mmに切断し素子本体成形体を得た以外は実施例と同様に積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0053】
また、比較例2として、上記実施例1の積層成形体を30℃で加熱を行いながら50MPaの加圧を行い粉末充填率を2%変化させ49%とし、気孔含有率が3%の素子本体成形体を得た以外は実施例1と同様にして積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0054】
それぞれの積層型圧電アクチュエータの脱脂、焼成後までのデラミネーション、クラックを双眼顕微鏡にて観察し、その不良率を表1に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003878916
【0056】
この表1から、セラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)が2%の比較例2では、積層界面においてデラミネーションの発生により焼成後までに45%が不良となった。また、素子本体成形体のグリーンシート1中の気孔含有率(%)が2%の比較例1では、焼成後までの不良が10%と多かった。また、駆動試験を行ったところ、後の検査では50層のユニット間でのデラミネーションが発生し不良が多発した。本発明による実施例では粉末充填率の変化率が5%以上であり、気孔を1%以上含有しているため、界面の密着力も良好であり、駆動試験後も不良は全く発生しなかった。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の積層型電子部品の製法では、積層前のセラミックグリーンシートのセラミック粉末充填率(X1)と、素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)が5%以上であり、且つ、素子本体成形体内に気孔を含有せしめることにより、グリーンシートと導体パターンとの界面の密着状態を良好にさせ、脱脂、焼成時のデラミネーションやクラックの発生を抑制することができ、高信頼性を備えた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックグリーンシート上に内部導体パターンを形成した状態を示す平面図である。
【図2】積層成形体を示す分解斜視図である。
【図3】素子本体を示す断面図である。
【図4】積層型圧電アクチュエータからなる積層型電子部品を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・セラミックグリーンシート
2・・・内部導体パターン
3・・・積層成形体

Claims (6)

  1. セラミック粉末及び有機バインダを含有する複数のセラミックグリーンシートと複数の導体パターンとを積層してなる積層体成形体を作製する工程と、該積層成形体を加熱した状態で加圧して素子本体成形体を作製する工程と、該素子本体成形体を脱脂処理し焼成する工程とを具備する積層型電子部品の製法であって、積層前の前記セラミックグリーンシートのセラミック粉末充填率(X1)と、前記素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)の差(X2−X1)が5%以上であり、且つ、前記素子本体成形体内に気孔を含有せしめることを特徴とする積層型電子部品の製法。
  2. 素子本体成形体のセラミック粉末充填率(X2)が50%以上であることを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品の製法。
  3. 素子本体成形体内に1%以上の気孔を含有せしめることを特徴とする請求項1又は2記載の積層型電子部品の製法。
  4. 素子本体成形体は、積層成形体を、有機バインダの軟化温度以上の温度に加熱した状態で加圧して作製されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の積層型電子部品の製法。
  5. 積層前のセラミックグリーンシートにおけるセラミック粉末の平均粒径が0.3〜0.9μmであることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の積層型電子部品の製法。
  6. セラミックグリーンシート中のセラミック粉末が圧電セラミック粉末であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれかに記載の積層型電子部品の製法。
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