JP3455983B2 - 磁気記録再生装置のテープローディング方法 - Google Patents

磁気記録再生装置のテープローディング方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、ビデオテー
プレコーダ（ＶＴＲ）の回転ヘッドドラムの回りに磁気
テープをローディングする磁気記録再生装置のテープロ
ーディング方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】例えば、磁気テープを用いる磁気記録再
生装置としてのＶＴＲにおいては、巻取りリール台側を
ブレーキレバー等でロックして供給リール台側より磁気
テープを引き出したり巻き戻したりしてローディングす
るのが一般的である。このローディング方法では、リミ
ッタトルクの大きな供給リール台側で磁気テープを引き
出したり巻き取るため、テープダメージが起き易い欠点
があった。この欠点を解消するために、供給リール台側
をブレーキレバー等でロックしてリミッタトルクの小さ
な巻取りリール台側で磁気テープを引き出したり巻き取
るようにしたＶＴＲが普及しつつある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記巻
取りリール台側で磁気テープを引き出したり巻き戻した
りするＶＴＲのローディング方法では、巻取りリール台
側（テープカセットの巻取りリール）にテープが巻かれ
ていない（巻数が少ないときも含む）所謂テープトップ
の場合に、このテープトップの状態を光センサ等で検出
して一旦ローディングを中止して磁気テープを巻取りリ
ール台側に巻き取り（テープカセット内の巻取りリール
にテープを巻き取り）、それから再度ローディングする
方法が採られているため、テープトップ処理に長い時間
を要し、また、テープトップ処理用の複雑で高価な機構
が必要不可欠であった。
【０００４】そこで、この発明は、テープダメージを防
ぐことができると共に、容易且つ短時間でテープをロー
ディングすることができる磁気記録再生装置のテープロ
ーディング方法を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】供給と巻取りの一対のリ
ール台の間に、キャプスタンモータの駆動によりいずれ
か一方のリール台の歯部に噛合するように揺動する振り
子ギヤを備えた磁気記録再生装置のテープローディング
方法において、テープ引き出し時に供給リール台の歯部
にブレーキを掛けることなく上記振り子ギヤを噛合させ
て該供給リール台を停止させた状態で巻取りリール台側
からテープガイドによりテープを引き出し、テープ巻き
戻し時に上記振り子ギヤを上記巻取りリール台の歯部に
噛合させて該巻取りリール台を回転させて巻取りリール
台側にテープを巻き戻すようにすると共に、上記供給リ
ール台側のリミッタトルクを上記巻取りリール台側のリ
ミッタトルクより大きくしたトルクリミッタ機構を備え
た一対のリール台を用いてテープの引き出しと巻き戻し
をそれぞれ行い、上記テープの巻き戻しを行うときに
は、上記供給リールのリール台本体と所定の上記リミッ
タトルクで相対的に回転可能に構成したリミッタギアの
歯部に、ブレーキレバーを歯合させることで、上記供給
リールにブレーキをかけるようにし、上記供給リール側
からの余分な磁気テープの流出を防ぐようにしてテープ
をローディングする。
【０００６】また、上記巻取りリール台側にテープが巻
かれていない場合のテープ引き出し時に上記振り子ギヤ
を上記巻取りリール台の歯部に噛合させて該巻取りリー
ル台を回転させて上記供給リール台側からテープを引き
出すようにしてテープをローディングする。
【０００７】
【作用】リミッタトルクの小さい巻取りリール台側でテ
ープを引き出したり、巻き取ったりするようにしたこと
により、テープローディング（テープ引き出し）時やテ
ープアンローディング（テープ巻き戻し）時にテープダ
メージがない。このテープローディング時に、供給リー
ル台は振り子ギヤにより停止状態になっており、テープ
ガイドにより巻取りリール台側からテープが確実に引き
出される。一方、上記テープの巻き戻しを行うときに
は、供給リールのリール台本体と所定のリミッタトルク
で相対的に回転可能に構成したリミッタギアの歯部に、
ブレーキレバーを歯合させることで、供給リールにブレ
ーキをかけるので、供給リール側からの余分な磁気テー
プの流出が防止される。また、巻取りリール台側にテー
プが巻かれていない場合（所謂トップテープの場合）の
テープ引き出し時には振り子ギヤにより巻取りリール台
を回転させて供給リール台側からテープを引き出すよう
にしたので、容易且つ短時間でテープが引き出される。
【０００８】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面と共に詳述
する。
【０００９】図１において、１は磁気記録再生装置のテ
ープローディング方法に用いられる所謂８ミリ方式のＶ
ＴＲ（磁気記録再生装置）であり、磁気テープ１０の引
き出し及び巻き戻しを巻き取りリール台４′側で行うも
のである。このＶＴＲ１は、シャーシ２（図３にのみ示
す）上に図示しないモータにより駆動される回転ヘッド
ドラム３を回転自在に支持してある。この回転ヘッドド
ラム３は、固定ドラム３ａと回転ドラム３ｂとを備えて
いる。また、上記シャーシ２上には、所定の間隔を隔て
て供給リール台４と巻取りリール台４′を回転自在に支
持してある。この一対のリール台４，４′の後述する各
リール台本体４０，４０′は、キャプスタンモータ５か
らタイミングベルト９等を介して駆動すると共に左右に
揺動する振り子ギヤ（首振りギヤ）２０によりいずれか
一方が図示しないテープカセット内の磁気テープ１０を
巻き取る方向に回転駆動するようになっている。尚、図
１中、符号１１はキャプスタンモータ５に圧接するピン
チローラである。また、符号１２，１３及び１５，１６
は磁気テープ１０をローディングするためのテープガイ
ドであり、スライダ１３及び１７により回転ヘッドドラ
ム３の回りを図示しないローディング機構を介して往復
移動するようになっている。
【００１０】上記キャプスタンモータ５に連結された駆
動プーリ６とシャーシ２に支軸７を介して支持された従
動プーリ８との間には環帯状のタイミングベルト９を架
け渡してある。また、図１，２に示すように、上記シャ
ーシ２の支軸７に併設された支軸２１には金属板製の揺
動板２２の基部を回転自在に支持してある。この揺動板
２２の略中央の下面側には軸２３を介して合成樹脂製の
上記振り子ギヤ２０を回転自在に支持してある。この振
り子ギヤ２０と揺動板２２との間には円板環状のフェル
トマット２４を介在してあり、振り子ギヤ２０と軸２３
との間に介在された圧縮コイルバネ２５により振り子ギ
ヤ２０はフェルトマット２４側に付勢されてロストルク
が生じるようになっている。これにより、キャプスタン
モータ５の回転方向によって振り子ギヤ２０はいずれか
一方のリール台４（４′）側に揺動して噛合するように
なっている。また、この振り子ギヤ２０は支軸２１の軸
受２６に回転自在に支持された中間ギヤ２７に噛合され
ていると共に、この中間ギヤ２７は上記従動プーリ８の
外周面の一部に形成された歯部８ａに噛合されている。
【００１１】また、上記供給リール台４の下側のシャー
シ２の上には、磁気テープ１０の巻き戻し時（テープア
ンローディング時）に供給リール台４にブレーキを与え
るブレーキレバー３０を支軸３１により回転自在に支持
してある。このブレーキレバー３０は、磁気テープ１０
を引き出す時（テープローディング時）に供給リール台
４にブレーキを掛けないようにするために図示しないワ
ンウェイのカム機構によりその先端部３０ａが供給リー
ル台４の後述するリミッタギヤ４５の歯部４５ａに噛
合，離反自在になっている。
【００１２】供給リール台４は、シャーシ２に立設した
軸２９に円筒状の軸部４０ａを介して回転自在に支持さ
れている略円板状のリール台本体４０と、このリール台
本体４０の軸部４０ａに圧縮コイルバネ４１により常に
上方に付勢されているリール爪４２と、上記リール台本
体４０の円板部４０ｂの下面側にインサート成形により
支持されているヨーク板４３と、このヨーク板４３に吸
着されているプラスチックマグネット４４と、上記軸２
９の下部に略円筒状の軸部４５ａを介して回転自在に支
持されているリミッタギヤ４５と、このリミッタギヤ４
５にアウトサート成形により一体化されている磁性板４
６と、上記プラスチックマグネット４４とリミッタギヤ
４５の軸部４５ａとの間に介在されているスラストワッ
シャ４７とで構成されている。
【００１３】図３に示すように、リール台本体４０は合
成樹脂により形成され、その円板部４０ｂの下面側にイ
ンサート成形により円板状のヨーク板４３を支持してあ
る。このヨーク板４３の下面には異方性を有するプラス
チックマグネット４４を吸着により取付けてある。ま
た、リール台本体４０の軸部４０ａの上部には軸方向に
図５に示す合成樹脂製のリール爪４２を摺動自在に嵌挿
していると共に、その円板部４０ｂの外周部に歯部４０
ｃを一体成形してある。また、リミッタギヤ４５は合成
樹脂により形成してあり、アウトサート成形により円板
状の磁性板４６を一体化してある。さらに、このリミッ
タギヤ４５の外周部に歯部４５ｃを一体成形してある。
スラストワッシャ４７は非磁性材により円環板状に形成
してあり、リール台本体４０とリミッタギヤ４５との相
対的な回転が発生した場合に摩擦摺動を減少安定させる
ものである。
【００１４】上記ヨーク板４３とプラスチックマグネッ
ト４４と磁性板４６及びスラストワッシャ４７とでトル
クリミッタ機構５０が構成されている。この磁性板４６
（リミッタギヤ４５）とプラスチックマグネット４４
（リール台本体４０）との間で相対的な回転が発生した
場合、この間で定常的なロストルクが発生するようにな
っている。また、プラスチックマグネット４４の摩耗を
防ぐために、プラスチックマグネット４４と磁性板４６
との間には所定のクリアランスを設けてある。このクリ
アランスは、プラスチックマグネット４４をヨーク板４
３とリミッタギヤ４５の軸部４５ａの段差状の水平部４
５ｂとの間でスラストワッシャ４７を介して挾持するこ
とにより常に所定値に確保されている。そして、リール
台本体４０とリミッタギヤ４５はプラスチックマグネッ
ト４４と磁性板４６との間に生じる磁気吸引力によって
軸２９を中心にして共に回転するようになっている。
尚、上記トルクリミッタ機構５０は約２ｍＮ・ｍ〜３ｍ
Ｎ・ｍ（約２０ｇ・ｃｍ〜３０ｇ・ｃｍ）のリミッタト
ルクを発生する。
【００１５】また、図７，８に巻取りリール台４′を示
す。この巻取りリール台４′はリール台本体４０′の最
外周面に歯部が形成されていない点とプラスチックマグ
ネット４４の磁力が供給リール台４のものより弱い点以
外は該供給リール台４と同様であるので、同一部分には
同一符号を付して詳細な説明は省略する。尚、この巻取
りリール台４′のトルクリミッタ機構５０は約１ｍＮ・
ｍ（約１０ｇ・ｃｍ）のリミッタトルクを発生する。こ
れにより、供給リール台４側のリミッタトルクの方が巻
取りリール台４′側のリミッタトルクより大きくなって
いる。
【００１６】以上構成のＶＴＲ１によるテープローディ
ング方法について説明する。まず、一対のリール台４，
４′上に所定手段を介して装填された図示しないテープ
カセット内から磁気テープ１０を回転ヘッドドラム３の
回りに引き出すテープロディング時（テープ引き出し
時）には、図１に２点鎖線で示すように、供給リール台
４のリミッタギヤ４５の歯部４５ａに振り子ギヤ２０を
噛合させて該供給リール台４を停止させた状態にする。
次に、各一対のテープガイド１２，１３及び１５，１６
を各スライダ１４及び１７により回転ヘッドドラム３の
回りに移動させることにより巻取りリール台４′側（テ
ープカセットの巻取りリール）より磁気テープ１０を図
１中２点鎖線の矢印で示すように引き出してローディン
グする。この時、供給リール台４を振り子ギヤ２０によ
り停止状態にしておくことにより、供給リール台４側
（テープカセットの供給リール）から磁気テープ１０が
流出することはない。
【００１７】また、上記巻取りリール台４′側（テープ
カセットの巻取りリール）に磁気テープ１０が巻かれて
いない（巻数が少ないときも含む）所謂テープトップの
場合のテープ引き出し時には、キャプスタンモータ５を
図１中ＣＣＷ方向に回転させて振り子ギヤ２０を上記巻
取りリール台４′のリミッタギヤ４５の歯部４５ａに揺
動，噛合させて該巻取りリール台４′を回転させること
により、供給リール台４側（テープカセットの供給リー
ル）から磁気テープ１０を容易且つ短時間で図１中点線
の矢印で示すように引き出してローディングする。
【００１８】さらに、磁気テープ１０をテープカセット
内に巻き戻す時には、キャプスタンモータ５を図１中反
時計方向（ＣＣＷ方向）に回転させて振り子ギヤ２０を
上記巻取りリール台４′のリミッタギヤ４５の歯部４５
ａに噛合させて巻取りリール台４′を回転させる。これ
により、巻取りリール台４′側（テープカセットの巻取
りリール）に磁気テープ１０を図１中１点鎖線の矢印で
示すように巻き取る。この時、供給リール台４のリミッ
タギヤ４５の歯部４５にブレーキレバー３０の先端部３
０ａを噛合させて供給リール台４にブレーキをかけてお
くことにより、供給リール台４側からの余分な磁気テー
プ１０の流出を防ぐことができる。
【００１９】また、回転ヘッドドラム３の外周面に磁気
テープ１０が巻き着いてしまう所謂結露状態の時には、
キャプスタンモータ５を図１時計方向（ＣＷ方向）に回
転させて振り子ギヤ２０を供給リール台４のリミッタギ
ヤ４５の歯部４５ａに噛合させて該供給リール台４を回
転させて供給リール台４側に磁気テープ１０を巻き取る
と共に、回転ヘッドドラム３の回転ドラム３ｂの回転方
向である反時計方向に該回転ドラム３ｂを回転させるこ
とにより、磁気テープ１０の巻き着き状態が弱い結露の
場合には、磁気テープ１０の結露状態を簡単に解除する
ことができる。尚、磁気テープ１０の巻き着き状態が強
い結露の場合には、回転ドラム３ｂの回転異常により回
転ヘッドドラム３の結露状態或は回転ドラム３ｂの不良
状態を検出する。
【００２０】尚、前記実施例によれば、マグネットを利
用したトルクリミッタ機構を有するリール台を用いた
が、フェルトマットを利用したトルクリミッタ機構を有
するリール台に適用してもよい。また、８ミリ方式のＶ
ＴＲのテープローディング方法について説明したが、Ｖ
ＨＳ方式のＶＴＲ等各種の磁気記録再生装置のテープロ
ーディング方法に適用してもよい。
【００２１】
【発明の効果】以上のように、この発明の磁気記録再生
装置のテープローディング方法によれば、リミッタトル
クの小さい巻取りリール台側でテープを引き出したり、
巻き取ったりするようにしたので、テープローディング
時やテープアンローディング時にテープダメージを確実
に防止することができる。このテープローディング時
に、供給リール台を振り子ギヤにより停止状態にしてお
いてテープガイドによりテープを引き出すようにしたこ
とにより、上記供給リール台側からのテープの流出を防
いで巻取りリール台側からテープを確実に引き出すこと
ができる。一方、上記テープの巻き戻しを行うときに
は、供給リールのリール台本体と所定のリミッタトルク
で相対的に回転可能に構成したリミッタギアの歯部に、
ブレーキレバーを歯合させることで、供給リールにブレ
ーキをかけるので、供給リール側からの余分な磁気テー
プの流出が防止される。
【００２２】また、上記巻取りリール台側にテープが巻
かれていない場合のテープ引き出し時に、振り子ギヤに
より巻取りリール台を回転させて供給リール台側からテ
ープを引き出すようにしたので、容易且つ短時間でテー
プを引き出してローディングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明の一実施例に用いられるＶＴＲの概略
平面図。
【図２】上記ＶＴＲに用いられる振り子ギヤの断面図。
【図３】上記ＶＴＲに用いられる供給リール台の断面
図。
【図４】上記供給リール台に用いられるリール台本体の
平面図。
【図５】上記供給リール台に用いられるリール爪の平面
図。
【図６】上記供給リール台に用いられるリミッタギヤの
断面図。
【図７】上記ＶＴＲに用いられる巻取りリール台の断面
図。
【図８】上記巻取りリール台に用いられるリール台本体
の平面図。
【符号の説明】
１…ＶＴＲ（磁気記録再生装置） ４…供給リール台 ４′…巻取りリール台 ５…キャプスタンモータ １０…磁気テープ ２０…振り子ギヤ ５０…トルクリミッタ機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) G11B 15/665 G11B 15/22 G11B 15/43

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 供給と巻取りの一対のリール台の間に、
    キャプスタンモータの駆動によりいずれか一方のリール
    台の歯部に噛合するように揺動する振り子ギヤを備えた
    磁気記録再生装置のテープローディング方法において、 テープ引き出し時に供給リール台の歯部にブレーキを掛
    けることなく上記振り子ギヤを噛合させて該供給リール
    台を停止させた状態で巻取りリール台側からテープガイ
    ドによりテープを引き出し、 テープ巻き戻し時に上記振り子ギヤを上記巻取りリール
    台の歯部に噛合させて該巻取りリール台を回転させて巻
    取りリール台側にテープを巻き戻すようにすると共に、 上記供給リール台側のリミッタトルクを上記巻取りリー
    ル台側のリミッタトルクより大きくしたトルクリミッタ
    機構を備えた一対のリール台を用いてテープの引き出し
    と巻き戻しをそれぞれ行い、 上記テープの巻き戻しを行うときには、上記供給リール
    のリール台本体と所定の上記リミッタトルクで相対的に
    回転可能に構成したリミッタギアの歯部に、ブレーキレ
    バーを歯合させることで、上記供給リールにブレーキを
    かけるようにし、上記供給リール側からの余分な磁気テ
    ープの流出を防ぐようにした ことを特徴とする磁気記録
    再生装置のテープローディング方法。
  2. 【請求項２】 上記巻取りリール台側にテープが巻かれ
    ていない場合のテープ引き出し時に上記振り子ギヤを上
    記巻取りリール台の歯部に噛合させて該巻取りリール台
    を回転させて上記供給リール台側からテープを引き出す
    ようにしたことを特徴とする請求項１記載の磁気記録再
    生装置のテープローディング方法。
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