JP3446731B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Info

Publication number
JP3446731B2
JP3446731B2 JP2000293047A JP2000293047A JP3446731B2 JP 3446731 B2 JP3446731 B2 JP 3446731B2 JP 2000293047 A JP2000293047 A JP 2000293047A JP 2000293047 A JP2000293047 A JP 2000293047A JP 3446731 B2 JP3446731 B2 JP 3446731B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
resin composition
circuit board
semiconductor chip
composition according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000293047A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002097255A (ja
Inventor
賢次 北村
直樹 金川
知明 根本
眞治 橋本
裕久 日野
太郎 福井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP2000293047A priority Critical patent/JP3446731B2/ja
Publication of JP2002097255A publication Critical patent/JP2002097255A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3446731B2 publication Critical patent/JP3446731B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体チップの回
路基板への実装面積を極小化するにあたって、半導体チ
ップと回路基板とを金属バンプを用いて電気的に接続す
ることによって行うフリップチップ実装に用いられるエ
ポキシ樹脂組成物に関するものである。より詳しくは、
金属バンプによる接続と同時に硬化することによって、
半導体装置の製造工程を短縮化することができる、いわ
ゆるリフロー同時硬化封止材又はノーフロー封止材と呼
ばれるエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成
物を用いて製造される半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂などでパッケージングされた
半導体チップを回路基板へ実装する際には、半田付けが
広く利用されていたが、その後は電子機器の小型化を進
めるために、半導体チップをパッケージに収容せずに直
接回路基板に搭載するようにしたベアチップ実装が考え
出された。そしてこのベアチップ実装の初期において
は、チップオンボード(COB)と呼ばれる方式が採用
されていた。即ちこの方式は、半導体チップの回路面の
裏側を回路基板に接着し固定すると共に、半導体チップ
の回路と回路基板の電極とを金線などの金属ワイヤでワ
イヤボンディングしてから、半導体チップと金属ワイヤ
とを樹脂で封止するというものである。
【0003】その後、半導体チップの回路基板への実装
面積の極小化を更に進めるために、フリップチップ実装
と呼ばれる方式が登場した。この方式は、半導体チップ
の回路と回路基板の電極とを金属バンプを用いて電気的
に接続するというものである。具体的には、例えば、予
め半導体チップの回路の端子電極上に密着金属や拡散防
止金属の蒸着膜を形成し、更にその上にメッキにより半
田の突起電極を形成しておく。このようにして形成され
た突起電極が金属バンプである。そしてこの金属バンプ
を回路基板の電極に対向させて半導体チップをフェース
ダウンにし、高温に加熱することによって、金属バンプ
を形成する半田を回路基板の電極に融着させ、半導体チ
ップを回路基板に実装するというものである。このよう
な実装方式は、金属バンプによる接続後の機械的強度が
強く、また接続が一括にできることなどから有効な方法
であるとされている(例えば、工業調査会、1980年
1月15日発行、日本マイクロエレクトロニクス協会
編、「IC化実装技術」)。
【0004】またC4(Controlled Collapse Chip Con
nection)と呼ばれるフリップチップ実装に関しては、
米国特許5121190号や特開平6−61303号公
報等に示されているように、半導体チップと回路基板
(上記公報においては、チップ担体等と記載)とを接続
するハンダ結合物の信頼性を確保するために、半導体チ
ップと回路基板との間の間隙に封止材(上記公報におい
ては、封入剤等と記載)を充填するようにしたハンダ相
互結合物構造とその製造方法が提案されている。
【0005】またOMB(Other Metal Bonding)と呼
ばれる実装方式に関しては、例えば、半田で形成された
金属バンプと、金で表面が形成された回路基板の電極と
が接合されると共に、半導体チップと回路基板との間の
隙間に液状の封止材が充填されて封止が行われている。
【0006】更に上記のベアチップ実装以外のものとし
ては、例えば、チップスケールパッケージ(CSP)や
ボールグリッドアレイ(BGA)等のように、半導体チ
ップと同程度の大きさを有する半導体パッケージを回路
基板に実装するにあたって、多ピン化や高密度化を可能
とするために、上記のような半導体パッケージに金属バ
ンプを設け、回路基板と電気的に接続するようにした形
式のものも増えてきている。
【0007】これらの先行技術において、液状の封止材
が必要とされる最大の理由としては、半導体チップが回
路基板に実装された半導体装置の温度サイクル性を高め
るということが挙げられる。通常、半導体チップと回路
基板との熱膨張係数は異なるものであり、従って、実使
用条件下では金属バンプ付近に熱サイクルがかかり、こ
れにより同じ付近に繰り返し剪断応力が働き疲労現象が
起こるものである。そのため、封止材が用いられていな
い未封止の半導体装置においては、このようにして生じ
る応力を分散させることができず、容易に金属バンプに
クラックなどが生じて破壊が起こるものである。これに
対し、封止材により封止された半導体装置においては、
この封止材が応力を分散させる働きを持つため、金属バ
ンプの破壊が防止されるものである。
【0008】また近年、利用者が急増している携帯電話
やパーソナルハンディフォンシステム(PHS)に代表
される携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assis
tant)には、CSPやBGA等の半導体パッケージが実
装されているものであるが、このような携帯情報端末の
使用環境を考慮すると、上記の半導体パッケージ等に落
下衝撃力や折り曲げ応力等の動的応力がかかることは十
分に考えられる。従って、このような動的応力によって
金属バンプの破壊が起こらないようにするためにも、液
状の封止材が必要とされるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】既述したように、半導
体チップと回路基板とを金属バンプによって電気的に接
続する際には、通常半田が用いられている。このため半
田付け時においては、電気的な接続の信頼性を確保する
ために、半田の濡れ性を高めておく必要がある。そし
て、このような場合にはフラックスが使用され、金属表
面の酸化膜除去などの処理が行われているものである。
ここでフラックスとしては、アビエチン酸やピマル酸を
主成分とする松ヤニ(ロジン)が代表的に用いられてい
る。
【0010】しかしながら、フラックスは半田付け時に
おいてのみ必要とされるものであって、これ以降の半導
体装置の製造工程、例えば、封止材による封止の際に、
フラックスが残留していると樹脂濡れ不良が発生するも
のである。また通常用いられているフラックスは、前述
したような天然物であるために不純物を含有し、この不
純物によって回路に腐食が引き起こされるものである。
【0011】このようなことから、半導体チップと回路
基板とを金属バンプによって接合した後の工程で、フラ
ックスを洗浄除去する工程が必要とされる。このような
洗浄工程にあたって、過去においてはフレオン等の有機
塩素系の溶剤が用いられていたが、この物質はオゾン層
を破壊するために近年においては使用が回避されるよう
になった。そこで最近では、環境への負荷が小さい水を
洗浄媒体として使用することができる水溶性フラックス
が選定されることが多くなった。しかしながら、このよ
うな水溶性フラックスとしては、クエン酸やリンゴ酸な
どが用いられており、これらのものも従来用いられてい
たフラックスと同様に、酸性の有機酸であるため、洗浄
を完璧に行わなければ回路腐食の原因となるものであ
る。
【0012】一方、フラックスの選定と共に洗浄プロセ
スも、フラックスの除去に大きく影響する。例えば、洗
浄プロセスとしては一般的に超音波洗浄が行われている
ものであるが、このような洗浄を強力に行うと、接合さ
れている金属バンプが半導体チップや回路基板から外れ
てしまう場合がある。従って、金属バンプによる接合部
に損傷を与えることなく、洗浄を行うという点も重要で
ある。
【0013】以上のように、半導体チップと回路基板と
を金属バンプを介して半田付けにより行う接合において
は、フラックスによる処理とその洗浄とに多くの工程が
必要となると共に、技術的課題も多くフリップチップ実
装のボトルネックになっているものである。
【0014】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、フリップチップ実装の工程を簡素化するために、
フラックス除去の工程を不要とし、半田で形成される金
属バンプによる接続と封止材の硬化とを同時に行うこと
ができると共に、硬化物の温度サイクル性、フィレット
性、耐湿信頼性が優れたエポキシ樹脂組成物、及びこの
エポキシ樹脂組成物を用いて製造される半導体装置を提
供することを目的とするものである。またCSPやBG
A等の実装に用いられる場合でも、上記と同様の特性を
有すると共に衝撃や曲げなどの動的強度に優れたエポキ
シ樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤を必須成
分とする室温で液状のエポキシ樹脂組成物において、硬
化剤として、下記の式(A)で示される酸無水物を含有
し、かつアビエチン酸又はセバシン酸の少なくとも一方
をエポキシ樹脂組成物全量に対して0.1〜10質量%
含有して成ることを特徴とするものである。
【0016】
【化3】
【0017】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型
エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、又は脂
環式エポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を使用するこ
とを特徴とするものである。
【0018】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、エポキシ樹脂のエポキシ当量と硬化剤の硬化剤
当量との比率が100:60〜100:120であるこ
とを特徴とするものである。
【0019】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、200℃におけるゲルタイムが1〜
7分であることを特徴とするものである。
【0020】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、無機充填材として、最大粒径が0.
5〜20μmであり、かつ窒素吸着法によるBET比表
面積が30m2/g以下である球状非晶質シリカ又はア
ルミナの少なくとも一方をエポキシ樹脂組成物全量に対
して真比重換算で40体積%以下含有することを特徴と
するものである。
【0021】また請求項6の発明は、請求項1乃至5の
いずれかにおいて、カップリング剤として、シランカッ
プリング剤又はチタネートカップリング剤の少なくとも
一方を使用することを特徴とするものである。
【0022】また請求項7の発明は、請求項1乃至6の
いずれかにおいて、添加剤として、下記の式(B)で示
される化合物又は下記の式(C)で示される化合物を、
エポキシ樹脂組成物全量に対して0.01〜1質量%含
有することを特徴とするものである。
【0023】
【化4】
【0024】また本発明の請求項8に係る半導体装置
は、半導体チップに形成された金属バンプを回路基板の
電極に接合することによって、半導体チップが回路基板
にフリップチップ実装された半導体装置において、半導
体チップの回路基板側の面、又は回路基板の半導体チッ
プ側の面の少なくとも一方に塗布された請求項1乃至7
のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を介して半導体
チップと回路基板とが接触していると共に、金属バンプ
又は回路基板の電極のいずれか低い方の溶融温度以上に
加温することにより、半導体チップと回路基板とが電気
的に接続され、かつ上記のエポキシ樹脂組成物が硬化さ
れて成ることを特徴とするものである。
【0025】また請求項9の発明は、請求項8におい
て、金属バンプが半田で形成されていることを特徴とす
るものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0027】本発明に係るエポキシ樹脂組成物は、エポ
キシ樹脂及び硬化剤を必須成分とすると共に、アビエチ
ン酸又はセバシン酸の少なくとも一方を含有するもので
あり、室温において液状のものである。以下、上記各成
分の詳細について順に説明する。
【0028】本発明においてエポキシ樹脂としては、室
温におけるエポキシ樹脂組成物が液状となれば、特に限
定されるものではなく、市販されている液体エポキシ樹
脂や固体エポキシ樹脂を適宜使用することができる。固
体エポキシ樹脂を使用する場合は、有機溶剤などに溶解
させるなどして液状のエポキシ樹脂組成物を調製するこ
とができる。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル骨
格を有するビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含
有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタ
ジエン骨格を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポ
キシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ
樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等を挙げること
ができ、これらの中から1種のみ又は2種以上を選んで
使用することができる。
【0029】特に上記のエポキシ樹脂の中では、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキ
シ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有
エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂のうちの少なくとも
1種を使用することが好ましく、これによってエポキシ
樹脂組成物の粘度を低下させると共に硬化物の物性を向
上させることができるものである。
【0030】また本発明において硬化物としては、上記
の式(A)で示される酸無水物を用いるものである。こ
こで式中、R1〜R3はそれぞれ炭素数1〜6の炭化水
素基又は水素原子を表すと共に、これらの基の炭素原子
数の合計は6、水素原子数の合計は13となるものであ
る。このような酸無水物は、分子式C1016で示される
モノテルペンのうち炭素間二重結合を1分子内に3つ持
ち、そのうち2つの二重結合が共役している化合物(以
下、トリエンのモノテルペンという)と、無水マレイン
酸とをDiels-Alder(ディールス・アルダー)反応によ
り6員環化させて合成されるものである。従って、この
6員環に結合しているR1〜R3は、トリエンのモノテ
ルペン由来であると考えることができる。尚、トリエン
のモノテルペンとは、モノテルペン類の中で環状構造を
有しないものである。
【0031】例えばトリエンのモノテルペンとしては、
下記の式(D)で示されるミルセンを挙げることができ
るが、このミルセンは下記の化学反応式(I)で示され
るように無水マレイン酸と反応し、式(A−1)(上記
の式(A)の具体例)で示される酸無水物が生成され
る。ここで、この酸無水物の6員環を形成する炭素原子
のうち、4つのものには式中に表記するように便宜上そ
れぞれ3〜6の番号を付け、以下では例えば番号3を付
けた炭素原子を3位の炭素原子と表現し、各炭素原子を
特定することとする。式(A−1)に示されるように、
R1は炭化水素基であり4位の炭素原子に結合してお
り、このR1には炭素原子が6個、水素原子が11個含
まれている。このときR2及びR3はいずれも水素原子
に限定されるが、これらR2及びR3は、3位、5位、
又は6位の炭素原子に結合しているいずれかの水素原子
と考えることができる。従って、R1〜R3の炭素原子
数の合計は6、水素原子数の合計は13となる。
【0032】
【化5】
【0033】また上記とは別のトリエンのモノテルペン
としては、下記の式(E)で示されるオシメンのβ型を
挙げることができるが、このオシメンのβ型は下記の化
学反応式(II)で示されるように無水マレイン酸と反応
し、式(A−2)(上記の式(A)の他の具体例)で示
される酸無水物が生成される。この式(A−2)に示さ
れるように、R1及びR2はいずれも炭化水素基であ
り、それぞれ3位及び4位の炭素原子に結合しており、
R1とR2とに含まれる炭素原子は合わせて6個、水素
原子は合わせて12個である。このときR3は水素原子
に限定されるが、このR3は3位、5位、又は6位の炭
素原子に結合しているいずれかの水素原子と考えること
ができる。従って、R1〜R3の炭素原子数の合計は
6、水素原子数の合計は13となる。
【0034】
【化6】
【0035】更にまた上記とは別のトリエンのモノテル
ペンとしては、下記の式(F)で示されるものを挙げる
ことができるが、このものは下記の化学反応式(III)
で示されるように無水マレイン酸と反応し、式(A−
3)(上記の式(A)の更に他の具体例)で示される酸
無水物が生成される。この式(A−3)に示されるよう
に、R1〜R3はいずれも炭化水素基であり、それぞれ
3位、4位及び6位の炭素原子に結合しており、R1〜
R3の炭素原子数の合計は6、水素原子数の合計は13
となる。
【0036】
【化7】
【0037】上記の3例は、R1〜R3として炭化水素
基が1個、2個、3個の場合を示したものであるが、天
然物由来のテルペンはトリエン(炭素間二重結合を1分
子内に3つ持つもの)であっても構造異性体が多く、純
粋品として構造を1つに限定することは実際には困難で
ある。そのため本発明に用いる式(A)で示される酸無
水物としては、具体例として挙げた上記のトリエンのモ
ノテルペンから生成されるもののみに限定されるもので
はない。
【0038】そして硬化剤として、式(A)で示される
酸無水物がエポキシ樹脂組成物中に含有されていると、
このエポキシ樹脂組成物はフリップチップ実装におい
て、いわゆるリフロー同時硬化封止材又はノーフロー封
止材として、好適な特性を発現することができるもので
ある。ここでリフロー同時硬化材とは、半田をリフロー
させる際の加熱により硬化する封止材をいい、ノーフロ
ー封止材とは、半導体チップと回路基板との位置合わせ
の際に、これらの間から流れ出さないような封止材をい
う。式(A)で示される酸無水物が好ましい理由は今の
ところ明らかではないが、モノテルペンの構造がエポキ
シ樹脂組成物中の他の成分と相互に作用し合って影響し
ているものと推察される。従って、上記のリフロー同時
硬化封止材等としての特性は、従来の代表的な液状酸無
水物であるメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHP
A)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)
だけでは実現することが不可能である。尚、式(A)で
示される酸無水物がエポキシ樹脂組成物中に含有されて
いることが必要であって、これが満たされていれば、上
記のMHHPAやMTHPAなどのように1分子中に1
個以上の無水酸基を有する酸無水物も硬化剤として併用
することができる。
【0039】上記のエポキシ樹脂と硬化剤との化学量論
上の反応基のモル比、即ちエポキシ当量と硬化剤当量と
の比率(当量比)は、100:60〜100:120で
あることが好ましく、より好ましくは、100:75〜
100:100である。この範囲を外れた場合、つま
り、エポキシ樹脂のエポキシ当量100に対して硬化剤
の硬化剤当量が60未満であると、エポキシ樹脂組成物
が硬化し難くなったり、硬化しても硬化物の耐熱性が低
下したり、硬化物の強度が低下したりするおそれがあ
る。また逆に、硬化剤当量が120を超えると、硬化物
の耐熱性が低下したり、硬化後の接着強度が低下した
り、硬化物の吸湿率が高くなったりするおそれがある。
尚、本発明では硬化剤として酸無水物を使用しているた
め、硬化剤当量を酸無水物当量ともいう。
【0040】また本発明においては、アビエチン酸又は
セバシン酸の少なくとも一方をエポキシ樹脂組成物全量
に対して0.1〜10質量%含有するものである。ここ
でアビエチン酸は、松ヤニ(ロジン)の主成分として知
られ、C20302で示されるジテルペン類であり、セ
バシン酸は、1,8−オクタンジカルボン酸の一般名称
である。また、これらのもののエポキシ樹脂組成物中に
おける含有率が0.1質量%未満であると、フラックス
としての機能を発現することができず、金属バンプと回
路基板の電極との接合不良が増加するものであり、逆に
10質量%を超えると、金属バンプと回路基板の電極と
の接合不良を低減することはできるが、硬化物の信頼性
の低下を引き起こすものである。
【0041】尚、アビエチン酸やセバシン酸に関し、本
発明において上記のような構成とするに至った経緯は次
の通りである。「溶接・接合便覧(溶接学会編)」に記
載されているように、ロジンは錫−鉛系半田用の半田付
けフラックスとして、一方、、セバシン酸はその活性剤
として知られている。しかし、ロジンを半導体チップ等
の半田接合のフラックスとして用いると、天然物である
ロジンに含まれる不純イオンのために半田接合部の金属
部分に腐食が発生するものであった。またロジンもセバ
シン酸も、一般の半田付けにおいては、フラックスとし
ての効果は認められているが、エポキシ樹脂組成物中に
共存した状態ではフラックスとしての機能を十分に発現
できないものであった。更に、このような状態で製造さ
れた半導体装置にあっては、フラックス成分が樹脂中に
残存することとなるため、腐食等が発生し、半導体装置
としての耐湿信頼性を低下させる原因となるものであ
る。そこで、本発明者等は以上の点を踏まえて鋭意検討
した結果、不純イオン混入のおそれがないアビエチン酸
又はセバシン酸の少なくとも一方をエポキシ樹脂組成物
全量に対して0.1〜10質量%含有し、式(A)で示
される酸無水物と同時にエポキシ樹脂組成物中に配合す
ることで、エポキシ樹脂組成物の硬化過程におけるフラ
ックスの機能発現と、硬化後の耐湿信頼性確保との両立
が可能であることを発見し、更に温度サイクル性、フィ
レット性にも優れることを発見して、本発明を完成する
に至ったものである。
【0042】また本発明においては、後述するゲルタイ
ムを調節するために、硬化促進剤を適宜使用することが
できる。この硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と式
(A)で示される酸無水物等の硬化剤との反応を促進し
得る化合物であれば、特に限定されるものではなく、例
えば1〜3級のアミン類若しくはその塩、トリアゾール
類若しくはその塩、イミダゾール類若しくはその塩、有
機金属錯塩、有機酸金属塩、第4級アンモニウム塩、ホ
スフィン類、ホスホニウム塩、ジアザビシクロアルケン
類若しくはその塩などの公知のものを1種のみ又は2種
以上混合して使用することができる。
【0043】更に、上記のように単一の化学構造を持つ
もの以外にも、一液性エポキシ樹脂とする場合には、イ
ミダゾール骨格を有する化合物を核とするものであって
この核の周囲を熱硬化性樹脂による被膜で被覆して得ら
れる微細球粒子(いわゆるマイクロカプセル)、又はア
ミンアダクト粒子を硬化促進剤として好適に用いること
ができる。上記マイクロカプセルは、乳化重合等の一般
的な方法により作製することができ、被膜としては、フ
ェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムア
ルデヒド樹脂、エポキシ樹脂を好適に用いることができ
る。またマイクロカプセルのサイズ(粒径)は、50μ
m以下が好ましく、10μm以下が更に好ましく、特に
好ましくは5μm以下である。このようにサイズが小さ
くなるほど、金属バンプと回路基板の電極とを溶融一体
化する際に障害とならないものであり、またマイクロカ
プセルがエポキシ樹脂組成物中に均一に分散され、得ら
れる硬化物全体を均質とすることができるものである。
尚、上記のイミダゾール系の核を持つマイクロカプセル
型の硬化促進剤としては、商品名「ノバキュア」として
旭化成工業(株)から市販されているものを用いること
ができる。一方、アミンアダクト粒子とは、アミンやイ
ミダゾール、アミノ酸、アミド等と各種エポキシ樹脂と
から合成されるものをいい、このアミンアダクト粒子の
サイズ(粒径)も上記のマイクロカプセルと同様に、5
0μm以下が好ましく、10μm以下が更に好ましく、
特に好ましくは5μm以下である。そしてサイズが小さ
くなるほど、金属バンプと回路基板の電極とを溶融一体
化する際に障害とならないものであり、硬化物全体を均
質とすることができるものである。尚、アミンアダクト
粒子の硬化促進剤としては、商品名「アミキュア」とし
て(株)味の素から市販されているものを用いることが
できる。
【0044】また本発明においては、無機充填材とし
て、最大粒径が0.5〜20μmであり、かつ窒素吸着
法によるBET比表面積が30m2/g以下である球状
非晶質シリカ又はアルミナの少なくとも一方をエポキシ
樹脂組成物全量に対して真比重換算で40体積%以下含
有することが好ましい。このように好ましい無機充填材
として、最大粒径、窒素吸着法によるBET比表面積、
及び真比重換算による体積%を上記のように限定するよ
うにしたのは以下の通りである。
【0045】まず本発明において最大粒径とは、無機充
填材をフルイにかけ、99質量%以上100質量%未満
のものがフルイを通過した場合におけるフルイの網目の
大きさとして定義されるものであるが、目開きが40μ
m程度以下になるとフルイ効率が著しく低下し、更に1
0μm以下になるとフルイの入手も困難になるので、実
際には粒度分布測定装置によって測定されたフルイ下累
積分布(その粒子径以下に全体の何%の粒子が存在する
かを示す分布)から、99%点の粒子径(この粒子径以
下に全体の99%の粒子が存在する)を特定することで
示される。そして無機充填材の最大粒径が0.5μm未
満であると、充填材としては微細過ぎてエポキシ樹脂組
成物の粘性・チクソ性が増し、金属バンプと回路基板の
電極とが溶融一体化する際の障害となり、接合不良が増
すおそれがあるため好ましくない。逆に最大粒径が20
μmを超えると、充填材が金属バンプと回路基板の電極
との間に挟まれスペーサーとなって、金属バンプと回路
基板の電極とが溶融一体化する際の障害となり、接合不
良が増すおそれがあり好ましくない。更にリフロー半田
付け時における加温によって樹脂が低粘度化し、比重の
大きい充填材が沈降して、鉛直方向について充填材含有
率の不均一が生じるおそれもあり好ましくない。
【0046】次に、窒素吸着法によるBET比表面積と
は、窒素を基準の気体として用い、BET式により得る
単分子層完結時の吸着量から求められる比表面積(単位
質量当りの表面積)のことをいうが、本発明においては
球状非晶質シリカやアルミナ等の無機充填材のBET比
表面積が30m2/gを超えると、粒径が数10nm以
下のいわゆる超微粉成分が多くなり、エポキシ樹脂組成
物の粘性・チクソ性が増し、金属バンプと回路基板の電
極とが溶融一体化する際の障害となって、接合不良が増
すおそれがあり好ましくない。BET比表面積の下限
は、0.2m2/gとしているが、理論的には幾何計算
を行うことにより求められる。即ち、球状非晶質シリカ
の場合は、比重2.2、直径20μmの球とすると、
0.14m2/gと求められ、一方、アルミナの場合
は、比重3.96、直径20μmの球とすると、0.0
8m2/gと求められる。しかしながら、実際上、BE
T比表面積を0.2m2/gを下回って上記の幾何計算
値に近付けようとすると、ふるい分け等の分級操作を湿
式で実施した後に、この操作で使用した液体を乾燥した
り、液体架橋した粉体(強固な凝集体)を解砕するなど
微粉を徹底して除去する工程やそれに付随する工程が必
要となり、著しいコストアップにつながり、現実的では
なくなるものである。
【0047】また本発明において真比重換算の体積%と
は、充填材の配合質量÷充填材の真比重で得られる充填
材の真体積(Vf)と、充填材以外の樹脂成分の配合質
量÷その真比重で得られる充填材以外の真体積(Vr)
とから、Vf÷(Vf+Vr)×100の式により求め
られる値のことをいう。そして無機充填材の含有率がエ
ポキシ樹脂組成物全量に対して真比重換算で40体積%
を超えると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、金
属バンプと回路基板の電極とが溶融一体化する際の障害
となり接合不良が増すおそれがあり好ましくない。尚、
実用上の下限値は、10体積%である。
【0048】ここで、既述したように、球状非晶質シリ
カとアルミナとは混合して使用することができるが、こ
のように比重の異なる充填材を併用する場合には、予め
平均比重を求めておき、これをもとにして前述した式に
より、真比重換算の体積%を決定することができる。具
体的には、n種類の充填材からなるものの平均比重は、
各充填材の配合質量をWi、真比重di(i=1〜n)
として、ΣWi/Σ(Wi/di)(i=1〜n)によ
り求めることができる。
【0049】尚、球状非晶質シリカの粒子形状は、その
名が示す通り球状であって、これによりエポキシ樹脂組
成物の粘度を低くすることができ、金属バンプと回路基
板の電極との接合不良を低減することができるものであ
る。一方、アルミナの粒子形状についても、球状非晶質
シリカと同様の効果が得られることから、板状や破砕状
のものよりも球状あるいは球状に近い正多面体状のもの
が好適である。
【0050】また、エポキシ樹脂組成物がα線で悪影響
を受けるおそれのある半導体チップの表面に接触して使
用される場合には、上記の球状非晶質シリカやアルミナ
としては、ウラン(U)やトリウム(Th)などの放射
性同位元素の含有率が少ないものを使用することが好ま
しい。このような場合における球状非晶質シリカやアル
ミナのUやThの含有率は、好ましくは0.5ppb以
下であり、更に好ましくは0.1ppb以下である。
【0051】また本発明においては、カップリング剤と
して、シランカップリング剤又はチタネートカップリン
グ剤の少なくとも一方を使用することが好ましい。これ
らのものを式(A)で示される酸無水物と共にエポキシ
樹脂組成物中に含有させておくと、硬化物と半導体チッ
プ及び回路基板との界面の接着性が向上し、半導体装置
の耐湿信頼性を高めることができるものである。
【0052】ここで、シランカップリング剤としては、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキ
シシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリル
トリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニル
トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラ
ン、更に、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タ
イプのシラン等を用いることができ、特に、エポキシシ
ラン、アミノシラン、メルカプトシランが好適である。
【0053】一方、チタネートカップリング剤として
は、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イ
ソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チ
タネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェー
ト)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチル
ホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジト
リデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−
ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシ
ル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロ
ホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジ
オクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を
用いることができる。
【0054】これらのカップリング剤は、単独で使用し
ても良いし、2種類以上を混合して使用することもでき
る。このときカップリング剤の含有率としては、エポキ
シ樹脂組成物全量に対して0.1〜1質量%、あるいは
充填材に対して0.3〜2質量%が好ましい。また上記
のカップリング剤は、予め湿式法あるいは乾式法で充填
材を処理することによって使用しても良く、あるいは充
填材の配合有無に関係なく、樹脂に混合するインテグラ
ルブレンド法を行うことによって使用しても良い。
【0055】また本発明においては、上記の式(B)で
示される化合物、又は式(C)で示される化合物を添加
剤として、エポキシ樹脂組成物全量に対して0.01〜
1質量%含有させることが好ましい。より好ましい含有
率は0.05〜0.5質量%である。これらの化合物の
含有率が0.01質量%未満であると、金属バンプと回
路基板の電極との接合不良を低減することができないお
それがあり、逆に含有率が1質量%を超えると、上記の
接合不良は悪化することはないが、耐湿信頼性やエポキ
シ樹脂組成物の貯蔵可能期間が短縮されるおそれがあ
る。ここで、式(B)で示される化合物は、アルキルポ
リエーテルアミンであり、ヒドロキシエチルラウリルア
ミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエ
チレングリコールステアリルアミン等があり、1分子中
のエチレングリコールの基数が1〜10のものを用いる
ことができる。一方、式(C)で示される化合物は、ポ
リエチレングリコールアルキルフェノールエーテルであ
り、ポリエチレングリコールノニルフェノールエーテル
やポリエチレングリコールオクチルフェノールエーテル
等があり、それぞれポリエチレングリコールの鎖長が2
〜15のものを用いることができる。これらの化合物は
単独で使用しても良く、また2種類以上を併用しても良
い。
【0056】そして式(B)や式(C)で示される化合
物は、エポキシ樹脂組成物中において、式(A)で示さ
れる酸無水物及びアビエチン酸やセバシン酸と共存する
ことによって、金属バンプと回路基板の電極との接合不
良の低減に顕著な効果を有するものである。この理由は
今のところ明らかではないが、推察により以下の3点を
挙げることができる。即ち、1点目としては、式(B)
や式(C)で示される化合物がアビエチン酸やセバシン
酸の分散性を向上させてフラックスの機能を高めるとい
うことが考えられる。2点目としては、上記の化合物自
身がフラックスの機能を有しているということが考えら
れる。3点目としては、エポキシ樹脂組成物の超低剪断
域の粘度を下げて金属バンプと回路基板の電極とが溶融
一体化する際に樹脂の流動を起こし易くするということ
が考えられる。
【0057】更にエポキシ樹脂組成物には、本発明の目
的を損なわない限り、必要に応じて他の物質を配合する
こともできる。このような物質としては、難燃剤、低弾
性化剤、着色剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等
を例示することができる。
【0058】そして、均一な液状のエポキシ樹脂組成物
を調製するにあたっては、一般的には前述した各成分を
撹拌型の分散機で混合したり、ビーズミルで分散混合し
たり、3本ロールで分散混合したりすることによって行
うことができるものであるが、これらの方法に限定され
るものではない。このようにして得られたエポキシ樹脂
組成物は、フリップチップ実装における封止材として用
いることができる。
【0059】上記のようにしてエポキシ樹脂組成物を調
製する際には、予め200℃におけるゲルタイムが1〜
7分となるようにしておくことが好ましい。一般的に、
金属バンプを回路基板の電極に溶融接合させるリフロー
工程において、リフロー加熱の温度は200℃以上であ
り、あるいは半田の組成によっては最高温度が240℃
以上となったり、260℃以上となったりするものであ
る。このような場合において、予めエポキシ樹脂組成物
の200℃におけるゲルタイムを1〜7分となるように
調節しておけば、リフロー工程終了時には金属バンプと
回路基板の電極とが正常に接合されると共に、エポキシ
樹脂組成物が十分に硬化し金属バンプ付近におけるクラ
ックなどの破壊を確実に防止することができるものであ
る。但し、200℃におけるゲルタイムが1分よりも短
くなると、樹脂の硬化が早まり金属バンプと回路基板の
電極との溶融接合を妨げ、接合の不良率が高まるおそれ
がある。逆にゲルタイムが7分よりも長くなると、樹脂
の硬化が不十分となり、金属バンプ付近において樹脂に
よる応力分散の効果を十分に得ることができなくなり、
断線のおそれがある。尚、ゲルタイムを調節するにあた
っては、前述した硬化促進剤の種類と含有率とを適宜調
整して用いることによって行うことができる。
【0060】そして、上記のエポキシ樹脂組成物を用い
て半導体装置を製造するにあたっては、まず金属バンプ
が形成された半導体チップの回路基板側の面、又は回路
基板の半導体チップ側の面の少なくとも一方の面に上記
のエポキシ樹脂組成物を塗布する。
【0061】ここで上記の半導体チップとしては、樹脂
などによってパッケージングされていないダイ(チッ
プ)そのものや、CSPやBGAと呼ばれている半導体
パッケージを用いることができる。また、このような半
導体チップに形成される金属バンプは、半田や金などで
形成することができるが、エポキシ樹脂組成物によるフ
ラックスの効果をより高く得ようとするならば、金属バ
ンプは半田で形成されていることが好ましい。半田の方
が金よりもフラックスの効果を高く得ることができる理
由は、今のところ明らかではないが、例えば、両金属の
表面状態の違いによるものと推定することができる。つ
まり、半田表面の酸化膜は、アビエチン酸やセバシン酸
などの有機酸と反応し易いものであるのに対し、金の表
面層を形成する物質は、上記の酸化膜ほどは反応し易い
ものではないと考えられる。
【0062】一方、回路基板としては、FR4やFR5
などの繊維基材を含む有機基板、あるいは繊維基材を含
まないビルドアップ型の有機基板、更にポリイミドやポ
リエステルなどの有機フィルム、アルミナやガラスなど
の無機基板等を用いることができる。
【0063】次いで、半導体チップと回路基板とを、塗
布したエポキシ樹脂組成物を挟み込むようにして対向さ
せると共に、半導体チップに形成されている金属バンプ
と回路基板の電極との位置合わせを行い双方を接触させ
る。このように半導体チップと回路基板とがエポキシ樹
脂組成物を介して接触した状態で、リフロー加熱を行
う。このリフロー加熱は、金属バンプと回路基板の電極
とのいずれか低い方の溶融温度以上となるように加温し
て行うものである。このときの温度プロファイル、即ち
リフロープロファイルとしては、金属の種類や組成によ
り様々なパターンがある。例えば、金属バンプが錫・鉛
からなる低融点の共晶半田である場合には、室温から1
50℃に到達するまでに90秒間かかり、次の90秒間
で200℃に到達し、200℃以上を60秒間維持し、
その間における最高温度が240℃となるようなパター
ンを挙げることができる。そしてこのような温度プロフ
ァイルに基づいてリフロー加熱を行うことによって、金
属バンプ又は回路基板の電極の少なくともいずれか一方
が溶融して他方に溶着されると共に、エポキシ樹脂組成
物の硬化反応が進行するものである。この際、エポキシ
樹脂組成物のフィレット性は良好であるため、半導体チ
ップの側面から回路基板にかけてフィレットが自然に形
成されるものである。
【0064】そして、上記のようなリフロー工程の終了
時には、半導体チップと回路基板とが金属バンプによっ
て電気的に接続されていると共に、エポキシ樹脂組成物
が硬化しているものである。既述のように、本発明に係
るエポキシ樹脂組成物は、半田の濡れ性などを高めるフ
ラックスとしての機能を有し、しかも天然物によらない
ものであるため、半導体チップと回路基板との金属バン
プによる接続と、エポキシ樹脂組成物による封止とを同
時に行うことができるものであり、従って、従来は必要
であったフラックスの除去工程を省略することができる
ものである。尚、エポキシ樹脂組成物の硬化をより完全
にするために、更に後硬化(アフターベーク)を行って
も良い。このときの条件としては、120〜170℃の
温度で30分間〜3時間が好ましい。
【0065】このようにして製造される半導体装置にあ
って、半導体チップと回路基板とは、既述のエポキシ樹
脂組成物によって封止されているため、温度サイクル
性、耐湿信頼性に優れたものとなる。
【0066】更に半導体チップとして、CSPやBGA
等の半導体パッケージが回路基板に実装された半導体装
置にあっても、既述のエポキシ樹脂組成物により、実使
用条件下における衝撃や曲げなどの動的応力に十分対応
することができるものである。
【0067】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0068】(実施例1〜23及び比較例1〜3)実施
例1〜23に関しては、下記の表1〜3に示す配合量
(質量部)で、また比較例1〜3に関しては、下記の表
4に示す配合量(質量部)で、各成分をディスパー(特
殊機化工業製)を用いて分散・混合しエポキシ樹脂組成
物を調製した。
【0069】ここで、表1〜4において使用した原材料
は次のものである。
【0070】(エポキシ樹脂) 樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株
式会社製、品番「YD−8125」、エポキシ当量17
2) 樹脂B:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株
式会社製、品番「YD−8170」、エポキシ当量16
0) 樹脂C:ナフタレン環含有エポキシ樹脂(大日本インキ
化学工業株式会社製、品番「HP−4032」、エポキ
シ当量143) 樹脂D:ビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキ
シ株式会社製、品番「YX4000H」、エポキシ当量
192) 樹脂E:脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会
社製、品番「セロキサイド2021」、エポキシ当量1
34) (硬化剤) 硬化剤A:炭素数10個のトリエン(式(E)で示され
るオシメンのβ型)と無水マレイン酸とから合成された
脂環式酸無水物(式(A−2)で示される酸無水物、油
化シェルエポキシ株式会社製、品番「YH−306」、
酸無水物当量234) 硬化剤B:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHP
A、大日本インキ化学工業株式会社製、品番「B−65
0」、酸無水物当量168) (アビエチン酸・セバシン酸)アビエチン酸及びセバシ
ン酸は、ナカライテスク(株)製の工業用試薬を使用し
た。
【0071】(硬化促進剤) 硬化促進剤A:アミンアダクト(株式会社味の素製、品
番「アミキュアPN23」) 硬化促進剤B:イミダゾール類を核とするマイクロカプ
セル(旭化成工業株式会社製、品番「ノバキュアHX3
722」) (カップリング剤) カップリング剤A:γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン(日本ユニカー株式会社製、品番「A−18
7」) カップリング剤B:テトライソプロピルビス(ジオクチ
ルホスファイト)チタネート(株式会社味の素製、品番
「KR−41B」) (添加剤) 添加剤A:ポリエチレングリコールラウリルアミン(式
(B)で示される化合物、n=12、x+y=2、日本
油脂株式会社製、品番「ナイミーンL−202」) 添加剤B:ポリエチレングリコールステアリルアミン
(式(B)で示される化合物、n=18、x+y=9、
日本油脂株式会社製、品番「ナイミーンS−210」) 添加剤C:ポリエチレングリコールノニルフェノールエ
ーテル(式(C)で示される化合物、n=9、m=4又
は5、日本油脂株式会社製、品番「ノニオンNS−20
4.5」) 添加剤D:ポリエチレングリコールオクチルフェノール
エーテル(式(C)で示される化合物、n=8、m=
6、日本油脂株式会社製、品番「ノニオンNH−20
6」) (無機充填材) シリカA:球状非晶質シリカ(電気化学工業株式会社
製、品番「SFP−20X」、最大粒径0.7μm、B
ET比表面積18m2/g) シリカB:球状非晶質シリカ(株式会社アドマテックス
製、品番「SO−22R」、最大粒径2μm、BET比
表面積22m2/g) シリカC:球状非晶質シリカ(三菱レイヨン株式会社
製、品番「QS−4」、最大粒径14μm、BET比表
面積0.8m2/g) シリカD:球状非晶質シリカ(株式会社アドマテックス
製、品番「SO−E2」、最大粒径3μm、BET比表
面積11m2/g) アルミナA:丸みを帯びた粒状のαアルミナ(住友化学
工業株式会社製、品番「AA−2」、最大粒径7μm、
BET比表面積0.8m2/g、真比重3.96) アルミナB:球状αアルミナ(株式会社アドマテックス
製、品番「AO−502」、最大粒径5μm、BET比
表面積7m2/g、真比重3.6)
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】尚、上記の表1〜4において当量比(10
0:)とは、エポキシ当量100に対する酸化物当量を
示し、フィラー体積%とは、真比重換算した無機充填材
の体積%を示し、フィラー質量%とは、エポキシ樹脂組
成物中における無機充填材の質量%を示す。
【0077】また真比重換算した無機充填材の体積%を
算出するにあたって、充填材以外の樹脂成分の真比重は
1.2とし、シリカA〜Dの真比重はそれぞれ2.2と
すると共に、アルミナAとアルミナBとを質量比8:2
で混合したもの(実施例15の場合)については、それ
ぞれの真比重をもとに計算し、平均比重として3.88
とした。
【0078】そして、実施例1〜23及び比較例1〜3
で得られたエポキシ樹脂組成物の特性を次の方法で測定
した。測定結果を下記の表5〜7に示す。
【0079】(1)エポキシ樹脂組成物のゲルタイム 200℃の熱板上に、エポキシ樹脂組成物を約0.5g
置いた時点で計時を開始し、先を尖らせたテフロン(登
録商標)棒の先端でかき混ぜながら樹脂状態を観察し
た。樹脂が硬化して粘着性が無くなった時点で計時を終
了し、ゲルタイムを求めた。
【0080】(2)フリップチップの初期接続性 この試験に用いた回路基板と半導体チップは次の通りで
ある。即ち、回路基板上に共晶半田プリコートされた電
極と電気試験プローブ用の金メッキした電極を同じ面に
有するFR5グレード基板と、チップサイズ0.3m
m、厚み12mm角のCMOS(Complementary Metal-
Oxide Semiconductor)ゲートアレイICのチップ周辺
部に高さ150μmの共晶半田バンプが形成された半導
体チップを用いた。この回路基板のチップ搭載部に、各
実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物をディスペンサ
ーで約0.1g塗布し、回路基板の電極と金属バンプの
位置が合うように、半導体チップを位置合わせして半導
体チップを回路基板に押し付け、荷重無しのままリフロ
ー工程を通過させた。リフロー条件は、室温から150
℃まで90秒間で昇温し、150℃から200℃まで9
0秒間で昇温し、200℃から240℃まで30秒間で
昇温し、240℃から200℃まで30秒間で降温し、
以後30秒間で40〜50℃の割合で降温し、室温まで
冷却した。プローブを回路基板の金メッキした電極に当
てて電気的動作確認を行い、初期接続性を評価した。各
々のエポキシ樹脂組成物のものについて30個の初期接
続性を評価した。不良数/全数を下記の表5〜7に記載
する。
【0081】(3)フィレット性 (2)で評価した半導体装置について、半導体チップの
端部と回路基板との間にフィレットがどの程度形成され
ているかを観察した。半導体チップの4辺全てに同程度
のフィレットが形成されていれば「◎」、程度は異なっ
ても半導体チップの4辺全てにフィレットが形成されて
いれば「○」、1〜3辺にフィレットが形成されてい
て、フィレットが形成されていない辺があれば「△」、
どの辺にもフィレットが形成されていなければ「×」と
判定した。
【0082】(4)温度サイクル(TC)性 (2)で初期接続性を評価した半導体装置について、1
50℃の温度で1時間アフターキュアした後、半導体装
置の電気的動作確認結果が良品であったものを10個取
り出し、供試サンプルとした。次いでこれらの供試サン
プルについて、−55℃で30分間、室温で5分間、1
25℃で30分間、室温で5分間を1サイクルとする気
相の温度サイクル試験を行い、2000サイクルまで1
00サイクル毎に半導体装置の動作確認を行い、良否を
判定した。10個の供試サンプル中の不良数が、初めて
半数以上となったサイクル数を求めた。
【0083】(5)耐湿信頼(PCT)性 (4)と同様にして、硬化後の半導体装置の電気的動作
確認結果が良品であったものを10個取り出し、供試サ
ンプルとした。そしてこれらの供試サンプルについて、
2気圧で121℃のプレッシャークッカー試験(PC
T)を行い、1000時間まで50時間毎に半導体装置
の動作確認を行い、良否を判定した。10個の供試サン
プル中の不良数が、半数以上に到達したときの通算処理
時間を求めた。
【0084】(6)CSP落下衝撃性 この試験に用いたCSPは、10mm角のチップにアル
ミのくし型回路を設けた試験用素子を0.2mm厚のF
R5基板上にダイボンドし、20μmの金ワイヤーで低
ループのワイヤーボンドしたものを、トランスファ成形
用のフィラーコンテント88質量%のエポキシ樹脂組成
物でトランスファ成形封止し、チップ1個ずつに14m
m角に切り分けた後、直径300μmの半田ボールから
なるバンプを500μmピッチで周辺部に設けたもので
ある。また、試験に用いたマザーボードは、0.6mm
厚で35mm×100mmのFR4基板に、CSPを実
装した場合にCSP内部の回路の導通チェックができる
ような回路とプローブ用パッドを設けたものを準備し
た。
【0085】このマザーボードのCSP搭載部に、各実
施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物をディスペンサー
で約0.2g塗布し、回路基板側の電極と、CSPの金
属バンプが合うようCSPを位置合わせして、CSPを
回路基板に押し付け、荷重無しのままリフロー工程を通
過させた。リフローの温度プロファイルは、(2)に述
べたものと同一である。各エポキシ樹脂組成物について
CSPを実装し、リフロー後に電気導通チェックを実施
して、初期接続性を評価した。初期接続が正常なもの1
0個について、次のような落下衝撃試験を実施した。即
ち、プラスチック製容器(厚み15mmで40mm×1
30mm、質量50g)の内部に上記マザーボードをビ
ス止めして収納し落下供試品を作製し、このプラスチッ
ク製容器を、150cmの高さからコンクリート板上へ
自然落下させる試験を50回行った後、マザーボードを
取り出し、CSP内部回路の電気導通チェックを行うこ
とで半田バンプ接続が維持されているか、破壊されてい
るかを評価した。不良となったCSPの個数/供試数を
下記の表5〜7に記載する。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】表5〜7にみられるように、実施例1〜2
3のものと比較例1〜3のものとを比較すると、各実施
例のものはいずれも実使用下において問題なく使用でき
ることが確認される。
【0090】一方、比較例1,2のものは、いずれも初
期接続性やCSP落下衝撃性が著しく悪く、実用に供さ
ないことが確認される。また比較例3のものは、初期接
続性やCSP落下衝撃性については比較例1,2のもの
ほどは悪くないが、TC性やPCT性が各実施例のもの
より悪く、実用に供さないことが確認される。
【0091】尚、表7にみられるように比較例1,2の
TC性及びPCT性は、初期接続が全数不良であったた
め、供試サンプルが全く得られず、試験を行うことがで
きなかった。
【0092】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るエ
ポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分
とする室温で液状のエポキシ樹脂組成物において、硬化
剤として、上記の式(A)で示される酸無水物を含有
し、かつアビエチン酸又はセバシン酸の少なくとも一方
をエポキシ樹脂組成物全量に対して0.1〜10質量%
含有して成るので、硬化過程においてフラックスとして
の機能を発現することができると共に、金属バンプと回
路基板の電極との溶融接合を行うリフロー工程の際にエ
ポキシ樹脂組成物の硬化を行うことができるものであ
る。しかも、硬化後において硬化物の温度サイクル性、
耐湿信頼性、フィレット性を確保することもできるもの
である。
【0093】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型
エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、又は脂
環式エポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を使用するの
で、エポキシ樹脂組成物の粘度を低下させると共に硬化
物の物性を向上させることができるものである。
【0094】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、エポキシ樹脂のエポキシ当量と硬化剤の硬化剤
当量との比率が100:60〜100:120であるの
で、硬化物の耐熱性や接着強度などの強度を確保するこ
とにより温度サイクル性を向上させると共に、硬化物の
吸湿率を低減することにより耐湿信頼性を向上させるこ
とができるものである。
【0095】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、200℃におけるゲルタイムが1〜
7分であるので、金属バンプと回路基板の電極との溶融
接合、及び樹脂の硬化を同時に行うことができると共
に、樹脂の硬化後における金属バンプと回路基板の電極
との接続信頼性を確保することができるものである。
【0096】また請求項5の発明は、請求項1乃至4の
いずれかにおいて、無機充填材として、最大粒径が0.
5〜20μmであり、かつ窒素吸着法によるBET比表
面積が30m2/g以下である球状非晶質シリカ又はア
ルミナの少なくとも一方をエポキシ樹脂組成物全量に対
して真比重換算で40体積%以下含有するので、エポキ
シ樹脂組成物の粘度を低くすることができると共に、金
属バンプと回路基板の電極との接合不良の発生を低減す
ることができるものである。
【0097】また請求項6の発明は、請求項1乃至5の
いずれかにおいて、カップリング剤として、シランカッ
プリング剤又はチタネートカップリング剤の少なくとも
一方を使用するので、硬化物と半導体チップ及び回路基
板との界面の接着性が向上することにより、耐湿信頼性
を高めることができるものである。
【0098】また請求項7の発明は、請求項1乃至6の
いずれかにおいて、添加剤として、上記の式(B)で示
される化合物又は上記の式(C)で示される化合物を、
エポキシ樹脂組成物全量に対して0.01〜1質量%含
有するので、式(A)で示される酸無水物及びアビエチ
ン酸やセバシン酸と共存することによって、金属バンプ
と回路基板の電極との接合不良を著しく低減することが
できるものである。
【0099】また本発明の請求項8に係る半導体装置
は、半導体チップに形成された金属バンプを回路基板の
電極に接合することによって、半導体チップが回路基板
にフリップチップ実装された半導体装置において、半導
体チップの回路基板側の面、又は回路基板の半導体チッ
プ側の面の少なくとも一方に塗布された請求項1乃至7
のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を介して半導体
チップと回路基板とが接触していると共に、金属バンプ
又は回路基板の電極のいずれか低い方の溶融温度以上に
加温することにより、半導体チップと回路基板とが電気
的に接続され、かつ上記のエポキシ樹脂組成物が硬化さ
れて成るので、半導体チップと回路基板とが上記のエポ
キシ樹脂組成物によって封止されていることにより、優
れた温度サイクル性や耐湿信頼性を実現することができ
るものである。更に、半導体チップとして、CSPやB
GA等の半導体パッケージを回路基板に実装した半導体
装置にあっても、実使用下における落下衝撃力や折り曲
げ応力等の動的応力に十分対応することができるもので
ある。
【0100】また請求項9の発明は、請求項8におい
て、金属バンプが半田で形成されているので、半田表面
の酸化膜がエポキシ樹脂組成物中の有機酸と反応するこ
とにより、エポキシ樹脂組成物によるフラックスの効果
をより高く得ることができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 7/18 C08K 7/18 C08L 63/00 C08L 63/00 C H01L 21/56 H01L 21/56 E 23/29 23/30 R 23/31 (72)発明者 橋本 眞治 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (72)発明者 日野 裕久 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (72)発明者 福井 太郎 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (56)参考文献 特開2002−97257(JP,A) 特開2001−288340(JP,A) 特開 平4−351630(JP,A) 特開2000−273152(JP,A) 特開 平10−147717(JP,A) 特開2001−239395(JP,A) 特開2001−31878(JP,A) 特開 平7−316263(JP,A) 特開 平5−17557(JP,A) 特開2001−297118(JP,A) 特開 平9−235257(JP,A) 特開 平7−268079(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/42 C08L 63/00 - 63/10 C08K 3/22 C08K 3/36 C08K 5/06 C08K 5/09 C08K 7/18 H01L 21/56 H01L 23/29

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とする
    室温で液状のエポキシ樹脂組成物において、硬化剤とし
    て、下記の式(A)で示される酸無水物を含有し、かつ
    アビエチン酸又はセバシン酸の少なくとも一方をエポキ
    シ樹脂組成物全量に対して0.1〜10質量%含有して
    成ることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂として、ビスフェノールA
    型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビ
    フェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹
    脂、又は脂環式エポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を
    使用することを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂のエポキシ当量と硬化剤の
    硬化剤当量との比率が100:60〜100:120で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 200℃におけるゲルタイムが1〜7分
    であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
    載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 無機充填材として、最大粒径が0.5〜
    20μmであり、かつ窒素吸着法によるBET比表面積
    が30m2/g以下である球状非晶質シリカ又はアルミ
    ナの少なくとも一方をエポキシ樹脂組成物全量に対して
    真比重換算で40体積%以下含有することを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 カップリング剤として、シランカップリ
    ング剤又はチタネートカップリング剤の少なくとも一方
    を使用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 添加剤として、下記の式(B)で示され
    る化合物又は下記の式(C)で示される化合物を、エポ
    キシ樹脂組成物全量に対して0.01〜1質量%含有す
    ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の
    エポキシ樹脂組成物。 【化2】
  8. 【請求項8】 半導体チップに形成された金属バンプを
    回路基板の電極に接合することによって、半導体チップ
    が回路基板にフリップチップ実装された半導体装置にお
    いて、半導体チップの回路基板側の面、又は回路基板の
    半導体チップ側の面の少なくとも一方に塗布された請求
    項1乃至7のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を介
    して半導体チップと回路基板とが接触していると共に、
    金属バンプ又は回路基板の電極のいずれか低い方の溶融
    温度以上に加温することにより、半導体チップと回路基
    板とが電気的に接続され、かつ上記のエポキシ樹脂組成
    物が硬化されて成ることを特徴とする半導体装置。
  9. 【請求項9】 金属バンプが半田で形成されていること
    を特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
JP2000293047A 2000-09-26 2000-09-26 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Expired - Fee Related JP3446731B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000293047A JP3446731B2 (ja) 2000-09-26 2000-09-26 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000293047A JP3446731B2 (ja) 2000-09-26 2000-09-26 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002097255A JP2002097255A (ja) 2002-04-02
JP3446731B2 true JP3446731B2 (ja) 2003-09-16

Family

ID=18775891

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000293047A Expired - Fee Related JP3446731B2 (ja) 2000-09-26 2000-09-26 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3446731B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4865406B2 (ja) * 2006-05-29 2012-02-01 パナソニック株式会社 半導体素子実装構造体
JP5296996B2 (ja) * 2007-03-27 2013-09-25 パナソニック株式会社 熱硬化性樹脂組成物及び電子デバイス
JP5532582B2 (ja) * 2008-11-04 2014-06-25 信越化学工業株式会社 フリップチップ型半導体装置を封止する方法、チップ・オン・チップ用アンダーフィル材の選定方法、及びフリップチップ型半導体装置
JP6045774B2 (ja) * 2010-03-16 2016-12-14 日立化成株式会社 半導体封止充てん用エポキシ樹脂組成物、半導体装置、及びその製造方法
KR101328464B1 (ko) 2010-06-17 2013-11-13 정도이앤피 주식회사 Led 조명기의 pcb기판용 에폭시 조성물 및 이의 제조방법
JPWO2012070387A1 (ja) * 2010-11-25 2014-05-19 旭化成イーマテリアルズ株式会社 エポキシ樹脂および樹脂組成物
CN105899569B (zh) * 2014-01-08 2018-04-10 信越化学工业株式会社 半导体密封用液体环氧树脂组合物和树脂密封半导体装置
WO2016060088A1 (ja) * 2014-10-14 2016-04-21 三菱化学株式会社 半導体デバイス用層間充填剤組成物及び半導体デバイスの製造法
JP2015131969A (ja) * 2015-04-06 2015-07-23 日立化成株式会社 半導体封止充てん用エポキシ樹脂組成物
JP6688065B2 (ja) * 2015-12-18 2020-04-28 ナミックス株式会社 エポキシ樹脂組成物

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2570002B2 (ja) * 1991-05-29 1997-01-08 信越化学工業株式会社 フリップチップ用封止材及び半導体装置
JP3042038B2 (ja) * 1991-07-08 2000-05-15 味の素株式会社 液状酸無水物系一液性エポキシ樹脂組成物
JPH07268079A (ja) * 1994-03-31 1995-10-17 Somar Corp エポキシ樹脂組成物
JPH07316263A (ja) * 1994-05-23 1995-12-05 New Japan Chem Co Ltd エポキシ樹脂組成物
JPH09235257A (ja) * 1996-02-29 1997-09-09 Shiseido Co Ltd トラネキサム酸誘導体
JPH10147717A (ja) * 1996-11-18 1998-06-02 Daicel Chem Ind Ltd アスファルト乳剤
JP2000273152A (ja) * 1999-03-29 2000-10-03 Dainippon Ink & Chem Inc 水性硬化性樹脂組成物
JP4171140B2 (ja) * 1999-07-22 2008-10-22 横浜ゴム株式会社 一成分型組成物
JP3736611B2 (ja) * 2000-02-01 2006-01-18 信越化学工業株式会社 フリップチップ型半導体装置用封止材及びフリップチップ型半導体装置
JP3816714B2 (ja) * 2000-02-29 2006-08-30 Tdk株式会社 熱硬化性フラックスおよびはんだ付け方法、ならびに電子部品搭載基板
JP2001297118A (ja) * 2000-04-14 2001-10-26 Hitachi Ltd 構造最適化方法および構造最適化装置
JP4656269B2 (ja) * 2000-09-22 2011-03-23 信越化学工業株式会社 液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002097255A (ja) 2002-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9431314B2 (en) Thermosetting resin composition for sealing packing of semiconductor, and semiconductor device
JP4204865B2 (ja) フラックス処理用アンダーフィル組成物
KR100578697B1 (ko) 반도체 장치의 제조방법
JP5004351B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP3606253B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4887850B2 (ja) アンダーフィル用液状樹脂組成物、並びにそれを用いた半導体装置の製造方法及び半導体装置
JP4206631B2 (ja) 熱硬化性液状封止樹脂組成物、半導体素子の組立方法及び半導体装置
WO2016148121A1 (ja) フリップチップ実装体の製造方法、フリップチップ実装体、および先供給型アンダーフィル用樹脂組成物
JP3446731B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
KR20170113430A (ko) 반도체 장치 및 반도체 장치의 제조 방법
JP3446730B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP3938502B2 (ja) 液状封止樹脂組成物、半導体素子の組立方法及び半導体装置
JP2001019745A (ja) 半導体装置の製造方法及び半導体装置
JP4721309B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物および半導体装置
JP3732148B2 (ja) 半導体装置の製造方法及び半導体装置
JPH1129624A (ja) 半導体封止用液状エポキシ樹脂組成物
JP2003128874A (ja) 液状樹脂組成物、半導体装置の製造方法及び半導体装置
JP2003160643A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2000269387A (ja) 半導体封止用樹脂及びこれを用いた半導体装置
JP2003160642A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2001093940A (ja) 半導体装置の組立方法
JP4940486B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、半導体装置及びその製造方法
JP2005206664A (ja) 半導体封止用樹脂組成物
JP2000174044A (ja) 半導体素子の組立方法
JP4729873B2 (ja) 半導体素子の組立方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030603

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070704

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080704

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090704

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090704

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090704

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100704

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100704

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110704

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120704

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130704

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees