JP4171140B2 - 一成分型組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低透湿性にすぐれ、同時に深部硬化性にも優れる一成分型組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飽和炭化水素系重合体は、プロセスオイル等の希釈剤を用いて液状化することにより、シーリング材、封止剤、コーティング材等として好適に用いられている。飽和炭化水素系重合体は、カチオン重合、アニオン重合あるいは不飽和構造を有する炭化水素系重合体の水素添加等により合成される。これらの具体例として、リビングカチオン重合により合成されたポリイソブチレンの、少なくとも1つの分子末端にアルコキシシリル基を有する有機重合体(鐘淵化学工業社製のEPION)等が知られている。これらはいずれも優れた低透湿性を有するため、深部硬化性は良好ではなく、一液型組成物とすることが難しく、これまで二液型としてしか用いられていない。しかし、使用時、主剤と硬化剤を混合する必要のない一液型組成物は、現場での手間がかからず、二液型組成物より作業性に優れる。そこで、飽和炭化水素系重合体を主成分とし、常温下で深部硬化性に優れた一成分型組成物が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、含有される主ポリマーの低透湿性にもかかわらず、内部(深部)硬化性に優れる一成分型組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、(A)水との反応により化合物を硬化させる官能基を分子中に少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(B)硬化触媒、(C)エポキシ基含有化合物、および、(D)酸無水物を少なくとも含有する一成分型組成物を提供する。
さらに、(E)脱水剤を含むのが好ましい。
さらに、(F)ケトン系溶剤を含むのが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の一成分型組成物(以下、本発明の組成物という)には、(A)水との反応により化合物を硬化させる官能基(以下、官能基(A)という)を分子中に少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体(以下、飽和炭化水素系重合体(A)と記す。)が用いられる。
【0006】
飽和炭化水素系重合体(A)は、芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体である。飽和炭化水素系重合体(A)の骨格となる重合体は、次の方法によって得ることができるものである。
(1) エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等の炭素数が1〜6のオレフィン系化合物を主単量体として重合させる方法。
(2) ブタジエン、イソプレン、1,3−シクロヘキサンジエン等のジエン系化合物を単独重合させるか、上記オレフィン化合物とジエン系化合物とを共重合させた後、水素添加する方法。
【0007】
これらの重合体のうち、末端に官能基を導入し易い、分子量を制御し易い、末端官能基の数を多くすることができる等の点から、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体であるのが好ましい。
【0008】
上記イソブチレン系重合体は、単量体単位の全てがイソブチレン単位で形成されていてもよく、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%(重量%、以下同様)以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下の範囲で含有していてもよい。
【0009】
このような単量体成分としては、例えば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。
このような共重合体成分の具体例としては、例えば、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3 −メチル−1−ブテン、ペンテン、4 −メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン等のオレフィン;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;
スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン等の芳香族ビニル化合物;
ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1, 3−ジビニル−1, 1, 3, 3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン等のビニルシラン類;
アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアリルシラン類;等が挙げられる。
【0010】
これらのイソブチレンと共重合性の単量体としてビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると重合体の珪素含有量が増大し、シランカップリング剤として作用し得る基が多くなって、得られる組成物の接着性が向上する。
【0011】
更に、水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、イソブチレン系重合体の場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0012】
また、本発明に用いる飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲でブタジエン、イソプレン等のポリエン化合物のような重合後に2重結合の残る単量体単位を少量、好ましくは10%以下、更には5%以下、特に1%以下の範囲で含有させてもよい。
【0013】
飽和炭化水素系重合体(A)に結合する官能基(A)の代表例としては、イソシアネート基、あるいは、下記式(1):
【0014】
【化1】
で表される、シラノール基またはケイ素に加水分解性基が結合した基を挙げることができる。
式中、R1 およびR2 は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R´)3 SiO−(R´は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR´は同一であっても異なっていてもよい。)で示されるトリオルガノシロキシ基を表し、R1 及びR2 が2個以上存在するとき、同一であっても異なっていてもよい。
Xは水酸基又は加水分解性基を表し、2個以上存在するとき、同一であっても異なっていてもよい。
aは0、1、2又は3であり、bは0、1又は2であるが、a+mb≧1である。
また、上記式(1)中に示される、下記式(2)であらわされるm個の
【0015】
【化2】
におけるbは同一である必要はない。mは0又は1〜19の整数である。
【0016】
一般式(1)における加水分解性基としては、特に限定されるものではなく、従来既知の加水分解性基でよいが、具体例としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシム基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、加水分解性が温和で、取扱い易いという点から、アルコキシ基が特に好ましい。
【0017】
この加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+mb)は1〜5の範囲であることが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであっても、異なっていてもよい。
【0018】
この反応性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個のものまであるのが好ましい。特に、式(3):
【0019】
【化3】
(式中、R2 、X及びaは前記と同じである。)で表される反応性珪素基が入手容易であるので好ましい。
【0020】
水との反応により化合物を硬化させる官能基(官能基(A))は、飽和炭化水素系重合体(A)の1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在する。分子中に含まれる官能基(A)の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現し難くなる。
【0021】
官能基(A)は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端に存在していてもよく、内部に存在していてもよく、両方に存在していてもよい。特に官能基(A)が分子鎖末端に存在する場合には、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られ易くなる等の点から好ましい。また、これら官能基(A)を有する飽和炭化水素系重合体(A)は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0022】
この飽和炭化水素系重合体(A)、特にイソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は、500〜100,000程度であるのが好ましく、特に1,000〜30,000程度の液状乃至流動性を有するものが取扱い易い等の点から好ましい。更に、分子量分布(Mw /Mn )に関しては、同一分子量における粘度が低くなるという点でMw /Mn が狭いほど好ましい。
【0023】
上記飽和炭化水素系重合体(A)の製造方法については、特開平6−41360号公報等に詳細に開示されており、これらの記載を参照することができる。
飽和炭化水素系重合体(A)としては、例えば、鐘淵化学工業(株)製のEPION等を利用することができる。
【0024】
(B)硬化触媒
本発明に用いられる飽和炭化水素系重合体(A)は、分子内に有する官能基(A)が水の存在下で付加重合もしくは加水分解をうけ縮合反応を起こすことにより、架橋硬化するものであるが、本発明で用いられる硬化触媒は、飽和炭化水素系重合体(A)の硬化を促進させるものである。
【0025】
上記硬化触媒としては、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫フタレート等のカルボン酸金属塩、有機錫酸化物とエステルとの反応物、あるいは、式:R3 Sn(OR4 )2 、又は[R3 Sn(OR4 )]2 Oの構造のものを用いることができる。式中、R3 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基、R4 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は自己内部にSnに対して配位結合を形成し得る官能性基を有する有機基を表す。このような化合物を具体的に例示すれば、
【0026】
【化4】
【0027】
【化5】
【0028】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で用いても良く、また、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中の硬化触媒の含有量は、上記飽和炭化水素系重合体(A)100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部であるのがより好ましい。この範囲であれば、良好な硬化速度が得られ、また、コストの面からも好ましい。
【0029】
(C)エポキシ基含有化合物
本発明の用いられるエポキシ基含有化合物としては、例えば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びその誘導体、グリセリンのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ポリアルキレンオキサイドのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラックのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ダイマー酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等のポリエーテル構造を有する、分子内にエポキシ基を少なくとも2個有するポリエポキシ化合物;ウレタン変性エポキシ化合物等のグリシジルエステル型エポキシ化合物等のポリエステル構造を有するポリエポキシ化合物;主鎖が−(R−SX )−を繰り返し単位として含み分子末端にエポキシ基を有する化合物で、前記Rが酸素原子を主鎖に含む、あるいは含まない炭素数2〜8のアルキレン基、xが1〜3であるポリスルフィド構造を有するポリエポキシ化合物等が挙げられる。
必要により、フェノールグリシジルエーテル等の単官能のエポキシ化合物を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ当量が好ましくは300以上、より好ましくは1000〜3000のエポキシ樹脂を用いると、得られる本発明の組成物が可とう性に優れるものとなる。
上記エポキシ基含有化合物の中でも、ビスフェノールAのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、汎用のエポキシ樹脂として好適に用いられる。
【0030】
本発明の組成物中のエポキシ基含有化合物の含有量は、上記飽和炭化水素系重合体(A)100重量部に対して1.0〜50.0重量部である。この範囲であれば、エポキシ基含有化合物が上記飽和炭化水素系重合体(A)中に均一に存在することができ、また、得られる本発明の組成物が深部(内部)硬化性に優れたものとなる。
【0031】
(D)酸無水物
本発明の用いられる酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、
無水トリメリット酸、無水トリメリット酸トリグリセリド、無水トリメリット酸エチレングリコールエステル、水添無水トリメリット酸、水添無水トリメリット酸トリグルセリド、水添無水トリメリット酸エチレングリコールエステル、
無水ピロメリット酸、無水ピロメリット酸トリグリセリド、無水ピロメリット酸エチレングリコールエステル、
無水ベンソフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸、
無水クロレンド酸、ジ無水ピロメリチン酸、
メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、
無水ハイミック酸、無水メチルハイミック酸、
無水マレイン酸、
リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等の不飽和脂肪酸またはそのメチルエステル、トリグリセライドと無水マレイン酸との付加反応物、
無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物等が挙げられる。
これらの酸無水物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
これらの中で、無水マレイン酸が反応性が高いという理由から好ましい。
【0032】
本発明の組成物中の酸無水物の含有量は、上記飽和炭化水素系重合体(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、1〜10重量部であるのがより好ましい。この範囲であれば、得られる本発明の組成物が深部(内部)硬化性に優れる。
【0033】
飽和炭化水素系重合体(A)のみでは深部硬化性が良好でないが、本発明の組成物は、飽和炭化水素系重合体(A)とともに、上記成分を含むことにより、飽和炭化水素系重合体(A)の特性である低透湿性を組成物の特性をして有すると共に、深部硬化性に優れ、さらに組成物全体の硬化速度も良好であり、従って、良好な硬化性を有する一成分型の組成物である。本発明の組成物が深部硬化性に優れるのは、下記の機構によると考えられる。
酸無水物は上記エポキシ基含有化合物中のエポキシ基と反応し、その反応は、エポキシ基含有化合物中に存在する水酸基が開始剤となって起こったり、あるいは反応系中に微量に存在する水分により酸無水物が開環して生成する遊離二塩基性酸中のOH基がエポキシ基と反応して起こる場合もある。OH基と酸無水物基とが反応して、モノエステルが生成し、同時に水酸基ができる。これが次の酸無水物基と反応するという逐次反応となる。酸無水物とエポキシ基含有化合物との反応は、徐々に起こり、反応によりエポキシ基が徐々に消費されていく。
上記飽和炭化水素系重合体(A)は分子内に水との反応により化合物を硬化させる官能基(官能基(A))を有し、この官能基(A)は水の存在下で付加重合もしくは加水分解をうけ、これにより飽和炭化水素系重合体(A)が架橋し、硬化反応を起こすが、反応系中にエポキシ基含有化合物が共存すると、官能基(A)はエポキシ基と優先的に反応しやすく、その結果、飽和炭化水素系重合体(A)の硬化反応が進みにくくなる。
エポキシ基含有化合物と酸無水物との反応が起こり、飽和炭化水素系重合体(A)の硬化反応が進みにくい間、これらの化合物を含む組成物の表面ばかりでなく、組成物の深部(内部)にも水分が十分に到達し、その結果、表面付近ばかりでなく深部(内部)においても飽和炭化水素系重合体(A)の架橋硬化反応が進みやすくなり、優れた硬化性を組成物全体として示すと考えられる。
なお、酸無水物は、エポキシ基含有化合物とは反応するが、飽和炭化水素系重合体(A)とは反応せず、本発明の組成物の深部硬化性を阻害しない。
【0034】
(E)脱水剤
本発明の組成物を一成分型の組成物として貯蔵安定性をたかめるには、脱水剤を添加することが有効である。
本発明に用いることのできる脱水剤には、無機系(鉱物系)脱水剤と有機系脱水剤とが含まれる。
無機系(鉱物系)脱水剤としては、一般に乾燥剤として使用されるものが全て利用可能である。例えば、シリカゲル、マグネシア、アルミナ、モレキュラーシーブ、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。
有機系脱水剤としては、ビニルシラン;アルミニウムイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ジルコニウム−2−プロピレート、ジルコニウム−n−ブチレート、エチルシリケート等の金属アルコキシド類;オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、ジメトキシプロパン等の有機アルコキシ化合物類;メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート等の単官能イソシアネート類等が挙げられる。
これらの脱水剤は、1種単独で使用しても、2種を併用してもよい。また、無機系脱水剤と有機系脱水剤とを併用してもよい。
【0035】
脱水剤の含有量は、上述の飽和炭化水素系重合体(A)100重量部に対し、0.1〜20重量部含有するのが好ましく、1.0〜10重量部がより好ましい。この範囲であれば、本発明の組成物の常温での貯蔵安定性を良好に維持できる。
【0036】
(F)ケトン系溶剤
上述した酸無水物は、多くは常温で固体であるため、そのままでは本発明の組成物中に分散しにくい。そのため、酸無水物を微粉末状にして充填剤等の表面に保持させて組成物に混合する等の方法により、組成物中に分散させることができるが、ケトン系溶剤に溶解すると、組成物中に良好に分散させることができて好ましい。
また、ケトン系溶剤は、極性のほとんどない飽和炭化水素系重合体(A)と相溶性が良好で、かつ、エポキシ基含有化合物と酸無水物とを含有する本発明の組成物の貯蔵安定化にも寄与する。
本発明の組成物を使用時には、ケトン系溶剤は蒸発気散しやすく、エポキシ基含有化合物と酸無水物との反応を阻害しない。
ケトン系溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、これらのケトン系溶剤は、飽和炭化水素系重合体(A)の官能基(A)に対する水分の影響を防止するために、乾燥または脱水してから用いるのが好ましい。
【0037】
ケトン系溶剤の含有量は、上述の飽和炭化水素系重合体(A)100重量部に対し、1〜10重量部含有するのが好ましく、1〜5重量部がより好ましい。この範囲であれば、本発明の組成物の常温での貯蔵安定性を良好に維持できる。
【0038】
本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、種々の充填剤を配合することができる。例えば、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックのような補強性充填剤;重質炭酸カルシウム、表面処理コロイダル炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、水添ヒマシ油およびシラスバルーンのような充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントのような繊維状充填剤が挙げられる。
充填剤の配合量は、飽和炭化水素系重合体(A)100重量部に対して50〜300重量部が好ましい。この範囲であると、得られる本発明の組成物を高強度の組成物とすることができる。
【0039】
また、本発明の組成物に、可塑剤を充填剤と併用して使用すると、硬化物の伸びを大きくすることができたり、多量の充填剤を混入することができたりするのでより効果的である。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのようなフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどのような脂肪酸二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのようなグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどのような脂肪族エステル類;燐酸トリクレジル、燐酸トリオクチル、燐酸オクチルジフェニルなどのような燐酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのようなエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価のアルコールとのポリエステル類などのポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体などのポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレン類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、塩素化パラフィン類、プロセスオイル類などの可塑剤が単独または2種類以上の混合物の形で任意に使用できる。但し、好ましくは相溶性良好なものを選ぶ必要がある。
可塑剤の使用量は、飽和炭化水素系重合体(A)100重量部に対して50〜200重量部が好ましい。
【0040】
本発明の組成物には、上記各成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、さらにその他の添加剤、例えば、酸化防止剤、老化防止剤、接着性改良剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、紫外線吸収剤、金属不活性剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、燐系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤等を適宜添加することが可能である。
【0041】
本発明の一成分型組成物の製造方法には特に制限はなく、例えば、上記各成分を配合し、ミキサー、ロール、ニーダー等を用いて常温または加熱下で混練したり、ケトン系溶剤に酸無水物等を溶解させて、混合したりするなどの方法を採ることができる。
本発明の一成分型組成物は、一液型の組成物として好適に用いられるが、(B)硬化触媒を別体として、または別に硬化剤を用いて、二液型の組成物として使用してもよい。
【0042】
上記構成をとる本発明の一成分型組成物は、湿分不存在下に密閉して貯蔵されている状態では、貯蔵安定性に優れ、かつ、大気中に曝露されると大気中の水分の作用により、三次元的に網状組織を形成し、ゴム状弾性を有する固体へと硬化する。本発明の一成分型組成物は、主成分の飽和炭化水素系重合体(A)が低透湿性であるにもかかわらず、優れた内部(深部)硬化性を示す。
脱水剤を含有する本発明の一成分型組成物では、貯蔵安定性に特に優れる。
ケトン系溶剤を含有する本発明の一成分型組成物では、酸無水物をケトン系溶剤に溶解して組成物に配合することにより酸無水物の分散が良好であり、また、貯蔵安定性にも優れる。
従って、本発明の一成分型組成物は、粘着剤、シーラント、接着剤、型取剤、防振剤、発泡材料、塗料、吹付材などとして好適に使用することができる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4)
飽和炭化水素系重合体(A)、可塑剤としてプロセスオイル、表面処理コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化防止剤、脱水剤としてビニルシラン、硬化触媒としてスズ触媒(有機スズ(IV) 化合物)、エポキシ基含有化合物としてエポキシ樹脂、ケトン系溶剤としてMEK、酸無水物として無水マレイン酸を、下記の第1表に記載の組成で配合し、均一に混練して、一成分型組成物を得た。
(比較例1)
MEK、無水マレイン酸を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、下記の第1表に記載の組成で配合し、均一に混練して、一成分型組成物を得た。
【0044】
得られた組成物の貯蔵安定性、深部硬化性を、下記の方法により測定して評価した。
(1)貯蔵安定性
得られた組成物をカートリッジに充填して密閉し、30℃で4週間放置した。表中、×は密閉されたカートリッジ内で組成物が全て硬化したことを、△は密閉されたカートリッジ内で組成物が半ゲル状になりカートリッジから出せなかったことを、○は組成物が容易にカートリッジから出せたことを表す。
(2)深部硬化性
組成物を塗布厚10mmとなるよう塗布し、20℃、湿度55%RHにてそれぞれ1週間、2週間、4週間放置した後、組成物をナイフでカットして、未硬化でペースト状の部分と、硬化してゴム状の部分との境界の、硬化物表面からの距離を測った。単位は[mm]である。
【0045】
【表1】
【0046】
<表中の各成分>
飽和炭化水素系重合体(A):EPION、鐘淵化学工業社製
可塑剤(プロセスオイル):PA05004、出光石油化学社製
表面処理コロイダル炭酸カルシウム:カルファイン200、丸尾カルシウム社製
酸化防止剤(ヒンダードフェノール化合物):イルガノックス245、日本チバガイギー社製
重質炭酸カルシウム:スーパー1500、丸尾カルシウム社製
脱水剤(ビニルシラン):A171、日本ユニカー社製
硬化触媒(有機スズ(IV)化合物):SCAT# 27、三共有機合成社製
エポキシ基含有化合物(エポキシ樹脂):エピコート828、シェル社製
ケトン系溶剤:MEK
酸無水物:無水マレイン酸
【0047】
【発明の効果】
本発明の一成分型組成物は、貯蔵安定性が良好で、かつ、大気中に暴露されると速やかに硬化し、組成物表面ばかりでなく、組成物内部(深部)の硬化性にも優れる。従って、本発明の一成分型組成物は、粘着剤、シーラント、接着剤、型取剤、防振剤、発泡材料、塗料、吹付材等として好適に使用することができる。
Claims (8)
- 少なくとも下記の化合物を含有する一成分型組成物:
(A)水との反応により化合物を硬化させる官能基を分子中に少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、
(B)硬化触媒、
(C)前記飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、1.0〜50.0重量部のエポキシ基含有化合物、および、
(D)前記飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、1〜30重量部の酸無水物。 - 前記酸無水物が、無水マレイン酸、および、不飽和脂肪酸またはそのエステルもしくはトリグリセライドと無水マレイン酸との付加反応物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の一成分型組成物。
- さらに、(E)脱水剤を含む請求項1または2に記載の一成分型組成物。
- 前記(E)脱水剤の量が、前記飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部である請求項3に記載の一成分型組成物。
- さらに、(F)ケトン系溶剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の一成分型組成物。
- 前記ケトン系溶剤の量が、前記飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、1〜10重量部である請求項5に記載の一成分型組成物。
- 前記エポキシ基含有化合物が、エポキシ樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の一成分型組成物。
- 前記エポキシ基含有化合物が、ポリエーテル構造を有する、分子内にエポキシ基を少なくとも2個以上有するポリエポキシ化合物、ポリエステル構造を有するポリエポキシ化合物およびポリスルフィド構造を有するポリエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の一成分型組成物。
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