JP4132281B2 - プライマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプライマー組成物に関し、さらに詳しくは、珪素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する有機重合体をシーラント等として用いる場合に、アクリル電着塗装、フッ素塗装等が施された鋼板やシリコーン系シーラント等のシーラントの硬化物に対しても十分な接着性を発現するプライマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、珪素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基(以下「反応性珪素基」という場合がある。)を少なくとも1個有する有機重合体は、優れた常温硬化性を有することで知られ、接着剤、シーラント等に用いられている。特に、有機重合体が飽和炭化水素系のものである場合は、その優れた耐候性、低透湿性等から、防水材、シーラントとして好適に用いられる。
しかし、前記飽和炭化水素系重合体は、接着発現性に劣り、シーラント等として用いる場合にはプライマーが不可欠であり、プライマーを用いても、アクリル電着塗装、フッ素塗装等が施された鋼板やシーラント、特にシリコーン系シーラントの硬化物に対しては、十分な接着性を発現させることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応性珪素基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体(以下「反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体」という場合がある。)をシーラント等として用いる場合に、アクリル電着塗装、フッ素塗装等が施された鋼板やシリコーン系シーラント等のシーラントの硬化物に対しても十分な接着性を発現するプライマー組成物を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)有機溶剤、(B)珪素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(C)アミノ基含有シランカップリング剤および(D)シラノール縮合金属触媒を含有するプライマー組成物を提供する。
【0005】
更に(E)シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。
【0006】
更に(F)ヒュームドシリカを含有するのが好ましい。
【0007】
前記(D)シラノール縮合金属触媒が、有機錫化合物および/またはチタネート系カップリング剤であるのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のプライマー組成物に用いられる(A)有機溶剤は、特に限定されず、プライマーに一般的に用いられる溶剤を用いることができ、例えば、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メチルエチルケトンが挙げられるが、なかでも揮発性の高いn−ヘキサンが好ましい。乾燥時間を調節するため、n−ヘキサンにトルエン、キシレン等を含有させて用いることもできる。
【0009】
本発明のプライマー組成物に用いられる(B)飽和炭化水素系重合体は、シーラント等として用いられる反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体と親和性の高いもの、好ましくは同じものを用いることにより、該シーラント等とプライマーとの接着性を高くすることができる。
(B)飽和炭化水素系重合体は、芳香族環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、反応性珪素基、即ち、珪素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有するものである。
【0010】
(B)飽和炭化水素重合体の骨格となる重合体は、以下の方法によって得られる。
【0011】
(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン等の炭素数が1〜6のオレフィン系化合物を主単量体として重合させる方法。
(2)ブタジエン、イソプレン等のジエン系化合物を単独重合させるか、上記オレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合させた後、水素添加する方法。
【0012】
これらの重合体のうち、末端に官能基を導入しやすい、分子量を制御しやすい、末端官能基の数を多くすることができる等の点から、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体であるのが好ましい。
【0013】
このイソブチレン系重合体は、単量体単位の全てがイソブチレン単位で形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の範囲で含有していてもよい。イソブチレンと共重合性を有する単量体成分としては、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が例示される。
このような共重合体成分の具体例としては、例えば、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0014】
さらに、水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、イソブチレン系重合体の場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有してもよい。
【0015】
また、(B)飽和炭化水素系重合体は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、ブタジエン、イソプレン等のポリエン化合物のような重合後に二重結合の残る単量体単位を少量、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下の範囲で含有してもよい。
【0016】
(B)飽和炭化水素系重合体の反応性珪素基は従来公知の官能基であり、その代表例としては、下記式1
【0017】
【化1】
【0018】
(式中、R1 およびR2 は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R3 )3 SiO−(R3 は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR3 は同一であっても異なってもよい。)で示されるトリオルガノシロキシ基を表し、R1 およびR2 が2個以上存在するとき、同一であっても異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を表し、2個以上存在するとき、同一であっても異なっていてもよい。pは0、1、2または3であり、qは0、1、2であるが、p+rq≧1である。また、r個の
【0019】
【化2】
【0020】
におけるqは同一である必要はない。rは0または1〜19の整数である。)で示される基が挙げられる。
【0021】
式1における加水分解性基は、特に限定されるものではなく、従来公知の加水分解性基が使用可能であるが、具体的には、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が好適に例示される。なかでも、アルコキシ基が加水分解性が温和で、取扱いが容易な点から好ましく、特に好ましくはメトキシ基である。
【0022】
この加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(p+rq)は1〜5の範囲であることが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであっても、異なっていてもよい。
【0023】
この反応性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよく、特に、下記式
【0024】
【化3】
【0025】
(式中、R2 、Xおよびpは前記と同じである。)で示される反応性珪素基が入手容易であるので好ましい。
【0026】
反応性珪素基は、飽和炭化水素系重合体の1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在する。分子中に含まれる反応性珪素基の数が1個未満では、接着性が発現しにくくなる。
【0027】
反応性珪素基は、(B)飽和炭化水素系重合体の分子鎖の末端に存在していてもよく、内部に存在していてもよく、両方に存在していてもよい。特に反応性珪素基が分子末端に存在する場合には、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるので好ましい。また、これらは単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0028】
この(B)飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は、500〜100000程度であるのが好ましく、さらに好ましくは1000〜30000程度の液状または流動性を有するものが取り扱いやすい等の点から好ましい。
【0029】
以上説明した(B)飽和炭化水素系重合体の具体的な製造方法は特開平8−41360号公報に詳細に記載されている。
また、以上説明した(B)飽和炭化水素系重合体としては、具体的には、下記式2
【0030】
【化4】
【0031】
(m、nは0または1〜20の整数、1≦m+n≦20)に示されるEPION(鐘淵化学工業社製)が好適に例示される。
【0032】
本発明のプライマー組成物における(B)飽和炭化水素系重合体の含有量は、(A)有機溶剤100重量部に対して、1〜20重量部であるのが好ましく、1〜10重量部であるのがより好ましい。
【0033】
本発明のプライマー組成物に用いられる(C)アミノ基含有シランカップリング剤は、シーラント硬化物等の被着体と前記(B)飽和炭化水素系重合体の硬化物との接着強度を向上させるものである。
具体的には、アミノ基を含有する従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、これらの2種以上を併用してもよい。
本発明のプライマー組成物における(C)アミノ基含有シランカップリング剤の含有量は、(B)飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、5〜200重量部であるのが好ましく、10〜150重量部であるのがより好ましい。
【0034】
本発明のプライマー組成物に用いられる(D)シラノール縮合金属触媒は、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタネート系カップリング剤;錫カルボン酸塩類(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫ジアセチルアセトナート等の有機錫化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物およびこれらのアミン系化合物とカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;シラノール複合触媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、有機錫化合物および/またはチタネート系カップリング剤を用いるのが好ましい。
本発明のプライマー組成物における(D)シラノール縮合金属触媒の含有量は、(B)飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、5〜100重量部であるのが好ましく、10〜75重量部であるのがより好ましい。
【0035】
本発明のプライマー組成物は、上記必須成分に加えて、粘度、物性等を調整するために必要に応じて、架橋剤、充填剤、可塑剤、安定剤、着色剤等を含有してもよい。なかでも、(E)シリコーン樹脂や(F)ヒュームドシリカを含有するのが好ましい。
【0036】
(E)シリコーン樹脂は、シラン系プライマーの樹脂成分として一般に用いられているものを用いることができ、例えば、平均単位式が、
R3 a SiO(4-a-b)/2 (OR4 )b
(式中、R3 は1価の炭化水素基、R4 は水素原子またはアルキル基、aは0.8〜1.8、bは1分子中の珪素原子に結合した水酸基またはアルコキシ基の数が1価以上になる値を表す。)で表される珪素原子結合の水酸基またはアルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサン樹脂が挙げられる。
(E)シリコーン樹脂は、ぬれ性を向上させ、接着性の発現を高める他、プライマー組成物の刷毛塗り適性を向上させる。
本発明のプライマー組成物における(E)シリコーン樹脂の含有量は、(B)飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、5〜100重量部であるのが好ましく、10〜50重量部であるのがより好ましい。
【0037】
(F)ヒュームドシリカは、珪素化合物(四塩化珪素等)を炎または熱煙で分解して得られ、熱分解法シリカとも称される。
本発明においては、一般的な親水性ヒュームドシリカおよび、表面をアルキル化、シリコーン化合物処理等により疎水性化した疎水性ヒュームドシリカのいずれも用いることができる。具体的には、親水性ヒュームドシリカとして、レオロシールQS−102S(トクヤマ社製)、疎水性ヒュームドシリカとして、アエロジルR805(日本アエロジル社製)が例示される。親水性ヒュームドシリカは、(C)アミノ基含有シランカップリング剤と反応して、接着性向上に寄与する。疎水性ヒュームドシリカは、(B)飽和炭化水素系重合体と親和性が高いので、接着性向上に寄与する。また、これらのヒュームドシリカを含有させることにより、硬化後のプライマー自体の強度が高まるという利点もある。
粒径は、一般的な平均5〜50nm程度のもの、好ましくは平均7〜20nmのものを用いることができる。比表面積は、50〜400m2 /g、好ましくは100〜300m2 /gのものを用いることができる。
本発明のプライマー組成物における(F)ヒュームドシリカの含有量は、(B)飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、1〜50重量部であるのが好ましく、1〜10重量部であるのがより好ましい。
一般にプライマーには、透明性が要求されるが、ヒュームドシリカを含有させても、透明性を大きく損なうことはないので、その点でもヒュームドシリカは好ましい。
【0038】
充填剤は、上述したヒュームドシリカの他に、例えば、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、およびこれらを脂肪酸、樹脂酸または脂肪酸エステルで表面処理したもの)、カーボンブラック、クレー、タルク、酸化チタン、生石灰、カオリン、ゼオライト、珪藻土、塩化ビニルペーストレジン、ガラスバルーン、塩化ビニリデン樹脂バルーン、アクリロニトリル・メタクリロニトリル樹脂バルーン等が挙げられ、単独でまたは混合して使用できる。
【0039】
可塑剤は、プロセスオイルまたは他の炭化水素類で飽和炭化水素系重合体(B)と相溶するものであれば特に限定されるものではなく、公知各種の可塑剤が使用可能である。例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族2塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;塩化パラフィン類;アルキルジフェニル;部分水添ターフェニル等の炭化水素油;プロセスオイル類;アルキルベンゼン類等が挙げられる。なかでも、プロセスオイルを使用するのが(B)飽和炭化水素系重合体との相溶性が良好な点から好ましい。可塑剤は、(B)飽和炭化水素系重合体と別に添加してもよいが、予め(B)飽和炭化水素系重合体と混合するのが、作業性に適した粘度になるので好ましい。
本発明のプライマー組成物における可塑剤の含有量は、(B)飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、0〜200重量部であるのが好ましく、0〜50重量部であるのがより好ましい。
【0040】
安定剤は、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、トリアゾール化合物が挙げられる。着色剤は、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック、ベンガラが挙げられる。
【0041】
本発明のプライマー組成物は、例えば、必須成分である(A)有機溶剤、(B)飽和炭化水素系重合体、(C)アミノ基含有シランカップリング剤および(D)シラノール縮合金属触媒、ならびに、必要に応じて、(E)シリコーン樹脂、(F)ヒュームドシリカその他の添加剤をかくはん混合することにより得られる。
【0042】
本発明のプライマー組成物は、アクリル電着塗装、フッ素塗装等が施された鋼板やシリコーン系シーラント等のシーラントの硬化物に塗布し、乾燥後、反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーラント等を塗布しまたは注入することにより、優れた接着性を発現する。従って、アクリル電着塗装、フッ素塗装等が施された鋼板やシリコーン系シーラント等のシーラントの硬化物が用いられる各種建材に、反応性珪素基を有する飽和炭化水素重合体を主成分とするシーラント等を接着する用途に好適に用いられる。例えば、断熱サッシの断熱樹脂のプライマーとして用いられる。
【0043】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
プライマー組成物の調製
以下に示される材料を第1表に示される量比でかくはん混合して、各種プライマー組成物を調製した。
(A)有機溶剤:n−ヘキサン
(B)飽和炭化水素系重合体:PIBオリゴマー、EPION103S、鐘淵化学工業社製、平均分子量5000、23重量%のプロセスオイルを含有
(C)アミノ基含有シランカップリング剤:N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、A1120、日本ユニカー社製
(D)シラノール縮合金属触媒
(1) 有機錫化合物:オクチル酸錫、ネオスタンU−303、日東化成社製
(2) チタネート系カップリング剤:チタン酸エステル、TPT−100、日本曹達社製
(E)シリコーン樹脂:ポリアルキルシロキサン、X−40−2134、信越化学工業社製
(F)ヒュームドシリカ
(1) 親水性ヒュームドシリカ:レオロシールQS−102S、トクヤマ社製、平均粒径12mm、比表面積200m 2 /g(BET)
(2) 疎水性ヒュームドシリカ:アエロジルR805、日本アエロジル社製、表面をシリコーン化合物処理したもの、平均粒径12mm、比表面積150m 2 /g(BET)
【0044】
接着性試験
まず、以下に示される材料を第1表に示される量比で5Lプラネタリー(万能かくはん機)を用いてかくはん混合して、反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とする2液型シーラントの主剤および硬化剤を調製した。
(1)主剤
▲1▼反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体:PIBオリゴマー、EPION EP505S、鐘淵化学工業社製、平均分子量20000、33重量%のプロセスオイルを含有
▲2▼充填剤:
i)脂肪酸エステル処理炭酸カルシウム、シーレッツ200、丸尾カルシウム社製
ii)脂肪酸処理炭酸カルシウム、MC−5、丸尾カルシウム社製
iii)重質炭酸カルシウム、ソフトン3200、備北粉化社製
▲3▼可塑剤:プロセスオイル、PAO5004、出光石油化学社製
▲4▼老化防止剤:イルガノックス1010、チバガイギー社製
▲5▼光安定剤:サンノールLS−770、三共化成社製
▲6▼紫外線吸収剤:チヌビン327、チバガイギー社製
▲7▼接着助剤:エポキシ樹脂、エピコート828、油化シェルエポキシ社製
▲8▼架橋助剤:H2 O
(2)硬化剤
▲1▼硬化助剤:ラウリルアミン
▲2▼硬化剤:オクチル酸錫
▲3▼充填剤:
i)重質炭酸カルシウム、ソフトン3200、備北粉化社製
ii)酸化チタン、タイペーク−R820、石原産業社製
▲4▼可塑剤:プロセスオイル、PS−32、出光興産社製
【0045】
得られた各種プライマー組成物をベンコットにより平板状の被着体(25mm×50mm×2mm)の表面に塗布した。被着体としては、ガラス、アクリル電着塗装鋼板、フッ素塗装鋼板および、陽極酸化アルミ板上に厚さ約1mmに塗布したシリコーン系シーラント硬化物を用いた。これを60分間風乾した後、JIS A1439の4.21に規定されている“引張接着性試験”を行い、破壊状態を観察して接着性を評価した。破壊状態は、CF:シーラント破壊、TCF:薄層はく離、AF:界面はく離のように表示した。
【0046】
結果を第1表に示す。第1表から明らかなように、(E)シリコーン樹脂または(F)ヒュームドシリカを含有する本発明のプライマー組成物(実施例1〜3)は、反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体をシーラント等として用いる場合に、ガラス、アクリル電着塗装鋼板、フッ素塗装鋼板およびシリコーン系シーラント硬化物のいずれの被着体に対しても、優れた接着性を発現する。なかでも、(E)シリコーン樹脂を含有する場合は、いずれの被着体においても、シーラント破壊を起こしており、接着発現性が特に優れる。
これに対し、(B)飽和炭化水素系重合体、(E)シリコーン樹脂および(F)ヒュームドシリカを含有しない従来のプライマー組成物(比較例2)は、アクリル電着塗装鋼板およびシリコーン系シーラント硬化物に対しては、接着性を発現しない。また、(E)シリコーン樹脂および(F)ヒュームドシリカのいずれも含有しないプライマー組成物(比較例1)の場合、実施例3に比べてアクリル電着塗装鋼板に対する接着性発現性が劣っている。
【0047】
【表1】
【0048】
【0049】
【発明の効果】
本発明のプライマー組成物は、反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体をシーラント等として用いる場合に、アクリル電着塗装、フッ素塗装等が施された鋼板やシリコーン系シーラント等のシーラントの硬化物に対しても十分な接着性を発現させる。従って、本発明のプライマー組成物は、それらを用いた各種建材等に反応性珪素基を有する飽和炭化水素重合体を主成分とするシーラント等を用いる場合に、好適に用いることができるので有用である。
Claims (3)
- (A)有機溶剤、(B)珪素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(C)アミノ基含有シランカップリング剤、(D)シラノール縮合金属触媒として有機錫化合物および/またはチタネート系カップリング剤および(E)シリコーン樹脂を、(A)100重量部に対して(B)1〜20重量部、(B)100重量部に対して(C)10〜150重量部、(B)100重量部に対して(D)10〜75重量部、(B)100重量部に対して(E)10〜50重量部の割合で含有するプライマー組成物。
- (A)有機溶剤、(B)珪素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(C)アミノ基含有シランカップリング剤、(D)シラノール縮合金属触媒として有機錫化合物および/またはチタネート系カップリング剤および(F)平均粒径が7〜20nm、比表面積100〜300m 2 /gのヒュームドシリカを、(A)100重量部に対して(B)1〜20重量部、(B)100重量部に対して(C)10〜150重量部、(B)100重量部に対して(D)10〜75重量部、(B)100重量部に対して(F)1〜10重量部の割合で含有するプライマー組成物。
- (A)有機溶剤、(B)珪素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(C)アミノ基含有シランカップリング剤、(D)シラノール縮合金属触媒として有機錫化合物および/またはチタネート系カップリング剤、(E)シリコーン樹脂および(F)平均粒径が7〜20nm、比表面積100〜300m 2 /gのヒュームドシリカを、(A)100重量部に対して(B)1〜20重量部、(B)100重量部に対して(C)10〜150重量部、(B)100重量部に対して(D)10〜75重量部、(B)100重量部に対して(E)10〜50重量部、(B)100重量部に対して(F)1〜10重量部の割合で含有するプライマー組成物。
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