JP4246458B2 - プライマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種基材との接着性に良好なプライマー組成物に関する。特に、シリコーン系シーリング材からなる基材、あるいは、モルタル、スレート、コンクリートなどの多孔質無機材料や、あるいは窓枠サッシなどに使用される電解着色アルミニウムなどの各種の基材との接着性の良好なプライマー組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
建築物や車両などの内外装の目地部や窓枠周りなどの密閉のために使用されるシーリング材には、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系やウレタン系などの各種のものがあり、これらは適用される部材を構成する基材の種類や目地の種類により選択して使用されている。とりわけシリコーン系シーリング材は、表面耐候性、耐久性などに優れるが、目地周辺へのシリコーンオイル成分のしみ出しによる汚染の問題がある。
【0003】
これらの問題を解消するものとして、近年、主鎖構造がイソブチレンであるシリコーン系ポリマーからなるシーリング材、すなわちポリイソブチレン(以下、「PIB」という。)系シーリング材が動的追従性、耐熱性、耐候性、耐水性、塗装性に優れたものとして開発されてきている。このPIB系シーリング材は、上記の従来のシリコーン系シーリング材の目地周辺へのシリコーンオイル成分のしみ出しによる汚染の欠点がなく、表面耐候性や耐久性にも優れるので、性能的に従来のシリコーン系シーリング材に置き代われるものである。
【0004】
一方、現場においては施工後長期間経過して劣化の進んだシーリング材は、シーリング材としての性能が今後維持できないと判断された場合などに、古いシーリング材が取り除かれ、新たにシーリング材が施工される。このようなシーリング材の打ち替えにおいては、古いシーリング材は完全に取り除かれることはないので、新たに施工されるシーリング材は先打ちされた古いシーリング材に良好に接着して打継がれる必要がある。
【0005】
上記のような打ち替えにおいて、上述した従来のシリコーン系シーリング材に置き代われるPIB系シーリング材においても、同様に先に施工されている2成分形シリコーン系シーリング材に確実に接着できる必要がある。この打ち替えにおいて先打ちされたシーリング材に確実な接着性を付与するためにはプライマーが重要である。
【0006】
しかし、これまでシーリング材の業界では、2成分形シリコーン系シーリング材に良好な接着性を示すプライマーはなく、PIB系シーリング材が2成分形シリコーン系シーリング材に良好な接着性を示すようなプライマーの開発が求められていた。
【0007】
ところで、このような現状において、シリコーン系シーリング材への打継ぎ用プライマーとしては特開平11−209701号および特開平11−209702号に開示のものがある。これらは低分子量のPIBポリマー、シランカップリング剤、有機チタン酸エステル類およびスズ触媒からなるプライマーであって、特に特開平11−209701号は有機チタン酸エステル類を含有することを基本成分とするものであり、特開平11−209702号はイソシアネート基含有シランカップリング剤またはアミノ基含有シランカップリング剤で、シランカップリング剤を含有することを基本成分とするものである。
【0008】
いずれにしてもシランカップリング剤としてはイソシアネート基含有シランカップリング剤およびアミノ基含有シランカップリング剤とするプライマーである。そして、これらのプライマーは、先打ちのシリコーン系シーリング材に後打ちでPIB系シーリング材を打継ぐ際に、良好な接着性を示すことが上記の公報に記載されている。
【0009】
しかし、これらのプライマーは、施工後それほど長期間を経過していない先打ちのシリコーン系シーリング材に対して後打ちのPIB系シーリング材を打継ぐ場合には、良好な接着性を示すが、施工後に長期間を経過した先打ちのシリコーン系シーリング材に対して後打ちのPIB系シーリング材を打継ぐ場合においては、接着性は十分ではなく劣っている問題がある。
【0010】
一方、発明者らは、PIB系シーリング材への接着性を良好とするプライマー組成物の材料、特に種々のシランカップリング剤として、ケチミン系シランカップリング剤が優れていることを見出し、特開2001−152092号公報に開示の分子末端にアルコキシリル基を有し主鎖構造がアルキレン構造であるシリコーン系ポリマーを含有するパラフィン系可塑剤溶液と、有機溶剤、有機チタン酸エステル、スズ系硬化触媒およびアミノ系シランカップリング剤からなるプライマー基本成分に、ケチミン系シランカップリング剤を添加してなる2成分形シリコーン系シーリング材への打継ぎ用プライマー組成物の発明を提案している。
【0011】
しかしながら、これらの打継ぎ用プライマー組成物は、施工後に長期間経過した先打ちのシリコーン系シーリング材に後打ちのPIB系シーリング材を打継ぐ場合には良好な接着性を示すが、難接着被着体である電解着色アルミニウム等に対しては、接着性が劣るという問題がある。
【0012】
さらに一方、特開2002−80783号公報には、プライマー組成物として、(A)(a)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(b)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有するビニル系共重合体、(c)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有するポリブタジエン系重合体、よりなる群から選択された1種もしくは2種以上と、(B)粘着性付与樹脂の、(A)と(B)を含有するプライマー組成物およびその接着方法の発明が開示されており、それによると各種基材に対する接着性が短い養生期間で良好であるとされている。
しかしながら、これらのプライマー組成物においては、施工後にそれほど長期間経過していない先打ちのシリコーン系シーリング材に後打ちのPIB系シーリング材を打ち継ぐ場合には良好な接着性を示すが、施工後に長期間経過した先打ちのシリコーン系シーリング材に後打ちのPIB系シーリング材を打継ぐ場合には、接着性に劣り問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点を解決するものとして、さらに、各種基材に対して良好な接着性を有するプライマー組成物を提供することである。すなわち、施工後に長期間経過した先打ちのシリコーン系シーリング材に対して後打ちでPIB系シーリング材を打継ぐ際に十分な接着性を示し、さらに無機材料、例えばアルマイト処理されたアルミニウム、ガラス、モルタルやスレート等の多孔質類、また難接着被着体である電解着色アルミニウムなどの基材へPIB系シーリング材を施工する際にも極めて良好な接着性を付与するプライマー組成物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、PIB系シーリング材の接着性を良好とするプライマー組成物の材料について種々検討し、特に種々のシランカップリング剤について検討してきたところ、ケチミン系シランカップリング剤がプライマー組成物の材料として極めて優れていることを知見し、これを基に、上記の特開2001−152092号公報に開示の発明を提案してきたとおりである。そこで、さらにこのケチミン系シランカップリング剤を適応することで種々の基材に、優れた接着性を有する組成物を鋭意、考究し本発明を得たものである。
【0015】
すなわち、上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、分子末端にアルコキシシリル基を有し、主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体と、分子末端および/または側鎖にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有する主鎖構造がビニル系共重合体であるポリマーとからなるプライマー基本成分に、ケチミン系シランカップリング剤を添加してなることを特徴とするプライマー組成物である。
【0016】
請求項2の発明では、プライマー基本成分は、分子末端にアルコキシシリル基を有し、主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体を含むパラフィン系可塑剤溶液と、分子末端および/または側鎖にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有する主鎖構造がビニル系共重合体であるポリマーと、有機溶剤、有機チタン酸エステルおよびアミノ系シランカップリング剤とからなることを特徴とする請求項1の記手段のプライマー組成物である。
【0017】
請求項3の発明では、ビニル系共重合体は、数平均分子量が500〜50,000の範囲にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端にケイ素原子を結合した加水分解性シリル基を1個以上有することを特徴とする請求項1または2の手段のプライマー組成物である。
【0018】
請求項4の発明では、飽和炭化水素系重合体は、アルコキシシリル基がメチルジメトキシシリル基で、主鎖構造がポリイソブチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項の手段のプライマー組成物である。
【0019】
請求項5の発明では、ケチミン系シランカップリング剤は、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の手段のプライマー組成物である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本願の発明において、分子末端にアルコキシリル基を有し、主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体には、芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、主鎖構造がエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンのようなアルキレン構造を持ち、このうち特に好ましいアルキレン構造としてはポリイソブチレンであり、分子末端のアルコキシリル基はメチルジメトキシシリル基である。
【0021】
さらに、分子末端および/または側鎖にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有する主鎖構造がビニル系共重合体、すなわち、反応性ケイ素基を有するビニル系共重合体(以下、「シリル基含有ビニル系共重合体」という。)とは、主鎖にウレタン結合やシロキサン結合などからなるセグメントのように、ビニル系単量体からなるセグメント以外のセグメントが、シリル基含有ビニル系共重合体にビニル系共重合体としての特性を損なわない範囲で含有されていても良いという意味であり、一般に主鎖を構成する原子の50原子%程度以下の範囲でビニル系単量体単位からなるセグメント以外のセグメントが含まれていてもビニル系共重合体としての特性が損なわれることはない。このように主鎖がビニル系共重合体からなるため、耐久性、耐薬品性などに優れるプライマーとなる。
【0022】
また、前記シリル基含有ビニル系共重合体の主鎖末端および/または側鎖に加水分解性シリル基を1分子中に少なくとも1個を有するとは、該共重合体の主鎖の末端や側鎖に1分子当たり少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性シリル基を有することである。1分子当たり少なくとも1個の加水分解性シリル基を有するため、水分の存在下で高分子量化またはゲル化し、化学的に安定なシロキサン結合を生成して塗膜の耐薬品性などを向上させる。また、加水分解性シリル基は無機質基材への親和性がよく、かつ水分の存在によって架橋反応を起こすので、塗膜は無機質の基材に対しても密着性がよいという効果が得られる。
【0023】
前記シリル基含有ビニル系共重合体中の単位質量当たりの加水分解性シリル基のmol数(以下、「Si当量」という。)は、0.2〜5.0mmol/gであることが好ましく、0.5〜4.0mmol/gであることがより好ましく、1.0〜3.0mmol/gであることが特に好ましい。Si当量が0.2mmol/gを下回るとプライマー組成物の接着性や皮膜形成が十分でないことがある。
【0024】
前記シリル基含有ビニル系共重合体の数平均分子量は500から50,000程度であるのが好ましく、特に1,000〜30,000程度のものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0025】
前記のごときシリル基含有ビニル系共重合体を製造する種々の方法がある。例えば、(i)ビニル系モノマーと加水分解性シリル基含有モノマー(以下、「シリル基含有モノマー」という。)との共重合により製造する方法、(ii)ビニル系モノマーと反応性官能基(以下、「X基」という。)含有モノマー、例えばアクリル酸、とを共重合させ、その後生成した共重合体を反応性ケイ素基及びX基と反応し得る官能基を有する化合物、例えばイソシアネート基と−Si(OCH3)基を有する化合物、と反応させる方法、などが挙げられる。
【0026】
上記のシリル基含有ビニル系共重合体鎖を構成する際に用いるビニル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリレート、スチレン類、α−メチルスチレン類、ケイ素含有ビニルモノマー、フッ素含有ビニルモノマー、エポキシ基含有ビニルモノマー、マレイン酸エステル類など、種々のものが挙げられるが、これらの中では(メタ)アクリレートが好ましい。
【0027】
前記シリル基含有モノマーとビニル系モノマーとからシリル基含有ビニル系共重合体を製造する方法には特に限定はなく、例えば特開昭54−36395号公報、同57−36109号公報、同58−157810号公報に示される方法などにしたがって製造しうるが、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ系ラジカル開始剤を用いた溶液重合が開始剤の取扱いが容易であり、また重合反応生成混合物がそのまま利用できるという点から最も好ましい。
【0028】
本発明のプライマー組成物中のシリル基含有ビニル系共重合体の含有率は1〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましく、20〜30質量%が特に好ましい。
【0029】
請求項2に係る手段のプライマー基本成分は、分子末端にアルコキシシリル基を有し、主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体を含むパラフィン系可塑剤溶液(以下、「シリコーン系ポリマー」という。)と、シリル基含有ビニル系共重合体であるポリマーと、トルエン、キシレン、ヘキサン等の有機溶剤と、有機チタン酸エステル、およびN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤とからなるプライマー基本成分である。
【0030】
このプライマー基本成分は、シリコーン系ポリマー100質量部に対し、シリル基含有ビニル系共重合体であるポリマー10〜300質量部、有機溶剤100〜5000質量部、有機チタン酸エステル1〜100質量部、アミノ系シランカップリング剤0.1〜100質量部が好ましい。
【0031】
また、このプライマー組成物は、上記プライマー基本成分のシリコーン系ポリマー100質量部に対し、ケチミン系シランカップリング剤5〜5000重量部を含有することを特徴とするプライマー組成物である。すなわち、ケチミン系シランカップリング剤が5質量部未満のときは、2成分形シリコーン系シーリング材への接着性の向上が少なく、5000質量部を超える場合は、アルマイトアルミのような一般的被着体に対する接着性が低下することがある。このうち、特に好ましくは10〜1000質量部が本発明の効果が最も発揮される。
【0032】
本発明におけるケチミン系シランカップリング剤とは、化1に示すような構造をもつ化合物であり、R1、R2は、それぞれ独立に1価の直鎖あるいは分岐した炭素数1〜20のアルキル基、アルケン基、芳香族系炭化水素基等の炭化水素基、R3は2価の直鎖の炭素数1〜10の炭化水素基である。またR4は、メチル基、エチル基のような炭素数1〜4の低級アルキル基で、nは0または1である。
【0033】
【化1】
【0034】
さらに、アルマイトのような一般的被着体に対して使用するときあるいは施工後5年程度経過した先打ちシリコーン系シーリング材に対して使用するとき、これらとPIB系シーリング材との接着性が優れるものは、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミンであり、さらに、施工後10年程度経過した先打ちシリコーン系シーリング材に対して使用するとき、これとPIB系シーリング材との接着性が優れるものは、化2に示すN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、化3に示すN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンである。
【0035】
【化2】
【0036】
【化3】
【0037】
ところで、ケチミン化合物を配合した系からなる材料としては、シラン化合物およびケチミン化合物を含有するシーリング材や、変成シリコーン樹脂を配合したエポキシ樹脂などの接着剤などが知られている。一方、シラン系プライマーとして各種シラン系化合物を配合した系の材料は種々あるが、これらはシリコーンゴムと各種被着体や塗料との接着性或いは密着性向上に関するものが殆どで、シーリング材に関するものとして、出願人の出願に係る上記の特開2001−152092号公報の発明を除いては、シリコーン系シーリング材への打継ぎ用プライマーに関するものはなかった。
【0038】
【実施例】
プライマー基本成分の分子末端にアルコキシシリル基を有し主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体において、アルコキシシリル基はメチルジメトキシシリル基であって主鎖構造はポリイソブチレンであり、このポリマーは数平均分子量が5000〜20000(以下、このポリマーを「PIBポリマー」という。)である。このものは市販されているのでこれを用いて説明する。この市販品は、取り扱いやすい液状にするため、プロセスオイルと呼ばれるパラフィン系可塑剤を希釈剤として10〜40質量%含有している。このPIBポリマーを窒素気流装置、攪拌機、減圧脱水装置および加熱装置を備えたシーラント製造装置に仕込む。この装置はウレタン系シーリング材または変成シリコーン系シーリング材を製造する装置でよい。この装置に上記のプロセスオイルで希釈したPIBポリマーを仕込み、さらに攪拌しながらシリル基含有ビニル系重合体、有機溶剤としてトルエンとイソプロパノール、有機チタン酸エステル、アミノ系シランカップリング剤などを順次仕込んでプライマー基本成分とし、さらにこのプライマー基本成分にケチミン系シランカップリング剤を添加して、均質混合を行ってプライマー組成物とする。
【0039】
以下、本発明のプライマー組成物について、表1に実施例1〜3および比較例1〜3にその配合割合を示す。これらはそれぞれの配合割合を質量部で示している。
【0040】
実施例1は、数平均分子量(以下、「Mn」と表記する。)5000の分子末端がメチルジメトキシシリル基で主鎖がポリイソブチレンであるシリコーン系ポリマー100質量部を含むパラフィン系可塑剤溶液(商品名エピオンEP103S、鐘淵化学工業社製)130質量部、溶剤としてトルエン150質量部とイソプロパノール(商品名i−PrOH:和光純薬工業社製)50質量部、シリル基含有ビニル系共重合体150質量部を混合したものをプライマー基本成分とし、さらにこのプライマー基本成分にケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)150質量部を含有せしめて、プライマー組成物とした。
【0041】
実施例2は、実施例1のプライマー基本成分に、さらにアミノ系シランカップリング剤であるN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名KBE−603:信越化学工業社製)25質量部を加えてプライマー基本成分とするものであり、このプライマー基本成分にケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)を実施例1と同様に150質量部を含有せしめてプライマー組成物とした。
【0042】
実施例3は、実施例2のプライマー基本成分にさらに有機チタン酸エステルとしてテトラ−n−ブチルチタナート(Ti(OBu)4)(和光純薬工業社製)25質量部を加えてプライマー基本成分とし、このプライマー基本成分にケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)を実施例1、2と同様に150質量部を含有せしめてプライマー組成物とした。
【0043】
比較例1は、特開2001−152092号公報に開示の実施例3と同様のプライマー組成物を使用した。すなわち、実施例1〜3で用いたシリコーン系ポリマー100重量部を含むパラフィン系可塑剤溶液(商品名エピオンEP103S、鐘淵化学工業社製)130質量部に溶剤としてn−ヘキサン500質量部、有機チタン酸エステルとしてテトラ−n−ブチルチタナート(Ti(OBu)4)(和光純薬工業社製)25質量部、スズ系硬化触媒としてジブチルスズビスアセチルアセトナート(商品名ネオスタンU−220:日東化成社製)1質量部、アミノ系シランカップリング剤(商品名KBM573:信越化学工業社製)25質量部、ケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)100質量部を加えてプライマー組成物とした。
【0044】
比較例2は、実施例3のプライマー基本成分から分子末端がメチルジメトキシシリル基で主鎖がポリイソブチレンであるパラフィン系可塑剤溶液(商品名エピオンEP103S、鐘淵化学工業社製)を除いてプライマー基本成分としたもので、このプライマー基本成分にケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)を実施例1〜3と同様に150質量部を含有せしめてプライマー組成物とした。
【0045】
比較例3は、実施例3のプライマー基本成分からシリル基含有ビニル系共重合体を除いてプライマー基本成分としたもので、このプライマー基本成分にケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)を実施例1〜3および比較例2と同様に150質量部を含有せしめてプライマー組成物とした。
【0046】
【表1】
【0047】
続いて、本発明のプライマー組成物について、表2に実施例3〜5および比較例4〜5にその配合割合を示す。この表2のプライマー組成物は、実施例3のプライマー基本成分に加えたケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)の含有量をそれぞれ変化させたものである。これらはそれぞれの配合割合を質量部で示している。
【0048】
実施例3は、表1に示すものと同じものである。
【0049】
実施例4は、実施例3に比してケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)の含有量を50質量部少なくしたものである。
【0050】
実施例5は、実施例3に比してケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)の含有量を100質量部少なくしたものである。
【0051】
比較例4は、実施例3に比してケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)の含有量を140質量部少なくしたものである。
【0052】
比較例5は、ケチミン系シランカップリング剤(商品名S340:チッソ社製)の含有量を全く含有しないものとしたものである。
【0053】
【表2】
【0054】
表1および表2に示す引張接着性試験を行うために、以下の方法によりPIB系シーリング材シーリング材の基剤、硬化剤の作製し、このシーリング材を用いて引張接着性試験を行なった。
【0055】
主剤の作製は、市販のシール混合機である加熱、撹拌、減圧、窒素気流装置を備えた5Lプラネタリーミキサー(商品名プラネタリーミキサーPLM5:井上製作所製)に、数平均分子量のMn:20000の分子末端がメチルジメトキシシリル基で主鎖がポリイソブチレンであるシリコーン系ポリマー100質量部を含むパラフィン系プロセスオイル(商品名ダイアナプロセスオイルPS−32:出光興産社製)50質量部、コロイド炭酸カルシウム(商品名KR−6:丸尾カルシウム社製)145質量部、エポキシ樹脂(商品名エピコート828:油化シェルエポキシ社製)5質量部、グリセリン7質量部、平均粒子径40μmのガラスバルーン(商品名フジバルーンH−35:富士シリシア社製)10質量部、紫外線硬化樹脂(商品名アロニックスM−309:東亜合成社製)3質量部、紫外線吸収剤(商品名チヌビン327:日本チバガイギー社製)1質量部、光安定剤(商品名サノールLS770:三共社製)1質量部、酸化防止剤(商品名イルガノックス1010:日本チバガイギー社製)1質量部を加え、これを粗練り工程として50Torrの減圧下で室温にて撹拌を30分間行なった。その後、パラフィン系プロセスオイル(商品名ダイアナプロセスオイルPS−32:出光興産社製)20質量部を加え、50Torrの条件で撹拌を60分間行い、2成分形シーリング材の主剤とした。なお、本発明ではさらに炭素数10〜20の高級脂肪酸として飽和酸であるステアリン酸を混合しても良く、主剤の製造時に混合することができる。またさらに本発明では、多価アルコールを配合することもでき、多価アルコールは施工時の作業適性を良くする。
【0056】
硬化剤の作製は、オクチル酸スズ(商品名ネオスタンU−28:日東化成社製)15質量部、ラウリルアミン(和光純薬工業社製)4質量部、パラフィン系プロセスオイル(商品名ダイアナプロセスオイルPS−32:出光興産社製)90質量部、重質炭酸カルシウム(商品名ソフトン3200:白石カルシウム社製)90質量部を添加、十分に混合し、2成分形シーリング材の硬化剤とした。
【0057】
(接着性試験方法)
接着性試験は以下の方法により評価した。すなわち、先ず、試験体のガラス板、電解着色処理されたアルミニウム板(50×50×3mm)の表面を、それぞれトルエンで洗浄し、表1、表2のそれぞれのプライマー組成物を1試験体に1回塗布した。次いで、先打ちシリコーン系シーリング材の試験体として、先打ちシリコーン系シーリング材(A)は実験室で硬化させたもので、先打ちシリコーン系シーリング材(B)は現場において実際に建築物で施工されたシリコーン系シーリング材で施工後5年経過したもので、先打ちシリコーン系シーリング材(C)は現場において実際に建築物で施工されたシリコーン系シーリング材で施工後8年経過したものであり、これらの先うちシーリング材は商品名SE−792(東レ・ダウコーニング社製)である。これらの3種類のシリコーン系シーリング材(50×10×10mm)のそれぞれをカッターナイフで2つに切断して半分の厚み(50×10×5mm)にし、その切断面を試験面とした。その面をトルエンで洗浄し、表1に示すそれぞれのプライマーを1試験体に1回塗布した。23℃で1時間放置したプライマー塗布面に、上記で作製したPIB系シーリング材の主剤と硬化剤とを重量比で10対1の割合で混合したものを約10mmの厚さにシールし、硬化させた。養生条件は20℃×3日である。養生後、試験体の接着面の一端にカッターナイフで切り込みを入れ、PIB系シーリング材とガラス、電解着色処理されたアルミニウムおよびシリコーン系シーリング材が接着されているかどうかを、手ではく離し、各被着体に対する接着性を評価した。評価は◎、○、△、×の4段階とした。
【0058】
◎、○は接着性は良好で実用上十分の範囲であり、◎は手はく離によって全面的に凝集破壊となり、○も手はく離によってほとんどの部分で凝集破壊となることを示す。一方、△、×は接着性は悪く実用上不十分の範囲で、△はほとんどの部分で界面破壊となり、×も全面的に界面破壊となることを示す。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の分子末端にアルコキシリル基を有し、主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体と、分子末端および/または側鎖にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有する主鎖構造が実質的にビニル系共重合体であるポリマーを主成分とするプライマー基本成分に、ケチミン系シランカップリング剤を配合したプライマー組成物は、ガラスや電解着色処理したアルミニウムのような一般的被着体に対して使用するとき、あるいは施工現場で長期間経過した先打ちシリコーン系シーリング材に対して使用するとき、これらとPIB系シーリング材との著しい接着性向上を付与して、従来にない優れた効果を奏するものである。
Claims (5)
- 分子末端にアルコキシシリル基を有し、主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体と、分子末端および/または側鎖にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有する主鎖構造がビニル系共重合体であるポリマーとからなるプライマー基本成分に、ケチミン系シランカップリング剤を添加してなることを特徴とするプライマー組成物。
- プライマー基本成分は、分子末端にアルコキシシリル基を有し、主鎖構造がアルキレン構造である飽和炭化水素系重合体を含むパラフィン系可塑剤溶液と、分子末端および/または側鎖にケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有する主鎖構造がビニル系共重合体であるポリマーと、有機溶剤と、有機チタン酸エステルおよびアミノ系シランカップリング剤とからなることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物。
- ビニル系共重合体は、数平均分子量が500〜50,000の範囲にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端にケイ素原子を結合した加水分解性シリル基を1個以上有することを特徴とする請求項1または2に記載のプライマー組成物。
- 飽和炭化水素系重合体は、アルコキシシリル基がメチルジメトキシシリル基で、主鎖構造がポリイソブチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
- ケチミン系シランカップリング剤は、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(メチルジエトキシシリル)−1−プロパンアミンのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
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