JP4458613B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性組成物に関するものであって、より詳しくは、大気中などの水分により硬化して高い耐候性と耐水性を有する優れたゴム状弾性体硬化物になるとともに、含まれる可塑剤が表面に移行せず、また上塗りした塗料表面にも移行しないため、表面が粘着性にならず塵埃付着汚染がないなどシーリング材、接着剤、塗料などの応用範囲の広い優れた硬化組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
架橋性シリル基含有有機重合体はゴム弾性や作業性などが良好なことより、建築用、土木用、自動車用などのシーリング材、接着剤、塗料など多方面に使用されている。シーリング材や塗料などに使用する場合は、性能維持と美感上の点から、高い耐候性と耐水性、更には塵埃付着による表面汚染がないことが要求され、接着剤などに使用する場合は性能維持のために、高い耐水性などの性能が要求される。
このような用途に使用する場合、粘度や物性を調整するために、例えばジオクチルフタレートなどの低分子量の可塑剤を添加することが一般的に行われているが、耐候性や耐水性が低下してしまうという欠点がある。さらに、これらの可塑剤は、硬化物の表面に移行したり、あるいは硬化物表面に塗料をさらに上塗りした場合は塗料の表面に可塑剤が移行するため、表面が粘着性となり、塵埃が付着し汚染が発生するという欠点がある。
【0003】
これらの欠点を改良するために、種々の高分子可塑剤を使用する方法が提案されている。例えば特開昭63−108058号公報、特開平02−142850号公報などでは、可塑剤として分子量が100〜8000のポリアルキレンエーテルポリオールや分子量が500〜5000のポリオキシアルキレンモノエーテルを使用することにより、硬化物表面や硬化物に上塗りした塗料へ可塑剤が移行するのを防止し、塵埃付着による表面汚染を防止する方法などが開示されている。
しかし、上記の方法では、表面汚染防止の効果が十分ではなく、さらに耐候性と耐水性を低下させるなどの問題がある。
【0004】
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、このような従来の欠点を解決して、大気中などの水分により硬化して、高い耐候性と耐水性を有するゴム状弾性体となり、かつ硬化物の表面あるいは硬化物に上塗りした塗料へ可塑剤が移行するのを防止し、塵埃付着による表面汚染を防止した、シーリング材、接着剤、塗料など応用範囲の広い有用な硬化組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、特定の高分子可塑剤を使用することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下に記載する発明に関するものである。
1.(A)架橋性シリル基含有有機重合体および(B)平均分子量が500〜100000の水酸基含有アクリル系重合体および/または水酸基含有メタクリル系重合体とよりなることを特徴とする硬化性組成物。
【0006】
2.前記硬化性組成物において、(B)成分の平均分子量が500〜100000の水酸基含有アクリル系重合体および/または水酸基含有メタクリル系重合体の使用量が(A)成分の架橋性シリル基含有有機重合体の100重量部に対し、1〜200重量部であることを特徴とする硬化性組成物。
3.前記硬化性組成物がさらに(C)架橋触媒、および(D)酸化防止剤および/または紫外線吸収剤を含有したものであることを特徴とする上記1項または2項に記載の硬化性組成物。
【0007】
4.前記硬化性組成物がさらに(E)添加剤を含有していることを特徴とする前記3記載の硬化性組成物。
5.前記成分(A)が、架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体および/または架橋性シリル基含有ビニル変性ポリオキシアルキレン系重合体であることを特徴とする上記1〜4項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【0008】
6.上述の架橋性シリル基含有ビニル変性ポリオキシアルキレン系重合体が、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体、および/または架橋性シリル基含有メタクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体の1種または2種以上より選ばれた架橋性シリル基含有有機重合体であることを特徴とする上記5項に記載の硬化性組成物。
7.上述の成分(B)が、ビニル系単量体を重合開始剤の存在下または不存在下に高温連続重合反応して得られる、平均分子量が500〜100000、Tg 0℃以下、25℃における粘度が100000mPa・s 以下の水酸基含有アクリル系重合体、および/または水酸基含有メタクリル系重合体であることを特徴とする上記1項〜5項のいずれか1項に記載の各硬化性組成物。
8.さらに、上記硬化性組成物が、シーリング材、接着剤および/または塗料のいずれかであることを特徴とする上記1項〜6項のいずれか1項に記載の硬化性組成物に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明における(A)架橋性シリル基含有有機重合体は、大気中などの水分の作用によりシロキサン結合を形成することにより架橋してゴム状弾性硬化物を形成するシリル基を分子内に1個以上含有する有機重合体であって、このようなものであればどのようなものであっても使用することができ、また、この架橋性シリル基含有有機重合体の1種類ばかりでなく2種類以上をブレンドしたものも使用できる。
【0010】
このような架橋性シリル基含有有機重合体における有機重合体としては、ポリオキシアルキレン重合体ないし共重合体、あるいはこれらのビニル変性体、ポリアクリルポリマー、ポリメタアクリルポリマー、ポリオレフィンなどのビニル系重合体ないし共重合体、ポリエステル、さらにこれらの混合物があげられる。
これらのものは、例えば、特開昭52−73998号、特開昭54−6097号、特開昭59−78223号、特開昭59−122541号、特開昭60−6747号、特開昭61−233043号、特開昭61−241319号、特開昭63−112642号、特開平02−43203号、特開平04−283259号、特開平05−70531号、特開平05−287186号、特開平06−172631号、特開平11−80571号、特開平11−116763号などに記載されており、すでに知られている。
以下、本明細書ではアクリル系の単量体や重合体、メタアクリル系の単量体や重合体などアクリル系とメタアクリル系をまとめて(メタ)アクリル系…、たとえば(メタ)アクリル系重合体などと表記することがある。
【0011】
これらの重合体に結合する架橋性シリル基は、硬化性や硬化後の物性などの点から、分子内に1〜5個含まれるのが好ましい。
そして、架橋性シリル基としてはいろいろなものが知られているが、このうち架橋しやすく製造しやすい次の一般式1で示されるものが好ましい。
【0012】
【化1】
Figure 0004458613
【0013】
(式中、Rは炭化水素基を示し、好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、このうちメチル基が最も好ましい。Xはハロゲン原子、水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基およびアミノオキシ基より選ばれる反応性基であり、Xが複数存在する場合には、Xは同じ基であるか、あるいは相異なる基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基が更に好ましい。aは0,1または2の整数であり、1が好ましい。)
【0014】
上記のポリオキシアルキレン系重合体としては、ポリオキシアルキレン重合体ないし共重合体があげられ、ポリオキシエチレンポリマー、ポリオキシプロピレンポリマー、ポリオキシブチレンポリマー、ポリオキシテトラメチレンポリマー、あるいはこれらのコポリマーないしブロックコポリマーが例示される。
【0015】
これらのポリオキシアルキレン系重合体は、さらにビニル変性されていてもよく、このビニル変性するためのビニル系単量体としては、分子内に1個以上の重合性二重結合を有する化合物であって、不飽和モノカルボン酸類(たとえば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸など)、不飽和モノカルボン酸エステル類(たとえば、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和モノカルボン酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、またはベンジルなどのエステル)、不飽和ポリカルボン酸またはそのエステル類(たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノおよびジアルキルエステルなど)、水酸基含有不飽和化合物類(たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミドなど)、エポキシ基含有不飽和化合物類(たとえば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートなど)、ニトリル基含有不飽和化合物類(たとえば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなど)、アミノ基含有不飽和化合物類(たとえば、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタアクリレート、アミノエチルビニルエーテルなど)、アミド基含有不飽和化合物類(たとえば、アクリルアミド、メタアクリルアミドなど)、脂肪族ビニル系単量体(たとえば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなど)、芳香族炭化水素系ビニル単量体(たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなど)、ジエン類(たとえば、ブタジエン、イソプレンなど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、アリルアルコールなどが挙げられる。
【0016】
ビニル変性するビニル系単量体の使用量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜1000質量部、とくに1〜200質量部を使用することが望ましい。
【0017】
ビニル系重合体としては、アクリル酸エステル重合体ないし共重合体、メタアクリル酸エステル重合体ないし共重合体、ポリオレフィン重合体ないし共重合体などがあげられ、アクリル酸エステル重合体ないし共重合体としてはアクリル酸メチルポリマー、アクリル酸エチルポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシルポリマーなどが、また、メタアクリル酸エステル重合体ないし共重合体としてはメタアクリル酸メチルポリマー、メタアクリル酸エチルポリマーなどが、さらにポリオレフィン重合体ないし共重合体としては、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、ポリイソブレン、あるいはこれらの共重合体などが例示される。
【0018】
ポリエステル重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンフタレート、あるいはこれらの共重合体などが例示される。
【0019】
架橋性シリル基含有有機重合体としては、硬化後の接着性、弾性特性などの点から、架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン重合体、架橋性シリル基含有ビニル変性ポリオキシアルキレン重合体が好ましく、このうち、架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体または架橋性シリル基含有メタアクリル変性ポリオキシプロピレン重合体が更に好ましいものである。また、架橋性シリル基含有ビニル変性ポリオキシアルキレン重合体は、その使用により、硬化組成物の耐候性をさらに高めるという効果を奏する。
【0020】
前記の分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有するビニル変性ポリオキシアルキレン重合体は、たとえば、架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン重合体の存在下で、通常の公知のラジカル重合方法により、1種または2種以上のビニル系単量体を重合させることにより製造する方法(たとえば、特開昭59−78223号公報、特公平02−42367号公報など)、あるいは架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン重合体と架橋性シリル基含有ビニル系重合体とをブレンドする方法(たとえば、特開平06−172631号公報)などの方法によって製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0021】
有機重合体に架橋性シリル基を導入する方法は公知の方法で行うことができ、例えば、有機重合体の末端をアリルオレフィン化して、それにメチルジメトキシシランなどのヒドロシラン化合物を付加する方法、ビニル系単量体を重合させて有機重合体を合成する際、ビニルメチルジメトキシシランなどの分子内にビニル基と架橋性シリル基を含有する化合物を共重合させる方法、あるいは有機重合体に水酸基などの活性水素基を導入し、それにγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどの分子内にイソシアネート基と架橋性シリル基を含有する化合物を反応させる方法などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明において、架橋性シリル基含有有機重合体は、その分子量が1000以上、とくに6000〜30000の範囲のしかもその分子量分布の狭いものが、硬化前の粘度が低いので取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラスなどの弾性特性や接着性などの物性がきわめて優れている。
【0023】
本発明において用いられる(B)水酸基含有アクリル系重合体および/または水酸基含有メタクリル系重合体は、組成物の硬化前においては組成物の粘度を調整しかつ塗布などの作業性を向上させるという作用を有し、
組成物の硬化後においては
1 硬化物の強度、伸び、モジュラスなどの弾性特性を調節し、
2 耐候性と耐水性を高め、
3 硬化物の表面あるいは硬化物に上塗りした塗料に移行せず、さらに
4 このためこれらの表面が粘着性とならないため、結果として塵埃の付着による汚染を防止する
という効果を奏するものである。
【0024】
この(B)成分の水酸基含有(メタ)アクリル系重合体は、(i)水酸基含有アクリル系単量体および/または水酸基含有メタアクリル系単量体と(ii)前記(i)以外のビニル系単量体との共重合体であって、(ii)成分のビニル系単量体の1種または2種以上を重合させる際に少量の(i)成分の単量体を共重合体成分とし、ラジカル重合開始剤の存在下または不存在下で180〜300℃で連続重合させた分子量分布の狭い共重合体である。
【0025】
前記(i)成分の水酸基含有アクリル系単量体ないし水酸基含有メタアクリル系単量体としては、たとえば2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートなどをあげることができる。
【0026】
前記(ii)成分のビニル系単量体としては、分子内に1個以上の重合性二重結合を有する化合物であって、たとえば、不飽和モノカルボン酸類(たとえば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸など)、不飽和モノカルボン酸エステル類(たとえば、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和モノカルボン酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルヘキシル、またはベンジルなどのエステル)、不飽和ポリカルボン酸またはそのエステル類(たとえば、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノおよびジアルキルエステルなど)、エポキシ基含有不飽和化合物類(たとえば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートなど)、ニトリル基含有不飽和化合物類(たとえば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなど)、アミノ基含有不飽和化合物類(たとえば、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタアクリレート、アミノエチルビニルエーテルなど)、アミド基含有不飽和化合物類(たとえば、アクリルアミド、メタアクリルアミドなど)、脂肪族ビニル系単量体(たとえば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなど)、芳香族炭化水素系ビニル単量体(たとえば、スチレン、α−メチルスチレンなど)、ジエン類(たとえば、ブタジエン、イソプレンなど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、アリルアルコールなどが挙げられる。
【0027】
これら(ii)成分のビニル系単量体のうち好ましいものは、不飽和モノカルボン酸エステル類であり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸アルキルエステル類であって、たとえばアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸2−エチルヘキシルなどがあげられる。さらに、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類とともに使用することができる第3成分のビニル系単量体としてはスチレンに代表されるビニル芳香族単量体である。
【0028】
上記(B)成分の平均分子量は、500〜100000であり、好ましくは1000〜50000、より好ましくは7000〜30000である。500未満では硬化物表面への移行が起こり、100000を超えると粘度やTg が高くなり硬化組成物の作業性が悪くなる。
また、上記(B)成分のTg は0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である。0℃を超えて高くなると、硬化組成物の物性の調節能力や低温での作業性が悪くなる。
また、上記(B)成分の粘度は、25℃において、100000mPa・s 以下が好ましく、50000mPa・s 以下がより好ましい。100000mPa・s を超えると硬化組成物の作業性が悪くなる。
上記(B)成分は、硬化組成物の作業性や硬化後の物性を調節するためには、架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、1〜200重量部、さらには10〜100重量部使用するのが好ましい。
【0029】
上述のように、(B)成分の水酸基含有(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの主体量に水酸基含有(メタ)アクリル系単量体とさらに必要に応じてスチレンなどのビニル芳香族単量体を共重合させたものが好ましいものである。
【0030】
本発明における、(C)架橋触媒は前記架橋性シリル基含有有機重合体を架橋(硬化)させるための触媒であり、具体的には、例えば、スタナスオクトエート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジブチルスズフタレート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズビストリエトキシシリケート、ジブチルスズジステアレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、ジオクチルスズジバーサテートなどの有機スズ化合物;テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステル;リン酸、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどのリン酸またはリン酸エステル;パラトルエンスルホン酸などの酸性化合物;シクロヘキシルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、ドデシルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類などが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上併用して用いることができる。このうち高い架橋速度、毒性および揮発性の比較的低い液体である点から、ジブチルスズジアセチルアセトナートが好ましい。
成分(C)は、架橋速度、硬化物の物性などの点から、架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部、更には0.5〜5重量部使用するのが好ましい。
【0031】
本発明における(D)酸化防止剤および/または紫外線吸収剤は、硬化物の酸化や光劣化を防止して、耐候性を高めるために使用されるものであり、具体的には、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系などの紫外線吸収剤が挙げられ、これから選ばれる1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
上記の、各種酸化防止剤や紫外線吸収剤の例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社のポリマー添加剤製品カタログ(1999年版)または三共株式会社の高分子用安定剤サノールのカタログ(平成3年版)などに記載のものが挙げられ、代表的なものとしては、以下に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N’、N”、N''' −テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6、6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン−1,3、5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1、6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1、3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル1−ピペリジンエタノールの重合物などの高分子量タイプ、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートおよびメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物などの低分子量タイプなどが挙げられる。
【0033】
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2H-ベンゾトリアゾール−2−イル)-4、6−ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)-4,6-ジ−tert−ペンチルフェノールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4、6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0034】
成分(D)は、硬化物の耐候性を高めるためには、架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部、特に0.5〜5重量部使用するのが好ましい。
【0035】
さらに、本発明で使用する(E)添加剤とは、(D)酸化防止剤および/または紫外線吸収剤以外の添加剤を意味し、具体的には、カップリング剤、充填剤、揺変剤、保存安定性改良剤、着色剤などの添加剤である。これらのうち、カップリング剤、揺変剤および/または充填剤は、接着性向上、ベースポリマーの増量、補強、だれ防止などのために、併用するのが好ましい。
【0036】
カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などのものを挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤が接着性に優れているので好ましい。
このシラン系カップリング剤としては、具体的には、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の化合物を挙げることができる。
【0037】
揺変剤としては、コロイダルシリカ、石綿粉などの無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイドなどの有機揺変剤が挙げられ、揺変剤兼充填剤として脂肪酸処理炭酸カルシウムなどが挙げられ、このうち脂肪酸アマイド、脂肪酸処理炭酸カルシウムが好ましい。
【0038】
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、クレー、カオリン、タルク、珪酸カルシウム、珪藻土、カーボンブラックなどの粉末状充填剤;マイカなどのフレーク状充填剤;ウィスカー、ガラス繊維などの繊維状充填剤などが挙げられ、粒径1〜100μmのものが好ましく、このうち炭酸カルシウムが好ましい。これらの充填剤は1種または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0039】
保存安定性改良剤としては、組成物中に含有する水分と反応する化合物で、ビニルトリメトキシシランなどの低分子の架橋性シリル基含有化合物、酸化カルシウムなどが挙げられる。
【0040】
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄等の無機系顔料、銅フタロシアニン等の有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0041】
これらの成分(E)添加剤の配合量は、添加剤の種類とその使用目的に応じて適宜決定すればよい。たとえば、充填剤としては架橋性シリル基含有有機重合体100重量部に対して、0〜800重量部、好ましくは50〜400重量部の範囲である。
【0042】
実施例
以下、本発明について実施例により更に詳細に説明する。ここにおいて硬化組成物のひとつの例としてシーリング材の組成物を示したがこれに限定されるものではない。
【0043】
実施例1
加熱装置付き混練容器に、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体)(MSポリマーMSX911,鐘淵化学工業(株)製)200g、水酸基含有アクリル系重合体(ARUFON UH−2000、分子量13000,Tg =−55℃、粘度10000〜20000 mPa・s /25℃、OH価=20 mgKOH/g、東亞合成(株)製)130g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010,チバ・スペシャリティ・カミカルズ(株)製)4g、脂肪酸処理炭酸カルシウム(カルファイン200M、丸尾カルシウム(株)製)250g、脂肪酸アマイド(脂肪酸アマイドS、花王(株)製)9g、ビニルトリメトキシシラン(サイラエースS210、チッソ(株)製)10g、を仕込み、攪拌して、内容物が均一になるまで混合、分散した。その後110℃で1時間減圧脱水を行い、冷却後、ジブチルスズジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220、日東化成(株)製)2g、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(サイラエースS310、チッソ(株)製)2gを添加し、攪拌混合してシーリング材組成物を調製した。
【0044】
実施例2
実施例1において、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシプロピレン重合体の代わりに架橋性シリル基含有ポリオキシプロピレン重合体(ES−S3630、旭硝子(株)製)を200g使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0045】
比較例1
実施例1において、水酸基含有アクリル系重合体の代わりに、ポリオキシプロピレングリコール(PPG Diol−3000,三井化学(株)製)を130g使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0046】
比較例2
実施例2において、水酸基含有アクリル系重合体の代わりに、ポリオキシプロピレングリコール(PPG Diol−3000、三井化学(株)製)を130g使用した以外は同様にして、シーリング材組成物を調製した。
【0047】
これらの実施例および比較例のデータを次の表1に示す。
【表1】
Figure 0004458613
【0048】
表1における各データはつぎのような測定試験に基づいて行われたものである。
〔性能試験〕
(1)耐候性
得られたシーリング材組成物をシート状に硬化させて厚み5mmのシートを作製した。このシートを、JIS K6266:1996に準じてサンシャインウエザオメーターを用いて500時間、1000時間、2000時間、3000時間照射後のシーリング材硬化物表面の状態を目視により観察し、耐候性を判定した。
判定基準:
〇:シーリング材表面にヘアクラックなし
×:シーリング材表面にヘアクラック多数あり
(2)押出し性
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.14試験用カートリッジによる押出し試験」に準拠して測定した(測定温度23℃)。
【0049】
(3)スランプ
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.1スランプ試験」に準拠して、スランプ(縦)を測定した(測定温度23℃)。
(4)引張接着性(養生後)
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.21引張接着性試験」に準拠して試験した(測定温度23℃)。
なお、試験体は、スレートをプライマー(OP2531,オート化学工業(株)製)で処理し、シーリング材組成物を打設し、23℃、50%相対湿度で14日間、次いで30℃14日間養生して作製した。
【0050】
(5)モジュラス
前記、養生後の引張接着性試験の結果、50%引張応力(M50)の値が22N/cm2以下のものを〇と評価した。
(6)引張接着性(水浸せき後)
JIS A1439:1997「建築用シーリング材の試験方法」の「4.21引張接着性試験」に準拠して、養生後の試験体を、23℃の水の中に7日間置いた後、直ちに引張試験をした(測定温度23℃)。
【0051】
(7)上塗り塗料に対する汚染性(50℃促進条件)
厚さ5mmのスレート板を使用し、深さ5mm、幅25mm,長さ200mmの目地を作製し、その目地にシーリング材組成物を打設し、余分なシーリング材をヘラでかきとり、表面を平らにしたものを、23℃、50%相対湿度で24時間養生した。次いで養生後のシーリング材表面に水性アクリル系塗料(タイルラック 水性トップスーパーホワイト、日本ペイント(株)製)を塗布して、上記温湿度で、更に7日間養生した。
養生後の試験体を50℃の恒温器に入れ、10日間加熱処理した後、恒温器より取り出し、上塗りした塗料表面に黒色珪砂(粒径70〜110μm)を振り掛け、直ちに試験体を裏返し、底面を手で軽く叩き余分な黒色珪砂を落とした。表面に付着して残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視で観察し、汚染性を判定した。
判定基準
〇:シーリング材に上塗りした塗料の表面に黒色珪砂の付着がなくきれいな状態
×:シーリング材に上塗りした塗料の表面に黒色珪砂が多量に付着し黒く汚れた状態
【0052】
〔発明の効果〕
以上説明したとおり、本発明の硬化組成物は、大気中などの水分により硬化したとき、高い耐候性と耐水性を有するゴム状弾性体となり、かつ硬化物の表面あるいは硬化物に上塗りした塗料へ可塑剤が移行するのを防止し、塵埃付着による表面汚染を防止するため、高耐候性、高耐水性および塵埃付着による汚染防止を要求されるシーリング材、接着剤、塗料などに対し、特に有用な硬化組成物を提供することが可能になった。

Claims (6)

  1. (A)架橋性シリル基含有ビニル変性ポリオキシアルキレン系重合体、および
    (B)ビニル系単量体を重合開始剤の存在下または不存在下に180〜300℃で連続重合反応して得られる、平均分子量が500〜100000、Tgが0℃以下、25℃における粘度が100000mPa・s以下の水酸基含有アクリル系重合体および/または水酸基含有メタクリル系重合体
    を含有した硬化性組成物。
  2. 前記硬化性組成物において、成分(B)の重合体の使用量が成分(A)の重合体の100重量部に対し、1〜200重量部であることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記硬化性組成物において、さらに(C)架橋触媒、および(D)酸化防止剤および/または紫外線吸収剤が含有されていることを特徴とする請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 前記硬化性組成物において、さらにカップリング剤、充填剤、揺変剤、保存安定性改良剤、着色剤からなる群より選ばれる1種または2種以上の(E)添加剤が含有されていることを特徴とする請求項3記載の硬化性組成物。
  5. 前記成分(A)が、架橋性シリル基含有アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体、および/または架橋性シリル基含有メタクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体の1種または2種以上より選ばれたものであることを特徴とする請求項記載の硬化性組成物。
  6. 前記硬化性組成物が、シーリング材、接着剤および/または塗料のいずれかであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
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