JP2012036397A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】窒素化合物存在下でも安定で、反応性が高く室温で硬化可能で、架橋性ケイ素基を有する重合体と混合した場合の保存安定性にも優れた硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも、成分(A)、(B')及び(C)
(A)ケイ素と結合したヒドロキシル基又は加水分解性官能基を少なくとも1個以上有する高分子材料 100重量部
(B')一般式(3)で表される化合物 0.1〜20重量部
[一般式(3)中、1種以上のR9は、相互に同一又は異なって、アルキル基を示し、1種以上のR10は、相互に同一又は異なって、β−ジケトナート基を示し、p及びqは、0≦p<2、2<q≦4、p+q=4なる実数である。]
(C)少なくとも2個のアミノ基を有するアルコキシシランである接着性付与剤 0.05〜20重量部
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも、成分(A)、(B')及び(C)
(A)ケイ素と結合したヒドロキシル基又は加水分解性官能基を少なくとも1個以上有する高分子材料 100重量部
(B')一般式(3)で表される化合物 0.1〜20重量部
[一般式(3)中、1種以上のR9は、相互に同一又は異なって、アルキル基を示し、1種以上のR10は、相互に同一又は異なって、β−ジケトナート基を示し、p及びqは、0≦p<2、2<q≦4、p+q=4なる実数である。]
(C)少なくとも2個のアミノ基を有するアルコキシシランである接着性付与剤 0.05〜20重量部
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、有機チタン化合物を含有する硬化性組成物に関するものであり、更に詳しくは、窒素化合物存在下でも硬化性能を発揮する有機チタン化合物及び末端に架橋性ケイ素基を有する重合体を含有する硬化性組成物に関するものである。
従来、架橋性ケイ素基を有する重合体は、ポリオルガノシロキサン等のように、室温で空気中の湿気等によって硬化し、ゴム弾性体を与えることがよく知られている。これらの硬化物は耐水性、耐候性等に優れているためシーリング材等に利用されている。そして、これらの組成物の硬化には、触媒として有機スズ化合物や有機チタン化合物がしばしば使用されている。
これらの架橋性ケイ素基を有する重合体を含む組成物には、接着性を付与させる目的のため、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシランが配合されるが、硬化触媒として有機チタン化合物を用いると、窒素がチタンの触媒毒として作用するため、硬化できないという問題を抱えていた。そのため、窒素化合物を配合した組成物の硬化には、触媒として有機スズ化合物やアミン系化合物が用いられていた。
しかし、有機スズ化合物を触媒として用いると、硬化後も触媒機能が残るため、更に硬化が進行して硬化物が固くなる、大量の水分が存在すると硬化物が逆に軟らかくなる、といった問題があった。更に近年では、有機スズ化合物が内分泌攪乱化学物質として疑われているので、その影響が懸念されている。
こうした中、窒素化合物を配合した組成物の硬化に、配位子としてβ−ジケトンを有する有機チタン化合物を触媒として用いる方法(特許文献1参照)や、配位子として酸を有する有機チタン化合物を用いる方法(特許文献2参照)等が提案されている。しかし、これらの方法では、硬化速度が充分でなかったり、架橋性ケイ素基を有する重合体と混合した場合の保存安定性に劣るという問題点があった。
本発明は、窒素化合物存在下でも安定であり、反応性が高く室温で硬化可能で、架橋性ケイ素基を有する重合体と混合した場合の保存安定性にも優れた硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の有機チタン化合物を含有させることによって、上記課題を解決した硬化性組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、少なくとも、成分(A)、(B')及び(C)
(A)ケイ素と結合したヒドロキシル基又は加水分解性官能基を少なくとも1個以上有する高分子材料 100重量部
(B')一般式(3)で表される化合物 0.1〜20重量部
[一般式(3)中、1種以上のR9は、相互に同一又は異なって、アルキル基を示し、1種以上のR10は、相互に同一又は異なって、β−ジケトナート基を示し、p及びqは、0≦p<2、2<q≦4、p+q=4なる実数である。]
(C)少なくとも2個のアミノ基を有するアルコキシシランである接着性付与剤 0.05〜20重量部
を含有することを特徴とする硬化性組成物を提供するものである。
(A)ケイ素と結合したヒドロキシル基又は加水分解性官能基を少なくとも1個以上有する高分子材料 100重量部
(B')一般式(3)で表される化合物 0.1〜20重量部
(C)少なくとも2個のアミノ基を有するアルコキシシランである接着性付与剤 0.05〜20重量部
を含有することを特徴とする硬化性組成物を提供するものである。
本発明の硬化性組成物は、保存安定性に優れ、窒素化合物存在下においても実用上問題なく室温でも硬化性が良好である。
本発明の第1の形態について以下に説明する。本発明の硬化性組成物に含有される成分(A)は、ケイ素と結合したヒドロキシル基又は加水分解性官能基を少なくとも1個以上有する高分子材料であるが、一般式、X−Y−Xで表される高分子材料であることが好ましい。式中Yは、有機分子鎖又はシロキサン分子鎖を示し、式中Xは、ケイ素と結合したヒドロキシル基又は加水分解性官能基を有する有機基を示す。
有機分子鎖としては特に限定はないが、ポリオキシアルキレン鎖、ウレタン結合含有ポリオキシアルキレン鎖等が、硬化後の弾性、強度、可とう性等のバランスが良い点で好ましく、その中でも、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖が特に好ましい。
シロキサン分子鎖としては、ジメチルシロキサン鎖、メチルフェニルシロキサン鎖等が、汎用性の点で好ましい。
Xは、ヒドロキシル基又は加水分解性官能基を有する有機基であるが、ここで加水分解性官能基としては特に限定はないが、アルコキシル基、ケトオキシム基、等が挙げられる。このうち、アルコキシル基が特に好ましい。Xとしては、−R11 2SiOH、−R11 2SiOR12、−R11Si(OR12)2、−Si(OR12)3、−SiR11 2−R13−SiR11 z(OR12)3−z[式中、R11はメチル基を示し、R12は6個までの炭素原子であるアルキル基又はオキシアルキル基を示し、R13は6個までのケイ素原子を有するシロキサンスペーサーの1つ又はそれ以上で中断されていてもよい2価の炭化水素基を示し、zは0又は1を示す。]であることが硬化性の点で好ましい。
成分(A)は、本発明の硬化性組成物中にあって、主ポリマーとして配合される。
本発明の硬化性組成物に含有される成分(B)は、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を反応して得られる化合物である。
本発明で用いる成分(B)は、硬化触媒として用いられるものであり、一般式(1)で表される有機チタン化合物と一般式(2)で表される化合物のそれぞれ1種又は2種以上を反応させて得られるものである。従って、成分(B)は、単一物質であっても、混合物であってもよい。また、反応が完結していても途中であってもよい。更に、アルコール等の反応副生成物を含んでいてもよく、未反応物を含んでいてもよい。また、成分(B)は、反応により得られた物から、例えば式(3)で表されるような反応生成物を分離して得られたものであってもよく、反応により得られた物そのままであってもよい。成分(B)が、反応により得られた物そのままであることが、着色低減、粘度を低く抑える等の点で好ましい。
一般式(1)において、R1、R2、R3、R4で示される置換基としては、アルコキシル基又はβ−ジケトナート基であれば特に限定はないが、炭素数1〜8の直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシル基;アセチルアセトナート基、エチルアセトアセテート基等のβ−ジケトナート基等が好ましい。一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4は、相互に同一であっても、異なっていてもよい。
具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、tert−アミロキシ基、オクチロキシ基、アセチルアセトナート基又はエチルアセトアセテート基が特に好ましいものとして挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−sec−ブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラ−tert−アミルチタネート、ジ−tert−アミル−ジイソプロピルチタネート、テトラ2−エチルヘキシルチタネート、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
一般式(2)において、R5、R6、R7、R8で示される置換基としては、水素原子、アルキル基又はアルコキシル基であれば特に限定はないが、アルキル基又はアルコキシル基は、炭素数1〜4のものであることが好ましく、具体的には水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシル基が特に好ましい。一般式(2)におけるR5、R6、R7、R8は相互に同一であっても、異なっていてもよい。また、R6、R7は、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、アセチルアセトン、3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、tert−ブチルアセトアセテート、エチルベンゾイルアセテート、エチルブチリルアセテート、エチルイソブチリルアセテート、エチル2−メチルアセトアセテート、エチル2−ベンジルアセトアセテート、マロン酸ジメチル、マロン酸ジイソプロピル等が挙げられる。
反応比率は特に限定はないが、一般式(1)で表される化合物において、β−ジケトナートが付加していない場合は、一般式(1)で表される化合物1モル部に対して、一般式(2)で表される化合物を0.2〜1.5モル部の範囲で反応させることが好ましく、0.2〜1モルの範囲で反応させることが特に好ましい。また、一般式(1)で表される化合物1モル部に対して、一般式(2)で表される化合物を2.5〜4モル部の範囲で反応させることも好ましく、3〜4モルの範囲で反応させることも特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物において、β−ジケトナートが1モル付加している場合は、一般式(1)で表される化合物1モル部に対して、一般式(2)で表される化合物0.1〜0.5モル部の範囲で反応させることが好ましい。また、一般式(1)で表される化合物1モル部に対して、一般式(2)で表される化合物を1.5モル部〜3モル部の範囲で反応させることも好ましく、2〜3モルの範囲で反応させることも特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物において、β−ジケトナートが2モル付加している場合は、一般式(1)で表される化合物1モル部に対して、一般式(2)で表される化合物0.5モル部〜2モル部の範囲で反応させることが好ましく、1〜2モルの範囲で反応させることが特に好ましい。
一般式(2)で表される化合物が多すぎる場合は、着色する場合があり、少なすぎる場合は、硬化性と保存安定性のバランスがとれない場合がある。また、一般式(2)で表される化合物の反応比率が上記範囲から外れている場合には、生成したチタン化合物は、接着性付与剤としてモノアミン化合物を用いてもジアミン化合物を用いても、硬化性にも保存安定性にも劣った硬化性組成物しか与えることができない場合があり、従って、汎用接着性に優れたアミノアルコキシシランとは併用することができない場合がある。
一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物の反応条件については、強い加熱や長時間の反応や溶剤の留去等を行わなくても良く、10℃〜70℃で、1〜60分撹拌を行うことで所望の成分(B)を合成することができる。
成分(B)の含有量としては、高分子材料(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部である。成分(B)の含有量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなる場合がある。一方、成分(B)の含有量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、また着色が強くなるため、良好な硬化物が得られにくくなる場合がある。好ましくは、0.5〜10重量部であり、特に好ましくは1〜5重量部である。
本発明の硬化性組成物に含有される接着性付与剤(C)は、有機官能性アルコキシシランをいい、硬化性組成物の基材への接着性を向上させるために含有される。有機官能性アルコキシシランであれば特に限定はないが、本発明においては、接着性付与剤(C)が、分子中にアミノ基を少なくとも1個含有するアルコキシシランであることが、接着性が良好、種々の被着材に対する常温での接着性発現が良好であり好ましい。また、本発明の硬化性組成物は、接着性付与剤(C)が分子中にアミノ基を有するものであっても、硬化性が阻害されずに硬化可能という特徴を有するので、本発明に係るチタン化合物は、種々の被着材に常温接着性良好なアミノ基含有アルコキシシランと組み合わせることが特に好ましい。
接着性付与剤(C)は上記条件を満たせば特に限定はないが、具体例としては例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、これらの部分加水分解生成物等が挙げられる。
接着性付与剤(C)の含有量としては、高分子材料(A)100重量部に対して、0.05〜20重量部である。接着性付与剤(C)の含有量が少なすぎると、接着性が発現しない場合がある。一方、接着性付与剤(C)の含有量が多すぎると、硬化性が悪くなる場合がある。好ましくは、0.1〜10重量部であり、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
本発明の硬化性組成物は、更に、成分(D)として、架橋剤を、成分(A)100重量部に対して、20重量部以下の量で含有することが成分(A)と架橋反応をさせ、物理特性及び保存安定性を更に向上させるために好ましい。本発明の硬化性組成物に含有される成分(D)は、成分(A)の高分子材料と反応し、シロキサン結合を形成させるものであれば特に限定はないが、有機官能性アルコキシシランであることが好ましい。本発明においては、成分(D)が、少なくとも2個以上の加水分解性官能基を有するシラン又はシロキサン化合物であることが、汎用性、架橋性能等の点で特に好ましい。
架橋剤(D)は上記条件を満たせば特に限定はないが、具体例としては例えば、メチルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、これらの部分加水分解生成物等が挙げられる。
架橋剤(D)の含有量としては、高分子材料(A)の主骨格がシロキサン分子鎖の場合、高分子材料(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部である。架橋剤(D)の含有量が少なすぎると、架橋が不十分になる場合がある。一方、架橋剤(D)の含有量が多すぎると、硬化時間が遅くなる場合がある。好ましくは、0.5〜10重量部であり、特に好ましくは1〜5重量部である。高分子材料(A)の主骨格がポリオキシアルキレン鎖の場合、架橋剤は配合しても配合しなくてもよい。
以下、本発明における第2の形態について説明する。本発明における第2の形態は、少なくとも、成分(A)、(B')及び(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物である。第2の形態において、成分(A)及び成分(C)については、上記した第1の形態に用いられるものと同じであり、好ましいものや、具体例、含有の効果等についても同じである。
よって、第2の形態に関しては、成分(B')について説明する。成分(B')は、一般式(3)で表される化合物である。成分(B')は、単一物質である必要はなく、2種以上の一般式(3)で表される化合物の混合物であってもよい。その場合は、p及びqも2種以上の化合物の平均値となるため、整数とは限らない。
[一般式(3)中、1種以上のR9は、相互に同一又は異なって、アルキル基を示し、1種以上のR10は、相互に同一又は異なって、β−ジケトナート基を示し、p及びqは、0≦p<4、0<q≦4、p+q=4、p≠2、q≠2なる実数である。]
一般式(3)において、R9は1種又は異なる2種以上であってもよい。R9は、相互に同一又は異なって、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基又はオクチル基であることが好ましい。
また、一般式(3)において、R10は1種又は異なる2種以上であってもよい。R10は、相互に同一又は異なって、アセチルアセトナート基又はエチルアセトアセテート基が好ましい。
一般式(3)で表される有機チタン化合物は、1つのアミノ基を有するアルコキシシラ
ンを接着性付与剤(C)として用いるときは、2<pかつq<2であることが、硬化性及び保存安定性の点で好ましく、3≦pかつq≦1であることが特に好ましい。
ンを接着性付与剤(C)として用いるときは、2<pかつq<2であることが、硬化性及び保存安定性の点で好ましく、3≦pかつq≦1であることが特に好ましい。
一方、2つ以上のアミノ基を有するアルコキシシランを接着性付与剤(C)として用いるときは、p<2かつ2<qであることが、硬化性及び保存安定性の点で好ましく、p≦1かつ3≦qであることが特に好ましい。
p=q=2の時は、1つのアミノ基を有するアルコキシシランを接着性付与剤(C)として用いた場合でも、2つのアミノ基を有するアルコキシシランを接着性付与剤(C)として用いた場合でも、硬化性及び保存安定性が共に劣る。
一般式(3)で表される成分(B')の合成方法は特に限定はないが、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を反応させることで容易に合成できる。成分(B')の有機チタン化合物を合成するときは、強い加熱や長時間の反応や溶剤の留去等を行わなくても良く、10℃〜70℃で、1〜60分撹拌を行うことで所望の化合物を合成することができる。
成分(B')の含有量は、高分子材料(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部である。成分(B')の含有量が少なすぎると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなる場合がある。一方、成分(B)の使用量が多すぎると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、また着色が強くなるため、良好な硬化物が得られにくくなる場合がある。好ましくは、0.5〜10重量部であり、特に好ましくは1〜5重量部である。
接着性付与剤(C)の使用量としては、高分子材料(A)100重量部に対して、0.05〜20重量部である。接着性付与剤(C)の含有量が少なすぎると、接着性が発現しない場合がある。一方、含有量が多すぎると、硬化性が悪くなる場合がある。好ましくは、0.1〜10重量部であり、特に好ましくは0.5〜5重量部である。
架橋剤(D)の含有量は、高分子材料(A)100重量部に対して、20重量部以下であるが、高分子材料(A)の主骨格がシロキサン分子鎖の場合、高分子材料(A)100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましい。架橋剤(D)の含有量が少なすぎると、架橋が不十分になる場合がある。一方、架橋剤(D)の含有量が多すぎると、硬化時間が遅くなる場合がある。特に好ましくは、0.5〜10重量部であり、更に好ましくは1〜5重量部である。高分子材料(A)の主骨格がポリオキシアルキレン鎖の場合、架橋剤(D)は配合しても配合しなくてもよい。
また、第1の形態、第2の形態の何れについても、本発明の硬化性組成物には、更に充填剤、着色剤、可塑剤、硬化促進剤、垂れ防止剤、老化防止剤、溶剤等、硬化性組成物に通常含有される物質が含有されていてもよい。
本発明の硬化性組成物の使用方法は、特に限定はないが、シーリング材、接着剤等として使用されることが好ましい。特に、本発明の硬化性組成物は、室温で硬化させる用途に用いることが、湿気を吸収して硬化するという本発明の組成物の特性を最も活かす点で好ましい。
成分(B)又は成分(B')を含有する硬化性組成物が、(C)接着性付与剤として硬化性を阻害し易い窒素含有化合物を用いても、実用に耐え得る優れた硬化性を発揮する作用・原理については明らかではないが、アミノシランの種類によるチタンへの配位能力とバランスのとれる配位子を、適正な数配置することで、チタン化合物の活性をコントロールし、硬化性と保存安定性のバランスをとることができたものと考えられる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合 成 例 1
攪拌機を取り付けたガラス製反応容器に、チタンジイソプロポキシビス(アセトアセテート)を424g(1mol)、アセチルアセトンを200g(2mol)加えて、60℃で30分撹拌を行い、赤褐色液体のチタン化合物Aを624g得た。
合 成 例 1
攪拌機を取り付けたガラス製反応容器に、チタンジイソプロポキシビス(アセトアセテート)を424g(1mol)、アセチルアセトンを200g(2mol)加えて、60℃で30分撹拌を行い、赤褐色液体のチタン化合物Aを624g得た。
合 成 例 2
攪拌機を取り付けたガラス製反応容器に、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)を487g(1mol)、アセチルアセトンを200g(2mol)加えて、60℃で30分撹拌を行い、赤褐色液体のチタン化合物Bを687g得た。
攪拌機を取り付けたガラス製反応容器に、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)を487g(1mol)、アセチルアセトンを200g(2mol)加えて、60℃で30分撹拌を行い、赤褐色液体のチタン化合物Bを687g得た。
合 成 例 3
攪拌機を取り付けたガラス製反応容器に、テトラ−tert−ブチルチタネート340g(1mol)、アセト酢酸エチル26.0g(0.2mol)を加えて、60℃で30分撹拌を行い、淡黄色液体のチタン化合物Cを357g得た。
攪拌機を取り付けたガラス製反応容器に、テトラ−tert−ブチルチタネート340g(1mol)、アセト酢酸エチル26.0g(0.2mol)を加えて、60℃で30分撹拌を行い、淡黄色液体のチタン化合物Cを357g得た。
実 施 例 1〜実 施 例 3
成分(A)として、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン又はアルコキシ末端ジメチルポリシロキサン100重量部に対して、成分(B)又は成分(B')として、合成例1、2及び3で得られたチタン化合物A、B又はC、及び成分(C)接着性付与剤、その他を、表1に示す重量部数配合し、混練して硬化性組成物を調製した。
成分(A)として、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン又はアルコキシ末端ジメチルポリシロキサン100重量部に対して、成分(B)又は成分(B')として、合成例1、2及び3で得られたチタン化合物A、B又はC、及び成分(C)接着性付与剤、その他を、表1に示す重量部数配合し、混練して硬化性組成物を調製した。
これらについて、40℃で1日エージングした初期のタックフリータイム(表面タックのなくなるまでの時間)、及び40℃で14日エージングした保存劣化後のタックフリータイムを測定した。結果を表2に示す。なおタックフリータイムの測定は室温23℃、湿度50%rhの恒温室にて行った。
比 較 例 1〜比 較 例 4
成分(A)として、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン又はアルコキシ末端ジメチルポリシロキサン100重量部に対して、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)又はチタンテトラ2−エチルヘキサノアート、及び成分(C)等を表1に示す重量部数配合し、実施例1〜3と同じ条件下で混練して硬化性組成物を調製した。
成分(A)として、ヒドロキシ末端ジメチルポリシロキサン又はアルコキシ末端ジメチルポリシロキサン100重量部に対して、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)又はチタンテトラ2−エチルヘキサノアート、及び成分(C)等を表1に示す重量部数配合し、実施例1〜3と同じ条件下で混練して硬化性組成物を調製した。
これらについても、実施例1〜3と同様にしてタックフリータイムの測定を行った。結果を表2に示す。
表1中の記号については、以下の通りである。
SZ−6070:メチルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製)
KBM−603:γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化
学工業(株)製)
KBM−903:γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
SZ−6070:メチルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製)
KBM−603:γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化
学工業(株)製)
KBM−903:γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)
表2の結果から、本発明の室温硬化性組成物を用いると、従来の室温硬化性組成物に比較して早く硬化し、更に保存安定性にも優れていることは明らかである。また、上記実施例、上記比較例及びその他で行った実施結果を、成分(C)接着性付与剤のアミノ基の数に着目して、性能を纏めると表3のようになる。
表3中の判定基準は以下の通りである。
[硬化性]
○:初期のタックフリータイムが、1時間以下
△:初期のタックフリータイムが、1時間を超え、2時間以下
×:初期のタックフリータイムが、2時間を越える
[硬化性]
○:初期のタックフリータイムが、1時間以下
△:初期のタックフリータイムが、1時間を超え、2時間以下
×:初期のタックフリータイムが、2時間を越える
[保存安定性]
○:40℃14日エージングした保存劣化後のタックフリータイムが、2時間以下
×:同じく保存劣化後のタックフリータイムが、2時間を越える
○:40℃14日エージングした保存劣化後のタックフリータイムが、2時間以下
×:同じく保存劣化後のタックフリータイムが、2時間を越える
表3より、本発明に係るチタン化合物(成分(B)及び成分(B'))は、アミノ基の数に着目して成分(C)の接着性付与剤を選択することによって、硬化性にも保存安定性(保存劣化後の硬化性)にも優れた硬化性組成物を与えることができるものであることが分かった。一方、比較例のチタン化合物は、接着性付与剤としてモノアミン化合物を用いてもジアミン化合物を用いても、硬化性にも保存安定性にも劣った硬化性組成物しか与えることはできず、一般に汎用接着性に優れたアミノアルコキシシランとは併用することができないことが分かった。
本発明の硬化性組成物は、窒素化合物存在下でも安定であり、窒素化合物存在下でも反応性が高く室温で硬化可能で、架橋性ケイ素基を有する重合体と混合した場合の保存安定性にも優れているので、シーリング材、接着剤等の分野に広く利用できるものである。
Claims (11)
- 一般式(1)において、R1、R2、R3、R4が、相互に同一又は異なって、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、tert−アミロキシ基、オクチロキシ基、アセチルアセトナート基又はエチルアセトアセテート基である請求項3記載の硬化性組成物。
- 一般式(2)において、R5、R6、R7、R8が、相互に同一又は異なって、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基又はtert−ブトキシ基である請求項3又は請求項4記載の硬化性組成物。
- 一般式(3)において、1種以上のR9が、相互に同一又は異なって、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基又はオクチル基である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の硬化性組成物。
- 一般式(3)において、1種以上のR10が、相互に同一又は異なって、アセチルアセトナート基又はエチルアセトアセテート基である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の硬化性組成物。
- 成分(A)が、ポリオルガノシロキサンである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の硬化性組成物。
- 更に、成分(D)として、架橋剤を、成分(A)100重量部に対して、20重量部以下の量で含有する請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載の硬化性組成物。
- 成分(D)が、少なくとも2個以上の加水分解性官能基を有するシラン又はシロキサン化合物である請求項1ないし請求項9の何れかの請求項記載の硬化性組成物。
- 室温硬化用である請求項1ないし請求項10の何れかの請求項記載の硬化性組成物。
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