JP3438890B2 - 耐熱性の向上したデカルバミラーゼをコードするdnaおよびその用途 - Google Patents

耐熱性の向上したデカルバミラーゼをコードするdnaおよびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明はDNA断片、さらに詳しくは耐熱性の向上し
た、D−N−カルバモイル−α−アミノ酸を対応するD
−α−アミノ酸に変換する酵素(以下、デカルバミラー
ゼという)をコードするDNA断片に関する。また、本発
明は該DNA断片の製造法、該DNA断片を含むベクター、該
ベクターで形質転換された形質転換体、耐熱性の向上し
たデカルバミラーゼおよびその製造法、ならびに該デカ
ルバミラーゼを用いるアミノ酸の改良された製造法に関
する。さらに、本発明はデカルバミラーゼの耐熱性二関
与するアミノ酸の変異数を1つ以上増加させる方法に関
する。
背景技術 光学活性なD−α−アミノ酸類は医薬中間体として重
要な化合物であり、特に半合成ペニシリン類や半合成セ
ファロスポリン類の製造中間体であるD−フェニルグリ
シン、D−パラヒドロキシフェニルグリシンなどが工業
的に有用な化合物として挙げられる。このようなD−α
−アミノ酸類の製造法としては、対応するD−N−カル
バモイル−α−アミノ酸類のカルバモイル基を除去して
これらを得る方法が知られており、この際のカルバモイ
ル基の除去は、化学的方法(特公昭58−4707号明細書)
や微生物の酵素反応を利用する方法(特公昭57−18793
号明細書、特公昭63−20520号明細書、特公平1−48758
号明細書および特願平2−407922号明細書)によって行
なわれている。
ところが、該カルバモイル基の除去のために採用され
る化学的方法は、硫酸などの鉱酸を多量に使用するた
め、その処理などに関連して、環境上の問題が存在す
る。また、酸素反応を利用する方法は、酸素生産量が十
分でなかったり、大量生産が可能となってもその性質面
で難点があり、基質に対する反応性と酵素の安定性を兼
ね備えた酵素は今までに見い出されていなかった。
一般に、酵素は安定性が良くない場合が多い、通常、
その調製時に安定化剤を加えたり、低温で処理するなど
の失活を防ぐ手段を用いている。そこで、常温または高
温で酵素を実際に反応に用いる場合には、酵素の安定性
が問題となり、特に工業的に用いる場合には、その安定
性が生産物のコストに影響する場合が多い。また、特に
工業的に用いる場合、酵素反応を有利に進める手段とし
ては、固定化酵素や固定化菌体等のいわゆるバイオリア
クターとして繰り返し、反応に用いることが行なわれて
いるが、この際も、酵素の安定性によって使用回数が制
限され、生産物のコストへの影響が大きい。
そこで、本発明では、酵素の安定性の1つの指標とし
て耐熱性に着目し、遺伝子工学的手段を用いて酵素の耐
熱性を向上させることにより、酵素の安定性を増加さ
せ、工業的利用に有利な安定化酵素の作製を行った。
本発明は、このような課題を解決すべく、現在用いら
れているデカルバミラーゼを改良し、基質であるD−N
−カルバモイル−α−アミノ酸に対する反応性が高く、
かつ安定性にも優れたデカルバミラーゼを調製し、この
酵素を用いてD−α−アミノ酸を効率よく生産すること
を目的とする。
発明の概略 すなわち、本発明は、デカルバミラーゼ遺伝子を含む
DNA断片に化学的または酵素的な変異処理を行い、このD
NA断片とベクターDNAを結合させた組換え体DNAを宿主細
胞に導入し、耐熱性が向上した酵素生産株をスクリーニ
ングした後、この遺伝子でエシェリヒア属、シュードモ
ナス属、フラボバクテリウム属、バチルス属、セラチア
属、コリネバクテリウム属またはブレビバクテリウム属
に属する微生物から選ばれる宿主菌体を形質転換して得
られる形質転換体の産生する該酵素の作用によって、D
−N−カルバモイル−α−アミノ酸を水性媒体中で対応
するD−α−アミノ酸に変換せしめ、生成したD−α−
アミノ酸を採取するD−α−アミノ酸の改良された製造
法を提供するものである。
したがって、本発明は、本発明の改良されたD−α−
アミノ酸の製造を実施するためのDNA断片、その製造法
および該断片を含む発現ベクター、該発現ベクターで形
質転換された形質転換微生物ならびに耐熱性の向上した
デカルバミラーゼおよびその製造法も提供する。さら
に、本発明は、デカルバミラーゼの耐熱性に関与するア
ミノ酸の変異数を1つ以上増加させる方法も提供する。
図面の簡単な説明 以下、添付の図面を参照しながら、本発明を説明す
る。
図1は、本発明で得られる熱耐性の向上したデカルバ
ミラーゼの生産株を用いる、熱処理後のデカルバミラー
ゼの耐熱活性を示すグラフである。
図2は、本発明で得られる耐熱性の向上したデカルバ
ミラーゼを固定した樹脂を用いて、耐熱性について繰り
返し連続試験した安定性の結果を示すグラフである。
図3は、プラスミドpKK233−2およびpKK NEの制限
酵素地図を示す。
図4は、プラスミドpAD108およびpAD1086の制限酵素
地図を示す。
図5は、プラスミドpAD402およびpAD4021の制限酵素
地図を示す。
図6は、プラスミドpAD429およびpAD455の制限酵素地
図を示す。
図7は、イー・コリ JM109 pAD108及びイー・コリ
JM109 pAD455が産生するデカルバミラーゼの反応温
度と活性の関係を示すグラフである。
図8は、イー・コリ JM109 pAD416およびイー・コ
リ JM109 pAD455が産生するデカルバミラーゼのpHに
対する安定性を示すグラフである。
図9は、外来遺伝子組み込み用ベクターpUC NTおよ
び耐熱性が向上したデカルバミラーゼ発現ベクターpNT4
553の作成方法を示す。
図10は、プラスミドpUC NTおよびpNT4553の制限酵素
地図を示す。
発明の詳細な説明 一般に、酵素の耐熱性と安定性は相関することが知ら
れており、好熱菌が生産する酵素は耐熱性の高い酵素で
あり、これらはほぼ例外なく安定性が高いことおよび遺
伝子組換え技術によってアミノ酸を置換することにより
耐熱化した酵素は、安定性にも優れていることなどが知
られている(香川ら、細胞工学、7巻、509〜571(198
8))。
酵素を耐熱化する方法としては、酵素蛋白のアミノ酸
配列を変える方法と化学的処理や酵素反応等によって酵
素を修飾する方法が考えられる。酵素蛋白のアミノ酸配
列を変えることにより耐熱性を上げる方法としては、菌
体をニトロソグアニジン(NTG)等の化学変異剤や紫外
線などで変異させ、それをスクリーニングする方法と、
遺伝子組換え技術を用いて、目的とする遺伝子を取り出
してこれに化学的または酵素的に変異を起こさせ、その
後、菌に戻してスクリーニングする方法などが考えられ
る。遺伝子を取出して変異させる場合、変異に供するデ
カルバミラーゼの蛋白をコードするDNA断片は、一本鎖
の状態で行うのがより効果的である。一本鎖の状態にす
るには、例えば、ファージ粒子に組込む方法などが用い
られる。一本鎖DNAとしては、デカルバミラーゼの蛋白
のアミノ酸配列に対応するコドンを含むDNA鎖でも、そ
の相補鎖のいづれも使用することができる。また、変異
部位についてみると、ランダムに変異を導入する方法
と、部位特異的に変異を導入する方法が考えられる。
化学反応によって、ランダムに遺伝子を変異させ、酵
素蛋白のアミノ酸配列を変異させる薬剤としては、塩酸
ヒドロキシルアミン、亜硝酸ナトリウム、ギ酸、ヒドラ
ジなどが使用できる。
例えば、塩酸ヒドロキシルアミンを用いた変異では、
まず、M13ファージ、例えば、M13mp19等の二本鎖DNAに
デカルバミラーゼ遺伝子を連結し、イー・コリ(E.col
i)JM109等に感染させて培養してファージ粒子を調製
し、これを変異に用いる。変異反応は0.1Mから2M、望ま
しくは0.25Mの塩酸ヒドロキシルアミンを用い、そのpH
は6.0から8.0、好ましくは6.0のものを用い、反応温度
は37℃で、1時間から24時間反応させることにより行い
得る。この変異反応を行ったファージ粒子をイー・コリ
に感染させ、二本鎖組換えDNAとして回収して、変異デ
カルバミラーゼ遺伝子をプラスミドに移すことにより作
製できる。
また、亜硝酸ナトリウム、ギ酸、ヒドラジンなどを用
いる変異では、基本的には、マイヤース・アール・エム
(Myers,R.M.)らの示す方法(サイエンス(Science)2
99、242〜247(1985))を用いることができる。この方
法は、デカルバミラーゼ遺伝子を組み込んだ組換えM13
ファージより一本鎖DNAを調製し、これを変異処理する
ことによって行なえる。亜硝酸ナトリウムでの変異は、
濃度が0.5Mから2M、好ましくは1Mで、そのpHが酸性側、
好ましくはpH4.3の亜硝酸ナトリウムを用い、反応温度
が4℃から37℃、好ましくは25℃で、1分から5時間、
好ましくは30分間反応させることにより行なえる。ギ酸
による変異の場合、12Mギ酸を用い、4℃から37℃、好
ましくは15℃で2分から10分間反応させることによって
行なえる。また、ヒトラジンを用いた変異の場合、20%
から60%濃度のヒトラジンを用い、25℃で3分から10分
処理することによって行なえる。これらの変異させた一
本鎖DNAは、大腸菌DNAポリメラーゼクレノー(Klenow)
フラグメントやSequenaseRなどを用いて二本鎖化し、プ
ラスミドに組み込むことによって変異デカルバミラーゼ
遺伝子を調製することができる。
また、酸素反応を用いるランダム変異の方法として
は、PCR反応(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いる方法
(ルーング・ディー・ダブリュ(Leung,D.W.)ら、ア・
ジャーナル・オブ・メソッズ・イン・セル・アンド・モ
レキュラー・バイオロジー(A Journal of Methods in
Cell and Molecular Biology),1,11−15(1989))等
が挙げられる。これはTaqDNAポリメラーゼを用い、遺伝
子の両端の配列を持つ合成DNA(DNAプライマー)からそ
れぞれ遺伝子を合成させるものであり、この際の反応条
件、例えば、通常の反応よりMgCl2濃度や基質(dNTPs)
の濃度を上げたり、4種の基質のうち1種類のみの濃度
を極端に低下させるなどの反応条件を用いて、TaqDNAポ
リメラーゼによる遺伝子合成に誤りを起こさせることに
より、変異を有するデカルバミラーゼ遺伝子を調製する
ことができる。
遺伝子の変異が酵素蛋白の部位特異的に導入する方法
としては、オリゴヌクレオチドを用いるin vitro部位特
異的変異導入法、変異部位のカセット置換法、PCR反応
を用いる方法などを挙げることができる。オリゴヌクレ
オチドを用いるin vitro部位特異的変異導入法は、デカ
ルバミラーゼ遺伝子を挿入したM13組換えファージより
一本鎖DNAを調製し、変異させたい部分の変異後の配列
を含む合成DNAプライマーを用いて、DNAポリメラーゼク
レノー断片のような酵素を用いて二本鎖化し、イー・コ
リに導入することによって作製でき、これらの反応は、
市販されているキット、例えば、宝酒造(株)の「Muta
nTM−K」や「MutanTM−G」、アマシャム・ジャパンの
「オリゴヌクレオチドを用いた部位特異的in vitro変異
体作製システムversion 2.0」等を用いれば簡単に行な
うことができる。変異部位のカセット置換法は、変異さ
せたい部位を含む制限酵素断片を、変異を含む合成DNA
でそっくり置き換えてしまうことによって行なうことが
できる。PCR反応を用いる方法は、イトウら(Ito,W.et
al.)ジン(Gene)102,67〜70(1991))の方法等に従
って行なうことができる。この方法は変異を含む合成DN
Aプライマーと、遺伝子末端の合成DNAよりPCR反応を行
ない、これを遺伝子全長のDNAとハイブリダイズさせた
後、酵素により伸長させて、これらを全長を合成するPC
R反応を再び行なうことによって得ることができる。
本発明では、以上のような方法で作製した変異デカル
バミラーゼ遺伝子をpUC19やpKK−233−2などのプラス
ミドベクターにつなぎ換え、イー・コリ(E.coli)、例
えば、JM109等へ導入し、抗生物質等を含む平板寒天培
地上にコロニーを作らせる。ついで、このコロニーを滅
菌した濾紙にレプリカして、平板培地は保存しておく。
その濾紙を、乾燥後、リゾチームとTriton X−100を含
む液に浸すか、アセトン−ドライアイス浴に出し入れ
(凍結融解)を繰り返すことなどにより溶菌させる。つ
いで、この濾紙を、65℃、70℃などの温度に設定した湯
浴中に一定時間、例えば、5分間浸し、乾燥後、デカル
バミラーゼ活性によって発色させることができる反応液
に浸す。この反応液は、カルバミル−D−アミノ酸を基
質として含み、フェノール、4−アミノアンチピリン、
D−アミノ酸オキシダーゼおよびパーオキシダーゼを含
むもの等が使用できる。発色したコロニーを耐熱性獲得
株として分離することができる。
まず、酵素の耐熱性を表わす指標として、耐熱温度を
定義する。耐熱温度とは、10分間の熱処理で活性が50%
失活した時の処理温度と定義する。デカルバミラーゼ遺
伝子の採取源としては、通常、デカルバミラーゼを所有
することの知られている微生物(例えば、国際公開番号
WO92/10579に記載の微生物)が使用できる。各々の微生
物のデカルバミラーゼの耐熱温度は異なるが、耐熱性を
向上させて、反復使用に耐える優れた安定性を得るに
は、勿論、耐熱性以外の諸性質も考慮しなければなら
ず、元来、耐熱温度の高い、例えば、60℃〜63℃の耐熱
温度を示すデカルバミラーゼを使用するのがよい。この
観点からすれば、アグロバクテリウム・ラジオバクター
KNK712(FERM BP−1900)の生産するデカルバミラーゼ
が、耐熱温度約62℃と比較的高いので好ましい。該KNK7
12のデカルバミラーゼおよびこれをコードするDNA断片
は、配列表、配列番号1に記載のアミノ酸配列およびDN
A配列を持っている。このデカルバミラーゼ遺伝子に前
記の変異処理を施して得られた耐熱性の向上したデカル
バミラーゼは、配列表、配列番号2〜16に示すように、
57番のヒスチジン、203番のプロリンまたは236番のバリ
ンが他のアミノ酸と置換されたものであることがわかっ
た。従って、耐熱性については、少なくとも3つの位置
のアミノ酸が関与している。1つのアミノ酸の置換だけ
でなく、さらには2または3個のアミノ酸の置換を組み
合わせて高い耐熱性を得ることもできる。本発明では、
耐熱温度を少なくとも2℃以上、多くは約5℃以上、場
合によっては、10℃以上上げることができた。
例えば、他のアミノ酸として、57番のヒスチジンをロ
イシンまたはチロシンに、203番のプロリンをロイシ
ン、アスパラギン、グルタミン酸、スレオニンまたはセ
リンに、236番のバリンをアラニン、スレオニンまたは
セリンに置換することによって、耐熱性の向上したデカ
ルバミラーゼが得られる(配列表、配列番号2〜30)。
この耐熱性の向上したデカルバミラーゼをコードするDN
A配列も57番のヒスチジンに対応する401番〜403番のCAT
をTAT、CTTまたはCTAに、203番のプロリンに対応する83
9〜841番のCCTをTCT、CTT、GAA、AACまたはACCに、236
番のバリンに対応する938〜940番のGTGをGCG、GCT、AC
C、ACG、TCA、TCGまたはAGTに置換されたものが得られ
ている(配列表、配列番号2〜30)。一度、耐熱性に関
与するアミノ酸が明らかになると、部位特異的な変異技
術が可能であるので、種々の塩基に置換することによ
り、多くのアミノ酸に置き換えることができる。このよ
うにして、耐熱性の向上したデカルバミラーゼをコード
するDNA断片をさらに変異処理に付して、耐熱性を向上
させることもできる。
アグロバクテリウム・ラジオバクターKNK712(FERM
BP−1900)の場合、耐熱性に関与することが判明した57
番のヒスチジン、203番のプロリンおよび236番のバリン
の3つのアミノ酸のうち2個または3個のアミノ酸を変
異させた誘導体(多重変異体)は、例えば、以下のよう
にして作製される。
pAD108(天然のデカルバミラーゼをコード)やpAD402
(57番目のHisがTyrに置換したデカルバミラーゼをコー
ド)の遺伝子構造は、それぞれ図4および図5に示すよ
うに、Sph IおよびSal Iがデカルバミラーゼ遺伝子付近
で重複しているので、PCR法によってデカルバミラーゼ
遺伝子の開始コドン部位にNde I切断点を作製する。こ
うすると、57番目のアミノ酸はNde I−Sac Iの約190bp
DNA断片上に存在し、203番目のアミノ酸はSal I−Cla I
の約170bp DNA断片上に存在し、236番目のアミノ酸はCa
l I−Sph Iの約75bp DNA断片上に存在することになる。
多重変異体は、これらの無変異DNA断片を、耐熱性に
関与するアミノ酸を変異させたDNA断片と置き換えるこ
とによって作製する。アミノ酸を変異させたDNA断片
は、実施例3および8で得た形質転換体もしくは発現ベ
クターより調製する。
他方、デカルバミラーゼ遺伝子(天然のもの、アミノ
酸が1つ変異したもの)を含むNde I−EcoR Iの約1.6Kb
DNA断片を、Nde I切断点を付与したpAD108やpAD402な
どから切り取り、Nde IとEcoR Iの切断点を持つ適当な
ベクター、例えば、実施例9および図3に示したpKK NE
(図3に示したpKK233−2より調製)に挿入して、プラ
スミドを作製する(pAD108より図4に示すpAD1086、pAD
402より図5に示すpAD4021など)。このプラスミドの上
記3種のアミノ酸の無変異部位を含むDNA断片を、アミ
ノ酸変異部位を含むDNA断片と置き換えることによって
多重変異体の発現ベクターを作製する。
このようにして作製した多重変異体の耐熱性は、一般
的には、単一の変異によって得られる耐熱性向上の度合
に応じて相加的に向上している。3種のアミノ酸のうち
2種以上のアミノ酸を変異させたデカルバミラーゼは上
記の置換アミノ酸の組合せが可能である。
この方法は、アグロバクテリウム・ラジオバクターKN
K712(FERM BP−1900)の場合に限らず、一般に、デカ
ルバミラーゼ酵素の耐熱性をさらに向上させる場合に使
用することができる。すなわち、上記の酵素を耐熱化す
る方法によって、アミノ酸の1つを置換して耐熱性の向
上したデカルバミラーゼが数種類得られて、耐熱性に関
与するアミノ酸部位が明らかになり、さらに、このアミ
ノ酸を置換すると耐熱性が向上する他のアミノ酸が明ら
かになり、各々の耐熱性デカルバミラーゼに対応するDN
A断片が得られている状況下では、下記の操作1)〜
5)によって耐熱性向上に関与する複数のアミノ酸部位
が、同時に変異を受け(多重変異体)、耐熱性も相加的
に向上したデカルバミラーゼを得ることができる。
1)耐熱性に関与する各々1つのアミノ酸をコードする
DNA部分を含むDNA断片を、各DNA断片ごとに切り出すこ
とのできる制限酵素を探し出す。
2)少なくとも1つのアミノ酸が変異した耐熱性デカル
バミラーゼをコードするDNA断片またはこれを含むベク
ターから、1つの変異アミノ酸部位をコードするDNA部
分を含むDNA断片を、1)の制御酵素を使用して切り出
す。
3)同じ制限酵素を使用して、アミノ酸が未だ変異して
いない対応のDNA断片を、デカルバミラーゼをコードす
るDNA断片またはこれを含むベクターから切り出す。
4)3)で対応のDNA断片を切り出した残りのDNA断片ま
たはこれを含むベクターに、変異を受けている2)のDN
A断片を挿入する。
5)2)〜4)の操作を必要に応じて反復する。
この一連の操作によって、耐熱性に関与するアミノ酸
の変異数を1つ以上増やすことができる。
アグロバクテリウム・ラジオバクターKNK712(FERM
BP−1900)の場合、2)のベクターとしては、配列表、
配列番号2〜30のDNA断片をpUC19に組み込んだ発現ベク
ターにNde I切断点を作製したものであれば、いかなる
ベクターも使用することができる。また、3)のデカル
バミラーゼ遺伝子を含むベクターとしては、pAD4021、p
AD1086の他、下記に列挙した上記発現ベクターの具体例
のうち、耐熱性に関与する3カ所の部位が耐熱性の向上
するアミノ酸ですべて変異されてしまっているデカルバ
ミラーゼをコードするDNA断片を含むベクター(すなわ
ち、3重変位を持つpAD426、pAD427、pAD454、pAD455、
pAD456)を除くすべてのベクターにNde I切断点を作製
したものから、pKK NEを使用してpAD4021と同じ操作で
得たベクターなどが使用できる。また、制限酵素によっ
て切り取られるDNA断片は、2)または3)のいずれの
場合でも、Nde I−Sac I、Sal I−Cla I、およびCla I
−Sph Iである。
デカルバミラーゼをコードするDNA断片、ベクターに
組み込んだ発現ベクター、発現ベクターを宿主細胞に入
れた形質転換体の調製は、例えば、国際公開番号WO92/1
0579に記載された遺伝子操作技術を用いることにより得
ることができる。
配列表、配列番号2〜34のDNA断片をpUC19またはpKK
NEに組み込んだ発現ベクター、例えば、pUC19に組み
込めば、pAD402、pAD404、pAD406、pAD416、pAD428、pA
D429、pAD431、pAD434、pAD435、pAD439、pAD441、pAD4
45、pAD447、pAD448、pAD450、pAD451、pAD452、pAD45
3、pAD454またはpAD456が、また、pKK NEに組み込め
ば、pAD421、pAD422、pAD423、pAD424、pAD425、pAD42
6、pAD427、pAD461、pAD455が、さらに、pUC NT(図10
上)に組み込めばpNT4553(図10下)が得られる。耐熱
性部位のアミノ酸の置き換えによって、上記の制限酵素
による切断点は変化しないので、pUC19に組み込んだも
のはpAD429(図6上)と同じ制限酵素地図を、pKK NE
に組み込んだものはpAD455(図6下)と同じ制限酵素地
図を示す。これらの発現ベクターでエシェリヒア・コリ
(Escherichia coli)JM109またはHB101を形質転換し
た、耐熱性の向上したデカルバミラーゼを生産する、次
の形質転換体を得られた。
イー・コリ(E.coli)JM109 pAD402(FERM BP−391
2) イー・コリ JM109 pAD404(FERM BP−3913) イー・コリ JM109 pAD406(FERM BP−3914) イー・コリ JM109 pAD416(FERM BP−3915) イー・コリ JM109 pAD428 イー・コリ JM109 pAD429(FERM BP−4035) イー・コリ JM109 pAD431 イー・コリ JM109 pAD434 イー・コリ JM109 pAD435 イー・コリ JM109 pAD439 イー・コリ JM109 pAD441 イー・コリ JM109 pAD445 イー・コリ JM109 pAD447 イー・コリ JM109 pAD448 イー・コリ JM109 pAD450 イー・コリ JM109 pAD421 イー・コリ JM109 pAD422 イー・コリ JM109 pAD423 イー・コリ JM109 pAD424(FERM BP−4034) イー・コリ JM109 pAD425 イー・コリ JM109 pAD426 イー・コリ JM109 pAD427 イー・コリ JM109 pAD451 イー・コリ JM109 pAD452 イー・コリ JM109 pAD453 イー・コリ JM109 pAD461 イー・コリ JM109 pAD454 イー・コリ JM109 pAD455(FERM BP−4036) イー・コリ JM109 pAD456 イー・コリ JM109 pAD468 イー・コリ JM109 pAD469 イー・コリ JM109 pAD470または イー・コリ HB109 pNT4553(FERM BP−4368) これらの改良型デカルバミラーゼは、ベクターの強力
なプロモーターの下流にその遺伝子を挿入することによ
り、形質転換株の目的酵素生産量を上昇させることがで
きる。
形質転換株は通常の栄養培地に培養することにより導
入した組換え体DNAの形質を発現させることができる。
組換え体DNAに遺伝子DNAまたはベクターDNA由来の性質
が付与されている場合は、その性質に合わせて培地に薬
剤を補ってもかまわない。
このようにして得られた形質転換株を酵素源として得
るには、通常の培地を用いて培養を行なえばよいが、必
要に応じてヒダントイン化合物、D−N−カルバモイル
−α−アミノ酸、イソプロピル−1−テオ−β−D−ガ
ラクトサイド(IPTG)などの添加、温度上昇など、酵素
誘導のための処理を行なうこともできる。
形質転換株の培養のために用いられる培地は、通常、
炭素源、窒素源および無機イオンを含有する普通の培地
であってよい。これにビタミン、アミノ酸などの有機微
量栄養素を添加すると、好ましい結果が得られる場合が
多い。炭素源としては、グルコースやシュクロースのよ
うな炭水化物、酢酸のような有機酸、アルコール類など
が適宜使用される。窒素源としては、アンモニアガス、
アンモニア水、アンモニウム塩などが用いられる。無機
イオンとしては、リン酸イオン、マグネシウムイオン、
カリウムイオン、鉄イオンなどが使用されてよい。
培養は好気的条件下にpH4〜8、温度25〜45℃の適当
な範囲に制御しつつ、1〜10日間培養を行なえば望まし
い結果が得られる。形質転換株の産生する酵素を作用す
る態様としては、当該転換株の培養液、菌体、菌体処理
物、菌体から抽出した酵素、固定化菌体などを挙げるこ
とができる。
菌体としては、培養終了後の培養液そのまま、培養液
より分離された菌体、洗浄された菌体などいずれも使用
可能である。菌体処理物としては凍結乾燥菌体、アセト
ン乾燥菌体、トルエンや界面活性剤と接触させた菌体、
リゾチームで処理した菌体、超音波にさらした菌体、機
械的に磨砕した菌体などの他、これら菌体の処理物から
得られたD−N−カルバモイル−α−アミノ酸の当該カ
ルバモイル基を除去して対応するD−α−アミノ酸に変
換する酵素活性を有する酵素抽出液、さらにはこれらの
菌体の固定化物、菌体処理物の不溶化物、酵素蛋白の固
定化用担体(例えば、陰イオン交換樹脂)への固定化物
などが使用できる。なお、固定化法については、例え
ば、特開昭63−185382号明細書が参考になる。
固定化に使用される支持体としては、デュオライト
(Duolite)A568またはDS17186(ローム・アンド・ハー
ス社:登録商標)などのフェノール−ホルムアルデヒド
陰イオン交換樹脂、アルバーライト(Amberlite)IRA93
5、IRA945、IRA901(ローム・アンド・ハース社:登録
商標)、レワタイト(Lewatatit)OC1037(バイエル
社:登録商標)、ダイアイオン(Diaion)EX−05(三菱
化成工業:登録商標)などのポリスチレン樹脂のような
各種アミンやアンモニウム塩あるいはジエタノールアミ
ン型の官能基を持つ各種の陰イオン交換樹脂が適してい
る。その他、DEAE−セルロースなどの支持体も使用する
ことができる。
さらに、酵素の吸着をより強固かつ安定にするため、
通常、架橋剤を用いるが、好適な例として、グルタルア
ルデヒドを挙げることができる。使用する酵素は、精製
酵素だけではなく、部分精製酵素、菌体破砕液、無細胞
抽出液など種々の精製度のものが使用できる。
固定化酵素の調製は酵素液と支持体に酵素を吸着後、
架橋処理をする等の通常の調製法が使用できる。
本発明における酵素反応の基質となるD−N−カルバ
モイル−α−アミノ酸は、式:R−CH(NHCONH2)−COOH
で表わされるが、実際に反応に供する態様としては、使
用する酵素がD−N−カルバモイル−α−アミノ酸に対
し厳密な立体選択性を持つ場合には、D−体として、あ
るいはD−体とL−体の混合物として使用することがで
きる。また、酵素がL−カルバモイルアミノ酸にも作用
して立体選択性の厳しくない場合や、L−体にも作用す
る酵素の混合物として使用する場合には、D−体のみを
使用し、生成するα−アミノ酸がD−体となるように配
慮するのが好ましい。
置換基Rは、特公昭57−18793号明細書、特公昭63−2
0520号明細書、特公平1−48758号明細書などに述べら
れているように広範囲にわたることができるが、特に、
医薬中間体のように産業上有用な化合物を与えるために
は、Rがフェニル基、水酸基で置換されたフェニル基、
アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基またはチエ
ニル基であるのが好ましい。水酸基で置換されたフェニ
ル基の場合、水酸基は1つもしくはそれ以上であって、
o、m、pいずれの位置に置換していてもよいが、p−
ヒドロキシフェニル基が代表的である。アルキル基は炭
素数1〜4であって、対応するアミノ酸がD−アラニ
ン、D−バリン、D−ロイシン、D−イソロイシンなど
となる基である。置換アルキル基は炭素数1〜4のアル
キル基が水酸基、アルキルチオ基、カルボキシル基、ア
ミノ基、フェニル基、水酸基で置換されたフェニル基、
アミド基などで置換されたものであって、対応するアミ
ノ酸がD−セリン、D−スレオニン、D−メチオニン、
D−システイン、D−アスパラギン、D−グルタミン、
D−チロシン、D−トリプトファン、D−アスパラギン
酸、D−グルタミン酸、D−ヒスチジン、D−リジン、
D−アルギニン、D−シトルリンなどとなる基である。
アラルキル基は炭素数7〜8の例えばベンジル、フェネ
チル基であって、対応するアミノ酸がD−フェニルアラ
ニンなどとなる基である。
水性媒体としては、水、バッファー、エタノールのよ
うな有機溶媒を含むものが使用できる。さらに必要に応
じて、微生物の成育に必要な栄養素、抗酸化剤、界面活
性剤、補酵素、ヒドロキシルアミン、金属などを水性媒
体に添加することもできる。
上記微生物の菌体を水溶性媒体中で培養しながら、菌
体とD−N−カルバモイル−α−アミノ酸を接触せしめ
て作用させる場合には、D−N−カルバモイル−α−ア
ミノ酸を含み、かつ微生物の生育に必要な炭素源、窒素
源、無機イオンなどの栄養素を含む水性媒体が用いられ
る。さらに、ビタミン、アミノ酸などの有機微量栄養素
を添加すると、好ましい結果が得られる場合が多い。窒
素源としては、グルコース、シュークロースのような炭
水化物、酢酸のような有機酸、アルコール類などが適宜
に使用される。窒素源としては、アンモニアガス、アン
モニア水、アンモニウム塩などが用いられる。無機イオ
ンとしてはリン酸イオン、マグネシウムイオン、カリウ
ムイオン、鉄イオンなどが使用されてよい。
培養は好気的条件下に、pH4〜8、温度25〜45℃の適
当な範囲に制御しつつ行なう。1〜10日間も培養を行な
えば、D−N−カルバモイル−α−アミノ酸はD−α−
アミノ酸のみに効率よく変換される。
これに対し、上記微生物の培養液をそのまま、培養菌
体、菌体処理物、酵素抽出液、菌体の固定化物、菌体の
不溶化物あるいは酵素蛋白質の固定化物と、D−N−カ
ルバモイル−α−アミノ酸を溶解または懸濁した水性媒
体中で反応を行なう場合は、10〜80℃の適当な温度に調
節し、pHを4〜9.5に保ちつつ、暫時静置または撹拌す
ればよい。かくして、5〜100時間も経過すれば水性媒
体中に多量のD−α−アミノ酸が生成、蓄積される。ま
た、D−N−カルバモイル−α−アミノ酸は反応の進行
に伴って分割添加してもよい。生成したD−α−アミノ
酸は、常套の分離方法により分離、精製することができ
る。
なお、ここに得られたD−α−アミノ酸は、式: R−CHNH2−COOH (Rは前記と同意義)で表わすことができる。
以下に本発明の具体的な実施の態様を示す。なお、生
成D−α−アミノ酸は高速液体クロマトグラフィ(HPL
C)または薄層クロマトグラフィ(TLC)により検出、定
量した。
実施例1 アグロバクテリウム ラジオバクターKNK712株デカルバ
ミラーゼ遺伝子のヒドロキシルアミンによる変異処理 KNK712株デカルバミラーゼ遺伝子を持つpAT108を制限
酵素Hind IIIおよびEcoR Iで切断し、M13mp18の二本鎖D
NAをHind IIIおよびEcoR Iで切断したものと混合し、ラ
イゲーションした。これによりイー・コリJM109を形質
転換し、100mMイソプロピル−β−D−チオガラクトピ
ラノシド(IPTG)および0.2%5−ブロモ−4−クロロ
−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−Gal)
をそれぞれ40μl添加した2mlのH上層寒天培地(10g/l
バクトリプトン、8g/l NaCl、8g/l バクトアガー)
と混合して、H寒天培地(10g/l バクトトリプトン、8
g/l NaCl、12g/l バクトアガー)上に広げ、37℃で培
養後、白プラークを分離した。この組換えファージを10
0mlの2YT培地(16g/l バクトトリプトン、10g/l バク
トイーストエキストラクト、5g/l NaCl)で培養し、そ
の上清にPEG−NaCl(20%ポリエチレングリコール600
0、2.5M NaCl)溶液を5分の1量添加してファージ粒
子を沈澱させ、遠心分離した。この組換えファージ粒子
を終濃度0.25M NH2OH(pH6.0)中で、37℃、1〜8時
間処理し、PEG−NaCl溶液でファージ粒子を沈澱後、滅
菌水に溶解してイー・コリJM109に感染させ、800mlの2Y
T培地で培養し、二本鎖の変異導入したDNAをアルカリ−
SDS法およびCsCl超遠心法で調製した。これをHind III
およびEcoR Iで切断してpUC19に挿入し、イー・コリJM1
09に形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを含む2YT寒
天培地にまき、変異デカルバミラーゼ遺伝子を有するイ
ー・コリ組換え株を約15000株作製した。
実施例2 アグロバクテリウム・ラジオバクターKNK712株デカルバ
ミラーゼ遺伝子の亜硝酸による変異処理 実施例1で作製したM13mp18にKNK712株デカルバミラ
ーゼ遺伝子を組み込んだ組換えファージ粒子を800mlの2
YT培地で培養して調製し、フェノール抽出およびエタノ
ール沈澱を行なうことにより、一本鎖ファージDNAを取
得した。この一本鎖DNAを終濃度0.9M NaNO2(pH4.3)
で25℃、30分間処理することにより遺伝子を変異させ、
これをシークエネースRver.2.0(United states Bioche
mical社製)およびAMV逆転写酵素(Life Science社製)
を用いて二本鎖化した。これを制限酵素Hind IIIおよび
EcoR Iで切断してpUC19に組み込み、イー・コリJM109に
形質転換し、2YT平板培地(アンピシリン含有)にま
き、変異デカルバミラーゼ遺伝子を有するイー・コリ組
換え株約7600株を得た。
実施例3 耐熱性が向上したデカルバミラーゼ生産株の選択 変異デカルバミラーゼ遺伝子を有するイー・コリ組換
え体の平板培地上のコロニーを濾紙(東洋濾紙、5C、φ
83mm)にレプリカし、1.5mlの溶菌液(20mM Tris・HCl
(pH7.5)、10mM EDTA、2mg/mlリゾチーム、1% Tri
ton X−100)を浸み込ませ、37℃、30分反応させた
後、水洗、乾燥した。この濾紙を65℃の温水中に5分間
浸漬することによって熱処理し、乾燥後、1mlの発色反
応液(30mM K−リン酸緩衝液(pH7.4)、0.3%カルバ
ミル−D−フェニルグリシン、0.25%フェノール、10mg
/ml D−アミノ酸オキシダーゼ(シグマ社製)、2.36
μg/mlパーオキシダーゼ(西洋わさび由来、CALZYME L
ab.社製)、0.1mg/ml 4−アミノアンチピリン)を浸
み込ませ、37℃で30分反応させた。赤色に発色したスポ
ットに対応するコロニーを、耐熱性向上株として元の平
板培地より分離した。
実施例1のヒドロキシルアミンによる変異株27000株
より12株、実施例2の亜硝酸による変異株7600株より7
株の耐熱性向上株を得た。
実施例4 耐熱性が向上したデカルバミラーゼの耐熱度評価 実施例3で得られた耐熱性の向上したデカルバミラー
ゼの生産株の4株(ヒドロキシルアミン変異株3株、亜
硝酸による変異株1株)およびKNK712株デカルバミラー
ゼ遺伝子を有する組換えイー・コリJM109pAD108(FERM
BP−3184)をそれぞれ10mlの2YT液体培地(50μg/ml
アンピシリンおよび1mM IPTG含有)で一晩振盪培養し
た。集菌後、0.1M K−リン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄
し、1mlの同緩衝液に懸濁させた後、超音波破砕機(ト
ミー精工、UR−20P型)で破砕し、遠心分離して残渣を
除いた。この粗酵素液の1部を55℃、60℃、65℃、70℃
および75℃等の温度で10分間熱処理し、遠心分離によっ
て、熱変性し、不溶となった蛋白を除いた。ついで、こ
の熱処理前後のデカルバミラーゼ活性を測定したが、測
定は、1%カルバミル−D−ヒドロキシ−フェニルグリ
シンを基質として0.1M K−リン酸緩衝液(pH7.0)
中、40℃で、20分間反応させ、5%TCAで蛋白を変性さ
せて除いた後、高速液体クロマトグラフィによって生成
したD−ヒドロキシフェニルグリシン量を定量すること
によって行なった。結果を図1に示す。
実施例5 耐熱性が向上したデカルバミラーゼの遺伝子解析 耐熱性が向上した変異デカルバミラーゼについて遺伝
子解析を行ない、デカルバミラーゼ蛋白の変異部位の推
定を行なった。耐熱性が向上したデカルバミラーゼの遺
伝子を有するプラスミドを、Taq Dye DeoxyTM Terminat
er Cycleシーケンシング・キット(アプライド・バイオ
システム社)を用い、プログラム・インキュベーター
(アステック社、PC−700型)で反応させた後、バイオ
・スピン30(バイオラッド社)を用いて余剰のDye Deox
yを除去した。この試料を373A型DNAシーケンサー(アプ
ライド・バイオシステム社)を用いて泳動およびデータ
解析を行なった。その結果、表1に示すように変異部位
が判明した。いずれも1カ所のアミノ酸の変異によって
耐熱性が向上していた。
実施例6 耐熱性が向上したデカルバミラーゼの樹脂への固定化 耐熱性が向上したデカルバミラーゼ生産株4およびKN
K712株デカルバミラーゼ遺伝子を有する組換えイー・コ
リJM109pAD108(FERM BP−3184)を、それぞれ1リッ
トルの2YT培地(50μg/mlアンピシリン、1mM IPTG含
有)で一晩振盪培養した。集菌後、0.1M K−リン酸緩
衝液(pH7.0)で菌を洗浄後、同緩衝液100mlに懸濁さ
せ、超音波破砕機(BRANSON社製、Sonifier 250型)で
破砕し、遠心分離によって残渣を除き、粗酵素液とし
た。これに、0.1M K−リン酸緩衝液(pH7.0)で平衡
化したデュオライトA−568(ローム・アンド・ハース
社)を、蛋白40mgに対して樹脂1gとなるように添加し、
窒素シール下、4℃で、20時間撹拌し、吸着させた。こ
の吸着樹脂を0.1M K−リン酸緩衝液(pH7.0)および1
0mMジチオスレイトール(DTT)で洗浄後、0.2%グルタ
ールアルデヒド、0.1M K−リン酸緩衝液(pH7.0)
中、4℃で、10分間反応させて蛋白を架橋し、固定化樹
脂を作製した。得られた樹脂の活性を表2に示す。
実施例7 固定化デカルバミラーゼを用いた繰り返し連続反応 実施例6で得られた固定化樹脂を用いて、繰り返し連
続反応を行なうことによって、耐熱化変異デカルバミラ
ーゼの評価を行なった。固定化デカルバミラーゼ50ユニ
ットを用い、3%カルバミル−D−HPGを基質として、
窒素通気下で撹拌しながら、40℃で、pHを7.0に調整し
ながら反応させた(100ml反応液)。10分および60分後
に活性測定用のサンプリングを行い、合計23.5時間反応
を続けた。反応液を吸引除去後、同様に反応液を仕込ん
で反応させるという操作を15回繰り返し、固定化デカル
バミラーゼの活性の推移を調べた。この結果を図2に示
すが、耐熱性が向上したデカルバミラーゼは、固定化樹
脂として反応に用いた際の安定性が、変異前のものよ
り、いずれも改良されていた。
実施例8 耐熱性関与部位のアミノ酸置換 耐熱性に関与することが判明した3カ所、すなわち、
57番のアミノ酸であるヒスチジン、203番のアミノ酸で
あるプロリンおよび236番のバリンについて、それぞれ
種々のアミノ酸に置換した誘導体を作製した。これらの
誘導体の作製は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用
した方法(イトウら(Ito,W.et al.)ジン(Gene)102,
67−70(1991))を応用して行なった。それぞれの耐熱
化部位について、その部位のアミノ酸に対応する遺伝子
の両側の相補鎖遺伝子約10塩基づつの配列を持ち、置換
するアミノ酸に対応する3塩基の部分は、それぞれA、
T、G、Cのすべての組み合わせがあり、置換後すべて
のアミノ酸がその部位に入るようにA、T、G、Cの混
合液を用いて合成DNAプライマーを391型DNA合成機(ア
プライド・バイオシステムズ社製)で作製した。pAD108
を鋳型としてこのプライマーとM13RVプライマー(宝酒
造製)を用いてPCR反応をPC−700型プログラムインキュ
ベーター(アステック社製)で行なった。また、デカル
バミラーゼ遺伝子断片全長(1785塩基)とその両側の配
列を少し含み、Hind III切断点が変異して切断されなく
なったDNA断片をpAD108とMUTF3プライマーおよびM13M4
プライマー(いずれも宝酒造製)を用いてPCR反応によ
り作製した。これら2種のPCR産物を混合し、94℃、10
分間の加熱後、徐冷することによってアニールし、これ
ら2種のDNAが接着したものを作製し、Taq DNAポリメラ
ーゼを用いて一本鎖DNA部分を二本鎖とした。このDNAと
M13M4およびM13RVの両プライマーを用いてPCR反応を行
ない、生成DNAをHind III、EcoR Iで同時切断し、同様
に切断したpUC19とライゲーションさせてイー・コリを
形質転換させた。実施例3で示す方法によって耐熱性が
向上した株のみを選択したところ、表3および表4に示
す様に57番のヒスチジンがロイシンに置換した誘導体、
203番のプロリンがアスパラギン、グルタミン酸、スレ
オニン、アラニン、イソロイシンまたはヒスチジンにそ
れぞれ置換した誘導体、236番のバリンがスレオニンま
たはセリンにそれぞれ置換した誘導体でも、耐熱性が向
上していた。
実施例9 耐熱性関与部位の多重変異 耐熱性に関与することが判明した3カ所、すなわち57
番のアミノ酸であるヒスチジン、203番のアミノ酸であ
るプロリンおよび236番のアミノ酸であるバリンについ
て耐熱化することが判明しているアミノ酸変異を2個ま
たは3個組合せた誘導体(多重変異体)を次のように作
製した。
実施例3および実施例8で得られた単一アミノ酸置換
による耐熱化変異デカルバミラーゼ遺伝子の変異部位を
含む制限酵素切断DNA断片を天然型遺伝子の無変異DNA断
片と交換することによって多重変異体の作製を行った。
まず、pAD108やpAD402などには上記のDNA断片の交換に
使用するSal IおよびSph Iの切断点が2カ所ずつ存在し
ているため、これらを単一の切断点にする必要がある。
そこで新たな遺伝子導入用ベクターとしてpKK NEを作
製し、これにデカルバミラーゼ遺伝子断片を挿入してDN
A断片交換可能な発現ベクターを構築した。
pKK NEの作製は以下の様に行った。図3に示すpKK23
3−2(ファルマシア社製)をEcoR IおよびNde Iで切断
し、アガロースゲル電気泳動で2.7KbのDNA断片を分離し
た後、そのDNA断片の突出末端をDNAブランティングキッ
ト(宝酒造製)を用いて平滑末端とし、ライゲーション
して大腸菌JM109に形質転換した。
このようにして作製したベクターのNco I切断点をPCR
法を用いてNde I切断点に変えたプラスミドを作製し、
これをHind III切断、突出末端平滑化の後、pEcoR Iリ
ンカー(宝酒造製)とライゲーションすることにより、
図3に示すpKK NEを得た。次に、pAD108およびpAD402
のデカルバミラーゼ遺伝子の開始コドン部分にPCR法でN
de I切断点を導入し、これより得たNde I−EcoR I 1.6
Kb DNA断片をpKK NEに導入した発現ベクターpAD1086
(pAD108由来、図4に示す)およびpAD4021(pAD402由
来、図5に示す)をそれぞれ作製した。
57番のアミノ酸変異はNde I−Sac Iの約190bpDNA断片
上、203番のアミノ酸変異はSal I−Cla Iの約170bpDNA
断片上(以後、このDNA断片を断片Aという)、236番の
アミノ酸変異はCla I−Sph Iの約75bpDNA断片上(以
後、断片Bという)にそれぞれ存在している。そこで、
pAD4021の断片Aを除き、ここにpAD404およびpAD406の
同断片を挿入することによって、それぞれpAD421、pAD4
22を作製した。また、pAD1086、pAD4021、pAD421および
pAD422の断片BをpAD416の同断片と交換することによ
り、それぞれpAD4161、pAD423、pAD426およびpAD427
を、さらにpAD4161の断片AをpAD404、pAD406およびpAD
429の同断片と交換することにより、それぞれpAD424、p
AD425およびpAD461を、pAD402およびpAD423のA断片をp
AD429の同断片と交換することにより、pAD451およびpAD
455(図6に示す)を、pAD402、pAD429(図6に示
す)、pAD451およびpAD421のB断片をpAD447の同断片と
交換することにより、pAD452、pAD453、pAD454およびpA
D456をそれぞれ作製した。
以上のようにして作製した発現ベクターを大腸菌JM10
9にそれぞれ形質転換し、これらの菌体の破砕抽出液を
調製して、その耐熱性を調べた。
表5および表6に示すように、多重変異体ではそれぞ
れの単一変異の耐熱化の度合に応じて相加的に耐熱性が
向上しており、最も耐熱性が高い大腸菌JM109 pAD455
(FERM PB−4036)が生産するデカルバミラーゼでは、
変異前のデカルバミラーゼより約19℃も耐熱性が向上し
ていた。
実施例10 耐熱性が向上したデカルバミラーゼの反応温度特性 耐熱性が向上したデカルバミラーゼ産生株イー・コリ
JM109 pAD108(FERM BP−3184)及びイー・コリ J
M109 pAD455(FERM BP4036)を10mlの2YT培地で一晩
振盪培養した。集菌後、0.1M K−リン酸緩衝液(pH7.
0)で菌体を洗浄後、同緩衝液1mlに懸濁させ、小型超音
波破砕機(トミー精工製、UR−20P型)で破砕し、遠心
分離によって残渣を除き、粗酵素液とした。この粗酵素
液を、同緩衝液に5mMジチオスレイトールを添加した液
で10倍希釈した。1mlの基質溶液(1%カルバミル−D
−p−ヒドロキシフェニルグリシン、0.1%K−リン酸
緩衝液(pH6.5))を30℃から85℃までの温度でそれぞ
れ3分間保温後、100μlの希釈粗酵素液(活性が高い5
0〜80℃)イー・コリ JM109 pAD108の粗酵素液では50
〜65℃)では、さらに2〜3倍希釈した酵素液100μ
l)を添加して、各温度で20分間反応させた。250μl
の20%トリクロル酢酸溶液を添加して反応を止め、遠心
後、上清を高速液体クロマト(ナカライテスク(株)、
コスモシール5C18−ARカラム)で分析した。40℃での活
性を100%として、各温度での相対活性を図7に示す。
図7から明らかなとおり、イー・コリ JM109 pAD455
が作る酵素では75℃付近の活性が最も高く、イー・コリ
JM109 pAD108が作る酵素と比較して、酵素の安定性
が非常に向上して、高温での反応が可能な酵素に改良さ
れていた。
実施例11 耐熱性が向上したデカルバミラーゼのpH安定性 耐熱性が向上したデカルバミラーゼ産生株イー・コリ
JM109 pAD416(FERM BP−3915)およびイー・コリ
JM109 pAD455(FERM BP−4036)を10mlの2YT培地で
一晩振盪培養した。集菌後、10mMK−リン酸緩衝液(pH
7.0、5mMジチオスレイトールを含む)で菌体を洗浄後、
同緩衝液1mlに懸濁させ、小型超音波破砕機で破砕し、
遠心分離によって残渣を除き、粗酵素液とした。各pHの
緩衝液を、いずれも0.1MのK−リン酸緩衝液(pH5.5、
6、7、8)、トリス・HCl緩衝液(pH7.5、8、9)お
よび炭酸ナトリウム緩衝液(pH9、10、11)で作製し、
これら緩衝液800μlに200μlの上記粗酵素液をそれぞ
れ加えて、40℃で12.5時間インキュベートした。そし
て、その100μlを1mlの基質溶液(1%カルバミル−D
−p−ヒドロキシフェニルグリシン、0.1%K−リン酸
緩衝液(pH7.0))に加え、40℃で反応させ、実施例10
と同様の方法で分析した。pH7.0での活性を100%とし
て、各pHでの処理試料の相対活性を図8に示した。
実施例12 耐熱性が向上したデカルバミラーゼの発現ベクター作製
と発現 (1)外来遺伝子発現用ベクターの作製 最初に耐熱性が向上したデカルバミラーゼ遺伝子を挿
入し、発現させるためのベクターを作製した(図9)。
まず、pUC19よりPCR法を用いて1.3kbのHind III、Cfr10
I断片を作製したが、この際PCR用プライマーとしてHin
d III切断点の内側のlacZ遺伝子の開始コドン部位にNde
I切断点ができ、さらにHind III、Cfr10 Iで切断でき
るように配列を設計したものを反応に用いた。このPCR
で得たDNA断片をHind III、Cfr10 Iで切断後、pUC19か
ら対応する1.3kb断片を除いた1.4kb断片とライゲーショ
ンすることによって、pUC19にNde I切断点が1カ所加わ
ったプラスミドpUC・Ndeを作製した。次に、pTrc99A
(ファルマシアより市販)より、同様にPCR法を用いて
0.6kbのEcoR I、EcoR V断片を作製したが、この際、PCR
用プライマーとしてEcoR I切断点の内側のNco I切断点
がNde I切断点に変わり、さらにEcoR I、EcoR Vで切断
できるように配列を設計したものを反応に用いた。この
PCRで得たDNA断片をEcoR I、EcoR Vで切断後、pTrc99A
から対応する0.6kb断片を除いた3.6kb断片とライゲーシ
ョンすることによって、pTrc99AにNdE I切断点が1カ所
加わったプラスミドpTrcNdeを作製した。そして、pUC
NdeをNde I、Ssp Iで切断した2.0kb断片とpTrc NdeをN
de I、Ssp Iで切断した0.6kb断片をライゲーションする
ことによって、外来遺伝子発現用ベクタープラスミドpU
CNT(図10)を作製した。
(2)耐熱性が向上したデカルバミラーゼ遺伝子のベク
ターへの組み込み 耐熱性が向上したデカルバミラーゼの1種の遺伝子を
持つpAD455からPCR法を用いて、デカルバミラーゼをコ
ードする遺伝子部分のみを作製したが、この際PCRプラ
イマーとして遺伝子の開始コドン部分にNde I切断点が
でき、遺伝子の終止コドンの直後にPst I切断点ができ
るように配列を設計したものを反応に用いた。このPCR
で得た0.9kbのDNA断片をNde I、Pst Iで切断し、同じく
Nde I、Pst Iで切断したpUCNTとしライゲーションする
ことにとって、耐熱性が向上したデカルバミラーゼの発
現ベクタープラスミドpNT4553(図10)を作製した。
(3)耐熱性が向上したデカルバミラーゼ発現ベクター
の発現 上記で作製したpNT4553をエシエリヒア・コリ(Esche
richia coli)HB101に塩化カルシウム法を用いて形質
転換した。そしてこの形質転換株イー・コリ HB101 p
NT4553(FERM BP−4368)を2YT培地で37℃、16時間振
盪培養し、菌を集菌後(実施例10)に示す方法によって
粗酵素液を調製し、デカルバミラーゼ活性を測定したと
ころ、培養液あたり、5.6unites/mlの活性を示した。
本発明によれば、耐熱性の向上したデカルバミラーゼ
蛋白をコードするDNA断片が得られ、それよりD−N−
カルバモイル−α−アミノ酸に対する反応性が高く、か
つ安定性にも優れたデカルバミラーゼを調製し、この酵
素を用いてD−α−アミノ酸を効率よく生産することが
できる。
配列表 配列番号:1 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:アグロバクテリウム・ラジオバクター 株名:KNK712(FERM BP−1900) 配列番号:2 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD402(FERM BP−3912) 配列番号:3 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD404(FERM BP−3913) 配列番号:4 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD406(FERM BP−3914) 配列番号:5 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD416(FERM BP−3915) 配列番号:6 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD428 配列番号:7 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD429 配列番号:8 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD431 配列番号:9 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD434 配列番号:10 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD435 配列番号:11 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD439 配列番号:12 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD441 配列番号:13 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD445 配列番号:14 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD447 配列番号:15 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD448 配列番号:16 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD450 配列番号:17 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD421 配列番号:18 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD422 配列番号:19 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD423 配列番号:20 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD424(FERM BP−4034) 配列番号:21 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD425 配列番号:22 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD426 配列番号:23 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD427 配列番号:24 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD451 配列番号:25 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD452 配列番号:26 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD453 配列番号:27 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD461 配列番号:28 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD454 配列番号:29 配列の長さ:1559 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD455(FERM BP−4036) 配列番号:30 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD456 配列番号:31 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD468 配列番号:32 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD469 配列番号:33 配列の長さ:1785 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:JM109 pAD470 配列番号:34 配列の長さ:926 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:エシェリヒア・コリ 株名:HB101 pNT4553(FERM BP−4368)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 13/22 C12N 15/00 微生物の受託番号 FERM BP−3913 微生物の受託番号 FERM BP−3914 微生物の受託番号 FERM BP−3915 微生物の受託番号 FERM BP−4034 微生物の受託番号 FERM BP−4035 微生物の受託番号 FERM BP−4036 微生物の受託番号 FERM BP−4368 (72)発明者 山田 勇喜雄 兵庫県加古川市加古川町美乃利34−6 (72)発明者 ▲高▼橋 里美 兵庫県神戸市垂水区神和台1−13−13 (56)参考文献 特開 平4−166086(JP,A) 特開 平1−222771(JP,A) 特開 平2−86779(JP,A) 特開 昭61−35784(JP,A) 特開 平4−356185(JP,A) 国際公開92/010579(WO,A1) A Journal of Meth ods in Cell and Mo lecular Biology,1989 年,Vol.1,No.1,pp.11− 15 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/55 C12N 9/80 C12N 1/21 C12P 13/00 - 13/24 GENETYX BIOSIS PREVIEWS

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列表の配列番号:1に示すアミノ酸配列か
    らなるデカルバミラーゼにおいて、下記(a)〜(c)
    の少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、配列番号:1に
    示すアミノ酸配列からなるデカルバミラーゼと比して耐
    熱性が2℃以上向上したデカルバミラーゼ: (a)57番のヒスチジンがチロシンまたはロイシンに置
    換されている、 (b)203番のプロリンが、ロイシン、グルタミン酸、
    セリン、アスパラギン、スレオニン、アラニン、イソロ
    イシンまたはヒスチジンに置換されている、 (c)236番のバリンが、アラニン、スレオニン、また
    はセリンに置換されている。
  2. 【請求項2】耐熱温度が65度以上である、請求項1記載
    のデカルバミラーゼ。
  3. 【請求項3】配列表の配列番号:2〜34のいずれかに記さ
    れたアミノ酸配列を持つデカルバミラーゼ。
  4. 【請求項4】請求項1〜3いずれかに記載のデカルバミ
    ラーゼをコードするDNA。
  5. 【請求項5】アミノ酸番号57番のアミノ酸であるヒスチ
    ジンをコードする塩基配列のシトシン、アデニンおよび
    チミン(CAT)の少なくとも1つが、他の塩基に置換さ
    れ、該ヒスチジンがチロシンまたはロイシンに置き換え
    られたデカルバミラーゼをコードする、請求項4記載の
    DNA。
  6. 【請求項6】アミノ酸番号203番のアミノ酸であるプロ
    リンをコードする塩基配列のシトシン、シトシンおよび
    チミン(CCT)の少なくとも1つが、他の塩基に置換さ
    れ、該プロリンがセリン、ロイシン、アスパラギン、グ
    ルタミン酸、スレオニン、アラニン、イソロイシンまた
    はヒスチジンに置き換えられたデカルバミラーゼをコー
    ドする、請求項4記載のDNA。
  7. 【請求項7】アミノ酸番号236番のアミノ酸であるバリ
    ンをコードする塩基配列のグアニン、チミンおよびグア
    ニン(GTG)の少なくとも1つが、他の塩基に置換さ
    れ、該バリンが、アラニン、セリンまたはスレオニンに
    置き換えられたデカルバミラーゼをコードする、請求項
    4記載のDNA。
  8. 【請求項8】前記塩基配列CATが、TAT、CTTまたはCTAに
    置換されている、請求項5記載のDNA。
  9. 【請求項9】前記塩基配列CCTが、TCT、CTT、AAC、GA
    A、ACC、GCT、ATTまたはCATに置換されている、請求項
    6記載のDNA。
  10. 【請求項10】前記塩基配列GTGが、GCG、GCT、ACC、AC
    G、TCA、TCGまたはAGTに置換されている、請求項7記載
    のDNA。
  11. 【請求項11】配列表の配列番号:2〜16、24〜26、28お
    よび33のいずれかに記されたDNAの233番〜1141番の塩基
    配列を有するDNA。
  12. 【請求項12】配列表の配列番号:17〜23、27、29およ
    び34のいずれかに記されたDNA断片7番〜915番の塩基配
    列を有するDNA。
  13. 【請求項13】請求項4〜12いずれかに記載のDNAを含
    む発現ベクター。
  14. 【請求項14】請求項13記載の発現ベクターで形質転換
    された形質転換微生物。
  15. 【請求項15】イー・コリ(E.coli)JM109 pAD402(F
    ERM BP−3912)、イー・コリ JM109 pAD404(FERM
    BP−3913)、イー・コリ JM109 pAD406(FERM BP−3
    914)、イー・コリ JM109 pAD416(FERM BP−391
    5)、イー・コリ JM109 pAD429(FERM BP−4035)、
    イー・コリ JM109 pAD424(FERM BP−4034)、イー
    ・コリ JM109 pAD455(FERM BP−4036)またはイー
    ・コリ HB101 pNT4553(FERM BP−4368)である、請
    求項14記載の形質転換微生物。
  16. 【請求項16】配列表の配列番号:1に示すアミノ酸配列
    からなるデカルバミラーゼにおいて、下記(a)〜
    (c)の少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、配列番
    号:1に示すアミノ酸配列からなるデカルバミラーゼと比
    して耐熱性が2℃以上向上したデカルバミラーゼの製造
    方法であって、当該デカルバミラーゼをコードするDNA
    を含む発現ベクターにて形質転換された微生物を培養す
    ることを特徴とする方法: (a)57番のヒスチジンがチロシンまたはロイシンに置
    換されている、 (b)203番のプロリンが、ロイシン、グルタミン酸、
    セリン、アスパラギン、スレオニン、アラニン、イソロ
    イシンまたはヒスチジンに置換されている、 (c)236番のバリンが、アラニン、スレオニン、また
    はセリンに置換されている。
  17. 【請求項17】形質転換された微生物がイー・コリ(E.
    coli)JM109 pAD402(FERM BP−3912)、イー・コリ
    JM109 pAD404(FERM BP−3913)、イー・コリ JM1
    09 pAD406(FERM BP−3914)、イー・コリ JM109 p
    AD416(FERM BP−3915)、イー・コリ JM109 pAD429
    (FERM BP−4035)、イー・コリ JM109 pAD424(FER
    M BP−4034)、イー・コリ JM109 pAD455(FERM BP
    −4036)またはイー・コリ HB101 pNT4553(FERM BP
    −4368)である、請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】N−カルバミル−D−アミノ酸を、水性
    媒体中、デカルバミラーゼの作用によって対応するD−
    α−アミノ酸に変換せしめ、生成したD−α−アミノ酸
    を採取するD−α−アミノ酸の製造方法であって、使用
    するデカルバミラーゼが、配列表の配列番号:1に示すア
    ミノ酸配列からなるデカルバミラーゼにおいて、下記
    (a)〜(c)の少なくとも1つのアミノ酸置換を有
    し、耐熱温度が65℃以上のデカルバミラーゼである、製
    造方法: (a)57番のヒスチジンがチロシンまたはロイシンに置
    換されている、 (b)203番のプロリンが、ロイシン、グルタミン酸、
    セリン、アスパラギン、スレオニン、アラニン、イソロ
    イシンまたはヒスチジンに置換されている、 (c)236番のバリンが、アラニン、スレオニン、また
    はセリンに置換されている。
  19. 【請求項19】前記デカルバミラーゼの生産が、形質転
    換微生物であるイー・コリ(E.coli)JM109 pAD402(F
    ERM BP−3912)、イー・コリ JM109 pAD404(FERM
    BP−3913)、イー・コリ JM109 pAD406(FERM BP−3
    914)、イー・コリ JM109 pAD416(FERM BP−391
    5)、イー・コリ JM109 pAD429(FERM BP−4035)、
    イー・コリ JM109 pAD424(FERM BP−4034)、イー
    ・コリ JM109 pAD455(FERM BP−4036)またはイー
    ・コリ HB101 pNT4553(FERM BP−4368)によって成
    されたものである、請求項18記載の製造方法。
  20. 【請求項20】デカルバミラーゼを固定化して作用させ
    る、請求項19記載の製造方法。
  21. 【請求項21】固定化デカルバミラーゼを反復使用す
    る、請求項20記載の製造方法。
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