JPWO2018084165A1 - 改変型酵素およびその利用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、野生型のグルタチオン合成酵素を改変して、活性がより安定に保持される、とりわけ熱安定性の高い改変型グルタチオン合成酵素および/または該酵素を生産する形質転換体を提供する。本発明のポリペプチドは、(a)γ−グルタミルジペプチドにグリシンを結合する反応を行い、且つ、(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高いポリペプチドである。

Description

本発明は、改変型グルタチオン合成酵素、およびそれをコードする遺伝子、ならびにそれらの利用に関する。
グルタチオンは、L−システイン、L−グルタミン酸、グリシンの3つのアミノ酸から成るペプチドで、人体だけでなく、他の動物や植物、微生物など多くの生体内に存在する。グルタチオンはまた、活性酸素の消去作用、解毒作用、アミノ酸代謝などの機能を有し、生体にとって重要な化合物である。
グルタチオンは、生体内において、L−システイン残基のチオール基が還元されたSHの形態である還元型のグルタチオン(以下、「GSH」と称することもある。)、またはL−システイン残基のチオール基が酸化され、グルタチオン2分子間でジスルフィド結合を形成した形態である酸化型のグルタチオン(以下、「GSSG」と称することもある。)のいずれかの形態で存在する。
グルタチオンの製造方法としては、L−グルタミン酸、L−システイン、グリシンおよび界面活性剤や有機溶媒の存在下、γ−グルタミルシステイン合成酵素やグルタチオン合成酵素を組換え生産させたエシェリヒア・コリやサッカロマイセス・セレビシエの菌体を酵素源として用いる酵素法等が知られている(特許文献1および2)。また、最近において、出願人は、L−グルタミン酸とL−シスチンとから酸化型γ−グルタミルシステインを製造し、続いて、酸化型γ−グルタミルシステインとグリシンとから酸化型グルタチオンを製造する工程を含む、酸化型グルタチオンの製造方法を公開している(特許文献3)。
グルタチオン合成に関わる酵素として、L−グルタミン酸とL−システインとを結合して、γ−グルタミルシステインを生成するγ−グルタミルシステイン合成酵素(以下、「GSHI」と称することもある。)と、γ−グルタミルシステインとグリシンとを結合して還元型グルタチオンを生成するグルタチオン合成酵素(以下、「GSHII」と称することもある。)とが知られている。また、GSHIおよびGSHIIは、それぞれ、L−シスチン、酸化型γ−グルタミルシステインも基質として利用できることが知られており、この場合、各酵素反応の生成物として、それぞれ、酸化型γ−グルタミルシステイン、酸化型グルタチオンが合成される(特許文献3)。
特開昭60−27396号公報(1985年2月12日公開) 特開昭60−27397号公報(1985年2月12日公開) 国際公開第2016/002884号公報(2016年1月7日公開)
Appl. Microbial. Biotechnol., 66, 233 (2004) Appl. Environ. Microbial., 44, 1444 (1982)
ところで、グルタチオン合成酵素を使用したグルタチオン生産を工業的スケールで行う場合、グルタチオン合成酵素の保存安定性や反応温度での熱安定性が必要となる。また、グルタチオン合成酵素を発現している組換え菌体を使用した反応を行う場合、該酵素の安定性が高ければ、組換え菌を加熱して、宿主に由来する該酵素以外の酵素を失活または活性低下させることで、宿主由来酵素によるバックグラウンドの反応を抑制することができる。
そこで、本発明の課題は、野生型グルタチオン合成酵素と比較して、その活性がより安定に保持される、とりわけ、熱安定性の高い改変型グルタチオン合成酵素、および/または該酵素を生産する形質転換体を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、野生型グルタチオン合成酵素遺伝子に変異を導入して作製した変異型グルタチオン合成酵素遺伝子ライブラリー(以下、「変異酵素遺伝子ライブラリー」と称する。)の中から、熱安定性が野生型グルタチオン合成酵素よりも向上した改変型グルタチオン合成酵素を見出すことに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様は以下の構成を包含する。
[1]以下の(a)、(b);
(a)γ−グルタミルジペプチドにグリシンを結合する反応を行い、かつ、
(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い、
の性質を示すポリペプチド。
[2]以下の(c)、(d);
(c)還元型グルタチオン(GSH)および/または酸化型グルタチオン(GSSG)を生成し、かつ、
(d)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い、
の性質を示すポリペプチド。
[3]γ−グルタミルシステインおよび酸化型γ−グルタミルシステインを基質としてGSHおよびGSSGを生成する、γ−グルタミルシステインを基質としてGSHを生成する、または、酸化型γ−グルタミルシステインを基質としてGSSGを生成する、[1]に記載のポリペプチド。
[4]以下の(A)から(C)のいずれかに示すポリペプチド:
(A)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
13、17、20、23、39、70、78、101、113、125、126、136、138、149、152、154、155、197、200、215、226、227、230、239、241、246、249、254、260、262、263、270、278、299、305、307および310番目から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなる、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
(B)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
13、17、20、23、39、70、78、101、113、125、126、136、138、149、152、154、155、197、200、215、226、227、230、239、241、246、249、254、260、262、263、270、278、299、305、307および310番目から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個が置換、付加、挿入もしくは欠失されている、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
(C)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
13、17、20、23、39、70、78、101、113、125、126、136、138、149、152、154、155、197、200、215、226、227、230、239、241、246、249、254、260、262、263、270、278、299、305、307および310番目から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上である、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド。
[5]以下の(D)から(F)のいずれかに示すポリペプチド:
(D)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
13番目がセリン、17番目がグルタミン酸、20番目がスレオニン、23番目がロイシン、39番目がスレオニン、70番目がセリン、78番目がロイシン、101番目がアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、113番目がヒスチジン、125番目がバリン、126番目がアスパラギン、136番目がスレオニン、138番目がアラニン、149番目がグルタミン、152番目がグルタミン、154番目がアスパラギン、155番目がロイシン、197番目がグルタミン、200番目がセリン、215番目がアスパラギン酸、226番目がアルギニン、227番目がセリン、230番目がプロリン、239番目がセリン、241番目がヒスチジン、246番目がアルギニン、249番目がグルタミン酸、254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、システイン、グリシン、グルタミン、スレオニン、262番目がシステイン、263番目がアルギニン、270番目がイソロイシン、278番目がグリシン、アラニン、299番目がアラニン、305番目がグリシン、307番目がバリンおよび310番目がスレオニンに置換、から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなる、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
(E)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
13番目がセリン、17番目がグルタミン酸、20番目がスレオニン、23番目がロイシン、39番目がスレオニン、70番目がセリン、78番目がロイシン、101番目がアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、113番目がヒスチジン、125番目がバリン、126番目がアスパラギン、136番目がスレオニン、138番目がアラニン、149番目がグルタミン、152番目がグルタミン、154番目がアスパラギン、155番目がロイシン、197番目がグルタミン、200番目がセリン、215番目がアスパラギン酸、226番目がアルギニン、227番目がセリン、230番目がプロリン、239番目がセリン、241番目がヒスチジン、246番目がアルギニン、249番目がグルタミン酸、254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、システイン、グリシン、グルタミン、スレオニン、262番目がシステイン、263番目がアルギニン、270番目がイソロイシン、278番目がグリシン、アラニン、299番目がアラニン、305番目がグリシン、307番目がバリンおよび310番目がスレオニンに置換、から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個が置換、付加、挿入もしくは欠失されている、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
(F)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
13番目がセリン、17番目がグルタミン酸、20番目がスレオニン、23番目がロイシン、39番目がスレオニン、70番目がセリン、78番目がロイシン、101番目がアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、113番目がヒスチジン、125番目がバリン、126番目がアスパラギン、136番目がスレオニン、138番目がアラニン、149番目がグルタミン、152番目がグルタミン、154番目がアスパラギン、155番目がロイシン、197番目がグルタミン、200番目がセリン、215番目がアスパラギン酸、226番目がアルギニン、227番目がセリン、230番目がプロリン、239番目がセリン、241番目がヒスチジン、246番目がアルギニン、249番目がグルタミン酸、254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、システイン、グリシン、グルタミン、スレオニン、262番目がシステイン、263番目がアルギニン、270番目がイソロイシン、278番目がグリシン、アラニン、299番目がアラニン、305番目がグリシン、307番目がバリンおよび310番目がスレオニンに置換、から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上である[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド。
[6]以下の(G)から(I)のいずれかに示すポリペプチド:
(G)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
(1)13番目がセリン、
(2)17番目がグルタミン酸、113番目がヒスチジン、230番目がプロリン、
(3)20番目がスレオニン、215番目がアスパラギン酸、
(4)20番目がスレオニン、241番目がヒスチジン、
(5)23番目がロイシン、126番目がアスパラギン、
(6)39番目がスレオニン、260番目がアラニン、
(7)70番目がセリン、260番目がアラニン、
(8)78番目がロイシン、278番目がアラニン、
(9)101番目がアスパラギン、
(10)101番目がグルタミン、
(11)101番目がセリン、
(12)101番目がセリン、260番目がアラニン、
(13)101番目がスレオニン、
(14)125番目がバリン、249番目がグルタミン酸、
(15)125番目がバリン、152番目がグルタミン、
(16)136番目がスレオニン、
(17)138番目がアラニン、149番目がグルタミン、241番目がヒスチジン、263番目がグルタミン、
(18)154番目がアスパラギン、246番目がアルギニン、
(19)155番目がロイシン、239番目がセリン、
(20)197番目がグルタミン、
(21)200番目がセリン、260番目がアラニン、
(22)226番目がアルギニン、260番目がアラニン、
(23)227番目がセリン、260番目がアラニン、
(24)254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、
(25)260番目がアラニン、
(26)260番目がアラニン、278番目がグリシン、307番目がバリン、
(27)260番目がアラニン、299番目がアラニン、
(28)260番目がアラニン、305番目がグリシン、
(29)260番目がアラニン、310番目がスレオニン、
(30)260番目がシステイン、
(31)260番目がグリシン、
(32)260番目がグルタミン、
(33)260番目がスレオニン、
(34)262番目がシステイン、
(35)270番目がイソロイシン、
から選択されるアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなる、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
(H)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
(1)13番目がセリン、
(2)17番目がグルタミン酸、113番目がヒスチジン、230番目がプロリン、
(3)20番目がスレオニン、215番目がアスパラギン酸、
(4)20番目がスレオニン、241番目がヒスチジン、
(5)23番目がロイシン、126番目がアスパラギン、
(6)39番目がスレオニン、260番目がアラニン、
(7)70番目がセリン、260番目がアラニン、
(8)78番目がロイシン、278番目がアラニン、
(9)101番目がアスパラギン、
(10)101番目がグルタミン、
(11)101番目がセリン、
(12)101番目がセリン、260番目がアラニン、
(13)101番目がスレオニン、
(14)125番目がバリン、249番目がグルタミン酸、
(15)125番目がバリン、152番目がグルタミン、
(16)136番目がスレオニン、
(17)138番目がアラニン、149番目がグルタミン、241番目がヒスチジン、263番目がグルタミン、
(18)154番目がアスパラギン、246番目がアルギニン、
(19)155番目がロイシン、239番目がセリン、
(20)197番目がグルタミン、
(21)200番目がセリン、260番目がアラニン、
(22)226番目がアルギニン、260番目がアラニン、
(23)227番目がセリン、260番目がアラニン、
(24)254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、
(25)260番目がアラニン、
(26)260番目がアラニン、278番目がグリシン、307番目がバリン、
(27)260番目がアラニン、299番目がアラニン、
(28)260番目がアラニン、305番目がグリシン、
(29)260番目がアラニン、310番目がスレオニン、
(30)260番目がシステイン、
(31)260番目がグリシン、
(32)260番目がグルタミン、
(33)260番目がスレオニン、
(34)262番目がシステイン、
(35)270番目がイソロイシン、
から選択されるアミノ酸が置換されているポリペプチドにおいて、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個が置換、付加、挿入もしくは欠失されている、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド、
(I)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
(1)13番目がセリン、
(2)17番目がグルタミン酸、113番目がヒスチジン、230番目がプロリン、
(3)20番目がスレオニン、215番目がアスパラギン酸、
(4)20番目がスレオニン、241番目がヒスチジン、
(5)23番目がロイシン、126番目がアスパラギン、
(6)39番目がスレオニン、260番目がアラニン、
(7)70番目がセリン、260番目がアラニン、
(8)78番目がロイシン、278番目がアラニン、
(9)101番目がアスパラギン、
(10)101番目がグルタミン、
(11)101番目がセリン、
(12)101番目がセリン、260番目がアラニン、
(13)101番目がスレオニン、
(14)125番目がバリン、249番目がグルタミン酸、
(15)125番目がバリン、152番目がグルタミン、
(16)136番目がスレオニン、
(17)138番目がアラニン、149番目がグルタミン、241番目がヒスチジン、263番目がグルタミン、
(18)154番目がアスパラギン、246番目がアルギニン、
(19)155番目がロイシン、239番目がセリン、
(20)197番目がグルタミン、
(21)200番目がセリン、260番目がアラニン、
(22)226番目がアルギニン、260番目がアラニン、
(23)227番目がセリン、260番目がアラニン、
(24)254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、
(25)260番目がアラニン、
(26)260番目がアラニン、278番目がグリシン、307番目がバリン、
(27)260番目がアラニン、299番目がアラニン、
(28)260番目がアラニン、305番目がグリシン、
(29)260番目がアラニン、310番目がスレオニン、
(30)260番目がシステイン、
(31)260番目がグリシン、
(32)260番目がグルタミン、
(33)260番目がスレオニン、
(34)262番目がシステイン、
(35)270番目がイソロイシン、
から選択されるアミノ酸が置換されているポリペプチドにおいて、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上である、[1]から[3]のいずれかに記載のポリペプチド。
[7][1]から[6]のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
[8][1]から[6]のいずれかに記載のポリペプチド、または、[7]に記載のポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、γ−グルタミルジペプチドに作用させることを特徴とするγ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を示す)の製造方法。
[9][1]から[6]のいずれかに記載のポリペプチド、または、[7]に記載のポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、酸化型γ−グルタミルシステインに作用させることを特徴とするGSSGの製造方法。
[10][1]から[6]のいずれかに記載のポリペプチド、または、[7]に記載のポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、γ−グルタミルシステインに作用させることを特徴とするGSHの製造方法。
[11]ATP再生系の共存下で反応を行うことを特徴とする、[8]に記載のγ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を示す)の製造方法。
[12]ATP再生系としてポリリン酸キナーゼを用いることを特徴とする、[11]に記載のγ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を示す)の製造方法。
[13]ATP再生系の共存下で反応を行うことを特徴とする、[9]に記載のGSSGの製造方法。
[14]ATP再生系としてポリリン酸キナーゼを用いることを特徴とする、[13]に記載のGSSGの製造方法。
[15]ATP再生系の共存下で反応を行うことを特徴とする、[10]に記載のGSHの製造方法。
[16]ATP再生系としてポリリン酸キナーゼを用いることを特徴とする、[15]に記載のGSHの製造方法。
本発明の一態様により、熱安定性が野生型グルタチオン合成酵素よりも向上した改変型グルタチオン合成酵素およびそれをコードする遺伝子、該酵素を発現させた形質転換体、および/またはその処理物を触媒として使用するペプチドおよびグルタチオンの製造方法を提供できる。
(1.ポリペプチド)
本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、以下の(a)〜(b)または(c)〜(d)の性質を示すことを特徴とする;
(a)γ-グルタミルジペプチドにグリシンを結合する反応を行い、かつ、
(b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い。
(c)GSHおよび/またはGSSGを生成し、かつ、
(d)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い。
本明細書において、「γ−グルタミルジペプチド」とは、グルタミン酸のγ位のカルボキシル基に別のアミノ酸が結合した化合物をいう。グルタミン酸のγ位に結合するアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリンなどの中性アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどの塩基性アミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンなどの芳香族アミノ酸、ノルバリン、ノルロイシン、tert‐ロイシン、ヒドロキシプロリン、α‐アミノ酪酸、およびβ‐アミノ酪酸が挙げられる。
本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、γ−グルタミルジペプチドにグリシンを結合する反応を行い、かつ、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い性質を示すポリペプチドであり、γ−グルタミルシステインおよび酸化型γ−グルタミルシステインを基質とした場合にはGSHおよびGSSGを生成し、γ−グルタミルシステインを基質とした場合にはGSHを生成し、酸化型γ−グルタミルシステインを基質とした場合にはGSSGを生成する。本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、GSHおよびGSSGを生成し、かつ、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い性質を示すポリペプチドであり、γ−グルタミルシステインおよび酸化型γ−グルタミルシステインを基質とした場合にはGSHおよびGSSGを生成し、γ−グルタミルシステインを基質とした場合にはGSHを生成し、酸化型γ−グルタミルシステインを基質とした場合にはGSSGを生成する。本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、GSHを生成し、かつ、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い性質を示すポリペプチドであり、γ−グルタミルシステインを基質とした場合には、GSHを生成する。本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、GSSGを生成し、かつ、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い性質を示すポリペプチドであり、酸化型γ−グルタミルシステインを基質とした場合には、GSSGを生成する。
[変異の記載方法]
なお、本明細書において、アミノ酸、ペプチド、タンパク質は下記に示すIUPAC−IUB生化学命名委員会(CBN)で採用された略号を用いて表される。また、特に明示しない限り、ペプチドおよびタンパク質のアミノ酸残基の配列は、左端から右端にかけてN末端からC末端となるように表される。また、参照を容易にするため、一般的に用いられている下記の命名法を適用する。該命名法は、“もとのアミノ酸;位置;置換したアミノ酸”と記述する方法であり、例えば、位置13におけるロイシンのセリンへの置換は「L13S」と表される。多重変異については、記号“/”により分けることで表記する。例えば、「S20T/E215D」とは、位置20のセリンをスレオニンへ、かつ、位置215グルタミン酸をアスパラギン酸へ置換することを示す。
[アミノ酸の略号]
A=Ala=アラニン、C=Cys=システイン、
D=Asp=アスパラギン酸、E=Glu=グルタミン酸、
F=Phe=フェニルアラニン、G=Gly=グリシン、
H=His=ヒスチジン、I=Ile=イソロイシン、
K=Lys=リシン、L=Leu=ロイシン、
M=Met=メチオニン、N=Asn=アスパラギン、
P=Pro=プロリン、Q=Gln=グルタミン、
R=Arg=アルギニン、S=Ser=セリン、
T=Thr=スレオニン、V=Val=バリン、
W=Trp=トリプトファン、Y=Tyr=チロシン。
[配列同一性]
ポリペプチドやポリヌクレオチドの「配列同一性」とは、対比される2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを最適に整列させ、アミノ酸または核酸塩基(例えば、A、T、C、G、U、またはI)が両方の配列で一致した位置の数を比較塩基総数で除し、そして、この結果に100を乗じた数値で表される。
配列同一性は、例えば、以下の配列分析用ツールを用いて算出し得る;GCG Wisconsin Package(ウィスコンシン大学)、the ExPASy World Wide Web分子生物学用サーバー(スイスバイオインフォマティックス研究所)、BLAST(米国生物工学情報センター)、GENETYX(ゼネティックス社)。
本発明の一実施形態において、変異を導入する前の野生型グルタチオン合成酵素(本明細書において、「野生型酵素」と称することもある。)は、配列表の配列番号1で表される314個のアミノ酸残基からなり、かつ、γ−Glu−X(例えば、γ-グルタミルアラニン)で表されるγ−グルタミルジペプチドとグリシンとからγ−Glu−X−Gly(例えば、γ-グルタミルアラニルグリシン)を生成する能力、γ−グルタミルシステインとグリシンとからGSHを生成する能力、または酸化型γ−グルタミルシステインとグリシンとからからGSSGを生成する能力を有するポリペプチドである。
ポリペプチドの由来は限定されるものではないが、好ましくはヒドロゲノフィルス科(Hydrogenophilales)、より好ましくはチオバチルス(Thiobacillus)属に属する微生物、さらに好ましくはチオバチルス・デニトリフィキャンス(Thiobacillus denitrificans)ATCC25259株由来のグルタチオン合成酵素である。
本発明の一実施形態において、野生型グルタチオン合成酵素は、配列表の配列番号1のアミノ酸をコードするものであれば、特に限定されないが、例えば、配列表の配列番号2に示されるポリヌクレオチドによりコードされる。このポリヌクレオチドは、Molecular Cloning 2nd Edition(Joseph Sambrook,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))等に記載される通常の遺伝子工学的手法に準じてヒドロゲノフィルス科、好ましくはチオバチルス属、より好ましくはチオバチルス・デニトリフィキャンス(Thiobacillus denitrificans)ATCC25259株から取得することができる。さらに配列表の配列番号3に示されるように、配列番号1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを化学合成によって取得することもできるし、宿主に合わせてコドン最適化したものを化学合成によって取得することもできる。
即ち、チオバチルス・デニトリフィキャンス(Thiobacillus denitrificans)ATCC25259株のゲノムDNAからを鋳型にPCRを行うことにより、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、または配列番号2で示されるポリヌクレオチドを増幅して野生型酵素遺伝子を調製することもできるし、例えば配列番号3のポリヌクレオチドのように、配列番号1のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを化学合成しても良い。
本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列に改変を加えて得られるものであってもよい。
配列番号1に示すアミノ酸配列に加える改変としては、置換、付加、挿入もしくは欠失が挙げられ、1種類の改変(例えば置換)のみを含むものであっても良いし、2種以上の改変(例えば、置換と挿入)を含んでいても良い。上記の「複数個のアミノ酸」とは、例えば、63個、好ましくは47個、より好ましくは31個、さらに好ましくは25個、16個、9個、7個、5個、4個、3個または2個のアミノ酸を意味する。
また、改変を加えた後のアミノ酸配列と、配列番号1に示すアミノ酸配列との配列の同一性は80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、98.5%以上、99%以上である。
本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、上記(a)〜(b)もしくは(c)〜(d)の性質を示すか、またはγ−グルタミルシステインおよび酸化型γ−グルタミルシステインを基質としてGSHおよびGSSGを生成する、γ−グルタミルシステインを基質としてGSHを生成する、または、酸化型γ−グルタミルシステインを基質としてGSSGを生成するとの性質を示すことに加えて、以下で例示するような、配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列において、アミノ酸が置換、挿入、欠失、付加されたポリペプチド、またはそのようなアミノ酸配列と特定の配列同一性を有するポリペプチドであり得る。
本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列において、アミノ酸が置換、挿入、欠失、付加される場所は特に制限されないが、好ましくは配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち、13、17、20、23、39、70、78、101、113、125、126、136、138、149、152、154、155、197、200、215、226、227、230、239、241、246、249、254、260、262、263、270、278、299、305、307および310番目から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなるポリペプチドであることが好ましい。本発明の別の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち上記で示した位置から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個、例えば、63個、好ましくは47個、より好ましくは31個、さらに好ましくは25個、16個、9個、7個、5個、4個、3個または2個が置換、付加、挿入もしくは欠失されているポリペプチドであり得る。本発明の他の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち上記で示した位置から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、98.5%以上、99%以上であるポリペプチドであり得る。
より好ましくは、本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;13番目がセリン、17番目がグルタミン酸、20番目がスレオニン、23番目がロイシン、39番目がスレオニン、70番目がセリン、78番目がロイシン、101番目がアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、113番目がヒスチジン、125番目がバリン、126番目がアスパラギン、136番目がスレオニン、138番目がアラニン、149番目がグルタミン、152番目がグルタミン、154番目がアスパラギン、155番目がロイシン、197番目がグルタミン、200番目がセリン、215番目がアスパラギン酸、226番目がアルギニン、227番目がセリン、230番目がプロリン、239番目がセリン、241番目がヒスチジン、246番目がアルギニン、249番目がグルタミン酸、254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、システイン、グリシン、グルタミン、スレオニン、262番目がシステイン、263番目がアルギニン、270番目がイソロイシン、278番目がグリシン、アラニン、299番目がアラニン、305番目がグリシン、307番目がバリンおよび310番目がスレオニンに置換、から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているポリペプチドである。本発明の別の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち上記で示した位置から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個、例えば、63個、好ましくは47個、より好ましくは31個、さらに好ましくは25個、16個、9個、7個、5個、4個、3個または2個が置換、付加、挿入もしくは欠失されているポリペプチドであり得る。本発明の他の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち上記で示した位置から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、98.5%以上、99%以上であるポリペプチドであり得る。
さらに好ましくは、本発明の一実施形態におけるポリペプチドは、下記の(1)〜(35);配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち下記の(1)〜(35);
(1)13番目がセリン、
(2)17番目がグルタミン酸、113番目がヒスチジン、230番目がプロリン、
(3)20番目がスレオニン、215番目がアスパラギン酸、
(4)20番目がスレオニン、241番目がヒスチジン、
(5)23番目がロイシン、126番目がアスパラギン、
(6)39番目がスレオニン、260番目がアラニン、
(7)70番目がセリン、260番目がアラニン、
(8)78番目がロイシン、278番目がアラニン、
(9)101番目がアスパラギン、
(10)101番目がグルタミン、
(11)101番目がセリン、
(12)101番目がセリン、260番目がアラニン、
(13)101番目がスレオニン、
(14)125番目がバリン、249番目がグルタミン酸、
(15)125番目がバリン、152番目がグルタミン、
(16)136番目がスレオニン、
(17)138番目がアラニン、149番目がグルタミン、241番目がヒスチジン、263番目がグルタミン、
(18)154番目がアスパラギン、246番目がアルギニン、
(19)155番目がロイシン、239番目がセリン、
(20)197番目がグルタミン、
(21)200番目がセリン、260番目がアラニン、
(22)226番目がアルギニン、260番目がアラニン、
(23)227番目がセリン、260番目がアラニン、
(24)254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、
(25)260番目がアラニン、
(26)260番目がアラニン、278番目がグリシン、307番目がバリン、
(27)260番目がアラニン、299番目がアラニン、
(28)260番目がアラニン、305番目がグリシン、
(29)260番目がアラニン、310番目がスレオニン、
(30)260番目がシステイン、
(31)260番目がグリシン、
(32)260番目がグルタミン、
(33)260番目がスレオニン、
(34)262番目がシステイン、
(35)270番目がイソロイシン、
のいずれかで示されるアミノ酸が置換されているポリペプチドである。本発明の別の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち上記で示した位置から選択されるアミノ酸が置換されているポリペプチドにおいて、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個、例えば、63個、好ましくは47個、より好ましくは31個、さらに好ましくは25個、16個、9個、7個、5個、4個、3個または2個が置換、付加、挿入もしくは欠失されているポリペプチドであり得る。本発明の他の一実施形態におけるポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち上記で示した位置から選択されるアミノ酸が置換されているポリペプチドにおいて、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、98.5%以上、99%以上であるポリペプチドであり得る。
本発明の一実施形態において、酵素の熱安定性は、例えば、以下の方法で評価できる。
[酵素の熱安定性の評価方法]
酵素を含む無細胞抽出液を任意の温度(例えば40〜90℃)で任意の時間(例えば0.1分〜48時間)インキュベートする。熱処理を行っていない無細胞抽出液と熱処理済みのサンプルを0.01〜1.0MのTris−HCl緩衝液(pH6〜9)で希釈し、その希釈液を用いて下記の[グルタチオン合成酵素活性の評価方法(1)]またはグルタチオン合成酵素活性の評価方法(2)]のいずれかで酵素の活性を測定することで、熱処理後の残存活性を下記式により算出できる。この残存活性を熱安定性の指標とする。
残存活性(%)=[熱処理サンプルの酵素活性]÷[非熱処理サンプルの酵素活性]×100。
[グルタチオン合成酵素活性の評価方法(1)]
200mMTris−HCl緩衝液(pH8.5)に基質(例えばγ−グルタミルシステイン、酸化型γ−グルタミルシステイン)1〜50mM、ATP二ナトリウム塩30mM、グリシン30mM、硫酸マグネシウム七水和物10mMおよび本発明の一実施形態におけるポリペプチドを含む反応液を30℃で反応させ、得られた反応液をHPLC分析して生成物(例えば、GSH、GSSG、γ−グルタミル−システイニルグルタチオン)を定量することにより、グルタチオン合成酵素活性を評価することができる。グルタチオン合成酵素活性1Uは1分間に1μmolのグリシンを基質に結合する反応を触媒する酵素量とした。
(HPLC条件)
カラム:Develosil ODS−HG−3(4.6mmφ×250mm、野村化学社製);
溶離液:リン酸2水素カリウム 12.2g、1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム 7.2gを蒸留水1.8Lで溶解した後、該溶液をpH3.0に調整し、メタノール100mlを追加して溶解した液;
流速:1.0ml/min;
カラム温度:40℃;
測定波長:210nm。
[グルタチオン合成酵素活性の評価方法(2)]
グルタチオン合成酵素活性の測定は、より安価に入手できる化合物(例えばγ−グルタミルアラニン)をγ−グルタミルシステインまたは酸化型γ−グルタミルシステインの代替基質として用いることでも実施できる。より詳しくは、上記方法におけるγ−グルタミルシステインおよび/または酸化型γ−グルタミルシステインの代わりに代替基質を用いる。代替基質を用いた活性測定法は以下である。200mMTris−HCl緩衝液(pH8.5)に基質1〜50mM、ATP二ナトリウム塩20mM、グリシン20mM、硫酸マグネシウム七水和物10mMおよび本発明のポリペプチドを含む反応液を30℃で反応させ、得られた反応液のHPLC分析によって生成物を定量することにより、当該酵素の活性を評価することができる。酵素活性1Uは1分間に1μmolの生成物生産を触媒する酵素量とした。
(HPLC条件)
カラム:SUMICHIRAL OA−5000(4.6mmφ×250mm、住化分析センター製);
溶離液:蒸留水:イソプロピルアルコール=95:5の溶液に2mMの硫酸銅を溶解した液;
流速:1.0ml/min;
カラム温度:40℃;
測定波長:254nm。
本明細書において、「熱安定性が向上している」とは、上記の評価を行なった場合の残存活性が、配列表の配列番号1に記載のグルタチオン合成酵素と比較して、1%以上高いことであり、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、最も好ましくは20%以上高いことである。
具体的には、60℃または70℃でインキュベートした後のγ−グルタミルシステイン、酸化型γ−グルタミルシステインまたはγ−グルタミルアラニンに対する残存活性を後述の参考例3または4に記載する方法で測定した場合に、少なくともどちらか一つの方法において、残存活性が野生型酵素と比較して1%以上高いことであり、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、もっとも好ましくは20%以上高いことをいう。
酵素は熱により変性するため、一般的に、熱安定性の高い酵素は、緩慢な温度条件下における酵素活性の安定性が高い。熱安定性は、水素結合、疎水性結合、イオン相互作用、金属結合、および/またはジスルフィド結合を含む安定力の関数である。そのような安定効果は、酵素の長期間の安定性に寄与する(Pure & Appl. Chem., 63, 10, 1527-1540 (1991))。すなわち、酵素において、熱安定性が高ければ、保存安定性も高くなる傾向にある(換言すれば、熱安定性と保存安定性とは、相関関係にある)。したがい、本発明の一実施形態におけるグルタチオン合成酵素は、熱安定性に優れると共に、保存安定性にも優れる。
本明細書において、「保存安定性が高い」とは、例えば、該酵素、該酵素を含む溶液、あるいは該酵素を生産する組換え体について、4〜40℃で長期間(例えば、1時間〜2年間)静置後に前記の活性測定を行った際、静置前の活性に対する静置後の活性の割合が、野生型酵素と比較して1%以上高いことであり、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上、最も好ましくは20%以上高いことである。
本発明の一実施形態におけるグルタチオン合成酵素は、下記の方法により探索することができる。
具体的には、エラープローンPCR法(Leung et al., Technique 1, 11−15(1989))、あるいは同様の原理に基づいたキットを用いて、配列表の配列番号3に示す塩基配列(化学合成した野生型酵素遺伝子)に1つ以上の塩基配列の置換、挿入、欠失、付加が導入されたDNA断片を得ることができる。例えば、野生型酵素遺伝子をテンプレートにして、プライマー1:5’−GGGTTTCATATGAAACTGCTGTTCGTCG−3’(配列表の配列番号4)、およびプライマー2:5’−CCGGAATTCTTATCATTCCGGACGCG−3’(配列表の配列番号5)とDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech社製)を用いることにより、野生型酵素をコードする遺伝子の全長にランダムに変異が導入され、かつ開始コドンにNdeI認識部位が付加され、終始コドンの直後にEcoRI認識部位が付加された複数種類の二本鎖DNA(変異型酵素遺伝子)を得ることができる。この増幅断片をNdeIおよびEcoRIで消化し、プラスミドpUCN18(PCR法によりpUC18(タカラバイオ社製)の185番目のTをAに改変してNdeIサイトを破壊し、更に471−472番目のGCをTGに改変することにより新たにNdeIサイトを導入したプラスミド)のlacプロモーターの下流のNdeI認識部位とEcoRI認識部位の間に挿入し、このプラスミドを用いてエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)HB101株(以下、E.coli HB101)を形質転換する。形質転換した大腸菌を100μg/mLのアンピシリンを含むLBプレート培地に塗布し、シングルコロニーの大腸菌を得る。また、野生型遺伝子の変わりに前記方法で得られた変異型酵素遺伝子を用いて、同様の操作でさらに変異を導入した変異酵素遺伝子ライブラリーを作製することもできる。
上記ライブラリーから、本発明の一実施形態における改変型グルタチオン合成酵素を選抜することができる。選抜方法としては特に限定されないが、好ましくは以下で示す方法である。なお、改変型酵素(または、改変型グルタチオン合成酵素)とは、目的の性質を付与するための変異を導入した変異型酵素のことであって、本明細書においては、変異酵素遺伝子ライブラリーから、野生型酵素と比較して熱安定性および/または保存安定性が高いものとして選抜したグルタチオン合成酵素を意味する。
[熱安定性が向上した酵素のプレート評価による選抜法]
変異酵素遺伝子ライブラリーの各組換え菌および野生型酵素を生産する組換え菌(例えば、参考例3に示すE.coli HB101(pTDGSH2))を適当な培地(例えば200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、塩化ナトリウム 0.5%、pH7.0))に接種し、37℃で24時間振盪培養する。得られた各培養液を遠心分離して上清を除き、適当な緩衝液(例えば0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5))で懸濁する。この懸濁液を破砕処理後、遠心分離により沈殿を除くことで無細胞抽出液を得る。各酵素を含む無細胞抽出液を適当な温度(好ましくは40〜80℃)で加熱しインキュベートする。0.1分〜48時間程度インキュベートした後、96穴プレート(AGCテクノグラス社製)に分注し、ATP二ナトリウム塩(好ましくは30mM)、硫酸マグネシウム七水和物(好ましくは10mM)、酸化型γ−グルタミルシステインを含む溶液(好ましくは15mM)、グリシン(好ましくは30mM)を含むTris−HCl緩衝液(pH5〜9)を加えて、10〜50℃で3分〜48時間インキュベートする。反応液中で生成したグルタチオンを定量する方法として、例えば以下の方法が挙げられる。反応液を新たな96穴プレート(AGCテクノグラス社製)に分注し、グルタチオン還元酵素(好ましくは30U/L以上、シグマアルドリッチ社製)、NADPH(好ましくは1.2mM)を含むTris−HCl緩衝液(pH5〜9)を添加して10〜50℃で0.1〜60分インキュベートする。ここで、グルタチオン合成酵素によって生成した酸化型グルタチオンが還元型グルタチオンに変換される。ここに5,5‘−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(以下、DTNBと記載)(好ましくは0.2mg/mL)を含むTris−HCl緩衝液(pH5〜9)を添加し、経時的に目視および405nmの吸光を検出する。このとき、反応液中に還元型グルタチオンが存在すれば、405nmにおける吸光を検出できる。熱処理しない無細胞抽出液を用いてグルタチオン合成反応を行った対照の吸光に対する、熱処理した無細胞抽出液を用いてグルタチオン合成反応を行ったサンプルの吸光の比率を活性残存率とし、該活性残存率が野生型グルタチオン合成酵素よりも高いものを熱安定性の向上した酵素として選抜した。選抜した酵素の培養液からプラスミドを抽出し、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズジャパン社製)およびApplied Biosystems 3130xlジェネティックアナライザ(アプライドバイオシステムズジャパン社製)を用いて改変型グルタチオン合成酵素遺伝子の塩基配列を決定し、変異部位を特定することができる。
得られた複数の改変型グルタチオン合成酵素の変異を部位特異的変異導入によって、一方のいくつか、あるいは双方を組み合わせることで、熱安定性を強化した改変型グルタチオン合成酵素を作製できる。このような改変型グルタチオン合成酵素もまた本発明の一実施形態におけるポリペプチドに含まれる。
(2.ポリヌクレオチド)
本発明の一実施形態において、上記本発明の一実施形態におけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドは、上記本発明の一実施形態におけるポリペプチドをコードするものであれば特に限定されない。本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドは、例えば、配列表の配列番号2および3に示した野生型酵素をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド、またはこれに改変を加えて得られるポリヌクレオチドが挙げられる。
野生型酵素遺伝子の改変方法としては、Current Protocols in Molecular Biology(Frederick M.Ausubel,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience(1989))等に記載の公知の方法を用いることができる。すなわち、野生型酵素遺伝子の塩基の1個、または複数個(例えば、40個、好ましくは20個、より好ましくは10個、さらに好ましくは5個、4個、3個、または2個の塩基)を置換、付加、挿入もしくは欠失することにより、野生型酵素のアミノ酸配列を改変したポリヌクレオチドを作製することができる。例えば、エラープローンPCR法(Leung et al., Technique 1, 11−15(1989))などのPCRを用いた変異導入法や、あるいは市販のキットDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech社製)、Transformer Mutagenesis Kit(Clontech社製)、EXOIII/Mung Bean Deletion Kit(Stratagene社製)、QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製)などの利用が挙げられる。
ポリヌクレオチドを部位特異的変異導入法により作製する場合、部位特異的変異導入法としては、例えば、Olfert Landtら(Gene, 96, 125−128(1990))、Smithら(Genetic Engineering, 3,1, Setlow,J. Plenum Press)、Vlasukら(Experimental Manipulation of Gene Expression, Inouye,M. Academic Press)、Hos.N.Huntら(Gene,77,51(1989))の方法やQuikChange II Kit(ストラタジーン社製)の市販キットの利用等があげられる。なお、2箇所に変異を導入する場合には上記方法に準じた方法を2回繰り返すことにより、目的とする本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを得ることができる。なお、複数の他のポジションが他のアミノ酸で置換されている場合も当該方法により、目的とする本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを得ることができる。
本発明の一実施形態におけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、γ−グルタミルシステイン、酸化型γ−グルタミルシステインまたはγ−グルタミルアラニンのそれぞれとグリシンとから、還元型グルタチオン、酸化型グルタチオンまたはγ−グルタミルアラニルグリシンを生成する活性を有し、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して熱安定性が高いポリペプチドをコードし、かつ、配列表の配列番号2および3に示した塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドが好ましい。
ここで、「配列表の配列番号2に示したポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、配列表の配列番号2に示した塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドをプローブとして、ストリンジェントな条件下で、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるポリヌクレオチドを意味する。
ハイブリダイゼーションは、例えば、Molecular Cloning 2nd Edition(Joseph Sambrook,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))等に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、「ストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0Mの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.3倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄することにより取得できるDNAをあげることができる。より好ましくは65℃で0.13倍濃度のSSC溶液で洗浄、さらに好ましくは65℃で0.09倍濃度のSSC溶液で洗浄、とりわけ好ましくは65℃で0.07倍、0.06倍、0.04倍、0.03倍、0.02倍濃度のSSC溶液で洗浄することにより取得できるポリヌクレオチドである。
以上のようにハイブリダイゼーション条件を記載したが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。
上記の条件にてハイブリダイズが可能なポリヌクレオチドとしては、配列番号2に示されるポリヌクレオチドと、配列同一性が好ましくは78%以上、より好ましくは84%以上、さらに好ましくは87%以上、とりわけ好ましくは89%、90%、93%、95%、97%以上のDNAをあげることができ、コードされるポリペプチドが、本発明の一実施形態におけるポリペプチドの性質を有する限り、上記本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドに包含される。
「配列表の配列番号3に示したポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」に関しても前記と同様に、0.7〜1.0Mの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.6倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗浄することにより取得できるDNAをあげることができる。より好ましくは65℃で0.25倍濃度のSSC溶液で洗浄、さらに好ましくは65℃で0.15倍濃度のSSC溶液で洗浄、とりわけ好ましくは65℃で0.12倍、0.10倍、0.07倍、0.05倍、0.04倍濃度のSSC溶液で洗浄することにより取得できるポリヌクレオチドである。
以上のようにハイブリダイゼーション条件を記載したが、これらの条件に特に制限されない。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで最適なストリンジェンシーを実現することが可能である。
上記の条件にてハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドとしては、配列番号2に示されるポリヌクレオチドと、配列同一性が好ましくは78%以上、より好ましくは84%以上、さらに好ましくは87%以上、とりわけ好ましくは89%、90%、93%、95%、97%以上のDNAをあげることができ、コードされるポリペプチドが、本発明の一実施形態におけるポリペプチドの性質を有する限り、上記一実施形態におけるポリヌクレオチドに包含される。
(3.形質転換体)
本発明の一実施形態において、上記本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、上記本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体を提供する。
本発明の一実施形態におけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現ベクターに挿入することにより、ポリペプチド発現ベクターを作製できる。
本明細書において、「発現ベクター」とは、プロモーター等の配列を含み、形質転換後の細胞内で遺伝子が発現するように構築したベクターを意味する。上記で用いる発現ベクターとしては、適当な宿主生物内で上記本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを発現できるものであれば、特に限定されない。
本明細書において、「ベクター」とは、遺伝子を組み込み、組換えDNAを増幅・維持・導入させる核酸分子を意味する。このようなベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターなどが挙げられ、さらに、他の宿主株との間での遺伝子交換が可能なシャトルベクターも使用できる。
本発明の一実施形態におけるベクターは、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドと作動可能に連結された制御因子を含み得る。本明細書において、「制御因子」は、機能的プロモーターおよび任意の関連する転写要素(例えば、エンハンサー、CCAATボックス、TATAボックス、SPI部位など)を有する塩基配列を意味する。また、本明細書において、「作動可能に連結」は、遺伝子の発現を調節するプロモーター、エンハンサー等の種々の調節エレメント(上記制御因子を含む)と遺伝子とが、宿主細胞内で作動し得る状態で連結されることを意味する。制御因子のタイプおよび種類が、本発明の一実施形態におけるベクターが導入される宿主生物に応じて変わり得ることは、当業者に周知の事項である。
本発明の一実施形態において、例えば、宿主生物が大腸菌の場合には、本発明の一実施形態におけるベクターは、通常、lacUV5プロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lppプロモーター、tufBプロモーター、recAプロモーター、pLプロモーター等の制御因子を含み、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドと作動可能に連結された発現単位を含む発現ベクターとして好適に使用できる。そのようなベクターとしては、例えば、pUCN18(参考例1参照)、pSTV28(タカラバイオ社製)、pUCNT(国際公開第94/03613号公報)などが挙げられる。
各宿主生物における利用可能なベクター、プロモーターなどについては、微生物学基礎講座(8、安藤忠彦、共立出版、(1987))などに詳細に記述されている。
本発明の一実施形態におけるベクターは、ATP再生能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをさらに含んでいてもよい。ATP再生能を有するポリペプチドとしては、例えば、ポリリン酸キナーゼ(以下、「PPK」と称することもある。)、アデニレートキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、ホスホクレアチンキナーゼが挙げられる。
本発明の一実施形態におけるベクターにより宿主細胞を形質転換することにより、本発明の一実施形態における形質転換体を得ることができる。本発明の一実施形態における形質転換体としては、本発明の一実施形態におけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを染色体中に導入して得られる形質転換体も含まれる。
本発明の一実施形態におけるベクターの導入により形質転換される宿主細胞としては、本発明の一実施形態における各ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリペプチド発現ベクターにより形質転換され、導入したポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを発現することができる細胞であれば、特に制限されない。宿主細胞として利用可能な微生物としては、例えば、エシェリヒア(Escherichia)属、バチルス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、およびラクトバチルス(Lactobacillus)属などの宿主ベクター系の開発されている細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属およびストレプトマイセス(Streptomyces)属などの宿主ベクター系の開発されている放線菌、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、クライベロマイセス(Kluyveromyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ピキア(Pichia)属、およびキャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発されている酵母、ノイロスポラ(Neurospora)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、セファロスポリウム(Cephalosporium)属、およびトリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の開発されているカビ、などが挙げられる。また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に、蚕を用いた昆虫(Nature, 315, 592−594 (1985))や、菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、好適に利用できる。これらのうち、導入および発現効率の観点から細菌が好ましく、大腸菌が特に好ましい。
本発明の一実施形態におけるベクターは、公知の方法により宿主細胞に導入できる。例えば、ポリペプチド発現ベクターとして前記の発現ベクターpUCN18に改変型グルタチオン合成酵素をコードするポリヌクレオチドを導入した本発明の一実施形態におけるプラスミド(実施例1〜2、7〜8、12〜18に示すpNKPm01〜35)を用い、かつ宿主微生物として大腸菌を用いる場合は、市販のE.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)などを用いて、そのプロトコールに従って操作することにより、当該ベクターを宿主細胞に導入した形質転換体(例えば、実施例18に示すE.coli HB101(pTDGSH2m35))が得られる。
また、本発明の一実施形態におけるポリペプチドおよび前記のATP再生能を有するポリペプチドの両ポリペプチドを、同一菌体内で発現させた形質転換体を作製することもできる。すなわち、本発明の一実施形態におけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびATP再生能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、同一のベクターに組み込み、これを宿主細胞に導入することにより得られる。また、これら2種類のDNAを不和合性グループの異なる2種のベクターにそれぞれ組み込み、それらを同一の宿主細胞に導入することによっても得ることができる。
このようにして得られる形質転換体としては、例えば、本発明の一実施形態における改変型グルタチオン合成酵素をコードするヌクレオチドを前記の発現ベクターpUCN18に導入した組換えベクター(例えば、実施例2に示したpTDGSH2m15)とATP再生能を有するポリペプチドであるポリリン酸キナーゼをコードするポリヌクレオチドを含むベクターとを、E.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)に導入した形質転換体などが挙げられるがこれに限定されない。
(4.製造方法)
本発明の一実施形態において、上記本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、上記本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、γ−グルタミルジペプチドに作用させることを特徴とするγ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を示す)の製造方法を提供する。
本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、γ−グルタミルジペプチド、より好ましくはγ−グルタミルシステイン、酸化型γ−グルタミルシステインまたはγ−グルタミルアラニンに作用させることにより、各々さらに1分子のアミノ酸が付加した、γ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を表す)、より好ましくは還元型グルタチオン、酸化型グルタチオンまたはγ−グルタミルアラニルグリシンを製造することができる。
本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物の基質となるペプチドは特に制限されるものではないが、γ−グルタミルシステインおよび酸化型γ−グルタミルシステインにグリシンを付加する反応である場合、その産物が有用なグルタチオンとなるため、非常に有益な反応となる。
本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、本発明の一実施形態におけるポリペプチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を用いて、上記ペプチドを基質としてペプチド伸長反応を行う場合、以下のように実施され得る。但し、以下の方法に限定されるわけではない。
具体的には、適当な溶媒(例えば50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)など)、基質としてのペプチド(例えば、γ−グルタミルシステイン、酸化型γ−グルタミルシステイン、γ−グルタミルアラニン)を加え、硫酸マグネシウムやATP等の補酵素、ならびに本発明の一実施形態における形質転換体の培養物および/またはその処理物などを添加し、pH調整下、攪拌して反応させる。このとき、本発明の一実施形態におけるポリペプチドを発現された形質転換体とは別に、前記のATP再生能を有するポリペプチドを発現された形質転換体およびその培養物、および/またはその処理物などを添加しても良い。
本明細書において、「形質転換体の処理物」とは、例えば、無細胞抽出液、粗抽出液、培養菌体、凍結乾燥生物体、アセトン乾燥生物体、菌体破砕物、またはそれらの混合物もしくは固定化物等であり、本発明の一実施形態におけるポリペプチドの酵素触媒活性が残存しているものを意味する。本発明の一実施形態におけるポリペプチド自体、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体の固定化物等もまた、上記「形質転換体の処理物」の範囲に包含される。
本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物と基質との反応は、5〜80℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜70℃の温度で行われる。反応中の反応液のpHは、3〜10、好ましくは4〜10、より好ましくは5〜9に維持する。反応はバッチ式あるいは連続方式で行われ得る。バッチ方式の場合は、反応基質は、0.01〜100%(w/v)、好ましくは0.1〜70%、より好ましくは0.5〜50%の仕込み濃度で添加されうる。また、反応の途中で新たに基質を追加で添加しても良い。
また、本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物と基質との反応には、水系溶媒を用いてもよいし、水系の溶媒と有機系の溶媒とを混合して用いてもよい。有機系溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、2−プロパノール、酢酸エチル、トルエン、メタノール、エタノール、n−ブタノール、ヘキサン、アセトニトリル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセトン、ジメトキシプロパン、t−メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジグリム、エチレングリコール、ジメトキシエタン、四塩化炭素、塩化メチレン、エチルセロソルブ、酢酸セロソルブ、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。
また、本発明の一実施形態におけるポリペプチド、または、本発明の一実施形態におけるポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物と基質との反応を行う際に、本発明の一実施形態におけるポリペプチドおよびATP再生能を有するポリペプチドの両方を生産する形質転換体を用いるか、あるいはATP再生能を有するポリペプチドを生産する形質転換体を別途添加して用いれば、補酵素ATPの使用量を大幅に減らすことが可能となる。ATP再生能を有するポリペプチドについて、次に詳述する。
本発明の一実施形態におけるポリペプチドの生産能を有する形質転換体を用いて、γ−Glu−X−Gly、還元型グルタチオンおよび/または酸化型グルタチオン合成反応を行う場合、補酵素としてATPが必要となる。上記のように、反応系にATPを必要な量だけ添加することによっても実施しうる。しかし、脱リン酸化された該補酵素(ADPやAMP)をATPに変換する能力(以下、「ATP再生能」と称する。)を有する酵素をその基質と共に用いる、すなわち、ATP再生系を本発明の一実施形態におけるポリペプチドと組み合わせて上記反応を行うことにより、高価なATPの使用量を大幅に削減することができる。ATP再生能力を有する酵素としては、ポリリン酸キナーゼ、アデニレートキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、酢酸キナーゼ、ホスホクレアチンキナーゼ等を用いることができ、これらを単独で用いることもできるし、これらのうち複数を組み合わせても良い。好適には、ポリリン酸キナーゼ、アデニレートキナーゼが用いられる。
ATP再生系を用いる上記の反応は、ATP再生系をγ−Glu−X−Gly、還元型グルタチオンまたは酸化型グルタチオン合成反応系内に添加することによっても行われ得る。しかし、本発明の一実施形態におけるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびATP再生能を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの両方により形質転換された形質転換体を触媒として用いた場合は、ATP再生能を有する酵素を別に調製して反応系内に添加しなくても、効率的に反応を行うことができる。このような形質転換体は、上述した方法により得られる。
合成反応後の反応液からの生成物の採取方法は特に限定されないが、反応液から直接精製するか、または反応液から菌体等を分離後、メタノール等の溶剤で抽出し、脱水後、蒸留、再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、合成吸着剤のカラムクロマトグラフィー等により精製することにより、容易に生成物が得られる。
以下、実施例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、以下の実施例において用いた組み換えDNA技術に関する詳細な操作方法などは、以下の文献に記載されている:
Molecular Cloning 2nd Edition(Joseph Sambrook,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))、Current Protocols in Molecular Biology(Frederick M.Ausubel,Greene Publishing Associates and Wiley−Interscience(1989))。
(参考例1)組換えベクターpTDGSH2の構築
Thiobacillus denifitricansATCC25259由来グルタチオン合成酵素(NCBI Reference Sequence:WP_011312921)をコードする遺伝子を大腸菌宿主に対応するようコドン最適化した遺伝子配列(配列番号2)の5’端にNdeIサイト、3’端にEcoRIサイトを付加した配列をユーロフィンジェノミクス社にて化学合成した。この遺伝子をNdeIおよびEcoRIで消化し、プラスミドpUCN18(PCR法によりpUC18(タカラバイオ社製)の185番目のTをAに改変してNdeIサイトを破壊し、更に471−472番目のGCをTGに改変することにより新たにNdeIサイトを導入したプラスミド)のlacプロモーターの下流のNdeI認識部位とEcoRI認識部位の間に挿入し、組換えベクターpTDGSH2を構築した。
(参考例2)ポリペプチドを発現する組換え生物の作製
参考例1で構築した組換えベクターpTDGSH2を用いて、E.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2)を得た。また、pUCN18を用いてE.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、組換え生物E.coli HB101(pUCN18)を得た。
(参考例3)組換え生物におけるDNAの発現
参考例2で得た2種類の組換え生物(E.coli HB101(pUCN18)、E.coli HB101(pTDGSH2))を、200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、塩化ナトリウム 0.5%、pH7.0)5mlに接種し、37℃で24時間振盪培養した。上記の培養で得られたそれぞれ培養液について、遠心分離により菌体を集め、1mlの200mMTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。これら無細胞抽出液のグルタチオン合成酵素活性を測定した。グルタチオン合成酵素活性は、200mM Tris−HCl緩衝液(pH8.5)に、酸化型γ−グルタミルシステイン 15mM、グリシン 30mM、ATP 30mM、硫酸マグネシウム 10mM、および無細胞抽出液を添加して30℃で10分間反応を行い、生成した酸化型グルタチオンをHPLC分析により定量した。この反応条件において、1分間に1μmolの酸化型グルタチオンを生成する酵素活性を2Uと定義した。それぞれの組換え生物のグルタチオン合成酵素活性を以下に示す。
E.coliHB101(pUCN18)については、グルタチオン合成酵素活性は0.1mU/mg以下であった。一方、TDGSH2を発現させたE.coli HB101(pTDGSH2)のグルタチオン合成活性は700mU/mgであった。以上のように、参考例2で得られた組換え生物はグルタチオン合成活性を有し、TDGSH2の生産を確認できた。
(参考例4)代替基質を用いた酵素活性測定
参考例2で得た2種類の組換え生物(E.coli HB101(pUCN18)、E.coli HB101(pTDGSH2))を、200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、塩化ナトリウム 0.5%、pH7.0)5mlに接種し、37℃で24時間振盪培養した。上記の培養で得られたそれぞれ培養液について、遠心分離により菌体を集め、1mlの200mMTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。これら無細胞抽出液のγ−グルタミルアラニルグリシン合成酵素活性を測定した。γ−グルタミルアラニルグリシン合成酵素活性は、200mM Tris−HCl緩衝液(pH8.5)に、γ−グルタミルアラニン 20mM、グリシン 20mM、ATP 20mM、硫酸マグネシウム 10mM、および200mM Tris−HCl緩衝液(pH8.5)で20倍希釈した無細胞抽出液を添加して30℃で10分間反応を行い、生成したγ−グルタミルアラニルグリシンをHPLC分析により定量した。この反応条件において、1分間に1μmolのγ−グルタミルアラニルグリシンを生成する酵素活性を1Uと定義した。それぞれの組換え生物のγ−グルタミルアラニルグリシン合成酵素活性を以下に示す。
E.coliHB101(pUCN18)については、γ−グルタミルアラニルグリシン合成酵素活性は0.1U/mg以下であった。一方、TDGSH2を発現させたE.coli HB101(pTDGSH2)のγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性は6U/mgであった。以上のように、野生型のグルタチオン合成酵素がγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性も持つことを確認できた。
(参考例5)野生型酵素の熱安定性
参考例3と同様の方法で野生型酵素の無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液を60℃で10分間または30分間、70℃で10分間または15分間インキュベートした。インキュベート後、各無細胞抽出液を希釈した。加熱をしない無細胞抽出液も同様に希釈した。これら無細胞抽出液のグルタチオン合成活性を参考例3と同様の方法で測定した。下記式より加熱後の残存活性を算出し、この値を熱安定性の指標とした。結果を表1に示す。
残存活性(%)=[加熱後の酵素活性]÷[加熱前の酵素活性]×100
Figure 2018084165
野生型酵素はこれらの条件で加熱すると、失活し、活性が検出できなかった。
(実施例1)変異酵素遺伝子ライブラリーの作製1
参考例1で作製したT.denitrificans由来グルタチオン合成酵素遺伝子を含むプラスミドpTDGSH2をテンプレートに、プライマー1:5’−GGGTTTCATATGAAACTGCTGTTCGTCG−3’(配列表の配列番号4)およびプライマー2:5’−CCGGAATTCTTATCATTCCGGACGCG−3’(配列表の配列番号5)を用いてエラープローンPCR法(Leung et al. Technique 1, 11−15(1989))を用いて、RKP遺伝子全長にランダムな変異を導入したDNA増幅断片を得た。この増幅断片を制限酵素NdeIおよびEcoRIで消化したのち、同酵素で処理した高発現ベクターpUCN18に組み込み、複数の変異酵素発現プラスミドを作製した。このプラスミドを用いてE.coli HB101を形質転換し、100μg/mLのアンピシリンを含むLBプレート培地に塗布した。生育したコロニーは変異導入されたグルタチオン合成酵素遺伝子を有する組換え大腸菌であり、この組換え菌群を変異酵素遺伝子ライブラリー1とした。
(実施例2)改変型グルタチオン合成酵素の選抜1
変異酵素遺伝子ライブラリー1より、熱安定性が野生型グルタチオン合成酵素と比較して向上した改変型グルタチオン合成酵素を選抜した。実施例1で作製した変異酵素遺伝子ライブラリー1の各組換え菌および参考例2で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3と同様の方法で培養した。得られた各培養液を遠心分離して上清を除き、例えば0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5))で懸濁した。この懸濁液を破砕処理後、遠心分離により沈殿を除くことで無細胞抽出液を得た。各酵素を含む無細胞抽出液を60℃で加熱した。30分間加熱後、96穴プレート(AGCテクノグラス社製)に分注し、ATP二ナトリウム塩 30mM、硫酸マグネシウム七水和物10mM、酸化型γ−グルタミルシステイン15mM、グリシン30mMを含む0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)を加えて、30℃で3時間インキュベートした。反応液を新たな96穴プレート(AGCテクノグラス社製)に分注し、グルタチオン還元酵素(30ユニット/L、シグマアルドリッチ社製)、NADPH1.2mM)を含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を添加して室温で2分間インキュベートした。ここで、グルタチオン合成酵素によって生成した酸化型グルタチオンが還元型グルタチオンに変換される。ここにDTNB0.2mg/mLを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を添加し、経時的に405nmの吸光を検出した。無細胞抽出液を熱処理せずにグルタチオン合成反応を行った対照の吸光に対する、無細胞抽出液を熱処理後にグルタチオン合成反応を行ったサンプルの吸光の比率を活性残存率とし、該活性残存率が野生型グルタチオン合成酵素の活性残存率よりも高いものを熱安定性の向上した酵素として選抜した。選抜した酵素の培養液からプラスミドを抽出し、Big Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズジャパン社製)およびApplied Biosystems 3130xlジェネティックアナライザ(アプライドバイオシステムズジャパン社製)を用いて改変型グルタチオン合成酵素遺伝子の塩基配列を決定し、変異部位を特定した。得られた熱安定性の向上した改変型グルタチオン合成酵素における変異部位を表2に示す。
Figure 2018084165
表2に示す17種類の熱安定性が向上した酵素を取得した。
(実施例3)改変型グルタチオン合成酵素の評価1
実施例2で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例2で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。これらの無細胞抽出液について参考例3および4と同様の方法でグルタチオン合成活性およびγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性の両方があることを確認した。改変型グルタチオン合成酵素の、野生型酵素のグルタチオン合成活性を100とした場合の相対活性を表3に示す。
Figure 2018084165
(実施例4)改変型グルタチオン合成酵素の評価2
実施例2で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例3で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2MTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。無細胞抽出液を60℃で10分間加熱した。加熱した無細胞抽出液および非加熱の無細胞抽出液を希釈して参考例4に示した方法でγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性を測定した。下記式より加熱後の残存活性を算出し、この値を熱安定性の指標とした。
残存活性(%)=[加熱後の酵素活性]÷[加熱前の酵素活性]×100
60℃、10分間の加熱で評価した野生型酵素および改変型グルタチオン合成酵素の相対活性を表4に示す。
Figure 2018084165
表4に示した改変型グルタチオン合成酵素は野生型酵素よりも熱安定性が向上していた。
(実施例5)改変型グルタチオン合成酵素の評価3
実施例2で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例3で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2MTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。無細胞抽出液を60℃で30分間加熱した。加熱した無細胞抽出液および非加熱の無細胞抽出液を希釈して参考例4に示した方法でγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性を測定した。下記式より加熱後の残存活性を算出し、この値を熱安定性の指標とした。
残存活性(%)=[加熱後の酵素活性]÷[加熱前の酵素活性]×100
60℃、30分間の加熱で評価した野生型酵素および改変型グルタチオン合成酵素の相対活性を表5に示す。
Figure 2018084165
表5に示した改変型グルタチオン合成酵素は野生型酵素よりも熱安定性が向上していた。
(実施例6)改変型グルタチオン合成酵素の評価4
実施例2で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例3で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2MTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。無細胞抽出液を70℃で15分間加熱した。加熱した無細胞抽出液および非加熱の無細胞抽出液を希釈して参考例4に示した方法でγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性を測定した。下記式より加熱後の残存活性を算出し、この値を熱安定性の指標とした。
残存活性(%)=[加熱後の酵素活性]÷[加熱前の酵素活性]×100
70℃、15分間の加熱で評価した野生型酵素および改変型グルタチオン合成酵素の相対活性を表6に示す。
Figure 2018084165
表6に示した改変型グルタチオン合成酵素は野生型酵素よりも熱安定性が向上していた。
(実施例7)変異酵素遺伝子ライブラリーの作製2
実施例2で取得したプラスミドpTDGSH2m15(表2参照)をテンプレートに、プライマー1:5’−GGGTTTCATATGAAACTGCTGTTCGTCG−3’(配列表の配列番号4)およびプライマー2:5’−CCGGAATTCTTATCATTCCGGACGCG−3’(配列表の配列番号5)を用いてエラープローンPCR法(Leung et al. Technique 1, 11−15(1989))を用いて、グルタチオン合成酵素遺伝子全長にランダムな変異を導入したDNA増幅断片を得た。この増幅断片を制限酵素NdeIおよびEcoRIで消化したのち、同酵素で処理した高発現ベクターpUCN18に組み込み、複数の変異酵素発現プラスミドを作製した。このプラスミドを用いてE.coli HB101を形質転換し、100μg/mLのアンピシリンを含むLBプレート培地に塗布した。生育したコロニーは変異導入されたグルタチオン合成酵素遺伝子を有する組換え大腸菌であり、この組換え菌群を変異酵素遺伝子ライブラリー2とした。
(実施例8)改変型グルタチオン合成酵素の選抜2
変異酵素遺伝子ライブラリー2より、熱安定性が野生型グルタチオン合成酵素と比較して向上した改変型グルタチオン合成酵素を選抜した。実施例7で作製した変異酵素遺伝子ライブラリー2の各組換え菌および参考例2で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)、実施例2で取得したE.coli HB101(pTDGSH2m15)をそれぞれ参考例3と同様の方法で培養した。得られた各培養液を遠心分離して上清を除き、例えば0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5))で懸濁した。この懸濁液を破砕処理後、遠心分離により沈殿を除くことで無細胞抽出液を得た。各酵素を含む無細胞抽出液を60℃で加熱した。40分間加熱後、96穴プレート(AGCテクノグラス社製)に分注し、ATP二ナトリウム塩 30mM、硫酸マグネシウム七水和物10mM、酸化型γ−グルタミルシステイン15mM、グリシン30mMを含む0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)を加えて、30℃で3時間インキュベートした。反応液を新たな96穴プレート(AGCテクノグラス社製)に分注し、グルタチオン還元酵素(30ユニット/L、シグマアルドリッチ社製)、NADPH1.2mM)を含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を添加して室温で2分間インキュベートした。ここで、グルタチオン合成酵素によって生成した酸化型グルタチオンが還元型グルタチオンに変換される。ここにDTNB0.2mg/mLを含む50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)を添加し、経時的に405nmの吸光を検出した。無細胞抽出液を熱処理しないでグルタチオン合成反応を行った対照の吸光に対する、無細胞抽出液を熱処理後にグルタチオン合成反応を行ったサンプルの吸光の比率を活性残存率とし、この活性残存率が野生型グルタチオン合成酵素およびE.coli HB101(pTDGSH2m15)によって生産される改変型酵素の活性残存率よりも高いものを熱安定性の向上した酵素として選抜した。選抜した酵素の培養液からプラスミドを抽出し、Big Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズジャパン社製)およびApplied Biosystems 3130xlジェネティックアナライザ(アプライドバイオシステムズジャパン社製)を用いて改変型グルタチオン合成酵素遺伝子の塩基配列を決定し、変異部位を特定した。得られた熱安定性の向上した改変型グルタチオン合成酵素における変異部位を表7に示す。
Figure 2018084165
表7に示す11種類の熱安定性が向上した酵素を取得した。
(実施例9)改変型グルタチオン合成酵素の評価5
実施例8で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例2で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。これらの無細胞抽出液について参考例3および4と同様の方法でグルタチオン合成活性およびγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性の両方があることを確認した。改変型グルタチオン合成酵素の、野生型酵素のグルタチオン合成活性を100とした場合の相対活性を表8に示す。
Figure 2018084165
(実施例10)改変型グルタチオン合成酵素の評価6
実施例8で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例3で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2MTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。無細胞抽出液を60℃で10分間加熱した。加熱した無細胞抽出液および非加熱の無細胞抽出液を希釈して参考例4に示した方法でγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性を測定した。下記式より加熱後の残存活性を算出し、この値を熱安定性の指標とした。
残存活性(%)=[加熱後の酵素活性]÷[加熱前の酵素活性]×100
60℃、10分間の加熱で評価した野生型酵素および改変型グルタチオン合成酵素の相対活性を表9に示す。
Figure 2018084165
表9に示した改変型グルタチオン合成酵素は野生型酵素よりも熱安定性が向上していた。
(実施例11)改変型グルタチオン合成酵素の評価7
実施例8で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例3で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)、実施例2で取得したE.coli HB101(pTDGSH2m15)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2MTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。無細胞抽出液を70℃で10分間加熱した。加熱した無細胞抽出液および非加熱の無細胞抽出液を希釈して参考例4に示した方法でγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性を測定した。下記式より加熱後の残存活性を算出し、この値を熱安定性の指標とした。
残存活性(%)=[加熱後の酵素活性]÷[加熱前の酵素活性]×100
70℃、10分間の加熱で評価した野生型酵素および改変型グルタチオン合成酵素の残存活性を表10に示す。
Figure 2018084165
表10に示した改変型グルタチオン合成酵素は野生型酵素よりも熱安定性が向上した。またV260A変異に他の変異を加えることで更に熱安定性が向上することも示された。
(実施例12)260位を置換した改変型グルタチオン合成酵素の作製1
参考例3で作製したプラスミドpTDGSH2を鋳型として、プライマー3:5’−ACGATTGCCCCTTGGTGTCGCAGCCAGGGCATT−3’(配列表の配列番号6)、プライマー4:5’−AATGCCCTGGCTGCGACACCAAGGGGCAATCGT−3’(配列表の配列番号7)を用いてPCRを行い、配列番号1に示すアミノ酸配列のうちV260Cのアミノ酸置換を有するプラスミド全長を増幅した。このPCR反応液100μLをDpnIで消化したものを用いて、E.coli(HB101)コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、改変型グルタチオン合成酵素V260Cを生産する組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2m29)を得た。
(実施例13)260位を置換した改変型グルタチオン合成酵素の作製2
参考例3で作製したプラスミドpTDGSH2を鋳型として、プライマー5:5’−ACGATTGCCCCTTGGGGTCGCAGCCAGGGCATT−3’(配列表の配列番号8)、プライマー6:5’−AATGCCCTGGCTGCGACCCCAAGGGGCAATCGT−3’(配列表の配列番号9)を用いてPCRを行い、配列番号1に示すアミノ酸配列のうちV260Gのアミノ酸置換を有するプラスミド全長を増幅した。このPCR反応液100μLをDpnIで消化したものを用いて、E.coli(HB101)コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、改変型グルタチオン合成酵素V260Gを生産する組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2m30)を得た。
(実施例14)260位を置換した改変型グルタチオン合成酵素の作製3
参考例3で作製したプラスミドpTDGSH2を鋳型として、プライマー7:5’−ACGATTGCCCCTTGGCAGCGCAGCCAGGGCATT−3’(配列表の配列番号10)、プライマー8:5’−AATGCCCTGGCTGCGCTGCCAAGGGGCAATCGT−3’(配列表の配列番号11)を用いてPCRを行い、配列番号1に示すアミノ酸配列のうちV260Qのアミノ酸置換を有するプラスミド全長を増幅した。このPCR反応液100μLをDpnIで消化したものを用いて、E.coli(HB101)コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、改変型グルタチオン合成酵素V260Qを生産する組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2m31)を得た。
(実施例15)260位を置換した改変型グルタチオン合成酵素の作製4
参考例3で作製したプラスミドpTDGSH2を鋳型として、プライマー9:5’−ACGATTGCCCCTTGGACACGCAGCCAGGGCATT−3’(配列表の配列番号12)、プライマー10:5’−AATGCCCTGGCTGCGTGTCCAAGGGGCAATCGT−3’(配列表の配列番号13)を用いてPCRを行い、配列番号1に示すアミノ酸配列のうちV260Tのアミノ酸置換を有するプラスミド全長を増幅した。このPCR反応液100μLをDpnIで消化したものを用いて、E.coli(HB101)コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、改変型グルタチオン合成酵素V260Tを生産する組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2m32)を得た。
(実施例16)101位を置換した改変型グルタチオン合成酵素の作製1
参考例3で作製したプラスミドpTDGSH2を鋳型として、プライマー11:5’−GCGACGCACCTGTTAAACGTAGCCGAAACCAAC−3’(配列表の配列番号14)、プライマー12:5’−GTTGGTTTCGGCTACCTTTAACAGGTGCGTCGC−3’(配列表の配列番号15)を用いてPCRを行い、配列番号1に示すアミノ酸配列のうちG101Nのアミノ酸置換を有するプラスミド全長を増幅した。このPCR反応液100μLをDpnIで消化したものを用いて、E.coli(HB101)コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、改変型グルタチオン合成酵素G101Nを生産する組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2m33)を得た。
(実施例17)101位を置換した改変型グルタチオン合成酵素の作製2
参考例3で作製したプラスミドpTDGSH2を鋳型として、プライマー13:5’−GCGACGCACCTGTTACAGGTAGCCGAAACCAAC−3’(配列表の配列番号16)、プライマー14:5’−GTTGGTTTCGGCTACCTGTAACAGGTGCGTCGC−3’(配列表の配列番号17)を用いてPCRを行い、配列番号1に示すアミノ酸配列のうちG101Qのアミノ酸置換を有するプラスミド全長を増幅した。このPCR反応液100μLをDpnIで消化したものを用いて、E.coli(HB101)コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、改変型グルタチオン合成酵素G101Qを生産する組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2m34)を得た。
(実施例18)101位を置換した改変型グルタチオン合成酵素の作製3
参考例3で作製したプラスミドpTDGSH2を鋳型として、プライマー15:5’−GCGACGCACCTGTTAACCGTAGCCGAAACCAAC−3’(配列表の配列番号18)、プライマー16:5’−GTTGGTTTCGGCTACGGTTAACAGGTGCGTCGC−3’(配列表の配列番号19)を用いてPCRを行い、配列番号1に示すアミノ酸配列のうちG101Tのアミノ酸置換を有するプラスミド全長を増幅した。このPCR反応液100μLをDpnIで消化したものを用いて、E.coli(HB101)コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、改変型グルタチオン合成酵素G101Tを生産する組換え生物E.coli HB101(pTDGSH2m35)を得た。
(実施例19)改変型グルタチオン合成酵素の評価8
実施例12〜18で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例2で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。これらの無細胞抽出液について参考例3および4と同様の方法でグルタチオン合成活性およびγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性の両方があることを確認した。改変型グルタチオン合成酵素の、野生型酵素のグルタチオン合成活性を100とした場合の相対活性を表11に示す。
Figure 2018084165
(実施例20)改変型グルタチオン合成酵素の評価9
実施例12〜18で取得した改変型グルタチオン合成酵素の各組換え菌および参考例3で作製したE.coli HB101(pTDGSH2)(対照)をそれぞれ参考例3および4と同様の方法で培養した。得られた各培養液について、遠心分離により菌体を集め、培養液と等量の0.2MTris−HCl緩衝液(pH8.5)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。無細胞抽出液を60℃で10分間加熱した。加熱した無細胞抽出液および非加熱の無細胞抽出液を希釈して参考例4に示した方法でγ−グルタミルアラニルグリシン合成活性を測定した。下記式より加熱後の残存活性を算出し、この値を熱安定性の指標とした。
残存活性(%)=[加熱後の酵素活性]÷[加熱前の酵素活性]×100
60℃、10分間の加熱で評価した野生型酵素および改変型グルタチオン合成酵素の残存活性を表12に示す。
Figure 2018084165
表12に示した改変型グルタチオン合成酵素は野生型酵素よりも熱安定性が向上していた。
(参考例6)改変型グルタチオン合成酵素の調製
実施例2で取得したE.coli HB101(pTDGSH2m15)を200μg/mlのアンピシリンを含む2YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%)、NaCl0.5%、pH7.0)50mlに接種し、37℃で24時間振とう培養した。酵素活性を測定すると(参考例4)に記載の方法で4U/mlであった。また、国際公開第2016/002884号公報に記載の方法で宿主細胞として用いたE.coli HB101に由来するアデニル酸キナーゼ(ADK)活性を測定すると90U/mlであった。続いて、遠心分離により菌体を集め、2.5mlの50mMTris−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁、超音波破砕し酵素液とした。
(実施例21)改変型グルタチオン合成酵素によるグルタチオンの製造1
国際公開第2016/002884号公報の<実施例1>に記載の方法で酸化型γ−グルタミルシステインを合成した。この反応で22時間後の反応液に、グリシン0.19g(2.53mmol)、参考例6で調製した改変型グルタチオン合成酵素(V260A)2g、国際公開第2016/002884号公報の実験4と同様の方法で調製したPAP酵素液2gを添加し、反応を開始した。この際、15質量%水酸化ナトリウム水溶液0.7gでpHを7.5に調整した。1時間反応後に反応液を分析したところ、酸化型グルタチオンの生成が確認できた。収率は対初発L−シスチンで2.5時間反応後に6mol%であり、14時間反応後に43mol%であった。
(参考例7)ポリリン酸キナーゼ用発現ベクターの構築
国際公開第2006/080313号公報に記載の情報に基づき、Pseudomonas aeruginosa由来ポリリン酸キナーゼ(NCBI Reference Sequence:WP_023109529)のN末端側82アミノ酸を切断し、83番目のアスパラギンを開始コドンであるメチオニンに置換したポリペプチドをコードする遺伝子を大腸菌宿主に対応するようコドン最適化した遺伝子配列(配列番号20)の5’端にNdeIサイト、3’端にEcoRIサイトを付加した配列をユーロフィンジェノミクス社にて化学合成した。この遺伝子をNdeIおよびEcoRIで消化し、プラスミドpUCN18(PCR法によりpUC18(タカラバイオ社製)の185番目のTをAに改変してNdeIサイトを破壊し、更に471−472番目のGCをTGに改変することにより新たにNdeIサイトを導入したプラスミド)のlacプロモーターの下流のNdeI認識部位とEcoRI認識部位の間に挿入し、組換えベクターpPPKを構築した。
(参考例8)ポリリン酸キナーゼを発現する組換え生物の作製
参考例7で構築した組換えベクターpPPKを用いて、E.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、組換え生物E.coli HB101(pPPK)を得た。また、pUCN18を用いてE.coli HB101コンピテントセル(タカラバイオ社製)を形質転換し、組換え生物E.coli HB101(pUCN18)を得た。
(参考例9)組換え生物におけるポリリン酸キナーゼ遺伝子の発現
参考例8で得た2種類の組換え生物(E.coli HB101(pUCN18)、E.coli HB101(pPPK))を、200μg/mlのアンピシリンを含む2×YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%、塩化ナトリウム 0.5%、pH7.0)5mlに接種し、37℃で24時間振盪培養した。上記の培養で得られたそれぞれ培養液について、遠心分離により菌体を集め、1mlの50mMTris−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁した。これを、UH−50型超音波ホモゲナイザー(SMT社製)を用いて破砕した後、遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。これら無細胞抽出液のポリリン酸キナーゼ活性を測定した。ポリリン酸キナーゼ活性は、50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)に、メタリン酸ナトリウム(和光純薬社製) 5mM、ADP二ナトリウム塩(オリエンタル酵母社製) 10mM、硫酸マグネシウム(和光純薬社製) 70mM、および無細胞抽出液を添加して30℃で5分間反応を行い、生成したATPをHPLC分析により定量した。この反応条件において、1分間に1μmolのATPを生成する酵素活性を1Uと定義した。それぞれの組換え生物の無細胞抽出液のATP生成活性を以下に示す。E.coliHB101(pUCN18)については、ATP生成活性は0.1mU/mg以下であった。一方、ポリリン酸キナーゼを発現させたE.coli HB101(pPPK)のATP生成活性は160U/mgであった。以上のように、参考例8で得られた組換え生物はATP生成活性を有し、ポリリン酸キナーゼの生産を確認できた。
(参考例10)ポリリン酸キナーゼの調製
参考例8で取得したE.coli HB101(pPPK)を200μg/mlのアンピシリンを含む2YT培地(トリプトン1.6%、イーストエキス1.0%)、NaCl0.5%、pH7.0)50mlに接種し、37℃で24時間振とう培養した。酵素活性を測定すると(参考例9)に記載の方法で110U/mLであった。続いて、遠心分離により菌体を集め、2.5mlの50mMTris−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁、超音波破砕し酵素液とした。
(実施例22)改変型グルタチオン合成酵素によるグルタチオンの製造2
国際公開第2016/002884号公報の<実施例1>に記載の方法で酸化型γ−グルタミルシステインを合成した。この反応で22時間後の反応液に、グリシン0.19g(2.53mmol)、参考例6で調製した改変型グルタチオン合成酵素(V260A)2g、参考例9で調製したポリリン酸キナーゼ酵素液2gを添加し、反応を開始した。この際、15質量%水酸化ナトリウム水溶液1.1gでpHを7.5に調整した。1時間反応後に反応液を分析したところ、酸化型グルタチオンの生成が確認できた。収率は対初発L−シスチンで2時間反応後に33mol%であり、8時間反応後に64mol%であった。

Claims (16)

  1. 以下の(a)、(b);
    (a)γ−グルタミルジペプチドにグリシンを結合する反応を行い、かつ、
    (b)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い、
    の性質を示すポリペプチド。
  2. 以下の(c)、(d);
    (c)還元型グルタチオン(GSH)および/または酸化型グルタチオン(GSSG)を生成し、かつ、
    (d)配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるグルタチオン合成酵素と比較して、熱安定性および/または保存安定性が高い、
    の性質を示すポリペプチド。
  3. γ−グルタミルシステインおよび酸化型γ−グルタミルシステインを基質としてGSHおよびGSSGを生成する、γ−グルタミルシステインを基質としてGSHを生成する、または、酸化型γ−グルタミルシステインを基質としてGSSGを生成する、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 以下の(A)から(C)のいずれかに示すポリペプチド:
    (A)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    13、17、20、23、39、70、78、101、113、125、126、136、138、149、152、154、155、197、200、215、226、227、230、239、241、246、249、254、260、262、263、270、278、299、305、307および310番目から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (B)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    13、17、20、23、39、70、78、101、113、125、126、136、138、149、152、154、155、197、200、215、226、227、230、239、241、246、249、254、260、262、263、270、278、299、305、307および310番目から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個が置換、付加、挿入もしくは欠失されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (C)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    13、17、20、23、39、70、78、101、113、125、126、136、138、149、152、154、155、197、200、215、226、227、230、239、241、246、249、254、260、262、263、270、278、299、305、307および310番目から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  5. 以下の(D)から(F)のいずれかに示すポリペプチド:
    (D)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    13番目がセリン、17番目がグルタミン酸、20番目がスレオニン、23番目がロイシン、39番目がスレオニン、70番目がセリン、78番目がロイシン、101番目がアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、113番目がヒスチジン、125番目がバリン、126番目がアスパラギン、136番目がスレオニン、138番目がアラニン、149番目がグルタミン、152番目がグルタミン、154番目がアスパラギン、155番目がロイシン、197番目がグルタミン、200番目がセリン、215番目がアスパラギン酸、226番目がアルギニン、227番目がセリン、230番目がプロリン、239番目がセリン、241番目がヒスチジン、246番目がアルギニン、249番目がグルタミン酸、254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、システイン、グリシン、グルタミン、スレオニン、262番目がシステイン、263番目がアルギニン、270番目がイソロイシン、278番目がグリシン、アラニン、299番目がアラニン、305番目がグリシン、307番目がバリンおよび310番目がスレオニンに置換、から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (E)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    13番目がセリン、17番目がグルタミン酸、20番目がスレオニン、23番目がロイシン、39番目がスレオニン、70番目がセリン、78番目がロイシン、101番目がアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、113番目がヒスチジン、125番目がバリン、126番目がアスパラギン、136番目がスレオニン、138番目がアラニン、149番目がグルタミン、152番目がグルタミン、154番目がアスパラギン、155番目がロイシン、197番目がグルタミン、200番目がセリン、215番目がアスパラギン酸、226番目がアルギニン、227番目がセリン、230番目がプロリン、239番目がセリン、241番目がヒスチジン、246番目がアルギニン、249番目がグルタミン酸、254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、システイン、グリシン、グルタミン、スレオニン、262番目がシステイン、263番目がアルギニン、270番目がイソロイシン、278番目がグリシン、アラニン、299番目がアラニン、305番目がグリシン、307番目がバリンおよび310番目がスレオニンに置換、から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個が置換、付加、挿入もしくは欠失されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (F)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    13番目がセリン、17番目がグルタミン酸、20番目がスレオニン、23番目がロイシン、39番目がスレオニン、70番目がセリン、78番目がロイシン、101番目がアスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、113番目がヒスチジン、125番目がバリン、126番目がアスパラギン、136番目がスレオニン、138番目がアラニン、149番目がグルタミン、152番目がグルタミン、154番目がアスパラギン、155番目がロイシン、197番目がグルタミン、200番目がセリン、215番目がアスパラギン酸、226番目がアルギニン、227番目がセリン、230番目がプロリン、239番目がセリン、241番目がヒスチジン、246番目がアルギニン、249番目がグルタミン酸、254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、システイン、グリシン、グルタミン、スレオニン、262番目がシステイン、263番目がアルギニン、270番目がイソロイシン、278番目がグリシン、アラニン、299番目がアラニン、305番目がグリシン、307番目がバリンおよび310番目がスレオニンに置換、から選択される1つもしくは複数のアミノ酸が置換されているアミノ酸配列において、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  6. 以下の(G)から(I)のいずれかに示すポリペプチド:
    (G)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    (1)13番目がセリン、
    (2)17番目がグルタミン酸、113番目がヒスチジン、230番目がプロリン、
    (3)20番目がスレオニン、215番目がアスパラギン酸、
    (4)20番目がスレオニン、241番目がヒスチジン、
    (5)23番目がロイシン、126番目がアスパラギン、
    (6)39番目がスレオニン、260番目がアラニン、
    (7)70番目がセリン、260番目がアラニン、
    (8)78番目がロイシン、278番目がアラニン、
    (9)101番目がアスパラギン、
    (10)101番目がグルタミン、
    (11)101番目がセリン、
    (12)101番目がセリン、260番目がアラニン、
    (13)101番目がスレオニン、
    (14)125番目がバリン、249番目がグルタミン酸、
    (15)125番目がバリン、152番目がグルタミン、
    (16)136番目がスレオニン、
    (17)138番目がアラニン、149番目がグルタミン、241番目がヒスチジン、263番目がグルタミン、
    (18)154番目がアスパラギン、246番目がアルギニン、
    (19)155番目がロイシン、239番目がセリン、
    (20)197番目がグルタミン、
    (21)200番目がセリン、260番目がアラニン、
    (22)226番目がアルギニン、260番目がアラニン、
    (23)227番目がセリン、260番目がアラニン、
    (24)254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、
    (25)260番目がアラニン、
    (26)260番目がアラニン、278番目がグリシン、307番目がバリン、
    (27)260番目がアラニン、299番目がアラニン、
    (28)260番目がアラニン、305番目がグリシン、
    (29)260番目がアラニン、310番目がスレオニン、
    (30)260番目がシステイン、
    (31)260番目がグリシン、
    (32)260番目がグルタミン、
    (33)260番目がスレオニン、
    (34)262番目がシステイン、
    (35)270番目がイソロイシン、
    から選択されるアミノ酸が置換されているアミノ酸配列からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (H)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    (1)13番目がセリン、
    (2)17番目がグルタミン酸、113番目がヒスチジン、230番目がプロリン、
    (3)20番目がスレオニン、215番目がアスパラギン酸、
    (4)20番目がスレオニン、241番目がヒスチジン、
    (5)23番目がロイシン、126番目がアスパラギン、
    (6)39番目がスレオニン、260番目がアラニン、
    (7)70番目がセリン、260番目がアラニン、
    (8)78番目がロイシン、278番目がアラニン、
    (9)101番目がアスパラギン、
    (10)101番目がグルタミン、
    (11)101番目がセリン、
    (12)101番目がセリン、260番目がアラニン、
    (13)101番目がスレオニン、
    (14)125番目がバリン、249番目がグルタミン酸、
    (15)125番目がバリン、152番目がグルタミン、
    (16)136番目がスレオニン、
    (17)138番目がアラニン、149番目がグルタミン、241番目がヒスチジン、263番目がグルタミン、
    (18)154番目がアスパラギン、246番目がアルギニン、
    (19)155番目がロイシン、239番目がセリン、
    (20)197番目がグルタミン、
    (21)200番目がセリン、260番目がアラニン、
    (22)226番目がアルギニン、260番目がアラニン、
    (23)227番目がセリン、260番目がアラニン、
    (24)254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、
    (25)260番目がアラニン、
    (26)260番目がアラニン、278番目がグリシン、307番目がバリン、
    (27)260番目がアラニン、299番目がアラニン、
    (28)260番目がアラニン、305番目がグリシン、
    (29)260番目がアラニン、310番目がスレオニン、
    (30)260番目がシステイン、
    (31)260番目がグリシン、
    (32)260番目がグルタミン、
    (33)260番目がスレオニン、
    (34)262番目がシステイン、
    (35)270番目がイソロイシン、
    から選択されるアミノ酸が置換されているポリペプチドにおいて、前記アミノ酸部位以外のアミノ酸の1個もしくは複数個が置換、付加、挿入もしくは欠失されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド、
    (I)配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列のうち次の群;
    (1)13番目がセリン、
    (2)17番目がグルタミン酸、113番目がヒスチジン、230番目がプロリン、
    (3)20番目がスレオニン、215番目がアスパラギン酸、
    (4)20番目がスレオニン、241番目がヒスチジン、
    (5)23番目がロイシン、126番目がアスパラギン、
    (6)39番目がスレオニン、260番目がアラニン、
    (7)70番目がセリン、260番目がアラニン、
    (8)78番目がロイシン、278番目がアラニン、
    (9)101番目がアスパラギン、
    (10)101番目がグルタミン、
    (11)101番目がセリン、
    (12)101番目がセリン、260番目がアラニン、
    (13)101番目がスレオニン、
    (14)125番目がバリン、249番目がグルタミン酸、
    (15)125番目がバリン、152番目がグルタミン、
    (16)136番目がスレオニン、
    (17)138番目がアラニン、149番目がグルタミン、241番目がヒスチジン、263番目がグルタミン、
    (18)154番目がアスパラギン、246番目がアルギニン、
    (19)155番目がロイシン、239番目がセリン、
    (20)197番目がグルタミン、
    (21)200番目がセリン、260番目がアラニン、
    (22)226番目がアルギニン、260番目がアラニン、
    (23)227番目がセリン、260番目がアラニン、
    (24)254番目がアスパラギン酸、260番目がアラニン、
    (25)260番目がアラニン、
    (26)260番目がアラニン、278番目がグリシン、307番目がバリン、
    (27)260番目がアラニン、299番目がアラニン、
    (28)260番目がアラニン、305番目がグリシン、
    (29)260番目がアラニン、310番目がスレオニン、
    (30)260番目がシステイン、
    (31)260番目がグリシン、
    (32)260番目がグルタミン、
    (33)260番目がスレオニン、
    (34)262番目がシステイン、
    (35)270番目がイソロイシン、
    から選択されるアミノ酸が置換されているポリペプチドにおいて、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列に対する前記アミノ酸部位を除いた配列同一性が80%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチド、または、請求項7に記載のポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、γ−グルタミルジペプチドに作用させることを特徴とするγ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を示す)の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチド、または、請求項7に記載のポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、酸化型γ−グルタミルシステインに作用させることを特徴とするGSSGの製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチド、または、請求項7に記載のポリヌクレオチドを発現させた形質転換体および/またはその処理物を、γ−グルタミルシステインに作用させることを特徴とするGSHの製造方法。
  11. ATP再生系の共存下で反応を行うことを特徴とする、請求項8に記載のγ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を示す)の製造方法。
  12. ATP再生系としてポリリン酸キナーゼを用いることを特徴とする、請求項11に記載のγ−Glu−X−Gly(Xはアミノ酸を示す)の製造方法。
  13. ATP再生系の共存下で反応を行うことを特徴とする、請求項9に記載のGSSGの製造方法。
  14. ATP再生系としてポリリン酸キナーゼを用いることを特徴とする、請求項13に記載のGSSGの製造方法。
  15. ATP再生系の共存下で反応を行うことを特徴とする、請求項10に記載のGSHの製造方法。
  16. ATP再生系としてポリリン酸キナーゼを用いることを特徴とする、請求項15に記載のGSHの製造方法。
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