JP4243685B2 - 耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ、そのDNA及び該酵素の製造法、並びに該酵素を用いた物質(γ−アミノ酪酸等)の製造方法 - Google Patents

耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ、そのDNA及び該酵素の製造法、並びに該酵素を用いた物質(γ−アミノ酪酸等)の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ及びそのDNAに関する。また、本発明は、該遺伝子を用いて遺伝子工学的に耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを製造する方法に関する。更に本発明は、該耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを用いてγ−アミノ酪酸等を製造する方法に関する。
γ−アミノ酪酸は、神経伝達物質として脳内に多く存在し、また、発芽玄米、味噌、漬け物(キムチなど)等の食品中にも多く含まれていることが知られている。このγ−アミノ酪酸には、精神安定作用、血圧降下作用、皮膚老化防止作用等の生理作用があることが知られており、生理活性を有する食品素材・家畜飼料または香粧品への応用が期待されている。
また、γ−アミノ酪酸は、ナイロン4を構成するモノマーとしても知られている。ナイロン4は、従来のナイロン6やナイロン66には無い生分解性という性質を備え、更に従来の生分解性プラスチック材料と比較して強度、耐熱性に優れている。現在、ナイロン4は、石油から生産されるα-ピロリドンを原料として化学合成により製造されているが、
原料としてバイオマスから生産されたγ−アミノ酪酸を用いてナイロン4を生産する技術が開発されると、地球上で炭素が循環する(カーボンニュートラル)というさらに大きな価値をナイロン4に与え、ポリ乳酸を凌駕する市場を獲得することができると考えられる。
また、γ−アミノ酪酸は、ナイロン4の原料に限らず、環化させたピロリドンは工業材料であるN−メチル−2−ピロリドンやN−ビニル−2−ピロリドンの原料としても有用である。
このような従来技術を背景として、γ−アミノ酪酸を効率的に製造するための技術の確立が望まれている。
従来、γ−アミノ酪酸の製造は、化学合成、発酵法、酵素法で生産され、酵素法ではグルタミン酸にグルタミン酸デカルボキシラーゼを作用されることによって行われている。これまでに、グルタミン酸デカルボキシラーゼについては盛んに研究が行われているが(例えば、特許文献1参照)、超好熱性古細菌や好熱菌由来の耐熱性のものについては報告がない。また、従来のグルタミン酸デカルボキシラーゼは、高温での安定性が低く、至適pHが低いという欠点があり、γ−アミノ酪酸を工業的に製造する上で不適当であった。
また、耐熱性のグルタミン酸デカルボキシラーゼの製造において、該酵素の遺伝子を組み込んだ形質転換体を用いて通常の製造方法に供しても、活性を持つ該酵素を取得することができないという問題点もあった。そのため、耐熱性のグルタミン酸デカルボキシラーゼの製造方法の確立も不可欠である。
特開2001−54390号公報
そこで本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することである。より詳細には、本発明は、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ及びそれをコードするDNAを提供する
こと、該DNAを含むベクター及び該ベクターを含む形質転換体を提供すること、該形質転換体を利用して耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを製造する方法を提供すること、並びに該耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを利用して、一般式1で表される化合物の脱炭酸物、特にγ−アミノ酪酸を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、超好熱性古細菌について着目して、鋭意検討したところ、超好熱性古細菌由来のグルタミン酸デカルボキシラーゼを初めて単離することに成功した。この酵素は、85℃で3時間処理しても実質的に活性が低下しないことを見出した。また、当該酵素をコードするDNAを見出した。更に、そのDNAを大腸菌に組み込んで形質転換された大腸菌を製造した。更に、この形質転換された大腸菌を使って、その遺伝子からグルタミン酸デカルボキシラーゼを生産することに成功した。また、通常の塩濃度(0.15M程度)では本酵素を採取することはできず、高塩濃度条件(0.42M)にすることにより、初めて活性を持つ酵素を採取することが可能となった。大腸菌で生産され、採取された当該酵素は高温での活性、非常に高い耐熱性を有していた。本発明はかかる知見に基づいて、更に検討を重ねて完成されたものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる発明を提供するものである。
項1. 下記性質を有する耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ:
(i)85℃で3時間処理した後に80%以上のグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性が保
持される、及び
(ii)70℃以上で活性を示し、至適温度は約95℃以上である。
項2. Pyrococcus horikoshii由来の項1に記載の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラ
ーゼ。
項3. 以下の(1)又は(2)に記載のアミノ酸配列からなる耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ:
(1)配列番号1〜9のいずれかに示すアミノ酸配列、
(2)配列番号1〜9のいずれかに示すアミノ酸配列の1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列。
項4. 以下の(3)又は(4)に記載のアミノ酸配列からなる耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ:
(3)配列番号1に示すアミノ酸配列、
(4)配列番号1に示すアミノ酸配列の1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列。
項5. 項1乃至4のいずれかに記載の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードするDNA。
項6. 以下の(5)又は(6)のDNAである、項5記載のDNA。
(5)配列番号10〜18のいずれかに示す塩基配列を含むDNA、
(6)配列番号10〜18のいずれかに示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むDNA。
項7. 以下の(7)又は(8)のDNAである、項5記載のDNA。
(7)配列番号10に示す塩基配列を含むDNA、
(8)配列番号10に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むDNA。
項8. 項5乃至7のいずれかに記載のDNAを含有する組換えベクター。
項9. 項8に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
項10. 項9に記載の形質転換体を培養し、培養物から耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを採取することを特徴とする、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの製造方
法。
項11. 高塩濃度下で、培養物から耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを採取することを特徴とする、項10に記載の製造方法。
項12. 一般式1で表される化合物
Figure 0004243685
(式中、Rはカルボキシル基又はスルホニル基を示し、nは1〜5の整数を示す)に、項1乃至4のいずれかに記載の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを作用させることを特徴とする、一般式1で表される化合物の脱炭酸物の製造方法。
項13. グルタミン酸に、項1乃至4のいずれかに記載の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを作用させて、γ−アミノ酪酸を製造することを特徴とする、項12に記載の製造方法。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
グルタミン酸デカルボキシラーゼは、グルタミン酸を脱炭酸して、γ―アミノ酪酸を生成する酵素である。
(グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性測定法) 本発明において、グルタミン酸デカルボキシラーゼの活性の測定は、下記方法をベースとして行った。即ちグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性は、測定目的に応じて、下記活性測定方法の条件の一部(例えば、温度、pHなど)を適宜変更して測定したものである。まず、0.4M塩化ナトリウム、0.25mMピリドキサール5'−リン酸、50mMグルタミン酸を含むpH8.0の100mMリン酸ナトリウム緩衝液0.095 mlに、検体酵素溶液0.005mlを添加し、85℃で60分間反応させる。反応液の一部0.05mlを採り、これに氷酢酸0.01mlを加えることにより反応を停止させた後、アミノ酸分析
用HPLCによって、反応によって生成したγ−アミノ酪酸を定量する。生成したγ−アミノ酪酸の量を比較することにより、相対的な酵素活性を算出した。
なお、本発明において、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの活性単位1Uとは、上記測定条件において、1時間に1μモルのγ―アミノ酪酸を生産することができる酵素量を意味する。
本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、85℃で3時間処理した後にグルタミン酸デカルボキシラーゼ活性が80%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上保持されるものである。なお、従来のグルタミン酸デカルボキシラーゼでは、85℃で30分間処理すると、活性は完全に消失する。
また、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、70℃、好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上、特に好ましくは95℃以上の範囲で活性を示し、至適温度は95℃以上である。尚、ここでいう「活性を示す」とは、至適温度における活性を100%とした場合の相対活性で5%以上を示すことを意味する。
上記特性に加えて、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、下記特性1)、2)及び3)を備えていることが好ましい。
1)85℃で、pH5.5〜10程度、好ましくはpH6.8〜9.3、更に好ましくはpH7.5〜9.0、特に好ましくはpH7.8〜8.3の範囲で活性を示し、至適pHは7.8〜8.3、である。尚、ここでいう「活性を示す」とは、至適pHにおける活性を100%とした場合の相対活性で5%以上を示すことを意味する。
2)補酵素としてピリドキサル5'−リン酸を必要とするものである。具体的には、ピリドキサル5'−リン酸の濃度として、20〜500μM、好ましくは50〜400μM、更に好ましくは100〜250μM程度を例示できる。
3)高塩(無機塩)濃度環境下で作用する。具体的には、NaClの濃度が、0.3〜0.5M、0.35〜0.45M、好ましくは0.4〜0.42M、更に好ましくは0.42M程度の環境下で作用する。通常の生理的塩濃度(0.15M程度)では活性を示さない。
本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、グルタミン酸の脱炭酸反応を行うことができるものである。また、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、グルタミン酸以外の化合物について、以下の式(I)の反応を行える酵素であってもよい。
ここで、Rは、カルボキシル基又はスルホニル基、好ましくはカルボキシル基を示す。また、nは1〜5、好ましくは1〜3、更に好ましくは1又は2の整数を示す。
Figure 0004243685
本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、好熱性細菌、例えば、Pyrococcus属(例えばPyrococcus horikoshiiPyrococcus abyssiPyrococcus furiosus)、Methanococcus属(例えばMethanococcus jannaschii)、Methanopyrus属(例えばMethanopyrus
kandleri)、Methanothermobacter属(例えばMethanothermobacter thermoautotrophicus)、Archaeglobus属(例えばArchaeglobus fulgidus)、Methanosarcina属(例えば、Methanosarcina acetivorans)、及びAeropyrum属(例えば、Aeropyrum pernix)の細菌に
より生産されたものが挙げられる。好ましくはPyrococcus属、更に好ましくはPyrococcus
horikoshiiにより生産されたものである。
本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼとして、具体的には、以下の(1)又は(2)のアミノ酸配列からなる耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを挙げることができる:
(1)配列番号1〜9のいずれかに示すアミノ酸配列、
(2)配列番号1〜9のいずれかに示すアミノ酸配列の1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列。
好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列、及び該アミノ酸配列の1若しくは2以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるものである。なお、ここで、欠失、置換若しくは付加の範囲としては、アミノ酸の上記変更によって、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの酵素活性が喪失しない範囲であれば、特に制限されないが、相同性50%以上が好ましく、60%以上が更に好ましく、70%以上が特に好ましい。なお、相同性はLipman-Pearson法(Science, 227, 1435(1985))により計算される。
なお、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの一態様として、アミノ酸配列9において、N末端側及びC末端側のいずれか一方又は双方が、1〜50個程度、特に1〜25個程度のアミノ酸を欠失しているものを挙げることができる。
配列番号1に示すアミノ酸配列からなる耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、Pyrococcus horikoshii OT3(JCM9974、理化学研究所微生物検討保存施設)に由来
する。配列番号2に示すアミノ酸配列は、Methanococcus jannaschii DSM2661(ATCC
43067、ATCC)に由来するものである。配列番号3に示すアミノ酸配列は、Methanopyrus kandleri AV19(JCM9639、理化学研究所微生物検討保存施設)に由来するものである。配列番号4に示すアミノ酸配列は、Methanothermobacter thermoautotrophicus delta H(JCM10044、理化学研究所微生物検討保存施設)に由来するもの
である。配列番号5に示すアミノ酸配列はPyrococcus abyssi(NCNM I-1302、パスツール研究所)に由来するものである。配列番号6に示すアミノ酸配列はPyrococcus furiosus
(JCM8422、理化学研究所微生物検討保存施設)に由来するものである。配列番号7に示すアミノ酸配列はArchaeglobus fulgidus DSM4304(ATCC49558、ATC
C)に由来するものである。配列番号8に示すアミノ酸配列はMethanosarcina acetivorans C2A(JCM12185、理化学研究所微生物検討保存施設)に由来するものである。配列番号9に示すアミノ酸配列は、Aeropyrum pernix K1(JCM9820、理化学研究
所微生物検討保存施設)に由来するものである。
本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、当該酵素を産生する微生物の培養物から精製することができる。また、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、該酵素をコードするDNAを単離し、これを適当な宿主で発現させることにより得ることができる。
なお、本発明の明細書において「耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性」とは、当該「耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ」の項に記載の酵素学的特徴を有する酵素の活性のことである。
耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードするDNA
上記耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードしている遺伝子は、通常の遺伝子工学的手法により得ることができる。当該遺伝子の取得方法の一例を以下に記載する。遺伝子源として、超好熱性古細菌、好ましくは、Pyrococcus属(例えばPyrococcus horikoshiiPyrococcus abyssiPyrococcus furiosus)、Methanococcus属(例えばMethanococcus jannaschii)、Methanopyrus属(例えばMethanopyrus kandleri)、Methanothermobacter属(例えばMethanothermobacter thermoautotrophicus)、Archaeglobus属(例えばArchaeglobus fulgidus)、Methanosarcina属(例えば、Methanosarcina acetivorans)、及びAeropyrum属(例えば、Aeropyrum pernix)の細菌、更に好ましくはPyrococcus horikoshiiを使用することができる。まず、培養して得た上記微生物菌体から通常の方法によってゲノムDNAを抽出する。得られたゲノムDNAを適当な制限酵素で切断し、同一の制限酵素又は共通の切断末端を与える制限酵素で切断したプラスミド又はファージにリガーゼ等を用いて連結することによりゲノムDNAライブラリーを作製する。次いで、例えば、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの部分アミノ酸配列に対応した合成DNAプローブを用いたハイブリダイゼーション法、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼに対する抗体を用いた免疫学的方法、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの活性を測定する方法等によって、上記耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードしている遺伝子を取得することができる。
上記耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子として、具体的には、以下の(5)又は(6)のDNAを例示できる:
(5)配列番号10〜18のいずれかに示す塩基配列を含むDNA、好ましくは配列番号10に示す塩基配列を含むDNA、
(6)配列番号10〜18のいずれかに示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むDNA;好ましくは、配列番号10に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードす
るDNAを含むDNA。
本発明において、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、通常のハイブリダイゼーション溶液中であれば68℃で行う条件が挙げられ、50%ホルムアミドを含むハイブリダイゼーション溶液中であれば42℃で行う条件が挙げられる。詳しくは、Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版第2巻に記載のサザンハイブリダイゼーションに用いられる条件が挙げられる。
上記(5)のDNAにおいて、配列番号10〜18のいずれか、好ましくは配列番号10に
示す塩基配列を含むDNAとしては、例えば、該塩基配列の3倍以下の長さのDNAが挙げ
られる。また、上記(6)のDNAにおいて、配列番号10〜18のいずれか、好ましくは配
列番号10に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
るDNAであって耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコー
ドするDNAを含むDNAとしては、配列番号10〜18のいずれか、好ましくは配列番号10に示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
の3倍以下の長さのDNAが挙げられる。
上記(5)のDNAの中では、配列番号10〜18のいずれか、好ましくは配列番号10に
示す塩基配列からなるDNAが望ましい。上記(6)のDNAの中では、配列番号10〜18のいずれかに示す塩基配列、好ましくは配列番号10からなるDNAとストリンジェントな条件
下でハイブリダイズするDNAであって、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有
するポリペプチドをコードするDNAが望ましい。
なお、配列番号10に示す塩基配列は配列番号1に示すアミノ酸配列に、配列番号11に示す塩基配列は配列番号2に示すアミノ酸配列に、配列番号12に示す塩基配列は配列番号3に示すアミノ酸配列に、配列番号13に示す塩基配列は配列番号4に示すアミノ酸配列に、配列番号14に示す塩基配列は配列番号5に示すアミノ酸配列に、配列番号15に示す塩基配列は配列番号6に示すアミノ酸配列に、配列番号17に示す塩基配列は配列番号8に示すアミノ酸配列に、配列番号18に示す塩基配列は配列番号9に示すアミノ酸配列に、それぞれ対応している。
配列番号10〜18に示すDNAは、前記する遺伝子源から得られたゲノムDNAのライブラリーからプローブを用いたハイブリダイゼーションにより単離することもできるが、配列番号10〜18に示すDNA配列を基にPCR法により増幅することもできる。また、該DNAは、化学合成によって取得してもよい。
また前記(6)の変異した耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼDNAは、化学合成法、遺伝子工学的手法、突然変異誘発法などの公知の方法で作成することができる。遺伝子工学的手法としては、入手可能な耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼDNAに対して、エキソヌクレアーゼを用いたDNA欠失導入、リンカー導入、位置指定突然変異導入、
変異プライマーを用いたPCR法による塩基配列の改変などの公知の方法を挙げることがで
きる。
組換えベクター
上記耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子を適当なベクターに連結することによって、該遺伝子を含有する組換えベクターを得ることができる。ベクターとしては、形質転換する宿主において耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを発現させ得るものであれば、特に制限されない。例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス等のベクターを用いることができる。具体的には、大腸菌ベクターのpBR322、pUC19
、pKK233-2、pET11a等、バチルス属細菌ベクターのpUB110、pC194、pE194、pTHT15、pBD16等、酵母用ベクターYip5、Yrp17、Yep24等、動物細胞用ベクターのpcDNA、pBAC等を例示できる。
上記組換えベクターには、形質転換された細胞の選択を可能とするために、マーカー遺伝子が含まれていることが望ましい。当該マーカー遺伝子としては、例えば、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子、又は薬剤に対する抵抗遺伝子等を挙げることができる。また、上記組換えベクターには、宿主で上記遺伝子の発現を可能にするためのプロモーターやその他の制御配列(例えば、エンハンサー配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列等)が含まれていることが好ましい。当該プロモーターとして、具体的にはSV40、CMV、ie1、T7、lac、trp、tac等のプロモーターを例示できる。
形質転換体
上記組換えベクターを用いて、宿主を形質転換することによって、該組換えベクターを含む形質転換体を得ることができる。宿主としては、上記耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを生産可能なものであれば、真核生物及び原核生物のいずれを用いることもできる。例えば、大腸菌等の細菌、酵母、糸状菌、動物細胞等を挙げることができる。形質転換は、宿主の種類に応じて、公知の方法に従って行うことができる。例えば、宿主として細菌を使用する場合であれば、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法を用いることができる。
耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの製造
上記形質転換体を培養し、培養物から耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを採取することによって、上記耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを取得することができる。
上記形質転換体の培養は、宿主の種類に応じた通常の方法を採用すればよい。具体的には、炭素源、窒素源、その他微量栄養物を含む培地で培養を行う方法を挙げることができる。培養は、液体培養であっても、また固体培養であってもよい。
培養物から耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの採取は、高塩濃度環境下で行なわれる。ここで高塩濃度とは、無機塩が、例えば0.3〜0.5M、好ましくは0.35〜0.45M、更に好ましくは0.42M程度となる濃度範囲である。ここで、使用する塩としては、該酵素に悪影響を及ぼさないことを限度として、特に制限されないが、好ましくはNaClを挙げることができる。このように高塩濃度下で、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの採取を行うことによって、該酵素の活性に悪影響を及ぼすことなく、該酵素の製造が可能となる。
具体的には、上記高塩濃度下で、培養物を硫安分画、各種のクロマトグラフィー等の工程に供して単離、精製することにより、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを採取する。なお、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼが菌体内又は表面に蓄積されている場合には、菌体を回収し、これを上記高塩濃度下で破砕又は溶菌して菌体抽出物を得、これを用いて単離、精製すればよい。
一般式1で表される化合物の脱炭酸物の製造
かくして得られた耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを、下記一般式1で表される化合物に作用させることによって、一般式1で表される化合物の脱炭酸物を取得することができる。
Figure 0004243685
ここで、一般式1で表される化合物において、Rは、カルボキシル基又はスルホニル基、好ましくはカルボキシル基を示す。また、nは1〜5、好ましくは1〜4、更に好ましくは1又は2の整数を示す。
一般式1で表される化合物の具体例として、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びシステイン酸を挙げることができる。
本発明の脱炭酸物の製造方法では、一般式1で表される化合物が脱炭酸され、下記一般式2で表される化合物(式中、R及びnは、前記と同じ)が製造される。即ち、本発明の脱炭酸物の製造方法では、例えば、グルタミン酸からγ−アミノ酪酸が、システイン酸からタウリンが製造される。
Figure 0004243685
本発明の脱炭酸物の製造方法において、好ましくはグルタミン酸、アスパラギン酸又はシステイン酸からそれらの脱炭酸物の製造、更に好ましくはグルタミン酸からその脱炭酸物(γ−アミノ酪酸)の製造を挙げることができる。
上記耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを用いて一般式1で表される化合物の脱炭酸物を製造するには、該酵素を一般式1で表される化合物に作用させることによって酵素反応を行えばよい。当該酵素反応の条件は、使用する耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼが活性を発揮できるものである限り、特に制限されるものではない。
具体的には、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ及び一般式1で表される化合物を含有する反応溶液を調製し、該反応溶液を例えば70℃以上、好ましくは85℃以上、更に好ましくは90〜100℃程度に加温することによって、一般式1で表される化合物の脱炭酸物を製造する方法を挙げることできる。
当該反応液中の一般式1で表される化合物と耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの割合(反応開始時)については、反応時間や使用する酵素の活性等によって異なるが、一例として、一般式1で表される化合物1モルに対して、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを100〜100000U、好ましくは1000〜50000U、更に好ましくは5000〜10000Uとなる割合を挙げられる。
また、反応開始時の反応液中の一般式1で表される化合物の濃度としては、例えば0.01〜0.5M、好ましくは0.1〜0.5M、更に好ましくは0.2〜0.4Mが挙げられる。
当該製造方法は、塩濃度が、例えば0.3〜0.5M、0.35〜0.45M、好ましくは0.4〜0.42M、更に好ましくは0.42M程度の環境条件下で実施される。なお、上記塩濃度となるように調製するために使用される塩としては、無機塩、好ましくはNaClを挙げることができる。
また、当該製造方法は、反応温度におけるpHが、例えばpH6.8〜9.3、好ましくはpH7.5〜9.0、更に好ましくはpH7.8〜8.3となる範囲にある環境条件下で行われる。
更に、当該製造方法は、補酵素として、ピリドキサル5'−リン酸が、例えば20〜500μM、好ましくは50〜400μM、更に好ましくは100〜250μM程度の濃度で存在している条件下で実施される。
当該製造方法における酵素反応時間については、特に制限されず、使用する酵素の種類や量、温度、一般式1で表される化合物の種類や量などに応じて、一般式1で表される化合物の脱炭酸物が目的の量又は収率で得られるような時間を適宜設定すればよい。酵素反応時間の一例として、1〜5日、好ましくは2〜3日程度を挙げることができる。
このように酵素反応を行うことにより製造される一般式1で表される化合物の脱炭酸物は、常法により精製されて、各種用途に使用できる。例えば、該製造物がγ−アミノ酪酸であれば、食品、香粧品、家畜・家禽飼料の有効成分として使用することができる。また、該γ−アミノ酪酸は、ナイロン4の原料、或いはN−メチル−2−ピロリドンやN−ビ
ニル−2−ピロリドンの原料としても有用である。
本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、高温で高い酵素活性を示す。故に、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを使用すると、反応系を高温にすることによって、反応初期の基質濃度を高めることができるので、一層効率的なγ−アミノ酪酸の製造が可能となる。
また、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、高温、高塩濃度条件下で酵素活性を発揮できるので、酵素反応中に雑菌の繁殖を抑制できるという利点がある。また、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼによれば、高温で高いpH範囲において活性を示すので、基質となる化合物の反応溶液中の濃度を飛躍的に上昇させることが可能であり、高い反応効率を達成することができる。更に、本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼは、安定性が高いので、長時間の反応を行っても活性を安定に保持でき、また長期保存によっても活性を安定に維持することができる。
本発明の一般式1で表される化合物の脱炭酸物の製造方法によれば、効率的に該化合物の脱炭酸物を製造することができるので、該化合物の脱炭酸物、特にグルタミン酸の脱炭酸物であるγ―アミノ酪酸を安価に供給することが可能となる。
以下、本発明を実施例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1Pyrococcus horikoshii由来グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子のクロー
ニング)
i)Pyrococcus horikoshii OT3株(JCM9974)の培養
13.5gの食塩、4gのNa2SO4, 0.7 gのKCl, 0.2g のNaHCO3 、0.1gのKBr、30 mgのH3BO3
、10gのMgCl2・6H2O、1.5g のCaCl2 、25mgのSrCl2、1.0mlのレザスリン溶液(0.2g/L)
、1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプトンを1Lの蒸留水に溶かし、この溶液のpHを6.8に
調整し加圧殺菌した。ついで、乾熱滅菌した元素硫黄を0.2%となるように加え、この培
地をアルゴンで飽和して嫌気性とした後、JCM9974を植菌した。培地が嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、培養液中でNa2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色
しないことにより確認した。この培養液を95℃で2〜4日培養し、その後遠心分離し集菌した。
ii)染色体DNAの調製
JCM9974の染色体DNAは以下の方法により調製した。培養終了後5000rpm、10
分間の遠心分離により菌体を集菌した。菌体を10mM Tris(pH 7.5)−1mM EDTA 溶液で2回洗浄後InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入した。このブロックを1%N-lauroylsarcosine−1mg/ml プロテアーゼK溶液中で処理することにより、染色体DNAはAgaroseブ
ロック中に分離調製した。
iii)グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子の増幅
配列番号10の塩基配列を含むDNAをPCR法により増幅した。PCR条件は、PCRキットの添付マニュアルに従った。5'末端側に対応するプライマーとしては、配列表の配列番号10に示す塩基配列において、開始コドンの位置に制限酵素NdeIの認識配列が存在するように、オリゴヌクレオチドプライマーを合成した。また、3'末端側に対応する
プライマーとしては、Pyrococcus horikoshii OT3 株の染色体DNAにおいて配列番号10
の塩基配列の3'末端より下流域に対応するプライマーであって、増幅されたDNA中に制限酵素のBamHIサイトが生じるようなプライマーを合成した。PCR反応後、DNAを制限酵素
のNdeI及びBamHIで完全分解(37℃で5時間)した。次いで、グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を含むDNA断片を精製カラムキットを用いて精製した。
iv)グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を含有するベクターの構築
ベクターのpET11a(Novagen社製)を制限酵素 NdeIおよびBamHIで切断し、精製した。
次いで、BamHIで切断されたプラスミドpET-8cと BamHIで切断された上記のグルタミン酸
デカルボキシラーゼ遺伝子を含むDNA断片とをT4DNAリガーゼを用いて16℃で、16時
間反応させることにより連結した。連結したDNAを用いて、大腸菌(E. coli JM109株)
(宝酒造社製)を形質転換した。形質転換体は、(0.05 mg/ml アンピシリン)を含むLB
寒天プレート上でのコロニー形成を指標に選択した。得られた形質転換体からグルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を含むプラスミドをアルカリ法で抽出した。
実施例2(グルタミン酸デカルボキシラーゼの生産)
i)グルタミン酸デカルボキシラーゼ 遺伝子を含有する形質転換体の作製
1.5ml容チューブ内に、大腸菌(E. coli Rosetta (DE3)株( Novagen社製)のコンピテントセル0.04ml(2,000,0000cfu/mg)と、上記調製したグルタミン酸デカルボキシラー
ゼ遺伝子含有プラスミドDNA溶液を加え氷上に30分間放置した後、42℃で30秒間ヒー
トショックを与えた。次いで、チューブ内にSOC培地を0.5ml加え、37℃で1時間振
とう培養した。次いで、アンピシリン及びクロラムフェニコールを含むLB寒天プレートに塗布し、37℃で一晩培養することにより形質転換体を得た。
ii) グルタミン酸デカルボキシラーゼの精製
得られた形質転換体をアンピシリン及びクロラムフェニコールを含むLB培地に接種し、600nmにおける吸光度が0.1に達するまで、37℃で培養した後、10 mMのIPT
G(Isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside)を加えさらに19時間培養した。培養液を7,000rpmで5分間遠心分離することにより集菌した。集菌した菌体に、湿菌体重量の10倍量の0.02mMピリドキサール5'−リン酸、0.45M NaClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を加え、菌体を90Wの出力で5分間超音波破砕 した。破砕した菌液を 18,000rpmで20分間遠心分離し、上清を採取した。夾雑蛋白を沈殿させて除去する目的で、この上清を85℃で30分間加熱した後、18,000rpmで20分間遠心分離し、上清を採取した。上清に
固形硫酸アンモニウムを80%飽和になるように加え、生じた蛋白質の沈澱を遠心分離機で集め、0.02mMピリドキサール5'−リン酸、0.4 M NaClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(p
H7.5)で透析した後、濃度が1.7Mになるように固形硫酸アンモニウムを緩やかに溶解した。これを、1.7M 硫酸アンモニウム、0.02mMピリドキサール 5'−リン酸、0.4 M NaClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で平衡化した、HiTrap Phenyl(ファルマシア社製)カラムを用いて疎水性相互作用カラムクロマトグラフィーを行った。さらに、活性画分を0.02mMピリドキサール 5'−リン酸、0.4 M NaClを含む50mMトリス塩酸緩衝液(p
H7.5)中で透析した後、同緩衝液で平衡化した、ゲル濾過材のSuperdex 200(ファルマ
シア社製)カラムを用いてゲル濾過クロマトグラフィーを行った。活性画分には、SDS−
ポリアクリルアミドゲル電気泳動により単一バンドを与える均一標品が含まれていた。また、ゲルろ過クロマトグラフィーの結果、本酵素の分子量は約85kDaであった。
iii)グルタミン酸デカルボキシラーゼ
なお、精製工程におけるグルタミン酸デカルボキシラーゼの検出は、以下の方法でグルタミン酸からガンマアミノ酪酸を生成する活性を測定することにより行った。0.4M 塩化
ナトリウム、0.25mMピリドキサール 5'−リン酸、50mMグルタミン酸を含むpH8.0の100mM
リン酸ナトリウム緩衝液0.095 mlに、酵素 溶液0.005mlを添加し、85℃で60分間反応させる。反応液の一部0.05mlを採り、これに氷酢酸0.01mlを加えることにより反応を停止させた後、アミノ酸分析用HPLCによって、反応によって生成したγ−アミノ酪酸を定量する。
実施例3(超好熱性古細菌Pyrococcus horikoshii OT3株のグルタミン酸デカルボキシ
ラーゼ遺伝子の同定)
実施例1で得られた超好熱性古細菌Pyrococcus horikoshii OT3株の染色体DNA中の
グルタミン酸デカルボキシラーゼ遺伝子の塩基配列を同定した(配列番号10に示す塩基配列)。また、実施例2で得られたPyrococcus horikoshii OT3株のグルタミン酸デカル
ボキシラーゼのアミノ酸配列を同定した(配列番号1に示すアミノ酸配列)。
実施例4(耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの性質)
前記の方法で得られたPyrococcus horikoshii OT3株由来のグルタミン酸デカルボキシ
ラーゼの諸特性を評価した。
i)至適pH
以下のグルタミン酸デカルボキシラーゼの活性測定方法により至適pHを求めた。すなわち、基質としての50 mM グルタミン酸および0.25mMピリドキサール5'−リン酸を含む緩衝液0.095mlに精製酵素 0.12μgを添加し、85℃で60分間反応させた後のガンマアミノ酪酸
合成量をアミノ酸分析用HPLCにて測定した。緩衝液としては、pH4.5〜5.8の0.1M酢酸緩衝液、pH6.0〜8.0の0.1Mリン酸カリウム緩衝液およびpH8.0〜9.5の0.1M CHES(2−(
シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸)を用いた。
得られた結果を図1に示す。なお、図1の縦軸は、最大活性を示すpH(pH7.8)での活性を100とした際の相対活性(%)を示す。図1から分かるように、本酵素の至適pHは7.8〜8.3であった。
ii)耐熱性
グルタミン酸デカルボキシラーゼ溶液(0.23 mg/ml)を0.4 M塩化ナトリウム及び0.25mMピリドキサール5'−リン酸を含む20mM リン酸緩衝液pH8.0 中で4℃、70℃、85℃、100℃で3時間インキュベートし、残存活性(%)を測定した。
得られた結果を図2に示す。図2から分かるように、本酵素は、85℃で3時間処理しても、活性が96%残存していた。このような熱安定性を有する酵素は今まで存在しない。
iii)至適温度
0.4M 塩化ナトリウム、0.25mM ピリドキサール5'−リン酸、50 mM グルタミン酸を含む0.1M リン酸緩衝液0.095 mlに、グルタミン酸デカルボキシラーゼ0.12μgを添加し、50℃、60℃、70℃、85℃、95℃にて、1時間インキュベートした。その後、アミノ酸分析用HPLCにて、生成したγ-アミノ酪酸量を測定した。
得られた結果を図3に示す。図3の縦軸は、最大活性を示す温度(95℃)での活性を100とした際の相対活性(%)を示す。図3から分かるように、本発明の酵素は、至適温度が95℃以上であった。
実施例5 グルタミン酸デカルボキシラーゼによるγ−アミノ酪酸の生産
前記の方法で得られたPyrococcus horikoshii OT3株由来のグルタミン酸デカルボキシ
ラーゼを用いて、以下の方法に従って、γ−アミノ酪酸の製造を行った。
1mlの50mMグルタミン酸、250μMピリドキサル−5'リン酸、0.4M塩化
ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液pH8.0に、実施例2で得られた酵素10Uを混合し、85℃で24時間インキュベートした。その後、アミノ酸分析用HPLCにて、生成したγ-アミノ酪酸量を測定した。その結果、グルタミン酸50μモルから、1.8
μモルのγ-アミノ酪酸が生成していることが確認された。
実施例6 Methanococcus jannaschii由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
Methanococcus jannaschii DSM2661(ATCC43067、ATCC)を用いて、実施例1の方法に従って、Methanococcus jannaschii由来の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの遺伝子(配列番号11)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してMethanococcus jannaschii由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号2)を製造することができる。
実施例7 Methanopyrus kandleri由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
Methanopyrus kandleri AV19(JCM9639、理化学研究所微生物検討保存施設)を用いて、実施例1の方法に従って、Methanopyrus kandleri由来の耐熱性グルタミン酸デ
カルボキシラーゼの遺伝子(配列番号12)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してMethanopyrus kandleri由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号3)
を製造することができる。
実施例8 Methanothermobacter thermoautotrophicus由来耐熱性グルタミン酸デカル
ボキシラーゼ
Methanothermobacter thermoautotrophicus delta H(JCM10044、理化学研究
所微生物検討保存施設)を用いて、実施例1の方法に従って、Methanothermobacter thermoautotrophicus由来の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの遺伝子(配列番号13
)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してMethanothermobacter thermoautotrophicus由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号4)を製造することができ
る。
実施例9 Pyrococcus abyssi由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
Pyrococcus abyssi(CNCM I-1302、パスツール研究所)を用いて、実施例1の方法に従って、Pyrococcus abyssi由来の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの遺伝子(配列
番号14)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してPyrococcus abyssi由来耐熱
性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号5)を製造することができる。
実施例10 Pyrococcus furiosus由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
Pyrococcus furiosus(JCM8422、理化学研究所微生物検討保存施設)を用いて
、実施例1の方法に従って、Pyrococcus furiosus由来の耐熱性グルタミン酸デカルボキ
シラーゼの遺伝子(配列番号15)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してPyrococcus furiosus由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号6)を製造する
ことができる。
実施例11 Archaeglobus fulgidus由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
Archaeglobus fulgidus DSM4304(ATCC49558、ATCC)を用いて、実施例
1の方法に従って、Archaeglobus fulgidus由来の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラー
ゼの遺伝子(配列番号16)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してArchaeglobus fulgidus由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号7)を製造すること
ができる。
実施例12 Methanosarcina acetivorans由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
Methanosarcina acetivorans C2A(JCM12185、理化学研究所微生物検討保存施設)を用いて、実施例1の方法に従って、Methanosarcina acetivorans由来の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの遺伝子(配列番号17)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してMethanosarcina acetivorans由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号8)を製造することができる。
実施例13 Aeropyrum pernix K1由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ
Aeropyrum pernix K1(JCM9820、理化学研究所微生物検討保存施設)を用いて
、実施例1の方法に従って、Aeropyrum pernix由来の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの遺伝子(配列番号18)及び該遺伝子を含むベクターを調製できる。また、実施例2の方法に従って、上記遺伝子を含有する形質転換体を作製し、それを使用してAeropyrum pernix由来耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号9)を製造することができる。
本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号1)のpHの影響を示す図である。 本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号1)の耐熱性を示す図である。 本発明の耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ(配列番号1)の温度の影響を示す図である。

Claims (2)

  1. 以下の(5)又は(6)に示す耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼをコードするDNAを含む形質転換体を培養し、0.3〜0.5Mの無機塩濃度環境下で、培養物から耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼを採取することを特徴とする、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼの製造方法:
    (5)配列番号10、14、及び15のいずれかに示す塩基配列を含むDNA、
    (6)配列番号10、14、及び15のいずれかに示す塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、耐熱性グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含むDNA。
  2. 前記塩が、塩化ナトリウムである、請求項1に記載の製造方法。
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