JP6853549B2 - 改変型meso−ジアミノピメリン酸脱水素酵素 - Google Patents

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Description

本発明は、改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素及びその利用に関する。より詳細には、本発明は、改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素、当該酵素をコードするポリヌクレオチド、及び当該酵素を利用したD-アミノ酸の合成方法に関する。
生体における重要な成分の1つであるタンパク質は、主として20種類のα-アミノ酸から構成されている。そのうちグリシンを除く19種類は不斉炭素を持つため、D-アミノ酸とL-アミノ酸の2種の光学異性体が存在する。タンパク質を構成するアミノ酸はそのほとんどがL-アミノ酸であることが知られているが、近年の分析技術の発展により、ヒトを含めた哺乳類や水生動物、植物等の高等生物の細胞内に、D-アミノ酸も微量に存在することが明らかになっている。
一方、D-アミノ酸は、排卵誘発剤、血液凝固阻止剤、鎮痛剤などの医薬品の生産原料として、さらには殺虫剤や抗生物質、化粧品などの工業製品の中間体として、広い工業的用途を有している。従って、D-アミノ酸の効率の良い生産方法が必要とされている。
D-アミノ酸は、これまでに、発酵法、抽出法、化学合成法、酵素法などによって生産されてきた。その中で酵素法は、DL-ヒダントインからD-ヒダントイナーゼとD-カルバミラーゼを利用してD-アミノ酸を生産する方法(非特許文献1)、N-アシル-DL-アミノ酸からD-アミノアシラーゼを利用してD-アミノ酸を生産する方法(非特許文献2)などが工業的に利用されている。
また近年では、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)由来のNADP+依存性meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素に対してアミノ酸の変異を施した改変型酵素を作製し、その酵素反応により2-オキソ酸をアミノ化してD-アミノ酸を合成する方法が報告されている(特許文献1、非特許文献3)。しかしながら、この方法は、常温菌由来の変異酵素を利用しているために、不安定で、工業的な生産への展開は困難とされていた。
これらの背景を受けて、本発明者らのグループは、好熱菌ウレイバチルス・サーモスファエリカス(Ureibacillus thermosphaericus)由来のmeso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素に対してアミノ酸改変を施し、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素を作製した(非特許文献4、非特許文献5)。
上記の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素は、種々のD-アミノ酸を基質とする酸化的脱アミノ反応、及びその逆反応としての還元的アミノ化反応を触媒し得る活性を示した。また、この改変型酵素は、中温〜高温領域において、及び広範なpH領域において変性失活が見られず、高い安定性を示した。本発明者らはこれまでに、この酵素が有する種々のD-アミノ酸に対する酵素活性と高い安定性を利用して、効率の良いD-分岐鎖アミノ酸の酵素的合成法(非特許文献6)とD-イソロイシンの酵素的定量法(非特許文献7)を報告している。
しかしながら、上記の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素は、野生型の親酵素と比べて酵素活性が低いため、D-アミノ酸の生産に多量の酵素と長い反応時間を必要とするという問題があった。
US 2008/0182972 A1
J. Mol. Catal. B Enzym. 15, 1-11(1998) J. Mol. Catal. B Enzym. 23, 71-85(2003) J. Am. Chem. Soc. 128, 10923-10929(2006) Biotechnol. Lett. 34, 1693-1699(2012) Biotechnol. Lett. 34, 1701-1702(2012) Appl. Microbiol. Biotechnol. 98, 1135-1143(2014) Biotechnol. Lett. 36, 2245-2248(2014)
以上のことから、本発明者らは、D-アミノ酸の生産に有用な改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素の活性を向上させるために、更なる改変の可能性について検討を行った。また、そのような改変型酵素を用いて、実際にD-アミノ酸を生産することを検討した。
本発明者らは、これら上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、上記非特許文献4〜7で報告したヒスチジン-タグ付き改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素のヒスチジン-タグを除去することにより、酵素活性が飛躍的に増大することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)ウレイバチルス(Ureibacillus)属細菌に由来するmeso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素のアミノ酸配列に対して1以上のアミノ酸残基を改変したアミノ酸配列を有し、かつN末端およびC末端にタグを含まない、改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(2)前記ウレイバチルス属細菌が、ウレイバチルス・サーモスファエリカス(Ureibacillus thermosphaericus)である、上記(1)記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(3)前記ウレイバチルス属細菌に由来するアミノ酸配列が配列番号1に示すものである、上記(2)記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(4)前記アミノ酸残基の改変が、Gln154Leu、Asp158Gly、Thr173Ile、Arg199MetおよびHis249Asnから選択される1以上のアミノ酸残基の置換である、上記(3)記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(5)Asp94が他のアミノ酸残基によって置換されている、上記(3)または(4)記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(6)他のアミノ酸残基がAla、Ser、Gly、Cys、Met、及びThrから選択される、上記(5)記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(7)前記タグがヒスチジン-タグ、マルトース結合タンパク質-タグ、グルタチオンS-転移酵素-タグ、およびハロ-タグから選択される、上記(1)〜(6)のいずれか記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(8)結晶として取得される、上記(1)〜(7)のいずれか記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか記載の酵素をコードするポリヌクレオチド。
(10)上記(9)に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
(11)上記(10)に記載の組換えベクターを含有する形質転換体。
(12)上記(11)に記載の形質転換体を培養する工程、および得られた培養物からタンパク質を採取する工程を含む、改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素の製造方法。
(13)上記(1)〜(8)のいずれか記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素を用いて2-オキソ酸からD-アミノ酸を合成する方法。
本発明により、種々のD-アミノ酸に対する酵素活性が高められた改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素が提供される。本発明の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素は、優れた熱安定性を示すため、医療、食品、化学等の様々な産業分野におけるD-アミノ酸の脱水素反応を要する技術に適用できる。また、D-アミノ酸に対する活性が向上した実用性の高い本発明の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素のアミノ酸配列、並びに塩基配列が明確なことから、遺伝子工学的手法を利用して組換え体として当該酵素を低コストかつ工業的に大量生産することが可能となる。
粗酵素液、熱処理酵素液、及び各種クロマトグラフィー後に得られる活性画分と分子量マーカーをSDS-PAGEに供した結果を示す。レーン1は分子量マーカー、レーン2は粗酵素液、レーン3は熱処理後粗酵素液、レーン4はTOYOPEARL SuperQ-650陰イオン交換クロマトグラフィー後活性画分、レーン5はButyl-650M疎水性クロマトグラフィー後活性画分、レーン6はSuperdex200ゲル濾過クロマトグラフィー後活性画分の結果を示す。 D-リジンの脱アミノ反応の最適pHを示す。グリシン-KOH緩衝液(pH10.5)における比活性を100%として各pHにおける相対活性を算出した。横軸は測定pH(pH)であり、縦軸は相対活性(%)である。 2-オキソ-4-メチルペンタン酸のアミノ化反応の最適pHを示す。グリシン-KOH緩衝液(pH9.0)における比活性を100%として各pHにおける相対活性を算出した。横軸は測定pH(pH)であり、縦軸は相対活性(%)である。 本発明の酵素による酵素反応の最適温度の測定結果を示す。横軸は測定温度(℃)であり、縦軸は相対活性(%)である。 本発明の酵素の熱安定性の測定結果を示す。横軸は測定温度(℃)であり、縦軸は相対活性(%)である。改変型meso-DAPDHは、65℃での熱処理後、約94%の残像活性を保持していた。 本発明の酵素を用いて2-オキソ-4-メチルペンタン酸からD-ロイシンを合成した結果を示す。上は標準アミノ酸を、下は試料(酵素反応生成物)を高速液体クロマトグラフィーで分析したピークを示す。 本発明の酵素の結晶を示す。 本発明の酵素の三次元構造を示す。本発明の酵素の会合状態は二量体である。 NADP+、D-リンゴ酸、グリセロールを認識する改変型meso-DAPDHのアミノ酸残基を示す。本酵素の基質認識部位は、Asp94、His96、Asp124、Arg132、Trp148の5つのアミノ酸残基から構成される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、ウレイバチルス(Ureibacillus)属細菌に由来するmeso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素のアミノ酸配列に対して1以上のアミノ酸残基を改変したアミノ酸配列を有し、かつN末端およびC末端にタグを含まない、改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素を提供する。
meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素は、meso-ジアミノピメリン酸からL-2-アミノ-6-オキソピメリン酸へのNADP+依存的脱アミノ反応を触媒する酵素である。本発明の改変型酵素は、様々なD-アミノ酸を基質とする可逆的脱アミノ反応を行うことができるため、D-アミノ酸脱水素酵素(D-AADH)と記載することもできるが、本明細書においては、便宜上、meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素(以下、「meso-DAPDH」と略する)と記載する。
具体的には、本発明の「改変型meso-DAPDH」とは、D-アミノ酸を基質として2-オキソ酸を生成する脱水素反応(脱アミノ反応)を可逆的に触媒する活性を有するタンパク質であり、補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)を要求する。反応式を以下に示す。当業者であれば、本発明の酵素を用いてD-アミノ酸の合成、あるいは2-オキソ酸の合成を行う場合、意図する生成物を得るために必要な出発物質を理解して準備し、適切な反応を行うことができる。
Figure 0006853549
本発明の改変型meso-DAPDHは、既報のヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHに比べて、D-アミノ酸に対する活性を新たに有している、または、活性が飛躍的に向上している。ここで、「D-アミノ酸に対する活性の向上」とは、D-アミノ酸を基質とする脱アミノ反応の触媒酵素として利用した場合に、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHに比べて当該酵素の活性が向上することを意味する。具体的には、改変型meso-DAPDHが、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHに比べて、特定の基質に対する反応での比活性が2倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、又は50倍以上高いことを意味する。例えば、改変型meso-DAPDHとヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHの同じD-アミノ酸に対する比活性を算出し、この比活性が、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHと比較して上記のように増大していた場合、当該酵素のD-アミノ酸に対する活性が向上したと判断できる。
本発明の改変型meso-DAPDHはまた、上記の反応の逆反応である2-オキソ酸を基質とするアミノ化反応の酵素活性を新たに有している、または、活性が飛躍的に向上している。同じ2-オキソ酸を基質とする反応での改変型meso-DAPDHとヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHの比活性を算出し、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHと比較して比活性が2倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、又は50倍以上増大していた場合、当該酵素の2-オキソ酸に対する活性が向上したと判断できる。
本発明の改変型meso-DAPDHは、ウレイバチルス属細菌に由来するmeso-DAPDHのアミノ酸配列に対して1以上のアミノ酸残基を改変したアミノ酸配列を有する。このアミノ酸残基の改変は、熱安定性の向上、酵素活性の向上等のために行う改変であり得る。ウレイバチルス属細菌としては、例えばウレイバチルス・サーモスファエリカス(Ureibacillus thermosphaericus)、ウレイバチルス・テレヌス(Ureibacillus terrenus)、ウレイバチルス・スウォネンシス(Ureibacillus suwonensis)、ウレイバチルス・コンポスチ(Ureibacillus composti)、ウレイバチルス・デフルビ(Ureibacillus defluvii)が挙げられるが、好ましくはウレイバチルス・サーモスファエリカスである。ウレイバチルス・サーモスファエリカスは、例えばNBRC 108682株等を利用することができる。
より具体的には、ウレイバチルス(Ureibacillus)属細菌に由来するアミノ酸配列は、特に限定するものではないが、例えば配列番号1に示すウレイバチルス・サーモスファエリカス由来のmeso-DAPDHのアミノ酸配列である。そして、この場合、アミノ酸残基の改変は、例えばGln154Leu、Asp158Gly、Thr173Ile、Arg199MetおよびHis249Asnから選択される1以上、2以上、3以上、4以上、または全てのアミノ酸残基の置換である。本発明の改変型meso-DAPDHは、これに加えて、保存的置換等の活性低下を生じない改変を含み得る。
本発明者等は、これまでの研究においては、上記のアミノ酸残基の改変を有する改変型meso-DAPDHを、ヒスチジン-タグを付したものとして取得し、タグを除去することなく活性の検討を行ってきた。これは、当分野において、ヒスチジン-タグがアフィニティータグとして一般的に使用されるものであり、サイズが小さいこと等から、活性に影響を与えることはほとんど考慮されなかったためである。しかしながら、本発明者等がその後種々検討する中で、タグの存在が活性に影響し得る可能性を検討し、本発明においてはヒスチジン-タグ等のタグを全て除去したものである。これにより得られた効果は、後の実施例で記載する通り、当業者にとっても全く予想外のことであった。
すなわち、本発明の改変型meso-DAPDHは、N末端およびC末端にタグ、具体的にはアフィニティータグを含まないことを最大の特徴とする。本明細書において、タグとは、酵素精製の際等に利用されるタグのいずれをも含み、特に限定するものではないが、例えばヒスチジン-タグ、マルトース結合タンパク質-タグ、グルタチオンS-転移酵素-タグ、およびハロ-タグが挙げられる。
上記した通り、ウレイバチルス・サーモスファエリカスを含むウレイバチルス属細菌由来の改変型meso-DAPDHについて、上記と同様のアフィニティータグが除去されたものは本願発明の改変型meso-DAPDHに含まれる。
配列番号2は、配列番号1に示すウレイバチルス・サーモスファエリカス由来のmeso-DAPDHのアミノ酸配列に対してGln154Leu、Asp158Gly、Thr173Ile、Arg199MetおよびHis249Asnの5種のアミノ酸残基の置換を全て施し、C末端にヒスチジン-タグを有する改変型meso-DAPDHのアミノ酸配列である。そして、配列番号3は、配列番号2に示す改変型meso-DAPDHからヒスチジン-タグを除去した本願発明の改変型meso-DAPDHのアミノ酸配列を示す。
本発明の改変型meso-DAPDHは公知の方法によって取得することができる。例えば、野生型meso-DAPDH、例えば配列番号1に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子に対してアミノ酸残基の置換を施し、得られた改変型遺伝子を用いて宿主細胞を形質転換し、かかる形質転換体の培養物から上記活性を有するタンパク質を採取することによって取得することができる。この際に、タグを含まないように酵素を生成させることができる。また、酵素の精製後にNまたはC末端に含まれるタグを切断したものであってもよい。
本発明の酵素は、後の実施例に示す通り、種々のD-アミノ酸に対する脱アミノ反応を触媒することができる。特に限定するものではないが、本発明の酵素の基質となり得るD-アミノ酸として、例えばD-シクロヘキシルアラニン、D-2-アミノヘプタン酸、D-2-アミノオクタン酸、D-ロイシン、D-イソロイシン、D-ノルロイシン、D-バリン、D-ノルバリン、D-リジン、D-アルギニン、D-メチオニン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、D-ヒスチジン等が挙げられる。
一方、本発明の酵素は、種々の2-オキソ酸に対するアミノ化反応を触媒することができる。特に限定するものではないが、本発明の酵素の基質となり得る2-オキソ酸として、例えば2-オキソブタン酸、2-オキソペンタン酸、2-オキソヘキサン酸、2-オキソオクタン酸、2-オキソ-3-メチルブタン酸(3-メチル-2-オキソブタン酸)、2-オキソ-3-メチルペンタン酸(3-メチル-2-オキソペンタン酸)、2-オキソ-4-メチルペンタン酸(4-メチル-2-オキソペンタン酸)、2-オキソ-4-メチルチオブタン酸(4-メチルチオ-2-オキソブタン酸)、ピルビン酸、フェニルピルビン酸、4-ジヒドロキシフェニルピルビン酸、3,4-ジヒドロキシフェニルピルビン酸等が挙げられる。
本発明の酵素は特に、ヒスチジン-タグ付き酵素では活性が見られなかった2-オキソペンタン酸、2-オキソ-4-メチルチオブタン酸及びピルビン酸に対する活性、すなわちD-ノルバリン、D-メチオニン及びD-アラニンの合成反応を触媒する活性を有することが見出された。このことは、これらのD-アミノ酸の新規合成方法の提供が可能となったことを示すものである。
本発明の改変型meso-DAPDHは、結晶として取得することができる。
本発明者らは、N末端またはC末端にアフィニティータグを含んだU. thermosphaericus由来の改変型meso-DAPDHの結晶化を行ったが、解析に適した結晶を得ることはできなかった。そこで、アフィニティータグを除去して、改変型meso-DAPDHの結晶化を行った(実施例9)。結果として、アフィニティータグを含まない改変型meso-DAPDHは、良好な結晶を与え(図7)、立体構造を得ることに成功した(図8)。
タンパク質を結晶化するためには、pH、温度、バッファーの種類、バッファーの濃度、沈殿剤の種類、沈殿剤の濃度、金属等の添加剤の種類、金属等の添加剤の濃度、タンパク質の濃度、タンパク質の純度、全長アミノ酸からの欠失や伸長等、数多くのパラメーターを試行錯誤により決定しなくてはならない。したがって、結晶を得るまでに数日〜数ヶ月の時間がかかるのが通常であり、多大な労力に反して結晶が得られないケースも多々ある。結晶化は、三次元構造決定のためには欠かせないが、それ以外にも、タンパク質の高純度の精製法、高密度でプロテアーゼ抵抗性の強い安定な保存法、更には酵素の固定化利用に先立つプロセスとして産業上の有用性もある。
作製した結晶にX線を照射して回折データを収集する場合、タンパク質結晶はX線照射によりダメージを受け回折能が劣化するケースが多々ある。その場合、結晶を急激に90K程度に冷却し、その状態で回折データを収集する低温測定技術が用いられている。なお、最終的に、構造決定に利用する高分解能データを収集するために、輝度の高いシンクロトロン放射光を利用することができる。
結晶構造解析を行うには、回折データに加えて、位相情報が必要になる。本発明の改変型meso-DAPDHは、親酵素であるmeso-DAPDHの立体構造が既知であるため、分子置換法が適用できる。分子置換法は、結晶構造を決定したいタンパク質と相同性が高い類縁のタンパク質の立体構造を利用して構造決定を行う手法である。
決定された位相は、結晶中の溶媒領域の電子密度を平滑化することにより改善することが可能である。溶媒領域の水分子は揺らぎが大きいために電子密度がほとんど観測されないので、この領域の電子密度を0に近似することにより、真の電子密度に近づくことができ、ひいては位相が改善されるのである。また、非対称単位に複数の分子が含まれている場合、これらの分子の電子密度を平均化することにより位相が更に大幅に改善される。このようにして改善された位相を用いて計算した電子密度図にアミノ酸残基をフィットさせてタンパク質のモデリングを行う。このプロセスは、コンピューターグラフィックス上で、Coot等のプログラムを用いて行われる。この後、Collaborative Computational Project No. 4等のプログラムを用いて、構造精密化を行い、構造解析は完了する。
得られた結合モデルを良く観察し、meso-DAPDHの基質認識部位を特定した(図9)。本酵素の基質認識部位は、Asp94、His96、Asp124、Arg132、Trp148の5つのアミノ酸残基から構成され、特に、Asp94が触媒反応を担うことが推察される。
基質との親和性を増大させることで、酵素活性をさらに向上させることが期待される。親和性を向上させる方法として、これらの基質認識部位のアミノ酸残基に変異を導入して、疎水相互作用・静電相互作用・水素結合・π−π相互作用(芳香環の環電流が発生する磁場同士の相互作用)・CH/π相互作用(芳香環の環電流とメチル基の電子が発生する磁場の相互作用)を増強する手段が考えられる。
従って、本発明はまた、配列番号1または配列番号3に示されるアミノ酸配列において、Asp94、His96、Asp124、Arg132、及びTrp148から選択されるアミノ酸残基に変異を有する改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素を提供することができる。変異は好ましくは置換である。特に、本発明は、Asp94が他のアミノ酸残基によって置換されている改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素を提供する。他のアミノ酸残基は、特に限定するものではないが、Ala、Ser、Gly、Cys、Met、及びThrから選択される。
本発明はまた、上記の本発明の酵素をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明のポリヌクレオチドは、例えば配列番号3に示すアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするものである。本発明のポリヌクレオチドにはDNAおよびRNAの双方が含まれ、DNAである場合には、一本鎖であると、二本鎖であるとは問わない。
野生型meso-DAPDHをコードする遺伝子は、公知の遺伝子クローニング技術を用いて取得することができる。例えば、GenBank等の公知のデータベースを検索することによって取得することができる遺伝子情報を基にしてプライマーを設計し、meso-DAPDHを産生し得る生物体から抽出したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行うことにより取得することができる。またその遺伝子情報に基づいて、常法のホスホルアミダイト(phosphoramidite)法等の核酸合成法により合成することもできる。
野生型meso-DAPDHをコードする遺伝子に改変を施す方法としては、特に制限はなく、当業者に公知の改変タンパク質作製のための変異導入技術を利用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法、PCR法等を利用して変異を導入するPCR突然誘発法、あるいは、トランスポゾン挿入突然変異誘発法などの公知の変異導入技術を利用することができる。また、市販の変異導入用キット(例えば、QuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製))を利用してもよい。また、目的とする本発明の改変型meso-DAPDHをコードするDNAを化学的に合成することもできる。
本発明はまた、上記の本発明のポリヌクレオチドを含有する組換えベクターを提供する。
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の改変型meso-DAPDHをコードするポリヌクレオチドを組み込むことによって構築することができる。利用可能なベクターとしては、外来DNAを組み込め、かつ宿主細胞中で自律的に複製可能なものであれば特に制限はない。したがって、ベクターは、本発明のポリヌクレオチドを挿入できる少なくとも1つの制限酵素部位の配列を含むものである。例えば、プラスミドベクター(pEX系、pUC系、pMAL系、及びpBR系等)、ファージベクター(λgt10、λgt11、及びλZAP等)、コスミドベクター、ウイルスベクター(ワクシニアウイルス、及びバキュロウイルス等)等が包含される。
本発明の組換えベクターは、本発明のポリヌクレオチドがその機能を発現できるように組み込まれている。したがって、核酸分子の機能発現に必要な他の既知の塩基配列が含まれていてもよい。例えば、プロモータ配列、リーダー配列、シグナル配列、並びにリボソーム結合配列等が挙げられる。プロモータ配列としては、例えば、宿主が大腸菌の場合にはlacプロモータ、trpプロモータ等が好適に例示される。しかしながら、これに限定するものではなく既知のプロモータ配列を利用できる。更に、本発明の組換えベクターには、宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等をも含ませることができる。このようなマーキング配列としては、薬剤耐性、栄養要求性などの遺伝子をコードする配列等が例示される。具体的には、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子等が例示される。
組換えベクターへの本発明のポリヌクレオチドの導入は、例えば、ベクター中の適当な制限酵素部位、又はマルチクローニング部位にポリヌクレオチドを挿入して連結する方法などを用いることができるが、これに限定されない。連結に際しては、DNAリガーゼを用いる方法等、既知の方法を利用できる。また、DNA Ligation Kit(タカラバイオ社製)等の市販のライゲーションキットを利用することもできる。
本発明はまた、上記の本発明の組換えベクターを含有する形質転換体を提供する。
本発明の形質転換体は、適当な細胞を本発明の組換えベクターで形質転換することによって本発明の改変型酵素を効率的に発現できる宿主細胞であれば、特に制限はない。宿主細胞として、原核生物を好適に利用でき、特には大腸菌を利用することができる。その他、枯草菌、シュードモナス属、バシラス属細菌等も利用できる。大腸菌としては、例えば、Escherichia coli (E.coli)DH5α、E. coli BL21、E. coli JM109等を利用できる。更に、宿主細胞は、原核生物に限定されず、真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を利用することも可能である。形質転換法としては、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポソームフェクション法等の既知の方法を利用することができる。
本発明はまた、上記の本発明の形質転換体を培養する工程、および得られた培養物からD-アミノ酸の脱水素反応を触媒する活性を有する本発明の酵素を採取する工程を含む、改変型meso-DAPDHの製造方法を提供する。
即ち、本発明の方法は、本発明の形質転換体を培養する培養工程と、前記培養工程で発現した前記タンパク質を回収する回収工程とを備える。このように、適当な宿主で発現させることによって、低コストで本発明の改変型meso-DAPDHの大量生産が可能となる。
培養工程は、本発明の形質転換体を適当な培地に接種し、常法に準じて培養することにより行なわれる。培養条件は、宿主細胞の栄養生理学的性質を勘案して選択すればよい。使用される培地としては、宿主細胞が資化し得る栄養素を含み、形質転換体におけるタンパク質の発現を効率的に行えるものであれば特に制限はない。したがって、宿主細胞の生育に必要な炭素源、窒素源その他必須の栄養素を含む培地であることが好ましく、天然培地、合成培地の別を問わない。
例えば、炭素源として、バイオマス由来の糖化液、廃糖蜜、デキストラン、デンプン等が、また、窒素源としては、アンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、ペプトン、カゼイン等が挙げられる。他の栄養素としては、所望により、無機塩類、ビタミン類、抗生物質等とを含ませることができる。宿主細胞が大腸菌の場合には、LB培地、M9培地等が好適に利用できる。また、培養形態についても特に制限はないが、大量培養の観点から液体培地が好適に利用できる。
本発明の組換えベクターを保持する宿主細胞の選別は、例えば、マーキング配列の発現の有無により行なうことができる。例えば、マーキング配列として薬剤耐性遺伝子を利用する場合には、薬剤耐性遺伝子に対応する薬剤含有培地で培養することによって行うことができる。
回収工程は、前述の培養工程において得られた形質転換体の培養物からの本発明の改変型meso-DAPDHを単離・精製することによって行うことができる。具体的には、例えば形質転換体の培養物を遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を回収した後、リゾチーム処理などの酵素的破砕方法、又は超音波処理、凍結融解、浸透圧ショック等の物理的破砕方法等により、宿主細胞を破砕する。破砕後、遠心分離、濾過等の手段により可溶化画分を収集する。得られた可溶化画分を、既知のタンパク質精製方法、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、透析、SDS-PAGE電気泳動、ゲル濾過、疎水、陰イオン、陽イオン、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー等の既知の単離精製技術を単独、又は適宜組み合わせて、本発明の酵素を単離精製することができる。
ここで、本発明で得られる改変型meso-DAPDHは、熱安定性が高いことから、前述の単離、精製工程において熱処理を併用することが有用かつ便利である。培養物から得られた宿主細胞及び培養上清には、当該宿主細胞由来の様々なタンパク質を含有する。しかし、熱処理を行なうことにより、宿主細胞由来の夾雑タンパク質は変性し凝縮沈殿する。これに対して、本発明の酵素では変性を生じないことから、遠心分離等により宿主由来の夾雑タンパク質と容易に分離できる。熱処理の条件は、特に限定するものではないが、例えば約50〜65℃で10〜30分間の処理とすることができる。また、培養液をそのまま、若しくは粗抽出液を使用する場合においても、熱処理を行なうことにより、他のタンパク質が失活することから、実質的に本発明の改変型meso-DAPDHのみの酵素液として使用することができる。したがって、本発明の改変型meso-DAPDHを遺伝子工学的手法により製造する場合においても、宿主由来のその他のタンパク質を容易に除去することができる。したがって、精製度を向上させることができ、信頼性の高い酵素を製造できるという利点がある。
精製された改変型meso-DAPDHが所望の活性を有する酵素であるか否かの確認は、その理化学的性質や配列の分析によって行うことができる。理化学的性質の分析による場合、酵素の酵素活性を公知方法により測定し、ヒスチジン-タグ付き改変型DAPDHと比較して、比活性が高いか否かを確認することによって行うことができる。したがって、基質であるD-アミノ酸に対してNADP+依存的に脱水素反応をする酵素活性を測定することにより行うことができる。
酵素の活性は、NADP+依存的にD-アミノ酸の脱水素反応を触媒する酵素の活性測定法として知られる方法をいずれをも利用して行うことができる。例えば、NADP+の存在下で、本発明の酵素をD-アミノ酸と反応させ、当該酵素の触媒反応で生成するNADPH量の変化を340 nmの吸光度変化として検出し、かかる吸光度変化をもって当該酵素の活性とすることができる。したがって、改変型meso-DAPDH活性は、D-アミノ酸及びNADP+から、2-オキソ酸及びNADPHを生成する触媒反応において、生成したNADPHを直接定量することによって測定できる。つまり、酵素反応によりD-アミノ酸が酸化され2-オキソ酸となり、このときNADP+が還元され、NADPHが生成する。このNADP+からNADPHの生成を340nmの吸光度変化を測定して酵素活性とした。
上記の通り、本発明の改変型meso-DAPDHは、D-アミノ酸の合成のために利用することができる。従って本発明は、上記の本発明の改変型meso-DAPDHを用いて2-オキソ酸からD-アミノ酸を合成する方法を提供する。
D-アミノ酸の合成は、例えば、基質である2-オキソ酸のアミノ化により行うことができる。すなわち、NADPH依存的に2-オキソ酸のアミノ化反応を触媒する酵素の活性を利用して行うことができる。例えば、NADPHとアンモニアの存在下で、本発明の酵素を基質となる2-オキソ酸と反応させ、当該酵素の触媒反応で生成するD-アミノ酸を回収する。
D-アミノ酸を回収する場合には、反応終了後、反応液から物理的または化学的方法等の適切な方法で改変型meso-DAPDHを除去し、イオン交換樹脂法などによって、D-アミノ酸を回収することができる。
本発明の方法によって好適に合成することができるD-アミノ酸としては、特に限定するものではないが、例えばD-ロイシン、D-イソロイシン、D-ノルロイシン、D-バリン、D-ノルバリン、D-リジン、D-アルギニン、D-メチオニン、D-アラニン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、D-ヒスチジン、D-2-アミノオクタン酸、D-α-アミノ酪酸等が挙げられる。
特に、Asp94に変異を有する改変型meso-DAPDHを用いた場合、長鎖の側鎖を有する2-オキソ酸からD-アミノ酸を生産する活性が非常に増大する。従って、特に限定するものではないが、例えばD-ロイシン、D-イソロイシン、D-バリン、D-メチオニン等の合成に好適に使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1 改変型meso-DAPDH遺伝子のクローニングと発現ベクターの作製]
既報のDAADH/pET21ベクター(Biotechnol. Lett. 34, 1693-1699 (2012))を鋳型に利用して、本発明の改変型meso-DAPDH遺伝子(配列番号3の改変型meso-DAPDHをコードする)のクローニングを行ない、改変型meso-DAPDH/pET11aベクターを作製した。この発現ベクターpET11a(ノバジェン社製)にはヒスチジン-タグが含まれていない。また、他の発現ベクターに改変型meso-DAPDHの塩基配列を挿入する際には、改変型meso-DAPDHの塩基配列に終止コドン(本実施例ではTAAであり、TAATAAと二個の終止コドンを利用)を加えて、塩基配列以降のヒスチジン-タグを翻訳させないように塩基配列をデザインすることもできる。
PCR反応は、PCRキット、KOD-Plus-Neo(東洋紡社製)にて製造業者の指示に従って実行した。PCR反応液は、以下のプライマーを各0.3μM、上記の鋳型DNAを50 ng含んで調製した。
Figure 0006853549
下線はクローニング用の制限酵素認識部位を示し、終止コドンを四角で囲む。
PCR温度プログラムは、94℃にて2分間加熱した後、98℃にて10秒間の熱変性、55℃にて30秒間のアニーリング、68℃にて30秒間の伸長反応を1サイクルとして、30サイクルの増幅反応を行った。
PCR後の反応液を、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(プロメガ社製)により精製し、アガロースゲル電気泳動によりPCR増幅産物を確認した。その結果、予想される増幅産物(約1.0 kbp)の取得が確認できた。
PCR増幅で得られたDNA断片(約1.0 kbp)を、制限酵素NdeIとBamHIで切断し、アガロースゲル電気流動で分離後、ゲルから抽出及び精製を行った。制限酵素処理後の各DNA断片を、タンパク質発現用プラスミドのpET11aベクター(ノバジェン社製)の制限酵素部位(NdeI及びBamHI)にライゲーション反応により組み込み、改変型meso-DAPDH遺伝子を保持する発現ベクターを構築した。当該発現ベクターは、T7プロモーター、リボソーム結合部位の下流、T7ターミネーターの上流に改変型meso-DAPDH遺伝子を組み込むように構築し、改変型meso-DAPDH/pET11aベクターを得た。なお、改変型meso-DAPDH/pET11aベクターは、AccuPrep Plasmid Mini Extraction Kit(BIONEER社製)を利用して、製造元のプロトコールに従って回収した。
[実施例2 改変型meso-DAPDHタンパク質の合成]
上記実施例1で得られた改変型meso-DAPDH/pET11aベクターを利用して、E. coli BL21(DE3)株を形質転換した。続いて、抗生物質アンピシリン(最終濃度100mg/L)を含むLB培地(1 L)に接種し、A600=0.6程度になるまで37℃で菌を振とう培養し、その後、イソプロピル-β-D(-)-ガラクトピラノシド(和光純薬社製)を最終濃度で1 mMとなるように加え、37℃でさらに3時間振とう培養した。培養液中の菌体を遠心分離によって集め、この菌体を50mMリン酸緩衝液(pH7.2)に懸濁し、氷冷下で超音波破砕した。超音波破砕後に遠心分離し、得られた上清を粗酵素液とした。粗酵素液を、55℃で30分間熱処理し、その処理酵素液を、TOYOPEARL SuperQ-650陰イオン交換クロマトグラフィー(東ソー社製)、TOYOPEARL Butyl-650M疎水性クロマトグラフィー(東ソー社製)、Superdex200ゲルろ過クロマトグラフィー(GEヘルスケア・ジャパン社製)を用いて精製した。得られた改変型meso-DAPDHのタンパク質量をブラッドフォード法により測定した。
図1に、粗酵素液、熱処理酵素液、及び各種クロマトグラフィー後に得られる活性画分と分子量マーカーをSDS-PAGEに供した結果を示す。図1のレーン6より、37 kDaの位置にタンパク質のシングルバンドを確認することができ、良好な精製結果を得ることができた。
[実施例3 改変型meso-DAPDHの触媒反応における最適pHの確認]
上記実施例1で取得され、実施例2で確認された改変型meso-DAPDHについて、最適pHを評価した。前記酵素の活性は、酵素の触媒反応で生成または分解するNADPHを波長340 nmの吸光度の増減を測定することに定量し、これを指標として、酵素活性を求めることにより測定した。緩衝液のpHの調整は、トリス-HCl緩衝液ではトリスヒドロキシメチルアミノメタンにHClを添加して行い、グリシン-KOH緩衝液ではグリシンにKOHを添加して行い、炭酸ナトリウム-炭酸水素ナトリウム緩衝液では炭酸ナトリウムに炭酸水素ナトリウム緩衝液を添加して行った。各緩衝液ともに、反応液中の最終濃度が200mMになるように希釈して使用した。
より詳細には、D-アミノ酸の脱アミノ反応においては、適量の酵素溶液を、30 mM D-リジン、1.25 mM NADP+を含む200 mMの各種緩衝液中で混合することにより反応液(1.00 mL)を調製した。続いて、この反応液中のNADP+からNADPHへの変化に伴う340 nmの吸光度の増大を反応温度 50℃で測定することにより活性測定を行った。
2-オキソ酸のアミノ化反応においては、適量の酵素溶液を、5 mM 2-オキソ-4-メチルペンタン酸(D-ロイシン生成反応出発物質)、0.1 mM NADPH、200 mM 塩化アンモニウムを含む200 mMの各種緩衝液中で混合することにより反応液を調製した。続いて、この反応液中のNADPHからNADP+への変化に伴う340 nmの吸光度の減少を反応温度50℃で測定することにより活性測定を行った。
吸光度は、UV-mini 1240分光光度計(SHIMADZU社製)により測定した。得られた吸光度変化と下記式を利用して、使用した酵素のタンパク質量と酵素希釈率から酵素の比活性を算出した。
Figure 0006853549
ΔA340:340 nmにおける1分間あたりの吸光度変化量
V:活性測定に利用した反応液量(mL)
6.22:340 nmにおけるNADPHのミリモル分子吸光係数(L・mmol-1・cm-1
C:測定に用いた酵素量(mg)
d:光路長(1 cm)
図2にD-リジンの脱アミノ反応の最適pH、図3に2-オキソ-4-メチルペンタン酸のアミノ化の最適pHをそれぞれ示す。これらの結果から、改変型meso-DAPDHの脱アミノ反応とアミノ化反応における最適pHはそれぞれ10.5と9.0であることが示された。
[実施例4 改変型meso-DAPDHの触媒における最適温度の確認]
所定温度(40、45、50、55、60、65、70、75℃)に加温した実施例3と同様の反応溶液にNADP+を添加し、直ちに吸光度の増大を測定した以外は実施例3と同様にして吸光度を測定し、相対活性を算出した。
図4に、前記精製酵素の最適温度の測定結果を示す。図4に示すように、本発明の精製酵素の酵素反応における至適温度は、約70℃であった。
[実施例5 改変型meso-DAPDHの熱安定性の確認]
実施例2で得られた改変型meso-DAPDHについて、熱処理後の残存活性を検討することにより熱安定性を確認した。
実施例2で精製した改変型meso-DAPDHを、50 mMリン酸緩衝液(pH7.2)中で、様々な温度条件(40、45、50、55、60、65、70、75℃)下で30分間熱処理し、氷中に5分間静置後の残存活性を確認した。酵素活性は、実施例2に記載の方法で、D-リジンを基質として利用した場合のNADPHの生成に起因した340nmにおける吸光度の増大により評価し、45℃での処理における活性を100%として、その他の温度での処理後の残存活性を相対活性として算出した。
図5に、前記精製酵素の熱安定性の測定結果を示す。図5に示すように、改変型meso-DAPDHは、65℃熱処理後、約94%の残像活性を保持していた。この結果より、本発明の改変型meso-DAPDHが、既報のヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDH(Biotechnol. Lett. 34, 1693-1699 (2012))と同等の熱安定性を有することが示された。
[実施例6 改変型meso-DAPDHの基質特異性1]
実施例2で得られた改変型meso-DAPDHの活性の測定を行い、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHの比活性と比較して、ヒスチジン-タグの有無が改変型meso-DAPDHに及ぼす影響を検討した。
本発明の改変型meso-DAPDH、及び比較のためにヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHについて、下記の表1に、D-アミノ酸を基質とする酸化的脱アミノ反応の比活性を、表2に、2-オキソ酸を基質とする還元的アミノ化反応の比活性を、それぞれ示す。酵素の比活性は、実施例3に記載の式を利用して算出した。
Figure 0006853549
Figure 0006853549
表1及び表2の結果から、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHが種々のD-アミノ酸及び2-オキソ酸に対して活性を有することが示されるが、本発明の酵素は、ほとんどの反応においてヒスチジン-タグ付きの酵素と比較して、5倍〜100倍程度の比活性の上昇が示された。更に、ヒスチジン-タグ付きの酵素では活性が検出されなかった反応においても明確に反応を触媒することが示された。
したがって、本発明の改変型meso-DAPDHは、ヒスチジン-タグの非含有によって、D-アミノ酸を脱アミノする反応、または2-オキソ酸をアミノ化する反応の双方で、活性が飛躍的に向上すること、または新たに活性を得ることが確認された。
[実施例7 改変型meso-DAPDHの基質特異性2]
実施例6と同様にして、活性測定に用いる改変型meso-DAPDHの量を増大させて、酵素活性を測定し、ヒスチジン-タグ付き改変型meso-DAPDHの比活性と比較した。
下記の表3に、D-アミノ酸を基質とする酸化的脱アミノ反応の比活性を、表4に、2-オキソ酸を基質とする還元的アミノ化反応の比活性を、それぞれ示す。酵素の比活性は、実施例3に記載の式を利用して算出した。
Figure 0006853549
Figure 0006853549
[実施例8 改変型meso-DAPDHによるD-ロイシンの生産]
既報のNADP+再生系と改変型meso-DAPDHを利用して(Appl. Microbiol. Biotechnol. 98, 1135-1143 (2014))、2-オキソ-4-メチルペンタン酸からD-ロイシンの生産を試みた。
より詳細には、5 mM 2-オキソ-4-メチルペンタン酸、20 mM D-グルコース、70 mM塩化アンモニウム、0.5 mM NADP+、0.66 mg改変型meso-DAPDH及び0.32 mg グルコース脱水素酵素を100 mM グリシン緩衝液(pH9.0)中で混合することにより反応液を調製した。続いて、この反応液を65℃で1時間保温した。
その後、10%トリクロロ酢酸とフィルター滅菌(孔径0.22 μm)によりタンパク質を取り除き、o-フタルアルデヒドとN-アセチル-L-システインで修飾後、高速液体クロマトグラフィーで測定した。分析条件は以下の通りである。分離カラム:Waters AccQ-Tag Ultra 2.1×100 mm カラム(Waters社製)、検出器:紫外線検出器(Waters FLR columnSNとACQ-FLR-Default SNによる励起波長:350 nm、放出波長:450 nmでの検出、Waters社製)及びシステムマネージャー(Waters Binary Solvent Manager SN、Waters Sample Manager SN、Waters社製)、移動相:移動相A = 50 mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.9)、移動相B = メタノール、カラム温度:30℃。
図6に結果を示すように、本発明の改変型meso-DAPDHは、L-ロイシンを全く生産せずに、3.5 mMのD-ロイシンのみを生産し、2-オキソ酸から特異的にD-アミノ酸を生産可能であることが確認された。
[実施例9 改変型meso-DAPDHの結晶化]
改変型meso-DAPDHの結晶化には、ハンギングドロップ法での蒸気拡散を利用した。精製した改変型meso-DAPDH(濃度13.46 mg/mL)溶液と、1.3 M D-リンゴ酸緩衝液(pH 7.0)を同量ずつ(各々1 μL)、シリコナイゼイションしたカバーグラス上に滴下混合し、上記の緩衝液500μlを満たしたウエルの上に混合液滴が釣り下がるようにかぶせ、20℃にて静置した。1日後に結晶が析出し、3日後には測定可能な大きさ(0.5×2.0×0.5 mm程度)の六方晶系状結晶に成長した(図7)。
[実施例10 改変型meso-DAPDHの結晶構造解析]
改変型meso-DAPDHの結晶は、常温測定では、X線損傷により結晶が劣化し、徐々に分解能が下がるため、低温条件下での測定を行った。結晶を、30%のグリセロール及び3 mM NADP+を含む 1.3 mM D-リンゴ酸緩衝液(pH 7.0)に移した後、90Kの窒素ガスを吹き付け、急速冷却した。X線回折装置 MX300HE detector(Raynonix社製)を用いて、2.38Å分解能のX線回折データを収集し、結晶学的パラメーターを決定した。空間群はR3、格子定数は、a=124.01Å、b=124.01Å、c=192.08Å、α=90°、β=90°、γ=120°となった。非対称単位に2つの分子が含まれると仮定すれば、結晶の水分含有率は38.2%となった。
[実施例11 改変型meso-DAPDHの立体構造決定]
得られた構造因子と、実施例10で取得した改変型meso-DAPDHの三次元構造座標を用いて、プログラムPHASERによる分子置換法を行った。改変型meso-DAPDHの三次元構造座標をサーチモデルとして分子置換法の計算を行った。50.0Åから2.38Å分解能までの構造因子を用いた計算の結果、1種類の有意な解が得られた。
得られたその解を、プログラムREFMAC5の中の制限精密化の方法により、30.0Åから2.38Å分解能までの構造因子を用いて精密化した結果、326アミノ酸残基からなる改変型meso-DAPDHのうち、A、B両分子においてSer2−Leu326のアミノ酸残基を同定した。またタンパク質以外の原子として、2分子のNADP+分子、4分子のD-リンゴ酸分子、7分子のグリセロール分子、166個の水分子を同定した。精密化の最終段階で、R因子は、30.0Åから2.38Å分解能の構造因子を用いた場合、21.0%、Free-R因子は26.6%であった。更に各原子間の結合距離および結合角の理想状態からの二乗平均平方根誤差は、それぞれ0.013Åおよび1.778度であった。
以上の解析により、補酵素NADP+、基質アナログD-リンゴ酸、グリセロール、改変型meso-DAPDHの複合体の三次元構造座標が得られた。三次元構造座標のデータを表8として下記で示す。得られた構造座標から、改変型meso-DAPDHの基質認識部位は、Asp94、His96、Asp124、Arg132、Trp148の5つのアミノ酸残基から構成されることが明らかとなった。また特に、酵素と基質の距離が2Å以下となるAsp94が、触媒反応を担うことが推察された(図8及び9)。
[実施例12 改変型meso-DAPDH変異体の作製]
実施例11で構築したモデルによると、Asp94の側鎖は、D-アミノ酸のアミノ基と相互作用する可能性が示唆された。この残基をPhe、Tyr、Trpといった芳香族アミノ酸残基に置換すると、芳香環と基質との間にπ−π相互作用が生じ、親和性の向上に起因した酵素の反応速度が増大することが予測された。同様に、Val、Ile、Leuといった分岐鎖疎水性アミノ酸残基に置換すると、分岐鎖疎水基と基質との間にCH/π相互作用が生じ、また、Glu、Asp、Lys、Arg、Hisといった電荷を帯びた極性アミノ酸残基に置換すると、基質と静電的に引き合い、親和性の向上が見込まれた。さらに、Ser、Ala、Glyといった短鎖の側鎖を有するアミノ酸残基への置換は、酵素の基質認識部位に空隙が生じるため酵素の柔軟性が増し、長鎖の側鎖を有する基質との結合により適したコンフォメーションを取れることが予測された。そこで、Asp94を他のアミノ酸残基に置換した変異体を作製して酵素活性をさらに向上させることを検討した。
変異体作製のために、実施例1で作製した改変型meso-DAPDH/pET11aベクターを鋳型に利用して、東洋紡社製の「部位特異的変異導入キットKOD -Plus- Mutagenesis Kit」を使用し、製造元のプロトコールに従って、表5に示す各変異に対応するプライマー(配列番号6〜24)とそれを相補するプライマー(配列番号25)を用いて、変異導入した。
Figure 0006853549
PCR反応後の各生成物を用いて、E. coli DH5αを形質転換した。形質転換細胞を、100 μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地プレート上に塗布し、37℃で16時間培養した。生成したコロニーを採取し、100 μg/mLのアンピシリンを含むLB培地で一晩震とう培養した。遠心分離により、培養液から菌体を回収後、実施例1に記載した方法で、プラスミドを回収した。
[実施例13 Asp94置換変異体の作製]
実施例12で得られた各変異体のタンパク質発現ベクターを利用して、実施例2に従って各改変型meso-DAPDH変異体を調製した。また、熱処理後による簡易精製後の各改変型meso-DAPDH変異体を用いて、比活性の測定を行った。なお、酵素の比活性は、実施例3に記載の式を利用して算出した。
下記の表6−1〜表6−4に、改変型meso-DAPDH変異体のD-アミノ酸を基質とする酸化的脱アミノ反応の比活性を、表7−1〜表7−4に、改変型meso-DAPDH変異体の2-オキソ酸を基質とする還元的アミノ化反応の比活性を、それぞれ示す。
Figure 0006853549
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上記の結果から、改変型meso-DAPDHのAsp94への変異導入は、種々のD-アミノ酸及び2-オキソ酸に対して比活性を変化させることが示された。特に、Ala、Ser、Gly、Cys、Met、Thrへの置換は、変異導入されていない酵素と比較して、長鎖の側鎖を有する2-オキソ酸からD-アミノ酸を生産する比活性が、2倍〜13倍程度上昇することが示された。
したがって、本発明の改変型meso-DAPDHは、Asp94に変異導入することで、D-アミノ酸を脱アミノする反応、または2-オキソ酸をアミノ化する反応の双方で、活性が飛躍的に向上すること、または新たに活性を得ることが確認された。
以下に示す表8中の各列の情報はそれぞれ以下を意味するものである。
A列: 種類
B列: 番号
C列: 原子位置
D列: アミノ酸残基種類
E列: チェーンID
F列: アミノ酸残基番号
G列: X軸座標
H列: Y軸座標
I列: Z軸座標
J列: 占有率
K列: 温度因子
L列: 原子種類
Figure 0006853549
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以上のように、本発明が提供する改変型meso-DAPDHは、種々のD-アミノ酸の生産に有用である。また、本発明の改変型meso-DAPDHは、耐熱性に優れ、したがって、幅広い温度範囲で安定的に利用可能であり、医療、食品、化学等、様々な分野に利用することができる。
本発明のD-アミノ酸の合成方法は、医療、食品、化学等、様々な分野に利用することができる。特に、本発明の酵素は熱安定性が高いことから、触媒能力の劣化を招くことなく生産効率の向上を図れ、更に酵素使用量をも低減できることからコスト削減効果をも奏する。
本発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (9)

  1. 配列番号1に示すアミノ酸配列に対して、Gln154Leu、Asp158Gly、Thr173Ile、Arg199Met及びHis249Asnから選択される1以上のアミノ酸残基の置換を有し、かつAsp94がAla、Ser、Gly、Cys、Met、及びThrから選択されるアミノ酸残基によって置換されたアミノ酸配列を有する、改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
  2. N末端及びC末端にヒスチジン-タグ、マルトース結合タンパク質-タグ、グルタチオンS-転移酵素-タグ、及びハロ-タグから選択されるタグを含まない、請求項記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
  3. 結晶として取得される、請求項1または2記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載の酵素をコードするポリヌクレオチド。
  5. 請求項に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  6. 請求項に記載の組換えベクターを含有する形質転換体。
  7. 請求項に記載の形質転換体を培養する工程、及び得られた培養物からタンパク質を採取する工程を含む、改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素を用いて2-オキソ酸からD-アミノ酸を合成する方法。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項記載の改変型meso-ジアミノピメリン酸脱水素酵素を用いてD-アミノ酸から2-オキソ酸を合成する方法。
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