JP5261055B2 - 改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素及びその利用 - Google Patents
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Description
[1] 野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列中の少なくとも1つの位置のアミノ酸の欠失、置換、付加或いは挿入による改変により得られる改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素であって、前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素に比べて安定性が向上している改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
[2] 前記改変が、前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列における第77位〜第80位に対応する位置で生じている上記[1]の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
[3] 前記改変が、前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列における第77位のリシン、第79位のアルギニン、及び第84位のロイシンからなる群から選択される少なくとも1つに対応する位置におけるアミノ酸の置換である上記[1]の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
[4] 前記アミノ酸置換が、配列番号2に示すアミノ酸配列の第77位に対応する位置におけるリシンのメチオニンへの置換、第79位に対応する位置におけるアルギニンのセリンへの置換、及び第84位に対応する位置におけるロイシンのメチオニンへの置換からなる群から選択される少なくとも1つである上記[3]の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
[5] 前記アミノ酸置換が、以下の(1)又は(2)から選択される上記[4]の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
(1)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第77位に対応する位置におけるリシンのメチオニンへの置換
(2)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第79位に対応する位置におけるアルギニンのセリンへの置換、及び第84位に対応する位置におけるロイシンのメチオニンへの置換
[6] 前記改変が、前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列における第372位のアスパラギンに対応する位置におけるアミノ酸の置換である上記[1]〜[5]の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
[7] 前記アミノ酸置換が、前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列における第372位に対応する位置におけるアスパラギンのバリンへの置換である上記[6]の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
[8] 前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素が、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する上記[1]〜[7]のいずれかの改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかの改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素をコードする単離核酸分子。
[10] 上記[9]の単離核酸分子を含有する組換えベクター。
[11] 上記[10]の組換えベクターを含有する形質転換体。
[12] 上記[11]の形質転換体を培養する工程、及び得られた培養物からホルムアルデヒドの脱水素反応を触媒する能力を有するタンパク質を採取する工程を含む、野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素に比べて熱安定性が向上している改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素の製造方法。
ホルムアルデヒド + NAD+(酸化型) → ギ酸 + NADH(還元型) + H+
本発明の改変型PFDHをコードする核酸分子は、前述の理化学的性質を有するすべての改変型PFDHをコードするものを包含する。例えば、配列番号4、6及び8に記載されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする全てのポリヌクレオチドであり、一具体例としては、配列番号3、5、及び7に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドが挙げられるが、これに限定するものではない。ここで、本発明におけるポリヌクレオチドにはDNA及びRNAの双方が含まれ、DNAである場合には、1本鎖であると、二本鎖であるとは問わない。
そして、本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明の改変型PFDHをコードする核酸分子を組み込ことによって構築することができる。利用可能なベクターとしては、外来DNAを組み込め、かつ宿主細胞中で自律的に複製可能なものであれば特に制限はない。したがって、ベクターは、本発明の改変型PFDHをコードする核酸分子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素部位の配列を含むものである。例えば、プラスミドベクター(pEX系、pUC系、及びpBR系等)、ファージベクター(λgt10、λgt11、及びλZAP等)、コスミドベクター、ウイルスベクター(ワクシニアウイルス、及びバキュロウイルス等)等が包含される。
本発明の形質転換体は、適当な細胞を本発明の改変型PFDHをコードする核酸分子を含む組換えベクターで形質転換することによって構築することができる。ここで、宿主となる細胞としては、本発明の改変型PFDHを効率的に発現できる宿主細胞であれば、特に制限はない。原核生物を好適に利用でき、特には大腸菌を利用することができる。その他、枯草菌、バシラス属細菌、シュードモナス属細菌等をも利用できる。大腸菌としては、例えば、E.coli DH5α、E.coli BL21、E.coli JM109等を利用できる。更に、原核生物に限定されず真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を利用することも可能である。形質転換法としては、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソームフェクション法、マイクロインジェクション法等を既知の方法を利用することができる。
本発明の改変型PFDHの製造方法は、前述の本発明の形質転換体を培養し、得られた培養物からアルデヒド化合物の脱水素反応を触媒する活性を有するタンパク質を採取することにより行なう。即ち、前述の本発明の形質転換体を培養する培養工程と、前記培養工程で発現した前記タンパク質を回収する回収工程とを備える。このように、適当な宿主で発現させることによって、低コストで本発明の改変型PFDHの大量生産が可能となる。
本発明の改変型PFDHは、試料中のアルデヒド化合物の検出のために利用することができる。アルデヒド化合物の検出は、例えば、基質であるアルデヒド化合物に対してNAD+依存的に脱水素反応をする酵素活性を測定することにより行うことができる。酵素の活性は、NAD+依存的にアルデヒド化合物の脱水素反応を触媒する酵素の活性測定法として知られる方法をいずれをも利用して行うことができる。例えば、NAD+の存在下で、本発明の酵素を測定対象となる試料と反応させ、当該酵素の触媒反応で生成するNADH量の変化を340 nmの吸光度変化もって検出する。かかる吸光度変化をもって当該酵素の活性とすることができ、ひいてはNADH量の変化によりアルデヒド化合物の存在を検出することができる。したがって、PFDH活性は、その触媒反応において、生成したNADHを直接定量することによって測定できる。反応液としては、例えば、ホルムアルデヒド等のアルデヒド基質、2 mM のNAD+、25 mM のMgCl2、1MのNaCl及び本発明の酵素溶液を、50 mMリン酸緩衝液(pH 8.8)中にて混合して200μlとすることにより調製することができる。しかしながら、これは標準条件であり、適宜変更することができる。この反応液を、37 ℃で波長340 nmにおける吸光度を測定し、吸光度の増加を求めることにより活性評価試験を行うことができ、吸光度の測定は、既知のマイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス社製)を用いることができる。そして、適当な試験条件が選択されていれば、この変化は、測定しようとする酵素活性に直線的に比例する。このとき、あらかじめ目的濃度範囲内における標準濃度のアルデヒド化合物溶液により標準曲線を作成することにより、得られた吸光度変化値に基づいてアルデヒド化合物濃度を求めることができる。
本発明は、本発明の改変型PFDHを利用するアルデヒド化合物検出用のバイオセンサーを提供する。当該検出センサーは、電極材上に本発明の改変型PFDHが固定化した作用電極、及びその対極を設けて構成される。必要に応じて、参照電極を設けて三電極方式として構成してもよい。電極としては、カーボン、金、白金等を用いることができる。電極材上への酵素の固定化は、既知の方法によって行うことができる。例えば、物理的吸着、イオン結合,共有結合を介して固定化する担体結合法を利用することができる。また、グルタルアルデヒドなどの二価性官能基をもつ試薬で架橋固定する架橋法をも利用でき、更には、アルギン酸,カラギーナン等の多アルデヒド化合物、ポリアクリルアミド等の網目構造をもつゲルや、半透性膜の中に閉じて固定化する包括法等をも利用することができる。そして、本発明のPFDHの酵素活性に際して要求される補酵素NAD+、NAD+の還元体であるNADHを酸化する能力を有する酸化酵素(ジアホラーゼ等)、電子メディエーター(フェロセン、ジクロロインドフェノール等)も、必要に応じて電極材上に固定化して構成される。
本発明は、本発明の改変型PFDHを利用する燃料電池を提供する。本発明の燃料電池は、例えば、酸化反応を行うアノード極と、還元反応を行うカソード極から構成され、必要に応じてアソードとカソードを隔離する電解質層を含んで構成される。そして、アノード電極側では、本発明の改変型PFDHがアルデヒド化合物を酸化することによって生じた電子を電極に取り出すと共に、プロトンを発生する。一方、カソード側では、アノード側で発生したプロトンが酸素と反応することによって水を生成するように構成される。電極としては、カーボン、金、白金等を用いることができる。アノード極側には本発明の改変型PFDHが供給され、適当な緩衝液中に溶解させた形態で供給してもよいが、電極上に固定化されることが好ましい。このとき、改変型PFDHは、好ましくはNADと共に固定化されることが好ましく、特にはNADと結合したホロ酵素の形態で固定化されることが好ましい。また、アポ酵素の形態で固定化し、NADを適当な緩衝液に溶解させた形態で供給してよい。カソード極側には、酸素に電子を伝達することのできる触媒および酵素を必要に応じて供給してよい。電極材上への酵素の固定化は、公知の方法によって行うことができる。例えば、物理的吸着、イオン結合,共有結合を介して固定化する担体結合法を利用することができる。また、グルタルアルデヒドなどの二価性官能基をもつ試薬で架橋固定する架橋法をも利用でき、更には、アルギン酸,カラギーナン等の多アルデヒド化合物、ポリアクリルアミド等の網目構造をもつゲルや、半透性膜の中に閉じて固定化する包括法等をも利用することができる。
分子進化工学的手法と称される酵素改変手法を利用して、本発明の改変型PFDH遺伝子のクローニングを行った。
分子進化工学的手法による酵素改変工程は、以下の5工程から構成される。以下に、その詳細について説明する。
工程1:野生型PFDH遺伝子の取得
工程2:野生型PFDH遺伝子を保持する発現ベクターの構築
工程3:改変型PFDH遺伝子ライブラリーの作製
工程4:改変型PFDHの無細胞タンパク質合成
工程5:改変型PFDHの活性測定
野生型PFDH遺伝子のクローニングは、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)株のゲノムDNAを鋳型とし、PCRによりPFDH遺伝子を増幅することにより行った。ゲノムDNAは、シュードモナス・プチダ株の菌体から、ゲノムDNA抽出キット(プロメガ社製)を使って抽出及び精製を行うことにより調製した。なお、シュードモナス・プチダ株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(国内の微生物・遺伝子バンク:NITE)から分譲を受け、分譲業者の指示に従って菌体培養を行った。
シュードモナス・プチダ用プライマー
5'- GAGCA TATGT CTGGT AATCG TGGTG T - 3'(配列番号9)
5'- CTAAA GCTTA GGCCG CGCTG AGGTC T - 3'(配列番号10)
下線はクローニング用の制限酵素認識部位を示す。
PCR増幅で得られたDNA断片(約1.2 kbp)を、制限酵素Nde-IとHind-IIIで切断し、アガロースゲル電気流動で分離後、ゲルから抽出及び精製を行った。制限酵素処理後の各DNA断片を、タンパク質発現用プラスミドのpET22bベクターとpET23bベクター(ノバジェン社製)の制限酵素部位(Nde-I及びHind-III)にライゲーション反応より組み込み、PFDH遺伝子を保持する発現ベクターを構築した。当該発現ベクターは、T7プロモーター、リポソーム結合部位の下流、T7ターミネーターの上流にPFDH遺伝子を組み込むように構築した。
5'- TAATA CGACT CACTA TAGGG - 3'(配列番号11)
5'- TAGTT ATTGC TCAGC GGTGG - 3'(配列番号12)。
野生型PFDH遺伝子にランダム変異を導入した変異遺伝子ライブラリーを調製した。ここでは、変異導入のための手法として、エラープローンPCR法を用いた。
T7プロモータープライマー:5'-TAATA CGACT CACTA TAGGG-3'(配列番号13)
T7ターミネータープライマー:5'-GCTAG TTATT GCTCA GCGG-3'(配列番号14)
5'- GGA GCT AGG GTT TAC GAG TGG AAT GAT CTC GAT CCC GCG AAATTA ATA C -3'
(配列番号15)
5'- GGA GCT AGG GTT TAC GAG TGG AAT GTC CGG ATA TAG TTC CTCCTT TCA G -3'
(配列番号16)
上記工程3で得られた改変型PFDH遺伝子から、無細胞タンパク質合成システムを利用してタンパク質を合成した。無細胞タンパク質合成システムとして、市販の無細胞タンパク質合成系(ラピッドトランスレーションシステム:RTSシステム:ロシュ社製)を用い、製造業者のプロトコールに従い、反応時間4時間、反応温度30℃を基本条件としてタンパク質を合成した。
レーン1は、何れの分子シャペロンも添加しない場合、レーン2は、GroEを添加した場合、レーン3は、DnaKを添加した場合、レーン4は、GroEとDnaKを両方添加した場合の結果を示す。
工程4にて得られた改変型PFDHの酵素活性を測定した。酵素活性は、PFDHの触媒反応で生成するNADHを波長340 nmの吸光度を測定することに定量し、これを指標として、ホルムアルデヒド分解活性を求めることにより測定した。つまり、PFDHの酵素活性は、ホルムアルデヒド及びNAD+から、ギ酸及びNADHを生成する触媒反応において、生成したNADHを直接定量することによって測定した。
実施例1で得られた改変型を有するクローンについて遺伝子配列を解析した。
本発明の改変型PFDHの高次構造を、X線結晶構造解析に基づいて解析した。
実施例2で確認された所望の改変を有する本発明の改変型PFDHを大腸菌細胞内で組換え生産させた。
レーン1は分子量マーカー、レーン2はPFDH/K77M、レーン3はPFDH/R79S/L84M、レーン4は野生型PFDH(コントロール)、レーン5はPFDH/D372Vの結果を示す。
1.クロマトグラフィー担体(Ni Sepharose:GE Healthcare社製)を25mlの純水で洗浄
2.クロマトグラフィー担体を2.5ml の0.1M NiSO4 で洗浄
3.クロマトグラフィー担体を25mlの純水で洗浄
4.50mlの10mMイミダゾールを含む20mMリン酸緩衝液でクロマトグラフィー担体を平衡化
5.サンプルの添加
6.50mlの10mMイミダゾールを含む20mMリン酸緩衝液でクロマトグラフィー担体を洗浄
7.30mlの20mM リン酸緩衝液、0.5M NaCl(pH 7.4)に100〜500mMのイミダゾールを添加した溶出バッファーで、タンパク質を溶出
8.脱塩クロマトグラフィー担体で脱塩
レーン1は分子量マーカー、レーン2はPFDH/K77M、レーン3はPFDH/R79S/L84M、レーン4は野生型PFDH(コントロール)、レーン5はPFDH/D372Vの結果を示す。
実施例4にて発現させたタンパク質のC末端側に融合しているHisタグペプチドのPFDH活性への影響を検討した。
図4は、Hisタグペプチドが融合したPFDH、及びHisタグペプチドが融合していないPFDHの酵素活性を比較した結果を示す。
上記実施例1で取得され、実施例2で確認された所望の改変型PFDHをコードする遺伝子のDNA断片を、制限酵素Nde-IとHind-IIIで切断し、アガロースゲル電気流動で分離後、ゲルから抽出及び精製を行った。制限酵素処理後の各DNA断片を、タンパク質発現用プラスミドのpET23bベクター(ノバジェン社製)の制限酵素部位(Nde-I及びHind-III)にライゲーション反応より組み込み、PFDH遺伝子を保持する発現ベクターを構築した。このようにして得られた改変型PFDH発現用pET23bベクターを鋳型に用いて、無細胞タンパク質合成系(RTSシステム:ロシュ社製)を用いて、製造業者の指示に従って合成を行った。続いて、FluoroTect(登録商標) GreenLys in vitro Translation Labeling System(プロメガ社製)を用いて、製造業者の指示に従って蛍光標識して酵素合成の成否を確認した。そして、電気泳動により合成物の確認を行うと共に、酵素活性を実施例1の工程4に記載の方法でNADHの340nmの吸光度変化を分光光度計により追跡した。
図5(A)は、4種類の改変型PFDH及び比較例としての野生型PFDHの合成について電気泳動により確認した結果を示し、レーン1はPFDH/K77M、レーン2はPFDH/R79S/L84M、レーン3は野生型PFDH(比較例)、レーン4はPFDH/D372Vの結果を示す。
図5(B)は、合成した4種類の改変型PFDH及び比較例としての野生型PFDHの酵素活性の経時変化を示す。
改変型PFDHについて、熱処理後の残存活性を検討することにより熱安定性をを確認した。
図6(A)は野生型PFDH(比較例)、図6(B)はPFDH/D372V、図6(C)はPFDH/R79S/L84M、図6(D)はPFDH/K77Mの結果を示す。
図7は、今回検討した4種類の改変型PFDH、及び野生型PFDH(比較例)について、50℃での熱処理での残存活性を比較した結果を示す。最も残存活性の高かったPFDH/D372Vの残存活性を100%として、他の改変型及び野生型PFDHの残存活性を相対活性として算出した。
改変型PFDHについて、45℃での保存安定性を検討することにより耐久性を確認した。
図8(A)は野生型PFDH(比較例)、図8(B)はPFDH/D372Vの結果を示す。
大腸菌タンパク質を含む酵素合成液から、PFDHの分離、精製を行った。ここでは、当該改変型PFDHのアミノ酸配列を解析して、その等電点等の物性情報から精製に適した3種類の精製担体を選択した。
工程1:大腸菌の培養:PFDH産生能を有する大腸菌を培養
工程2:大腸菌の回収:遠心分離により菌体を回収し液体窒素で急速に凍結
工程3:菌体の溶解:菌体を緩衝液中に懸濁し、菌体分解液及び界面活性剤を添加して氷中で反応
工程4:菌体の破壊:菌体を超音波破砕処理(OUT PUT 10、DUTY 50、90秒×3回)で破砕
工程5:遠心分離:酵素は可溶性であるため遠心分離により上清を分取
工程6:クロマトグラフィー精製:疎水性クロマトグラフィー(ブチルトヨパール)にて精製
工程7:脱塩:透析チューブ(分画分子量:10,000)にて脱塩
工程8:クロマトグラフィー精製:陰イオンクロマトグラフィー(DE52)にて精製
工程9:脱塩・濃縮:透析チューブ(分画分子量:10,000)にて脱塩、並びに濃縮
工程10:クロマトグラフィー精製:ゲルろ過クロマトグラフィー(セファクリルS-200)にて精製
工程11:緩衝液置換:透析チューブ(分画分子量:10,000)にて緩衝液置換
工程12:保存:ろ過滅菌し、−20℃で保存
工程13:純度測定:蛋白質濃度測定、及び酵素活性測定
図9は、レーン1は、上記工程4後のタンパク質をアクリルアミドゲル電気泳動で確認した結果を示す。レーン2は、工程8後のカラム溶出液に含まれるタンパク質を確認した結果を示す。レーン3は、工程10後のカラム溶出液に含まれるタンパク質を確認した結果を示す。それぞれ、PFDHのバンドを矢印で示す。
図9より、3つの精製担体を使用して順次処理することで、高純度かつ高収量の酵素が精製することができることが確認できた。
Claims (10)
- 野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列中の以下の(1)〜(3)の何れか少なくとも1つの置換によって得られる改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素であって、前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素に比べて安定性が向上している改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
(1)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第77位に対応する位置におけるリシンのメチオニンへの置換
(2)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第79位に対応する位置におけるアルギニンのセリンへの置換、及び第84位に対応する位置におけるロイシンのメチオニンへの置換
(3)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列における第372位に対応する位置におけるアスパラギンのバリンへの置換 - 野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列中の以下の(1)〜(3)から選択される置換によって得られる改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素であって、前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素に比べて安定性が向上している請求項1に記載の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
(1)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第77位に対応する位置におけるリシンのメチオニンへの置換
(2)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列の第79位に対応する位置におけるアルギニンのセリンへの置換、及び第84位に対応する位置におけるロイシンのメチオニンへの置換
(3)前記野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアミノ酸配列において、配列番号2に示すアミノ酸配列における第372位に対応する位置におけるアスパラギンのバリンへの置換 - 野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素が、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する請求項1又は2に記載の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素をコードする単離核酸分子。
- 請求項4に記載の単離核酸分子を含有する組換えベクター。
- 請求項5に記載の組換えベクターを含有する形質転換体。
- 請求項6に記載の形質転換体を培養する工程、及び得られた培養物からホルムアルデヒドの脱水素反応を触媒する能力を有するタンパク質を採取する工程を含む、野生型ホルムアルデヒド脱水素酵素に比べて安定性が向上している改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素の触媒活性を利用してアルデヒド化合物を検出する、アルデヒド化合物の検出方法。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素を電極上に固定化した酵素センサー。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素を含み、前記改変型ホルムアルデヒド脱水素酵素のアルデヒド化合物の酸化反応に伴って生成する電子を受け取るアノード極、酸素に電子を伝達することのできる触媒および酵素のいずれかを保持するカソード極を備え、前記アノード極と前記カソード極とが電気的に結合されている燃料電池。
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JP2010029094A (ja) | 2010-02-12 |
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