JP2002153286A - 酵素の精製法 - Google Patents

酵素の精製法

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JP2002153286A
JP2002153286A JP2000357631A JP2000357631A JP2002153286A JP 2002153286 A JP2002153286 A JP 2002153286A JP 2000357631 A JP2000357631 A JP 2000357631A JP 2000357631 A JP2000357631 A JP 2000357631A JP 2002153286 A JP2002153286 A JP 2002153286A
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Masatake Oe
正剛 大江
Hitoshi Kakiya
均 柿谷
Satoshi Hanzawa
敏 半澤
Kazuhisa Kono
和久 河野
Kenji Tokuhisa
賢治 徳久
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】異種菌株に遺伝子を導入することによって生産
した好熱性微生物由来の酵素を精製する方法であって、
当該酵素を効率よく抽出、濃縮するための精製方法を提
供すること。 【解決手段】異種菌株に遺伝子を導入することによって
生産した好熱性微生物由来の酵素を精製する方法であっ
て、該酵素を含む溶液を60℃以上の温度に2回以上加
熱することからなる精製法により課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異種微生物で生産
した大量の好熱性微生物由来酵素を、簡便、かつ効率よ
く、しかも高純度に精製するための方法に関するもので
ある。アミノトランスフェラーゼに代表される好熱性微
生物由来酵素は、産業用酵素として有用であり、例えば
医薬、農薬又はそれらの合成中間体に利用される光学活
性アミノ酸の合成に使用される酵素である。
【0002】
【従来の技術】医薬、農薬又は医農薬中間体として、光
学活性な非天然型アミノ酸の利用が増加している。例え
ばD−p−ヒドロキシフェニルグリシン、D−フェニル
グリシンは合成ペニシリン中間体であり、L−DOPA
はパーキンソン病の医薬原体であり、L−ホスフィノス
リシンは除草剤の有効成分である。また、糖尿病薬や制
ガン剤の原料としてD−フェニルアラニンが、AIDS
薬や制ガン剤の原料としてL−ターシャリロイシンが、
喘息薬や偏頭痛薬の原料として3−(2−ナフチル)−
L−アラニンが、そして、脳関門通過促進剤や喘息薬の
原料として3−(2−チエニル)−L−アラニンが使用
されている。
【0003】上記の様な非天然型アミノ酸は、食品添加
物や飼料等に大量に使われる天然型アミノ酸とは異な
り、発酵法で生産することが困難であるため、化学合成
プロセスや化学合成プロセスと生物工学的プロセスとを
組み合わせたハイブリッドプロセスによって製造するこ
とが提案されている。かかるプロセスの一例として、ア
ミノ酸アミノ基転移酵素を用い、α−ケト酸をL−アミ
ノ酸に変換する方法が例示できる。この方法には、近年
安価に供給されるようになったL−グルタミン酸やL−
アスパラギン酸等を原料として、有用なLアミノ酸を製
造できるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記したハイブリッド
プロセス等を実施する際には、一般的に熱安定性に優れ
ているため耐熱性が高く、撹拌などの物理的なストレス
や酸、アルカリ、変性剤、界面活性剤等に対しても高い
安定性を示す好熱性微生物由来の酵素を利用することが
考えられる。このため、好熱性微生物由来の酵素につい
ての研究が近年盛んに行われている。
【0005】しかし、超好熱菌は生育温度が80℃以上
と高いことに加え、菌体密度が低いことなどから大量培
養が難しい。このため、遺伝子工学的手法により異なる
菌株にて発現させることが有利であると考えられる。例
えば、超好熱性古細菌由来のアミノトランスフェラーゼ
を異種菌株で発現させた例として、スルフォロバス・ソ
ルファタリカス由来のアスパラギン酸アミノトランスフ
ェラーゼ(Arnone、M.I.ら、Biochi
m.Biophys.Acta 1160,206−2
12,1992年)、パイロコッカス・ホリコシイ由来
の芳香族アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(Mast
ui,I.らJ.Biol.Chem.275,487
1−4879,2000年)、パイロコッカス・フリオ
サス由来のアラニンアミノトランスフェラーゼ(War
d、D.E.ら、J.Bacteriol.182,2
559−2566,2000年)等がある。
【0006】超好熱菌由来の酵素を異種菌株によって発
現させた場合、これらの酵素はしばしば菌体内に蓄積す
る。そのため超音波やホモジナイザーなどによって細胞
を破砕し抽出する必要があるが、得られた抽出液には宿
主菌に由来する夾雑蛋白質が多く含まれているため、目
的とする酵素を効率良く抽出、濃縮する操作が必要であ
る。耐熱性酵素の場合、酵素の熱安定性を利用した加熱
処理が良く知られているが、酵素の安定性や回収率を考
慮して比較的低温の温度で処理すると、多くの夾雑蛋白
質が残留してしまう。これを回避するため、熱処理温度
を高くしたり、熱処理時間を長くすると、耐熱性酵素の
一部が変性してしまい、回収率が低下してしまう。加熱
処理に代えてイオン交換クロマトグラフィーや疎水クロ
マトグラフィー等のクロマトグラフィー操作も考えられ
るが、酵素の回収率は低く、更に操作が煩雑であること
から、効率的な操作とは言えない。
【0007】そこで本発明はの目的は、異種菌株に遺伝
子を導入することによって生産した好熱性微生物由来の
酵素を精製する方法であって、当該酵素を効率よく抽
出、濃縮するための精製方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
になされた本願請求項1の発明は、異種菌株に遺伝子を
導入することによって生産した好熱性微生物由来の酵素
を精製する方法であって、該酵素を含む溶液を60℃以
上の温度に2回以上加熱することからなる、前記酵素の
精製法である。
【0009】本願請求項2の発明は、前記請求項1の発
明に係り、前記精製法において、前記1回目の加熱の
後、最終回目の加熱より前に、以下の操作のうちのいず
れか1以上の操作を実施することを特徴とする。
【0010】(1)前記溶液に有機溶媒を添加して、前
記酵素を沈殿濃縮する操作、(2)前記溶液を塩析し
て、前記酵素を沈殿濃縮する操作、(3)前記溶液を濃
縮膜を用いて濃縮する操作、(4)前記溶液を透析膜を
用いて透析する操作。
【0011】本願請求項3の発明は、前記請求項1の発
明に係り、前記好熱性微生物由来の酵素はアミノトラン
スフェラーゼであることを特徴とする。また本願請求項
4の発明は、前記請求項1の発明に係り、前記加熱に先
立ち、酵素溶液にピリドキサールリン酸を添加すること
を特徴とする。そして本願請求項5の発明は、前記請求
項1の発明に係り、前記好熱性微生物がパイロコッカス
属、サーモコッカス属、スルフォロバス属、エアロパイ
ラム属、デスルフロコッカス属、パイロディクティム
属、パイロバクラム属、アーキオグロバス属、メタノコ
ッカス属、パイロロバス属、サーモプロテウス属、アシ
ディアヌス属、メタノパイラス属、メタノサーマス属又
はサーモトーガ属の何れかの属より選ばれた微生物であ
ることを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の精製法による精製対象は、異種菌
株によって発現(生産)した、好熱性微生物由来の酵素
である以外には、特に制限がない。例えば、パイロコッ
カス属、サーモコッカス属、スルフォロバス属、エアロ
パイラム属、デスルフロコッカス属、パイロディクティ
ム属、パイロバクラム属、アーキオグロバス属、メタノ
コッカス属、パイロロバス属、サーモプロテウス属、ア
シディアヌス属、メタノパイラス属、メタノサーマス属
又はサーモトーガ属に属する微生物に由来する酵素であ
れば本発明の精製対象となり得る。中でもパイロコッカ
ス・フリオスサスやエアロパイラム・ペルニクス等の超
好熱菌に属する微生物は、生育温度が高く、耐熱性に特
に優れた酵素の取得に好適である。更に具体的に、光学
活性非天然型アミノ酸合成に有用なアミノトランスフェ
ラーゼを、本発明の精製法により精製可能な好熱性微生
物由来の酵素として例示できる。
【0013】精製対象である酵素を異種菌株で生産する
方法自体は、通常の遺伝子組換え手法に従えば良い。即
ち、精製対象である酵素をコードする遺伝子を取得し
て、これを発現制御配列(プロモーター配列等)等の制
御下に組み込んだプラスミド等を作製したうえで異種株
菌に導入するのである。より具体的には、以下のような
操作を例示することができる。
【0014】前記した超好熱菌の一部に関しては、既に
ゲノム情報が公開されている。そこで、公開されたゲノ
ム情報に基づいて精製対象酵素をコードする遺伝子の領
域を見出し、常法により菌体よりゲノムを抽出後、制限
酵素部位をタグとして持つオリゴヌクレオチドを用い、
候補となる遺伝子の領域をPCR法等によって増幅す
る。得られたDNA断片を市販のプラスミドベクターへ
挿入し、適当な宿主菌を形質転換する。宿主菌として
は、通常の遺伝子組み換え操作で使用されている酵母、
大腸菌、枯草菌等の通常の宿主を使用することができ
る。
【0015】上記形質転換体を培養すれば精製対象であ
る耐熱性酵素を生産できるが、培養操作に用いる培地は
宿主である菌株が増殖し得るものであれば、特に制限は
ない。例えば宿主の炭素源にはグルコース、ショ糖、デ
ンプン、乳糖、グリセロール等を、窒素源には肉エキ
ス、ペプトン、トリプトン、酢酸アンモニウムや硫酸ア
ンモニウム等のアンモニウム塩等等を、無機塩にはリン
酸1ナトリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸1カリウ
ム、リン酸2カリウム等のリン酸塩やNaCl等を、金
属イオンには硫酸マグネシウム・7水和物、硫酸第一鉄
・7水和物、塩化カルシウム・2水和物等を使用すれば
良い。また更に、培地には酵母エキス、ビタミン類等を
添加しても良い。
【0016】宿主の培養は、通常、通気撹拌、振とうに
よって好気的条件で行うことが好ましく、pHは6〜8
の範囲とすることが例示できるが、使用する宿主に応じ
て適宜調整すれば良い。pHの調整は、アンモニア、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン化合物等の任
意のアルカリ、或いは、塩酸、硫酸、リン酸等の任意の
酸を使用すれば良い。培養時間にも特別の制限はない
が、精製対象である酵素の生成量が最大となるまで培養
することが例示できる。培養温度としては、一般には2
5〜40℃付近が好ましく、培地中の溶存酸素濃度は5
〜50%付近が好ましいが、使用する宿主に応じて適宜
調整すれば良い。また、前記発現制御配列に応じて、酵
素の発現誘導処理を行うこともできる。例えば、糖類や
その誘導体のイソプロピル−β−D−チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)等を添加することによる誘導が例示
できる。
【0017】このようにして培養した培養液から、まず
は菌体を回収する。回収方法としては遠心分離やろ過等
を例示することができる。次に、回収した菌体を緩衝液
に懸濁して破砕するが、使用する緩衝液は精製対象酵素
を不安定にしない限り、いずれの緩衝液でも良い。特殊
な酵素でない限り、例えばリン酸緩衝液、Tris−H
Cl緩衝液、酢酸緩衝液等を使用することが可能であ
り、その濃度やpHについても精製対象酵素を不安定に
しない限りいずれの濃度やpHでも良いが、一般的には
10〜200mMの濃度で、pHは5〜9の範囲であれ
ば良い。また緩衝液には、酵素の安定性を高めるため
に、必要に応じてキレート剤のEDTAや酸化防止剤の
2−メルカプトエタノールやジチオスレイトールを添加
しても良い。菌体の破砕は、浸透圧ショックや超音波処
理、フレンチプレス処理、マントン・ゴーリン・ホモジ
ナイザー処理等の通常の方法により行うことができる。
【0018】以上のようにして調製した、精製対象酵素
を含む溶液(菌体破砕液)又は該溶液から菌体破砕物を
遠心分離等によって除去した溶液(以下、酵素溶液とす
る)に対し、本発明の精製操作を実施する。まず、得ら
れた酵素溶液に対して、加熱処理を行う。本発明におい
ては、60℃以上の温度に加熱する加熱操作により、対
象酵素を精製するものである。加熱処理は、本発明の精
製対象酵素を変性させない範囲で実施する必要があるた
め、その上限温度を概ね100℃とすることが好まし
い。本発明の精製対象酵素は、60〜100℃程度の加
熱処理では概ね安定であるが、酵素溶液中の夾雑蛋白質
は変性され、容易に分離できるようになる。また加熱処
理は、前記目的のために10〜120分の範囲で実施す
ることが好ましい。
【0019】上記のような加熱処理を複数回、好ましく
は2〜3回行うことにより、酵素溶液中の夾雑蛋白質は
変性され、容易に分離可能な状態となる。第2回目以降
の加熱処理においては、前回の加熱処理に比較して、よ
り高い温度及び/又は長い時間で加熱処理することによ
り、対象酵素の精製度を向上することができる。例え
ば、実施例に示したように、1回目では70℃に、そし
て2回目には80℃に加熱する等により、精製度を向上
できる。
【0020】ここで、2回以上の加熱処理の間、即ち第
1回目の加熱の後、最終回目の加熱より前に、少なくと
も1回、以下の操作のうちのいずれか1以上の操作を実
施することにより、精製対象酵素の耐熱性を向上し得る
ことが見出された。従って、このような操作を加熱処理
と加熱処理の間に実施すれば、前回の加熱処理より高い
温度及び/又は長い時間で加熱処理しても精製対象酵素
が熱変性する可能性を減少することが可能となり、より
多く夾雑蛋白の除去、即ち対象酵素の精製度を向上する
ことが可能となる。
【0021】(1)酵素溶液に有機溶媒を添加し、精製
対象酵素を沈殿濃縮する操作 該操作は、精製対象酵素を沈殿させて濃縮する操作であ
る。該操作は、熱変性した夾雑蛋白質を除去した後に実
施する。酵素溶液に添加する有機溶媒としては、例えば
アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ポリエチレングリコール等を例示することができ
る。有機溶媒を添加することにより沈殿、濃縮された精
製対象酵素は、菌体破砕に使用したような緩衝液により
再懸濁したうえで、次の加熱処理に供する。なおこの再
懸濁の際に不溶物がある場合には、遠心分離等により除
去することが好ましい。
【0022】(2)酵素溶液を塩析し、精製対象酵素を
沈殿濃縮する操作 該操作もまた、精製対象酵素を沈殿させて濃縮する操作
である。該操作は、熱変性した夾雑蛋白質を除去した後
に実施する。酵素溶液に添加する無機塩としては、例え
ば硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム
等を例示することができる。無機塩を添加することによ
り沈殿、濃縮された精製対象酵素は、菌体破砕に使用し
たような緩衝液により再懸濁したうえで、次の加熱処理
に供する。なおこの再懸濁の際に不溶物がある場合に
は、遠心分離等により除去することが好ましい。
【0023】(3)酵素溶液を濃縮膜し、精製対象酵素
を濃縮する操作 該操作もまた、精製対象酵素を濃縮する操作である。該
操作は、熱変性した夾雑蛋白質を除去した後に実施す
る。膜濃縮に使用する限外ろ過膜の材質等には特に制限
はなく、精製対象酵素の分子量に鑑みて、適当なポアサ
イズを有する膜を使用すれば良い。膜濃縮により濃縮さ
れた精製対象酵素は、菌体破砕に使用したような緩衝液
により再懸濁したうえで、次の加熱処理に供する。なお
この再懸濁の際に不溶物がある場合には、遠心分離等に
より除去することが好ましい。
【0024】(4)酵素溶液を透析膜を用いて透析する
操作 該操作もまた、精製対象酵素を濃縮する操作である。該
操作は、熱変性した夾雑蛋白質を除去した後に実施す
る。透析に使用する膜の材質等には特に制限はなく、そ
の分画分子量が、精製対象酵素が膜外に溶出しない膜を
使用すれば良い。透析された精製対象酵素は、菌体破砕
に使用したような緩衝液により再懸濁したうえで、次の
加熱処理に供する。なおこの再懸濁の際に不溶物がある
場合には、遠心分離等により除去することが好ましい。
【0025】本発明では、少なくとも第1回目の加熱処
理の前に、酵素溶液に酵素安定化剤を添加しておくこと
が好ましい。かかる酵素安定化剤は、精製対象酵素に応
じて適宜選択すれば良いが、例えば精製対象酵素がアミ
ノトランスフェラーゼであればピリドキサールリン酸や
ピリドキサミンリン酸、2−ケトグルタル酸等を例示す
ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を実施例によりさ
らに詳細に説明するが、本願発明はこれらに限定される
ものではない。
【0027】実施例1 3−(2−ナフチル)−オキソ
プロピオン酸ナトリウムの合成 2−ナフトアルデヒド85.30g(546mmo
l)、馬尿酸99.78g(556mmol)及び酢酸
ナトリウム44.0g(537mmol)を無水酢酸9
00mlに溶解し70℃で3時間加熱撹拌した。放冷後
生成した沈殿物をろ集し、乾燥してアズラクトン体14
9.06gを収率91%で得た。次いでこのアズラクト
ン体149g(498mmol)を1,4−ジオキサン
400mlと濃塩酸280mlの混合溶媒中で23時間
加熱環流した。放冷後酢酸エチルによる抽出、5%炭酸
水素ナトリウム水溶液による抽出を行い、4℃で一晩放
置し生成した結晶をろ集、乾燥して、目的の3−(2−
ナフチル)−オキソプロピオン酸ナトリウムを72.5
0g、収率62%で得た。
【0028】実施例2 酵素活性測定及び蛋白質定量 実施例1で調製した10mMの3−ナフチル−2−オキ
ソプロピオン酸ナトリウム及び10mMのL−グルタミ
ン酸ナトリウム・1水和物を含む0.1Mのリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.0)中70℃5分間保温し酵素反
応を行い、等量の1N酢酸水溶液を加え反応を停止させ
た。この溶液の一部を取り、高速液体クロマトグラフィ
ー(TSk−gel ODS−80TM;商品名、東ソ
ー(株)製を使用)によって生成した3−(2−ナフチ
ル)−アラニンを定量した。
【0029】溶離液には0.14M酢酸ナトリウム−
0.5%トリエチルアミン(pH6.35)を用い、ア
セトニトリルの直線濃度勾配で溶出させ、254nmで
の吸光度で検出した。1分間に1μmoleの3−(2
−ナフチル)−アラニンを生成する活性を1Uとした。
なお、蛋白質の定量は市販の蛋白質定量試薬(プロテイ
アッセイキット;商品名、バイオラッド社製)により求
めた。
【0030】実施例3 パイロコッカス・フリオサス由
来アミノトランスフェラーゼを生産する組換え大腸菌株
の作製 市販の培地(商品名;マリンブロス2216、Difc
o社製)を1リットル容のメジュームビンに37.4g
取り、純水1リットルを加えて溶解し、更に少量のリサ
ズリンを酸化還元指示薬として加えて120℃で20分
間加圧滅菌した。滅菌後、薬サジ一杯分の元素硫黄粉末
を加え、窒素雰囲気下で密栓して97℃に加熱した。こ
の溶液に2%の2−メルカプトエタノールをリサズリン
の赤色が消失するまで滴下し、さらにパイロコッカス・
フリオサスDSM3638株を植菌して97℃で一晩培
養を行った。
【0031】培養終了後、室温まで培養液を冷却し、残
存する元素硫黄及び硫黄酸化物の沈殿を含んだ培養液を
傾斜させて分離、除去し、8000回転、20分の遠心
分離により微生物菌体を回収した。この菌体を1mlの
TNE緩衝液(10mMTris−HCl(pH7.
5)、200mMNaCl、1mMEDTA)に懸濁し
た。これに10%SDSを0.1ml加えて室温に10
分間静置し、溶菌させた。これに水相と等容のフェノー
ル−クロロフォルム(10mMTris−HClで飽
和)を加えて穏やかに攪拌し、遠心操作によって水相を
回収した。この操作を3回繰り返した後、水相と等容の
クロロフォルムによる抽出を行なった。得られた水相に
2.5容のエタノールを加え、室温で10分間静置した
後、遠心によって核酸を回収した。沈殿を70%エタノ
ールで洗浄した後、再度遠心して核酸をペレットとして
回収し、これを400μlのTE緩衝液(10mMTr
is−HCl(pH7.5、1mMEDTA)に溶解し
た。
【0032】この溶液に10mg/mlのRNase
(あらかじめDNaseを熱処理により除去)を最終濃
度50μg/mlになるように2μl加え、37℃で1
時間保温した。これに20%PEG6000/2.5M
NaClを240μl加えてから0℃で2時間静置し
た。これを4℃で遠心し、ペレットを70%エタノール
で洗浄して再度遠心した。得られたペレットを乾固させ
た後400μlのTE緩衝液に溶解してDNA標品とし
た。これにより140μgのDNAが回収された。
【0033】得られた染色体DNAを鋳型として特定の
配列をもつDNAを以下の手順により増幅した。まずプ
ライマーとしては、増幅させようとするDNA配列に相
当する配列を20ないし25塩基含み、かつその5’側
に適当な制限酵素認識配列と、さらにその5’側に1な
いし3塩基の余分な配列を持つように設計した。この余
分な配列は制限酵素が効率的に働くことを助けるもので
あり、その配列と長さは用いる制限酵素によって異な
る。KpnIについてはGGなる2塩基、PstIにつ
いてはAAよりなる2塩基が付加することにより制限酵
素が十分に切断活性をもつことが知られているので(例
えばNEB社カタログを参照)、これを用いることにし
た。すなわち配列番号1及び配列番号2よりなるDNA
配列をプライマーとし、これらのオリゴヌクレオチドを
常法により合成した。
【0034】PCR反応は市販のDNAポリメラーゼ
(Pyrobest;商品名、宝酒造(株)製)を用
い、以下の手順で行なった。すなわち緩衝液(10xP
yrobest;商品名、宝酒造(株))を10μl、
各2.5mMになるように調製されたdNTP混合溶液
を8μl、鋳型となる染色体DNA標品を350ng、
上記プライマーDNAを各々100pmol、前記DN
Aポリメラーゼを0.5μl加えて、全量を100μl
とした。市販の温度サイクリング装置(Thermal
Cycler;商品名、Perkin Elmer社
製)を用いて、「94℃、20秒−59℃、60秒−7
2℃、120秒」というサイクルを30回繰り返し、そ
の後72℃、10分の伸長反応を行なって終了させた。
その一部を0.8%アガロースで分析することにより、
約1400bpのDNAが特異的に増幅されていること
が観察された。この反応によって得られたDNA量は約
10μgであった。
【0035】得られたDNAを常法に従いフェノール−
クロロフォルム(10mMTris−HClで飽和)抽
出で除タンパクし、次いでクロロフォルムによる抽出を
行なった。エタノール沈殿により回収したDNAのうち
6μgに40UのKpnIと60UのPstIによる酵
素消化を各々37℃で2時間行なった。一方、3μgの
pUC18DNAを用いて、これを同様に40UのKp
nIと60UのPstIで各々37℃で2時間酵素消化
を行なった。こうして得られた両方の酵素消化物を0.
8%アガロースで電気泳動させ、ゲルから常法により抽
出して精製した。次に両者のDNAを等モル混合し、ラ
イゲーション反応に供した。反応物を常法に従って大腸
菌HB101に導入した。形質転換菌は50μg/ml
のカルベニシリンを含む寒天培地で選択し、生じたコロ
ニーからプラスミドを定法によって抽出、分析すること
により、約1400bpのKpnI−PstI挿入断片
を有するプラスミドを保有する菌株を同定した。これを
HB101/pPFAT1と呼び、以下の実験に供し
た。
【0036】実施例4 パイロコッカス・フリオサス由
来のアミノトランスフェラーゼ(組換え酵素)の調製 実施例3で得られた組換え大腸菌HB101/pPFA
T1を200ml容のバッフル付き3角フラスコを用い
50μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地(1%
バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキストラ
クト、0.5%NaCl)40mlで37℃で15時間
振とう培養を行った。この培養液30mlを50μg/
mlのアンピシリンを含むTG培地(5%トリプチケー
スペプトン、3.5%グリセロール、0.7%リン酸2
ナトリウム0、0.3%リン酸1カリウム、0.1%塩
化アンモニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.07
4%硫酸マグネシウム7水和物、0.00732%硫酸
第一鉄7水和物、0.00436%塩化カルシウム2水
和物、pH7.2)3リットルに植菌し、5リットル容
の発酵槽を用いて37℃で29時間撹拌培養した。培養
終了後、8000回転、20分の遠心分離により菌体を
回収し秤量したところ188gだった。この菌体に60
0mlの50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.
0)を加え懸濁し、超音波により菌体を破砕し、無細胞
抽出液を得た。得られた無細胞抽出液にピリドキサール
リン酸を1mMの濃度になる様に加え、酵素活性及び蛋
白質量を測定するとそれぞれ389,290U、16,
429mg、比活性は23.7U/mgを示した。
【0037】実施例5 1回目加熱処理(パイロコッカ
ス・フリオサス) 実施例4で得られた無細胞抽出液にピリドキサールリン
酸を1mMの濃度になるよう加え、70℃の湯浴にて3
0分間浸し加熱処理を行った。生じた沈殿物を8000
回転、20分の遠心分離により除去し、上清の酵素活性
及び蛋白質量を測定するとそれぞれ272,064U、
4,498mg、比活性は60.5U/mgを示し、実
施例4の無細胞抽出液からの酵素の回収率は70%だっ
た。
【0038】実施例6 アセトン処理(パイロコッカス
・フリオサス) 実施例5で得られた加熱処理後の酵素溶液520mlに
等量の冷アセトンを氷水下、撹拌しながらゆっくりと滴
下し、2時間放置した。生じた沈殿を8000回転、2
0分の遠心分離にて回収し、100mlの50mMTr
is−HCl緩衝液(pH7.8)に溶解し、酵素活性
及び蛋白質量を測定すると、それぞれ204,014
U、3,256mg、比活性63.6U/mgを示し、
実施例4の無細胞抽出液からの酵素の回収率は52%だ
った。
【0039】実施例7 2回目加熱処理(パイロコッカ
ス・フリオサス) 実施例6で得られたアセトン処理後の酵素溶液を80℃
の湯浴に15分間浸し、加熱処理した。8000回転、
20分の遠心分離にて生じた沈殿を除去後、得られた上
清より酵素活性及び蛋白質量を測定すると、それぞれ1
95,250U、2,173mg、比活性89.9U/
mgを示した。実施例4の無細胞抽出液からの酵素の回
収率は50%、実施例6のアセトン沈殿から回収率は9
6%と良好だった。実施例4から7の酵素溶液をSDS
−ポリアクリルアミドゲル(11.3%)電気泳動にて
分析した結果を図1に示した。2回目の加熱処理で分子
量約55,000の蛋白質がほとんど除去され、純度の
向上が認められた。
【0040】実施例8 エアロパイラム・ペルニクス由
来アミノトランスフェラーゼを生産する組換え大腸菌株
の作製 市販の培地(商品名;マリンブロス2216、Difc
o社製)を1リットル容のメジュームビンに37.4g
取り、純水1リットルを加えて溶解して、120℃で1
0分間の加圧滅菌処理した。この培地700mlに、除
菌フィルターを通した10%チオ硫酸ナトリウム水溶液
を10ml(終濃度0.1%)を加え、これにエアロパ
イラム・ペルニクスJCM9820株を接種し、好気性
環境下、90℃で約24時間培養を行なった。
【0041】培養終了後、室温まで培養液を冷却し、菌
体を遠心分離で集め(約0.23g)、これを1mlの
TNE緩衝液(10mMTris−HCl(pH7.
5)、200mMNaCl、1mMEDTA)に懸濁し
た。これに10%SDSを0.1ml加えて室温に10
分間静置し、溶菌させた。これに水相と等容のフェノー
ル−クロロフォルム(10mMTris−HClで飽
和)を加えて穏やかに攪拌し、遠心操作によって水相を
回収した。この操作を5回繰り返した後、水相と等容の
クロロフォルムによる抽出を2回行なった。得られた水
相に2.5容のエタノールを加え、室温で5分間静置し
た後、遠心によって核酸を回収した。沈殿を70%エタ
ノールで洗浄した後、再度遠心して核酸をペレットとし
て回収し、これを400μlのTE緩衝液(10mMT
ris−HCl(pH7.5)、1mMEDTA)に溶
解した。この溶液に10mg/mlのRNase(あら
かじめDNaseを熱処理により除去)を最終濃度50
μg/mlになるように2μl加え、37℃で1時間保
温した。これに20%PEG6000/2.5MNaC
lを240μl加えてから0℃で2時間静置した。これ
を4℃で遠心し、ペレットを70%エタノールで洗浄し
て再度遠心した。得られペレットを乾固させた後400
μlのTE緩衝液に溶解してDNA標品とした。これに
より77μgのDNAが回収された。
【0042】得られた染色体DNAを鋳型として特定の
配列をもつDNAを以下の手順により増幅した。まずプ
ライマーとしては、増幅させようとするDNA配列に相
当する配列を25塩基前後含み、かつその5’側に適当
な制限酵素認識配列と、さらにその5’側に2ないし4
塩基の余分な配列を持つように設計した。この余分な配
列は制限酵素が効率的に働くことを助けるものであり、
その配列と長さは用いる制限酵素によって異なる。Sa
cIについてはATCCなる4塩基、PstIについて
はAAよりなる2塩基が付加することにより制限酵素が
十分に切断活性をもつことが知られているので(例えば
NEB社カタログ参照)、これを用いることにした。す
なわち配列番号3及び配列番号4よりなるDNA配列を
プライマーとし、これらのオリゴヌクレオチドを常法に
より合成した。PCR反応は市販のDNAポリメラーゼ
(Pyrobest;商品名、宝酒造(株)製)を用
い、以下の手順で行なった。すなわち緩衝液(10xP
yrobest;商品名、宝酒造(株))を10μl、
各2.5mMになるように調製されたdNTP混合溶液
を8μl、鋳型となる染色体DNA標品を240ng、
上記プライマーDNAを各々100pmol、前記DN
Aポリメラーゼを0.5μl加えて、全量を100μl
とした。市販の温度サイクリング装置(Thermal
Cycler;商品名、Perkin Elmer社
製)を用いて、「94℃、20秒−60℃、60秒−7
2℃、120秒」というサイクルを30回繰り返し、そ
の後72℃、10分の伸長反応を行なって終了させた。
その一部を0.8%アガロースで分析することにより、
約1400bpのDNAが特異的に増幅されていること
が観察された。この反応によって得られたDNA量は約
10μgであった。
【0043】得られたDNAを常法に従いフェノール−
クロロフォルム(10mMTris−HClで飽和)抽
出で除タンパクし、次いでクロロフォルムによる抽出を
行なった。エタノール沈殿により回収したDNAのうち
6μgに40UのSacIと60UのPstIによる酵
素消化を各々37℃で2時間行なった。一方、5μgの
プラスミドベクターDNA(pH0985−3)を用い
て、これを同様に40UのSacIと60UのPstI
で各々37℃で2時間酵素消化を行なった。こうして得
られた両方の酵素消化物を0.8%アガロースで電気泳
動させ、ゲルから常法により抽出して精製した。次に両
者のDNAを等モル混合し、ライゲーション反応に供し
た。反応物を常法に従って大腸菌HB101に導入し
た。形質転換菌は50μg/mlのカルベニシリンを含
む寒天培地で選択し、生じたコロニーからプラスミドを
常法によって抽出、分析することにより、約1400b
pのSacI−PstI挿入断片を有するプラスミドを
保有する菌株を同定した。これをHB101/pAPA
T1と呼び、以下の実験に供した。
【0044】実施例9 エアロパイラム・ペルニクス由
来のアミノトランスフェラーゼ(組換え酵素)の調製 実施例8で得られた組換え大腸菌HB101/pAPA
T1を200ml容のバッフル付き3角フラスコを用い
50μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地(1%
バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキストラ
クト、0.5%NaCl)40mlで37℃で15時間
振とう培養を行った。この培養液30mlを50μg/
mlのアンピシリンを含むTG培地(5%トリプチケー
スペプトン、3.5%グリセロール、0.7%リン酸2
ナトリウム0、0.3%リン酸1カリウム、0.1%塩
化アンモニウム、0.05%塩化ナトリウム、0.07
4%硫酸マグネシウム7水和物、0.00732%硫酸
第一鉄7水和物、0.00436%塩化カルシウム2水
和物、pH7.2)3リットルに植菌し、5リットル容
の発酵槽を用いて37℃で培養を行った。培養液のOD
600の吸光度が約1.0になった時点で終濃度が0.
5mMになるようIPTG(イソプロピル−β−チオガ
ラクトピラノシド)を加えさらに約16時間培養した。
培養終了後、8000回転、20分の遠心分離により菌
体を回収し秤量したところ219gだった。集めた菌体
を500mlの50mMのTris−HCl緩衝液(p
H7.8)で洗浄後、同じ緩衝液500mlで再度懸濁
し、超音波で菌体の破砕を行った。得られた無細胞抽出
液にピリドキサールリン酸を1mMの濃度になるように
加え、酵素活性及び蛋白質を求めたところ、それぞれ6
4,861U、20,702mg、比活性は3.13U
/mgだった。
【0045】実施例10 1回目加熱処理(エアロパイ
ラム・ペルニクス) 実施例9より得られた無細胞抽出液を70℃の湯浴に3
0分間浸し、生じた沈殿を8000回転、20分の遠心
分離により除去した。得られた上清の酵素活性及び蛋白
量を求めたところそれぞれ45,898U、4,104
mg、比活性は11.2U/mgだった。実施例9の無
細胞抽出液からの酵素の回収率は71%だった。
【0046】実施例11 アセトン処理(エアロパイラ
ム・ペルニクス) 実施例10で得られた加熱処理液に対して等量のアセト
ンを氷冷下撹拌しながらゆっくりと滴下させ酵素を沈殿
させた。8000回転、20分の遠心分離にて沈殿を回
収後、4mlの50mMのTris−HCl緩衝液(p
H7.8)に溶解し、酵素活性及び蛋白量を求めたとこ
ろそれぞれ33,235U、2,771mg、比活性1
2.0U/mgだった。実施例9の無細胞抽出液からの
酵素の回収率は51%だった。
【0047】実施例12 2回目加熱処理(エアロパイ
ラム・ペルニクス) 実施例11で得られたアセトン処理液を80℃の湯浴に
20分間浸し、生じた沈殿を8000回転、20分の遠
心分離により除去した。得られた上清の一部を用いて酵
素活性及び蛋白量を求めたところそれぞれ31,741
U、646mg、比活性は48.7U/mgだった。酵
実施例9の無細胞抽出液からの酵素の回収率は49%だ
った。実施例9から12の酵素溶液をSDS−ポリアク
リルアミドゲル(11.3%)電気泳動にて分析した結
果を図2に示した。2回目の加熱処理で分子量約55,
000の蛋白質がほとんど除去され、純度の向上が認め
られた。
【0048】実施例13 透析酵素の熱安定性の確認 実施例5で得られた70℃で加熱処理を1回行った酵素
溶液の一部を市販の透析膜(商品名;スペクトラポア、
分画分子量12,000〜14,000、スペクトラム
社製)を用いて50mMTris−HCl緩衝液(pH
7.8)に一晩透析を行った。この溶液を70℃の湯浴
に3時間保温し、生じた沈殿を遠心分離により除去し
た。得られた上清の活性を測定し、加熱処理前の活性と
比較を行い酵素の回収率を求めたところ83%だった。
上清のSDS−ポリアクリルアミドゲル(11.3%)
電気泳動による分析結果を図3に示したが、分子量約5
5,000の蛋白質がほとんど除去され、純度の向上が
認められた。
【0049】実施例14 透析酵素の熱安定性の確認2 透析に用いる緩衝液を50mMリン酸カリウム(pH
7.0)としたこと以外は実施例13と同様の操作を行
い、酵素の回収率を求めたところ89%だった。上清の
SDS−ポリアクリルアミドゲル(11.3%)電気泳
動による分析結果を図3に示したが、分子量約55,0
00の蛋白質がほとんど除去され、純度の向上が認めら
れた。
【0050】比較例1 未透析酵素の熱安定性 実施例5で得られた酵素を70℃の湯浴に3時間保温
し、生じた沈殿を遠心分離にて除去した後の上清の活性
を測定し、酵素の回収率を求めたところ47%を示し、
透析した酵素と比較して明らかに回収率が低かった。
【0051】
【発明の効果】本発明により、異種微生物により生産さ
れた好熱性微生物由来の酵素を簡便に、大量に、効率よ
く、高純度に精製することができる。また、1回目の加
熱処理後に濃縮操作又は透析操作を施すという本発明の
好ましい形態では、酵素の熱安定性を向上し、これによ
り2回目の加熱処理温度を高くすることや加熱処理時間
を長くすることが可能となり、酵素を更に効率よく、高
純度に精製できる。
【0052】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Tosoh Corporation <120> 酵素の精製法 <130> PA211-0327 <160> 4 <210> 1 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> パイロコッカス・フリオサスDSM3638株由来のDNA増幅用プライ マー <400> 1 ggggtaccgt cggaaaatac ctagtgagca a 31 <210> 2 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> パイロコッカス・フリオサスDSM3638株由来のDNA増幅用プライ マー <400> 2 aactgcagct cactaaaact cacaaacact c 31 <210> 3 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> エアロパイラム・ペルニクスJCM9820株由来のDNA増幅用プライ マー <400> 3 atccgagctc atggtagatt acgacaggct tttc 34 <210> 4 <211> 34 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> エアロパイラム・ペルニクスJCM9820株由来のDNA増幅用プライ マー <400> 4 aactgcagta tcgctattat cttcctcctc gt 32
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4から7のパイロコッカス・フリオサス
由来のアミノトランスフェラーゼの純度測定結果(溶液
中の酵素と供雑物の状態)を示す図(SDS電気泳動写
真)である。図中、第1のカラムは分子量マーカー、第
2のカラムは無細胞抽出液、第3のカラムは第1回目の
加熱処理を行った酵素溶液、第4のカラムはアセトン処
理を行った酵素溶液、そして第5のカラムは第1回目の
加熱処理を行った酵素溶液について、それぞれ示してい
る。図右側の数字は、分子量マーカーの泳動結果から推
定した見かけ上の分子量をそれぞれ示す。また図中矢印
で示したのは、分子量から推定したパイロコッカス・フ
リオサス由来のアミノトランスフェラーゼのバンドであ
る。
【図2】実施例9から12のエアロパイラム・ペルニク
ス由来のアミノトランスフェラーゼの純度測定結果を示
す図である。図中、第1のカラムは分子量マーカー、第
2のカラムは無細胞抽出液、第3のカラムは第1回目の
加熱処理を行った酵素溶液、第4のカラムはアセトン処
理を行った酵素溶液、そして第5のカラムは第1回目の
加熱処理を行った酵素溶液について、それぞれ示してい
る。図右側の数字は、分子量マーカーの泳動結果から推
定した見かけ上の分子量をそれぞれ示す。また図中矢印
で示したのは、分子量から推定したエアロパイラム・ペ
ルニクス由来のアミノトランスフェラーゼのバンドであ
る。
【図3】実施例13及び14の透析後に2回目の加熱処
理を施したパイロコッカス・フリオサス由来のアミノト
ランスフェラーゼの純度測定結果を示す図である。図
中、第1のカラムは分子量マーカー、第2のカラムは無
細胞抽出液、第3のカラムは第1回目の加熱処理を行っ
た酵素溶液、第4のカラムはトリス緩衝液を用いて透析
操作を行った後第2回目の加熱処理を行った酵素溶液、
そして第5のカラムはリン酸カルシウム緩衝液を用いて
透析操作を行った後第2回目の加熱処理を行った酵素溶
液について、それぞれ示している。図右側の数字は、分
子量マーカーの泳動結果から推定した見かけ上の分子量
をそれぞれ示す。また図中矢印で示したのは、分子量か
ら推定したパイロコッカス・フリオサス由来のアミノト
ランスフェラーゼのバンドである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 9/10 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:19) C12R 1:01) (72)発明者 徳久 賢治 神奈川県相模原市旭町23−4−305 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 AA07 BA10 CA03 DA06 EA04 HA03 4B050 CC03 DD02 FF03C FF03E FF04C FF05C FF20C LL01 LL05 4B065 AA01Y AA26X AB01 AC02 AC14 BA02 BD08 BD15 BD28 BD50 CA29 CA44 CA47

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異種菌株に遺伝子を導入することによって
    生産した好熱性微生物由来の酵素を精製する方法であっ
    て、該酵素を含む溶液を60℃以上の温度に2回以上加
    熱することからなる、前記酵素の精製法。
  2. 【請求項2】前記1回目の加熱の後、最終回目の加熱よ
    り前に、以下の操作のうちのいずれか1以上の操作を実
    施することを特徴とする、請求項1の精製法。(1)前
    記溶液に有機溶媒を添加して、前記酵素を沈殿濃縮する
    操作、(2)前記溶液を塩析して、前記酵素を沈殿濃縮
    する操作、(3)前記溶液を濃縮膜を用いて濃縮する操
    作、(4)前記溶液を透析膜を用いて透析する操作。
  3. 【請求項3】前記好熱性微生物由来の酵素はアミノトラ
    ンスフェラーゼであることを特徴とする、請求項1の精
    製法。
  4. 【請求項4】前記加熱に先立ち、酵素溶液にピリドキサ
    ールリン酸を添加することを特徴とする請求項1の精製
    法。
  5. 【請求項5】前記好熱性微生物は、パイロコッカス属、
    サーモコッカス属、スルフォロバス属、エアロパイラム
    属、デスルフロコッカス属、パイロディクティム属、パ
    イロバクラム属、アーキオグロバス属、メタノコッカス
    属、パイロロバス属、サーモプロテウス属、アシディア
    ヌス属、メタノパイラス属、メタノサーマス属又はサー
    モトーガ属の何れかの属より選ばれた微生物であること
    を特徴とする、請求項1の精製法。
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