JP2011167107A - 光学活性アミノ酸及びアミノ酸誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性アミノ酸及びアミノ酸誘導体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造方法の提供。
【解決手段】アミノ酸誘導体を水性媒体中で加水分解酵素と接触させることを特徴とする、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学活性アミノ酸及びアミノ酸誘導体の製造方法に関する。
光学活性α-アミノ酸の製造方法は、化学的合成法、生物学的合成法など、数多く報告されている。光学活性α-アミノ酸のうち、特にD-α-アミノ酸は、発酵技術による工業的規模での大量生産が困難であることから、効率の良い合成法の開発が強く望まれている。D-α-アミノ酸の生物学的合成法としては、例えば、立体特異的なα-アミノ酸アミド加水分解能を有する菌体もしくは酵素を用いたラセミ体α-アミノ酸アミドの光学分割法が報告されている(特許文献1から6)。この方法は、原料となるラセミ体α-アミノ酸アミドの製造が容易であり、多種の光学活性D-α-アミノ酸製造に応用が可能であること、また、選択性の高い菌体または酵素の取得により光学的に純粋なD-α-アミノ酸が容易に製造可能であることなどの理由により、D-α-アミノ酸の汎用的な製造法として有用である。
また、α-アミノ酸−p−ニトロアニリドに特異的に作用するアミノペプチダーゼも見出されており、光学活性アミノ酸及び光学活性アミノ酸誘導体の製造に用いることができる(特許文献7)。
しかし、α-アミノ酸−p−ニトロアニリドなどのアミノ酸誘導体に作用する酵素は、L-アミノ酸−p−ニトロアニリドに立体特異的に作用するものしか見出されておらず、D-体のアミノ酸アミド誘導体に立体特異的に作用するものが求められていた。
特開昭60-184392号公報 特開昭61-96989号公報 特開昭61-274690号公報 特開昭63-87998号公報 特開平1-2254842号公報 特開平2-234678号公報 特開平9-510623号公報
このような状況下、D-アミノ酸誘導体に立体特異的に作用して、D-アミノ酸を生成し、L-アミノ酸誘導体を系内に残存させる性質を持つ酵素が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、驚くべきことにL-アミノ酸アミドに立体特異的に作用するアミダーゼが、アミノ酸誘導体に対しては、逆の立体選択性を示し、D-アミノ酸誘導体に立体特異的に作用することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)下記一般式(I)で示される化合物を、水性媒体中で加水分解酵素と接触させることを特徴とする、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造方法。


[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は-(CH2)n-R3{式中、nは0〜3の整数を表し、R3は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC6-12アリール基、-OH、-CO-OCH3、-S-CH3又は下記式で示される置換基:


を表す}を表し、Xは、p-ニトロアニリノ基、3-ヒドロキシメチル-4-ニトロアニリノ基、4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノアニリノ基、4-(N,N-ジエチル)アミノアニリノ基又は7-アミノ-4-メチルクマリノ基を表す。]
(2)一般式(I)で示される化合物が、ロイシン-p-ニトロアニリド、メチオニン-p-ニトロアニリド、セリン-p-ニトロアニリド、フェニルアラニン-p-ニトロアニリド、トリプトファン-p-ニトロアニリド、α-メチルバリン-p-ニトロアニリド、α-メチルロイシン-p-ニトロアニリド、α-メチルトリプトファン-p-ニトロアニリド、γ-クロロ-イソバリン-p-ニトロアニリド、γ-メトキシカルボニル-α-メチル-α-アミノ酪酸-p-ニトロアニリド及び3,4-ジメトキシ-α-メチルフェニルアラニン-p-ニトロアニリドからなる群から選択される少なくとも1種である、上記(1)に記載の方法。
(3)加水分解酵素が、L-アミノ酸アミド及びD-アミノ酸誘導体に立体特異的に作用するものである、上記(1)に記載の方法。
(4)加水分解酵素が、好熱菌由来のアミダーゼ及びL-tert-ロイシンアミダーゼからなる群から選択される少なくとも1種である、上記(1)に記載の方法。
(5)D-アミノ酸が、D-アラニン、D-アルギニン、D-アスパラギン、D-アスパラギン酸、D-システイン、D-グルタミン、D-グルタミン酸、D-ヒスチジン、D-イソロイシン、D-ロイシン、D-リシン、D-メチオニン、D-フェニルアラニン、D-プロリン、D-セリン、D-トレオニン、D-トリプトファン、D-チロシン及びD-バリンからなる群から選択される少なくとも1種である、上記(1)に記載の方法。
(6)L-アミノ酸誘導体が、L-ロイシン-p-ニトロアニリド、L-メチオニン-p-ニトロアニリド、L-セリン-p-ニトロアニリド、L-フェニルアラニン-p-ニトロアニリド、L-トリプトファン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルバリン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルロイシン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルトリプトファン-p-ニトロアニリド、L-γ-クロロ-イソバリン-p-ニトロアニリド、L-γ-メトキシカルボニル-α-メチル-α-アミノ酪酸-p-ニトロアニリド及びL-3,4-ジメトキシ-α-メチルフェニルアラニン-p-ニトロアニリドからなる群から選択される少なくとも1種である、上記(1)に記載の方法。
本発明により、一般式(I)で示される化合物からD-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体を製造する方法を提供することができる。
アミダーゼ発現プラスミドpTA002を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。なお、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
本発明は、酵素反応により、一般式(I)で示される化合物からD-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体を製造する方法である。本発明者らは、L-アミノ酸アミドに立体特異的に作用するアミダーゼが、α-アミノ酸−p−ニトロアニリドを基質とした場合、D-アミノ酸−p−ニトロアニリドに立体特異的に作用することを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
1.一般式(I)で示される化合物
本発明に使用される化合物は、下記一般式(I)で示される。



[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は-(CH2)n-R3{式中、nは0〜3の整数を表し、R3は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC6-12アリール基、-OH、-CO-OCH3、-S-CH3又は下記式で示される置換基:


を表す}を表し、Xは、p-ニトロアニリノ基、3-ヒドロキシメチル-4-ニトロアニリノ基、4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノアニリノ基、4-(N,N-ジエチル)アミノアニリノ基又は7-アミノ-4-メチルクマリノ基を表す。]
本発明において、「C1-6アルキル基」とは、炭素数が1〜6個の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
「C6-12アリール基」とは、炭素数が6〜12個の芳香族炭化水素環式基を意味し、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、インデニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニル基などが挙げられる。
「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、好ましくは塩素原子である。
なお、「置換基を有していてもよい」とは、置換基の置換可能な位置にさらに置換基を有していてもよいことを意味し、その置換基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C6-12アリール基などが挙げられる。「C1-6アルコキシ基」とは、C1-6アルキル基が酸素原子に結合した構造の置換基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。その他の各置換基の定義は上記と同じである。置換基の数は例えば1〜3個である。
本発明において、「一般式(I)で示される化合物」としては、アミノ酸誘導体が好ましく、例えば、ロイシン-p-ニトロアニリド、メチオニン-p-ニトロアニリド、セリン-p-ニトロアニリド、フェニルアラニン-p-ニトロアニリド、トリプトファン-p-ニトロアニリド、α-メチルバリン-p-ニトロアニリド、α-メチルロイシン-p-ニトロアニリド、α-メチルトリプトファン-p-ニトロアニリド、γ-クロロ-イソバリン-p-ニトロアニリド、γ-メトキシカルボニル-α-メチル-α-アミノ酪酸-p-ニトロアニリド、3,4-ジメトキシ-α-メチルフェニルアラニン-p-ニトロアニリドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、「一般式(I)で示される化合物」には、L-アミノ酸誘導体とD-アミノ酸誘導体との混合物、例えばラセミ混合物が含まれる。
2.加水分解酵素
本発明において使用される加水分解酵素は、上記一般式(I)で示される化合物を基質として作用するものであれば限定されるものではないが、例えば、好熱菌由来のアミダーゼ、LTL(L-tert-ロイシン)アミダーゼが挙げられる。ここで、「好熱菌」としては、Thermus sp.属のものが挙げられ、Thermus sp.0-3-1株(FERM BP-8139)が好ましい。
また、本発明の加水分解酵素としては、アミノ酸アミドに対してはL-アミノ酸アミドに立体特異的に作用し、アミノ酸誘導体に対してはD-アミノ酸誘導体に立体特異的に作用するものが好ましい。本発明において、「立体特異的に作用」とは、光学異性体のうち、いずれか一方の異性体と優先的に作用することをいう。また、「作用」とは、基質となるアミノ酸誘導体の加水分解反応を触媒することをいう。
3.酵素溶液の調製
(1)本発明の加水分解酵素を発現する形質転換体の調製
本発明の酵素を発現する遺伝子は、目的の酵素遺伝子を含む既知のプラスミドDNAなどを鋳型に用いて、PCR法で目的の酵素遺伝子を含む遺伝子断片を増幅することにより得ることができる。
得られた酵素遺伝子は、宿主で発現させるために、当該酵素遺伝子の上流に転写プロモーターを挿入し、下流にターミネーターを挿入して発現カセットを構築し、このカセットを発現ベクターに挿入することができる。あるいは、当該遺伝子を挿入する発現ベクターに転写プロモーターとターミネーターが既に存在する場合には、発現カセットを構築することなく、ベクター中のプロモーターとターミネーターを利用してその間に当該酵素遺伝子を挿入することができる。ベクターに当該酵素遺伝子を挿入するには、制限酵素を用いる方法、トポイソメラーゼを用いる方法等を利用する。本発明に使用されるベクターは、上記の酵素遺伝子を保持するものであれば特に限定されず、それぞれの宿主に適したベクターを使用することができる。
本発明において形質転換に使用する宿主は、上記ベクターが導入された後、目的の酵素を発現することができる限り特に限定されるものではない。宿主としては、例えば、大腸菌、酵母(Pichia属、Saccharomyces属に属する酵母等)、昆虫細胞等が挙げられる。
酵素を発現する形質転換体は、酵素遺伝子を含有する上記ベクターを宿主に導入することにより得ることができる。形質転換の方法としては、電気穿孔法、リポフェクション法、ヒートショック法、PEG法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法等を挙げることができる。当業者であれば、宿主と発現ベクターの組み合わせに適した形質転換方法を選択して実施することができる。
宿主に大腸菌を用いる場合、形質転換した大腸菌を適当な培地(LB培地等)で培養し、用いる発現ベクターによっては、IPTG等で目的とする酵素タンパク質の発現誘導を制御することができる。培養後に得られた培養物から、目的とする酵素を得ることができる。ここで、「培養物」には、培養上清、培養細胞、培養菌体が含まれる。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に準じて行われる。目的の酵素は、上記培養物中に蓄積される。
形質転換体を培養する培地は、宿主菌が資化し得る炭素原、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、ガラクトース、フラクトース、スクロース、ラフィノース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物が挙げられる。その他、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、各種アミノ酸等を用いてもよい。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。
培養は、通常、振盪培養又は通気撹拌培養などの好気条件下、10℃〜40℃、好ましくは20℃〜37℃で5〜100時間行う。pHの調整は、無機酸又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行うことができる。
以上の方法により、本発明の酵素を発現する形質転換体を調製することができる。
(2)酵素溶液の調製
上記形質転換体を培養することにより、目的とする酵素が形質転換体内に生産される場合がある。この場合は、超音波処理(ホモジナイザー処理)などを施して菌体を破砕することにより、目的とする酵素を回収することができる。例えば、菌体を破砕した後、遠心分離等により菌体を除去し、硫安沈殿による抽出等により培養物中から目的とする酵素を回収する。さらに必要に応じて、透析、各種クロマトグラフィー等を用いて単離精製することができる。これにより、本発明の酵素を調製することができる。
なお、本発明に使用する酵素としては、酵素を発現する菌体をそのまま使用することも、菌体処理物(洗浄菌体、乾燥菌体、菌体破砕物、菌体抽出物、粗酵素又は精製酵素、及びこれらの固定化物)を使用することもできるが、精製酵素が好ましい。
さらに、本発明の酵素は、無細胞タンパク質合成系を採用して産生させることも可能である。無細胞タンパク質合成系とは、細胞抽出液を用いて試験管などの人工容器内でタンパク質を合成する系である。なお、本発明において使用される無細胞タンパク質合成系には、DNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系も含まれる。この場合、上記の宿主に対応する生物は、下記の細胞抽出液の由来する生物に相当する。ここで、上記細胞抽出液は、真核細胞由来又は原核細胞由来の抽出液、例えば、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球、マウスL-細胞、HeLa細胞、CHO細胞、出芽酵母、大腸菌などの抽出液を使用することができる。なお、これらの細胞抽出液は濃縮されたものであっても濃縮されないものであってもよい。
細胞抽出液は、例えば限外濾過、透析、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿等によって得ることができる。さらに本発明において、無細胞タンパク質合成は、市販のキットを用いて行うこともできる。そのようなキットとしては、例えば試薬キットPROTEIOSTM(東洋紡)、TNTTM System(プロメガ)、合成装置のPG-MateTM(東洋紡)、RTS(ロシュ・ダイアグノスティクス)などが挙げられる。
上記のように無細胞タンパク質合成によって得られる酵素は、適宜クロマトグラフィーを選択して、精製することができる。
(3)酵素活性の測定方法
本発明の酵素の活性測定は、例えば、以下の方法により行うことができる。
まず、基質となるアミノ酸誘導体を含む緩衝液に適当量の酵素溶液を加えて30分間反応させた後、氷中に入れることにより反応を停止させる。その後、反応液の405nmの吸光度を測定することにより生成物の量を決定し、酵素活性を求めることができる。例えば、酵素がアミダーゼであり、基質がアミノ酸-p-ニトロアニリドである場合は、生成したp-ニトロアニリン量を測定することにより、アミダーゼ活性を決定することができる。
酵素活性測定における反応液の温度は、使用するアミダーゼの至適温度付近で行うのが好ましいが、特に好熱菌由来のアミダーゼを使用する場合は、30℃〜100℃であり、好ましくは50〜90℃であり、より好ましくは55℃〜85℃である。
(4)酵素濃度の定量方法
酵素濃度の定量には、市販のキット、例えば、Protein Assayキット(Bio-Rad)を用いることができる。適当な濃度に希釈した0.8 mlの酵素溶液に0.2 mlのアッセイ試薬を添加し、10〜15分室温に静置して、O.D.595 nmを測定することにより試料中の酵素濃度を決定することができる。検量線の作成には、例えば、BSAの希釈列(1.25, 2.5, 5.0, 7.5, 10 μg/ml)を用いることができる。
4.D-アミノ酸
本発明の方法により製造されるD-アミノ酸としては、D-アラニン、D-アルギニン、D-アスパラギン、D-アスパラギン酸、D-システイン、D-グルタミン、D-グルタミン酸、D-ヒスチジン、D-イソロイシン、D-ロイシン、D-リシン、D-メチオニン、D-フェニルアラニン、D-プロリン、D-セリン、D-トレオニン、D-トリプトファン、D-チロシン、D-バリンなどの天然に存在するL-アミノ酸の立体異性体であるD-アミノ酸のほか、非天然型のアミノ酸が挙げられる。
5.L-アミノ酸誘導体
本発明において、「L-アミノ酸誘導体」とは、下記一般式(II)で示される化合物をいう。


[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は-(CH2)n-R3{式中、nは0〜3の整数を表し、R3は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC6-12アリール基、-OH、-CO-OCH3、-S-CH3又は下記式で示される置換基:


を表す}を表し、Xは、p-ニトロアニリノ基、3-ヒドロキシメチル-4-ニトロアニリノ基、4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノアニリノ基、4-(N,N-ジエチル)アミノアニリノ基又は7-アミノ-4-メチルクマリノ基を表す。]
本発明におけるC1-6アルキル基、C6-12アリール基、ハロゲン原子などの各置換基の説明は、上記「2.アミノ酸誘導体」と同様である。
本発明により製造される「L-アミノ酸誘導体」としては、例えば、L-ロイシン-p-ニトロアニリド、L-メチオニン-p-ニトロアニリド、L-セリン-p-ニトロアニリド、L-フェニルアラニン-p-ニトロアニリド、L-トリプトファン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルバリン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルロイシン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルトリプトファン-p-ニトロアニリド、L-γ-クロロ-イソバリン-p-ニトロアニリド、L-γ-メトキシカルボニル-α-メチル-α-アミノ酪酸-p-ニトロアニリド及びL-3,4-ジメトキシ-α-メチルフェニルアラニン-p-ニトロアニリドが挙げられるが、好ましくは、L-ロイシン-p-ニトロアニリドである。
6.D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造
本発明において、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造は、上記一般式(I)で示される化合物を、水性媒体中で加水分解酵素と接触させ、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体を回収することにより行う。
本発明において「水性媒体」とは、水、緩衝液、あるいは水と水に親和性を有する有機媒体との混合溶媒又は水と水に実質的に混和しない有機溶媒の二相系溶媒をいう。二相系溶媒を用いる場合は、その水相部分で反応を行う。また、本発明において、「接触」とは、一般式(I)で示される化合物と加水分解酵素とを同一の反応系に存在させることを意味し、例えば、一般式(I)で示される化合物を含む水性媒体に酵素を添加すること、酵素溶液に一般式(I)で示される化合物を添加することなどが含まれる。
一般式(I)で示される化合物の溶液における該化合物の濃度は、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造効率の観点から、0.1〜70質量%とすることが好ましく、1〜50質量%とすることがより好ましく、1〜20質量%とすることがさらに好ましい。
一般式(I)で示される化合物と加水分解酵素とを接触させる際における該化合物の溶液のpHは、酵素の至適pHを考慮すると、室温(具体的には20〜30℃付近)での測定値が5.0〜9.5であることが好ましく、6.0〜9.0であることがより好ましく、7.0〜9.0であることがさらに好ましい。反応中のpHは、適宜酸又は塩基化合物を添加することにより調整することができる。
本発明の方法に使用される酵素の濃度は、その活性量により異なるが、基質となるアミノ酸誘導体の質量に対し、1/10000〜1質量、好ましくは1/1000〜1/10質量である。
反応温度は、特に好熱菌由来のアミダーゼを使用する場合は、酵素の至適温度を考慮すると、30〜100℃の範囲が好ましく、50〜90℃の範囲がより好ましく、55〜85℃の範囲がさらに好ましい。
酵素反応の反応時間は、基質となる一般式(I)で示される化合物の種類、酵素量などにより異なるが、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造効率の観点から、通常1時間〜72時間である。
酵素反応の終了後、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の回収は、公知の方法により行うことができる。その回収方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により行うことができる。
酵素反応の終了後、アルコールなどの極性溶媒を反応終了液に添加することにより、D-アミノ酸或いはL-アミノ酸誘導体を優先的に析出させて、遠心分離などにより析出させることにより回収することができる。極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロノール、ブタノールなどのアルコール類やアセトンなどを用いることができる。この際に等電点に違いを利用することにより効率よく分離することが可能になる場合が多い。
また、イオン交換樹脂や電気透析による回収も可能であり、この場合も等電点の違いを用いて効率的な条件を設定することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<プラスミドpTA002の作製>
(1)Thermus sp.属(Thermus sp.0-3-1株)由来耐熱性アミダーゼ遺伝子断片の調製
Thermus sp.O-3-1株由来のアミダーゼ遺伝子を含むプラスミドpM501KN(WO 03/020929参照)を鋳型として、下記の配列番号1に示される塩基配列からなる合成DNA(TAM-01)および配列番号2に示される塩基配列からなる合成DNA(TAM-02)をプライマーとして用い、ポリメラーゼ伸長鎖反応(PCR)により、アミダーゼ遺伝子を含むDNA断片を増幅した。

<プライマー>
TAM-01: GCGGATCCATGGAGGGCTACAGGACCATTC (配列番号1)
TAM-02: GGACCTGCAGGTCCATCAGGCGAAAATATC (配列番号2)

PCR用の反応混合物は、5μlの10×Pfu Turboバッファー、4μlのdNTP mix (2.5 mM each)、1μlのPfu Turbo DNAポリメラーゼ、37μlの蒸留水、1μlの各プライマー、および鋳型としてpM501KN(WO 03/020929)を1μl添加したものを用いた。PCRは、95℃で1分の変性を行った後、94℃で1分、60℃で1分、72℃で5分の反応を、計30サイクル行った。
反応終了後、1μlの反応終了液を1.5 %アガロースゲル電気泳動により分析し、増幅産物を確認した。増幅産物をGFX PCR DNA and Gel Band Purification Kit(GEヘルスケア バイオサイエンス社)を用いて精製し、約50μlのDNA溶液を得た。
次に、43μlのDNA溶液に、10×Kバッファー(タカラバイオ社)を5μl、制限酵素NcoIおよびSse8783Iを各1μl加え、37℃で2時間反応後、エタノール沈殿によりDNA断片を回収した。反応終了後1.5 %アガロースゲル電気泳動を行い、約0.93kbの目的バンド(アミダーゼ遺伝子断片)を切り出し、GFX PCR DNA and Gel Band Purification Kitを用いて精製した。
(2)ベクター断片の調製とライゲーション
一方、5μlのベクターpTrc99A(GEバイオサイエンス社)に10×Kバッファー(タカラバイオ社)を3μl、滅菌水を23μl、制限酵素NcoIおよびPstIを各1μl加え、37℃で2時間反応後、アルカリフォスファターゼ処理(Shrimp Alkaline Phosphatase、プロメガ株式会社)を行い、エタノール沈殿によりDNA断片を回収した。
上記(1)で得られたアミダーゼ遺伝子断片および本項(2)で得られたベクターDNA断片を各2μlと、solution I(DNA Ligation Kit ver.2(タカラバイオ社))(10μl)とを混合して、ライゲーション混合物を調製した。該混合物を、16℃で2時間インキュベートすることでアミダーゼ遺伝子断片とベクターpTrc99Aを結合させた。
(3)大腸菌 JM109株のコンピテントセルの作製
大腸菌JM109株をLB培地(1% バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、0.5% NaCl) 1mlに接種し37℃、5時間好気的に前培養した。得られた前培養液 0.4mlをSOB培地 40ml(2%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、10mM NaCl 、2.5mM KCl 、1mM MgSO4 、1mM MgCl2) に加え、18℃で20時間培養した。当該培養物を遠心分離(3,700×g、10分間、4℃)により集菌した後、冷TF溶液 (20 mM PIPES−KOH (pH 6.0)、200 mM KCl 、10 mM CaCl2、40mM MnCl2)を13 ml加え、0℃で10分間放置した。その後、再度遠心分離(3,700×g、10分間、4℃)し、上清を除いた。沈殿した大腸菌を冷TF溶液 3.2 mlに懸濁し、0.22 mlのジメチルスルホキシドを加え0℃で10分間放置した。その後、液体窒素下で冷凍した後、-80℃で保存した。
(4)組換えプラスミドの調製
上記(3)で作製したコンピテントセル 200μl を氷上で解凍し、上記(2)で作製したライゲーション産物10μlに加え、0℃で30分放置した。続いて、当該コンピテントセルに42℃で30秒間ヒートショックを与え、0℃で2分間冷却した。その後、SOC 培地 (20 mM グルコース、2%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、10 mM NaCl 、2.5 mM KCl 、1 mM MgSO4、1mM MgCl2) 1mlを添加し、37℃にて1時間振盪培養した。培養後の培養液を各200μlずつ、 LB Amp寒天培地(アンピシリン 100mg/L 、1.5%寒天を含有するLB培地)にまき、37℃で一晩培養した。寒天培地上に生育した形質転換体コロニー複数個を 1.5mlのLB Amp培地(アンピシリン 100mg/Lを含有するLB培地)にて37℃で一晩培養した。得られた培養液を各々集菌後、Flexi Prep(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)を用いて組換えプラスミドを回収した。得られたプラスミドの塩基配列をCEQ DTCS Quick Start Kitおよび蛍光シーケンサCEQ 2000XL DNA Analysis system(いずれもBECKMAN COULTER、米国)を用いて解析した。目的とするプラスミドをpTA002と命名した(図1)。
<アミダーゼ酵素溶液の調製>
(1)形質転換体の作製及び培養
実施例1と同様にして、大腸菌JM109株のコンピテントセルに対しプラスミドpTA002による形質転換を行った。得られた形質転換大腸菌JM109/pTA002のコロニーを、5 mL 2×LB培地(20g/Lポリペプトン、10g/L乾燥酵母エキス、20g/L NaCl、50μ g/mLアンピシリン)に植菌し、37℃ 、250rpmで12時間振盪培養を行い前培養とした。前培養液を集菌(8,000rpm 10分間)し菌体を沈殿させ、約100 μLとなるよう上清を除去した。菌体ペレットをピペットマンで懸濁し、2Lの modified TB培地(12g/Lポリペプトン、24g/L乾燥酵母エキス、40g/Lグリセロール、12.5g/L K2HP04、2.3g/L KH2P04、0.5 g/L ポリプロピレングリコール12000、50 μg/mLアンピシリン)に植菌し、37℃ 、180 rpmで培養し、これを本培養とした。培養開始より4時間後にIPTGを1mMとなるよう添加し14時間の誘導を行った。
菌体懸濁液の調製は、サンプリングして得られた培養液から遠心分離(3,700×g、10分間、4℃)により菌体を回収し、100mM トリス塩酸緩衝液(pH8)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁することにより行った。
(2)アミダーゼ酵素溶液の調製
(i) 無細胞抽出液の調製
本培養を行った培養液に対して6,000 rpmで20分間、遠心分離を行い、菌体の洗浄として50 mMトリス塩酸(pH 8.0)溶液200 mLで懸濁した後、再度6,000rpmで20分間、遠心分離した。集菌した菌体ペレットを50 mM トリス塩酸(pH 8.0)で湿菌体重の2倍量に懸濁し、150Wで20分間、超音波破砕を行った。この超音波破砕液を無細胞抽出液とした。
(ii) 粗酵素溶液の調製
無細胞抽出液に対して14,000 rpmで15分間、遠心分離を行い、沈殿物を除去した。70℃で40分間のヒートショックを行った後、14,000 rpmで20分間、遠心分離を行った。沈殿したタンパク質を除去し、上清を採取した。
(iii) 精製酵素溶液の調製
上記(ii)で得られた無細胞抽出液熱処理物を、硫酸アンモニウム沈殿法により4℃で分別した。硫酸アンモニウムを30%の飽和濃度になるまで攪拌しながらゆっくりと加え、次いで、この溶液を4℃、12,000Gで、20分間遠心分離し、得られたペレットを200 mlの50mMトリス塩酸緩衝液((pH 8.0)に懸濁した。
得られた硫安沈殿画分のタンパク質量5 mg当たり1mLのDEAEトヨパール650H(TOSOH)をカラムに充填し、担体の5倍量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で平衡化を行った。その後,タンパク質溶液をアプライし、平衡化で用いたものと同組成のバッファーを担体の15倍量添加し洗浄を行った。洗浄後、溶出用バッファー(50 mM トリス塩酸緩衝液(pH 8.0),100 mM KCl)を7.5倍量アプライし、ステップワイズで本酵素の溶出を行った。最後に、押し出しとして溶出用緩衝液(50 mM トリス塩酸緩衝液(pH 8.0),500 mM KCl)を添加した。溶出液は約7 mL(200ドロップ)ずつ試験管に分取し、各画分のO.D.280 nmを測定することにより、タンパク質が溶出した画分を決定した。
タンパク質溶出画分のアミダーゼ活性を後述する方法により測定し、アミダーゼ活性を有する画分を集めてフェニルトヨパールによる精製を行った。
タンパク質量5 mg当たり1mLのフェニルトヨパール650H(TOSOH)をカラムに充填し、担体の5倍量の洗浄緩衝液(50mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)、10%硫酸アンモニウム)で平衡化を行った。次に、タンパク質溶液に10%となるように硫酸アンモニウムを添加し、懸濁した。その後、硫酸アンモニウムを添加したタンパク質溶液をカラムにアプライし、平衡化で用いたものと同組成の緩衝液を担体の15倍量添加し洗浄を行った。洗浄後、溶出用緩衝液(50 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0))を7.5倍量アプライし、ステップワイズで本酵素の溶出を行った。溶出液は約7 mL(200ドロップ)ずつ試験管に分取し、各画分のO.D.280 mmを測定することにより、タンパク質が溶出した画分を決定した。
タンパク質溶出画分のアミダーゼ活性を後述する方法により測定し、アミダーゼ活性を有する画分を集めてSephacryl S-200 HRによる精製を行った。
約700 mLのSephacryl S-200 High Resolutiomをカラムに充填し、担体の1〜4%までサンプルを濃縮した。担体の2倍量の50 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で、1 mL/分の流速で平衡化を行った。
その後、マーカー(5 mg Blue Dextran 2000/700μL平衡化緩衝液)、タンパク質溶液を順にアプライし、平衡化で用いたものと同組成の緩衝液を担体の2倍量添加し、流速は一定のまま溶出を行った。溶出液は約7 mL(200ドロップ)ずつ試験管に分取し、各画分のO.D.280 mmを測定することにより、タンパク質が溶出した画分を決定した。また、それぞれのタンパク質のピークに合わせて活性測定を行い、活性の高い画分を濃縮して、精製酵素溶液とした。
(3)酵素活性の測定方法
アミダーゼの活性測定は、2 mM ロイシン-p-ニトロアニリン、100 mM トリス塩酸緩衝液(pH 9.0)に適当量のアミダーゼ溶液を加え、80℃にて30分間反応させた。氷中に入れることにより反応を停止させ、反応液の405nmの吸光度を測定して、生成したp-ニトロアニリン量を決定し、アミダーゼ活性とした。
(4)タンパク質濃度(酵素濃度)の定量方法
Protein Assayキット(Bio-Rad)を用いた。適当な濃度に希釈した0.8 mlの酵素溶液に0.2 mlのアッセイ試薬を添加し、10〜15分室温に静置して、O.D.595 nmを測定することにより試料のタンパク質濃度を決定した。検量線の作製には、BSA(1.25, 2.5, 5.0, 7.5, 10 μg/ml)を用いた。
実施例2で調製したアミダーゼ精製酵素画分を用いて、アミノ酸アミド及びアミノ酸−p−ニトロアニリドに対する反応性を検討した。
すなわち、下記に示す反応溶液を用いて、80℃にて30分間反応を行った後、氷中に入れることにより反応を停止させた。アミノ酸アミドに対する反応性は、HPLC(カラム:スミキラルOA-5000、住友化学社製;溶離液:2 mM硫酸銅水溶液/MeOH (85:15);流速:1.0 ml/分;検出:UV 254nm)にて分析し、生成したアミノ酸の量及び光学活性体比を測定した。また、アミノ酸−p−ニトロアニリドに対する反応性は、反応液の405nmの吸光度を測定して、生成したp-ニトロアニリン量を測定した。

アミノ酸アミドに対する反応性検討に用いた反応液の組成:
50mM KH PO−NaHPO 緩衝液(pH 8.0)
1%アミノ酸アミド
アミダーゼ精製酵素画分(50μl)

アミノ酸−p−ニトロアニリドに対する反応性検討に用いた反応液の組成:
100mM トリス塩酸緩衝液(pH 9.0)
2mM D-又はL-アミノ酸-p-ニトロアニリド
アミダーゼ精製酵素画分(50μl)
アミノ酸アミド及びアミノ酸−p−ニトロアニリドに対するアミダーゼの反応性の検討結果を以下の表に示す。


測定の結果、L-アミノ酸アミドに特異的に作用するアミダーゼが、アミノ酸−p−ニトロアニリドに対しては、D体特異的に作用することが明らかとなった。この結果から、本発明の方法により、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造が可能であることが示された。
本発明により、一般式(I)で示される化合物からD-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造方法を提供することができる。
配列番号1:合成DNA
配列番号2:合成DNA

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で示される化合物を、水性媒体中で加水分解酵素と接触させることを特徴とする、D-アミノ酸及びL-アミノ酸誘導体の製造方法。


    [式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は-(CH2)n-R3{式中、nは0〜3の整数を表し、R3は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、置換基を有していてもよいC6-12アリール基、-OH、-CO-OCH3、-S-CH3又は下記式で示される置換基:


    を表す}を表し、Xは、p-ニトロアニリノ基、3-ヒドロキシメチル-4-ニトロアニリノ基、4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノアニリノ基、4-(N,N-ジエチル)アミノアニリノ基又は7-アミノ-4-メチルクマリノ基を表す。]
  2. 一般式(I)で示される化合物が、ロイシン-p-ニトロアニリド、メチオニン-p-ニトロアニリド、セリン-p-ニトロアニリド、フェニルアラニン-p-ニトロアニリド、トリプトファン-p-ニトロアニリド、α-メチルバリン-p-ニトロアニリド、α-メチルロイシン-p-ニトロアニリド、α-メチルトリプトファン-p-ニトロアニリド、γ-クロロ-イソバリン-p-ニトロアニリド、γ-メトキシカルボニル-α-メチル-α-アミノ酪酸-p-ニトロアニリド及び3,4-ジメトキシ-α-メチルフェニルアラニン-p-ニトロアニリドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  3. 加水分解酵素が、L-アミノ酸アミド及びD-アミノ酸誘導体に立体特異的に作用するものである、請求項1に記載の方法。
  4. 加水分解酵素が、好熱菌由来のアミダーゼ及びL-tert-ロイシンアミダーゼからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  5. D-アミノ酸が、D-アラニン、D-アルギニン、D-アスパラギン、D-アスパラギン酸、D-システイン、D-グルタミン、D-グルタミン酸、D-ヒスチジン、D-イソロイシン、D-ロイシン、D-リシン、D-メチオニン、D-フェニルアラニン、D-プロリン、D-セリン、D-トレオニン、D-トリプトファン、D-チロシン及びD-バリンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  6. L-アミノ酸誘導体が、L-ロイシン-p-ニトロアニリド、L-メチオニン-p-ニトロアニリド、L-セリン-p-ニトロアニリド、L-フェニルアラニン-p-ニトロアニリド、L-トリプトファン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルバリン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルロイシン-p-ニトロアニリド、L-α-メチルトリプトファン-p-ニトロアニリド、L-γ-クロロ-イソバリン-p-ニトロアニリド、L-γ-メトキシカルボニル-α-メチル-α-アミノ酪酸-p-ニトロアニリド及びL-3,4-ジメトキシ-α-メチルフェニルアラニン-p-ニトロアニリドからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
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