JPH10262683A - 組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼをコードする 遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクタ ーを含む形質転換体とその産生物 - Google Patents

組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼをコードする 遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクタ ーを含む形質転換体とその産生物

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JPH10262683A
JPH10262683A JP9109996A JP10999697A JPH10262683A JP H10262683 A JPH10262683 A JP H10262683A JP 9109996 A JP9109996 A JP 9109996A JP 10999697 A JP10999697 A JP 10999697A JP H10262683 A JPH10262683 A JP H10262683A
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JP
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maltose
recombinant
dna
phosphorylase
gene
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JP9109996A
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Yasushi Inoue
靖 井上
Tetsuji Tomita
哲司 富田
Keiko Ishii
圭子 石井
Yoshie Ooshima
良恵 大島
Kunio Yamane
國男 山根
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Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼをコ
ードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該組
換えベクター含む形質転換体、該形質転換体を培養して
組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼを製造する方
法、及び該酵素の利用法を提供すること。 【解決手段】 以下の(a)又は(b)のDNAからな
る遣伝子。 (a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列の内、塩基
番号182〜2455で表される塩基配列からなるDN
A。 (b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズし、かつ組換え耐熱性マル
トースホスホリラーゼをコードするDNA。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性マルトース
ホスホリラーゼをコードする遺伝子、該遺伝子を含む組
換えベクターとその形質転換体、該形質転換体を用いた
組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼの製造方法、及
び該組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼを用いたト
レハロース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】トレハロースは、酵母、かび、細菌、昆
虫等に広く分布する二糖類で、他の二糖類に比べて安定
なことから蛋白質等の乾燥保護剤(特表昭63−500
562)としての利用等が考えられている有用な糖質で
ある。
【0003】従来、トレハロースを調製する方法として
は、酵母からの抽出法(特開平5−292986)、細
菌による発酵法(特開平5−211882)等が知られ
ている。しかし、これらの方法で調製したトレハロース
は、大量生産が操作的、設備的に困難である、不純物除
去工程が複雑である等の理由から製造コストが高くな
り、非常に高価であるため食品用途には利用することが
できなかった。
【0004】一方、安価にトレハロースを調製する有効
な方法として酵素法が挙げられる。その一つとして、マ
ルトースホスホリラーゼとトレハロースホスホリラーゼ
を用いた同時反応法がある(特公昭63−6099
8)。この方法は2種類のホスホリラーゼがそれぞれマ
ルトースとトレハロースに作用して可逆的に加リン酸分
解しグルコースとβ−グルコース−1−リン酸を生じる
反応を利用したもので、安価な原料であるマルトースに
両酵素を同時に作用させるとトレハロースが生成するも
のである。
【0005】これまでに知られているマルトースホスホ
リラーゼとしては、ラクトバチルス・ブレビス(Lac
tobacillus brevis)ATCC828
7(Agr.Biol.Chem,37(12),28
13〜2819,1973)、ラクトバチルス・サンフ
ランシスコ(Lactobacillus sanfr
ancisco)(特開平1−91778)、ラクトバ
チルス・ブレビス(Lactobacillus br
evis)DMS20054、NCIB8836、85
61、8562、ラクトバチルス・プランタルム(La
ctobacillus plantarum)DMS
20174、微工研菌寄第4628号、ラクトバチルス
・レウテリ(Lactobacillus reute
ri)DSM20016、ラクトバチルス・フエルメン
テユム(Lactobacillus ferment
um)DMS20052、ストレプトコッカスspe
c.(Streptococcus spec.)微工
研菌寄第4624号、微工研菌寄第4625号、微工研
菌寄第4626号、微工研菌寄第4627号(特公昭6
0−54036)、プレシオモナス(Plesiomo
nas)SH−35(日本農芸化学会誌,69(臨時増
刊号),28,1995)、プロピオニバクテリウム・
フロイデンライヒ(Propionibacteriu
freudenreichii)KY4002、エ
ンテロコッカス・フェシウデンライヒ(Enteroc
occus faecium)ATCC10541(特
開平7−5984)、エンテロコッカス・ヒラエ(En
terococcus hirae)IFO3181
(日本農芸化学会誌,70,773,1996)、ロイ
コノストック・メセンテロイデス(Leuconost
oc mesenteroides)ATCC1229
1、ラクトコッカス・ラクチス・サブエスピー・ラクチ
ス(Lactococcus lactis subs
lactis)IFO127007(特開平8−2
80382)、アルスロバクター・シトレウス(Art
hrobacter citreus)ATCC116
24、バチルス・サーキュランス(Bacillus
circulans)ATCC9966、ブレビバクテ
リウム・sp.(Brevibacterium
p.)AJ3125、コリネバクテリウム・ゼロシス
(Corynebacteriumxerosis)A
TCC373、フラボバクテリウム・sp.(Flav
obacterium sp.)AJ2469、ミクロ
コッカス・ルテウス(Micrococcus lut
eus)ATCC272、セラチア・sp.(Sera
tia sp.)AJ2478、ストレプトマイセス・
フラボビレンス(Streptomyces flav
ovirens)IFO3197、キサントモナス・キ
ャンペストリス(Xanthomonas campe
stris)AJ2784(特開平8−280395)
が生産するものが挙げられる。
【0006】これらのマルトースホスホリラーゼの内、
酵素化学的に酵素の特性が調べられているものは、ラク
トバチルス・ブレビスATCC8287(Agr.Bi
ol.Chem,37(12),2813〜2819,
1973)、ラクトバチルス・サンフランシスコ(特開
平1−91778)、プレシオモナスSH−35(日本
農芸化学会誌,69(臨時増刊号),28,199
5)、エンテロコッカス・ヒアーIFO3181(日本
農芸化学会誌,70,773,1996)、プロピオニ
バクテリウム・フロイデンライビKY4002(J.F
ERM.BIOENG.,82,171,1996)で
ある。これらの酵素の熱安定性は、高いものでも50℃
以下と低く、工業的製造条件で利用するのは困難であ
る。
【0007】一般に、工業的に酵素反応で生産を行う場
合、雑菌汚染の低減の目的から反応温度は55℃以上の
高温が一般的に採られている。反応温度の高温化は基質
と生産物の溶解度を上げて単位体積当たりの仕込量を多
くすることができ、且つ、酵素反応速度が早くなり反応
時間の短縮化ができる等の利点があるので、コスト的に
も有利である。このようなことから工業的に使用される
酵素は、一般的には熱安定性の優れたものが選ばれる。
【0008】また、工業的に使用される酵素は、生産コ
ストを下げるためにより安価であることも求められる。
つまり、酵素生産微生物は酵素生産性が高いことを要求
される。
【0009】この様な状況に鑑み、本発明者らは高温で
の酵素反応によるトレハロースの製造を行える高い熱安
定性を有する耐熱性マルトースホスホリラーゼにつき鋭
意探索したところ、好熱性バチルス属細菌が生産するマ
ルトースホスホリラーゼが55℃以上の温度で使用して
も失活しないことを見出した(特開平9−3778
0)。
【0010】しかしながら、これらの微生物は酵素の生
産能力が十分でなく、トレハロースやβ−グルコース−
1−リン酸を大量に生産しようとすると、微生物を大量
に培養しなければならないという問題があった。この問
題を解決するためには従来は、微生物の酵素生産能を改
善する煩雑な育種操作を行っていた。具体的には、野生
株を紫外線、エックス線、薬品(NTG(N−メチル−
N´−ニトロ−N−ニトロソグアニジン)、EMS(エ
チルメタンスルホネート)等)等を用い人工的変異手段
で変異処理し、酵素生産性の向上した変異株を作製する
といったものである。
【0011】また、マルトースホスホリラーゼを生産す
る微生物はマルトースホスホリラーゼと同時に少量のマ
ルターゼも生産する場合が多い。このため、マルトース
ホスホリラーゼをトレハロースホスホリラーゼと共にマ
ルトースに作用させてトレハロースを製造する場合や、
マルトースに作用させてβ−グルコース−1−リン酸を
製造する場合、マルトースホスホリラーゼ粗酵素中に混
入しているマルターゼがマルトースを加水分解すること
によってトレハロースやβ−グルコース−1−リン酸の
収量低下が起こる。この問題を解決する方法の一つとし
て、粗酵素を精製してマルターゼを除くことが考えられ
るが、この場合は、酵素生産コストが高くなる問題が生
じる。或いは、別の方法として、人工的に酵素の生産性
や活性を変異させることによって、マルターゼの遺伝子
の発現を抑制したり、マルトースホスホリラーゼ活性だ
けを上げて相対的にマルターゼ活性を抑えるなどの方法
が考えられる。
【0012】そこで、本発明者らも、マルトースホスホ
リラーゼ活性を持つバチルス属の細菌に対して変異処理
を行ったが、思惑とは異なって、マルターゼ活性と共に
マルトースホスホリラーゼ活性も消失した変異株や、マ
ルトースホスホリラーゼ活性と共にマルターゼ活性も上
昇した変異株しか得ることができなかった。このこと
は、マルトースホスホリラーゼの遺伝子とマルターゼの
遺伝子とが、何らかの関連を持って連動している可能性
を示唆すると考えられた。この問題を解決するために
は、偶然に頼る変異処理法ではなく、遺伝子を単離して
塩基配列を解析する遺伝子工学的な方法を採る必要があ
ると考えられた。
【0013】一方、現在は、全アミノ酸配列が解明され
ていない酵素であっても、これをコードする遺伝子を単
離し、その塩基配列を解明できれば、その酵素をコード
するDNAを含む組換えDNAを作製し、これを微生物
や動植物の細胞に導入して得られる形質転換体を培養す
ることにより、比較的容易に所望量の酵素が取得できる
ようになった。
【0014】そこで、かかる状況に鑑み、上記耐熱性酵
素をコードする遺伝子を突き止めてその遺伝子配列を解
析すること、遺伝子を組み込んだ形質転換体により酵素
の生産性や活性を改善することは重要な技術的課題であ
る。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、組換え耐熱
性マルトースホスホリラーゼをコードする遺伝子、該遺
伝子を含む組換えベクター、該組換えベクター含む形質
転換体、該形質転換体を培養して組換え耐熱性マルトー
スホスホリラーゼを製造する方法、及び該酵素の利用法
を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高い熱安
定性を有する耐熱性マルトースホスホリラーゼを自然界
より探索した結果、目的とする新規な耐熱性マルトース
ホスホリラーゼを好熱性バチルス属細菌が産生すること
を見出し(特開平9−37780号公報)、特に茨城県
の土壌から分離したバチルスsp.RK−1が強い耐熱
性マルトースホスホリラーゼ産生能を示したことを発見
し、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所、特許微
生物寄託センターへ寄託している(FERM P−15
044)。
【0017】そして、更に研究を重ねた結果、本菌株の
耐熱性マルトースホスホリラーゼ遺伝子を単離し、該遺
伝子から構造遺伝子を見つけ、遺伝子工学を利用して、
組換え微生物を作製することによって酵素の生産性が飛
躍的に上昇し、不純物の少ない、高純度の組換え耐熱性
マルトースホスホリラーゼが効率よく調製できることを
見出し、本発明を完成した。
【0018】次に、この組換え微生物を培養することに
より、高純度の組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼ
を生産させ、これを利用してトレハロースを製造するこ
とができることを見出した。
【0019】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。
【0020】1) 以下の(a)又は(b)のDNAか
らなる遺伝子。
【0021】(a)配列表の配列番号1に記載の塩基配
列の内、塩基番号182〜2455で表される塩基配列
からなるDNA。
【0022】(b)塩基配列(a)からなるDNAとス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ下記
の酵素化学的性質を有する組換え耐熱性マルトースホス
ホリラーゼをコードするDNA。
【0023】(1)作用 マルトースを可逆的に加リン酸分解する。すなわち、リ
ン酸存在下でマルトースに作用させると、等モルのグル
コースとβ−グルコース−1−リン酸を生成し、グルコ
ースとグルコース−1−リン酸に作用させると等モルの
マルトースとリン酸を生成する。
【0024】(2)基質特異性 マルトースに特異的に作用する。
【0025】(3)至適温度 マルトース加リン酸分解反応の至適温度は60℃〜70
℃付近で、50℃〜70℃の範囲で最高活性の約50%
以上を示す。
【0026】(4)熱安定性 10mM酢酸緩衝液(pH6.0)中で、60℃、15
分間処理後80%以上の活性を有する。 (5)至適pH 6.0〜7.0。
【0027】(6)pH安定性 pH5.5〜8.0で安定。
【0028】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。
【0029】(8)分子量 ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した値は15万
〜19万。
【0030】(9)等電点 4.7〜5.1。
【0031】(10)阻害剤 HgClで著しく活性が阻害される。
【0032】なお、上記のDNAとして、遺伝子コード
の縮重に基づき、配列表における配列番号1に示すアミ
ノ酸配列を変えることなく、配列表の配列番号1に示す
該当する塩基配列における塩基の1個又は2個以上を他
の塩基で置き換えしたものは、当然、本発明に包含され
る。
【0033】2) (a)配列表の配列番号1に記載の
塩基配列の内、塩基番号182〜2455で表される塩
基配列からなるDNAが好熱性バチルス属細菌由来のも
のである上記1記載の遺伝子。
【0034】3) 好熱性バチルス属細菌由来のものが
バチルスsp.RK−1(FERMP−15044)で
ある上記1又は2に記載の遺伝子。
【0035】4) 上記1、2又は3に記載の遺伝子を
含む組換えベクター。
【0036】5) 遺伝子がバチルスsp.RK−1
(FERM P−15044)の染色体を制限酵素Hi
nd IIIで切断して得た2,655塩基対のDNA
断片である上記4記載の組換えベクター。
【0037】6) 遺伝子がバチルスsp.RK−1
(FERM P−15044)の耐熱性マルトースホス
ホリラーゼをコードする遺伝子部分である2,274塩
基対のDNA断片である上記4記載の組換えベクター。
【0038】7) ベクターがプラスミドベクターpR
MP1由来のものである上記4、5又は6記載の組換え
ベクター。
【0039】8) 上記4、5、6又は7に記載の組換
えベクターを含む形質転換体。
【0040】9) 形質転換体が大腸菌である上記8記
載の形質転換体。
【0041】10) 上記8又は9に記載の組換え形質
転換体を培養して、組換え耐熱性マルトースホスホリラ
ーゼを製造する方法。
【0042】11) 上記10に記載の耐熱性マルトー
スホスホリラーゼ及び耐熱性トレハロースホスホリラー
ゼの存在下に、マルトースとリン酸もしくはリン酸塩と
を、水性媒体中で、反応させることを特徴とするトレハ
ロース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方法。
【0043】12) 上記11の反応が55〜70℃、
pH4.5〜8.0で行われる上記11記載のトレハロ
ース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方法。
【0044】本発明でいう「ストリンジェントな条件で
ハイブリダイズする」とは、実施例2−3に示されたサ
ザンハイブリダイゼーションの処理条件よりも強い条件
によりハイブリダイズすることを指す。具体的には、実
施例2−3におけるハイブリダイズ溶液よりも構成成分
の濃度が高いか、ハイブリダイゼーション温度が高い
か、洗浄液の構成成分の濃度が高いか、洗浄液の温度が
高いかの場合をいう。
【0045】本発明の組換え耐熱性マルトースホスホリ
ラーゼをコードする遺伝子は、耐熱性マルトースホスホ
リラーゼ産生能を有する微生物から、遺伝子工学的手法
により取得する。
【0046】一般に、二本鎖のDNAは、熱やアルカリ
の処理により水素結合が解離して一本鎖となる(変
性)、また、変性したDNAは徐々に温度を下げること
により、しだいにもとの二本鎖に復帰する(再生)。こ
の変性と再生は、DNA二本鎖の塩基配列の相同性が高
いほど、変性が起こりにくく(高い温度が必要)、再生
し易い。
【0047】そこで、今、異なる2種類の二本鎖DNA
が試験管内に存在するとき、変性を行い、その後再生を
行うことにより、異種のDNA同士は、相同的配列に依
存して異種間の二本鎖を形成していく。
【0048】このような2種のDNAの間の二本鎖の会
合を、ハイブリッド形成といい、この方法により異なる
DNAの間の相同性を調べることをハイブリダイゼーシ
ョン法と呼んでいる。
【0049】本発明は、このようなハイブリダイゼーシ
ョン法により、DNAの検索や同定等を行なうものであ
る。
【0050】ところで、本発明のDNAは、塩基配列
(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズするという特性を有するものである。
【0051】このことは、本発明において、ハイブリダ
イゼーション法により、DNAの検索や同定等を行なう
場合、ストリンジェントな条件下で行なえば、耐熱性マ
ルトースホスホリラーゼの構造遺伝子と相同性の高いD
NAはハイブリダイズするが、逆に、相同性の低いもの
はハイブリダイズしないので、その結果、純度が極めて
高い、該酵素由来のDNAが効率よく得ることが可能と
なる。
【0052】したがって、本発明は、ハイブリダイゼー
ション法の操作条件の設定を工夫することにより、耐熱
性マルトースホスホリラーゼから、高純度の組換え耐熱
性マルトースホスホリラーゼのDNAを効率よく得るこ
とができる。
【0053】本発明のDNAが、ストリンジェントな条
件下でハイブリダイズするという特性を有する原因につ
いては、学問的には解明していないが、多分、前記の耐
熱性マルトースホスホリラーゼの(1)〜(10)の酵
素化学的性質の内、特に(3)の「至適温度」及び
(4)の「熱安定性」という性質から来ているものと推
察される。
【0054】本発明のDNAを入手する微生物として
は、バチルス属に属し、耐熱性マルトースホスホリラー
ゼ産生能を有する微生物であればいずれの微生物でもよ
い。特に、本発明者らが茨城県の土壌より分離したバチ
ルス・sp.RK−1株(FERM P−15044)
もしくはその突然変異体が好ましい。
【0055】本発明は、耐熱性マルトースホスホリラー
ゼをコードする遺伝子を自律複製可能なベクターに組み
込んだ、複製可能な組換えベクター及び該組換えベクタ
ーを宿主に導入してなる形質転換体を包含する。
【0056】自立複製可能なベクターとしては、pBR
322、BluescriptIISK(+)、pUC
18、pCR2.1、pLEX、pJL3、pSW1、
pSE280、pSE420、pHY300PLK等の
プラスミドベクターやλgt11、λZAP等のファー
ジベクターが挙げられるが、大腸菌で発現させるには、
pBR322、BluescriptII SK
(+)、pUC18、pKK223−3、及びpCR
2.1が好適であり、枯草菌で発現させるには、pHY
300PLKが好適である。
【0057】宿主としては、大腸菌、枯草菌、放線菌、
酵母等が挙げられ、組換え耐熱性マルトースホスホリラ
ーゼ生産における形質転換体の培養条件で、マルターゼ
を産生しないものであればよい。
【0058】また、本発明は、組換え耐熱性マルトース
ホスホリラーゼをコードする遺伝子を含む組換えベクタ
ーを宿主に導入してなる形質転換体を培養し、培養物か
ら組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼを採取してな
る、組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼの製造方法
を包含する。
【0059】本発明の形質転換体の培養に用いる栄養培
地としては、炭素源、窒素源、無機物、及び必要に応じ
使用菌株の必要とする微量栄養素を程よく含有するもの
であれば、天然培地、合成培地のいずれでもよい。
【0060】炭素源としてはマルトース、スクロース、
グルコース、フラクトース、デンプン、デキストリン、
グリセリン等の炭化水素が用いられる。
【0061】窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸
アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウ
ム、グルタミン酸などのアミノ酸、尿素等の無機有機窒
素化合物が用いられる。窒素源としてはペプトン、ポリ
ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリ
カ、大豆粉、大豆粕、乾燥酵母、カザミノ酸、ソリュブ
ルベジタブルプロテイン等の窒素含有天然物も使用でき
る。
【0062】無機物としてはリン酸二水素カリウム、リ
ン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、
硫酸マンガン、硫酸亜鉛、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化カルシウム等が用いられる。その他にビオチ
ン、チアミン等の微量栄養素を必要に応じて使用する。
【0063】培養法としては液体培養法(振とう培養法
もしくは通気攪拌培養法)がよく、工業的には通気攪拌
培養法が最も適している。培養温度とpHは、使用する
形質転換体の増殖に最も適した条件を選べばよい。培養
時間は培養条件によって変わってくるが、通常15〜4
8時間程度であり、組換え耐熱性マルトースホスホリラ
ーゼの生成が確認されたとき、好ましくは生成が最大に
達したときに培養を停止する。
【0064】この様にして得られた培養物から本発明の
組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼを採取するに
は、まず、培養液中の菌体を物理的な手法で破砕する
か、有機溶剤やリゾチームのような酵素によって溶解し
た後、残渣を遠心分離法や濾過法等により除去する。こ
れを限外濾過、塩析、透析、溶剤沈澱等の処理を単独或
いは組み合わせに付すことにより工業用途の濃縮酵素液
が調製できる。
【0065】更に、この濃縮酵素液をイオン交換クロマ
トグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過ク
ロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、等電点ク
ロマトグラフィー等の周知の単離・精製法の組合せに付
すことにより、精製標品を得ることができる。
【0066】次に、本発明は、組換え耐熱性マルトース
ホスホリラーゼと耐熱性トレハロースホスホリラーゼの
存在下にマルトースとリン酸もしくはリン酸塩とを、水
溶媒中で反応させることにより、トレハロース又はβ−
グルコース−1−リン酸を製造する方法を包含する。
【0067】このように、本発明は、新規な好熱性バチ
ルス属細菌、特にバチルスsp.RK−1(FERM
P−15044)由来の耐熱性マルトースホスホリラー
ゼ遺伝子を基に、遺伝子工学的手法により、組換え耐熱
性マルトースホスホリラーゼを得、これを用いて組換え
微生物を作製したものであって、これを培養すれば、酵
素の生産性が飛躍的に上昇し、不純物の少ない、高純度
の組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼが調製できる
点で極めて優れていると言える。
【0068】また、組換え耐熱性マルトースホスホリラ
ーゼが工業的規模で大量に、効率よく生産できるように
なった結果、これを利用することにより、有用なトレハ
ロースの製造が飛躍的に効率よく製造することができる
点においても、非常に価値がある。
【0069】以上、本発明は、本発明者らが先に見出し
た耐熱性マルトースホスホリラーゼについて遺伝子学的
解明を行い、この解明を基に、そのDNAの遺伝子学的
な特性を見つけ、遺伝子工学的な手法によって、高純度
でしかも耐熱性という極めて有用な特性を有する組換え
耐熱性マルトースホスホリラーゼを効率よく製造できる
DNAを得た点に、格別の意義があることが分かるであ
ろう。
【0070】以下、本発明について詳細に説明する。
【0071】[1] 耐熱性マルトースホスホリラーゼ
の酵素化学的性質:本発明は、本発明者らによる、耐熱
性マルトースホスホリラーゼの発見に基づくものである
が、この酵素は、好熱性バチルス属細菌、バチルス・s
p.RK−1株から産生されたものであり、その酵素化
学的特性を調べた結果(実施例1)、その酵素化学的性
質は、以下のとおりであった。
【0072】なお、マルトースホスホリラーゼ活性は、
以下のように測定した。
【0073】酵素溶液0.4mlと0.5Mリン酸クエ
ン酸緩衝液(pH6.0)0.06ml、2W/V%マ
ルトース0.6ml、蒸留水0.14mlを混合し、6
0℃、15分反応後10分間の煮沸によって反応を停止
させた。次に、この反応停止液から0.02mlを採取
し、グルコース検査試薬(グルコースCII−テストワ
コー;和光純薬工業(株))を3ml加え、室温で20
分間反応させた後、505nmでの吸光度を分光光度計
を用いて反応液中のグルコース量を測定した。遊離した
グルコースの量から1分間に1μmolのマルトースを
加リン酸分解した酵素量を1単位とした。
【0074】また、ホスホリラーゼであることを確認す
るために、陰イオン交換カラムを分離手段として示差屈
折計を検出手段とする高速液体クロマトグラフィーによ
り、反応終了後の反応液に存在するβ−グルコース−1
−リン酸を定量した。
【0075】(1)作用 以下の式1で示すように、マルトースを可逆的に加リン
酸分解する。すなわち、リン酸存在下でマルトースに作
用させると、等モルのグルコースとβ−グルコース−1
−リン酸を生成し、グルコースとβ−グルコース−1−
リン酸に作用させると等モルのマルトースとリン酸を生
成する。
【化1】 (2)基質特異性 トレハロース、ネオトレハロース、マルトース、イソマ
ルトース、セロビオース、シュークロース、p−ニトロ
フェノール−α−グルコシド、p−ニトロフェノール−
β−グルコシドを基質として加リン酸分解反応を行った
ところ、マルトース以外にはグルコースの生成がほとん
ど認められなかった(表1)。
【表1】 (3)至適温度 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中で各種温度(40〜85℃)で反応させたとこ
ろ、マルトース加リン酸分解反応の至適温度は60℃〜
70℃付近で、50℃〜70℃の範囲で最高活性の約5
0%以上を示した(図1)。
【0076】(4)熱安定性 10mM酢酸緩衝液(pH6.0)中にてインキュベー
トし、残存活性を測定したところ、60℃で15分間処
理で、無処理の80%以上の活性を示した(図2)。
【0077】(5)至適pH 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0
〜8.0)と25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5〜
9.0)を用いて反応を行ったところ、至適pHは6.
0〜7.0であった(図3)。
【0078】(6)pH安定性 100mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.
0〜8.0)と100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
5〜9.0)を用いて4℃で24時間インキュベート
し、各pHでの残存活性を測定したところ、pH5.5
〜8.0で安定であった(図4)。
【0079】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。
【0080】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出容量の比較から分
子量を求めた結果、本酵素の分子量は15万〜19万で
あった。
【0081】また、SDSゲル電気泳動により、各種標
準タンパク質との相対移動度から分子量を求めた値は
7.5万〜9.5万であった。
【0082】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.7〜5.1であった。
【0083】(10)阻害剤 1mMのHgClで99%、ZnSOで37%の活
性阻害が見られた(表2)。
【表2】 (11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、この酵素は、N末端に配列番号2に示すア
ミノ酸配列を有していた。
【0084】[2] 耐熱性マルトースホスホリラーゼ
のDNAの配列解析 本発明者らは、上記の(11)のN末端アミノ酸配列に
基づき、バチルス・sp.RK−1株の染色体DNAか
ら耐熱性マルトースホスホリラーゼをコードするDNA
を取得し、その配列の解析を行った(配列番号3)。
【0085】まず、バチルスsp.RK−1株の菌体よ
りリゾチームとSDSを用いた凍結融解法により染色体
DNAを調製し、この染色体DNAをテンプレートと
し、配列番号2に示すマルトースホスホリラーゼのN末
端の1から8番目のアミノ酸配列に基づき、5´−AT
GTAYTAYAAYCGICTITTYGA−3´及
び5´−ATGTAYTAYAAYAGRTTRTTY
GA−3´で表される配列のオリゴヌクレオチドをプラ
イマーとして、PCRを行った。生成した約400塩基
対のDNA断片をプラスミドベクターpUC18に挿入
し、クローニングした後、蛍光ラベルを用いたダイプラ
イマー法で塩基配列を決定し、マルトースホスホリラー
ゼのN末端から5番目のArg以降をコードする381
塩基対のDNA断片を単離した。
【0086】そこで、次に、このDNA断片をプローブ
として、Hind III、BamH I、PstI、
Sal I、EcoR I等の各種制限酵素で切断した
染色体DNAとサザンハイブリダイゼーションを行った
ところ、約2,500塩基対のHind III切断D
NA断片が相同性を示したので、この断片の塩基配列を
インバースPCR法によって解析した。この解析した塩
基配列の3´側に制限酵素BstP I認識配列が検出
されたことから、次に、染色体DNAを制限酵素Bst
P Iで切断後、上記のHind III切断DNA断
片と同様に、インバースPCR法によって、約4,00
0塩基対のBstP I切断断片の塩基配列の解析を行
った。3種類のDNA断片の塩基配列解析結果より、耐
熱性マルトースホスホリラーゼをコードする全塩基配列
を決定することができた。その配列を配列番号3に示
す。
【0087】[3] 組換え耐熱性マルトースホスホリ
ラーゼのDNAの単離・同定とその製造:耐熱性マルト
ースホスホリラーゼの構造遺伝子を含むDNA断片の塩
基配列が決定できたことから、該マルトースホスホリラ
ーゼをコードするDNA配列の開始コドン上流169塩
基目からの配列5´−TTGCTGCAGGATGCC
CTTCA−3´で表されるオリゴヌクレオチドと、終
止コドン下流180塩基目からの配列のアンチセンス配
列5´−AAACTGCAGGCGGATGTCATA
ACCATTGT−3´で表されるオリゴヌクレオチド
をプライマーとして、前記の染色体DNAをテンプレー
トとしたPCRを行い、耐熱性マルトースホスホリラー
ゼ構造遺伝子を含む約2,700塩基対のDNA断片を
調製した。これをプラスミドベクターpCR2.1にラ
イゲーションして、組換えプラスミドpRMP1を作製
し、大腸菌INVαF´(endAl,recAl,h
sdR17(r−K,m+K),supE44,λ−,
thi−1,gyrA,relAl,φ80 lacZ
△M15△(lacZYA−argF),deoR
F´)株へ導入を行い、形質転換された大腸菌RMP1
を得た。
【0088】そして、上記の形質転換体中の組換えプラ
スミドpRMP1に挿入されている約2,700塩基対
のDNA断片の塩基配列の解析を行った。その結果は、
配列番号1に示す通りであり、前記の耐熱性マルトース
ホスホリラーゼのDNA配列の配列番号3の1506〜
4155と一致することが確認された。
【0089】そこで、形質転換大腸菌RPMIをジャー
培養し、組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼ粗酵素
の調製を行った。培養は、容量51のファーメンターに
ポリペプトン2%、酵母エキス1%、グルコース0.5
%、NaCl0.5%、MgSO0.05%を含有す
る培地(pH7.0)約31を入れて滅菌後、予め濾過
滅菌したアンピシリン水溶液を100mg/lになるよ
うに添加し、温度を35℃とした後、種培養液2V/V
%を接種して、35℃、pH6.5〜7.5に保持しな
がら24時間通気攪拌培養した。
【0090】培養終了後、培養液中の菌体破壊を行い、
これを除去した粗酵素液を調製した。粗酵素液のマルト
ースホスホリラーゼ活性は2,100単位/mlで、マ
ルターゼ活性は検出されなかった。
【0091】更に、実施例3に示すとおり、この粗酵素
を精製し、組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼの精
製標品を得た。
【0092】本発明の組換え型耐熱性マルトースホスホ
リラーゼの性質は、以下の通りである。
【0093】(1)作用 前記の式1で示すように、マルトースを可逆的に加リン
酸分解する。すなわち、リン酸存在下でマルトースに作
用させると、等モルのグルコースとβ−グルコース−1
−リン酸を生成し、グルコースとβ−グルコース−1−
リン酸に作用させると等モルのマルトースとリン酸を生
成する。
【0094】(2)基質特異性 トレハロース、ネオトレハロース、マルトース、イソマ
ルトース、セロビオース、シュークロース、p−ニトロ
フェノールーα−グルコシド、p−ニトロフェノール−
β−グルコシドを基質として加リン酸分解反応を行った
ところ、マルトース以外にはグルコースの生成がほとん
ど認められなかった。
【0095】(3)至適温度 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中で各種温度(40〜85℃)で反応させたとこ
ろ、マルトース加リン酸分解反応の至適温度は60℃〜
70℃付近で、50℃〜70℃の範囲で最高活性の約5
0%以上を示した。
【0096】(4)熱安定性 10mM酢酸緩衝液(pH6.0)中にてインキュベー
トし、残存活性を測定したところ、60℃で15分間処
理で、無処理の80%以上の活性を示した。
【0097】(5)至適pH 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0
〜8.0)と25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5〜
9.0)を用いて反応を行ったところ、至適pHは6.
0〜7.0であった。
【0098】(6)pH安定性 100mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.
0〜8.0)と100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
5〜9.0)を用いて4℃で24時間インキュベート
し、各pHでの残存活性を測定したところ、pH5.5
〜8.0で安定であった。
【0099】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。
【0100】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出容量の比較から分
子量を求めた結果、本酵素の分子量は15万〜19万で
あった。
【0101】また、SDSゲル電気泳動により、各種標
準タンパク質との相対移動度から分子量を求めた値は
7.5万〜9.5万であった。
【0102】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.7〜5.1であった。
【0103】(10)阻害剤 1mMのHgClで99%、ZnSOで37%の活
性阻害が見られた。
【0104】(11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、精製酵素はN末端に配列番号2に示すアミ
ノ酸配列を有していた。
【0105】この組換え型耐熱性マルトースホスホリラ
ーゼの酵素化学的特性は、バチルス・sp.RK−1の
由来の耐熱性マルトースホスホリラーゼの酵素学的性質
とほぼ一致するものであった。
【0106】従って、前述の組換え型耐熱性マルトース
ホスホリラーゼをコードするDNΛは、バチルス・s
p.RK−1の由来のものであると判断した。
【0107】[4] トレハロース又はβ−グルコース
−1−リン酸の製造 組換え型耐熱性マルトースホスホリラーゼ及び耐熱性ト
レハロースホスホリラーゼの存在下に、マルトースとリ
ン酸もしくはリン酸塩とを、水性媒体中で、反応させ
て、トレハロース又はβ−グルコース−1−リン酸を製
造する方法について、以下述べる。
【0108】この反応に用いられる組換え耐熱性マルト
ースホスホリラーゼとしては、pH6.0の緩衝液、例
えば10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH
6.0)中で、50〜65℃のいずれかの温度で、好ま
しくは55〜65℃のいずれかの温度で、特に60℃で
15分処理後に無処理の80%以上の活性を有するもの
が好適に用いられる。これらの酵素は、精製酵素であっ
ても、マルターゼ等のトレハロースの製造に悪影響を及
ぼす酵素を含まない粗酵素であってもよい。また、さら
にこれを酵素の常法により担体に固定した固定化酵素を
用いることも可能である。
【0109】また、この反応に用いる耐熱性トレハロー
スホスホリラーゼとしては、上記反応温度のいずれか
で、及び上記pH範囲のいずれかで、組換え型耐熱性マ
ルトースホスホリラーゼの助力の下に、マルトースとリ
ン酸もしくはリン酸塩からトレハロースを生産し得るも
のであればよい。
【0110】しかしながら、好適にはpH6.0の緩衝
液、例えば10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液
(pH6.0)中で、50〜65℃のいずれかの温度
で、好ましくは55〜65℃のいずれかの温度で、特に
60℃で15分処理後に無処理の80%以上の活性を有
する耐熱性トレハロースホスホリラーゼを用いることが
できる。かかる性質を有する耐熱性トレハロースホスホ
リラーゼの例として、本発明者らによって見出されたバ
チルス・ステアロサーモフィラスSK−1(FERM
P−14567)が産生する耐熱性トレハロースホスホ
リラーゼを挙げることができる。
【0111】耐熱性トレハロースホスホリラーゼは組換
え型耐熱性マルトースホスホリラーゼと同様、精製酵素
であっても粗酵素であってもよい。
【0112】マルトースとしてはマルトースまたはマル
トース含有物(例えばマルトース高含有糖液)を用いる
ことができる。リン酸塩としてはリン酸三カリウム(も
しくはナトリウム)、リン酸水素二カリウム(もしくは
ナトリウム)、リン酸二水素カリウム(もしくはナトリ
ウム)等の水溶性リン酸塩を用いることができる。水性
媒体としては水、緩衝液等が挙げられる。緩衝液として
は酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク
酸緩衝液、トリス・塩酸緩衝液等を用いることができ
る。
【0113】酵素の使用量については特に制限はない
が、マルトース1gに対して各酵素とも、0.1〜50
単位、好ましくは1〜20単位使用するのが好適であ
る。また、組換え型耐熱性マルトースホスホリラーゼと
耐熱性トレハロースホスホラリーゼとの使用比率は特に
制限ないが、単位の比で前者:後者=1:5〜5:1、
好ましくは1:2〜2:1が適当である。
【0114】リン酸及び/またはリン酸塩はマルトース
に対して、特に制限はないが、0.001〜1倍モル、
好ましくは0.005〜0.5倍モル使用するのが適当
である。尚、緩衝液がリン酸(塩)を含有する場合は系
中のリン酸及びリン酸塩の総量が上記範囲であればよ
い。
【0115】上記反応は温度、雑菌汚染をさらに避ける
とともに収率を挙げるため、好ましくは55〜70℃、
好ましくは55〜65℃、更に好ましくは60〜65℃
で行う。pHは一般に4.5〜8.0、好ましくは5.
0〜6.0で行うのが適当である。上記条件で十分なト
レハロース生成が見られた時点で反応を終了するが、反
応は通常1〜144時間で終了する。
【0116】反応終了後、反応液の加熱による酵素の失
活、pHの低下(塩酸等の酸の添加)による酵素の失活
等の適当な手段で反応を停止させ、活性炭処理、イオン
交換樹脂処理、エタノール晶出処理等の単離・精製手段
を適宜組み合わせてトレハロースを得ることができる。
【0117】また、本発明は、組換え型耐熱性マルトー
スホスホリラーゼの存在下にマルトースとリン酸もしく
はリン酸塩とを、水溶媒中で反応させせて、β−グルコ
ース−1−リン酸を製造することもできる。
【0118】その場合、この反応に用いられる組換え型
耐熱性マルトースホスホリラーゼ、マルトース、水溶媒
は、トレハロース製造の場合と同様にして行うことがで
きる。酵素はマルトース1gに対して0.1〜50単
位、好ましくは1〜20単位が好適である。
【0119】反応温度、反応pH、反応時間はトレハロ
ース製造の場合と同様にして行うことができる。反応終
了後、イオン交換樹脂処理等の単離・精製手段を適宜組
み合わせてβ−グルコース−1−リン酸を得ることがで
きる。
【0120】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により詳細に説明する。
【0121】マルトースホスホリラーゼ活性は、以下の
ように測定した。
【0122】適宜希釈した酵素溶液0.4mlと0.5
Mリン酸クエン酸緩衝液(pH6.0)0.06ml、
2W/V%マルトース0.6ml、蒸留水0.14ml
を混合し、60℃、15分反応後10分間の煮沸によっ
て反応を停止させた。次に、この反応停止液から0.0
2mlを採取し、グルコース検査試薬グルコースCII
−テストワコー(和光純薬工業(株))を3ml加え、
室温で20分間反応させた後、505nmでの吸光度を
分光光度計を用いて測定し、反応液中のグルコース量を
定量した。生成したグルコースの量から1分間に1μm
olのマルトースを加リン酸分解した酵素量を1単位と
した。
【0123】
【実施例1】 精製マルトースホスホリラーゼの酵素化
学的特性 [実施例1−1] 精製酵素の調製 バチルスsp.RK−1(FERM P−15044)
による耐熱性マルトースホスホリラーゼの精製は以下の
ようにして行った。
【0124】(培養)酵母エキス1%、ポリペプトン2
%、マルトース1%を含有する培地(pH7.0)10
0mlを500mlバッフル付きマイヤーフラスコに入
れ、121℃、20分間オートクレーブ殺菌したもの
に、バチルスsp.RK−1を1白金耳植菌し、55℃
にて16時間振とう培養したものを種培養液とした。
【0125】容量51のファーメンターに種培養の場合
と同組成の培地約31を入れて滅菌し、温度を55℃と
した後、種培養液2V/V%を接種し、55℃、pH
6.0〜7.0に保持しながら18時間通気攪拌培養し
た。
【0126】(粗酵素調製)分離した培養液に硫安を4
0〜60%の飽和溶液になるよう溶解し、生じたタンパ
ク質の沈澱を遠心分離によって回収して、10mM酢酸
緩衝液(pH6.0)に溶解後、同じ緩衝液に対して透
析を行い、濃縮後マルトースホスホリラーゼ活性285
単位/ml、マルターゼ活性65単位/mlの粗酵素液
を10ml得た。尚、マルターゼ活性の単位はマルトー
スを基質として反応を行い、1分間に遊離したグルコー
スのμmol数とした。
【0127】(イオン交換クロマトグラフィー)10m
M酢酸緩衝液(pH6.0)によって平衡化したTSK
gelDEAEトーヨーパール650M(東ソー
(株))を詰めたカラムに、粗酵素液を添加し、0〜
0.5MNaClの上昇濃度勾配によって溶出し、分画
分取した。活性のある画分は合わせて濃縮、脱塩後、更
に、一連の同じクロマトグラフィー操作を行い精製度を
上げた。
【0128】(ゲル濾過クロマトグラフィー)0.2M
NaClを溶解した10mM酢酸緩衝液(pH6.0)
によって平衡化した、Superdex200pgカラ
ム(ファルマシア バイオテク(株))に、上記部分精
製酵素液を添加し、同じ緩衝液で溶出し、分画分取し
た。活性のある画分は濃縮、脱塩を行った。
【0129】(等電点クロマトグラフィー)25mMビ
ス・トリス塩酸緩衝液(pH7.1)によって平衡化し
た、Mono P HR5/20カラム(ファルマシア
バイオテク(株))に上記部分精製酵素液を添加し、
pH4.0に調製した展開緩衝液Polybuffer
(ファルマシア バイオテク(株))で溶出し、分画分
取した。活性のある画分は濃縮、脱塩を行った。
【0130】(ネイティブポリアクリルアミドゲル電気
泳動)上記精製酵素をネイティブポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動し、ゲルをCBB染色してタンパク質のバン
ドを調べたところ一本のバンドしか検出されず、単一タ
ンパク質であることが確認できたので精製マルトースホ
スホリラーゼ酵素液とした。
【0131】[実施例1−2] 精製酵素の酵素化学的
特性 実施例1−1で調製した精製マルトースホスホリラーゼ
液を用い、以下の酵素化学的特性を調べた。
【0132】(1)作用 実施例1−1で調製した精製酵素液0.4mlと0.5
Mリン酸クエン酸緩衝液(pH6.0)0.06ml、
2W/V%マルトース0.6ml、蒸留水0.14ml
を混合し、60℃、60分間マルトース分解反応を行っ
た。反応後10分間の煮沸によって反応を停止させ、こ
の反応停止液から0.02mlを採取し、グルコース検
査試薬グルコースCII−テストワコー(和光純薬工業
(株))を3ml加え、室温で20分間反応させた後、
505nmでの吸光度を分光光度計を用いて測定し、反
応液中のグルコース量を定量した。一方、陰イオン交換
カラムと示唆屈折計を用いた高速液体クロマトグラフィ
ーにより、反応液中のβ−グルコース−1−リン酸を定
量した。その結果、反応停止液中のグルコース含量とβ
−グルコース−1−リン酸含量は等しかった。
【0133】また、精製酵素液0.4mlと0.5M酢
酸緩衝液(pH6.0)0.12ml、0.5Mβ−グ
ルコース−1−リン酸・Na水溶液0.12ml、0.
5Mグルコース水溶液0.12ml、蒸留水0.44m
lを混合し、60℃、60分反応後10分間の煮沸によ
って反応を停止させた。次に、この反応停止液から0.
02mlを採取し、グルコース検査試薬グルコースCI
I−テストワコー(和光純薬工業(株))を3ml加
え、室温で20分間反応させた後、505nmでの吸光
度を分光光度計を用いて測定し、反応液中のグルコース
量を定量した。一方、反応停止液をTSKgel Am
ido80カラム(東ソー(株))を用いた高速液体ク
ロマトグラフィーで分離後、示差屈折計で反応液のマル
トースを検出し定量した。
【0134】その結果、反応停止液中の消費グルコース
量と生成マルトース量は等しかった。従って、精製酵素
の作用は、式(1)で示すように、マルトースを可逆的
に加リン酸分解する。すなわち、リン酸存在下でマルト
ースに作用させると、等モルのグルコースとβ−グルコ
ース−1−リン酸を生成し、グルコースとβ−グルコー
ス−1−リン酸に作用させると等モルのマルトースとリ
ン酸を生成すると結論した。
【0135】(2)基質特異性 (1)のマルトース分解反応の基質を以下のものに置き
換えて加リン酸分解反応を行ったところ、トレハロー
ス、ネオトレハロース、イソマルトース、セロビオー
ス、シュークロース、p−ニトロフェノール−α−グル
コシド、p−ニトロフェノール−β−グルコシドを基質
として加リン酸分解反応を行ったところ、いずれもグル
コースの生成が認められなかった(表1)。
【0136】(3)至適温度 精製マルトースホスホリラーゼ活性を各種温度(40〜
85℃)で行ったところ、マルトース加リン酸分解反応
の至適温度は60℃〜70℃付近で、50℃〜70℃の
範囲で最高活性の約50%以上を示した(図1)。
【0137】(4)熱安定性 精製酵素液を各種温度(40〜75℃)に15分間イン
キュベートした後、マルトースホスホリラーゼ活性を測
定したところ、60℃処理で、無処理の80%以上の活
性を示した(図2)。
【0138】(5)至適pH マルトースホスホリラーゼ活性測定に用いる0.5Mリ
ン酸クエン酸緩衝液(pH6.0)の代わりに、0.5
Mリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0〜8.
0)もしくは0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5〜
9.0)を用いて反応を行ったところ、至適pHは6.
0〜7.0であった(図3)。
【0139】(6)pH安定性 精製マルトースホスホリラーゼ酵素液を100mMリン
酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0〜8.0)と
100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5〜9.0)と
混合し、4℃で24時間インキュベートした後、各pH
での残存活性を測定したところ、pH5.5〜8.0で
安定であった(図4)。
【0140】(7)失活 精製マルトースホスホリラーゼ酵素液を100℃、10
分間加熱した後、残存活性を測定したところ、活性は1
00%失活していた。
【0141】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出容量の比較から分
子量を求めた結果、精製酵素の分予量は15万〜19万
であった。
【0142】また、SDSゲル電気泳動により、各種標
準タンパク質との相対移動度から分子量を求めた値は
7.5万〜9.5万であった。
【0143】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.7〜5.1であった。
【0144】(10)阻害剤 精製マルトースホスホリラーゼ酵素液に終濃度1mMに
なるように阻害剤を添加した後、残存活性を測定したと
ころ、HgClで99%、ZnSOで37%の活性
阻害が見られた(表2)。
【0145】(11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、精製酵素はN末端に配列表における配列番
号2に示すアミノ酸配列を有していた。
【0146】
【実施例2】 耐熱性マルトースホスホリラーゼをコー
ドするDNAを含む組換えDNA及び組換えDNA形質
転換大腸菌の調製 [実施例2−1] 染色体DNAの調製 ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、NaCl0.
5%を含有する培地(pH7.0)100mlを500
mlバッフル付フラスコに入れ、121℃、20分間オ
ートクレーブ殺菌したものにバチルスsp.RK−1株
を植菌し、55℃で14時間回転振とう培養した。遠心
分離により培養液から菌体を分離し、0.1MEDTA
を含む0.15MNaCl溶液(pH8.0)に懸濁し
た。これにリゾチームを2mg/mlとなるように加
え、37℃で30分間穏やかに振とうした後、−80℃
で30分間凍結した。解凍後、1%SDSと0.1MN
aClを含む0.1Mトリス−HCl緩衝液(pH9.
0)を加えて60℃に加温した。冷却後、1mMEDT
Aを含む10mMトリス・HCl緩衝液(pH8.0)
(TE緩衝液)で飽和したフェノール溶液を加えて除蛋
白処理を行った。その後、冷エタノールを加え、生成し
た粗染色体DNAを採取し、これを70%、80%、9
0%エタノールにそれぞれ5分間ずつ浸した後、TE緩
衝液に溶解した。これにRNaseA(シグマ)を20
μg/mlとなるように加え、37℃で30分間反応さ
せた。反応液を再度フェノール溶液による除蛋白処理を
行い、冷エタノールを加えて生成した染色体DNAを採
取し、70%、80%、90%エタノールにそれぞれ5
分間ずつ浸した後、1mg/mlとなるようにTE緩衝
液に溶解し、染色体DNA溶液とした。
【0147】[実施例2−2] マルトースホスホリラ
ーゼをコードするDNAの5´端DNA断片の取得 配列表における配列番号2に示すマルトースホスホリラ
ーゼのN末端の1から8番目のアミノ酸配列のMet−
Tyr−Tyr−Asn−Arg−Leu−Phe−A
spで表される配列に基づき、5´−ATGTAYTA
YAAYCGNCTNTTYGA−3´及び5´−AT
GTAYTAYAAYAGRTTRTTYGΛ−3´で
表される配列のオリゴヌクレオチドを化学合成した。こ
れらのオリゴヌクレオチドをプライマーとし、実施例2
−1で得られた染色体DNΛをテンプレートとしてGe
neAmp PCR Reagent Kit wit
hAmpliTaq DNA Polymerase
(宝酒造(株))を用いてPCRを行った。反応条件
は、93℃で2分間加熱した後、95℃で1分、55℃
で1分30秒、72℃で3分のサイクルを30回繰り返
してから、最後に72℃で15分保温した。
【0148】アガロースゲル電気泳動で調べたところ、
約400塩基対のDNA断片が生成していることが判明
した。この断片をDE81ペーパー(ワットマン)を用
いてアガロースゲルから回収し、T4ポリメラーゼ及び
クレノウフラグメントを作用させて断片の末端を平滑化
した。このDNA断片をRTGpUC18 SmaI/
BAP+Ligase(ファルマシア)を用いてプラス
ミドベクターpUC18のSmaI部位に挿入した。そ
して、この組換えプラスミドをコンピテントセルE.c
oli JM109(宝酒造(株))100μlに加
え、氷冷下に30分間静置後、42℃で45秒間加温
し、SOC培地を加えて37℃で1時間振とう培養する
ことにより、組換えプラスミドを導入した形質転換大腸
菌を得た。
【0149】得られた大腸菌から組換えプラスミド抽出
し、このプラスミドをテンプレートそして、プラスミド
ベクターpUC18のDNAを基に化学合成により作製
した、2種類の合成オリゴヌクレオチドFP(5´−G
TTTTCCCAGTCACGACG−3´)及びRP
(5´−GAATTGTGAGCGGATAAC−3
´)をプライマーとして、前述の反応条件でPCRを行
い、pUC18に挿入したDNA断片の増幅行った。反
応液90μlにPEG溶液(20%ポリエチレングリコ
ール、2.5MNaCl)を60μl加えて混合し、氷
中に15分間静置した。遠心分離により沈殿したDNA
断片を分離し、70%エタノールで洗浄後、真空乾燥し
た。これを適量の蒸留水に溶解し、塩基配列決定用DN
Aを調製した。このDNAをテンプレートとし、PRI
SM Dye Primer Cycle Seque
ncing Ready Reaction Kit
(パーキンエルマー)を用いたジデオキシ・チェーン・
ターミネーター法によりDNA断片の蛍光ラベルを行
い、DNAシークエンサー373A(Applied
Biosystems)で分析して塩基配列を決定し
た。結果、マルトースホスホリラーゼのN末端から5番
目のArg以降をコードする381塩基対のDNA断片
であることが判明した。
【0150】[実施例2−3] 耐熱性マルトースホス
ホリラーゼをコードするDNA配列を含むDNA断片の
取得とその塩基配列の決定 実施例2−1で調製した染色体DNAをHind II
I、BamH I、Pst I、Sal I、EcoR
I等の各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動
を行った。分離したDNA断片を常法によりナイロン膜
Gene Screen Plus Hybridiz
ation Transfer Membrane(デ
ュポン)に固定した。実施例2−2で得た381塩基対
のDNA断片をRandam Primer DNA
Labeling Kit(宝酒造(株))を用いたラ
ンダムプライマーDNAラベリング法により放射性同位
32Pで標識後、前記ナイロン膜上に固定したDNA
断片とSouthern,E.M.らの方法(J.Mo
l.Biol.,98:503−517,1975)に
従ってサザンハイブリダイズさせた。条件は、5XSS
C、1%SDS、10%硫酸デキストラン、0.5mg
/mlサケ変性DNAからなる溶液中において、65℃
で16〜20時間ハイブリダイズを行い、その後2XS
SC、1%SDSからなる溶液中にて65℃で30分間
のサイクルで3回ナイロン膜を洗浄した。
【0151】その結果、制限酵素HindIIIで切断
して生成した約2,500塩基対のDNA断片がハイブ
リダイズした。
【0152】そこで、実施例2−2で得た381塩基対
のDNA断片の塩基配列を基に、5´−GATGGTC
ACCGGAATAAGTCTCTTC−3´及び5´
−GATAAAACCAGGGTTGGCTGGTGG
A−3´で表されるオリゴヌクレオチドML及びMRを
化学合成した。一方、染色体DNAをHind III
で切断後、DNA Ligation Kit(宝酒造
(株))を用いてライゲーションを行ったDNAをテン
プレート、ML及びMRをプライマーとしてGeneA
mp XL PCR Kit(パーキンエルマー)を用
いてPCRを行った。反応条件は、95℃で3分間加熱
後、95℃で30秒間、65℃で8分間のサイクルを3
2回繰り返してから、最後に72℃で12分間保温し
た。反応液をアガロースゲル電気泳動したところ、約
2,500塩基対のDNA断片が検出されたので、アガ
ロースゲルよりこのDNA断片をDE81ペーパ(ワッ
トマン)を用いて抽出した。抽出したDNA断片は超音
波処理によって500〜1000塩基対の大きさに小断
片化した後、RTGpUC18SmaI/BAP+Li
gase(ファルマシア)を用いてプラスミドベクター
pUC18のSmaI部位に挿入した。そして、この組
換えプラスミドをコンピテントセルEcoliJM10
9(宝酒造(株))を用いて大腸菌JM109に導入し
た。
【0153】得られた形質転換大腸菌から組換えプラス
ミドを抽出し、このプラスミドをテンプレート、オリゴ
ヌクレオトドFP及びRPをプライマーとして実施例2
−2と同じ反応条件でPCRを行った。反応液から増幅
したDNA断片を精製し、塩基配列決定用DNAを調製
した。そして、このDNA断片をテンプレートとしてP
RISMTM Dye Primer Cycle S
equencingReady Reaction K
it(パーキンエルマー)を用いた蛍光ラベル反応を行
い、DNAシークエンサー373A(Applied
Biosystems)で分析して塩基配列を決定し
た。決定した全ての塩基配列をコンピューターソフトG
ENETYX−MAC(ソフトウエアー開発(株))を
用いて解析し、約2,500塩基対のDNA断片の塩基
配列を決定した。
【0154】次に、この決定した配列の3´側に見られ
る制限酵素BstpI認識配列以降の塩基配列を基に、
5´−GCGACAGAAAGATACATCGGCA
CAG−3´及び5´−ATCTCCGGAAGTAA
CGAGGAACTTG−3´で表されるオリゴヌクレ
オチドML2及びMR2を化学合成した。一方、染色体
DNAを制限酵素BstpIで切断した後、上述と同様
にライゲーションしたDNAをテンプレート、ML2及
びMR2をプライマーとして実施例2−2と同じ反応条
件でPCRを行った。反応液をアガロースゲル電気泳動
したところ約4,000塩基対のDNA断片が検出され
た。そこで、この約4,000塩基対のDNA断片の塩
基配列の決定を行った。その結果、先に決定したマルト
ースホスホリラーゼをコードするDNA断片の3´端以
降の配列が決定できた。両配列より決定した耐熱性マル
トースホスホリラーゼをコードする塩基配列を配列表に
おける配列番号3に示す。
【0155】[実施例2−4] 組換えプラスミドpR
MP1と形質転換大腸菌RMP1の調製 実施例2−3で決定した塩基配列より、マルトースホス
ホリラーゼをコードするDNA配列の開始コドン上流1
69塩基目からの配列5´−TTGCTGCAGGAT
GCCCTTCA−3´で表されるオリゴヌクレオチド
5MPと、終止コドン下流180塩基目からの配列のア
ンチセンス配列5´−AAACTGCAGGCGGAT
GTCATAACCATTGT−3´で表されるオリゴ
ヌクレオチド3MPを化学合成した。実施例2−1で調
製した染色体DNAをテンプレートとし、5MPと3M
Pをプライマーとして実施例2−2と同じ反応条件でP
CRを行い、2,655塩基対のDNA断片を得た。
【0156】この2,655塩基対のDNA断片を、O
riginal TA Cloning Kit(In
vitrogen)を用いて、pCR2.1にライゲー
ション後、大腸菌INVaF’(endAl,recA
1,hsdR17(r−k,m+k),supE44,
λ−,thi−1,gyrA,relAl,φ80la
cZ△M15△(lacZYA−argF),deoR
,F’)株への導入を行い、2,655塩基対のDN
A断片が組み込まれた組換えプラスミドpRMP1(図
5)を有する形質転換大腸菌RMP1を得た。
【0157】上記の形質転換大腸菌RMP1をEsch
erichia coli RMP1と命名し(受託番
号:FERM P−16132)、工業技術院生命工学
工業技術試験所に平成9年3月12日に寄託した。
【0158】そして、形質転換大腸菌RMP1を培養
し、培養液から組換えプラスミドpRMP1を抽出し、
導入した2,655塩基対のDNA断片の塩基配列の解
析を行った。その塩基配列を、配列表の配列番号1に示
す。
【0159】この配列より、組み込んだ2,655塩基
対のDNA断片の塩基配列は、実施例2−3で決定した
耐熱性マルトースホスホリラーゼのDNA配列の配列番
号3の1506〜4160と一致することが判明し、組
換え耐熱性マルトースホスホリラーゼをコードしている
ことが確認できた。
【0160】
【実施例3】 形質転換大腸菌RPM1が生産する組換
え耐熱性マルトースホスホリラーゼの酵素化学的特性 [実施例3−1] 組換え耐熱性マルトースホスホリラ
ーゼの精製 バクトトリプトン1.6%、酵母エキス1.0%、Na
C10.5%を含有する培地(pH7.0)100ml
を500ml三角フラスコに入れ、121℃、20分間
オートクレーブ殺菌した後、濾過滅菌した10mg/m
lアンピシリン水溶液0.5mlを添加したものに、実
施例2で得られた形質転換大腸菌RMP1を1白金耳植
菌し、37℃で16時間回転振とう培養したものを種培
養液とした。
【0161】容量51のファーメンターにポリペプトン
2%、酵母エキス1%、グルコース0.5%、NaC1
0.5%、MgSO0.05%を含有する培地(pH
7.0)約31を入れて滅菌後、予め濾過滅菌したアン
ピシリン水溶液を100mg/lになるように添加し、
温度を35℃とした後、種培養液2V/V%を接種し
て、35℃、pH6.5〜7.5に保持しながら24時
間通気攪拌培養した。
【0162】培養終了後、培養液を連続的に超音波処理
して菌体の破壊を行った。これを遠心分離し菌体残渣を
除去した培養液上清を得た。この上清を限外濾過によっ
て約100mlまで濃縮した後、10mM酢酸緩衝液
(pH6.0)を31加えて、再度100mlまで濃縮
し、粗酵素液を得た。粗酵素液のマルトースホスホリラ
ーゼ活性は2,100単位/mlで、マルターゼ活性は
検出されなかった。
【0163】そこで、この粗酵素液を実施例1−1と同
様にして精製を行い、ネイティブポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動で単一タンパク質であることを確認した。
【0164】[実施例3−2] 組換え耐熱性マルトー
スホスホリラーゼの酵素化学的特性 実施例3−1の精製した組換え耐熱性マルトースホスホ
リラーゼの酵素化学的特性は実施例1−2と同様にして
調べた。以下に結果を示す。
【0165】(1)作用 マルトースを可逆的に加リン酸分解する。すなわち、リ
ン酸存在下でマルトースに作用させると、等モルのグル
コースとβ−グルコース−1−リン酸を生成し、グルコ
ースとグルコース−1−リン酸に作用させると等モルの
マルトースとリン酸を生成する。
【0166】(2)基質特異性 トレハロース、ネオトレハロース、マルトース、イソマ
ルトース、セロビオース、シュークロース、p−トロフ
ェノール−α−グルコシド、p−ニトロフェノール−β
−グルコシドを基質として加リン酸分解反応を行ったと
ころ、マルトース以外にはグルコースの生成が認められ
なかった。
【0167】(3)至適温度 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中で各種温度(40〜85℃)で反応させたとこ
ろ、マルトース加リン酸分解反応の至適温度は60℃〜
70℃付近で、50℃〜70℃の範囲で最高活性の約5
0%以上を示した。
【0168】(4)熱安定性 10mM酢酸緩衝液(pH6.0)中にてインキュベー
トし、残存活性を測定したところ、60℃で15分間処
理で、無処理の80%以上の活性を示した。
【0169】(5)至適pH 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0
〜8.0)と25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5〜
9.0)を用いて反応を行ったところ、至適pHは6.
0〜7.0であった。
【0170】(6)pH安定性 100mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.
0〜8.0)と100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
5〜9.0)を用いて4℃で24時間インキュベート
し、各pHでの残存活性を測定したところ、pH5.5
〜8.0で安定であった。
【0171】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活した。
【0172】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出容量の比較から分
子量を求めた結果、本酵素の分子量は15万〜19万で
あった。
【0173】また、SDSゲル電気泳動により、各種標
準タンパク質との相対移動度から分子量を求めた値は
7.5万〜9.5万であった。
【0174】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.7〜5.1であった。
【0175】(10)阻害剤 1mMのHgClで99%、ZnSOで35%の活
性阻害が見られた。
【0176】(11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、精製酵素はN末端に配列表における配列番
号2に示すアミノ酸配列を有していた。
【0177】この結果から、組換え耐熱性マルトースホ
スホリラーゼは、耐熱性マルトースホスホリラーゼと同
じ酵素化学的性質を有することが確認された。
【0178】
【実施例4】 組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼ
を用いたトレハロースの製造 [実施例4−1] 耐熱性トレハロースホスホリラーゼ
の調製 肉エキス0.12%、ポリペプトン0.4%、NaC1
0.2を含有する培地(pH7.0)100mlを50
0mlバッフル付きマイヤーフラスコに入れ、121
℃、20分間オートクレーブ殺菌したものに、バチルス
・ステアロサーモフィラスSK−1(FERM P−1
4567)を1白金耳植菌し、55℃にて16時間振と
う培養したものを種培養液とした。
【0179】容量51のファーメンターに酵母エキス1
%、ポリペプトン2%、トレハロース1%を含有する培
地(pH7.0)約31を入れて滅菌し、温度を55℃
とした後、種培養液2V/V%を接種し、55℃、pH
6.0〜7.0に保持しながら40時間通気攪拌培養し
た。
【0180】培養終了後、培養物を遠心分離により菌体
を分離し、上清に硫安を80%飽和に溶解し、析出した
タンパク質を遠心分離によって集めた。これを10mM
酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解後、同じ緩衝液に対し
て透析を行い、濃縮後約220単位/ml粗酵素液を2
0ml得た。
【0181】[実施例4−2] マルトースからトレハ
ロースの生成反応 実施例4−1で調製した耐熱性トレハロースホスホリラ
ーゼ粗酵素液と実施例3−1で調製した組換え型マルト
ースホスホリラーゼ粗酵素液を用いて、基質のマルトー
スに作用させトレハロースヘ変換させた。
【0182】反応液はマルトース濃度30W/W%、リ
ン酸濃度10mM、粗酵素各10単位/gとなるように
添加し、酢酸緩衝液でpH5.0に調製した。反応は6
0℃で48時間行った。反応の停止は10分間100℃
に加熱して行った。反応終了後、各反応液をTSKge
l Amido80カラム(東ソー(株))、溶離液ア
セトニトリル/水(76/24)、流速0.8ml/m
in、カラム温度80℃、示差屈折計Shodex(昭
和電工(株))を検出手段とする高速液体クロマトグラ
フィーにより反応液の糖組成を定量した。また、β−グ
ルコース−1−リン酸は反応液を陰イオン交換カラムと
示差屈析計を用いた高速液体クロマトグラフィーにより
定量した。結果、基質マルトースの65%がトレハロー
スに変換された。
【0183】
【実施例5】 トレハロース含有糖液、及びその粉末の
製造 コーンスターチにα−アミラーゼを作用させた澱粉液化
液に枝切り酵素プロモザイム(ノボノルディクスバイオ
インダストリー)とβ−アミラーゼ(長瀬産業(株))
を作用させて調製したマルトース高含有糖液(固形分3
0W/W%、固形分当たりのマルトース純度80%)
に、実施例4−1で調製した組換え型マルトースホスホ
リラーゼ粗酵素液と実施例4−2で調製したバチルス・
ステアロサーモフィラスSK−1(FERM P−14
567)の耐熱性トレハロースホスホリラーゼ粗酵素液
をそれぞれ固形分1g当たり10単位になるように加
え、さらに、リン酸濃度10mMになるようにリン酸カ
リウムを加えて、60℃、pH5.0で48時間反応さ
せ、次いで100℃で10分間加熱して酵素を失活させ
た。
【0184】この反応液を活性炭で脱色し、イオン交換
樹脂で脱塩した後、濃度約75%まで濃縮し、トレハロ
ース含有糖液を得た。この糖液を実施例4−3と同様に
高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、固
形分当たりの割合はグルコース2.8%、トレハロース
63.2%、マルトース20.5%、マルトトリオース
5.1%、その他マルトオリゴ糖8.4%であった。
【0185】また、前記反応液に固形分1g当たり1単
位になるようにグルコアミラーゼ(生化学工業(株))
を加え、55℃で8時間反応させ、次いで100℃で1
0分間加熱して酵素を失活させた。この反応液を活性炭
で脱色し、イオン交換樹脂で脱塩した後、濃度約50%
まで濃縮し、ナトリウム型イオン交換カラムで分離を行
い、トレハロース画分を分取した。この分取した糖液を
濃縮し、固形分75%で固形分当たり95%のトレハロ
ースを含有するトレハロース高含有糖液を得た。
【0186】さらに、このトレハロース高含有糖液を濃
縮後乾燥することにより粉末トレハロースを得た。
【0187】以上の結果から、組換え耐熱性マルトース
ホスホリラーゼを利用して、トレハロースを製造するこ
とが出来ることが確認された。
【0188】
【発明の効果】本発明は、本発明者らが見出した、好熱
性バチルス属細菌、特にバチルスsp.RK−1(FE
RM P−15044)由来の耐熱性マルトースホスホ
リラーゼ遺伝子を基に、遺伝子工学的手法により、組換
え耐熱性マルトースホスホリラーゼを得、これを用いて
組換え微生物を作製したものであって、これを培養すれ
ば、酵素の生産性が飛躍的に上昇し、不純物の少ない、
高純度組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼを効率よ
く製造できるDNAを得た点で極めて優れている。
【0189】また、このように、組換え耐熱性マルトー
スホスホリラーゼが工業的規模で大量に、効率よく生産
できるようになった結果、これを利用することにより、
有用なトレハロースの製造が飛躍的に効率よく製造する
ことができる点においても、非常に価値がある。
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:2655 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:バチルスsp 株名:RK−1 配列の特徴 特徴を示す記号:5’UTR 存在位置:1..181 特徴を決定した方法:E 特徴を示す記号:CDS 存在位置:182..2455 特徴を決定した方法:E 特徴を示す記号:3’UTR 存在位置:2455..2655 特徴を決定した方法:E 配列番号2 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメントの型:N末端フラグメント 配列番号3 配列の長さ:5987 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:バチルスsp 株名:RK−1
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐熱性マルトースホスホリラーゼの至
適温度
【図2】本発明の耐熱性マルトースホスホリラーゼの熱
安定性
【図3】本発明の耐熱性マルトースホスホリラーゼの至
適pH
【図4】本発明の耐熱性マルトースホスホリラーゼのp
H安定性
【図5】本発明のプラスミドベクターpRMP1の構造
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 19/12 C12P 19/12 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:07) (C12N 1/21 C12R 1:19) (72)発明者 大島 良恵 千葉県船橋市日の出2−20−2 昭和産業 株式会社総合研究所内 (72)発明者 山根 國男 茨城県土浦市常名4016−44

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)又は(b)のDNAからな
    る遺伝子。 (a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列の内、塩基
    番号182〜2455で表される塩基配列からなるDN
    A。 (b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズし、かつ下記の酵素化学的
    性質を有する組換え耐熱性マルトースホスホリラーゼを
    コードするDNA。 (1)作用 マルトースを可逆的に加リン酸分解する。すなわち、リ
    ン酸存在下でマルトースに作用させると、等モルのグル
    コースとβ−グルコース−1−リン酸を生成し、グルコ
    ースとグルコース−1−リン酸に作用させると等モルの
    マルトースとリン酸を生成する。 (2)基質特異性 マルトースに特異的に作用する。 (3)至適温度 マルトース加リン酸分解反応の至適温度は60℃〜70
    ℃付近で、50℃〜70℃の範囲で最高活性の約50%
    以上を示す。 (4)熱安定性 10mM酢酸緩衝液(pH6.0)中で、60℃、15
    分間処理後80%以上の活性を有する。 (5)至適pH 6.0〜7.0。 (6)pH安定性 pH5.5〜8.0で安定。 (7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。 (8)分子量 ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した値は15万
    〜19万。 (9)等電点 4.7〜5.1。 (10)阻害剤 HgClで著しく活性が阻害される。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列の
    内、塩基番号182〜2455で表される塩基配列から
    なるDNAが好熱性バチルス属細菌由来のものである請
    求項1記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】 好熱性バチルス属細菌由来のものがバチ
    ルスsp.RK−1(FERM P−15044)であ
    る請求項1又は請求項2に記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の遺伝子を含
    む組換えベクター。
  5. 【請求項5】 遺伝子がバチルスsp.RK−1(FE
    RM P−15044)の染色体由来の2,655塩基
    対のDNA断片である請求項4記載の組換えベクター。
  6. 【請求項6】 遺伝子がバチルスsp.RK−1(FE
    RM P−15044)の耐熱性マルトースホスホリラ
    ーゼをコードする遺伝子部分である2,274塩基対の
    DNA断片である請求項4記載の組換えベクター。
  7. 【請求項7】 ベクターがプラスミドベクターpRMP
    1由来のものである請求項4、5又は6記載の組換えベ
    クター。
  8. 【請求項8】 請求項4、5、6又は7に記載の組換え
    ベクターを含む形質転換体。
  9. 【請求項9】 形質転換体が大腸菌である請求項8記載
    の形質転換体。
  10. 【請求項10】 請求項8又は請求項9に記載の組換え
    形質転換体を培養して、組換え耐熱性マルトースホスホ
    リラーゼを製造する方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の組換え耐熱性マル
    トースホスホリラーゼ及び耐熱性トレハロースホスホリ
    ラーゼの存在下に、マルトースとリン酸もしくはリン酸
    塩とを、水性媒体中で、反応させることを特徴とするト
    レハロース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項11の反応が55〜70℃、p
    H4.5〜8.0で行われる請求項11記載のトレハロ
    ース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方法。
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