JPH10327887A - 組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼをコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクターを含む形質転換体とその産生物 - Google Patents

組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼをコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター及び該ベクターを含む形質転換体とその産生物

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JPH10327887A
JPH10327887A JP10098147A JP9814798A JPH10327887A JP H10327887 A JPH10327887 A JP H10327887A JP 10098147 A JP10098147 A JP 10098147A JP 9814798 A JP9814798 A JP 9814798A JP H10327887 A JPH10327887 A JP H10327887A
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trehalose
recombinant
dna
gene
glucose
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JP10098147A
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Yasushi Inoue
靖 井上
Tetsuji Tomita
哲司 富田
Keiko Ishii
圭子 石井
Yoshie Ooshima
良恵 大島
Kunio Yamane
國男 山根
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Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
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  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼを
コードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えベクター、該
組換えベクター含む形質転換体、該形質転換体を培養し
て組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼを製造する
方法、及び該酵素の利用法を提供すること。 【解決手段】 以下の(a)又は(b)のDNAからな
る遺伝子。 (a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列の内、塩基
番号279から2573で表される塩基配列からなるD
NA。 (b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズし、かつ下記の酵素化学的
性質を有する組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼ
をコードするDNA。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性トレハロー
スホスホリラーゼをコードする遺伝子、該遺伝子を含む
組換えベクターとその形質転換体、該形質転換体を用い
た組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼの製造方
法、及び該組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼを
用いたトレハロース又はβ−グルコース−1−リン酸の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】トレハロースは、酵母、かび、細菌、昆
虫等に広く分布する二糖類で、他の二糖類に比べて安定
なことから蛋白質等の乾燥保護剤(特表昭63ー500
562)としての利用等が考えられている有用な糖質で
ある。
【0003】従来、トレハロースを調製する方法として
は、酵母からの抽出法(特開平5ー292986)、細
菌による発酵法(特開平5ー211882)等が知られ
ている。しかし、これらの方法で調製したトレハロース
は、大量生産が操作的、設備的に困難である、不純物除
去工程が複雑である等の理由から製造コストが高くな
り、非常に高価であるため食品用途には利用することが
できなかった。
【0004】一方、安価にトレハロースを調製する有効
な方法として酵素法が挙げられる。その一つとして、マ
ルトースホスホリラーゼとトレハロースホスホリラーゼ
を用いた同時反応法がある(特公昭63ー6099
8)。この方法は2種類のホスホリラーゼがそれぞれマ
ルトースとトレハロースに作用して可逆的に加リン酸分
解しグルコースとβ−グルコース−1−リン酸を生じる
反応を利用したもので、安価な原料であるマルトースに
両酵素を同時に作用させるとトレハロースが生成するも
のである。
【0005】これまでに知られているトレハロースホス
ホリラーゼとしては、トレハロースを加リン酸分解して
グルコースとα−グルコース−1−リン酸を生じるもの
とグルコースとβ−グルコース−1−リン酸を生じるも
のがある。
【0006】前者の反応を行うものとしては、フラムリ
ナ・ベルティペス(Flammulina velutipes)(FEMS Mic
robiol.Lett.,55,147,1988)やグリフォラ・フロンドサ
(Grifola frondosa)(日本農芸化学会誌,68、580、199
4)、シゾフィラム(Schizophyllum)、アガリカス(Ag
aricus)、プレウロルス(Pleurotus)、リフィラム(L
yophllum)、レンチナス(Lentinus)、コリオラス(Co
riolus)、パナス(Panus)、クレツドツス(Crepidotu
s)、トリキャプタム(Trichaptum)、フォリオタ(Pho
liota)、ピクノポラス(Pycnoporus)、コリオラス(C
oriolus)、クリニペリス(Crinipellis)、ガノデルマ
(Ganoderm)、グレオフィラム(Gloeophyllum)、トリ
コローマ(Tricholoma)等のキノコ類が産生するもの
(特開平6ー189779、特開平7−99988、特
開平7−255473、特開平8−89273)、リゾ
パス・アジゴスポルス(Rhizopus azygosporus)などの
カビ類が生産するもの(特開平9−28375)、酵母
ピヒア・ファーメンタンス(Pichia fermentans)が生
産するもの(Appl.Microbiol.Biotechnol.,43,1088-109
5,1995)が挙げられる。
【0007】後者の反応を行うものとしては、緑藻ユー
グレナ・グラチリス(Euglena gracilis)(J.Biol.Che
m.、274、3223、1972)が産生するもの、放線菌カテラトス
ポラ・フェルジネラ(Catellatospora ferruginera)K
Y2039(FEMS Microbiol.Lett.,55,147-150,199
5)、キネオスポリア・オウランリアカ(Kineosporia a
urantiaca)ATCC29727等が生産するもの(特
開平7−59584)、細菌ミクロコッカス・バリアン
ス(Micrococcus varians)が生産するもの(特開平7
−284389)、プレシオモナス(Plesiomonas)が
生産するもの(特開平8−131157)、アルスロバ
クター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、バチル
ス・サーキュランス(Bacillus circulans)、ブレビバ
クテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリウム・
ゼロシス(Corynebacterium xerosis)、フラボバクテ
リウム(Flavobacterium)、ミクロコッカス・ルテウス
(Micrococcus luteus)、セラチア(Seratia)、スト
レプトマイセス・フラボビレンス(Streptomyces flavo
virens)、キサントモナス・キャンペストリス(Xantho
monas campestris)が生産するもの(特開平8−280
395)が挙げられる。
【0008】これらのトレハロースホスホリラーゼの
内、酵素化学的に酵素の特性が詳細に調べられているも
のは、ミクロコッカス・バリアンス(特開平7−284
389)及びプレシオモナス(特開平8−13115
7)である。これらの酵素の熱安定性は、高いものでも
50℃以下と低く、工業的製造条件で利用するのは困難
である。
【0009】一般に、工業的に酵素反応で生産を行う場
合、雑菌汚染の低減の目的から反応温度は55℃以上の
高温が一般的に採られている。反応温度の高温化は基質
と生産物の溶解度を上げて単位体積当たりの仕込量を多
くすることができ、且つ、酵素反応速度が早くなり反応
時間の短縮化ができる等の利点があるので、コスト的に
も有利である。このようなことから工業的に使用される
酵素は、一般的には熱安定性の優れたものが選ばれる。
【0010】また、工業的に使用される酵素は、生産コ
ストを下げるためにより安価であることも求められる。
つまり、酵素生産微生物は酵素生産性が高いことを要求
される。
【0011】この様な状況に鑑み、本発明者らは高温で
の酵素反応によるトレハロースの製造を行える高い熱安
定性を有する耐熱性トレハロースホスホリラーゼにつき
鋭意探索したところ、好熱性バチルス属細菌が生産する
トレハロースホスホリラーゼが55℃以上の温度で使用
しても失活しないことを見出した(特開平8−1311
66)。
【0012】しかしながら、これらの微生物は酵素の生
産能力が十分でなく、トレハロースやβ−グルコース−
1−リン酸を大量に生産しようとすると、微生物を大量
に培養しなければならないという問題があった。この問
題を解決するためには従来は、微生物の酵素生産能を改
善する煩雑な育種操作を行っていた。具体的には、野生
株を紫外線、エックス線、薬品(NTG(N−メチル−
N´−ニトロ−N−ニトロソグアニジン)、EMS(エ
チルメタンスルホネート)等)等を用い人工的変異手段
で変異処理し、酵素生産性の向上した変異株を作製する
といったものである。
【0013】また、トレハロースホスホリラーゼの生産
がトレハロースによって誘導される微生物が多く、酵素
生産培地の原料に高価なトレハロースを必要とする場合
がある。このため当然ながらトレハロースホスホリラー
ゼ生産コストが高くなり、トレハロース製造コストも高
くなる問題がある。この問題を解決する方法の一つとし
て、人工的変異によって酵素生産誘導が起こらなくなっ
た構成的変異株を作成する方法が考えられる。
【0014】そこで、本発明者らも、トレハロースホス
ホリラーゼ活性をもつバチルス属細菌に対して変異処理
を行い、約1万株の変異株を調べたが、思惑とは異な
り、トレハロースによる酵素生産誘導が解除された構成
的変異株を得ることができなかった。このことは、トレ
ハロースホスホリラーゼの遺伝子とトレハロースによる
誘導に関連する遺伝子とが、何らかの関連を持って連動
している可能性を示唆すると考えられた。この問題を解
決するためには、偶然に頼る変異処理ではなく、遺伝子
を単離して塩基配列を解析する遺伝子工学的な方法を採
る必要があると考えられた。
【0015】一方、現在は、全アミノ酸配列が解明され
ていない酵素であっても、これをコードする遺伝子を単
離し、その塩基配列を解明できれば、その酵素をコード
するDNAを含む組換えDNAを作製し、これを微生物
や動植物の細胞に導入して得られる形質転換体を培養す
ることにより、比較的容易に所望量の酵素が取得できる
ようになった。
【0016】そこで、かかる状況に鑑み、上記耐熱性酵
素をコードする遺伝子を突き止め、その遺伝子配列を解
析することは重要な技術的課題である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、組換え耐熱
性トレハロースホスホリラーゼをコードする遺伝子、該
遺伝子を含む組換えベクター、該組換えベクターを含む
形質転換体、該形質転換体を培養して組換え耐熱性トレ
ハロースホスホリラーゼを製造する方法、及び該酵素の
利用法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高い熱安
定性を有する耐熱性トレハロースホスホリラーゼを自然
界より探索した結果、目的とする新規な耐熱性トレハロ
ースホスホリラーゼを好熱性バチルス属細菌が産生する
ことを見出し、特に神奈川県の山中の土壌から分離した
バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearot
hermophilus)SK−1が強い耐熱性トレハロースホス
ホリラーゼ産生能を示すことを発見し、通産省工業技術
院生命工学工業技術研究所、特許微生物寄託センターへ
寄託している(FERM P−14567)。
【0019】そして、更に研究を重ねた結果、本菌株の
耐熱性トレハロースホスホリラーゼ遺伝子を単離し、該
遺伝子から構造遺伝子を見つけ、遺伝子工学を利用し
て、組換え微生物を作製することによって酵素の生産性
が飛躍的に上昇し、不純物の少ない、高純度の組換え耐
熱性トレハロースホスホリラーゼが効率よく調製できる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0020】次に、この組換え微生物を培養することに
より、高純度の組換え耐熱性トレハロースホスホリラー
ゼを生産させ、これを利用してトレハロースを製造する
ことができることを見出した。
【0021】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。
【0022】1) 以下の(a)又は(b)のDNAか
らなる遺伝子。
【0023】(a)配列表の配列番号1に記載の塩基配
列の内、塩基番号279から2573で表される塩基配
列からなるDNA。
【0024】(b)塩基配列(a)からなるDNAとス
トリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ下記
の酵素化学的性質を有する組換え耐熱性トレハロースホ
スホリラーゼをコードするDNA。
【0025】(1)作用 トレハロースを可逆的に加リン酸分解する。すなわち、
リン酸存在下でトレハロースに作用させると、等モルの
グルコースとβ−グルコース−1−リン酸を生成し、グ
ルコースとβ−グルコース−1−リン酸に作用させると
等モルのトレハロースとリン酸を生成する。
【0026】(2)基質特異性 トレハロースに特異的に作用する。
【0027】(3)至適温度 トレハロース加リン酸分解反応の至適温度は70℃〜7
5℃付近で、60℃〜75℃の範囲で最高活性の約50
%以上を示す。
【0028】(4)熱安定性 10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中で、65℃、15分間処理後95%以上の活性を
有する。 (5)至適pH 6.5〜7.5。
【0029】(6)pH安定性 pH6.0〜8.0で安定。
【0030】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。
【0031】(8)分子量 ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した値は11万
〜15万。
【0032】(9)等電点 4.6〜5.2。
【0033】(10)阻害剤 HgCl2、ZnSO4で著しく活性が阻害される。
【0034】なお、上記のDNAとして、遺伝子コード
の縮重に基づき、配列表における配列番号1に示すアミ
ノ酸配列を変えることなく、配列表の配列番号1に示す
該当する塩基配列における塩基の1個又は2個以上を他
の塩基で置き換えしたものは、当然、本発明に包含され
る。
【0035】2)配列表の配列番号1に記載の塩基配列
の内、塩基番号279から2573で表される塩基配列
からなるDNAが好熱性バチルス属細菌由来のものであ
る上記1記載の遺伝子。
【0036】3) 好熱性バチルス属細菌由来のものが
バチルス・ステアロサーモフィラスSK−1(FERM
P−14567)である上記1又は2に記載の遺伝
子。
【0037】4) 上記1、2又は3に記載の遺伝子を
含む組換えベクター。
【0038】5) 遺伝子がバチルス・ステアロサーモ
フィラスSK−1(FERM P−14567)の染色
体由来である3.3k塩基対のDNA断片である上記4
記載の組換えベクター。
【0039】6) 遺伝子がバチルス・ステアロサーモ
フィラスSK−1(FERM P−14567)の耐熱
性トレハロースホスホリラーゼをコードする遺伝子部分
である2,295塩基対のDNA断片である上記4記載
の組換えベクター。
【0040】7) ベクターがプラスミドベクターpS
TP1由来のものである上記4、5又は6記載の組換え
ベクター。
【0041】8) 上記4、5、6又は7に記載の組換
えベクターを含む形質転換体。
【0042】9) 形質転換体が大腸菌である上記8記
載の形質転換体。
【0043】10) 上記8又は請求項9に記載の組換
え形質転換体を培養して、組換え耐熱性トレハロースホ
スホリラーゼを製造する方法。
【0044】11) 上記10に記載の耐熱性トレハロ
ースホスホリラーゼ及び耐熱性マルトースホスホリラー
ゼの存在下に、マルトースとリン酸もしくはリン酸塩と
を、水性媒体中で、反応させることを特徴とするトレハ
ロース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方法。
【0045】12) 上記11の反応が55〜70℃、
pH4.5〜8.0で行われる請求項11記載のトレハ
ロース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方法。
【0046】本発明でいう「ストリンジェントな条件で
ハイブリダイズする」とは、実施例2−3におけるハイ
ブリダイズ溶液よりも構成成分濃度が高いか、ハイブリ
ダイゼーション温度が高いか、洗浄液の構成成分濃度が
高いか、洗浄液温度が高いかの場合をいう。
【0047】一般に、二本鎖のDNAは、熱やアルカリ
の処理により水素結合が解離して一本鎖となる(変
性)、また、変性したDNAは徐々に温度を下げること
により、しだいにもとの二本鎖に復帰する(再生)。こ
の変性と再生は、DNA二本鎖の塩基配列の相同性が高
いほど、変性が起こりにくく(高い温度が必要)、再生
し易い。
【0048】そこで、今、異なる2種類の二本鎖DNA
が試験管内に存在するとき、変性を行い、その後再生を
行うことにより、異種のDNA同士は、相同的配列に依
存して異種間の二本鎖を形成していく。
【0049】このような2種のDNAの間の二本鎖の会
合を、ハイブリッド形成といい、この方法により異なる
DNAの間の相同性を調べることをハイブリダイゼーシ
ョン法と呼んでいる。
【0050】本発明は、このようなハイブリダイゼーシ
ョン法により、DNAの検索や同定等を行なうものであ
る。
【0051】ところで、本発明のDNAは、塩基配列
(a)からなるDNAとストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズするという特性を有するものである。
【0052】このことは、本発明において、ハイブリダ
イゼーション法により、DNAの検索や同定等を行なう
場合、ストリンジェントな条件下で行なえば、耐熱性ト
レハロースホスホリラーゼの構造遺伝子と相同性の高い
DNAはハイブリダイズするが、逆に、相同性の低いも
のはハイブリダイズしないので、その結果、純度が極め
て高い、該酵素由来のDNAが効率よく得ることが可能
となる。
【0053】したがって、本発明は、ハイブリダイゼー
ション法の操作条件の設定を工夫することにより、耐熱
性トレハロースホスホリラーゼから、高純度の組換え耐
熱性トレハロースホスホリラーゼのDNAを効率よく得
ることができる。
【0054】本発明のDNAが、ストリンジェントな条
件下でハイブリダイズするという特性を有する原因につ
いては、学問的には解明していないが、多分、前記の耐
熱性トレハロースホスホリラーゼの(1)〜(10)の
酵素化学的性質の内、特に(3)の「至適温度」及び
(4)の「熱安定性」という性質から来ているものと推
察される。
【0055】本発明のDNAを入手する微生物として
は、バチルス属に属し、耐熱性トレハロースホスホリラ
ーゼ産生能を有する微生物であればいずれの微生物でも
よい。特に、本発明者らが神奈川県の山中の土壌より分
離したバチルス・ステアロサーモフィラスSK−1株
(FERM P−14567)もしくはその突然変異体
が好ましい。
【0056】本発明は、耐熱性トレハロースホスホリラ
ーゼをコードする遺伝子を自律複製可能なベクターに組
み込んだ、複製可能な組換えベクター及び該組換えベク
ターを宿主に導入してなる形質転換体を包含する。
【0057】自立複製可能なベクターとしては、pBR
322、BluescriptIISK(+)、pUC1
8、pKK223ー3、pCR2.1、pLEX、pJ
L3、pSW1、pSE280、pSE420、pHY
300PLK等のプラスミドベクターやλgt11、λ
ZAP等のファージベクターが挙げられるが、大腸菌で
発現させるには、pBR322、Bluescript
II SK(+)、pUC18、pKK223ー3、及び
pCR2.1が好適であり、枯草菌で発現させるには、
pHY300PLKが好適である。
【0058】宿主としては、大腸菌、枯草菌、放線菌、
酵母等が挙げられる。
【0059】また、本発明は、組換え耐熱性トレハロー
スホスホリラーゼをコードする遺伝子を含む組換えベク
ターを宿主に導入してなる形質転換体を培養し、培養物
から組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼを採取し
てなる、組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼの製
造方法を包含する。
【0060】本発明の形質転換体の培養に用いる栄養培
地としては、炭素源、窒素源、無機物、及び必要に応じ
使用菌株の必要とする微量栄養素を程よく含有するもの
であれば、天然培地、合成培地のいずれでもよい。
【0061】炭素源としてはトレハロース、マルトー
ス、スクロース、グルコース、フラクトース、デンプ
ン、デキストリン、グリセリン等の炭化水素が用いられ
る。
【0062】窒素源としては、塩化アンモニウム、硫酸
アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウ
ム、グルタミン酸などのアミノ酸、尿素等の無機有機窒
素化合物が用いられる。窒素源としてはペプトン、ポリ
ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリ
カ、大豆粉、大豆粕、乾燥酵母、カザミノ酸、ソリュブ
ルベジタブルプロテイン等の窒素含有天然物も使用でき
る。
【0063】無機物としてはリン酸二水素カリウム、リ
ン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、
硫酸マンガン、硫酸亜鉛、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム、塩化カルシウム等が用いられる。その他にビオチ
ン、チアミン等の微量栄養素を必要に応じて使用する。
【0064】培養法としては液体培養法(振とう培養法
もしくは通気攪拌培養法)がよく、工業的には通気攪拌
培養法が最も適している。培養温度とpHは、使用する
形質転換体の増殖に最も適した条件を選べばよい。培養
時間は培養条件によって変わってくるが、通常15〜4
8時間程度であり、組換え耐熱性トレハロースホスホリ
ラーゼの生成が確認されたとき、好ましくは生成が最大
に達したときに培養を停止する。
【0065】この様にして得られた培養物から本発明の
組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼを採取するに
は、まず、培養液中の菌体を物理的な手法で破砕する
か、有機溶剤やリゾチームのような酵素によって溶解し
た後、残渣を遠心分離法や濾過法等により除去する。こ
れを限外濾過、塩析、透析、溶剤沈澱等の処理を単独或
いは組み合わせに付すことにより工業用途の濃縮酵素液
が調製できる。
【0066】更に、この濃縮酵素液をイオン交換クロマ
トグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過ク
ロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、等電点ク
ロマトグラフィー等の周知の単離・精製法の組合せに付
すことにより、精製標品を得ることができる。
【0067】次に、本発明は、組換え耐熱性トレハロー
スホスホリラーゼと耐熱性マルトースホスホリラーゼの
存在下にマルトースとリン酸もしくはリン酸塩とを、水
溶媒中で反応させることにより、トレハロース又はβ−
グルコース−1−リン酸を製造する方法を包含する。
【0068】このように、本発明は、新規な好熱性バチ
ルス属細菌、特にバチルス・ステアロサーモフィラスS
K−1(FERM P−14567)由来の耐熱性トレ
ハロースホスホリラーゼ遺伝子を基に、遺伝子工学的手
法により、組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼを
得、これを用いて組換え微生物を作製したものであっ
て、これを培養すれば、酵素の生産性が飛躍的に上昇
し、不純物の少ない、高純度の組換え耐熱性トレハロー
スホスホリラーゼが調製できる点で極めて優れていると
言える。
【0069】また、組換え耐熱性トレハロースホスホリ
ラーゼが工業的規模で大量に、効率よく生産できるよう
になった結果、これを利用することにより、有用なトレ
ハロースの製造が飛躍的に効率よく製造することができ
る点においても、非常に価値がある。
【0070】以上、本発明は、本発明者らが先に見出し
た耐熱性トレハロースホスホリラーゼについて遺伝子学
的解明を行い、この解明を基に、そのDNAの遺伝子学
的な特性を見つけ、遺伝子工学的な手法によって、高純
度でしかも耐熱性という極めて有用な特性を有する組換
え耐熱性トレハロースホスホリラーゼを効率よく製造で
きるDNAを得た点に、格別の意義があることが分かる
であろう。
【0071】以下、本発明について詳細に説明する。
【0072】[1] 耐熱性トレハロースホスホリラー
ゼの酵素化学的性質:本発明は、本発明者らによる、耐
熱性トレハロースホスホリラーゼの発見に基づくもので
あるが、この酵素は、好熱性バチルス属細菌、バチルス
・ステアロサーモフィラスSK−1株から産生されたも
のであり、その酵素化学的特性を調べた結果(実施例
1)、その酵素化学的性質は、以下のとおりであった。
【0073】なお、トレハロースホスホリラーゼ活性
は、以下のように測定した。
【0074】酵素溶液0.4mlと0.5Mリン酸カリウ
ム・クエン酸緩衝液(pH6.0)0.06ml、2W/
V%トレハロース0.6ml、蒸留水0.14mlを混合
し、60℃、20分反応後10分間の煮沸によって反応
を停止させた。次に、この反応停止液から0.02ml
を採取し、グルコース検査試薬(グルコースCIIーテス
トワコー;和光純薬工業(株))を3ml加え、室温で
20分間反応させた後、505nmでの吸光度を分光光
度計を用いて反応液中のグルコース量測定した。遊離し
た生成したグルコースの量から1分間に1μmolのト
レハロースを加リン酸分解した酵素量を1単位とした。
【0075】また、ホスホリラーゼであることを確認す
るために、反応終了後の反応液を陰イオン交換カラムで
分離後、示差屈折計を検出手段とする高速液体クロマト
グラフィーによりβ−グルコース−1−リン酸を定量し
た。
【0076】(1)作用 以下の式1で示すように、トレハロースを可逆的に加リ
ン酸分解する。すなわち、リン酸存在下でトレハロース
に作用させると、等モルのグルコースとβ−グルコース
−1−リン酸を生成し、グルコースとβ−グルコース−
1−リン酸に作用させると等モルのトレハロースとリン
酸を生成する。
【化1】 (2)基質特異性 トレハロース、ネオトレハロース、マルトース、イソマ
ルトース、セロビオース、シュークロース、p−ニトロ
フェノール−α−グルコシド、p−ニトロフェノール−
β−グルコシドを基質として加リン酸分解反応を行った
ところ、トレハロース以外にはグルコースの生成がほと
んど認められなかった(表1)。
【表1】 (3)至適温度 40mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中で各種温度(40〜90℃)で反応させたとこ
ろ、トレハロース加リン酸分解反応の至適温度は70℃
〜75℃付近で、60℃〜75℃の範囲で最高活性の約
50%以上を示した(図1)。
【0077】(4)熱安定性 10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中にてインキュベートし、残存活性を測定したとこ
ろ、65℃で15分間処理で、無処理の95%以上の活
性を示した(図2)。
【0078】(5)至適pH 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0
〜7.7)と25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.7〜
9.0)を用いて60℃で反応を行ったところ、至適p
Hは6.5〜7.5であった(図3)。
【0079】(6)pH安定性 100mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.
0〜8.0)と100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5
〜9.0)を用いて60℃で24時間インキュベート
し、各pHでの残存活性を測定したところ、pH6.0
〜8.0で安定であった(図4)。
【0080】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。
【0081】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出保持時間から分子
量を求めた結果、本酵素の分子量は11万〜15万であ
った。
【0082】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.6〜5.2であった。
【0083】(10)阻害剤 1mMのHgCl2で99%、ZnSO4で80%の活性
阻害が見られた(表2)。
【表2】 (11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、この酵素は、N末端に配列番号2に示すア
ミノ酸配列を有していた。
【0084】[2] 耐熱性トレハロースホスホリラー
ゼのDNAの配列解析 本発明者らは、上記の(11)のN末端アミノ酸配列に
基づき、バチルス・ステアロサーモフィラスSK−1株
の染色体DNAから耐熱性トレハロースホスホリラーゼ
をコードするDNAを取得し、その配列の解析を行っ
た。
【0085】まず、バチルス・ステアロサーモフィラス
SK−1株の菌体よりアクロモペプチダーゼとSDSを
用いた凍結融解法により染色体DNAを調製した。この
染色体DNAをHindIII、BamHI、PstI、SalI、EcoRI等
の制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動により分
離し、ナイロン膜上にブロッティングした。一方、配列
番号2に示すトレハロースホスホリラーゼのN末端の8
から13番目のアミノ酸配列に基づき、5'-CARYTNAAYAT
HGARAA-3'で表される配列のオリゴヌクレオチドTN3
を合成し、放射性同位元素32Pで標識し、これをプロー
ブとして前記ナイロン膜上のDNA断片とサザンハイブ
リダイゼーションを行った。その結果、HindIIIで切断
してできる断片中、約2.0k塩基対の断片がハイブリ
ダイズすることが分かった。そこで、HindIIIで切断し
た染色体DNAからアガロースゲル電気泳動によって約
2.0k塩基対のDNA断片を分画、抽出した。これを
プラスミドベクターpUC118のHindIII部位に挿入
し、大腸菌を形質転換した。得られた形質転換株からオ
リゴヌクレオチドTN3とハイブリダイズする組換えプ
ラスミドを有するものを検索し、トレハロースホスホリ
ラーゼをコードするDNAの5’端DNA断片をクロー
ン化した。
【0086】そして、この組換えプラスミド中の挿入さ
れた約2.0k塩基対の断片の塩基配列を蛍光ラベルを
用いたダイプライマー法により決定した。
【0087】次に、この解析したDNA断片の塩基配列
の3’側に制限酵素MspI認識配列が検出されたことか
ら、このMspI認識配列から下流の塩基配列と相同性を示
す、約2.0k塩基対のMspIで切断した染色体DNA断
片をインバースPCR法によって解析した。2種類のD
NA断片の塩基配列解析結果より、耐熱性トレハロース
ホスホリラーゼをコードする全塩基配列を決定すること
ができた。その配列を配列番号3に示す。
【0088】[3]組換え耐熱性トレハロースホスホリ
ラーゼのDNAの単離・同定とその製造:耐熱性トレハ
ロースホスホリラーゼの構造遺伝子を含むDNA断片の
塩基配列が決定できたことから、該トレハロースホスホ
リラーゼをコードするDNA配列の開始コドン上流13
2塩基目からの配列5'-TTGAAAACAAATCAGTTCAA-3'で表さ
れるオリオヌクレオチド5TP2と、終止コドン下流の
配列で配列表における配列番号4の塩基番号162から
の配列のアンチセンス配列5´-TCGTCGCGCTTCCACCGATT-
3´で表されるオリゴヌクレオチド3TP2をプライマ
ーとして、前記の染色体DNAをテンプレートとしたP
CRを行い、耐熱性トレハロースホスホリラーゼ構造遺
伝子を含む約3.3k塩基対のDNA断片を調製した。
これをプラスミドベクターpCR2.1にライゲーショ
ンして、組換えプラスミドpSTP1を作製し、大腸菌
INVαF´(endA1,recA1,hsdR17(r-k,m+k),supE44,
λ-,thi-1,gyrA,relA1,φ80 lacZ△M15△(lacZYA-arg
F),deoR+,F´)株へ導入を行い、形質転換された大腸菌
STP1を得た。
【0089】そして、上記の形質転換体中の組換えプラ
スミドpSTP1に挿入された3.3k塩基対のDNA
断片中の構造遺伝子周辺の塩基配列の解析を行った。そ
の結果は、配列番号1に示す通りであり、前記の耐熱性
トレハロースホスホリラーゼのDNA配列の配列番号3
の塩基番号257〜2796と一致することが確認され
た。
【0090】そこで、形質転換大腸菌STP1をジャー
培養し、組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼ粗酵
素の調製を行った。培養は、容量5lのファーメンター
にポリペプトン1.6%、酵母エキス1%、NaCl0.
5%、MgSO40.05%を含有する培地(pH7.
0)約3lを入れて滅菌後、予め濾過滅菌したアンピシ
リン水溶液を100mg/lになるように添加し、温度
を35℃とした後、種培養液2V/V%を接種して、3
5℃、pH6.5〜7.5に保持しながら24時間通気
攪拌培養した。
【0091】培養終了後、培養液中の菌体破壊を行い、
これを除去した粗酵素液を調製した。粗酵素液のトレハ
ロースホスホリラーゼ活性は3,000単位/mlであ
った。
【0092】更に、実施例3に示すとおり、この粗酵素
を精製し、組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼの
精製標品を得た。
【0093】本発明の組換え型耐熱性トレハロースホス
ホリラーゼの性質は、以下の通りである。
【0094】(1)作用 前記の式1で示すように、トレハロースを可逆的に加リ
ン酸分解する。すなわち、リン酸存在下でトレハロース
に作用させると、等モルのグルコースとβ−グルコース
−1−リン酸を生成し、グルコースとβ−グルコース−
1−リン酸に作用させると等モルのトレハロースとリン
酸を生成する。
【0095】(2)基質特異性 トレハロース、ネオトレハロース、マルトース、イソマ
ルトース、セロビオース、シュークロース、p−ニトロ
フェノール−α−グルコシド、p−ニトロフェノール−
β−グルコシドを基質として加リン酸分解反応を行った
ところ、トレハロース以外にはグルコースの生成がほと
んど認められなかった。
【0096】(3)至適温度 40mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中で各種温度(40〜90℃)で反応させたとこ
ろ、トレハロース加リン酸分解反応の至適温度は70℃
〜75℃付近で、60℃〜75℃の範囲で最高活性の約
50%以上を示した。
【0097】(4)熱安定性 10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中にてインキュベートし、残存活性を測定したとこ
ろ、65℃で15分間処理で、無処理の95%以上の活
性を示した。
【0098】(5)至適pH 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0
〜7.7)と25mMトリス塩酸緩衝液(pH7.7〜
9.0)を用いて反応を行ったところ、至適pHは6.5
〜7.5であった。
【0099】(6)pH安定性 100mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.
0〜8.0)と100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5
〜9.0)を用いて60℃で24時間インキュベート
し、各pHでの残存活性を測定したところ、pH6.0
〜8.0で安定であった。
【0100】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。
【0101】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出容量から分子量を
求めた結果、本酵素の分子量は11万〜15万であっ
た。
【0102】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.6〜5.2であった。
【0103】(10)阻害剤 1mMのHgCl2で99%、ZnSO4で80%の活性
阻害が見られた。
【0104】(11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、精製酵素はN末端に配列番号2に示すアミ
ノ酸配列を有していた。
【0105】この組換え型耐熱性トレハロースホスホリ
ラーゼの酵素化学的特性は、バチルス・ステアロサーモ
フィラスSK−1の由来の耐熱性トレハロースホスホリ
ラーゼの酵素学的性質と一致するものであった。
【0106】従って、前述の組換え型耐熱性トレハロー
スホスホリラーゼをコードするDNAは、バチルス・ス
テアロサーモフィラスSK−1の由来のものであると判
断した。
【0107】[4] トレハロース又はβ−グルコース
−1−リン酸の製造 組換え型耐熱性トレハロースホスホリラーゼ及び耐熱性
マルトースホスホリラーゼの存在下に、マルトースとリ
ン酸もしくはリン酸塩とを、水性媒体中で、反応させ
て、トレハロース又はβ−グルコース−1−リン酸を製
造する方法について、以下述べる。
【0108】この反応に用いられる組換え型耐熱性トレ
ハロースホスホリラーゼとしては、pH6.0の緩衝
液、例えば10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液
(pH6.0)中で、50〜70℃のいずれかの温度
で、好ましくは55〜70℃のいずれかの温度で、特に
65℃で15分処理後に無処理の95%以上の活性を有
するものが好適に用いられる。これらの酵素は、精製酵
素であっても、粗酵素であってもよい。また、さらにこ
れを酵素の常法により担体に固定した固定化酵素を用い
ることも可能である。
【0109】また、この反応に用いる耐熱性マルトース
ホスホリラーゼとしては、上記反応温度のいずれかで、
及び上記pH範囲のいずれかで、組換え型耐熱性トレハ
ロースホスホリラゼーの助力の下に、マルトースとリン
酸もしくはリン酸塩からトレハロースを生産し得るもの
で、マルターゼ等のトレハロースの製造に悪影響を及ぼ
す酵素を含まないものであればよい。
【0110】しかしながら、好適にはpH6.0の緩衝
液、例えば10mM酢酸緩衝液(pH6.0)中で、5
0〜65℃のいずれかの温度で、好ましくは55〜65
℃のいずれかの温度で、特に60℃で15分処理後に無
処理の80%以上の活性を有する耐熱性マルトースホス
ホリラーゼを用いることができる。かかる性質を有する
耐熱性マルトースホスホリラーゼの例として、本発明者
らによって見出されたバチルス・sp.RK−1(FE
RM P−15044)が産生する耐熱性マルトースホ
スホリラーゼを挙げることができる。
【0111】耐熱性マルトースホスホリラーゼは組換え
型耐熱性トレハロースホスホリラーゼと同様、精製酵素
であっても粗酵素であってもよい。
【0112】マルトースとしてはマルトースまたはマル
トース含有物(例えばマルトース高含有糖液)を用いる
ことができる。リン酸塩としてはリン酸三カリウム(も
しくはナトリウム)、リン酸水素二カリウム(もしくは
ナトリウム)、リン酸二水素カリウム(もしくはナトリ
ウム)等の水溶性リン酸塩を用いることができる。水性
媒体としては水、緩衝液等が挙げられる。緩衝液として
は酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク
酸緩衝液、トリス・塩酸緩衝液等を用いることができ
る。
【0113】酵素の使用量については特に制限はない
が、マルトース1gに対して各酵素とも、0.1〜50
単位、好ましくは1〜20単位使用するのが好適であ
る。また、組換え型耐熱性トレハロースホスホリラーゼ
と耐熱性マルトースホスホラリーゼとの使用比率は特に
制限ないが、単位の比で前者:後者=1:5〜5:1、
好ましくは1:2〜2:1が適当である。
【0114】リン酸及び/またはリン酸塩はマルトース
に対して、特に制限はないが、0.001〜1倍モル、
好ましくは0.005〜0.5倍モル使用するのが適当
である。尚、緩衝液がリン酸(塩)を含有する場合は系
中のリン酸及びリン酸塩の総量が上記範囲であればよ
い。
【0115】上記反応は温度、雑菌汚染をさらに避ける
とともに収率を挙げるため、好ましくは55〜70℃、
好ましくは55〜65℃、更に好ましくは60〜65℃
で行う。pHは一般に4.5〜8.0、好ましくは5.0
〜6.0で行うのが適当である。上記条件で十分なトレ
ハロース生成が見られた時点で反応を終了するが、反応
は通常1〜144時間で終了する。
【0116】反応終了後、反応液の加熱による酵素の失
活、pHの低下(塩酸等の酸の添加)による酵素の失活
等の適当な手段で反応を停止させ、活性炭処理、イオン
交換樹脂処理、エタノール晶出処理等の単離・精製手段
を適宜組み合わせてトレハロースを得ることができる。
【0117】また、本発明は、組換え型耐熱性トレハロ
ースホスホリラーゼの存在下にトレハロースとリン酸も
しくはリン酸塩とを、水溶媒中で反応させせて、β−グ
ルコース−1−リン酸を製造することもできる。
【0118】その場合、この反応に用いられる組換え型
耐熱性トレハロースホスホリラーゼ、トレハロース、水
溶媒は、トレハロース製造の場合と同様にして行うこと
ができる。酵素はマルトース1gに対して0.1〜50
単位、好ましくは1〜20単位が好適である。
【0119】反応温度、反応pH、反応時間はトレハロ
ース製造の場合と同様にして行うことができる。反応終
了後、イオン交換樹脂処理等の単離・精製手段を適宜組
み合わせてβ−グルコース−1−リン酸を得ることがで
きる。
【0120】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例により詳細に説明する。
【0121】トレハロースホスホリラーゼ活性は、以下
のように測定した。
【0122】適宜希釈した酵素溶液0.4mlと0.5M
リン酸クエン酸緩衝液(pH6.0)0.06ml、2W
/V%トレハロース0.6ml、蒸留水0.14mlを混
合し、60℃、20分反応後10分間の煮沸によって反
応を停止させた。次に、この反応停止液から0.02m
lを採取し、グルコース検査試薬グルコースCIIーテス
トワコー(和光純薬工業(株))を3ml加え、室温で
20分間反応させた後、505nmでの吸光度を分光光
度計を用いて測定し、反応液中のグルコース量を定量し
た。生成したグルコースの量から1分間に1μmolの
トレハロースを加リン酸分解した酵素量を1単位とし
た。
【0123】
【実施例1】 精製トレハロースホスホリラーゼの酵素
化学的特性 [実施例1−1] 精製酵素の調製 バチルス・ステアロサーモフィラスSKー1(FERM
P−14567)による耐熱性トレハロースホスホリ
ラーゼの精製は以下のようにして行った。
【0124】(培養)酵母エキス1%、ポリペプトン2
%、トレハロース1%を含有する培地(pH7.0)1
00mlを500mlバッフル付きマイヤーフラスコに
入れ、121℃、20分間オートクレーブ殺菌したもの
に、バチルス・ステアロサーモフィラスSK−1を1白
金耳植菌し、55℃にて16時間振とう培養したものを
種培養液とした。
【0125】容量5lのファーメンターに種培養の場合
と同組成の培地約3lを入れて滅菌し、温度を55℃と
した後、種培養液2V/V%を接種し、55℃、pH
6.0〜7.0に保持しながら18時間通気攪拌培養し
た。
【0126】(粗酵素調製)分離した培養液に硫安を4
0〜60%の飽和溶液になるよう溶解し、生じたタンパ
ク質の沈澱を遠心分離によって回収して、10mMリン
酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.0)に溶解後、
同じ緩衝液に対して透析を行い、濃縮後トレハロースホ
スホリラーゼ活性350単位/mlの粗酵素液を10m
l得た。
【0127】(イオン交換クロマトグラフィー)10m
Mリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.0)によ
って平衡化したTSKgelDEAEトーヨーパール6
50M(東ソー(株))を詰めたカラムに、粗酵素液を
添加し、5カラム容量の0〜0.4M NaClの上昇濃
度勾配によって溶出し、分画分取した。活性のある画分
は合わせて濃縮、脱塩後、更に、一連の同じクロマトグ
ラフィー操作を行い精製度を上げた。
【0128】(疎水クロマトグラフィー)40%飽和と
なるように硫酸アンモニウムを溶解した10mMリン酸
カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.0)によって平衡
化した、TSKgelPhenylトーヨーパール65
0M(東ソー(株))を詰めたカラムに、上記部分精製酵
素液を添加し、8カラム容量の40%〜0%飽和硫酸ア
ンモニウム溶液の下降濃度勾配によって溶出し、分画分
取した。活性のある画分を合わせて濃縮、脱塩を行っ
た。
【0129】(吸着クロマトグラフィー)0.3mMと
なるようにCaCl2を溶解した10mMリン酸カリウ
ム・クエン酸緩衝液(pH6.0)によって平衡化し
た、PENTAX GH−0810Mカラムに、上記部
分精製酵素液を添加し、10カラム容量の10〜300
mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.0)の
上昇濃度勾配によって溶出し、分画分取した。活性のあ
る画分を合わせて濃縮、脱塩を行った。
【0130】(ゲル濾過クロマトグラフィー)0.2M
NaClを溶解した10mMリン酸カリウム・クエン酸
緩衝液(pH6.0)によって平衡化した、Super
dex200pgカラム(ファルマシア バイオテク
(株))に、上記部分精製酵素液を添加し、同じ緩衝液で
溶出し、分画分取した。活性のある画分を合わせて濃
縮、脱塩を行った。
【0131】(ネイティブポリアクリルアミドゲル電気
泳動)上記精製酵素をネイティブポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動し、ゲルをCBB染色してタンパク質のバン
ドを調べたところ一本のバンドしか検出されず、単一タ
ンパク質であることが確認できたので精製トレハロース
ホスホリラーゼ酵素液とした。
【0132】[実施例1−2] 精製酵素の酵素化学的
特性 実施例1−1で調製した精製トレハロースホスホリラー
ゼ液を用い、以下の酵素化学的特性を調べた。
【0133】(1)作用 実施例1−1で調製した精製酵素液0.4mlと0.5M
リン酸クエン酸緩衝液(pH6.0)0.06ml、2W
/V%トレハロース0.6ml、蒸留水0.14mlを混
合し、60℃、60分間トレハロース分解反応を行っ
た。反応後10分間の煮沸によって反応を停止させ、こ
の反応停止液から0.02mlを採取し、グルコース検
査試薬グルコースCIIーテストワコー(和光純薬工業
(株))を3ml加え、室温で20分間反応させた後、
505nmでの吸光度を分光光度計を用いて測定し、反
応液中のグルコース量を定量した。一方、反応停止液を
陰イオン交換カラムを用いた高速液体クロマトグラフィ
ーで分離後、示差屈折計でβ−グルコース−1−リン酸
を検出し定量した。その結果、反応停止液中のグルコー
ス含量とβ−グルコース−1−リン酸含量は等しかっ
た。
【0134】また、精製酵素液0.4mlと0.5M酢酸
緩衝液(pH6.0)0.12ml、0.5Mβ−グルコ
ース−1−リン酸・Na水溶液0.12ml、0.5M
グルコース水溶液0.12ml、蒸留水0.44mlを混
合し、60℃、60分反応後10分間の煮沸によって反
応を停止させた。次に、この反応停止液から0.02m
lを採取し、グルコース検査試薬グルコースCIIーテス
トワコー(和光純薬工業(株))を3ml加え、室温で
20分間反応させた後、505nmでの吸光度を分光光
度計を用いて測定し、反応液中のグルコース量を定量し
た。一方、反応停止液をTSKgel Amido80
カラム(東ソー(株))を用いた高速液体クロマトグラ
フィーで分離後、示差屈折計で反応液のトレハロースを
検出し定量した。
【0135】その結果、反応停止液中の消費グルコース
量と生成トレハロース量は等しかった。従って、精製酵
素の作用は、式(1)で示すように、トレハロースを可
逆的に加リン酸分解する。すなわち、リン酸存在下でト
レハロースに作用させると、等モルのグルコースとβ−
グルコース−1−リン酸を生成し、グルコースとβ−グ
ルコース−1−リン酸に作用させると等モルのトレハロ
ースとリン酸を生成すると結論した。
【0136】(2)基質特異性 (1)のトレハロース分解反応の基質を以下のものに置
き換えて加リン酸分解反応を行ったところ、ネオトレハ
ロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、
シュークロース、p−ニトロフェノール−α−グルコシ
ド、p−ニトロフェノール−β−グルコシドを基質とし
て加リン酸分解反応を行ったところ、いずれもグルコー
スの生成が認められなかった(表1)。
【0137】(3)至適温度 精製トレハロースホスホリラーゼ活性を各種温度(40
〜90℃)で行ったところ、トレハロース加リン酸分解
反応の至適温度は70℃〜75℃付近で、60℃〜75
℃の範囲で最高活性の約50%以上を示した(図1)。
【0138】(4)熱安定性 精製酵素液を各種温度(40〜90℃)に15分間イン
キュベートした後、トレハロースホスホリラーゼ活性を
測定したところ、65℃処理で、無処理の95%以上の
活性を示した(図2)。
【0139】(5)至適pH トレハロースホスホリラーゼ活性測定に用いる0.5M
リン酸クエン酸緩衝液(pH6.0)の代わりに0.5M
リン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0〜7.
7)もしくは0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH7.7〜
9.0)を用いて反応を行ったところ、至適pHは6.5
〜7.5であった(図3)。
【0140】(6)pH安定性 精製トレハロースホスホリラーゼ酵素液を100mMリ
ン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0〜8.0)と
100mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5〜9.0)と混
合し、60℃で24時間インキュベートした後、各pH
での残存活性を測定したところ、pH6.0〜8.0で
安定であった(図4)。
【0141】(7)失活 精製トレハロースホスホリラーゼ酵素液を100℃、1
0分間加熱した後、残存活性を測定したところ、活性は
100%失活していた。
【0142】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出容量から分子量を
求めた結果、精製酵素の分子量は11万〜15万であっ
た。
【0143】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.6〜5.2であった。
【0144】(10)阻害剤 精製トレハロースホスホリラーゼ酵素液に終濃度1mM
になるように阻害剤を添加した後、残存活性を測定した
ところ、HgCl2で99%、ZnSO4で80%の活性
阻害が見られた(表2)。
【0145】(11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、精製酵素はN末端に配列表における配列番
号2に示すアミノ酸配列を有していた。
【0146】
【実施例2】 耐熱性トレハロースホスホリラーゼをコ
ードするDNAを含む組換えDNA及び組換えDNA形
質転換大腸菌の調製 [実施例2−1] 染色体DNAの調製 ポリペプトン2%、酵母エキス1%を含有する培地(p
H7.0)5mlを試験管に入れ、121℃、20分間
オートクレーブ殺菌したものにバチルス・ステアロサー
モフィラスSK−1株を植菌し、55℃で14時間振と
う培養した。これを種菌液とし、同じ培地100mlを
500mlバッフル付フラスコに入れ、121℃、20
分間オートクレーブ殺菌したものに5%植菌し、55℃
で6時間回転振とう培養した。遠心分離により培養液か
ら菌体を分離し、0.1M EDTAを含む0.15M N
aCl溶液(pH8.0)に懸濁した。これにアクロモ
ペプチダーゼ(和光純薬(株))を4mg/mlとなるよ
うに加え、37℃で20分間穏やかに振とうした後、−
80℃で30分間凍結した。解凍後、1%SDSと0.
1M NaClを含む0.1Mトリス・塩酸緩衝液(pH
9.0)を加えて60℃に加温した。冷却後、1mM E
DTAを含む10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.
0)(TE緩衝液)で飽和したフェノール溶液を加えて
除蛋白処理を行った。その後、冷エタノールを加え、生
成した粗染色体DNAを採取し、これを70%、80
%、90%エタノールにそれぞれ5分間ずつ浸した後、
TE緩衝液に溶解した。これにRNaseA(シグマ)を
20μg/mlとなるように加え、37℃で30分間反
応させた。反応液を再度フェノール溶液による除蛋白処
理を行い、冷エタノールを加えて生成した染色体DNA
を採取し、70%、80%、90%エタノールにそれぞ
れ5分間ずつ浸した後、1mg/mlとなるようにTE
緩衝液に溶解し、染色体DNA溶液とした。
【0147】[実施例2−2] トレハロースホスホリ
ラーゼをコードするDNAの5’端DNA断片の取得 実施例2−1で調製した染色体DNAをHindIII、BamH
I、PstI、SalI、EcoRI等の各種制限酵素で切断し、アガ
ロースゲル電気泳動を行った。分離したDNA断片を常
法によりナイロン膜Gene Screen Plus
Hybridization Transfer M
embrane(デュポン)に固定した。一方、配列表
における配列番号2に示すトレハロースホスホリラーゼ
のN末端の8から13番目のアミノ酸配列のGln-Leu-As
n-Ile-Glu-Asnで表される配列に基づき、5'-CARYTNAAYA
THGARAA-3'で表される配列のオリゴヌクレオチドTN3
を化学合成した。このオリゴヌクレオチドTN3を放射
性同位体32Pで標識後、前記ナイロン膜上に固定したD
NA断片とSouthern,E.M.らの方法(J.Mol.Biol.,98:503
-517,1975)に従ってサザンハイブリダイゼーションを行
った。
【0148】このときのハイブリダイゼーションの条件
は、5XSSC、1%SDS、10%硫酸デキストリ
ン、0.5mg/mlサケ変性DNAからなる溶液中に
おいて42℃で16〜20時間ハイブリダイズを行い、
その後2XSSC、1%SDSからなる溶液中にて55
℃で30分間のサイクルで3回ナイロン膜を洗浄した。
【0149】その結果、制限酵素HindIIIで切断した約
2.0k塩基対のDNA断片がハイブリダイズした。そ
こでHindIIIで切断した染色体DNAを再度アガロース
ゲル電気泳動し、約2.0k塩基対のDNA断片をDE
81ペーパー(ワットマン)を用いて抽出した。抽出し
たDNA断片をプラスミドベクターpUC118のHind
III部位に挿入した。この組換えプラスミドをコンピテ
ントセルE.coli JM109(宝酒造(株))10
0μlに加え、氷冷下に30分静置後、42℃で45秒
間加温し、SOC培地を加えて37℃で1時間振とう培
養することにより、組換えプラスミドを導入した形質転
換大腸菌を得た。得られたそれぞれの形質転換体からア
ルカリ−SDS法により組換えプラスミドを回収し、Hi
ndIIIで切断後、アガロースゲル電気泳動を行い、DN
A断片を前述と同様にナイロン膜上に固定した。ナイロ
ン膜上に固定したDNAは32Pで標識したTN3をプロ
ーブとして前述と同様の条件でサザンハイブリダイゼー
ションを行い、ハイブリダイズする組換えプラスミドを
選択し、2.0k塩基対のHindIII断片をクローン化し
た。
【0150】この選択した組換えプラスミドをHindIII
で切断後、アガロースゲル電気泳動を行い、挿入された
約2.0k塩基対の染色体DNA断片をDE81ペーパ
ーを用いて抽出した。抽出したDNA断片は超音波処理
によって0.5kから1.0k塩基対の大きさに小断片化
した後、RTG pUC18 SmaI/BAP+Liga
se(ファルマシア)を用いてプラスミドベクターpU
C18のSmaI部位に挿入した。そして、この組換えプラ
スミドをコンピテントセル E.coli 109(宝
酒造(株))を用いて大腸菌JM109に導入した。得ら
れた大腸菌から組換えプラスミドを抽出し、このプラス
ミドをテンプレート、2種類の合成オリゴヌクレオチド
FP(5'-GTTTTCCCAGTCACGACG-3')及びRP(5'-GAATT
GTGAGCGGATAAC-3')をプライマーとしてPCRを行い、
pUC18に挿入したDNA断片の増幅を行った。反応
条件は、93℃で2分間加熱した後、95℃で1分、5
5℃で1分30秒、72℃で3分のサイクルを30回繰
り返してから、最後に72℃で15分保温した。反応液
90μlにPEG溶液(20%ポリエチレングリコー
ル、2.5M NaCl)を60μl加えて混合し、氷
中に15分間静置した。遠心分離により沈殿したDNA
断片を分離し、70%エタノールで洗浄後、真空乾燥し
た。これを適量の蒸留水に溶解し、塩基配列決定用DN
Aを調製した。このDNAをテンプレートとし、PRI
SM Dye Primer Cycle Seque
ncing Ready Reaction kit
(パーキンエルマー)を用いたジデオキシ・チェーン・
ターミネーター法により、DNA断片の蛍光ラベルを行
い、DNAシークエンサー373A(Applied
Biosystems)で分析して塩基配列を決定し
た。決定した全ての塩基配列をコンピューターソフトG
ENETYX−MAC(ソフトウエアー開発(株))を用
いて解析し、2.0k塩基対のDNA断片の塩基配列を
決定した。結果、この断片は、トレハロースホスホリラ
ーゼ遺伝子のプロモーター及び構造遺伝子の途中までを
含む1,956塩基対のDNA断片であることが判明し
た。
【0151】[実施例2−3] 耐熱性トレハロースホ
スホリラーゼをコードするDNAの3’端DNA断片の
取得 実施例2−2で決定した配列に制限酵素Msp I認識配列
が見られたことから、染色体DNAをMspIで切断し、
アガロース電気泳動後、ナイロン膜上に固定した。次
に、実施例2−2でクローン化した2.0k塩基対のHin
dIII切断DNA断片を更にMspIで切断し、約0.2k
塩基対のDNA断片を調製し、これをRandam P
rimer DNA Labeling Kit(宝酒
造(株))を用いたランダムプライマーDNAラベリン
グ法により放射性同位体32Pで標識し、前記ナイロン膜
上に固定したDNA断片とサザンハイブリダイセーショ
ンを行った。
【0152】このときのハイブリダイゼーションの条件
は、5XSSC、1%SDS、10%硫酸デキストリ
ン、0.5mg/mlサケ変性DNAからなる溶液中に
おいて65℃で16〜20時間ハイブリダイズを行い、
その後2XSSC、1%SDSからなる溶液中にて65
℃で30分間のサイクルで3回ナイロン膜を洗浄した。
結果、2.0k塩基対のDNA断片がハイブリダイズし
た。
【0153】そこで、実施例2−2で決定した配列のMs
pI認識配列以降の塩基配列を基に、5'-TGTGCTTTGCCATCA
CGTTCGTGTA-3'及び5'-ATTTGCGCTGGGCAGCCAAAGCTGT-3'で
表されるオリゴヌクレオチドTL及びTRを化学合成
し、一方、実施例2−1で調製した染色体DNAを制限
酵素MspIで切断した後、DNA Ligation K
it(宝酒造(株))を用いてライゲーションを行い、こ
のDNAをテンプレート、TL及びTRをプライマーと
してAmpliTaq DNA Polymerase
(パーキンエルマー)を用いてインバースPCRを行っ
た。反応条件は、95℃で3分間加熱後、95℃で30
秒間、65℃で8分間のサイクルを32回繰り返してか
ら、最後に72℃で12分間保温した。反応液をアガロ
ースゲル電気泳動したところ、約2.0k塩基対のDN
A断片が検出されたので、アガロースゲルよりこのDN
A断片をDE81ペーパー(ワットマン)を用いて抽出
した。抽出したDNA断片は超音波処理によって0.5
から1.0k塩基対の大きさに小断片化した後、RTG
pUC18 SmaI/BAP+Ligase(ファルマ
シア)を用いてプラスミドベクターpUC18のSmaI部
位に挿入した。そして、この組換えプラスミドをコンピ
テントセル E.coli JM109(宝酒造(株))
を用いて大腸菌JM109に導入した。得られた形質転
換大腸菌から組換えプラスミドを抽出し、このプラスミ
ドをテンプレート、オリゴヌクレオチドFP及びRPを
プライマーとしてPCRを行った。反応液から増幅した
DNA断片を精製し、塩基配列決定用DNAを調製し
た。そして、このDNA断片をテンプレートとしてPR
ISM Dye Primer Cycle Sequ
encing Ready Reaction Kit
(パーキンエルマー)を用いた蛍光ラベル反応を行い、
DNAシークエンサー373A(Applied Bi
osystems)で分析して塩基配列を決定した。決
定した全ての塩基配列をコンピューターソフトGENE
TYX−MAC(ソフトウエアー開発(株))を用いて解
析し、トレハロースホスホリラーゼをコードするDNA
の3’端を含む919塩基対とその下流に存在する34
0塩基対の配列を決定した。919塩基対の配列と実施
例2ー2で決定した配列と合わせることによって耐熱性
トレハロースホスホリラーゼをコードするDNAの配列
が決定できた。決定したトレハロースホスホリラーゼを
コードする塩基配列を配列表における配列番号3に示
す。また、終始コドンから下流にある340塩基対の配
列を配列表における配列番号4に示す。
【0154】[実施例2−4] 組換えプラスミドpS
TP1と形質転換大腸菌STP1の調製 実施例2−3で決定した塩基配列より、トレハロースホ
スホリラーゼをコードするDNA配列の開始コドン上流
132塩基目からの配列5'-TTGAAAACAAATCAGTTCAA-3'で
表されるオリゴヌクレオチド5TP2と、終止コドン下
流の配列で配列表における配列番号4の塩基番号162
からの配列のアンチセンス配列5'-TCGTCGCGCTTCCACCGAT
T-3'で表されるオリゴヌクレオチド3TP2を化学合成
した。実施例2−1で調製した染色体DNAをテンプレ
ートとし、5TP2と3TP2をプライマーとしてPC
Rを行い、3.3k塩基対のDNA断片を得た。
【0155】この3.3k塩基対のDNA断片を、Or
iginal TA CloningKit(Invitroge
n)を用いて、プラスミドベクターpCR2.1にライ
ゲーション後、大腸菌INVαF’(endA1,recA1,hsdR
17(r-k,m+k),supE44,λ-,thi-1,gyrA,relA1,φ80 lacZ
△M15△(lacZYA-argF),deoR+,F')株への導入を行い、
3.3k塩基対のDNA断片が組み込まれた組換えプラ
スミドpSTP1(図5)を有する形質転換大腸菌ST
P1を得た。
【0156】上記の形質転換大腸菌STP1をEscheric
hia coli STP1と命名し(受託番号:FERM P−1
6162)、工業技術院生命工学工業技術研究所に平成
9年3月27日に寄託した。
【0157】そして、形質転換大腸菌STP1を培養
し、培養液から組換えプラスミドpSTP1を抽出し、
挿入した約3.3k塩基対のDNA断片の5’側から2
686塩基までの配列の解析を行った。その塩基配列
を、配列表の配列番号1に示す。
【0158】この配列は、実施例2−3で決定した耐熱
性トレハロースホスホリラーゼのDNA配列の配列番号
3の塩基番号257〜2796と一致することが判明
し、組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼをコード
していることが確認できた。
【0159】
【実施例3】 形質転換大腸菌STP1が生産する組換
え耐熱性トレハロースホスホリラーゼの酵素化学的特性 [実施例3−1] 組換え耐熱性トレハロースホスホリ
ラーゼの精製 バクトトリプトン1.6%、酵母エキス1.0%、NaC
l0.5%を含有する培地(pH7.0)100mlを5
00ml三角フラスコに入れ、121℃、20分間オー
トクレーブ殺菌した後、濾過滅菌した10mg/mlア
ンピシリン水溶液0.5mlを添加したものに、実施例
2で得られた形質転換大腸菌STP1を1白金耳植菌
し、37℃で16時間回転振とう培養したものを種培養
液とした。
【0160】容量5lのファーメンターに種培養と同組
成の培地(pH7.0)約3lを入れて滅菌後、予め濾
過滅菌したアンピシリン水溶液を100mg/lになる
ように添加し、温度を35℃とした後、種培養液2V/
V%を接種して、35℃、pH6.5〜7.5に保持し
ながら24時間通気攪拌培養した。
【0161】培養終了後、培養液を連続的に超音波処理
して菌体の破壊を行った。これを遠心分離し菌体残渣を
除去した培養液上清を得た。この上清を限外濾過によっ
て約100mlまで濃縮した後、10mM酢酸緩衝液
(pH6.0)を3l加えて、再度100mlまで濃縮
し、粗酵素液を得た。粗酵素液のトレハロースホスホリ
ラーゼ活性は3,000単位/mlであった。
【0162】次に、この粗酵素液を実施例1−1と同様
にして精製を行い、ネイティブポリアクリルアミドゲル
電気泳動で単一タンパク質であることを確認した。
【0163】[実施例3−2] 組換え耐熱性トレハロ
ースホスホリラーゼの酵素化学的特性 実施例3−1の精製した組換え耐熱性トレハロースホス
ホリラーゼの酵素化学的特性は実施例1−2と同様にし
て調べた。以下に結果を示す。
【0164】(1)作用 トレハロースを可逆的に加リン酸分解する。すなわち、
リン酸存在下でトレハロースに作用させると、等モルの
グルコースとβ−グルコース−1−リン酸を生成し、グ
ルコースとβ−グルコース−1−リン酸に作用させると
等モルのトレハロースとリン酸を生成する。
【0165】(2)基質特異性 トレハロース、ネオトレハロース、マルトース、イソマ
ルトース、セロビオース、シュークロース、pーニトロ
フェノール-α-グルコシド、pーニトロフェノール-β-
グルコシドを基質として加リン酸分解反応を行ったとこ
ろ、トレハロース以外にはグルコースの生成が認められ
なかった。
【0166】(3)至適温度 40mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中で各種温度(40〜90℃)で反応させたとこ
ろ、トレハロース加リン酸分解反応の至適温度は70℃
〜75℃付近で、60℃〜75℃の範囲で最高活性の約
50%以上を示した。
【0167】(4)熱安定性 10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
0)中にてインキュベートし、残存活性を測定したとこ
ろ、65℃で15分間処理で、無処理の95%以上の活
性を示した。
【0168】(5)至適pH 25mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.0
〜7.7)と25mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.7
〜9.0)を用いて60℃で反応を行ったところ、至適
pHは6.5〜7.5であった。
【0169】(6)pH安定性 100mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH4.
0〜8.0)と100mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.
5〜9.0)を用いて60℃で24時間インキュベート
し、各pHでの残存活性を測定したところ、pH6.0
〜8.0で安定であった。
【0170】(7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活した。
【0171】(8)分子量 Superdex200pg(ファルマシア バイオテ
ク(株))を用いたゲル濾過クロマトグラフィーによ
り、各種標準タンパク質との相対溶出容量から分子量を
求めた結果、本酵素の分子量は11万〜15万であっ
た。
【0172】(9)等電点 等電点電気泳動により、各種標準タンパク質との相対移
動度から等電点は4.6〜5.2であった。
【0173】(10)阻害剤 1mMのHgCl2で99%、ZnSO4で80%の活性
阻害が見られた。
【0174】(11)N末端アミノ酸配列 常法により、アプライド・バイオシステムズ製気相プロ
テインシーケンサー「477A型」を使用して分析を行
ったところ、精製酵素はN末端に配列表における配列番
号2に示すアミノ酸配列を有していた。
【0175】この結果から、組換え耐熱性トレハロース
ホスホリラーゼは、耐熱性トレハロースホスホリラーゼ
と同じ酵素化学的性質を有することが確認された。
【0176】
【実施例4】 組換え耐熱性トレハロースホスホリラー
ゼを用いたトレハロースの製造 [実施例4−1] 耐熱性マルトースホスホリラーゼの
調製 酵母エキス1%、ポリペプトン2%、マルトース1%を
含有する培地(pH7.0)100mlを500mlバ
ッフル付きマイヤーフラスコに入れ、121℃、20分
間オートクレーブ殺菌したものに、バチルスsp.RK
−1(FERMP−15044)を1白金耳植菌し、5
5℃にて16時間振とう培養したものを種培養液とし
た。
【0177】容量5lのファーメンターに酵母エキス1
%、ポリペプトン2%、マルトース1%を含有する培地
(pH7.0)約3lを入れて滅菌し、温度を55℃と
した後、種培養液2V/V%を接種し、55℃、pH
6.0〜7.0に保持しながら40時間通気攪拌培養し
た。
【0178】培養終了後、培養物を遠心分離により菌体
を分離し、上清に硫安を80%飽和に溶解し、析出した
タンパク質を遠心分離によって集めた。これを10mM
酢酸緩衝液(pH6.0)に溶解後、同じ緩衝液に対し
て透析を行い、濃縮後約200単位/ml粗酵素液を2
0ml得た。
【0179】[実施例4−2] マルトースからトレハ
ロースの生成反応 実施例4−1で調製した耐熱性マルトースホスホリラー
ゼ粗酵素液と実施例3−1で調製した組換え型トレハロ
ースホスホリラーゼ粗酵素液を用いて、基質のマルトー
スに作用させトレハロースへ変換させた。
【0180】反応液はマルトース濃度30W/W%、リ
ン酸濃度10mM、粗酵素各10単位/gとなるように
添加し、酢酸緩衝液でpH5.0に調製した。反応は6
0℃で48時間行った。反応の停止は10分間100℃
に加熱して行った。反応終了後、各反応液をTSKge
l Amido80カラム(東ソー(株))、溶離液ア
セトニトリル/水(76/24)、流速0.8ml/m
in、カラム温度80℃、示差屈折計Shodex(昭
和電工(株))を検出手段とする高速液体クロマトグラ
フィーにより反応液の糖組成を定量した。また、β−グ
ルコース−1−リン酸は反応液を陰イオン交換カラムを
用いた高速液体クロマトグラフィーにより定量した。
【0181】結果、基質マルトースの65%がトレハロ
ースに変換された。
【0182】
【実施例5】 トレハロース含有糖液、及びその粉末の
製造 コーンスターチにα−アミラーゼを作用させた澱粉液化
液に枝切り酵素プロモザイム(ノボノルディクスバイオ
インダストリー)とβ−アミラーゼ(長瀬産業(株))
を作用させて調製したマルトース高含有糖液(固形分3
0W/W%、固形分当たりのマルトース純度80%)
に、実施例4−1で調製した組換え型トレハロースホス
ホリラーゼ粗酵素液と実施例4−2で調製したバチルス
sp.RK−1(FERM P−15044)の耐熱性
マルトースホスホリラーゼ粗酵素液をそれぞれ固形分1
g当たり10単位になるように加え、さらに、リン酸濃
度10mMになるようにリン酸カリウムを加えて、60
℃、pH5.0で48時間反応させ、次いで100℃で
10分間加熱して酵素を失活させた。
【0183】この反応液を活性炭で脱色し、イオン交換
樹脂で脱塩した後、濃度約75%まで濃縮し、トレハロ
ース含有糖液を得た。この糖液を実施例4−3と同様に
高速液体クロマトグラフィーによって分析した結果、固
形分当たりの割合はグルコース2.8%、トレハロース
63.2%、マルトース20.5%、マルトトリオース
5.1%、その他マルトオリゴ糖8.4%であった。
【0184】また、前記反応液に固形分1g当たり1単
位になるようにグルコアミラーゼ(生化学工業(株))
を加え、55℃で8時間反応させ、次いで100℃で1
0分間加熱して酵素を失活させた。この反応液を活性炭
で脱色し、イオン交換樹脂で脱塩した後、濃度約50%
まで濃縮し、ナトリウム型イオン交換カラムで分離を行
い、トレハロース画分を分取した。この分取した糖液を
濃縮し、固形分75%で固形分当たり95%のトレハロ
ースを含有するトレハロース高含有糖液を得た。
【0185】さらに、このトレハロース高含有糖液を濃
縮後乾燥することにより粉末トレハロースを得た。
【0186】以上の結果から、組換え耐熱性トレハロー
スホスホリラーゼを利用して、トレハロースを製造する
ことが出来ることが確認された。
【0187】
【発明の効果】本発明は、本発明者らが見出した、好熱
性バチルス属細菌、特にバチルスステアロサーモフィラ
スSK−1(FERM P−14567)由来の耐熱性
トレハロースホスホリラーゼ遺伝子を基に、遺伝子工学
的手法により、組換え耐熱性トレハロースホスホリラー
ゼを得、これを用いて組換え微生物を作製したものであ
って、これを培養すれば、酵素の生産性が飛躍的に上昇
し、不純物の少ない、高純度組換え耐熱性トレハロース
ホスホリラーゼを効率よく製造できるDNAを得た点で
極めて優れている。
【0188】また、このように、組換え耐熱性トレハロ
ースホスホリラーゼが工業的規模で大量に、効率よく生
産できるようになった結果、これを利用することによ
り、有用なトレハロースの製造が飛躍的に効率よく製造
することができる点においても、非常に価値がある。
【0189】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:2686 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:バチルス・ステアロサーモフィラス 株名:SK−1 配列の特徴 特徴を示す記号:5’UTR 存在位置:1..278 特徴を決定した方法:E 特徴を示す記号:CDS 存在位置:279..2573 特徴を決定した方法:E 特徴を示す記号:3’UTR 存在位置:2574..2686 特徴を決定した方法:E 配列 TTCCGAAAGA TTTTACTGTA CCATATGATT GGATGGTAAA CTATACTCTT CTTTATCATT 60 CGAAAAAATG TAAGCCCATT CAAAATGATA GTTTGATGAC TCTAGTTTGT AAAAAATCAT 120 AAAGGAGTTC TTTTTTGGGC TCAAGGTTGA AAACAAATCA GTTCAATCAT ATGCTGCTAT 180 CGTTCTGACA CTTTTGATTG TGCTGATTTT CCAGATATAA ATCGTATCAG AATCAACATC 240 CGTCAGAGTA AAAGAATAAT GAAACAGGAG TGTCTTAC ATG TCT TGG TCA ATT AGC 296 Met Ser Trp Ser Ile Ser 1 5 TCC AAT CAG CTT AAT ATT GAA AAC TTG TTA AAT GAA GAA AGT CTC TTT 344 Ser Asn Gln Leu Asn Ile Glu Asn Leu Leu Asn Glu Glu Ser Leu Phe 10 15 20 TTC ACT GGT AAT GGG TAT ATT GGT GTA CGT GGA AAT TTC GAA GAA AAA 392 Phe Thr Gly Asn Gly Tyr Ile Gly Val Arg Gly Asn Phe Glu Glu Lys 25 30 35 TAT TAT GAT GGT GCT TCG TCA ATT CGC GGT ACA TAT ATC AAT GCA TTC 440 Tyr Tyr Asp Gly Ala Ser Ser Ile Arg Gly Thr Tyr Ile Asn Ala Phe 40 45 50 CAC GAT ATA ACT GAT ATT AAC TAC GGT GAA AAA TTA TAT GCA TTC CCT 488 His Asp Ile Thr Asp Ile Asn Tyr Gly Glu Lys Leu Tyr Ala Phe Pro 55 60 65 70 GAA ACG CAA CAG AAG TTA GTG AAT GTC ATT GAT GCG CAA ACT GTT CAA 536 Glu Thr Gln Gln Lys Leu Val Asn Val Ile Asp Ala Gln Thr Val Gln 75 80 85 ATA TAC TTT GGA GAA GAA GAA GAA AGG TTT TCG CTT TTT GAA GGA GAA 584 Ile Tyr Phe Gly Glu Glu Glu Glu Arg Phe Ser Leu Phe Glu Gly Glu 90 95 100 GTC ATT CAA TAT GAA CGG CAT CTC CAT ATG GAC AAA GGC TTT TCA GAA 632 Val Ile Gln Tyr Glu Arg His Leu His Met Asp Lys Gly Phe Ser Glu 105 110 115 CGT GTG ATT CAT TGG CGT TCT CCT GGA GGA AAA GAA GTC AAA CTC AAG 680 Arg Val Ile His Trp Arg Ser Pro Gly Gly Lys Glu Val Lys Leu Lys 120 125 130 TTT AAA AGG TTA ACT TCA TTC ATT TAT AAA GAA CTT TTC ATA CAG GAA 728 Phe Lys Arg Leu Thr Ser Phe Ile Tyr Lys Glu Leu Phe Ile Gln Glu 135 140 145 150 ATT ACA ATT GAA CCC GTT AAT TTT TTT GGG AAA ACG AAG GTG GTT TCC 776 Ile Thr Ile Glu Pro Val Asn Phe Phe Gly Lys Thr Lys Val Val Ser 155 160 165 ACA GTT AAC GGA GAT GTC TCA AAT TTT GTT GAT CCA AGT GAT CCA CGG 824 Thr Val Asn Gly Asp Val Ser Asn Phe Val Asp Pro Ser Asp Pro Arg 170 175 180 GTC GGT TCA GGA CAT GCG AAG CTC TTG ACA GTC TCG GAT ACG GTT ATT 872 Val Gly Ser Gly His Ala Lys Leu Leu Thr Val Ser Asp Thr Val Ile 185 190 195 GAA GGG GAT TTT GTT AGT ATA GAA ACA AAA ACG AAA CGG TCA AAT CTT 920 Glu Gly Asp Phe Val Ser Ile Glu Thr Lys Thr Lys Arg Ser Asn Leu 200 205 210 TAT GCC GCT TGT ACA TCA ACA TGC AGA CTA AAC ATT GAT TTT CAG CGA 968 Tyr Ala Ala Cys Thr Ser Thr Cys Arg Leu Asn Ile Asp Phe Gln Arg 215 220 225 230 GAA TAT GTT AAA AAT GAG AAG TCG GTT GAA ACT GTA CTC ACT TTT GAA 1016 Glu Tyr Val Lys Asn Glu Lys Ser Val Glu Thr Val Leu Thr Phe Glu 235 240 245 TTA ACA GAA AAA GCG ATC ATG ACT AAA ATA AAT ATA TAT ACA GAT ACG 1064 Leu Thr Glu Lys Ala Ile Met Thr Lys Ile Asn Ile Tyr Thr Asp Thr 250 255 260 CTT CGA CAT GGA GAT CGT CCA CTT CGG ACT GGT CTT GAT CTA TGT CAG 1112 Leu Arg His Gly Asp Arg Pro Leu Arg Thr Gly Leu Asp Leu Cys Gln 265 270 275 AAA TTA TCA TGT TTG ACG TTT AAT GAC CTT AAA GAA CAG CAA AAG CAC 1160 Lys Leu Ser Cys Leu Thr Phe Asn Asp Leu Lys Glu Gln Gln Lys His 280 285 290 TAT TTA GAT AAG TTT TGG CTT TAC GCA GAT GTA GAA ATA TCT GGA GAT 1208 Tyr Leu Asp Lys Phe Trp Leu Tyr Ala Asp Val Glu Ile Ser Gly Asp 295 300 305 310 CAG GCG CTC CAA GAA GGG ATA CGC TTT AAC TTA TTT CAT TTG CTA CAA 1256 Gln Ala Leu Gln Glu Gly Ile Arg Phe Asn Leu Phe His Leu Leu Gln 315 320 325 TCA GCA GGG CGC GAT CGT TTT TCA AAT ATA GCT GCA AAA GGT TTG TCA 1304 Ser Ala Gly Arg Asp Arg Phe Ser Asn Ile Ala Ala Lys Gly Leu Ser 330 335 340 GGC GAA GGG TAT GAA GGG CAT TAT TTT TGG GAT ACC GAA ATA TAT ATG 1352 Gly Glu Gly Tyr Glu Gly His Tyr Phe Trp Asp Thr Glu Ile Tyr Met 345 350 355 GTG CCA GTT TTC TTG ATG ACG AAT CCT GAG TTA GCA AAG CAA TTG CTC 1400 Val Pro Val Phe Leu Met Thr Asn Pro Glu Leu Ala Lys Gln Leu Leu 360 365 370 ATT TAT CGA TAT TCA ATC CTA GAT AAA GCA CGT GAA AGA GCA AGG GAA 1448 Ile Tyr Arg Tyr Ser Ile Leu Asp Lys Ala Arg Glu Arg Ala Arg Glu 375 380 385 390 ATG GGC CAT AGA AAA GGC GCT TTA TTT CCA TGG CGA ACA ATA TCA GGA 1496 Met Gly His Arg Lys Gly Ala Leu Phe Pro Trp Arg Thr Ile Ser Gly 395 400 405 GGA GAA TGT TCT TCT TAT TTT CCA GCT GGA ACA GCT CAG TAC CAT ATT 1544 Gly Glu Cys Ser Ser Tyr Phe Pro Ala Gly Thr Ala Gln Tyr His Ile 410 415 420 AGT GCA GAT ATC GCT TAT AGT TAC GTT CAA TAT TAC TTA GTT ACG AAA 1592 Ser Ala Asp Ile Ala Tyr Ser Tyr Val Gln Tyr Tyr Leu Val Thr Lys 425 430 435 GAT TTG GAT TTC CTA AAA TCT TAT GGA GCT GAA CTG TTA ATT GAA ACA 1640 Asp Leu Asp Phe Leu Lys Ser Tyr Gly Ala Glu Leu Leu Ile Glu Thr 440 445 450 GCT CGT CTC TGG ATG GAT ACC GGA CAT TAT CAT GAA GGA AAA TTT AAA 1688 Ala Arg Leu Trp Met Asp Thr Gly His Tyr His Glu Gly Lys Phe Lys 455 460 465 470 ATT GAT GCT GTA ACG GGG CCT GAC GAG TAT ACG TGT ATT GTG AAC AAT 1736 Ile Asp Ala Val Thr Gly Pro Asp Glu Tyr Thr Cys Ile Val Asn Asn 475 480 485 AAC TAT TAC ACG AAC GTG ATG GCA AAG CAC AAT TTG CGC TGG GCA GCC 1784 Asn Tyr Tyr Thr Asn Val Met Ala Lys His Asn Leu Arg Trp Ala Ala 490 495 500 AAA AGT GTC GCT GAA TTA GAA AAA CAT GCA CCT GAT ACA TTA GCA TCA 1832 Lys Ser Val Ala Glu Leu Glu Lys His Ala Pro Asp Thr Leu Ala Ser 505 510 515 TTA AAA GCA AAG CTT GAA ATT ACT GAC GAG GAA ATA GCA GAA TGG ATA 1880 Leu Lys Ala Lys Leu Glu Ile Thr Asp Glu Glu Ile Ala Glu Trp Ile 520 525 530 AAA GCA GCT GAA GCT ATG TAT TTG CCT TAT GAT CCA ACA CTT AAT ATT 1928 Lys Ala Ala Glu Ala Met Tyr Leu Pro Tyr Asp Pro Thr Leu Asn Ile 535 540 545 550 AAC CCG CAG GAT GAC ACA TTT TTG CAG AAA CAA GTT TGG GAT TTC GAT 1976 Asn Pro Gln Asp Asp Thr Phe Leu Gln Lys Gln Val Trp Asp Phe Asp 555 560 565 AAT ACG CCG AAA GAA CAT TAC CCG CTT CTC TTG CAT TAT CAT CCG TTG 2024 Asn Thr Pro Lys Glu His Tyr Pro Leu Leu Leu His Tyr His Pro Leu 570 575 580 ACT TTA TAT CGC TAC CAA GTA TGT AAG CAG GCC GAT ACA GTA CTG GCT 2072 Thr Leu Tyr Arg Tyr Gln Val Cys Lys Gln Ala Asp Thr Val Leu Ala 585 590 595 CAT TTT TTA TTA GAG GAT GAA CAA GAT GGA TCT GTG ATT CGA GAT TCT 2120 His Phe Leu Leu Glu Asp Glu Gln Asp Gly Ser Val Ile Arg Asp Ser 600 605 610 TAT CAT TAT TAT GAA AAA ATC ACT ACT CAC GAT TCT TCC CTA TCT TCA 2168 Tyr His Tyr Tyr Glu Lys Ile Thr Thr His Asp Ser Ser Leu Ser Ser 615 620 625 630 TGT GTG TTT AGT ATT ATG GCT GCA AAA ATT GGC GAA TTA GAC AAG GCT 2216 Cys Val Phe Ser Ile Met Ala Ala Lys Ile Gly Glu Leu Asp Lys Ala 635 640 645 TAT GAA TAT TTT ATT GAA ACA GCT CGT TTA GAT TTA GAT AAT ACA CAT 2264 Tyr Glu Tyr Phe Ile Glu Thr Ala Arg Leu Asp Leu Asp Asn Thr His 650 655 660 GGT AAT ACG AAA GAC GGT CTC CAT ATG GCG AAT ATG GGA GGA ACG TGG 2312 Gly Asn Thr Lys Asp Gly Leu His Met Ala Asn Met Gly Gly Thr Trp 665 670 675 ATG GCG ATT GTT TAT GGA TTT GCT GGC CTT CGG ATC AAA GAA AGC GGG 2360 Met Ala Ile Val Tyr Gly Phe Ala Gly Leu Arg Ile Lys Glu Ser Gly 680 685 690 TTG TCA TTA GCG CCA GTG ATT CCA AAA CAA TGG CAG TCA TAT AGA TTT 2408 Leu Ser Leu Ala Pro Val Ile Pro Lys Gln Trp Gln Ser Tyr Arg Phe 695 700 705 710 TCG ATT CAA TAT TTA GGT AGA CAC ATT TCA GTC TCC GTT GAT ACA AAA 2456 Ser Ile Gln Tyr Leu Gly Arg His Ile Ser Val Ser Val Asp Thr Lys 715 720 725 GGG ACG AAA GTG AAT CTT TTG AAT GGA GAG GAA CTA ACT ATC AAA CTT 2504 Gly Thr Lys Val Asn Leu Leu Asn Gly Glu Glu Leu Thr Ile Lys Leu 730 735 740 TAT GGT AAA AAG CAT CAA TTA ACA AAA GAT GAA CCT CTT GAA ATA ACA 2552 Tyr Gly Lys Lys His Gln Leu Thr Lys Asp Glu Pro Leu Glu Ile Thr 745 750 755 TTT AAT AAC GGG CGT GTT GAT TAACCAATAA AAACCAGTTA CCATTGGCCT 2603 Phe Asn Asn Gly Arg Val Asp 760 765 ATTCATGGCT TTTCTGCCGA AGTCGGAAAA GCTTGGTCTT TAACTGGCTA TATAGACTTA 2663 TTGCCATGCT ACTACGTCTT TAT 2686 配列番号2 配列の長さ:20 配列の型:アミノ酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメントの型:N末端フラグメント 配列 Ser Trp Ser Ile Ser Ser Asn Gln Leu Asn Ile Glu Asn Leu Leu Asn 1 5 10 15 Glu Glu Ser Leu 20 配列番号3 配列の長さ:2796 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:バチルス・ステアロサーモフィラス 株名:SK−1 配列 CAATTAGATA ATTGAAAATC AGAGGAGATG CAAGGGGATT CCTTTCTTGA TGGAAATCGG 60 TGAGAATCGG AGCGGCAAGC AGTTTTGCCC GTTCCATCGC GATGTGTCCA TTCCGAAAGA 120 TTTTACTGTA CCATATGATT GGATGGTAAA CTATACTCTT CTTTATCATT CGAAAAAATG 180 TAAGCCCATT CAAAATGATA GTTTGATGAC TCTAGTTTGT AAAAAATCAT AAAGGAGTTC 240 TTTTTTGGGC TCAAGGTTGA AAACAAATCA GTTCAATCAT ATGCTGCTAT CGTTCTGACA 300 CTTTTGATTG TGCTGATTTT CCAGATATAA ATCGTATCAG AATCAACATC CGTCAGAGTA 360 AAAGAATAAT GAAACAGGAG TGTCTTACAT GTCTTGGTCA ATTAGCTCCA ATCAGCTTAA 420 TATTGAAAAC TTGTTAAATG AAGAAAGTCT CTTTTTCACT GGTAATGGGT ATATTGGTGT 480 ACGTGGAAAT TTCGAAGAAA AATATTATGA TGGTGCTTCG TCAATTCGCG GTACATATAT 540 CAATGCATTC CACGATATAA CTGATATTAA CTACGGTGAA AAATTATATG CATTCCCTGA 600 AACGCAACAG AAGTTAGTGA ATGTCATTGA TGCGCAAACT GTTCAAATAT ACTTTGGAGA 660 AGAAGAAGAA AGGTTTTCGC TTTTTGAAGG AGAAGTCATT CAATATGAAC GGCATCTCCA 720 TATGGACAAA GGCTTTTCAG AACGTGTGAT TCATTGGCGT TCTCCTGGAG GAAAAGAAGT 780 CAAACTCAAG TTTAAAAGGT TAACTTCATT CATTTATAAA GAACTTTTCA TACAGGAAAT 840 TACAATTGAA CCCGTTAATT TTTTTGGGAA AACGAAGGTG GTTTCCACAG TTAACGGAGA 900 TGTCTCAAAT TTTGTTGATC CAAGTGATCC ACGGGTCGGT TCAGGACATG CGAAGCTCTT 960 GACAGTCTCG GATACGGTTA TTGAAGGGGA TTTTGTTAGT ATAGAAACAA AAACGAAACG 1020 GTCAAATCTT TATGCCGCTT GTACATCAAC ATGCAGACTA AACATTGATT TTCAGCGAGA 1080 ATATGTTAAA AATGAGAAGT CGGTTGAAAC TGTACTCACT TTTGAATTAA CAGAAAAAGC 1140 GATCATGACT AAAATAAATA TATATACAGA TACGCTTCGA CATGGAGATC GTCCACTTCG 1200 GACTGGTCTT GATCTATGTC AGAAATTATC ATGTTTGACG TTTAATGACC TTAAAGAACA 1260 GCAAAAGCAC TATTTAGATA AGTTTTGGCT TTACGCAGAT GTAGAAATAT CTGGAGATCA 1320 GGCGCTCCAA GAAGGGATAC GCTTTAACTT ATTTCATTTG CTACAATCAG CAGGGCGCGA 1380 TCGTTTTTCA AATATAGCTG CAAAAGGTTT GTCAGGCGAA GGGTATGAAG GGCATTATTT 1440 TTGGGATACC GAAATATATA TGGTGCCAGT TTTCTTGATG ACGAATCCTG AGTTAGCAAA 1500 GCAATTGCTC ATTTATCGAT ATTCAATCCT AGATAAAGCA CGTGAAAGAG CAAGGGAAAT 1560 GGGCCATAGA AAAGGCGCTT TATTTCCATG GCGAACAATA TCAGGAGGAG AATGTTCTTC 1620 TTATTTTCCA GCTGGAACAG CTCAGTACCA TATTAGTGCA GATATCGCTT ATAGTTACGT 1680 TCAATATTAC TTAGTTACGA AAGATTTGGA TTTCCTAAAA TCTTATGGAG CTGAACTGTT 1740 AATTGAAACA GCTCGTCTCT GGATGGATAC CGGACATTAT CATGAAGGAA AATTTAAAAT 1800 TGATGCTGTA ACGGGGCCTG ACGAGTATAC GTGTATTGTG AACAATAACT ATTACACGAA 1860 CGTGATGGCA AAGCACAATT TGCGCTGGGC AGCCAAAAGT GTCGCTGAAT TAGAAAAACA 1920 TGCACCTGAT ACATTAGCAT CATTAAAAGC AAAGCTTGAA ATTACTGACG AGGAAATAGC 1980 AGAATGGATA AAAGCAGCTG AAGCTATGTA TTTGCCTTAT GATCCAACAC TTAATATTAA 2040 CCCGCAGGAT GACACATTTT TGCAGAAACA AGTTTGGGAT TTCGATAATA CGCCGAAAGA 2100 ACATTACCCG CTTCTCTTGC ATTATCATCC GTTGACTTTA TATCGCTACC AAGTATGTAA 2160 GCAGGCCGAT ACAGTACTGG CTCATTTTTT ATTAGAGGAT GAACAAGATG GATCTGTGAT 2220 TCGAGATTCT TATCATTATT ATGAAAAAAT CACTACTCAC GATTCTTCCC TATCTTCATG 2280 TGTGTTTAGT ATTATGGCTG CAAAAATTGG CGAATTAGAC AAGGCTTATG AATATTTTAT 2340 TGAAACAGCT CGTTTAGATT TAGATAATAC ACATGGTAAT ACGAAAGACG GTCTCCATAT 2400 GGCGAATATG GGAGGAACGT GGATGGCGAT TGTTTATGGA TTTGCTGGCC TTCGGATCAA 2460 AGAAAGCGGG TTGTCATTAG CGCCAGTGAT TCCAAAACAA TGGCAGTCAT ATAGATTTTC 2520 GATTCAATAT TTAGGTAGAC ACATTTCAGT CTCCGTTGAT ACAAAAGGGA CGAAAGTGAA 2580 TCTTTTGAAT GGAGAGGAAC TAACTATCAA ACTTTATGGT AAAAAGCATC AATTAACAAA 2640 AGATGAACCT CTTGAAATAA CATTTAATAA CGGGCGTGTT GATTAACCAA TAAAAACCAG 2700 TTACCATTGG CCTATTCATG GCTTTTCTGC CGAAGTCGGA AAAGCTTGGT CTTTAACTGG 2760 CTATATAGAC TTATTGCCAT GCTACTACGT CTTTAT 2796 配列番号4 配列の長さ:340 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:バチルス・ステアロサーモフィラス 株名:SK−1 配列 TTGCTTGGTG GAGGAAAAAC GGCTGTCATC GAAATGGCCG CTGCCTCAGG ACTACATCTT 60 GTTCCGAAAG AAAAACGAAA TCCACTGATC ACCACAACGA GAGGAACAGG GGAATTGATT 120 CGAGCGGCTC TTGATGTGGG AGTCGAGCAT ATTATTATCG GAATCGGTGG AAGCGCGACG 180 AACGATGGTG GAGCGGGAAT GGTTCAAGCG CTAGGCGGCC GACTTCTTGA TCGACATGGG 240 AATGAGATTG CGTATGGCGG TGGAAGTTTA TCACAATTAG CAACGATTGA TCTTTCCTAT 300 TTAGACCCGA GGTTAAAGAA CGTAAAAATC GAAGTCGCTT 340
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐熱性トレハロースホスホリラーゼの
至適温度
【図2】本発明の耐熱性トレハロースホスホリラーゼの
熱安定性
【図3】本発明の耐熱性トレハロースホスホリラーゼの
至適pH
【図4】本発明の耐熱性トレハロースホスホリラーゼの
pH安定性
【図5】本発明のプラスミドベクターpSTP1構造
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 19/12 C12P 19/12 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:07) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:19) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/12 C12R 1:19) (C12N 9/12 C12R 1:07) (72)発明者 大島 良恵 千葉県船橋市日の出2−20−2 昭和産業 株式会社総合研究所内 (72)発明者 山根 國男 茨城県土浦市常名4016−44

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)又は(b)のDNAからな
    る遺伝子。 (a)配列表の配列番号1に記載の塩基配列の内、塩基
    番号279から2573で表される塩基配列からなるD
    NA。 (b)塩基配列(a)からなるDNAとストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズし、かつ下記の酵素化学的
    性質を有する組換え耐熱性トレハロースホスホリラーゼ
    をコードするDNA。 (1)作用 トレハロースを可逆的に加リン酸分解する。すなわち、
    リン酸存在下でトレハロースに作用させると、等モルの
    グルコースとβ−グルコース−1−リン酸を生成し、グ
    ルコースとβ−グルコース−1−リン酸に作用させると
    等モルのトレハロースとリン酸を生成する。 (2)基質特異性 トレハロースに特異的に作用する。 (3)至適温度 トレハロース加リン酸分解反応の至適温度は70℃〜7
    5℃付近で、60℃〜75℃の範囲で最高活性の約50
    %以上を示す。 (4)熱安定性 10mMリン酸カリウム・クエン酸緩衝液(pH6.
    0)中で、65℃、15分間処理後に無処理の95%以
    上の活性を有する。 (5)至適pH 6.5〜7.5。 (6)pH安定性 pH6.0〜8.0で安定。 (7)失活 100℃、10分間の加熱で100%失活する。 (8)分子量 ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した値は11万
    〜15万。 (9)等電点 4.6〜5.2。 (10)阻害剤 HgCl2、ZnSO4で著しく活性が阻害される。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列の
    内、塩基番号279〜2573で表される塩基配列から
    なるDNAが好熱性バチルス属細菌由来のものである請
    求項1記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】 好熱性バチルス属細菌由来のものがバチ
    ルス・ステアロサーモフィラスSK−1(FERM P
    −14567)である請求項1又は請求項2に記載の遺
    伝子。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の遺伝子を含
    む組換えベクター。
  5. 【請求項5】 遺伝子がバチルス・ステアロサーモフィ
    ラスSK−1(FERM P−14567)の染色体由
    来の3.3k塩基対のDNA断片である請求項4記載の
    組換えベクター。
  6. 【請求項6】 遺伝子がバチルス・ステアロサーモフィ
    ラスSK−1(FERM P−14567)の耐熱性ト
    レハロースホスホリラーゼをコードする遺伝子部分であ
    る2295塩基対のDNA断片である請求項4記載の組
    換えベクター。
  7. 【請求項7】 ベクターがプラスミドベクターpSTP
    1由来のものである請求項4、5又は6記載の組換えベ
    クター。
  8. 【請求項8】 請求項4、5、6又は7に記載の組換え
    ベクターを含む形質転換体。
  9. 【請求項9】 形質転換体が大腸菌である請求項8記載
    の形質転換体。
  10. 【請求項10】 請求項8又は請求項9に記載の組換え
    形質転換体を培養して、組換え耐熱性トレハロースホス
    ホリラーゼを製造する方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の組換え耐熱性トレ
    ハロースホスホリラーゼ及び耐熱性マルトースホスホリ
    ラーゼの存在下に、マルトースとリン酸もしくはリン酸
    塩とを、水性媒体中で、反応させることを特徴とするト
    レハロース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項11の反応が55〜70℃、p
    H4.5〜8.0で行われる請求項11記載のトレハロ
    ース又はβ−グルコース−1−リン酸の製造方法。
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