JP3557272B2 - 組換え型酵素とその製造方法並びに用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する新規な組換え型酵素とその製造方法並びに用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
トレハロースは、グルコース2分子が還元性基同士結合した二糖類であり、天然には細菌、真菌、藻類、昆虫などに微量存在する。トレハロースは分子中に還元性基を持たないので、アミノ酸類の存在下で加熱しても褐変反応を起こすことがなく、着色や変質の懸念なく飲食物を甘味付けできる利点がある。しかしながら、従来の製造方法では所望量を入手するのが難しく、実際に飲食物の甘味付けに使われることは殆ど無かった。
【0003】
これまでの製造方法は、微生物の菌体を利用する方法と、糖質に複合酵素系を作用させる方法とに大別される。前者の方法は、特開昭50−154485号公報などにも見られるように、細菌、酵母などの微生物を栄養培地で増殖させ、培養物中の菌体からトレハロースを採取するものである。一方、後者の方法は、特開昭58−216695号公報などにも見られるように、基質にマルトースを使用し、これにマルトース・フォスフォリラーゼとトレハロース・フォスフォリラーゼからなる複合酵素系を作用させ、生成したトレハロースを系外に取出すものである。前者の方法は、微生物そのものの増殖は比較的容易なものの、トレハロースを菌体から採取するのに一連の繁雑な工程を要し、しかも、菌体に含まれるトレハロースが15%(w/w)と僅少であるという問題があった。後者の方法は、トレハロースそのものの分離は比較的容易なものの、反応自体が2種類の酵素による平衡反応であり、しかも、その平衡が常時グルコース燐酸側に傾いていることから、基質を高濃度にして反応させ、トレハロースの収量を上げることが原理的に難しかった。
【0004】
斯かる状況に鑑み、本発明者が、澱粉糖からトレハロース構造を有する糖質を生成する酵素につき鋭意検索したところ、リゾビウム・スピーシーズM−11やアルスロバクター・スピーシーズQ36などの微生物が、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成するという、従来未知の全く新規な酵素を産生することが判明した。この知見とあい前後して、この非還元性糖質は、同じくリゾビウム・スピーシーズM−11やアルスロバクター・スピーシーズQ36が産生する別の酵素により、ほぼ定量的にトレハロースとグルコース及び/又はマルトオリゴ糖に加水分解されることが判明した。これら酵素を併用することにより、澱粉を原料に所望量のトレハロースが比較的容易に得られることとなり、トレハロースに係わる前記課題は悉く解決されていくものと期待される。しかしながら、リゾビウム・スピーシーズM−11もアルスロバクター・スピーシーズQ36も当該酵素の産生能が充分でなく、トレハロースや末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を大規模に製造しようとすると、微生物を大量に培養しなければならないという問題がある。
【0005】
一方、昨今の組換えDNA技術の進歩には目覚しいものがある。今日では、全アミノ酸配列が解明されていない酵素であっても、これをコードする遺伝子を単離し、その塩基配列を解明できれば、その酵素をコードするDNAを含む組換えDNAを作製し、これを微生物や動植物の細胞に導入して得られる形質転換体を培養することにより、比較的容易に所望量の酵素が取得できるようになった。斯かる状況に鑑み、両酵素をコードする遺伝子を突き止め、その塩基配列を解明するのが急務となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、組換えDNA技術を応用して斯かる酵素を創製することにある。
【0007】
この発明の別の目的は、その創製された酵素の製造方法を提供することにある。
【0008】
この発明のさらに別の目的は、その創製された酵素を使用する還元性澱粉糖の変換方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記第一の課題を、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する組換え型酵素により解決するものである。
【0010】
この発明は、前記第二の課題を、その組換え型酵素を産生する形質転換体を培養し、培養物から組換え型酵素を採取する組換え型酵素の製造方法により解決するものである。
【0011】
この発明は、前記第三の課題を、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖に組換え型酵素を作用させて該澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成させる工程を含んでなる還元性澱粉糖の変換方法により解決するものである。
【0012】
【作用】
この発明による組換え型酵素は、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖に作用して末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する。
【0013】
この発明の製造方法にしたがって形質転換体を培養すれば、所望量の組換え型酵素が比較的容易に得られる。
【0014】
この発明の変換方法により、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖は、末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質に変換される。
【0015】
この発明は、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する、従来未知の全く新規な酵素の発見に基づくものである。斯かる酵素はリゾビウム・スピーシーズM−11やアルスロバクター・スピーシーズQ36の培養物から得ることができ(以下、それぞれ「酵素M−11」又は「酵素Q36」と云う。)、本発明者がカラムクロマトグラフィーを中心とする種々の精製方法を組合せてこの酵素を単離し、その性質・性状を調べたところ、その本質はポリペプチドであり、次のような理化学的性質を有することが判明した。
(1) 作用
グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する。
(2) 分子量
約76,000乃至87,000ダルトン(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)
(3) 等電点
約3.6乃至4.6(等電点電気泳動)
(4) 至適温度
pH7.0で60分間インキュベートすると、35乃至40℃付近に至適温度を示す。
(5) 至適pH
40℃で60分間インキュベートすると、pH6.4乃至7.2付近に至適pHを示す。
(6) 熱安定性
pH7.0で60分間インキュベートすると、35乃至40℃付近まで安定である。
(7) pH安定性
25℃で16時間インキュベートすると、pH5.5乃至11.0付近まで安定である。
【0016】
次に、これら理化学的性質を解明すべく行なった実験について説明する。
【0017】
【実験例1 精製酵素の調製】
【0018】
【実験例1−1 酵素M−11の精製】
500ml容三角フラスコにマルトース2.0%(w/v)、ペプトン0.5%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、燐酸水素二ナトリウム0.1%(w/v)及び燐酸二水素カリウム0.1%(w/v)を含む液体培地(pH7.0)を100mlずつとり、120℃で20分間オートクレーブして滅菌した。冷却後、三角フラスコ内の液体培地にリゾビウム・スピーシーズM−11を植菌し、回転振盪下、27℃で24時間種培養した。別途、30l容ジャーファーメンタに上記と同組成の液体培地を20lとり、滅菌後、上記で得た種培養液を1%(v/v)接種し、液体培地をpH6乃至8に保ちつつ、30℃で24時間通気撹拌培養した。
【0019】
次に、上記で得た培養物約18lを超高圧菌体破砕装置にとり、菌体を破砕後、遠心分離により採取した上清約16lに硫酸アンモニウムを20%飽和になるように加え、4℃で1時間静置後、遠心分離により沈澱部を除去した。得られた上清に60%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、4℃で24時間静置後、沈澱部を遠心分離により採取し、最少量の10mM燐酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、10mM燐酸緩衝液(pH7.0)に対して24時間透析後、遠心分離により不溶物を除去した。得られた上清を予め10mM燐酸緩衝液(pH7.0)により平衡化させておいた東ソー製イオン交換クロマトグラフィー用カラム『DEAE−トヨパール』に負荷し、0Mから0.5Mに上昇する塩化ナトリウムの濃度勾配下、カラムに10mM燐酸緩衝液(pH7.0)を通液した。溶出液より酵素を含む画分を採取し、2M硫酸アンモニウムを含む50mM燐酸緩衝液(pH7.0)に対して10時間透析後、遠心分離により不溶物を除去した。その後、上清を予め2M硫酸アンモニウムを含む50mM燐酸緩衝液(pH7.0)により平衡化させておいた東ソー製疎水クロマトグラフィー用カラム『ブチルトヨパール』に負荷し、2Mから0Mに低下する硫酸アンモニウムの濃度勾配下、カラムに50mM燐酸緩衝液(pH7.0)を通液した。溶出液から酵素を含む画分を採取し、予め50mM燐酸緩衝液(pH7.0)により平衡化させておいた東ソー製ゲル濾過カラムクロマトグラフィー用カラム『トヨパールHW−55』に負荷し、カラムに50mM燐酸緩衝液(pH7.0)を通液し、溶出液から酵素を含む画分を採取した。このようにして精製した酵素M−11の比活性は約195単位/mg蛋白質であり、収量は培養物1l当たり約220単位であった。
【0020】
なお、この発明を通じて、酵素の活性は次の方法により測定した活性値(単位)で表示する。すなわち、マルトペンタオースを1.25%(w/v)含む50mM燐酸緩衝液(pH7.0)を4mlとり、これに酵素液を1ml加え、40℃で60分間インキュベートして反応させた後、反応液を100℃で10分間加熱して反応を停止させる。反応液を蒸留水で10倍希釈した後、ソモギ・ネルソン法により還元力を測定する。当該酵素の1単位とは、上記条件下において、1分間にマルトペンタオース1μmolに相当する還元力を低下させる酵素の量と定義する。
【0021】
【実験例1−2 酵素Q36の精製】
実験例1−1と同様にアルスロバクター・スピーシーズQ36を培養し、培養物を処理したところ、比活性約200単位/mg蛋白質の精製酵素Q36が、培養物1l当たり、約295単位の収量で得られた。
【0022】
【実験例2 酵素の理化学的性質】
【0023】
【実験例2−1 作用】
基質としてグルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース又はマルトヘプタオースを20%(w/v)含む50mM燐酸緩衝液(pH7.0)に実験例1で得た精製酵素M−11又は精製酵素Q36を基質1g当たり2単位加え、40℃で48時間反応させた。常法により反応物を脱塩した後、和光純薬製高速液体クロマトグラフィー用カラム『WB−T−330』に負荷し、溶出液の糖濃度を東ソー製示差屈折計『RI−8012型』でモニターしながら、室温下にてカラムに蒸留水を0.5ml/分の流速で通液することにより、反応物に含まれる糖質を分離した。表1及び表2に、それぞれ、酵素M−11または酵素Q36を加えた場合の反応物の糖組成を示す。 なお、表中の糖質P1乃至P5は、反応により生成した糖質をグルコース重合度の小さい順に命名したものである。
【0024】
【表1】
Figure 0003557272
【0025】
【表2】
Figure 0003557272
【0026】
表1及び表2の結果から明らかなように、酵素M−11及び酵素Q36は、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース及びマルトヘプタオースなどのグルコース重合度が3以上の還元性澱粉糖からは新たな糖質を生成するけれども、グルコース重合度が3を下回るグルコースやマルトースからは新たな糖質を生成しない。また、反応により生成した糖質はそれぞれ糖質P1乃至P5のみであり、糖質P2乃至P5の含量は固形分当たり85%以上と著しく高かった。
【0027】
次に、糖質P1乃至P5を分離すべく、東京有機化学工業製強酸性カチオン交換樹脂『XT−1016(Na型)』を内径2.0cm、長さ1mのジャケット付きステンレス製カラム3本に充填し、これらカラムを直列に連結した。そして、カラム内の温度を55℃に保ちつつ、カラムに糖質P1乃至P5のいずれかを含む前記反応物を別々に負荷した後、カラムに55℃の蒸留水をSV0.13の流速で通液した。溶出液の糖組成を調べ、糖質P1乃至P5のいずれかを固形分で97%以上含む画分を採取し、真空乾燥により粉末化した。このようにして精製した糖質P1乃至P5の還元力をソモギ・ネルソン法により調べたところ、いずれの糖質にも実質的な還元力は認められなかった。
【0028】
さらに、糖質P1乃至P5を同定すべく、これら糖質のいずれかを50mgとり、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)1mlに溶解後、グルコアミラーゼを1単位加え、40℃で6時間インキュベートした。表1及び表2に示す反応物の糖組成を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、それぞれ表3及び表4に示すように、全ての反応物からグルコースとトレハロースが検出された。同様にして、糖質P1乃至P5にβ−アミラーゼを作用させたところ、糖質P1及びP2がβ−アミラーゼの作用を受けなかったのに対して、糖質P3は1分子のマルトースと糖質P1を、糖質P4は1分子のマルトースと糖質P2を、また、糖質P5は2分子のマルトースと糖質P1を与えた。
【0029】
【表3】
Figure 0003557272
【0030】
【表4】
Figure 0003557272
【0031】
表3及び表4の結果は、糖質P1乃至P5が1分子のトレハロースと1乃至5分子のグルコースにより構成されることを強く示唆している。また、グルコアミラーゼがマルトオリゴ糖におけるα−1,4結合及びα−1,6結合に特異的に切断することと、β−アミラーゼがマルトオリゴ糖におけるα−1,4結合をその末端よりマルトース単位で切断することから、糖質P1乃至P5は、グルコース又はグルコース重合度が2乃至5のマルトオリゴ糖の末端にトレハロース残基が1個結合した構造を有していると推定される。
【0032】
以上の結果を総合的に判断すると、糖質P1乃至P5は、それぞれ、α−グルコシルトレハロース、α−マルトシルトレハロース、α−マルトトリオシルトレハロース、α−マルトテトラオシルトレハロース又はα−マルトペンタオシルトレハロースと同定され、このことは、当該酵素にグルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する作用のあることを裏付けている。
【0033】
【実験例2−2 分子量】
ユー・ケー・レムリが『ネーチャー』、第227巻、第680〜685頁(1970年)に報告している方法に準じて精製酵素をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動したところ、酵素M−11、酵素Q36とも、分子量約76,000乃至87,000ダルトンに相当する位置に単一バンドが観察された。なお、このときの分子量マーカは、ミオシン(200,000ダルトン)、β−ガラクトシダーゼ(116,250ダルトン)、フォスフォリラーゼB(97,400ダルトン)、血清アルブミン(66,200ダルトン)及びオボアルブミン(45,000ダルトン)であった。
【0034】
【実験例2−3 等電点】
等電点電気泳動法により測定したところ、酵素M−11、酵素Q36とも、約3.6乃至4.6に等電点を示した。
【0035】
【実験例2−4 至適温度】
常法により、50mM燐酸緩衝液(pH7.0)中で60分間インキュベートする条件で試験したところ、図1又は図2に示すように、酵素M−11、酵素Q36とも、35乃至40℃付近に至適温度を示した。
【0036】
【実験例2−5 至適pH】
常法により、pHの相違する50mM酢酸緩衝液、燐酸緩衝液又は炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液中、40℃で60分間インキュベートする条件で試験したところ、図3又は図4に示すように、酵素M−11、酵素Q36とも、pH6.4乃至7.2付近に至適pHを示した。
【0037】
【実験例2−6 熱安定性】
常法により、50mM燐酸緩衝液(pH7.0)中で60分間インキュベートする条件で試験したところ、図5又は図6に示すように、酵素M−11、酵素Q36とも、35乃至40℃付近まで安定であった。
【0038】
【実験例2−7 pH安定性】
常法により、pHの相違する50mM酢酸緩衝液、燐酸緩衝液又は炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液中、25℃で16時間インキュベートする条件で試験したところ、図7又は図8に示すように、酵素M−11、酵素Q36とも、pH5.5乃至11.0付近まで安定であった。
【0039】
【実験例2−8 N末端アミノ酸配列】
常法により、アプライッド・バイオシステム製気相プロテイン・シーケンサ『470A型』を使用して分析したところ、酵素M−11は、N末端に配列表における配列番号7に示すアミノ酸配列を有していることが判明した。
【0040】
同様に分析したところ、酵素Q36は、N末端に配列表における配列番号8に示すアミノ酸配列を有していることが判明した。
【0041】
【実験例2−9 部分アミノ酸配列】
実験例1−1で得た精製酵素M−11を適量とり、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)に対して4℃で18時間透析後、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)を加えて酵素濃度を約1mg/mlとした。この溶液を約1mlとり、リジルエンドペプチダーゼを10μg加え、30℃で22時間インキュベートして酵素を部分加水分解した。加水分解物を、予め16%(v/v)水性アセトニトリルを含む0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸により平衡化させておいた資生堂製逆相高速液体クロマトグラフィー用カラム『カプセルパックC18』に負荷し、次いで、16%(v/v)から64%(v/v)に上昇するアセトニトリルの濃度勾配下、カラムに0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を0.9ml/分の流速で通液した。そして、通液開始から約28分後又は約40分後に溶出したペプチド断片(以下、それぞれ「ペプチド断片A」又は「ペプチド断片B」と云う。)を含む画分を別々に採取し、真空乾燥後、50%(v/v)水性アセトニトリルを含む0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸に溶解した。以後、実験例2−8と同様に分析したところ、ペプチド断片A及びBは、配列表における配列番号9及び10に示すアミノ酸配列を有していることが判明した
【0042】
別途、実験例1−2で得た精製酵素Q36を上記と同様にして部分加水分解し、予め24%(v/v)水性アセトニトリルを含む0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸により平衡化させておいた日本ミリポア・リミテッド製逆相高速液体クロマトグラフィー用カラム『マイクロボンダパックC18』に負荷し、24%(v/v)から44%(v/v)に上昇する水性アセトニトリルの濃度勾配下、カラムに0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸を0.9ml/分の流速で通液した。そして、通液開始から約22分後又は約40分後に溶出したペプチド断片(以下、それぞれ「ペプチド断片C」又は「ペプチド断片D」と云う。)を含む画分を採取し、真空乾燥後、50%(v/v)水性アセトニトリルを含む0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸に溶解した。以後、上記と同様に分析したところ、ペプチド断片C及びDは、配列表における配列番号11及び12に示すアミノ酸配列を有していることが判明した。
【0043】
以上のような理化学的性質を有する酵素は未だ知られておらず、新規物質であると判断される。なお、リゾビウム・スピーシーズM−11は岡山県岡山市の土壌から分離され、平成4年12月24日以降、茨城県つくば市東1丁目1番3号にある通商産業省、工業技術院、生命工学工業技術研究所、特許微生物寄託センターに寄託番号『FERM BP−4130』で寄託されている。一方、アルスロバクター・スピーシーズQ36は岡山県総社市の土壌から分離されたものであり、平成5年6月3日以降、同センターに寄託番号『FERM BP−4316』で寄託されている。同じ出願人による特願平5−349216号明細書には、酵素の性質・性状とともに、両微生物の菌学的性質が詳細に開示されている。
【0044】
そこで、本発明者が、実験例2−9で明らかにした酵素M−11の部分アミノ酸配列に基づき化学合成したオリゴヌクレオチドをプローブに使用し、リゾビウム・スピーシーズM−11の染色体DNAを鋭意検索した結果、配列表における配列番号3に示す塩基配列を有する2,316塩基対からなるDNA断片が得られた。そして、その塩基配列を解読したところ、酵素M−11は772個のアミノ酸からなる配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列を有していることが判明した。
【0045】
一方、酵素Q36の部分アミノ酸配列に基づき化学合成したオリゴヌクレオチドをプローブにし、アルスロバクター・スピーシーズQ36の染色体DNAを同様に検索したところ、配列表における配列番号4に示す塩基配列を有する2,325塩基対からなるDNA断片が得られた。この塩基配列を解読したところ、酵素Q36は775個のアミノ酸からなり、配列表における配列番号2に示すアミノ酸配列を有していることが判明した。
【0046】
配列表における配列番号1乃至4に示す塩基配列及びアミノ酸配列を解明するに到った一連の工程を要約すると、次のようになる。
(1) 供与体微生物の培養物から当該酵素を分離し、高度に精製した。精製酵素をプロテアーゼにより部分加水分解後、加水分解物から2種類のペプチド断片を単離し、そのアミノ酸配列を決定した。
(2) 別途、供与体微生物の菌体より染色体DNAを分離し、精製後、制限酵素により部分的に切断して約3,000乃至7,000塩基対からなるDNA断片を採取した。DNAリガーゼにより、このDNA断片を予め制限酵素で切断しておいたプラスミドベクターに連結し、組換えDNAを作製した。
(3) 大腸菌に組換えDNAを導入して形質転換体を作製し、前記部分アミノ酸配列に基づき化学合成したオリゴヌクレオチドをプローブとするコロニーハイブリダイゼーションにより当該酵素をコードするDNAを含む形質転換体を選択した。
(4) 形質転換体から組換えDNAを採取し、プライマーとともにアニーリング後、DNAポリメラーゼを作用させてプライマーを伸長し、得られた相補鎖DNAをジデオキシ・チェーン・ターミネータ法により分析して塩基配列を決定した。そして、その塩基配列から推定されるアミノ酸配列と前記部分アミノ酸配列とを比較し、その塩基配列が当該酵素をコードしていることを確認した。
【0047】
次の実験例3乃至6では、上記の工程(2)乃至(4)を具体的に説明するが、これら実施例で用いる手法自体は斯界において公知のものであり、例えば、ジェー・サムブルック等『モレキュラー・クローニング・ア・ラボラトリー・マニュアル』、第2版、1989年、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス発行などにも詳述されている。
【0048】
【実験例3 リゾビウム・スピーシーズM−11に由来するDNAを含む組換えDNAと形質転換体の調製】
【0049】
【実験例3−1 染色体DNAの調製】
リゾビウム・スピーシーズM−11をバクト・ニュートリエント・ブロス培地(pH7.0)に植菌し、27℃で24時間回転振盪培養した。遠心分離により培養物から菌体を分離し、TES緩衝液(pH8.0)に浮遊させ、リゾチームを0.05%(w/v)加えた後、37℃で30分間インキュベートした。処理物を−80℃で1時間凍結後、TSS緩衝液(pH9.0)を加えて60℃に加温し、TES緩衝液/フェノール混液を加え、氷冷後、遠心分離により上清を採取した。この上清に2倍容の冷エタノールを加え、沈澱した粗染色体DNAを採取し、SSC緩衝液(pH7.1)に溶解後、リボヌクレアーゼとプロテアーゼをそれぞれ7.5μg又は125μg加え、37℃で1時間インキュベートして反応させた。その後、反応物にクロロフォルム/イソアミルアルコール混液を加えて染色体DNAを抽出し、冷エタノールを加え、生成した染色体DNAを含む沈澱を採取した。このようにして得た精製染色体DNAを濃度約1mg/mlになるようにSSC緩衝液(pH7.1)に溶解し、溶液を−80℃で凍結した。
【0050】
【実験例3−2 組換えDNA pBMT7と形質転換体BMT7の調製】実験例3−1で得た精製染色体DNA溶液を約1mlとり、これに制限酵素Sau 3AIを約35単位加え、37℃で約20分間反応させて染色体DNAを部分切断した後、蔗糖密度勾配超遠心法により約3,000乃至7,000塩基対からなるDNA断片を採取した。別途、プラスミドベクターBluescript II SK(+)を1μgとり、常法により制限酵素Bam HIを作用させて完全に切断した後、上記で得たDNA断片10μgとT4 DNAリガーゼを2単位加え、4℃で一夜静置することによりDNA断片をベクター断片に連結した。そして、得られた組換えDNAに東洋紡績製コンピテントセル『Epicurian Coli XLI−Blue』を30μl加え、氷冷下に30分間静置後、42℃に加温し、SOCブロスを加えて37℃で1時間インキュベートすることにより、組換えDNAを大腸菌に導入した。
【0051】
次に、上記で得た形質転換体を5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトシド50μg/mlを含む寒天平板培地(pH7.0)に植菌し、37℃で18時間培養後、培地上にナイロン膜を載置し、培地上に形成された約4,400個のコロニーをナイロン膜に固定した。別途、常法により、配列表における配列番号9に示すアミノ酸配列における第17乃至21番目のPro−Glu−Trp−Glu−Lysで表される配列に基づき5′−CCNGARTGGGARAA−3′で表される塩基配列のプローブ1を化学合成し、同位体32Pで標識後、前記ナイロン膜上に固定した形質転換体のコロニーにハイブリダイズさせ、顕著な会合が認められた9種類の形質転換体を選択した。
【0052】
常法により、これら9種類の形質転換体から組換えDNAを採取し、配列表における配列番号10に示すアミノ酸配列における第16乃至20番目のThr−Glu−Phe−Trp−Aspで表される配列に基づき化学合成した5′−ACNGARTTYTGGGA−3′で表される塩基配列のプローブ2をイー・エム・サザーン『ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー』、第98巻、第503〜517頁(1975年)に記載されている方法に準じてハイブリダイズさせ、プローブ2と顕著な会合を示した組換えDNAを選択した。以上のようにして選択した組換えDNAと形質転換体を、それぞれ、『pBMT7』又は『BMT7』と命名した。
【0053】
上記で得た形質転換体BMT7をアンピシリン100μg/mlを含むL−ブロス培地(pH7.0)に植菌し、37℃で24時間回転振盪培養した。培養終了後、遠心分離により培養物から菌体を採取し、通常一般のアルカリ法により組換えDNAを菌体外に溶出させた。処理物を常法により精製し、分析したところ、組換えDNA pBMT7は約9,300塩基対からなり、図9に示す制限酵素地図で表される構造を有していた。図9に示すように、酵素M−11をコードする2,316塩基対からなるDNAは、制限酵素Pst Iによる切断部位付近の下流に位置していることが判明した。
【0054】
【実験例3−3 形質転換体による酵素の産生】
マルトース2.0%(w/v)、ペプトン0.5%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、燐酸水素二ナトリウム0.1%(w/v)、燐酸二水素カリウム0.1%(w/v)を含む液体培地をpH7.0に調整し、アンピシリンを50μg/ml加え、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、実験例3−2で得た形質転換体BMT7を植菌し、37℃で24時間回転振盪培養した。培養物を超音波処理して菌体を破砕し、遠心分離により不溶物を除去後、上清中の酵素活性を測定したところ、培養物1l当たりに換算して、約3,000単位の酵素が産生していた。
【0055】
別途、対照として、大腸菌XLI−Blue株及びリゾビウム・スピーシーズM−11をアンピシリン無含有の同じ液体培地に植菌し、リゾビウム・スピーシーズM−11の場合、培養温度を30℃に設定した以外は上記と同様に培養・処理した。処理物の活性を測定したところ、リゾビウム・スピーシーズM−11による酵素の産生は培養物1l当たり約1,500単位と、形質転換体BMT7と比較して有意に低いものであった。なお、宿主に使用した大腸菌XLI−Blue株は、当該酵素を全く産生しなかった。
【0056】
その後、形質転換体BMT7が産生した酵素を実験例1−1と同様に精製し、その性質・性状を調べたところ、組換え型酵素はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量値約76,000乃至87,000ダルトンを、また、等電点電気泳動で約3.6乃至4.6に等電点を示すなど、実験例2で得られた酵素M−11のものと同様の理化学的性質を有することが判明した。このことは、組換えDNA技術によっても当該酵素を製造でき、且つ、酵素の生産性も有意に向上することを示唆している。
【0057】
【実験例4 リゾビウム・スピーシーズM−11に由来する相補鎖DNAの調製とその塩基配列、アミノ酸配列の決定】
実験例3−2で得た組換えDNA pBMT7を、常法に従って、各種制限酵素で分解し、Bluescript II SK(+)にサブクローニングして、塩基配列決定用DNAとした。これら塩基配列決定用DNAを2μgとり、これに2M水酸化ナトリウム水溶液を加えて変性させた後、適量の冷エタノールを加え、生成したテンプレートDNAを含む沈澱を採取し、真空乾燥した。このテンプレートDNAに化学合成した5′−GTAAAACGACGGCCAGT−3′で表される塩基配列のプライマー1を50pmol/mlと、20mM塩化マグネシウムと50mM塩化ナトリウムを含む40mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を10μl加え、65℃で2分間インキュベートしてアニーリングした後、dATP、dGTP及びdTTPをそれぞれ7.5μM含む水溶液を2μlと、[α−32P]dCTP(2mCi/ml)を0.5μlと、0.1Mジチオスレイトールを1μlと、1.5単位/mlのT7 DNAポリメラーゼを2μl加え、25℃で5分間インキュベートすることによりプライマー1を5′末端から3′末端に向かって伸長させ、相補鎖DNAを生成させた。
【0058】
次に、上記で得た相補鎖DNAを含む反応物を四等分し、それぞれにddATP、ddCTP、ddGTP及びddTTPのいずれかを8μMと80μM dNTPを含む50mM塩化ナトリウム水溶液を2.5μl加え、37℃で5分間インキュベートして反応させ、20mM EDTA、0.05%(w/v)ブロムフェノールブルー及び0.05%(w/v)キシレンシアノールを含む95%(v/v)水性ホルムアミド溶液を4μl加えて反応を停止させた。反応物を沸騰水浴中で3分間加熱後、6%(w/v)ポリアクリルアミドゲル上にとり、約2,000Vの定電圧を印加しながら電気泳動してDNA断片を分離し、次いで、常法によりゲルを固定し、乾燥させた後、オートラジオグラフィーした。
【0059】
ラジオグラム上に分離したDNA断片を解析した結果、相補鎖DNAは配列表における配列番号5に示す2,936塩基対からなる塩基配列を含んでいることが判明した。この塩基配列から推定されるアミノ酸配列は配列表における配列番号5に併記したとおりであり、このアミノ酸配列と配列表における配列番号7、9又は10に示す酵素M−11のN末端アミノ酸配列、部分アミノ酸配列を比較したところ、配列番号7のN末端アミノ酸配列は配列表における配列番号5における第1乃至20番目の配列に、また、配列番号9又は10の部分アミノ酸配列は配列表における配列番号5における第486乃至506番目又は第606乃至626番目の配列に一致した。これは、酵素M−11が配列表における配列番号1に示すアミノ酸配列を有するものであり、リゾビウム・スピーシーズM−11においては、酵素M−11が配列表における配列番号3に示す塩基配列のDNAによりコードされていることを示している。
【0060】
【実験例5 アルスロバクター・スピーシーズQ36に由来するDNAを含む組換えDNAと形質転換体の調製】
【0061】
【実験例5−1 染色体DNAの調製】
実験例3−1と同様にしてアルスロバクター・スピーシーズQ36から染色体DNAを分離・精製し、濃度約1mg/mlになるようにSSC緩衝液(pH7.1)に溶解し、−80℃で凍結した。
【0062】
【実験例5−2 組換えDNA pBQT13と形質転換体BQT13の調製】
実験例5−1で得た精製染色体DNA溶液を実験例3−2と同様に部分切断した後、蔗糖密度勾配超遠心法により約3,000乃至6,000塩基対からなるDNA断片を採取した。その後、T4 DNAリガーゼを使用し、このDNA断片を実験例3−2と同様に制限酵素Bam HIによるベクターBluescript II SK(+)の消化物に連結し、得られた組換えDNAを大腸菌XLI−Blue株に導入した。得られた形質転換体を実験例3−2と同様に5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトシドを含む寒天平板培地で培養し、生成した約4,500個のコロニーをナイロン膜上に固定する一方、配列表における配列番号12に示すアミノ酸配列における第11乃至16番目のPhe−Asp−Val−Asp−Trp−Aspで表される配列に基づき5′−TTYGAYGTNGAYTGGGA−3′で表される塩基配列のプローブ3を化学合成し、同位体32Pで標識後、前記ナイロン膜上に固定した形質転換体のコロニーにハイブリダイズさせ、顕著な会合が認められた8種類の形質転換体を選択した。
【0063】
実験例3−2と同様にして、これら8種類の形質転換体から組換えDNAを採取し、配列表における配列番号11に示すアミノ酸配列における第16乃至20番目のThr−Glu−Phe−Trp−Aspで表される配列に基づき化学合成した5′−ACNGARTTYTGGGA−3′で表される塩基配列のプローブ4をハイブリダイズさせ、顕著な会合を示した組換えDNAを選択した。以上のようにして選択した組換えDNAと形質転換体を、それぞれ、『pBQT13』又は『BQT13』と命名した。
【0064】
その後、この形質転換体BQT13をアンピシリンを含むL−ブロス培地で実験例3−2と同様に培養し、培養物より採取した菌体から組換えDNAを溶出させ、精製し、分析したところ、組換えDNA pBQT13は約7,200塩基対からなり、図10に示す制限酵素地図で表される構造を有していた。図10に示すように、酵素Q36をコードする2,325塩基対からなるDNAは、制限酵素Xmn Iによる切断部位付近の下流に位置していることが判明した。
【0065】
【実験例5−3 形質転換体BQT13による酵素の産生】
マルトース2.0%(w/v)、ペプトン0.5%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、燐酸水素二ナトリウム0.1%(w/v)、燐酸二水素カリウム0.1%(w/v)を含む液体培地をpH7.0に調整し、アンピシリンを50μg/ml加え、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、実験例5−2で得た形質転換体BQT13を植菌し、37℃で24時間回転振盪培養した。培養物を超音波処理して菌体を破砕し、遠心分離により不溶物を除去後、上清中の酵素活性を測定したところ、培養物1l当たりに換算して、約2,450単位の酵素が産生していた。
【0066】
別途、対照として、大腸菌XLI−Blue株及びアルスロバクター・スピーシーズQ36をアンピシリン無含有の同じ組成の液体培地に植菌し、アルスロバクター・スピーシーズQ36の場合、培養温度を30℃に設定した以外は上記と同様に培養・処理した。処理物の活性を測定したところ、アルスロバクター・スピーシーズQ36による酵素の産生は培養物1l当たり約1,200単位と、形質転換体BQT13と比較して有意に低いものであった。なお、宿主に使用した大腸菌XLI−Blue株は、当該酵素を産生しなかった。
【0067】
その後、形質転換体BQT13が産生した酵素を実験例1−1と同様に精製し、その性質・性状を調べたところ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量約76,000乃至87,000ダルトンを、また、等電点電気泳動で約3.6乃至4.6に等電点を示すなど、実験例2で得られた酵素Q36のものと同様の理化学的性質を有することが判明した。このことは、組換えDNA技術によっても当該酵素を製造でき、且つ、酵素の生産性も有意に向上することを示唆している。
【0068】
【実験例6 アルスロバクター・スピーシーズQ36に由来する相補鎖DNAの調製とその塩基配列、アミノ酸配列の決定】
実験例5−2で得た組換えDNA pBQT13を実験例4と同様に処理してテンプレートDNAとし、これをプライマー1とともにアニーリング後、T7 DNAポリメラーゼを作用させてプライマー1を5′末端から3′末端に向かって伸長させ、相補鎖DNAを生成させた。実験例4と同様に、この相補鎖DNAにジデオキシ・チェーン・ターミネータ法を適用し、ラジオグラム上に分離したDNA断片を解析した結果、相補鎖DNAは配列表における配列番号6に示す3,073塩基対からなる塩基配列を含んでいることが判明した。この塩基配列から推定されるアミノ酸配列は配列表における配列番号6に併記したとおりであり、このアミノ酸配列と配列表における配列番号8、11又は12に示すN末端アミノ酸配列、部分アミノ酸配列を比較したところ、配列番号8のN末端アミノ酸配列は配列表における配列番号6における第1乃至20番目の配列に、また、配列番号11又は12の部分アミノ酸配列は配列表における配列番号6における第606乃至625番目又は第110乃至129番目の配列に一致した。これは、酵素Q36が配列表における配列番号2に示すアミノ酸配列を有するものであり、アルスロバクター・スピーシーズQ36においては、酵素Q36が配列表における配列番号4に示す塩基配列のDNAによりコードされていることを示している。
【0069】
以上説明したように、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する酵素は、本発明者が長年に亙る研究の一成果として見出されたものであり、従来公知の酵素には見られない独特の理化学的性質を具備している。この発明は、組換えDNA技術を応用することにより、この酵素を創製しようというものである。以下、実施例等を参照しながら、この発明の組換え型酵素とその製造方法並びに用途につき、具体的に説明する。
【0070】
この発明でいう組換え型酵素とは、組換えDNA技術により創製され、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する酵素全般を意味する。この発明の組換え型酵素は、通常、解明されたアミノ酸配列を有しており、その一例として、例えば、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列かそれに相同的なアミノ酸配列が挙げられる。配列表における配列番号1又は2のアミノ酸配列に相同的なアミノ酸配列を有する変異体は、所期の酵素作用を実質的に変えることなく、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列における構成アミノ酸の1個又は2個以上を他のアミノ酸で置換することにより得ることができる。なお、同じDNAであっても、それを導入する宿主や、そのDNAを含む形質転換体の培養に使用する栄養培地の成分・組成、培養温度・pHなどに依っては、宿主内酵素によるDNA発現後の修飾などにより、所期の酵素反応は保持しているものの、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列におけるN末端付近のアミノ酸が1個又は2個以上欠失したり、N末端に1個又は2個以上のアミノ酸が新たに付加した変異体の産生することがある。斯かる変異体も、それがグルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成するかぎり、当然、この発明の組換え型酵素に包含される。
【0071】
この発明による組換え型酵素は、特定のDNAを含む形質転換体の培養物から採取することができる。この発明で使用する形質転換体は、例えば、配列表における配列番号3又は4に示す塩基配列かそれに相同的な塩基配列又はそれらに相補的な塩基配列のDNAを適宜宿主に導入することにより得ることができる。なお、上記塩基配列は、遺伝子コードの縮重を利用して、コードするアミノ酸配列を変えることなく、塩基の1個又は2個以上を他の塩基で置き換えてもよい。また、DNAが宿主中で実際に当該酵素の産生を発現するために、当該酵素又はその相同変異体をコードする塩基配列における塩基の1個又は2個以上を他の塩基で適宜置換し得ることはいうまでもない。
【0072】
この発明で使用するDNAは、それが前述のような配列を有するかぎり、それが天然に由来するものか人為的に合成されたものであるかは問わない。天然の給源としては、例えば、リゾビウム・スピーシーズM−11(FERM BP−4130)、アルスロバクター・スピーシーズQ36(FERM BP−4316)、ブレビバクテリウム・ヘロボルム(ATCC11822)、フラボバクテリウム・アクアチレ(IFO3772)、ミクロコッカス・ルテウス(IFO3064)、ミクロコッカス・ロゼウス(ATCC186)、クルトバクテリウム・シトレウム(IFO15231)、マイコバクテリウム・スメグマチス(ATCC19420)及びテラバクター・ツメスセンス(IFO12960)を含むリゾビウム属、アルスロバクター属、ブレビバクテリウム属、フラボバクテリウム属、ミクロコッカス属、クルトバクテリウム属、マイコバクテリウム属、テラバクター属の微生物が挙げられ、これら微生物の菌体からはこの発明のDNAを含む遺伝子が得られる。すなわち、斯かる微生物を栄養培地に植菌し、好気的条件下で約1乃至3日間培養後、培養物から菌体を採取し、リゾチームやβ−グルカナーゼなどの細胞壁溶解酵素や超音波で処理することにより、当該DNAを含む遺伝子を菌体外に溶出させる。このとき、細胞壁溶解酵素にプロテアーゼなどの蛋白質加水分解酵素を併用したり、菌体を超音波処理する際、SDSなどの界面活性剤を共存させたり凍結融解してもよい。斯くして得られる処理物に、例えば、フェノール抽出、アルコール沈澱、遠心分離、プロテアーゼ処理、リボヌクレアーゼ処理などの斯界における通常一般の方法を適用すれば目的のDNAが得られる。一方、DNAを人為的に合成するには、例えば、配列表における配列番号3又は4に示す塩基配列に基づいて化学合成するか、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列をコードするDNAを自律複製可能な適宜ベクターに挿入して組換えDNAとし、これを適宜宿主に導入して得られる形質転換体を培養し、培養物から菌体を分離し、その菌体から当該DNAを含むプラスミドを採取すればよい。
【0073】
斯かるDNAは、通常、組換えDNAの形態で宿主に導入される。組換えDNAは、通常、DNAと自律複製可能なベクターを含んでなり、DNAが入手できれば、通常一般の組換えDNA技術により比較的容易に調製することができる。斯かるベクターの例としては、pBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、pUB110、pTZ4、pC194、pHV14、TRp7、YEp7、pBS7などのプラスミドベクターやλgt・λC、λgt・λB、ρ11、φ1、φ105などのファージベクターが挙げられ、このうち、この発明のDNAを大腸菌で発現させるにはpBR322、pUC18、Bluescript II SK(+)、λgt・λC及びλgt・λBが好適であり、一方、枯草菌で発現させるにはpUB110、pTZ4、pC194、ρ11、φ1及びφ105が好適である。pHV14、TRp7、YEp7及びpBS7は、組換えDNAを2種以上の宿主内で増殖させる場合に有用である。
【0074】
DNAを斯かるベクターに挿入するには、斯界において通常一般の方法が採用される。具体的には、先ず、DNAを含む遺伝子と自律複製可能なベクターとを制限酵素及び/又は超音波により切断し、次に、生成したDNA断片とベクター断片とを連結する。遺伝子及びベクターの切断にヌクレオチドに特異的に作用する制限酵素、とりわけ、II型の制限酵素、詳細には、Sau 3AI、EcoRI、Hind III、Bam HI、Sal I、Xba I、Sac I、Pst Iなどを使用すれば、DNA断片とベクター断片を連結するのが容易となる。DNA断片とベクター断片を連結するには、必要に応じて、両者をアニーリングした後、生体内又は生体外でDNAリガーゼを作用させればよい。斯くして得られる組換えDNAは、適宜宿主に導入して形質転換体とし、これを培養することにより無限に複製可能である。
【0075】
このようにして得られる組換えDNAは、大腸菌、枯草菌、放線菌、酵母を始めとする適宜の宿主微生物に導入することができる。宿主が大腸菌の場合には、宿主を組換えDNAとカルシウムイオンの存在下で培養すればよく、一方、宿主が枯草菌の場合には、コンピテントセル法やプロトプラスト法を適用すればよい。形質転換体をクローニングするには、コロニーハイブリダイゼーション法を適用するか、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖を含む栄養培地で培養し、該澱粉糖より末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成するものを選択すればよい。
【0076】
斯くして得られる形質転換体は、栄養培地で培養すると、菌体内外に当該酵素を産生する。栄養培地には、通常、炭素源、窒素源、ミネラル、さらには、必要に応じて、アミノ酸やビタミンなどの微量栄養素を補足した通常一般の液体培地が使用され、個々の炭素源としては、例えば、澱粉、澱粉加水分解物、グルコース、果糖、蔗糖などの糖質が、また、窒素源としては、例えば、アンモニア若しくはアンモニウム塩、尿素、硝酸塩、ペプトン、酵母エキス、脱脂大豆、コーンスティープリカー、肉エキスなどの含窒素無機乃至有機物が挙げられる。形質転換体を斯かる栄養培地に植菌し、栄養培地を温度25乃至65℃、pH2乃至8に保ちつつ、通気撹拌などによる好気的条件下で約1乃至6日間培養すれば、当該酵素を含む培養物が得られる。この培養物は酵素剤としてそのまま使用可能ではあるが、通常は使用に先立ち、必要に応じて、超音波や細胞壁溶解酵素により菌体を破砕した後、濾過、遠心分離などにより酵素を菌体又は菌体破砕物から分離し、精製する。精製には酵素を精製するための通常一般の方法が採用でき、例えば、菌体又は菌体破砕物を除去した培養物に濃縮、塩析、透析、分別沈澱、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気泳動、等電点電気泳動などの1種若しくは2種以上を適宜組合せて適用すればよい。
【0077】
前述のとおり、この発明による組換え型酵素は、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成するという、従来の酵素に見られない顕著な性質を有する。生成した非還元性糖質は温和で上品な甘味に加えて適度の粘度と保湿性を有し、そして、何よりも、分子中に還元性基を有しないので、着色や変質の懸念なく飲食物を甘味付けできるという大きな利点がある。当該組換え型酵素のこの性質を利用することにより、従来、還元性故に敬遠されがちであった種々の澱粉糖を、還元性を有しないか還元性が顕著に低下した、扱い易い、有用な糖質に変換できることとなる。
【0078】
斯かる変換方法につきさらに説明すると、この発明による組換え型酵素の基質には、通常、澱粉、又はアミロペクチン、アミロースなどの澱粉質を酸及び/又はアミラーゼによって部分的に加水分解して得られる還元性澱粉加水分解物が用いられる。斯かる澱粉加水分解物は斯界における通常一般の方法により得ることができ、通常、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなどのグルコース重合度3以上のマルトオリゴ糖の1種若しくは2種以上を含んでなる。アミラーゼ研究会編『ハンドブック・オブ・アミレーシーズ・アンド・リレイテッド・エンザイムズ』、1988年、パーガモン・プレス発行に記載されているα−アミラーゼ、マルトテトラオース生成アミラーゼ、マルトペンタオース生成アミラーゼ及びマルトヘキサオース生成アミラーゼは、この発明で使用する還元性澱粉糖の調製に特に有用であり、これらアミラーゼのいずれかを使用することにより、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖を豊富に含む澱粉糖混合物が容易且つ効率的に得られる。なお、このとき、必要に応じて、プルラナーゼやイソアミラーゼなどの澱粉枝切酵素を併用すれば、当該組換え型酵素の基質となり得る還元性澱粉糖の収量を上げることができる。
【0079】
この発明による変換方法においては、通常、基質として上記したような還元性澱粉糖の1種又は2種以上を含む水溶液にこの発明による組換え型酵素を共存せしめ、水溶液を所定の温度、pHに保ちつつ、所望量の非還元性糖質が生成するまで反応させる。反応は0.1%(w/w)程度の基質濃度下でも進行するが、この発明による変換方法を大規模に実施する場合には、より高濃度の2%(w/w)以上、望ましくは、5乃至50%(w/w)とするのがよい。反応時の温度とpHは組換え型酵素が失活することなく基質に効率的に作用するレベルに設定され、温度は55℃付近まで、望ましくは、約40乃至55℃に、また、pHは5乃至10、望ましくは、約6乃至8の範囲に設定される。組換え型酵素の量と反応時間は、反応の進行具合に依って適宜に設定する。斯かる反応によりグルコース重合度3以上の還元性澱粉糖の還元力は顕著に低下し、マルトペンタオースの場合、還元力はもとの約7%程度にまで低下する。
【0080】
この発明の変換方法により得られた反応物はそのまま使用可能であるが、通常、使用に先立ち精製する。すなわち、濾過・遠心分離などにより反応物から不溶物を除去し、活性炭により脱色した後、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮してシロップ状物とする。用途に依っては、このシロップ状物を真空乾燥、噴霧乾燥などにより固状物としてもよい。実質的に非還元性糖質のみからなる製品を得るには、上記シロップ状物にイオン交換樹脂、活性炭、シリカゲルなどによる糖質を分離するための種々のクロマトグラフィー、アルコール、アセトンなどによる分別沈澱、膜濾過、酵母による発酵、アルカリによる還元性糖質の分解除去などの1種若しくは2種以上を適用する。大量の反応物を処理するには、例えば、特開昭58−23799号公報や特開昭58−72598号公報に開示されている強酸性カチオン交換樹脂を使用する固定床方式、移動床方式又は擬似移動床方式のイオン交換クロマトグラフィーが有用であり、これらの方法によるときには、非還元性糖質の含量が高い製品を大量且つ効率的に得ることができる。
【0081】
斯くして得られる非還元性糖質は、糖質甘味剤の還元性を嫌う種々の物品に広範な用途を有し、例えば、食品、化粧品、医薬品の甘味剤、呈味改善剤、品質改善剤、安定剤、賦形剤として極めて有用である。加えて、当該非還元性糖質は、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、あるいは、特開平7−213283号公報(特願平5−340343号明細書に開示されているトレハロース遊離酵素を作用させると、ほぼ定量的にトレハロースを与えることから、従来、大量入手が難しかったトレハロースを製造するための中間体としても有用である。
【0082】
以下、2〜3の実施例により、この発明による組換え型酵素の製造方法と還元性澱粉糖の変換方法を具体的に説明する。
【0083】
【実施例A−1 組換え型酵素の製造】
500ml容三角フラスコにマルトース2.0%(w/v)、ペプトン0.5%(w/v)、酵母エキス0.1%(w/v)、燐酸水素二ナトリウム0.1%(w/v)、燐酸二水素カリウム0.1%(w/v)を含む液体培地(pH7.0)を100mlずつとり、アンピシリンを50μg/ml加えた後、120℃で20分間オートクレーブして加熱滅菌した。冷却後、三角フラスコ内の液体培地に実験例3−2の方法で得た形質転換体BMT7を植菌し、回転振盪下、27℃で24時間種培養した。別途、上記と同組成の液体培地を18lとり、アンピシリンを50μg/ml加え、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、上記で得た種培養液を1%(v/v)接種し、37℃で24時間通気撹拌培養した。培養物を超音波処理して菌体を破砕し、遠心分離により不溶物を除去後、上清中の酵素活性を測定したところ、培養物1l当たりに換算して、約3,000単位の酵素が産生していた。この上清を実験例1−1の方法により精製したところ、比活性約200単位/mg蛋白質の組換え型酵素を1ml当たり約135単位含む水溶液が約50ml得られた。
【0084】
【実施例A−2 組換え型酵素の製造】
実験例5−2の方法により得た形質転換体BQT13を実施例A−1と同様に培養し、培養物を超音波処理して菌体を破砕し、遠心分離により不溶物を除去後、上清中の酵素活性を測定したところ、培養物1l当たりに換算して、約2,450単位の酵素が産生していた。この上清を実施例1−1の方法により精製したところ、比活性約200単位/mg蛋白質の組換え型酵素を1ml当たり約120単位含む水溶液が約45ml得られた。
【0085】
【実施例B−1 組換え型酵素による澱粉加水分解物の変換】
馬鈴薯澱粉を濃度6%(w/w)になるよう水中に懸濁し、120℃で10分間オートクレーブして糊化した。糊化液を50℃に急冷し、pHを約4.5に調整後、林原生物化学研究所製イソアミラーゼ剤を澱粉固形分1g当たり2,500単位加え、50℃で20時間反応させた。反応物をpH6.0に調整し、120℃で10分間オートクレーブして酵素を失活させた後、45℃に急冷し、ノボ・ノルディスク・インダストリー製α−アミラーゼ剤『ターマミル60L』を澱粉固形分1g当たり150単位加え、45℃で24時間反応させてマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースなどのグルコース重合度3以上の還元性澱粉糖を含む反応物を得た。この反応物を120℃で20分間オートクレーブして酵素を失活させ、45℃まで急冷後、実施例A−1で得た組換え型酵素を澱粉糖固形分1g当たり1単位加え、45℃で96時間反応させた。反応物を96℃で10分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、濾過後、常法にしたがって濾液を活性炭により脱色し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮して濃度約70%(w/w)のシロップ状物を澱粉固形分当たり約91%の収率で得た。
【0086】
実験例2−1の方法によりこのシロップ状物を分析したところ、DE値は18.7、主成分として、固形分当たりα−グルコシルトレハロースを8.4%、α−マルトシルトレハロースを5.6%、α−マルトリオシルトレハロースを37.9%含み、前記還元性糖質の殆どが対応する非還元性糖質に変換されていた。温和で上品な甘味に加えて適度の粘性と保湿性を有する本品は、食品、化粧品、医薬品の甘味剤、呈味改善剤、品質改善剤、安定剤、賦形剤として有用である。また、本品は非還元性糖質の含量が高いので、トレハロースを製造するための中間体としても有用である。
【0087】
【実施例B−2 組換え型酵素による澱粉加水分解物の変換】
トウモロコシ澱粉を33%(w/w)になるよう水中に懸濁し、炭酸カルシウムを0.1%(w/w)加えた。懸濁液にノボ・ノルディスク・インダストリー製α−アミラーゼ剤『ターマミル60L』を澱粉固形分当たり0.2%加え、95℃で15分間反応させて澱粉を液化した。液化物を120℃で10分間オートクレーブして酵素を失活させ、55℃に急冷後、特開昭63−240784号公報に開示されているシュードモナス・スツッツェリ由来のマルトテトラオース生成アミラーゼを澱粉固形分1g当たり5単位加え、55℃で6時間反応させた。その後、反応物に上田化学製α−アミラーゼ剤『α−アミラーゼ2A』を澱粉固形分1g当たり30単位加え、65℃で4時間反応させてマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースなどのグルコース重合度3以上の還元性澱粉糖を固形分当たり約50%含む反応物を得た。この反応物を120℃で10分間オートクレーブして酵素を失活させ、45℃に急冷後、pH6.5に調整し、実施例A−1の方法で得た組換え型酵素を澱粉糖固形分1g当たり2単位加え、45℃で64時間反応させた。反応物を95℃で10分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、濾過後、常法にしたがって活性炭により脱色し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮して濃度約70%(w/w)のシロップ状物を澱粉固形分当たり約90%の収量で得た。
【0088】
実験例2−1の方法によりこのシロップ状物を分析したところ、DE値は10.5、主成分として、固形分当たりα−グルコシルトレハロースを3.8%、α−マルトシルトレハロースを43.8%、α−マルトリオシルトレハロースを1.2%含み、前記還元性澱粉糖の殆どが対応する非還元性糖質に変換されていた。温和で上品な甘味に加えて適度の粘性と保湿性を有する本品は、食品、化粧品、医薬品の甘味剤、呈味改善剤、品質改善剤、安定剤、賦形剤として有用である。また、本品は非還元性糖質の含量が高いので、トレハロースを製造するための中間体としても有用である。
【0089】
【実施例B−3 組換え型酵素によるマルトペンタオースの変換】
林原生物化学研究所製高純度マルトペンタオースを20%(w/w)になるよう水中に溶解し、pH6.5に調整後、実施例A−1の方法で得た組換え型酵素をマルトペンタオース1g当たり1単位加え、45℃で48時間反応させた。反応物を95℃で10分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、濾過し、濃縮後、実験例2−1の方法により分析したところ、マルトペンタオースの約92%がα−マルトトリオシルトレハロースに変換されていた。
【0090】
別途、内径5.4cm、長さ5mのジャケット付きステンレス製カラム4本に東京有機化学工業製強酸性カチオン交換樹脂『XT−1016(Na型)』を 均一に充填し、カラムを直列に連結して全長を20mとした。カラム内温度を55℃に保ちつつ上記反応物を樹脂に対して約5%(v/v)の割合で負荷し、次いで、カラムに55℃の温水をSV0.13の流速で通液して糖質成分を溶出させた。溶出液の糖組成を分析し、当該非還元性糖質の含量が高い画分を採取し、これを濃縮し、真空乾燥し、破砕して固状物を固形分当たり約55%の収量で得た。
【0091】
実験例2−1の方法により分析したところ、この固状物のDE値は約0.2未満であり、固形分当たりα−マルトトリオシルトレハロースを99.0%含んでいた。吸湿性低く、極めて低い還元性とかすかな甘味を有する本品は、食品、化粧品、医薬品の甘味剤、呈味改善剤、品質改善剤、安定剤、賦形剤として有用である。また、本品は非還元性糖質の含量が高いので、トレハロースを製造するための中間体としても有用である。
【0092】
【実施例B−4 組換え型酵素による澱粉加水分解物の変換】
松谷化学工業製澱粉加水分解物『パインデックス#4』を40%(w/w)となるよう水中に溶解し、溶液を45℃、pH6.5に調整後、実施例A−1の方法で得た組換え型酵素を澱粉加水分解物1g当たり1単位加えて96時間反応させ、末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を含む反応物を得た。次いで、この反応物を100℃で10分間加熱して酵素を失活させ、濃度約20%(w/w)まで濃縮し、55℃に冷却後、pH4.5に調整してナガセ生化学工業製グルコアミラーゼ剤『グルコチーム』を糖質固形分1g当たり10単位加え、40時間反応させた。反応物を100℃で10分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、濾過後、常法にしたがって活性炭により脱色し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮してトレハロースを固形分当たり約29.7%含む濃度約60%(w/w)のシロップ状物を得た。
【0093】
このシロップ状物を強酸性カチオン交換樹脂としてオルガノ製『CG6000(Na型)』を使用した以外実施例B−3と同様に分画し、トレハロースを固形分当たり約90%含む画分を採取した。この画分を濃度約75%(w/w)に濃縮後、助晶罐にとり、種晶としてトレハロース含水結晶を糖質固形分当たり約2%加え、緩やかに撹拌しながら助晶して結晶化度約45%のマスキットを得た。このマスキットを約150kg/cmの圧力下、噴霧乾燥塔の上部に設けた 噴霧ノズルより噴霧乾燥塔下方に向かって噴霧する一方、約85℃の温風を噴霧乾燥塔の上部から下方に向かって送風しつつ、噴霧乾燥塔の底部に設けたベルトコンベア上に蓄積した結晶性粉状物を噴霧乾燥塔外に徐々に搬出した。その後、粉状物を熟成塔に移し、約40℃の温風を送風しながら10時間熟成して結晶化と乾燥を完了した。
【0094】
吸湿性なく、温和で上品な甘味を有する本品は、食品、化粧品、医薬品、飼料の甘味剤、呈味改善剤、品質改善剤、安定剤、賦形剤として有用である。
【0095】
【実施例B−5 組換え型酵素による澱粉加水分解物の変換】
タピオカ澱粉を34%(w/w)になるように水中に懸濁し、炭酸カルシウムを0.1%(w/w)加えた。懸濁液にノボ・ノルディスク・インダストリー製α−アミラーゼ剤『ターマミル60L』を澱粉固形分当たり0.2%加え、95℃で15分間反応させて澱粉を液化した。液化物を120℃で10分間オートクレーブして酵素を失活させ、55℃に急冷し、pH5.2に調整後、上田化学製α−アミラーゼ剤『α−アミラーゼ2A』と林原生物化学研究所製イソアミラーゼ剤を澱粉固形分1g当たりそれぞれ10単位又は500単位加え、55℃で20時間反応させてマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオースなどのグルコース重合度3以上の還元性澱粉糖を固形分当たり約60%含むDE約29の反応物を得た。この反応物を120℃で10分間オートクレーブして酵素を失活させ、45℃に急冷し、pH6.5に調整後、実施例A−2の方法で得た組換え型酵素を澱粉糖固形分1g当たり2単位加え、45℃で64時間反応させた。反応物を95℃で10分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、濾過後、常法にしたがって活性炭により脱色し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮して濃度約70%(w/w)のシロップ状物を澱粉固形分当たり約90%の収量で得た。
【0096】
実験例2−1の方法によりこのシロップ状物を分析したところ、DE値は15.8、主成分として、固形分当たりα−グルコシルトレハロースを5.8%、α−マルトシルトレハロースを8.5%、α−マルトトリオシルトレハロースを13.1%、α−マルトテトラオシルトレハロースを18.9%、α−マルトペンタオシルトレハロースを3.6%含み、前記還元性澱粉糖の殆どが対応する非還元性糖質に変換されていた。温和で上品な甘味に加えて適度の粘性と保湿性を有する本品は、食品、化粧品、医薬品の甘味剤、呈味改善剤、品質改善剤、安定剤、賦形剤として有用である。本品は非還元性糖質の含量が高いので、トレハロースを製造するための中間体としても有用である。
【0097】
【実施例B−6 組換え型酵素による澱粉加水分解部の変換】
実施例B−2と同様に液化トウモロコシ澱粉にマルトテトラオース生成アミラーゼとα−アミラーゼを逐次反応させ、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースなどのグルコース重合度3以上の還元性澱粉糖を固形分当たり約50%含む反応物を得た。この反応物を120℃で10分間オートクレーブして酵素を失活させ、45℃に急冷後、pH6.5に調整し、実施例A−2の方法で得た組換え型酵素を澱粉糖固形分1g当たり2単位加え、45℃で64時間反応させた。反応物を95℃で10分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、濾過後、常法にしたがって活性炭により脱色し、イオン交換樹脂により脱塩・精製し、濃縮して濃度約70%(w/w)のシロップ状物を澱粉固形分当たり約90%の収量で得た。
【0098】
実験例2−1の方法によりこのシロップ状物を分析したところ、DE値は10.3、主成分として、固形分当たりα−グルコシルトレハロースを3.6%、α−マルトシルトレハロースを44.0%、α−マルトリオシルトレハロースを1.0%含み、前記還元性澱粉糖の殆どが対応する非還元性糖質に変換されていた。温和で上品な甘味に加えて適度の粘性と保湿性を有する本品は、食品、化粧品、医薬品の甘味剤、呈味改善剤、品質改善剤、安定剤、賦形剤として有用である。また、本品は非還元性糖質の含量が高いので、トレハロースを製造するための中間体としても有用である。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成する、従来未知の全く新規な酵素の発見に基づくものである。この発明は、組換えDNA技術により斯かる酵素を大規模且つ効率的に生産する道を拓くものである。この発明による組換え型酵素を使用する変換方法により、還元性澱粉糖は効率的に対応する非還元性糖質に変換され、その生成した非還元性糖質は温和で上品な甘味に加えて適度の粘性と保湿性を有し、しかも、分子中に還元性基を有しないので、着色や変質の懸念なく飲食物を甘味付けできる実益がある。加えて、この発明による組換え型酵素は全アミノ酸配列までが明らかにされた酵素であり、飲食物等への配合使用を前提とするトレハロースや末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質の製造に安心して使用し得るものである。
【0100】
この発明は斯くも顕著な作用効果を奏する意義のある発明であり、斯界に貢献すること誠に多大な発明であると言える。
【0101】
【配列表】
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【0102】
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【0103】
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【0104】
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【0105】
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【0106】
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【0107】
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【0108】
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【0109】
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【0110】
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【0111】
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【0112】
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【図面の簡単な説明】
【図1】酵素M−11の至適温度を示す図である。
【図2】酵素Q36の至適温度を示す図である。
【図3】酵素M−11の至適pHを示す図である。
【図4】酵素Q36の至適pHを示す図である。
【図5】酵素M−11の熱安定性を示す図である。
【図6】酵素Q36の熱安定性を示す図である。
【図7】酵素M−11のpH安定性を示す図である。
【図8】酵素Q36のpH安定性を示す図である。
【図9】この発明による組換えDNAであるpBMT7の制限酵素地図である。なお、図中、太線表示部は、酵素をコードするDNAを示す。
【図10】この発明による組換えDNAであるpBQT13の制限酵素地図である。なお、図中、太線表示部は、酵素をコードするDNAを示す。

Claims (25)

  1. グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成し、かつ、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列か、配列表における配列番号1又は2に示すアミノ酸配列において、1個又は2個以上のアミノ酸が置換、欠失、若しくは付加したアミノ酸配列を有する組換え酵素をコードするDNAと自律複製可能なベクターを含む組換えDNAを適宜宿主に導入してなる形質転換体を培養し、培養物から組換え型酵素を採取する組換え型酵素の製造方法。
  2. DNAが、配列表における配列番号3又は4に示す塩基配列か、配列表における配列番号3又は4の塩基配列において、コードする酵素の酵素活性を実質的に変えることなく、1個又は2個以上の塩基が置換、欠失、若しくは付加した塩基配列、又はそれらに相補的な塩基配列を有する請求項に記載の組換え型酵素の製造方法。
  3. DNAが配列表における配列番号5又は6に示す塩基配列を有する請求項1又は2に記載の組換え型酵素の製造方法。
  4. DNAがリゾビウム属又はアルスロバクター属の微生物に由来する請求項1乃至3のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法。
  5. 宿主が大腸菌である請求項1乃至4のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法。
  6. 自律複製可能なベクターがプラスミドベクターBluescript II SK(+)である請求項1乃至5のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法。
  7. 形質転換体を炭素源及び窒素源を含むpH2乃至8の液体培地に植菌し、温度25乃至65℃で1乃至6日間培養する請求項1乃至6のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法。
  8. 培養物中の組換え型酵素を遠心分離、濾過、濃縮、塩析、透析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル電気泳動及び/又は等電点電気泳動により採取する請求項1乃至7のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法。
  9. グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖に請求項1乃至8のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法によって得られる組換え型酵素を作用させて該澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成させる工程を含んでなる還元性澱粉糖の変換方法。
  10. 還元性澱粉糖が澱粉又は澱粉質を酸及び/又はアミラーゼにより加水分解して得られたものである請求項に記載の還元性澱粉糖の変換方法。
  11. 還元性澱粉糖がマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース及び/又はマルトヘプタオースである請求項9又は10に記載の還元性澱粉糖の変換方法。
  12. 還元性澱粉糖の濃度が50%(w/w)以下の水溶液中に組換え酵素を共存せしめ、温度40乃至55℃、pH5乃至10で作用させる請求項9乃至11のいずれかに記載の還元性澱粉糖の変換方法。
  13. 非還元性糖質が、α−グルコシルトレハロース、α−マルトシルトレハロース、α−マルトトリオシルトレハロース、α−マルトテトラオシルトレハロース又はα−マルトペンタオシルトレハロースである請求項9乃至12のいずれかに記載の還元性澱粉糖の変換方法。
  14. グルコース重合度3以上の還元性澱粉糖に請求項1乃至8のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法によって得られる組換え型酵素を作用させて、該澱粉糖から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質を生成させる工程を含んでなる非還元性糖質の製造方法。
  15. 還元性澱粉糖が澱粉又は澱粉質を酸及び/又はアミラーゼにより加水分解して得られたものである請求項14に記載の非還元性糖質の製造方法。
  16. 還元性澱粉糖がマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース及び/又はマルトヘプタオースである請求項14又は15に記載の非還元性糖質の製造方法。
  17. 還元性澱粉糖の濃度が50%(w/w)以下の水溶液中に組換え酵素を共存せしめ、温度40乃至55℃、pH5乃至10で作用させることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の非還元性糖質の製造方法。
  18. 非還元性糖質が、α−グルコシルトレハロース、α−マルトシルトレハロース、α−マルトトリオシルトレハロース、α−マルトテトラオシルトレハロース又はα−マルトペンタオシルトレハロースである請求項14乃至17のいずれかに記載の非還元性糖質の製造方法。
  19. 請求項1乃至8のいずれかに記載の組換え型酵素の製造方法によって得られる組換え型酵素と、グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ又はトレハロース遊離酵素とを組み合わせて用いることを特徴とするトレハロースの製造方法。
  20. グルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ又はトレハロース遊離酵素を、末端にトレハロース構造を有するグルコース重合度3以上の非還元性糖質に作用させることを特徴とする請求項19に記載のトレハロースの製造方法。
  21. 澱粉質又は還元性澱粉糖を用いることを特徴とする請求項19又は20に記載のトレハロースの製造方法。
  22. 還元性澱粉糖が、酸及び/又は酵素によって加水分解して得られるものである請求項21に記載のトレハロースの製造方法。
  23. 酵素が、澱粉枝切酵素であることを特徴とする請求項22に記載のトレハロースの製造方法。
  24. 澱粉枝切酵素が、プルラナーゼ又はイソアミラーゼであることを特徴とする請求項23に記載のトレハロースの製造方法。
  25. 還元性澱粉糖が、グルコース重合度3以上のマルトオリゴ糖の1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項21又は22に記載のトレハロースの製造方法。
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