JP3436215B2 - 樹脂ルーフ取付構造 - Google Patents

樹脂ルーフ取付構造

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JP3436215B2 JP33339399A JP33339399A JP3436215B2 JP 3436215 B2 JP3436215 B2 JP 3436215B2 JP 33339399 A JP33339399 A JP 33339399A JP 33339399 A JP33339399 A JP 33339399A JP 3436215 B2 JP3436215 B2 JP 3436215B2
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resin roof
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Structural Engineering (AREA)
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  • Connection Of Plates (AREA)
  • Vehicle Interior And Exterior Ornaments, Soundproofing, And Insulation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂ルーフを車体
へ取り付ける樹脂ルーフ取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の樹脂ルーフ取付構造としては、例
えば実開昭61−117774号公報に記載されたもの
がある。この従来例では樹脂ルーフ内側に設けたリブを
鋼板製の車体フレームにピンを介して結合する構造とな
っていた。このため特に外気が低温時の熱変形時に、樹
脂ルーフのリブ端末の剛性急変部が局部変形したり、ル
ーフ端末部でルーフの収縮による引き込みを招き、外観
品質を損なうという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、局部変形や
端末のずれを抑制し、外観品質の低下を抑制することの
できる樹脂ルーフ取付構造の提供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ルー
フ本体の外縁に車体下方側へ指向してルーフ本体の熱変
形時に車体内側方向への変位を許容する変形許容壁を備
えると共に該変形許容壁の下部に交叉して指向し取付穴
を有する結合フランジ部を備え熱可塑性樹脂で形成され
た樹脂ルーフパネルと、金属製の車体本体のルーフ部の
外縁部に備えられ前記結合フランジ部の面を合わせるよ
うに取り付ける固定フランジ部と、前記結合フランジ部
の取付穴を貫通し前記固定フランジ部に前記結合フラン
ジ部を締結する締結具と、前記変形許容壁の変位力で前
記結合フランジ部が前記固定フランジ部及び締結具に対
し移動することを規制する規制手段と、を備え、前記規
制手段を、前記変形許容壁の下部を前記ルーフ部の外縁
部側で支え前記変形許容壁の変位に連れて該変形許容壁
の下部が移動することを規制する支持手段で構成したこ
とを特徴とする
【0005】
【0006】
【0007】請求項2の発明は、請求項1記載の樹脂ル
ーフ取付構造であって、前記支持手段は、前記ルーフ部
の外縁部と前記変形許容壁との間に該変形許容壁の下部
を前記ルーフ部の外縁部に対して支える支持具を備えた
ことを特徴とする。
【0008】請求項3の発明は、請求項2記載の樹脂ル
ーフ取付構造であって、前記支持具は、前記固定フラン
ジ部に対して前記結合フランジ部を反移動方向に付勢可
能な弾性を備えたことを特徴とする。
【0009】請求項4の発明は、請求項3記載の樹脂ル
ーフ取付構造であって、前記支持具は、弾性を有する断
面U字状のU状部を備え、該U状部が前記ルーフ部の外
縁部と変形許容壁の下部との間に介設された板ばねであ
ることを特徴とする。
【0010】請求項5の発明は、請求項4記載の樹脂ル
ーフ取付構造であって、前記板ばねは、下部に固定板部
を一体に有し、該固定板部が前記締結具により前記固定
フランジ部と結合フランジ部との間に共締めされたこと
を特徴とする。
【0011】請求項6の発明は、請求項5記載の樹脂ル
ーフ取付構造であって、前記板ばねは、前記U状部の内
側から前記固定板部の下面側に渡る範囲で同外側から同
上面側に渡る範囲よりも線膨張係数が相対的に小さくな
るように多層構造に形成したことを特徴とする。
【0012】請求項7の発明は、請求項4〜6の何れか
に記載の樹脂ルーフ取付構造であって、前記板ばねは、
前記ルーフ部の角部を結ぶ対角線寄りに位置する側とそ
の反対側とに2分したとき前者の一方側のばね反力が後
者の他方側のばね反力よりも相対的に高くなるようにば
ね特性が設定されたことを特徴とする。
【0013】請求項8の発明は、請求項7記載の樹脂ル
ーフ取付構造であって、前記板ばねは、前記一方側にビ
ードを設けて前記ばね特性を設定したことを特徴とす
る。
【0014】請求項9の発明は、請求項7記載の樹脂ル
ーフ取付構造であって、前記板ばねは、前記他方側にス
リットを設けて前記ばね特性を設定したことを特徴とす
る。
【0015】請求項10の発明は、請求項1記載の樹脂
ルーフ取付構造であって、前記支持手段は、前記ルーフ
部の外縁部に設けられて前記変形許容壁の下部を近接又
は当接させる当接部及び該当接部上部側で前記変形許容
壁の変位を許容する空間を形成する外縁部の逃げ部を備
えたことを特徴とする。
【0016】請求項11の発明は、請求項10記載の樹
脂ルーフ取付構造であって、前記当接部及び逃げ部は、
前記ルーフの外縁部の湾曲受部であり、前記変形許容壁
の下部に、前記湾曲受部に向かって湾曲突出する湾曲当
部を備えたことを特徴とする。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】請求項12の発明は、請求項1〜11の何
れかに記載の樹脂ルーフ取付構造であって、前記規制手
段は、前記ルーフ部の角部に配置されていることを特徴
とする。
【0021】請求項13の発明は、請求項1〜12の何
れかに記載の樹脂ルーフ取付構造であって、前記規制手
段は、前記ルーフ部の車体前後方向前後部の少なくとも
一方に配置されたことを特徴とする。
【0022】
【0023】
【発明の効果】請求項1の発明では、樹脂ルーフパネル
を車体本体の固定フランジ部に結合フランジ部を面合わ
せで取付け、結合フランジ部の取付穴を貫通する締結具
によって固定フランジ部に結合フランジ部を締結するた
め、樹脂ルーフパネルに剛性の急変する部分がなくな
り、熱変形時の局部変形を抑制することができる。樹脂
ルーフパネルの変形許容壁が車体内側方向への変位を許
容することによってルーフ本体の上下方向の変形である
面外変形を行わせて吸収することができ、この変形許容
壁の変位力で結合フランジ部が固定フランジ部及び締結
具に対し移動しようとするときには規制手段によってこ
れを規制し、ルーフ本体の面に沿った方向の面内変形を
行わせることができる。かかるルーフ本体の面外変形、
面内変形等で熱変形を吸収することができ、熱変形が戻
ったときにも残留変形を抑制することができる。また、
結合フランジ部の前記移動の規制により、樹脂ルーフパ
ネルが熱変形したときにもルーフ本体の収縮等による固
定フランジ部に対する結合フランジ部のずれを抑制し、
外観品質の低下を防止することができる
【0024】
【0025】しかも、前記熱変形時に変形許容壁の下部
規制手段としての支持手段によってルーフ部の外縁部
側で支え、変形許容壁の上部の変位につれて同下部が移
動するのを規制することができ、変形許容壁の車体内側
方向への変位を許容しながら結合フランジ部の固定フラ
ンジ部に対する移動によるずれをより確実に抑制するこ
とができる。
【0026】請求項2の発明では、請求項1の発明の効
果に加え、ルーフ本体の熱変形時に変形許容壁の車体内
側方向への変位を許容しながら支持具によって変形許容
壁の下部をルーフ部の外縁部に対して支えることがで
き、結合フランジ部の固定フランジ部に対する移動によ
るずれをより確実に抑制することができる。
【0027】請求項3の発明では、請求項2の発明の効
果に加え、支持具によって変形許容壁の下部をルーフ部
の外縁部に対して弾性的に支えることができるため、結
合フランジ部の固定フランジ部に対する移動によるずれ
を確実に抑制しながら変形許容壁の車体内側方向への変
位を確実に許容することができる。
【0028】請求項4の発明では、請求項3の発明の効
果に加え、板ばねのU状部によって変形許容壁の下部を
ルーフ部の外縁部に対して弾性的に支えることができ、
結合フランジ部の固定フランジ部に対する移動によるず
れをより確実に抑制しながら変形許容壁の車体内側方向
への変位をより確実に許容することができる。
【0029】請求項5の発明では、請求項4の発明の効
果に加え、板ばねの固定板部を締結具により固定フラン
ジ部と結合フランジ部との間に共締めすることができ、
板ばねの固定を容易に行うことができる。
【0030】請求項6の発明では、請求項5の発明の効
果に加え、板ばねはU状部の内側から固定板部の下面側
に渡る範囲で、同外側から同上面側に渡る範囲よりも膨
張係数が相対的に小さくなるように多層構造に形成され
ているため、低温時にはバイメタル効果でU状部が変形
許容壁側に変位し、変形許容壁の下部を押し戻す働きを
し、変形許容壁の移動を規制することができる。又、高
温時にはU状部の内側より外側の伸び量が大きく、U状
部がその曲率半径を小さくするように変形し、変形許容
壁の下部を押し戻す働きをする。従って、ルーフ本体の
熱変形時に結合フランジ部の固定フランジ部に対する移
動によるずれを確実に規制することができる。
【0031】請求項7の発明では、請求項4〜6の何れ
かの発明の効果に加え、ルーフ部の角部を結ぶ対角線方
向において、樹脂ルーフパネルは熱負荷による変形量が
大きくなる反面、相対キャンバも小さくルーフ本体の面
外変形での熱負荷変形許容割合が小さくなる。このため
熱変形時に結合フランジ部の移動が大きくなろうとする
が、板ばねの前記対角線寄りに位置する側のばね反力を
反対側よりも相対的に高くすることによって、該部分で
の変形許容壁の押し戻し力を増大させ、熱変形を樹脂ル
ーフパネルのルーフ本体の面内力として拡散することが
できる。従って、結合フランジ部の固定フランジ部に対
する移動によるずれをより確実に規制することができ
る。
【0032】請求項8の発明では、請求項7の発明の効
果に加え、ビードによりばね特性を設定することによ
り、板ばねを2分したときのばね反力の設定を容易に行
うことができる。
【0033】請求項9の発明では、請求項7の発明の効
果に加え、板ばねを2分したときのばね反力の設定をス
リットによって容易に行うことができる。
【0034】請求項10の発明では、請求項1の発明の
効果に加え、熱変形時に変形許容壁の上部側がルーフ部
の外縁部の逃げ部によって形成された空間によって車体
内側方向への変位を許容することができる。又、変形許
容壁の下部側はルーフ部の外縁部に設けられた当接部に
当接することによって、その移動が規制され、結合フラ
ンジ部の固定フランジ部に対する移動によるずれを確実
に規制することができる。
【0035】請求項11の発明では、請求項10の発明
の効果に加え、熱変形時には変形許容壁の下部に備えら
れた湾曲当部がルーフの外縁部の湾曲受部に当接するこ
とによって、変形許容壁の上部側の車体内側方向への変
位を許容すると共に、下部の移動を規制し、結合フラン
ジ部の固定フランジ部に対する移動によるずれを確実に
規制することができる。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】請求項12の発明では、請求項1〜11
何れかの発明の効果に加え、規制手段をルーフの角部に
配置することによって、樹脂ルーフパネルの剛性が高く
なる部分において、熱変形をルーフ本体の面外変形や変
形許容壁の車体内側方向への変位を許容することによっ
て吸収することが他の箇所に比較して相対的に難しくな
る部分でも、規制手段によって変形許容壁の下部側の移
動を規制し、結合フランジ部の固定フランジ部に対する
移動によるずれを確実に規制し、またルーフ本体の残留
変形を確実に抑制することができる。
【0040】請求項13の発明では、請求項1〜12
何れかの発明の効果に加え、ルーフ部の車体前後方向前
後部の少なくとも一方において、変形許容壁の高さが低
く熱変形時に変形許容壁の上部の車体内側方向への許容
変位が少ないと共に、ルーフ本体の面外変形が少なくて
も、規制手段によって結合フランジ部の固定フランジ部
に対する移動によるずれを確実に規制し、またルーフ本
体の残留変形を確実に抑制することができる。
【0041】
【0042】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は本発明の
第1実施形態を適用する車体本体1の車体骨格部材であ
るルーフ部3に、樹脂ルーフパネル5を取り付ける場合
の分解斜視図を示している。前記車体本体1は、金属製
であり、例えばスチール等の金属、あるいはアルミ合
金、マグネシウム合金等の軽金属で形成されている。車
体本体1は、ルーフ部3において左右の骨格部としてサ
イドルーフレール部7,9と、該サイドルーフレール部
7,9間に車体内側方向に渡る骨格部として車体前部に
位置するフロントルーフレール部11及び車体後部側に
位置するリヤルーフレール部13と、車体前後方向中間
部に位置するボウルーフ部15とを備えている。またル
ーフ部3は、その他左右フロントピラー部17,19、
左右リヤピラー部21,23などを備えている。さら
に、車体本体1は、図示しないが、その他エンジンコン
パートメント、トランクルーム、プラットホームなど下
部の車体構成部分を含んでいる。
【0043】前記樹脂ルーフパネル5は、熱可塑性樹脂
で形成されたもので、前記ルーフ部3の左右のサイドル
ーフレール部7,9及び前後のフロントルーフレール部
11、リヤルーフレール部13に渡ってその周縁である
左右縁部5a、前縁部5b、後縁部5cが固定されるも
のである。この図1のSA−SAにおける取付状態の断
面図を図2に示し、図1のAにおける取付構造を図3に
示し、図1のSB−SB矢視断面における取付構造を図
4に示している。
【0044】まず、図1,図2のように、前記樹脂ルー
フパネル5は、ルーフ本体25を備えており、ルーフ本
体25の車体内側方向外縁部に角部27を介し、車体下
方側へ向かう縦壁としての変形許容壁29が備えられて
いる。なお、変形許容壁29は、後述するように変位を
許容するものであるが、変位を許容しない単なる縦壁と
して構成することもできる。変形許容壁29の下部に
は、角部31を介して交差し車体外方へ指向した結合フ
ランジ部35が連結されている。結合フランジ部35に
は取付穴33が設けられている。なお、取付穴33は、
車体外方部が解放されたU状の切り欠きとすることもで
きる。
【0045】前記ルーフ部3のサイドルーフレール部7
には、その縦壁37の下部側に車体内側方向外側に指向
した固定フランジ部39が設けられている。この固定フ
ランジ部39に対し結合フランジ部35がその下面を合
わせるように取り付けられる。その固定は、固定手段と
しての締結具であるボルト41とナット43とによって
固定フランジ部39に対し結合フランジ部35を締結す
ることによって行っている。前記締結具であるボルト4
1は、前記結合フランジ部35の取付穴33よりも細く
設定されており、取付穴33との間に空間45を備えて
いる。なお、固定手段としては、リベット止め、接着に
よるものも含まれる。
【0046】前記サイドルーフレール7の縦壁37と樹
脂ルーフパネル5の変形許容壁29の下部との間には、
規制手段、支持手段、及び支持具としての板ばね47が
設けられている。板ばね47は、U状部49と固定板部
51とを備えて一体に形成され、図2において車体前後
方向、すなわち紙面直交方向に固定板部51の左右長さ
(図2の左右長さ)程度の幅を有している。尚、板ばね
47の幅は適宜設定することができるものである。
【0047】前記板ばね47のU状部49は、弾性を有
する断面U字状に形成されており、それぞれ一定の曲率
半径を有した内外の弧状部53,55が上部で一体とな
ったものである。外側の弧状部55は、コーナー部57
を介して前記固定板部51と一体となっている。尚、本
実施形態において、板ばね47はその全体が同一の弾性
係数を有している。前記固定板部51は、前記固定フラ
ンジ部39と結合フランジ部35との間に介設され、前
記ボルトナット41,43によって固定フランジ部3
9、結合フランジ部35と共に共締めされている。従っ
て、板ばね47の取り付けを極めて容易に行うことがで
きる。
【0048】そして、板ばね47のU状部49は、ルー
フ部3の外縁部である縦壁37と変形許容壁29の下部
との間に介在し、固定フランジ部39に対し結合フラン
ジ部35を車体外側方向である反移動方向に付勢可能と
なっている。又、支持具としての板ばね47は、ルーフ
部3の外縁部である縦壁37に対し変形許容壁29の下
部を支える構成となっている。従って支持具としては、
他に弾性を備えずに縦壁37と変形許容壁29との間に
介在し、変形許容壁29を縦壁37に対し支える構造に
することもできる。さらに板ばね47は、支持手段とし
て変形許容壁29の下部を縦壁37側で支え、同上部の
変位につれて下部が移動することを規制し、規制手段と
して変形許容壁29の変位力で結合フランジ部35が固
定フランジ部39及び締結具であるボルト41に対し移
動することを規制する。
【0049】図3は図1のA矢視における拡大斜視図を
示したもので、この図3では樹脂ルーフパネル5の剛性
が極めて高い角部59の両側に板ばね47,47Aを配
置したものである。図3の右側に配置されている板ばね
47は、図2と同一構成となっている。図3の左側に配
置されている板ばね47Aは、樹脂ルーフパネル5の前
部5bに備えられているものであり、図1のSB−SB
矢視断面である図4の位置に配置されたものと同一構成
となっている。
【0050】図4においては、フロントルーフレール部
11の前端に、固定フランジ部39Aが形成されてい
る。この固定フランジ部39Aの縦壁37を介した段差
は、前記サイドルーフレール部7におけるものより低く
形成され、この固定フランジ部39Aの先端に、接着剤
61を介しフロントウインドウパネル63が取り付けら
れている。
【0051】前記ルーフ部3の外縁部である縦壁37の
段差が低いことに鑑み、前記樹脂ルーフパネル5の変形
許容壁29Aの段差も対応して低くなっている。更に、
板ばね47のU状部49Aを構成する内外の弧状部53
A,55Aの上下高さも対応して低く形成されている。
その他の構成は図2と同様であり、同符号を付して重複
した説明は省略する。
【0052】尚、右側のサイドルーフレール部9の部分
における樹脂ルーフパネル5の取り付けは図2と同様で
あり、またリヤルーフレール部13における樹脂ルーフ
パネル5の取り付けはフロントルーフレール部11と同
様となっている。
【0053】ここで、従来の熱可塑性樹脂によって成形
された樹脂ルーフパネルの熱負荷時の変形を説明する
と、熱負荷時はルーフパネル一般面であるルーフ本体2
5の上下方向の変形である面外変形、ルーフ本体25と
変形許容壁29,29Aとの上部の角部27の角度変
化、ルーフ部3の外縁部の縦壁37と固定フランジ部3
9,39Aに対する結合フランジ部35の室内側への移
動により熱変形を吸収する。しかしながら、樹脂ルーフ
パネル5の角部59の剛性が極めて高い部位や、樹脂ル
ーフパネル5の前部5b、後部5cのように、ルーフ本
体25と結合フランジ部35との段差が少ない部位で
は、ルーフ本体25の面外変形や上下の角部27,31
の角度変化では樹脂ルーフパネル5の変形を許容するこ
とができず、低温時に熱収縮により板厚が減少して締結
部に隙間が発生し、結合フランジ部35がルーフ本体2
5の引き込み力により車体内側方向に移動し、固定フラ
ンジ部39に対し結合フランジ部35がずれる恐れがあ
る。又、常温に戻っても、結合フランジ部35の板厚の
復元により固定フランジ部39との間の摩擦抵抗が高く
なり、結合フランジ部35が前記移動したまま元の位置
に戻らず、ルーフ本体25に残留変形を生ずる恐れもあ
る。
【0054】これに対し上記第1実施形態に係る発明で
は、図2(b)のように機能させることができる。すな
わち低温時には、ルーフ本体25、変形許容壁29、結
フランジ部35が熱収縮する。図2(b)の二点鎖線
で示すように、変形許容壁29の上部側が変位してルー
フ本体25の熱変形を許容すると共に、ボルト41,ナ
ット43による結合フランジ部35の締結部に隙間が発
生する。
【0055】前記変形許容壁29の二点差線のような変
位によって、変形許容壁29の下部に変位力が伝達さ
れ、結合フランジ部35が固定フランジ部39に対し車
体内側方向内側へ移動しようとする。このとき板ばね4
7のU状部49の弾性反力Fにより、縦壁37に対し変
形許容壁29の下部が強制的に車体外方側に押し戻され
る。この押し戻しは、前記ボルト41,ナット43によ
る締結部の隙間発生により円滑に行われる。しかも、結
合フランジ部35が押し戻されるときは、結合フラン
ジ部35が固定フランジ部39側によってスライド案内
されるので結合フランジ部35の押し戻しによる元位置
への再現性が極めて高いものになる。
【0056】これによって、熱負荷による変形を樹脂ル
ーフパネル5のルーフ本体25の面外変形とルーフ本体
25と変形許容壁29との間の角部27の角度変化とで
吸収することができる。吸収しきれない場合は、ルーフ
本体25全体の面に沿った方向の面内力として拡散する
ことができる。従って、樹脂ルーフパネル5の結合フラ
ンジ部35の固定フランジ部39に対する取付状態は、
熱変形前の状態と略同一の状態を維持することができ、
固定フランジ部39に対する結合フランジ部35の移動
によるずれを大幅に抑制することができる。このため結
合フランジ部35のずれによる外観品質の低下を抑制す
ることができる。
【0057】また結合フランジ部35の取付穴33とボ
ルト41の軸部との間に空間45を維持することがで
き、取付穴33がボルト41の軸部に強く当たることが
ないため、結合フランジ部35の取付穴33周囲に亀裂
などの発生を招くことがない。更に、固定フランジ部3
9に対する結合フランジ部35の位置を上記のように維
持することができるため、常温に戻ってルーフ本体25
の熱変形が復元したとしても、ほぼ元の状態を維持する
ことができ、残留変形を大幅に抑制することもでき、か
かる点においても外観品質の低下を抑制することができ
る。
【0058】さらに、熱変形時に結合フランジ部35が
車体内側方向へ多少移動したとしても、熱変形の復元途
中では前記ボルト41,ナット43による締結の隙間は
完全にはなくならないので、板ばね47による押し戻し
力と前記のような固定フランジ部39の移動ガイドとに
より元の位置へ戻すことの再現性を極めて高いものにす
ることができる。
【0059】熱変形が復元すると、前記結合フランジ部
35の収縮がなくなるので、前記ボルト41,ナット4
3による締結の隙間もなくなり、結合フランジ部35は
熱変形前の元の位置で確実に締結固定されることにな
る。
【0060】図3,図4のような樹脂ルーフパネル5の
角部59の剛性が極めて高い部位や、ルーフ本体5と結
合フランジ部35との間の段差が少ない部位において、
熱変形をルーフ本体5の面外変形や角部27の角度変化
で許容することが困難な場合であっても、図3,図4の
ように板ばね47を設定することによって、固定フラン
ジ部39,39Aに対する結合フランジ部35のずれを
規制し、前記同様、ルーフ本体5の残留変形、取付穴3
3の亀裂を抑制し、外観品質の低下を規制することがで
きる。
【0061】上記のように板ばね47を設定することに
よって、常温時の取付状態において、U状部49をルー
フ部3の縦壁37と樹脂ルーフパネル5の変形許容壁2
9とに接触させ、付勢力を付与することによりルーフ部
3に対する樹脂ルーフパネル5の位置決めを行うことが
でき、ガタツキを防止することができると共に、ボルト
41,ナット43による締結作業を極めて容易に行うこ
とができる。但し、U状部49は樹脂ルーフパネル5の
ルーフ本体25が熱変形したときにのみ縦壁37に対し
変形許容壁29を支え、あるいはこれに外側への付勢力
を発生するように構成することもできる。
【0062】次に、樹脂ルーフパネル5のルーフ本体2
5ほぼ中央部と変形許容壁29上端の角部27との間の
相対キャンバと板ばね47との関係について述べる。
【0063】図5において、Lは角部27と樹脂ルーフ
パネル5のルーフ本体25ほぼ中央部との間の水平距
離、L1,L2は同ルーフ本体25の面方向に沿った距
離、H1,H2は角部27に対するルーフ本体25ほぼ
中央部の高さである。ルーフ本体25の曲率半径が小さ
い図5(a)では、相対キャンバH1/Lが大きく、曲
率半径が大きい図5(b)では、相対キャンバH2/L
が小さくなっている。
【0064】ここで、低温時のルーフ本体25の面外変
形と相対キャンバとの関係は、面外変形でのルーフ本体
25の収縮量δとして、 δ1=L1−L(図5(a)) δ2=L2−L(図5(b)) として表わされる。ここで、図5(a)のように相対キ
ャンバが大きいと、ルーフ本体25の長さL1がキャン
バのなくなる平坦での長さLに対して相対的に長くなる
ため、面外変形でのルーフ本体25の収縮量δ1が大き
くなる。このとき低温時の必要ルーフ本体変形量Dに対
し、ルーフ本体25の収縮量δ1が大きく、D<δ1と
なり、ルーフ本体25の面外変形のみで低温時の必要ル
ーフ本体変形量Dを許容することができる。このためル
ーフ本体25の収縮による変形許容壁29の引き込み力
がそれほど強くならず、板ばね47を省略しても固定フ
ランジ部39に対する結合フランジ部35の移動を規制
することができる場合がある。
【0065】一方、図5(b)のように、相対キャンバ
H2/Lが小さくなると、ルーフ本体25に沿った方向
の長さL2がキャンバがなくなる平坦での長さLに対し
てあまり長くないため、面外変形でのルーフ本体25の
収縮量δ2が小さくなる。このとき低温時の必要ルーフ
本体変形量Dに対し、前記収縮量δ2が小さく、D>δ
2となり、ルーフ本体25の面外変形のみでは低温時の
必要ルーフ本体変形量Dを許容することができない。こ
のためルーフ本体25の熱収縮によって変形許容壁29
が大きく変位し、その変位力が結合フランジ部35に伝
達されて、結合フランジ部35が固定フランジ部39に
対し移動しようとする。このような箇所に、上記のよう
に板ばね47を設けることによって、固定フランジ部3
9に対する結合フランジ部35の移動を規制し、取付穴
33での亀裂発生やルーフ本体25での常温復元時の残
留変形を抑制することができるのである。
【0066】図6は各板ばね47,47aの具体的な配
置箇所を示したもので、樹脂ルーフパネル5の左右縁部
5aに板ばね47を前縁部5bと後縁部5cとに板ばね
47Aを配置し、その配置個所をそれぞれ黒丸で示して
いる。このときの例えばSC矢視における断面図が前記
相対キャンバの小さな図5(b)に対応し、SD矢視に
おける断面図が前記相対キャンバの大きな図5(a)に
対応している。このときの具体的な比較実施例を示すと
以下の表1のようになる。
【0067】
【表1】 表1において、相対キャンバ(ルーフキャンバ)が小さ
い場合を左側に、同大きい場合を右側に示している。ル
ーフ形状は相対キャンバが小さい場合、H=50mm、
L=780mmであり、相対キャンバはH/L=0.0
64となっている。又、相対キャンバが大きい場合は、
H=50mm、L=500mm、相対キャンバはH/L
=0.10となっている。このときの面外変形での収縮
量δは相対キャンバが小さい場合、ルーフ本体25に沿
った方向の長さがL1=781.79mmとし、δ=
1.79mmである。また相対キャンバが大きい場合、
L1=503.1mmとしてあり、この時の収縮量δ=
3.1mmとなる。
【0068】樹脂ルーフパネル5の材質は、熱可塑性樹
脂であり、ヤング率E=2000MPa、線膨張係数α
=8×10-5、板厚t4、温度条件は常温25℃から低
温−30℃へ変化させるものとし、温度差ΔT=−55
℃となる。この温度変化において、低温時の必要ルーフ
本体変形量Dは、相対キャンバが小さい場合、D=α×
ΔT×L=3.43mmとなり、相対キャンバが大きい
場合は、D=2.2mmとなる。
【0069】この収縮量δと必要変形量Dとの関係にお
いて、相対キャンバが小さい場合、面外変形で低温時収
縮を許容することができず、Δδ=D−δ=1.64m
m、結合フランジ部35が固定フランジ部39に対しル
ーフ部3の縦壁37側へ移動しようとする。一方、相対
キャンバが大きい場合には、Δδ=−0.90mmとな
り、面外変形のみでのみで低温時収縮を許容することが
できるため、結合フランジ部35が固定フランジ部39
に対し移動することはない。
【0070】従って、相対キャンバが大きい場合には、
樹脂ルーフパネル5のルーフ本体25の面外変形のみで
低温時収縮を吸収することができるため、板ばねを設定
する必要はない。これに対し、相対キャンバが小さい場
合には、図7のような形状の板ばねをルーフ部3の縦壁
37と樹脂ルーフパネル5の変形許容壁29の下部との
間に設定する。
【0071】図7において、板ばね47の材質はばね鋼
であり、ヤング率E=206GPaである。また板ばね
47の幅b=50mm、固定板部51から反力発生点ま
での高さh=20mmとし、図6のように左右前後縁部
5a,5b,5c各4個設定した。前後縁部5a,5
b,5cの何れもその長さが1200mmとした場合、
板ばね47の1つが受け持つ樹脂ルーフパネル5の変形
許容壁29の部分における受け面積はA=1200×t
4/4=12002となる。
【0072】そして、板ばね47の必要板厚tは次のよ
うになる。まず、熱応力σ=E×ε=E×Δδ/L=P
/Aより、板ばね1個当たりの反力Pは、P=A(ルー
フ)×E(ルーフ)×Δδ/Lであり、板ばねのばね定
数をK=P/Δδ=3080N/mmとすると、板ばね
47の必要板厚t(ばね)=3√{(K×4×h3)/
(E(ばね)×B(ばね))}=2.12mm、すなわ
ち板ばね47はt=2.2mm以上に設定している。
【0073】かかる条件において、熱収縮時に結合フラ
ンジ部35の固定フランジ部39に対する移動によるず
れを規制し、外観品質の低下を抑制することができる。
また取付穴33の亀裂やルーフ本体25の残留変形を確
実に抑制することができる。
【0074】(第2実施形態)図8,図9は本発明の第
2実施形態に係り、図8は樹脂ルーフパネル5の左半部
を示した斜視図、図9は板ばね47の斜視図を示してい
る。なお、第1実施形態と対応する構成部分には同符合
を付して説明し、また重複した説明は省略する。
【0075】一方、本実施形態においては、板ばね47
はルーフ部の角部に対応する樹脂ルーフパネル5の角部
59を結ぶ対角線S寄りに位置する側65Aと、その反
対側65Bとに幅方向中央で2分したとき、前者の一方
側65Aのばね反力が後者の他方側65Bのばね反力よ
りも相対的に高くなるようにばね特性を設定したもので
ある。なお、図8では左縁部5a側に配置した板ばね4
7の例を示しているが、右縁部5aあるいは前後縁部5
b,5c側に配置する場合も同様に、対角線寄りに位置
する側のばね反力を高く設定するものである。
【0076】かかる設定により、特に低温時に、ルーフ
本体25の長さが長い対角線S側は熱負荷による樹脂ル
ーフパネル25の収縮が大きい反面、相対キャンバが小
さくルーフ本体25の面外変形での熱負荷変形の許容割
合が小さくなるから、変形許容壁29,29Aの変形が
大きくなり、変形許容壁29,29Aの変位力による結
合フランジ部35の移動しようとする変位力が大きくな
る。
【0077】これに対し、板ばね47のばね特性の設定
が対角線S側65Aが高くなるようにしているため、対
角線S側でより強い反力を発生し、当該部分において変
形許容壁29の下部を支えることになる。従って、変形
許容壁29の下部を強制的に押し戻し、熱変形をルーフ
本体25全体の面内力として拡散し、結合フランジ部3
5の固定フランジ部39に対する移動を規制することが
できる。
【0078】また対角線Sの反対側65Bにおいては、
相対的にばね反力が小さく設定されているが、この部分
においてはルーフ本体25の収縮量が相対的に小さい反
面、相対キャンバが相対的に大きくなるため、ルーフ本
体25の面外変形での熱負荷変形の許容割合が相対的に
大きくなる。従って、反対側65Bのばね反力が相対的
に小さく設定されていても、熱収縮時の変形許容壁29
の変位力を十分に支え、またこれを押し戻すことがで
き、当該部分での結合フランジ部35の固定フランジ部
39に対する移動を確実に規制することができる。
【0079】従って、本実施形態においては、1つの板
ばね47によって対角線S方向及び車体内側方向の何れ
の方向への熱変形にも対応することができ、部品点数を
少なくすることが可能となる。
【0080】図10,図11は第2実施形態の変形例に
係る実施形態を示す板ばね47の斜視図である。図10
の実施形態では、板ばね47の対角線寄りに位置する側
と、その反対側とに2分したとき、前者の一方側65A
のばね反力が後者の他方側65Bのばね反力よりも相対
的に高くなるようにばね特性を設定するため、一方側6
5Aにビード67を設けたものである。また、図11の
実施形態では、板ばね47の全体のばね反力を強くする
と共に、他方側65Bにスリット69を設け、一方側6
5Aのばね反力を他方側65Bのばね反力よりも相対的
に高くなるようにばね特性を設定したものである。かか
る設定によって、図8,図9の実施形態と同様な作用効
果を奏することができる。
【0081】一方、図10の実施形態では、ビード67
を設けるだけであるため、ばね特性の設定を簡単に行う
ことができる。また図11の実施形態では、スリット6
9を設けるため、ばね特性の設定が簡単であると共に、
軽量化を図ることができる。
【0082】(第3実施形態)図12,図13は本発明
の第3実施形態を示し、図12は要部の拡大断面図、図
13は変形許容壁を中心に見た樹脂ルーフパネル5の要
部拡大斜視図である。なお、第1実施形態と対応する構
成部分には同符合を付して説明し、また重複した説明は
省略する。
【0083】一方、本実施形態においては、変形許容壁
29の変位力で結合フランジ部35が固定フランジ部3
9及び締結具であるボルト41に対し移動することを規
制する規制手段として易変形部である折れ部71を設け
たものである。この折れ部71は、変形許容壁29の上
下中間部に設けられ、変形許容壁29の上部29aから
下部29bへの変位力伝達を規制する構成となってい
る。また、本実施形態においては、変形許容壁29の下
部29bに前記結合フランジ部35に渡るリブ73が設
けられている。なお、リブ73は省略することもでき
る。
【0084】本実施形態においては、樹脂ルーフパネル
5の熱変形時にルーフ本体25が二点鎖線のように収縮
すると、変形許容壁29の上部29aが折れ部71を中
心にして回転することになり、ルーフ本体25方向への
変位を容易に許容することができる。なおこの時、変形
許容壁29の下部29bと結合フランジ部35との関係
はリブ73が維持するから、変形許容壁29の上部29
aが折れ部73を中心に回転するのを確実に行わせるこ
とができる。
【0085】従って、本実施形態においても熱負荷、特
に低温状態において樹脂ルーフパネル5の熱変形をルー
フ本体25の面外変形と変形許容壁29aの折れ部71
を中心とした角度変化で吸収し、これらで吸収しきれな
い場合は、角部27の角度変化やルーフ本体25の全体
の面内力として拡散することができる。このため、本実
施形態においても結合フランジ部35の固定フランジ部
39に対する移動を規制することができ、結合フランジ
部35のずれを抑制して、外観品質の低下を防止するこ
とができる。又、取付穴33の亀裂やルーフ本体25の
残留変形を抑制することができ、かかる点から外観品質
の低下を防止することができる。
【0086】(第4実施形態)図14〜図16は本発明
の第4実施形態を示し、図14は板ばね47の斜視図、
図15は低温時の変形状態、図16は高温時の変形状態
を示すそれぞれ断面図である。なお、第1実施形態と対
応する構成部分には同符合を付して説明し、また重複し
た説明は省略する。
【0087】一方、本実施形態においては、板ばね47
が多層構造に形成されたものである。すなわち、板ばね
47はU状部49の内側から固定板部51の下面側に渡
る範囲の下層部75と、U状部49の外側から固定板部
51の上面側に渡る範囲の上層部77との多層構造に形
成されている。下層部75の材質は例えば鋼であり、上
層部77の材質は例えばアルミである。従って、板ばね
47は、下層部75の線膨張係数が上層部77の線膨張
係数よりも相対的に小さくなるように設定されたクラッ
ド材となっている。
【0088】これにより、U状部49と固定板部51と
の間の角部57で下層部75に対し上層部77の線膨張
係数が大きいため、低温時には角部57が図15のよう
に、バイメタル効果で鋭角に変形しようとする。このた
め、板ばね47のU状部499の外側の湾曲壁55が外
側に変位して、変形許容壁29の下部を外側へ付勢する
ことになり、変形許容壁29の下部が支えられ、押し戻
されることになる。また、高温時には、板ばね47のU
状部49において下層部75より上層部77の伸び量の
ほうが大きいため、図16のように内外湾曲壁53,5
5の曲率半径が小さくなり、同様に変形許容壁29に外
側方向への付勢力を与え、また押し戻す作用を奏する。
【0089】従って、これらの作用により、熱変形時に
結合フランジ部35の固定フランジ部39に対する移動
を規制し、結合フランジ部35のずれを抑制して、外観
品質の低下を防止することができる。また結合フランジ
部35の移動を規制することができるため、前記同様、
樹脂ルーフパネル5のルーフ本体25の残留変形、取付
穴33の亀裂発生を防止することができ、外観品質の低
下を防止することができる。
【0090】また本実施形態においては、温度変化によ
って板ばね47のU状部49が膨らむことになるため、
常温時はU状部49の膨らみを少なくする状態で取り付
けることができ、樹脂ルーフパネル5のルーフ部3に対
する取付けを簡単に行わせることができる。
【0091】(第5実施形態)図17は本発明の第5実
施形態に係る要部断面図である。なお、第1実施形態と
対応する構成部分には同符合を付して説明し、また重複
した説明は省略する。
【0092】一方、本実施形態においては、変形許容壁
29の下部をルーフ部3の外縁部側である縦壁37で支
え、前記変形許容壁29上部の変位につれて同下部が移
動することを規制する支持手段として、縦壁37に当接
部79と逃げ部81を備えたものである。前記当接部7
9は、変形許容壁29の下部を近接又は当接させるもの
で、前記逃げ部81は当接部79上部側で変形許容壁2
9の変位を許容する空間を形成するものである。本実施
形態において、当接部79及び逃げ部81は、縦壁37
の湾曲受部83として形成している。また本実施形態に
おいては、変形許容壁29の下部に前記湾曲受部83に
向かって湾曲突出する湾曲当部85が備えられている。
この湾曲当部85の存在によって、変形許容壁29の上
部側が立ち上がり、変形許容代を形成するようになって
いる。
【0093】従って、本実施形態においては、熱負荷
時、特に低温状態においてルーフ本体25が熱収縮する
と湾曲当部85が当接部79に当接すると共に、逃げ部
81によって形成された空間内で変形許容壁29の上部
側が二点鎖線図示のように変形し、車体内側方向への変
位を許容する。これによって、熱変形をルーフ本体25
の面外変形と、変形許容壁29の上部の変位とによって
吸収することができる。また吸収しきれない場合は、角
部27の角度変化やルーフ本体25の全体の面内力とし
て拡散することができる。また変形許容壁29の前記変
位力は、湾曲当部85が当接部79に支えられることに
よって変形許容壁29下部の結合フランジ部35が移動
するのを規制することができ、結合フランジ部35のず
れを抑制することができる。
【0094】従って、本実施形態においても第1実施形
態と略同様な作用効果を奏することができる。また本実
施形態においては、ルーフ部3の縦壁37の形状設定で
対応することができるため、構造が簡単で部品点数を少
なくすることができる。
【0095】なお、上記各実施形態は、高温熱変形時に
も対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車体本体と樹脂ル
ーフパネルとの関係を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は図1のSA−SA矢視断面図、(b)
は熱変形時の断面図である。
【図3】第1実施形態に係り、図1のAにおける斜視図
である。
【図4】第1実施形態に係り、図1のSB−SB矢視断
面図である。
【図5】相対キャンバの相違と板ばねとの設定を示し、
(a)は相対キャンバが大きい場合の要部概略断面図、
(b)は相対キャンバが小さい場合の要部概略断面図で
ある。
【図6】第1実施形態の実施例に係り、板ばねの配置箇
所を示す樹脂ルーフパネルの斜視図である。
【図7】第1実施形態の一実施例に係る板ばねの概略斜
視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る樹脂ルーフパネル
の左半部を示した斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る板ばねの斜視図である。
【図10】第2実施形態の変形例の実施形態に係る板ば
ねの斜視図である。
【図11】第2実施形態の他の変形の実施形態に係る板
ばねの斜視図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る要部断面図であ
る。
【図13】第3実施形態に係る樹脂ルーフパネルの要部
斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る板ばねの斜視図
である。
【図15】第4実施形態に係り、低温時の状態を示す要
部断面図である。
【図16】第4実施形態に係り、高温時の変形状態を示
す要部断面図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係る要部断面図であ
る。
【符号の説明】
1 車体本体 3 ルーフ部 5 樹脂ルーフパネル 5a 樹脂ルーフパネルの左右縁部 5b 樹脂ルーフパネルの前縁部 5c 樹脂ルーフパネルの後縁部 7 左ルーフサイドレール(ルーフ部の外縁部) 9 右ルーフサイドレール(ルーフ部の外縁部) 11 フロントルーフレール部(ルーフ部の外縁部) 13 リヤルーフレール部(ルーフ部の外縁部) 25 ルーフ本体 27 角部 29,29A 変形許容壁 31 角部 33 取付穴 35 結合フランジ部 37 縦壁(ルーフ部の外縁部) 39,39A 固定フランジ部 41 ボルト(締結具) 43 ナット(締結具) 47 板ばね(規制手段、支持手段、支持具) 49,49A U状部 51 固定板部 59 樹脂ルーフパネルの角部(ルーフ部の角部) 65A 対角線寄りに位置する側 65B 反対側 67 ビード 69 スリット 71 折れ部(易変形部) 73 リブ 75 下層部 77 上層部 79 当接部 81 逃げ部 83 湾曲受部 85 湾曲当部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−242044(JP,A) 実開 昭61−117775(JP,U) 実開 昭61−117776(JP,U) 実開 平2−93185(JP,U) 実開 昭61−117774(JP,U) 実開 昭58−82991(JP,U) 実開 昭62−67876(JP,U) 実開 昭62−78577(JP,U) 実開 昭63−184157(JP,U) 実開 平7−22439(JP,U) 実開 平1−2648(JP,U) 実開 昭60−36376(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 25/06 B62D 29/04 B60J 7/10

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ルーフ本体の外縁に車体下方側へ指向し
    てルーフ本体の熱変形時に車体内側方向への変位を許容
    する変形許容壁を備えると共に該変形許容壁の下部に交
    叉して指向し取付穴を有する結合フランジ部を備え熱可
    塑性樹脂で形成された樹脂ルーフパネルと、 金属製の車体本体のルーフ部の外縁部に備えられ前記結
    合フランジ部の面を合わせるように取り付ける固定フラ
    ンジ部と、 前記結合フランジ部の取付穴を貫通し前記固定フランジ
    部に前記結合フランジ部を締結する締結具と、 前記変形許容壁の変位力で前記結合フランジ部が前記固
    定フランジ部及び締結具に対し移動することを規制する
    規制手段と、を備え、 前記規制手段を、前記変形許容壁の下部を前記ルーフ部
    の外縁部側で支え前記変形許容壁の変位に連れて該変形
    許容壁の下部が移動することを規制する支持手段で構成
    した ことを特徴とする樹脂ルーフ取付構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の樹脂ルーフ取付構造であ
    って、 前記支持手段は、前記ルーフ部の外縁部と前記変形許容
    壁との間に該変形許容壁の下部を前記ルーフ部の外縁部
    に対して支える支持具を備えたことを特徴とする樹脂ル
    ーフ取付構造。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の樹脂ルーフ取付構造であ
    って、 前記支持具は、前記固定フランジ部に対して前記結合フ
    ランジ部を反移動方向に付勢可能な弾性を備えたことを
    特徴とする樹脂ルーフ取付構造。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の樹脂ルーフ取付構造であ
    って、 前記支持具は、弾性を有する断面U字状のU状部を備
    え、該U状部が前記ルーフ部の外縁部と変形許容壁の下
    部との間に介設された板ばねであることを特徴とする樹
    脂ルーフ取付構造。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の樹脂ルーフ取付構造であ
    って、 前記板ばねは、下部に固定板部を一体に有し、該固定板
    部が前記締結具により前記固定フランジ部と結合フラン
    ジ部との間に共締めされたことを特徴とする樹脂ルーフ
    取付構造。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の樹脂ルーフ取付構造であ
    って、 前記板ばねは、前記U状部の内側から前記固定板部の下
    面側に渡る範囲で同外側から同上面側に渡る範囲よりも
    線膨張係数が相対的に小さくなるように多層構造に形成
    したことを特徴とする樹脂ルーフ取付構造。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6の何れかに記載の樹脂ルー
    フ取付構造であって、 前記板ばねは、前記ルーフ部の角部を結ぶ対角線寄りに
    位置する側とその反対側とに2分したとき前者の一方側
    のばね反力が後者の他方側のばね反力よりも相対的に高
    くなるようにばね特性が設定されたことを特徴とする樹
    脂ルーフ取付構造。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の樹脂ルーフ取付構造であ
    って、 前記板ばねは、前記一方側にビードを設けて前記ばね特
    性を設定したことを特徴とする樹脂ルーフ取付構造。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の樹脂ルーフ取付構造であ
    って、 前記板ばねは、前記他方側にスリットを設けて前記ばね
    特性を設定したことを特徴とする樹脂ルーフ取付構造。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の樹脂ルーフ取付構造で
    あって、 前記支持手段は、前記ルーフ部の外縁部に設けられて前
    記変形許容壁の下部を近接又は当接させる当接部及び該
    当接部上部側で前記変形許容壁の変位を許容する空間を
    形成する外縁部の逃げ部を備えたことを特徴とする樹脂
    ルーフ取付構造。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の樹脂ルーフ取付構造
    であって、 前記当接部及び逃げ部は、前記ルーフの外縁部の湾曲受
    部であり、 前記変形許容壁の下部に、前記湾曲受部に向かって湾曲
    突出する湾曲当部を備えたことを特徴とする樹脂ルーフ
    取付構造。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11の何れかに記載の樹脂
    ルーフ取付構造であって、 前記規制手段は、前記ルーフ部の角部に配置されている
    ことを特徴とする樹脂ルーフ取付構造。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12の何れかに記載の樹脂
    ルーフ取付構造であって、 前記規制手段は、前記ルーフ部の車体前後方向前後部の
    少なくとも一方に配置されたことを特徴とする樹脂ルー
    フ取付構造。
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