JP3417253B2 - 金属−グラファイト複合体及びそれを用いた放熱体 - Google Patents
金属−グラファイト複合体及びそれを用いた放熱体Info
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Description
合体及びそれを用いた放熱体に関し、特にグラファイト
シートを利用した新規な金属−グラファイト複合体及び
それを用いた放熱体を提供するものである。具体的に
は、その優れた導電性のみならず優れた熱伝導性をも利
用して、放熱特性のよい複合体等を提供するものであ
り、発熱の多い高出力素子への電流供給時等種々の応用
が可能なものである。
ム等の金属材料が使われている。これらの材料は、通常
の使用においては十分な機能を持ち広く使われている。
に、きわめて小さな領域に大きな電流を流すことが必要
な素子においては、局所的に大きな熱の発生が避けられ
ず、その放熱は電流供給リード線では到底まかなうこと
ができないため、放熱の機構を電流供給の機構とは別途
に組み込む必要があり、素子作成および使用に当たって
の大きな妨げになっている。
活性層に近い面をシリコンあるいは酸化ベリリウム、炭
化シリコン、ダイヤモンドといった熱伝導性の比較的よ
い結晶性物質の小片に接着させ(この構造はいわゆるサ
ブマウントと呼ばれる。)、放熱をよくしようというこ
とが行われている。
率よく冷却するためにペルチエ素子の冷却側に、半導体
レーザチップの活性層側を張り付けることなども実際に
行われている。
て、あるいは高強度材料として各種の構造材料として使
われている。
角形の網の目状に結合したグラファイトは、その高い熱
伝導性を利用した放熱・伝熱材料としての用途が広がろ
うとしている。
化して作製したシート状のグラファイトは、大きな面積
のものを容易に作ることができるとともに、極めて高い
熱伝導率を持ち、柔軟性に富んでいるため、熱伝達用の
材料として放熱や均熱を必要とするところに用いられて
いる。ところが、このグラファイトシートは、比較的高
い電導度を持つことも知られているが、この性質をも用
いた用途は、まだ開発されていない。
について検討すれば、活性領域と呼ばれる極めて小さな
領域に電子と光を閉じこめ、レーザ発振を起こさせる。
そのために高い電流密度を必要とし、結果として局所的
に大きな発熱がある。
実際の半導体レーザ素子においても、十分な電流供給と
放熱が行えないために、素子が本来持っている性能を十
分引き出すことができない場合もしばしばあるだけでな
く、時には熱により素子が破壊されることすらもある。
限らず、大きな電流や電流密度を必要とする素子及び装
置においては、常につきまとう課題である。
々数ミクロンの所に活性層のある表面側をサブマウント
に接着させるために、活性層から出る光がサブマウント
に邪魔されないようにする必要があり、組立歩留まりを
落とす原因にもなる。
が、半導体素子のみならず、大出力動作の素子やデバイ
スにおいては、電流供給と熱放散をいかに効率的に行う
かが、その素子やデバイスの性能、ひいてはそれを用い
る機器の性能を決めてしまうきわめて重要な課題といえ
る。
しかつ熱伝導度は大きいが、その表面が非常に反応性に
乏しいことから、一般的には半田付け等の操作は困難で
もある。特別な場合、例えば、摂氏500度以上の高温
にすれば、チタン系や亜鉛系の接着材があることが知ら
れており、特にチタンを成分として含む銀ろう系接着剤
が炭素を接着するために用いら得る。
ないし不活性ガス中で摂氏850度以上での作業が必要
とされる。これでは、一般の電気装置・機器組立には適
用できない。
を持つというグラファイトシートのメリットを実際に利
用する上で大きな課題となっていた。
で、グラファイトシートの特性である良好な導電性と熱
伝導性を基本にしながら、その使いやすさ、例えば電気
を伝えながら放熱する応用時への適用性を向上させるこ
とを目的とする。
に、本発明は、有機物高分子を摂氏1800度以上の高
温で熱処理することによって得られ、延在する両面を有
し、炭素原子同士の結合面が前記両面と略同一方向に存
在するグラファイトシートの少なくとも一方の面に炭素
原子と反応性のある第1の金属薄膜を設けた金属−グラ
ファイト複合体である。
トの特性である良好な導電性と熱伝導性を基本にしなが
ら、その使いやすさ、例えば電気を伝えながら放熱する
応用時への適用性を向上させることができる。
高分子を摂氏1800度以上の高温で熱処理することに
よって得られ、延在する両面を有し、炭素原子同士の結
合面が前記両面と略同一方向に存在するグラファイトシ
ートの少なくとも一方の面に炭素原子と反応性のある第
1の金属薄膜を設けた金属−グラファイト複合体であっ
て、前記第1の金属薄膜に用いられる金属は、ニッケ
ル、コバルト、チタンのうちいずれかの金属元素又は前
記金属元素を主たる成分として含む合金であることを特
徴とする金属−グラファイト複合体である。
結合面の方向に良好に放熱しながら、その方向とは略垂
直な方向にも良好な導電性を呈し、かつグラファイトシ
ートと金属薄膜とが良好な接着性をも実現する。そし
て、金属薄膜が設けられているので、これにより半田付
け等の作業が可能である。更に、第1の金属薄膜に用い
られる金属を、炭素と化合物を作るような金属元素又は
前記金属元素を主たる成分として含む合金とするのが好
適であり、確実にグラファイトシートの表面に結合し得
る。より具体的には、選ばれる金属としてはニッケルや
コバルト、チタンなど炭素との間で反応しやすい金属及
びそれらの金属元素を主たる成分として含む合金が選ば
れるが、金属自体の安定性や他の金属とのなじみの良さ
等からニッケルなどがより好ましい。
クの物質として考えると、金属−グラファイト間で反応
をしない温度領域でも、ミクロには反応が起こり、グラ
ファイト、つまり炭素原子と金属が接着することをい
う。
属薄膜と反対側のグラファイトシートの表面に第2の金
属薄膜が設けられていても、請求項1に記載の発明と同
様の作用を呈するとともに、両面方向から同様の電気的
特性をも得る。
1の金属薄膜に積層して、第2の金属薄膜が設けられて
いてもよく、炭素原子と反応性の劣る金属薄膜を表面に
形成し得る。
いはしにくい金属としては、インジウム等の金属が挙げ
られる。
に、第1の金属薄膜に積層して、絶縁層が設けられてい
てもよく、グラファイトシートの所望部分を表面を電気
的に絶縁し得る。
層は、第1の金属薄膜の少なくとも一部に設けられた構
成であってもよく、露出した金属薄膜から導電性を得る
一方で、設けられた絶縁層で絶縁性を得てもよい。
の金属薄膜は、グラファイトシートの両面に設けられ、
絶縁層は、前記両面に設けられた第1の金属薄膜に各々
積層して設けられる構成であってもよく、この場合に
は、主として炭素原子同士の結合面の方向に良好に放熱
しながら、その方向とは略垂直な方向には良好な絶縁性
を呈し、電気的に短絡が起こらない。
ように、グラファイトシートは、有機物高分子フィルム
を出発材料とし、熱処理後圧延処理されて得られること
が好適である。
が、グラファイトシートの両面と略同一方向に存在し得
る。
属薄膜は、真空蒸着、スパッタ蒸着、又はメッキにより
グラファイトシート上に直接付着されていることがで
き、簡便かつ確実にグラファイトシートの表面に結合し
得る。
が、グラファイトシートへの不純物の混入がなく好まし
い。
おくことは、密着性を向上する上で好ましく、この手法
には限らないが、密着性を向上させておけば、その後の
半田付け等の作業の効率を高め得る。
属薄膜の形成されたグラファイトシートは、更に熱処理
されていることが好ましく、金属原子と炭素原子の反応
が進みさらに強固に接着する。
に、請求項1から9のいずれかに記載の金属−グラファ
イト複合体の少なくとも一部に連絡した放熱体からの熱
を、グラファイトシートの炭素原子同士の結合面の方向
に放熱する放熱体を構成し得る。
明をしていく。 (実施の形態1)まず、本発明の第1の実施の形態につ
いて説明する。
る。図1において、1はグラファイトシートであって、
炭素原子同士の結合面1aはシートの面にほぼ平行にな
っている。
ートというのは、例えば、原料高分子フィルムとして
は、ポリフェニレンオキサジアゾール、ポリベンゾチア
ゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサ
ゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾー
ル、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドから選択さ
れ、円筒状グラファイト質炭素に巻き付け不活性ガス中
あるいは真空中摂氏1800度以上の温度で加熱して炭
化(グラファイト化)し、炭化(グラファイト化)後に
ローラーなどで圧延することにより、炭素原子同士の結
合面がシートの面にほぼ平行にしたものをいう。ここ
で、このグラファイトシートは、柔軟性をも有するもの
である。もちろん、ほぼ同特性のものが得られれば、特
にこれらの態様に限定されるものではない。
れている。この金属としては鉄や、ニッケル、コバル
ト、チタン等炭素と反応しやすく、その金属の炭化物を
作るようなものが選ばれる。特に、これらの金属のうち
で、反応性や大気中での安定性使いやすさを双方兼ね備
えたものが好適であり、ニッケル等がより好ましい。
空蒸着やスパッタ蒸着、化学的気相堆積、メッキ等が用
いられる。蒸着や堆積の際には、好ましくは蒸着される
グラファイトは摂氏100度以上に加熱されることが好
ましく、加熱温度の上限は金属の融点であるが、実質的
には装置の性能で決まり、好ましくは摂氏300度から
500度である。
限されるものではなく、目的や用途によって決められる
ものであり、典型的には50nmから数十μmである。
ァイトシートを摂氏330度にした状態で、電子ビーム
加熱による真空蒸着法によってニッケルを200nmの
厚さに形成した。
−グラファイト複合体を短冊状に切断し、半田により銅
のワイヤを接着した。
シートと銅ワイヤとを30g以上の力で引っ張ったが、
剥離することはなく、十分な接着強度を持っていること
がわかった。
ートに金を蒸着したものに銅ワイヤを半田付けしたとこ
ろ、金が半田に溶け、グラファイトシートから剥がれて
しまった。このことから、金属の種類の選択がきわめて
重要であることがわかる。
トシート1の図1における上下方向に電気抵抗を測定し
たところ、0.1オーム以下であり、極めて低い抵抗を
示し、導電性もよいことをがわかった。
原子同士の結合面の方向に良好に放熱し得るような構成
を実現しながら、その方向とは垂直方向にも良好な導電
性を呈し、かつグラファイトシートと金属薄膜とが良好
な接着性をも実現し、そして、金属薄膜が設けられてい
るので、これにより良好な半田付け等の作業ができたこ
とがわかる。
断面模式図であり、図2(a)において、1は実施の形
態と同様のグラファイトシートである。
の両面に第1、第2の金属層21、22が各々形成され
ている。この金属の種類は、いずれも炭素と反応しやす
く、その金属の炭化物を作るようなものが選ばれるが、
それらは必ずしも同一のものである必要はなく、又その
厚さも同じである必要はなく、それぞれの面の使用目的
によって作り分け、使い分けることができる。
シート1の両面にニッケルを150nm蒸着した。これ
を5mmx5mmの小片に切断し、図2(b)に示すよ
うに、両面にニッケル層21、22が形成されたグラフ
ァイトシート1の小片の片方の面を半田層32で基体で
ある銅のブロック5に接着し、他の面上に半導体レーザ
チップ3の活性層3a側を半田層31でマウントした。
性層3a側と反対側の基板側に、各々不図示の電極リー
ド線を付け、電流を流してレーザ発振させた。
流を増加させていくと、活性領域の温度が上がるために
発振波長が長波長側にずれていくが、そのずれは、本実
施の形態のグラファイトシートの代わりにシリコンを用
いた通常のものに比べて、半分以下であった。
するとともに、発生する熱を効率的にグラファイトシー
ト面に広げ、局所的な温度上昇を防ぐことができ、安定
に高出力動作をさせることができたことがわかる。
した例で説明したが、実際はこれに限られるものではな
く、熱の発生が大きな素子への電流供給や、アースをと
ると同時に熱を放散するためのリード等が、通常と同様
に半田等で容易に電気的接合ができるものである。
断面模式図であり、図3において、1は実施の形態1と
同様のグラファイトシートであって、その片面にまず炭
素と反応しやすく炭化物を作る第1の金属の薄膜層2
3、更にその上に第2の金属層24が形成されている。
必ずしも炭素と反応しやすいものである必要はない。
作る金属層を介して、別の金属の薄膜を形成することに
より、任意の金属についても、簡単には剥がすことので
きない様な、強固な層をグラファイトシートの上に形成
することができることになるからである。もちろん、積
層する金属層は2層に限定されるものではなく、より多
層とすることも可能である。
度でグラファイトシートの上にまず、ニッケル層を10
0nm、続いて金層を200nm、いずれも電子ビーム
加熱蒸着法により形成した。
属層を持つグラファイトシートを短冊状に切断し、銅の
ワイヤを半田で接着した。
銅のワイヤの間30g以上の力をかけて引っ張ったが、
金属層はグラファイトから剥がれることはなく、十分な
接着強度を持っていることが示された。
オーム以下で極めて低い抵抗を示し、導電性もよいこと
をがわかった。
の効果に加え、任意の金属層をも付加し得て、炭化物と
の反応性の制限無く、外側の金属層の材料が選択できる
効果をも有する。
断面模式図であって、図4において、1は実施の形態1
と同様のグラファイトシートであって、その片面にニッ
ケル層の金属層25が形成され、更にその上にフォトレ
ジスト層の絶縁層5が形成されている。
リソグラフィーによって一部が除去され、適当な熱処理
によりフォトレジスト層を固化させている。
に部分的に除去された穴部を有する絶縁層5をも形成す
ることができる。
(シフレ社製)のフォトレジストを用いたが、これ以外
に、その他のフェノール樹脂等の適当な有機物分子層
や、無機物質たとえば酸化シリコン等を用いることもで
きる。
あることから、接着剤を用いて高分子の薄膜を絶縁層と
して接着することもできる。
を防ぐことができ、この絶縁層5に設けた穴の部分で電
気的な接続を行うことができる。
ーザ等の素子を設ける部分をこの穴部分に対応させれ
ば、そこでは十分な導電性を呈し、絶縁層5の部分でそ
のワイヤ部等を支えるような態様で応用ができることに
なる。
の導電層を所望の部分に形成することも、もちろん可能
である。
の効果に加え、不要な部分での短絡を防止し得るという
効果をも併せ持つことがわかる。
の両面を金属を介して絶縁性の物質で覆うことにより、
電気的には絶縁性であって、高い熱伝導性を持つ構成要
素として用いることができ、導電性が不要の場合には好
適な構成となる。この場合も、もちろん一部に穴部を設
け、導電性を維持してもよい。
て炭素原子同士の結合面の方向に良好に放熱しながら、
その方向とは略垂直な方向にも良好な導電性を呈し、か
つグラファイトシートと金属薄膜とが良好な接着性をも
実現し、金属薄膜が設けられているが故に半田付け等の
作業をも容易とするため、電気的にエネルギが付与され
て動作し熱を発する動作素子等と組み合わせて効果的に
用いることができる構成要素を実現することができる。
に電気的なエネルギが印加されながら自己の発熱による
悪影響も効果的に抑制されることができる。
り、より複雑な素子配置や配線パターンに対応すること
をも可能とし、その応用範囲はきわめて広いものがある
といえる。
合体の断面模式図
合体の断面模式図
合体の断面模式図
合体の断面模式図
Claims (10)
- 【請求項1】 有機物高分子を摂氏1800度以上の高
温で熱処理することによって得られ、延在する両面を有
し、炭素原子同士の結合面が前記両面と略同一方向に存
在するグラファイトシートの少なくとも一方の面に炭素
原子と反応性のある第1の金属薄膜を設けた金属−グラ
ファイト複合体であって、前記第1の金属薄膜に用いら
れる金属は、ニッケル、コバルト、チタンのうちいずれ
かの金属元素又は前記金属元素を主たる成分として含む
合金であることを特徴とする金属−グラファイト複合
体。 - 【請求項2】 更に、第1の金属薄膜と反対側のグラフ
ァイトシートの表面に第2の金属薄膜が設けられた請求
項1記載の金属−グラファイト複合体。 - 【請求項3】 更に、第1の金属薄膜に積層して、第2
の金属薄膜が設けられた請求項1記載の金属−グラファ
イト複合体。 - 【請求項4】 更に、第1の金属薄膜に積層して、絶縁
層が設けられた請求項1記載の金属−グラファイト複合
体。 - 【請求項5】 絶縁層は、第1の金属薄膜の少なくとも
一部に設けられた請求項4記載の金属−グラファイト複
合体。 - 【請求項6】 第1の金属薄膜は、グラファイトシート
の両面に設けられ、絶縁層は、前記両面に設けられた第
1の金属薄膜に各々積層して設けられる請求項4記載の
金属−グラファイト複合体。 - 【請求項7】 グラファイトシートは、有機物高分子フ
ィルムを出発材料とし、熱処理後圧延処理されて得られ
る請求項1から6のいずれかに記載の金属−グラファイ
ト複合体。 - 【請求項8】 第1の金属薄膜は、真空蒸着、スパッタ
蒸着、又はメッキによりグラファイトシート上に直接付
着されている請求項1から7のいずれかに記載の金属−
グラファイト複合体。 - 【請求項9】 第1の金属薄膜の形成されたグラファイ
トシートは、更に熱処理されている請求項1から8のい
ずれかに記載の金属−グラファイト複合体。 - 【請求項10】 請求項1から9のいずれかに記載の金
属−グラファイト複合体の少なくとも一部に連絡した放
熱体からの熱を、グラファイトシートの炭素原子同士の
結合面の方向に放熱する放熱体。
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ID=15303264
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JP14192197A Expired - Lifetime JP3417253B2 (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 金属−グラファイト複合体及びそれを用いた放熱体 |
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